JP2789564B2 - 赤色系磁性粉体およびその製造方法 - Google Patents

赤色系磁性粉体およびその製造方法

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JP2789564B2 JP63164734A JP16473488A JP2789564B2 JP 2789564 B2 JP2789564 B2 JP 2789564B2 JP 63164734 A JP63164734 A JP 63164734A JP 16473488 A JP16473488 A JP 16473488A JP 2789564 B2 JP2789564 B2 JP 2789564B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は赤色系磁性粉体の製造方法に関し、さらに詳
しくは、インクあるいはカラートナーなどの原料として
有用な赤色系磁性粉体の製造方法に関する。
[従来の技術] 有色の磁性粉体は主として磁性インクあるいはコピー
用磁性カラートナーなどに使用されている。
なかでも、磁性カラートナーは、トナー自身に磁性が
あるので、非磁性のトナーとは異なってトナーを摩擦帯
電させる必要がない。したがって、そのような磁性カラ
ートナーを使用する複写機は、磁気ブラシ等の摩擦帯電
装置を省略することができて、小型にすることができ
る。
コピー用磁性カラートナーに関し、多色の磁性カラー
トナーの製造方法が、特公昭60−26350号公報および特
公昭60−258561号公報に記載されている。
前記公報によると、黒あるいは褐色の磁性粉体の表
面を顔料などの着色剤で被覆することにより磁性カラー
トナーを製造すること、着色剤を用いることなしに磁
性粉体自身をカラートナーとして利用することが記載さ
れている。
[本発明が解決しようとする問題点] 前記の方法においては、黒あるいは褐色の磁性粉体
自身の色を隠蔽するために、磁性粉体の量に比べて大量
の着色剤を使用しなければならない。したがって磁性カ
ラートナーとしての本来の特徴である磁化を弱める結果
となる。
一方、前記の方法においては黒色の磁性粉体を用い
たものは実用化されているが、その方法は、磁性粉体自
身の色をもってカラートナーとしているに過ぎない。磁
性粉体自身の色がたとえば赤である磁性粉体は未だ知ら
れていないので、着色剤を使用しないで、赤色系を呈す
る磁性カラートナーは無かった。
[前記課題を解決するための手段] 前記課題を解決するために本発明者が鋭意研究した結
果、特定の原料を特定の条件により焼成した後、さらに
焼鈍して得られた特定組成の磁性粉末は、それ自身が赤
色を呈していて、大量の赤色の着色剤を使用しなくて
も、赤色系を呈する赤色系磁性粉体が得られることを見
出して本発明の到達した。
前記問題点を解決するため請求項1記載の発明は、マ
グネシウムの無機塩および/またはマグネシウム酸化物
と、亜鉛の無機塩および/または亜鉛酸化物と、鉄の無
機塩および/または鉄酸化物とを、前記各金属化合物の
原子比(マグネシウム:亜鉛:鉄)が(x:y:z)[ただ
し、x,yおよびzは以下の関係を満たす。
0.2≦x≦1.0,0.9≦z≦1.0,x+y=1] となるように混合し、得られる混合物を還元雰囲気中で
温度1,100ないし1,300℃で焼成した後、得られる焼成物
をさらに焼鈍することを特徴とする赤色系磁性粉体の製
造方法である。
本発明で注目すべきことは、従来の磁性トナーに用い
られている磁性粉体はいずれも褐色あるいは黒色の磁性
粉体の表面に顔料を付着あるい被覆して赤色としていた
が、本発明においては、従来の磁性粉体とは異なり、磁
性粉体それ自身が赤色を呈しており、このような特異な
磁性粉体は金属酸化物の新規な組成により得られたもの
であり、またこのような新規な磁性粉体は、複数種の金
属酸化物を特定の条件で製造することにより初めて得ら
れたものである。
以下の本発明の赤色系磁性粉体の製造方法について説
明する。
本発明の赤色系磁性粉体を製造する際の原料として、
マグネシウムの無機塩および/またはマグネシウムの酸
化物と、亜鉛の無機塩および/または亜鉛の酸化物と、
鉄の無機塩および/または鉄の酸化物とを使用する。
マグネシウムの無機塩として、塩基性炭酸マグネシウ
ム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等を挙げるこ
とができ、マグネシウムの酸化物として酸化マグネシウ
ム、水酸化マグネシウム等を挙げることができる。
その外、他の金属を含まない錯塩や有機塩も使用可能
である。
本発明においては、マグネシウムの無機塩を一種単独
で使用しても良いし、また、複数種のマグネシウムの無
機塩あるいは複塩を併用しても良い。さらにマグネシウ
ムの酸化物をその一種単独で使用しても良いし、またマ
グネシウムの無機塩とマグネシウム酸化物とを併用して
も良い。
本発明において好ましいのは、塩基性炭酸マグネシウ
ムおよび酸化マグネシウムである。
亜鉛の無機塩としては、塩基性炭酸亜鉛、硫酸亜鉛、
塩化亜鉛、硫化亜鉛、硝酸亜鉛等を挙げることができ
る。亜鉛の無機塩は無水塩であっても含水塩であっても
良い。また亜鉛の酸化物として酸化亜鉛、水酸化亜鉛を
挙げることができる。
本発明においては、亜鉛の無機塩を一種単独で使用し
ても良いし、また、複数種の亜鉛の無機塩あるいは亜鉛
の複塩を併用しても良い。さらに亜鉛の酸化物をその一
種単独で使用しても良いし、また亜鉛の無機塩と酸化亜
鉛とを併用しても良い。
本発明において好ましいのは、塩基性炭酸亜鉛および
酸化亜鉛である。
鉄の無機塩としては、硫酸第2鉄、フッ化第1鉄、フ
ッ化第2鉄、塩化第2鉄、臭化第2鉄、ヨウ化第2鉄、
硝酸第2鉄、水酸化第2鉄、等を挙げることができる。
また、鉄の酸化物としては、亜酸化鉄、酸化第2鉄、四
三酸化鉄等を挙げることができる。
本発明においては、鉄の無機塩を一種単独で使用して
も良いし、また、複数種の鉄の無機塩あるいは鉄の複塩
を併用しても良い。さらに鉄の酸化物をその一種単独で
使用しても良いし、また鉄の無機塩と鉄の酸化物とを併
用しても良い。
本発明において好ましいのは、酸化第2鉄である。
本発明の方法においては、マグネシウムの無機塩およ
び/またはマグネシウム酸化物と、亜鉛の無機塩および
/または亜鉛酸化物と、鉄の無機塩および/または鉄酸
化物とを、前記各金属化合物の原子比(マグネシウム:
亜鉛:鉄)が(x:y:z)[ただし、x,yおよびzは以下の
関係を満たす。
0.2≦x≦1.0,0.9≦z≦1.0,x+y=1] になるように混合し、要すれば前記化合物を粉砕してか
ら混合する。
前記各金属化合物の原子比が前記範囲を外れると、本
発明の磁性粉体を得ることができない。
次いで、得られる混合物を焼成する。
焼成温度は、通常、1,000〜1,400℃であり、好ましく
は1,100〜1,300℃である。
焼成温度が1,00℃未満であると、未反応の金属化合物
が残留し、たとえば未反応の鉄化合物が二三酸化鉄であ
ったり、化学量論的組成により鉄不足のスピネルが生じ
たりすると、得られる焼成物が黄褐色となり、1,400℃
を超えると磁性粉体の色が黒色となることがある。
焼成時間は、通常、1〜5時間であり、好ましくは2
〜4時間である。
焼成時間が1時間未満であると未反応の金属化合物が
残存し、たとえば未反応の金属化合物が二三酸化鉄であ
ったり、化学量論的組成により鉄不足のスピネルが生じ
たりすると、得られる焼成物の色が黄褐色になることが
ある。
本発明の方法においては、前記焼成後、焼成物を焼鈍
することによりそれ自身の色が赤色である本発明の磁性
粉体が得られる。
得られる磁性粉体は、組成式 (MgO)×(ZnO)y(Fe2O3)z [ただし、式中のx,yおよびzは以下の関係を満たす。
0.2≦x≦1.0,0.9≦z≦1.0,x+y=1] を満足する。
本発明の磁性粉体は、温度変化に対して、キュリー点
が低いと言う特長があり、また外部磁場に対しても飽和
磁化に近い磁化が得られると言う点で従来の磁性粉体と
異なるものである。
本発明の方法においては、焼成後、前記焼成物を焼鈍
することによって、焼鈍処理しない場合と比べて、得ら
れる磁性粉体は、より一層赤色を呈するようになる。な
お、焼成後直ちに前記焼成物を焼鈍しても良く、また、
焼成後に前記焼成物を一旦冷却してから焼鈍しても良
い。いずれが良いかは、原料となる金属化合物の種類や
焼成条件等により相違して一概に決定することができな
いけれども、焼成物を一旦冷却すると好ましい結果を得
ることができる場合がある。
焼鈍処理は、前記焼成物を400〜800℃、特に500〜600
℃に4〜20時間、特に5〜10時間維持する。
焼鈍処理の際の雰囲気については特に制限がなく、た
とえば、空気中で電気炉により低温焼鈍することができ
る。
本発明の方法により得られる赤色系磁性粉体は、イン
クあるいはカラートナーなどの原料として有用である。
[実施例] (比較例) 乾式法により強磁性金属酸化物を以下のようにして製
造した。
すなわち、特級試薬の塩基性炭酸マグネシウム0.7モ
ルと塩基性炭酸亜鉛0.3モルと酸化第2鉄1.0モルとを混
合した。得られた混合物を還元性雰囲気下に1,200℃で
3時間かけて電気炉で焼成した。焼成後、焼成物を蒸溜
水に投入して急冷した。
焼成後の産物は、たとえば、振動ミルにて微粉砕し、
粒径を1μm以下にすると、粉砕後の色は暗褐色であっ
た。
得られた粉末はこれらを、X線回折法により鉱物組成
分析した結果、検出鉱物はスピネル鉱物のみであり、ま
た原子吸光分析法により化学組成分析したところ、以下
の化学組成を有するフェライトであった。
Mg0.7Zn0.3Fe2.04.0 このフェライトのCIE標準表色系(JIS Z 8722)、キ
ュリー点温度および8,000[Oe]における磁化を第1表
に示す。
このフェライトの磁化測定結果として、温度−磁化曲
線および磁場−磁化曲線を第1図および第2図として示
す。
(実施例) 乾式法により強磁性金属酸化物を以下のようにして製
造した。
すなわち、特級試薬の塩基性炭酸マグネシウム0.7モ
ルと塩基性炭酸亜鉛0.3モルと酸化第2鉄1.0モルとを混
合した。得られた混合物を還元性雰囲気下に1,200℃で
3時間かけて電気炉で焼成した。焼成後、焼成物を粉砕
し、粉砕物をさらに600℃で焼成後炉冷した。
焼成後の産物は、たとえば振動ミルにて微粉砕し、粒
径を1μm以下にすると、粉砕後の色は褐色を帯びた赤
色であり、比較例の場合に比べてより赤色である(必要
であれば、日鉄鉱業株式会社製エルボージェットにより
所望の粒度に分級することも可能である。) 得られた粉末はこれを比較例と同様に、X線回折法に
より鉱物組成分析した結果、検出鉱物はスピネル鉱物の
みであり、また原子吸光分析法により化学組成分析した
ところ、以下の化学組成を有するフェライトであった。
Mg0.7Zn0.3Fe0.24.0 このフェライトのCIE標準表色系(JIS Z 8722)、キ
ュリー点温度および8,000[Oe]における磁化の値を第
1表に示す。
このフェライトの磁化測定結果として、温度−磁化曲
線および磁場−磁化曲線を第3図および第4図として示
す。
[発明の効果] 請求項1に記載の発明によると、それ自体で赤色を呈
し、磁気特定についてもキュリー点が低いと言う特長が
あり、また外部磁場に対しても飽和磁化に近い磁化を得
ることができると言う点で従来の磁性粉と異なった赤色
系磁性粉体を簡単に製造することができる。
また、請求項2に記載の発明によると請求項1に記載
の製造方法によるよりも簡単に磁性粉体を製造すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は比較例において得られた磁性粉体についての温
度−磁化曲線を示すグラフ、第2図は前記比較例におい
て得られた磁性粉体についての磁場−磁化曲線を示すグ
ラフ、第3図は実施例において得られた磁性粉体につい
ての温度−磁性曲線を示すグラフ、および第4図は前記
実施例において得られた磁性粉体についての磁場−磁化
曲線を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中塚 勝人 宮城県仙台市川内無番地 川内住宅第一 地区9―203 (72)発明者 新子 貴史 東京都三鷹市下連雀8―10―16 日鉄鉱 業株式会社内 (72)発明者 今井 利和 神奈川県藤沢市桐原町9 タイホー工業 株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−200551(JP,A) 特開 昭52−24200(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C01G 49/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マグネシウムの無機塩および/またはマグ
    ネシウム酸化物と、亜鉛の無機塩および/または亜鉛酸
    化物と、鉄の無機塩および/または鉄酸化物とを、前記
    各金属化合物の原子比(マグネシウム:亜鉛:鉄)が
    (x:y:z)[ただし、x,yおよびzは以下の関係を満た
    す。 0.2≦x≦1.0,0.9≦y≦1.0,x+y=1] となるように混合し、得られる混合物を還元雰囲気中で
    温度1,100ないし1,300℃で焼成した後、得られる焼成物
    を更に焼鈍することを特徴とする赤色系磁性粉体の製造
    方法。
  2. 【請求項2】前記請求項1における焼成後、得られる焼
    成物を更に400ないし800℃で焼鈍することを特徴とする
    前記請求項1に記載の赤色系磁性粉体の製造方法。
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GB0906680D0 (en) * 2009-04-17 2009-06-03 Univ Surrey A low-k material

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