JP2788673B2 - 低降伏比を有する低温用鋼板の製造方法 - Google Patents
低降伏比を有する低温用鋼板の製造方法Info
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- JP2788673B2 JP2788673B2 JP2224488A JP22448890A JP2788673B2 JP 2788673 B2 JP2788673 B2 JP 2788673B2 JP 2224488 A JP2224488 A JP 2224488A JP 22448890 A JP22448890 A JP 22448890A JP 2788673 B2 JP2788673 B2 JP 2788673B2
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Description
【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> この発明は、低温用鋼板の製造方法に係わり、特に液
化天然ガス(LNG)タンク用鋼板など−160℃以下のよう
な極低温での高靱性が要求される低温用鋼板に所望の低
降伏比を付与せしめる製造方法に関するものである。
化天然ガス(LNG)タンク用鋼板など−160℃以下のよう
な極低温での高靱性が要求される低温用鋼板に所望の低
降伏比を付与せしめる製造方法に関するものである。
<従来の技術> LNGタンクなどに用いられる鋼材、たとえば9%Ni鋼
はすでに規格鋼として公知であり、再加熱焼入れ−焼戻
し(RQ−T)処理によるASTM A553、直接焼入れ−焼戻
し(DQ−T)処理によるASTM A844、2回焼ならし−焼
戻し(N−N−T)処理によるASTM A353がある。他に
も、より高靱性が得られる熱処理として、例えば特開昭
58−73717号公報に開示されている如くAc3変態点以上の
温度領域に加熱後焼入れし、次にAc3変態点〜Ac1変態点
の温度領域に加熱後焼入れし、その後Ac1変態点以下の
温度領域で焼戻しを行う2回焼入れ−焼戻し(RQ−Q′
−T)が知られている。
はすでに規格鋼として公知であり、再加熱焼入れ−焼戻
し(RQ−T)処理によるASTM A553、直接焼入れ−焼戻
し(DQ−T)処理によるASTM A844、2回焼ならし−焼
戻し(N−N−T)処理によるASTM A353がある。他に
も、より高靱性が得られる熱処理として、例えば特開昭
58−73717号公報に開示されている如くAc3変態点以上の
温度領域に加熱後焼入れし、次にAc3変態点〜Ac1変態点
の温度領域に加熱後焼入れし、その後Ac1変態点以下の
温度領域で焼戻しを行う2回焼入れ−焼戻し(RQ−Q′
−T)が知られている。
低温用鋼板に要求される重要な特性として十分な強度
と十分な低温靱性があるが、鋼板の加工上および安全設
計上、低降伏比が望まれる。2回焼ならし−焼戻し処理
の特徴は降伏比の低い鋼板が得られることであるが、上
部棚におけるシャルピー吸収エネルギーが再加熱焼入れ
−焼戻し処理あるいは直接焼入れ−焼戻し処理により製
造した鋼板よりも低いという欠点がある。一方、再加熱
焼入れ−焼戻し処理あるいは直接焼入れ−焼戻し処理に
より製造した鋼板は上部棚におけるシャルピー吸収エネ
ルギーは高いものの降伏比が高いという欠点がある。ま
た上記の特開昭58−73717号公報に開示されている2回
焼入れ−焼戻し方法はAc3変態点〜Ac1変態点の温度領域
に加熱後15℃/s以上の冷却速度で焼入れしているが、こ
れもまた上部棚におけるシャルピー吸収エネルギーは高
いものの降伏比は高いという欠点があった。
と十分な低温靱性があるが、鋼板の加工上および安全設
計上、低降伏比が望まれる。2回焼ならし−焼戻し処理
の特徴は降伏比の低い鋼板が得られることであるが、上
部棚におけるシャルピー吸収エネルギーが再加熱焼入れ
−焼戻し処理あるいは直接焼入れ−焼戻し処理により製
造した鋼板よりも低いという欠点がある。一方、再加熱
焼入れ−焼戻し処理あるいは直接焼入れ−焼戻し処理に
より製造した鋼板は上部棚におけるシャルピー吸収エネ
ルギーは高いものの降伏比が高いという欠点がある。ま
た上記の特開昭58−73717号公報に開示されている2回
焼入れ−焼戻し方法はAc3変態点〜Ac1変態点の温度領域
に加熱後15℃/s以上の冷却速度で焼入れしているが、こ
れもまた上部棚におけるシャルピー吸収エネルギーは高
いものの降伏比は高いという欠点があった。
<発明が解決しようとする課題> この発明は、上記の問題を有利に解決するためのもの
であり、上部棚におけるシャルピー吸収エネルギーの高
い値を確保しつつ低降伏比を実現し、なおかつ所望の降
伏比を自由に得ることのできる低温用鋼板の製造方法を
提案することを目的とするものである。
であり、上部棚におけるシャルピー吸収エネルギーの高
い値を確保しつつ低降伏比を実現し、なおかつ所望の降
伏比を自由に得ることのできる低温用鋼板の製造方法を
提案することを目的とするものである。
<課題を解決するための手段> 本発明は、熱間圧延にて製造したNi:7.5〜12.0wt%を
基本成分として含有する低温用鋼板を、Ac3変態点以上
の温度領域に加熱後15℃/s以上の冷却速度で一次焼入れ
し、次にAc3変態点〜Ac1変態点の温度領域に加熱後1℃
/min〜14℃/sの範囲内の冷却速度で二次焼入れし、その
後Ac1変態点以下の温度領域で焼戻しを行うことを特徴
とする低降伏比を有する低温用鋼板の製造方法である。
基本成分として含有する低温用鋼板を、Ac3変態点以上
の温度領域に加熱後15℃/s以上の冷却速度で一次焼入れ
し、次にAc3変態点〜Ac1変態点の温度領域に加熱後1℃
/min〜14℃/sの範囲内の冷却速度で二次焼入れし、その
後Ac1変態点以下の温度領域で焼戻しを行うことを特徴
とする低降伏比を有する低温用鋼板の製造方法である。
<作 用> 本発明は、2回焼入れ−焼戻し処理で鋼板を製造する
に際し、二次焼入れ時の冷却速度を制御することに最大
の特徴がある。Niを7.5〜12.0wt%含む鋼板は、Ac3変態
点以上の温度領域に加熱後15℃/s以上の冷却速度で一次
焼入れすることによりマルテンサイト組織あるいはマル
テンサイトと下部ベイナイトの混合組織となり、二次焼
入れ温度であるAc3変態点〜Ac1変態点の温度領域に加熱
されると焼戻しマルテンサイトとオーステナイトとな
る。このオーステナイトは焼入れ速度が遅いほどベイナ
イト変態が進むために残留オーステナイト中の固溶C量
が増大し、硬いマルテンサイトに変態する。そのため、
二次焼入れ時の冷却速度が遅くなるにしたがい引張強さ
(TS)は上昇する。同時に、転位が動き易くなるために
応力−歪曲線はラウンドカーブとなり、降伏応力(YS)
は低下する。したがって、降伏応力と引張強さの比であ
る降伏比は、二次焼入れ時の冷却速度に依存し、冷却速
度が遅くなるにしたがい低くなる。しかしながら、冷却
速度が14℃/s以上ではベイナイト変態はほとんど起こら
ず降伏比の変化は少ないために上限を14℃/sとした。ま
た、冷却速度が1℃/min未満では上部ベイナイトが生成
し靱性が低下するために下限を1℃/minとした。
に際し、二次焼入れ時の冷却速度を制御することに最大
の特徴がある。Niを7.5〜12.0wt%含む鋼板は、Ac3変態
点以上の温度領域に加熱後15℃/s以上の冷却速度で一次
焼入れすることによりマルテンサイト組織あるいはマル
テンサイトと下部ベイナイトの混合組織となり、二次焼
入れ温度であるAc3変態点〜Ac1変態点の温度領域に加熱
されると焼戻しマルテンサイトとオーステナイトとな
る。このオーステナイトは焼入れ速度が遅いほどベイナ
イト変態が進むために残留オーステナイト中の固溶C量
が増大し、硬いマルテンサイトに変態する。そのため、
二次焼入れ時の冷却速度が遅くなるにしたがい引張強さ
(TS)は上昇する。同時に、転位が動き易くなるために
応力−歪曲線はラウンドカーブとなり、降伏応力(YS)
は低下する。したがって、降伏応力と引張強さの比であ
る降伏比は、二次焼入れ時の冷却速度に依存し、冷却速
度が遅くなるにしたがい低くなる。しかしながら、冷却
速度が14℃/s以上ではベイナイト変態はほとんど起こら
ず降伏比の変化は少ないために上限を14℃/sとした。ま
た、冷却速度が1℃/min未満では上部ベイナイトが生成
し靱性が低下するために下限を1℃/minとした。
ところで、2回焼入れにより生成したマルテンサイト
は次の焼戻し処理により低温靱性を回復し、上部棚にお
けるシャルピー吸収エネルギーは再加熱焼入れ−焼戻し
処理および直接焼入れ−焼戻し処理で製造した鋼板の値
と同等の値となる。
は次の焼戻し処理により低温靱性を回復し、上部棚にお
けるシャルピー吸収エネルギーは再加熱焼入れ−焼戻し
処理および直接焼入れ−焼戻し処理で製造した鋼板の値
と同等の値となる。
したがって、本発明によれば、上部棚におけるシャル
ピー吸収エネルギーの高い値を確保しつつ低降伏比を実
現し、なおかつ二次焼入れ時の冷却速度を1℃/min〜14
℃/sの範囲で選定することにより所望の降伏比を自由に
得ることができる。
ピー吸収エネルギーの高い値を確保しつつ低降伏比を実
現し、なおかつ二次焼入れ時の冷却速度を1℃/min〜14
℃/sの範囲で選定することにより所望の降伏比を自由に
得ることができる。
次に本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する。
<実施例> 表1に示す化学組成になる鋼を通常の熱間圧延工程で
15mm厚まで圧延した後、800℃で60min加熱後直ちに水冷
(冷却速度60℃/s)する一次焼入れを施し、ついで680
℃で60min加熱後ただちに表2に示す種々の速度で冷却
する二次焼入れを施し、ついで570℃で70min加熱後空冷
する焼戻し処理(RQ−Q′−T)を施した。
15mm厚まで圧延した後、800℃で60min加熱後直ちに水冷
(冷却速度60℃/s)する一次焼入れを施し、ついで680
℃で60min加熱後ただちに表2に示す種々の速度で冷却
する二次焼入れを施し、ついで570℃で70min加熱後空冷
する焼戻し処理(RQ−Q′−T)を施した。
比較のために、表1に示す化学組成になる鋼を通常の
熱間圧延工程で15mm厚まで圧延した後、800℃で60min加
熱後直ちに水冷(冷却速度60℃/s)する一次焼入れを施
し、ついで570℃で70min加熱後空冷する焼戻し処理(RQ
−T)、および900℃で一次焼ならし処理を施し、つい
で800℃で二次焼ならし処理を施し、ついで570℃で焼戻
し処理(N−N−T)を施した。
熱間圧延工程で15mm厚まで圧延した後、800℃で60min加
熱後直ちに水冷(冷却速度60℃/s)する一次焼入れを施
し、ついで570℃で70min加熱後空冷する焼戻し処理(RQ
−T)、および900℃で一次焼ならし処理を施し、つい
で800℃で二次焼ならし処理を施し、ついで570℃で焼戻
し処理(N−N−T)を施した。
表2に強度と−196℃におけるシャルピー衝撃試験結
果を示す。
果を示す。
2回焼入れ−焼戻し処理(RQ−Q′−T)により製造
した鋼板の降伏比は二次焼入れ時の冷却速度が14℃/s以
下において冷却速度の低下にしたがい小さくなってい
る。しかも上部棚におけるシャルピー吸収エネルギーは
再加熱焼入れ−焼戻し処理(RQ−T)により製造した鋼
板の値とほぼ同等の高い値を示している。また、二次焼
入れ時の冷却速度が本発明の範囲外である1℃/min未満
では靱性の低下が見られる。
した鋼板の降伏比は二次焼入れ時の冷却速度が14℃/s以
下において冷却速度の低下にしたがい小さくなってい
る。しかも上部棚におけるシャルピー吸収エネルギーは
再加熱焼入れ−焼戻し処理(RQ−T)により製造した鋼
板の値とほぼ同等の高い値を示している。また、二次焼
入れ時の冷却速度が本発明の範囲外である1℃/min未満
では靱性の低下が見られる。
<発明の効果> かくしてこの発明によれば、上部棚におけるシャルピ
ー吸収エネルギーの高い値を確保しつつ低降伏比を実現
し、なおかつ所望の降伏比を自由に得ることができる。
ー吸収エネルギーの高い値を確保しつつ低降伏比を実現
し、なおかつ所望の降伏比を自由に得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−73717(JP,A) 特開 昭58−151420(JP,A) 特開 昭47−23317(JP,A) 特開 昭60−59023(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21D 6/00,9/46,9/52,9/56
Claims (1)
- 【請求項1】熱間圧延にて製造したNi:7.5〜12.0wt%を
基本成分として含有する低温用鋼板を、Ac3変態点以上
の温度領域に加熱後15℃/s以上の冷却速度で一次焼入れ
し、次にAc3変態点〜Ac1変態点の温度領域に加熱後1℃
/min〜14℃/sの範囲内の冷却速度で二次焼入れし、その
後Ac1変態点以下の温度領域で焼戻しを行うことを特徴
とする低降伏比を有する低温用鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2224488A JP2788673B2 (ja) | 1990-08-28 | 1990-08-28 | 低降伏比を有する低温用鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2224488A JP2788673B2 (ja) | 1990-08-28 | 1990-08-28 | 低降伏比を有する低温用鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04107219A JPH04107219A (ja) | 1992-04-08 |
JP2788673B2 true JP2788673B2 (ja) | 1998-08-20 |
Family
ID=16814583
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2224488A Expired - Lifetime JP2788673B2 (ja) | 1990-08-28 | 1990-08-28 | 低降伏比を有する低温用鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2788673B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102985576B (zh) | 2010-07-09 | 2014-05-28 | 新日铁住金株式会社 | Ni添加钢板及其制造方法 |
CN103764859B (zh) | 2011-09-28 | 2015-03-25 | 新日铁住金株式会社 | Ni添加钢板及其制造方法 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5873717A (ja) * | 1981-10-28 | 1983-05-04 | Kawasaki Steel Corp | 低温用鋼の製造方法 |
JPS58151420A (ja) * | 1982-02-27 | 1983-09-08 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 低温用鋳鋼の製造方法 |
JPS6059023A (ja) * | 1983-09-13 | 1985-04-05 | Kawasaki Steel Corp | 低温靭性の優れた低降伏比ニツケル鋼板の製造方法 |
-
1990
- 1990-08-28 JP JP2224488A patent/JP2788673B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04107219A (ja) | 1992-04-08 |
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