JP2788246B2 - 材料の表面処理方法およびその表面処理装置 - Google Patents
材料の表面処理方法およびその表面処理装置Info
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Description
【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は火力発電所や原子力発電所等のボイラ、配管
および機器、炉内構造物などに適した材料の表面処理方
法およびその表面処理装置に関する。
および機器、炉内構造物などに適した材料の表面処理方
法およびその表面処理装置に関する。
(従来の技術) 火力発電所や軽水型原子力発電所等では高温水や高温
蒸気が使用されており、火力発電所や原子力発電所で用
いられるボイラ(原子炉)、配管および機器、炉内構造
物等には、高温水や高温蒸気に十分に耐え得る材料が選
択される。
蒸気が使用されており、火力発電所や原子力発電所で用
いられるボイラ(原子炉)、配管および機器、炉内構造
物等には、高温水や高温蒸気に十分に耐え得る材料が選
択される。
高温水や高温蒸気を使用する場合に用いられる金属材
料は、通常の使用温度以上の温度で高温水、高温蒸気、
酸素を含むガスあるいはこれらを組み合せた雰囲気中で
酸化させて予め酸化処理し、金属表面に酸化皮膜を形成
し、金属材料の腐食の軽減や放射性物質の付着の抑制を
図っている。
料は、通常の使用温度以上の温度で高温水、高温蒸気、
酸素を含むガスあるいはこれらを組み合せた雰囲気中で
酸化させて予め酸化処理し、金属表面に酸化皮膜を形成
し、金属材料の腐食の軽減や放射性物質の付着の抑制を
図っている。
(発明が解決しようとする課題) 従来の技術において、より効果のある金属材料の酸化
条件として一般に通常使用温度以上あるいは通常使用酸
素分圧以上での酸化が考えられており、この条件で酸化
させないと、金属材料の表面に防食性が高くかつ粒径が
小さく緻密な酸化物を得ることができない。
条件として一般に通常使用温度以上あるいは通常使用酸
素分圧以上での酸化が考えられており、この条件で酸化
させないと、金属材料の表面に防食性が高くかつ粒径が
小さく緻密な酸化物を得ることができない。
しかし、この酸化条件で金属材料を酸化させると、金
属材料のもつ機械的・物理化学的特性に変化が生じ易
く、材料の機械的強度や応力腐食割れ等に対し悪影響が
生じる。このため金属材料のもつ本来の機械的、物理化
学的特性を損うことなく、金属材料の表面に防食性の高
い酸化物を生成させるには、如何に構成したらよいか問
題になっていた。
属材料のもつ機械的・物理化学的特性に変化が生じ易
く、材料の機械的強度や応力腐食割れ等に対し悪影響が
生じる。このため金属材料のもつ本来の機械的、物理化
学的特性を損うことなく、金属材料の表面に防食性の高
い酸化物を生成させるには、如何に構成したらよいか問
題になっていた。
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、材
料の機械的・物理化学的特性変化を極力抑制し、材料の
表面上に防食性の高い酸化物を生成して材料表面の物性
改善を図った材料の表面処理方法およびその表面処理装
置を提供することを目的とする。
料の機械的・物理化学的特性変化を極力抑制し、材料の
表面上に防食性の高い酸化物を生成して材料表面の物性
改善を図った材料の表面処理方法およびその表面処理装
置を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、基材の機械的・物理化学的特性
に変化を生じさせることなく、レーザ光照射による金属
表面の酸化・溶解・冷却作用により、金属材料の表面に
粒径が小さくて緻密な酸化物を簡単に生成することがで
きる材料の表面処理方法およびその表面処理装置を提供
するにある。
に変化を生じさせることなく、レーザ光照射による金属
表面の酸化・溶解・冷却作用により、金属材料の表面に
粒径が小さくて緻密な酸化物を簡単に生成することがで
きる材料の表面処理方法およびその表面処理装置を提供
するにある。
本発明のさらに他の目的は、材料表面上に生成される
酸化物の物性改善により酸化膜の防食性を改善し、放射
性物質の付着を大幅に軽減させる材料の表面処理方法お
よびその表面処理装置を提供するにある。
酸化物の物性改善により酸化膜の防食性を改善し、放射
性物質の付着を大幅に軽減させる材料の表面処理方法お
よびその表面処理装置を提供するにある。
(課題を解決するための手段) 本発明に係る材料の表面処理方法は、上述した課題を
解決するために、ステンレス鋼、コバルト基合金または
ニッケル基合金の基材の表面に、防食性を有するクロム
等の防食金属をコーティングして複合金属材料を形成す
る形成工程と、形成された複合金属材料を水蒸気もしく
は高温水を含むガス、または高温水を含む水蒸気および
酸素の混合物が充填された反応槽に収納する収納工程
と、収納された複合金属材料にレーザ光を照射する照射
工程と、レーザ光照射で表面が加熱溶解された複合金属
材料を冷却する冷却工程とを備え、複合金属材料の金属
表面に防食性の高い酸化物を生成する方法である。
解決するために、ステンレス鋼、コバルト基合金または
ニッケル基合金の基材の表面に、防食性を有するクロム
等の防食金属をコーティングして複合金属材料を形成す
る形成工程と、形成された複合金属材料を水蒸気もしく
は高温水を含むガス、または高温水を含む水蒸気および
酸素の混合物が充填された反応槽に収納する収納工程
と、収納された複合金属材料にレーザ光を照射する照射
工程と、レーザ光照射で表面が加熱溶解された複合金属
材料を冷却する冷却工程とを備え、複合金属材料の金属
表面に防食性の高い酸化物を生成する方法である。
また、本発明に係る材料の表面処理装置は、上述した
課題を解決するために、ステンレス鋼、コバルト基合金
またはニッケル基合金の基材の表面に防食性を有するク
ロム等の防食金属をコーティングして形成された複合金
属材料と、この複合金属材料を収納し、かつ水蒸気もし
くは高温水を含むガス、または高温水を含む水蒸気およ
び酸素の混合物が充填された反応槽と、この反応槽内の
複合金属材料の表面にレーザ光を照射させるレーザ光装
置と、このレーザ光照射で表面が加熱溶解された複合金
属材料を冷却する冷却手段とを備え、この冷却手段で加
熱溶融された複合金属材料の表面を冷却し、複合金属材
料の金属表面に防食性の高い酸化物を生成したものであ
る。
課題を解決するために、ステンレス鋼、コバルト基合金
またはニッケル基合金の基材の表面に防食性を有するク
ロム等の防食金属をコーティングして形成された複合金
属材料と、この複合金属材料を収納し、かつ水蒸気もし
くは高温水を含むガス、または高温水を含む水蒸気およ
び酸素の混合物が充填された反応槽と、この反応槽内の
複合金属材料の表面にレーザ光を照射させるレーザ光装
置と、このレーザ光照射で表面が加熱溶解された複合金
属材料を冷却する冷却手段とを備え、この冷却手段で加
熱溶融された複合金属材料の表面を冷却し、複合金属材
料の金属表面に防食性の高い酸化物を生成したものであ
る。
(作用) 材料の表面処理方法およびその表面処理装置は、反応
槽内に水蒸気もしくは高温水を含むガス、または高温水
を含む水蒸気および酸素の混合物を充填させるととも
に、ステンレス鋼、ニッケル基合金またはコバルト基合
金の基材に防食性を有するクロム等の防食金属をコーテ
ィングした複合金属材料を収容し、この複合金属材料に
レーザ装置からレーザ光を照射して複合金属材料の表面
に生成させる酸化皮膜を加熱・溶解し、続いて冷却手段
で冷却することにより、基材の機械的・物理化学的特性
に変化を与えることなく、複合金属材料の表面に、簡単
に防食性の高い酸化物を生成し、複合金属材料表面の物
性改善を図ったものである。
槽内に水蒸気もしくは高温水を含むガス、または高温水
を含む水蒸気および酸素の混合物を充填させるととも
に、ステンレス鋼、ニッケル基合金またはコバルト基合
金の基材に防食性を有するクロム等の防食金属をコーテ
ィングした複合金属材料を収容し、この複合金属材料に
レーザ装置からレーザ光を照射して複合金属材料の表面
に生成させる酸化皮膜を加熱・溶解し、続いて冷却手段
で冷却することにより、基材の機械的・物理化学的特性
に変化を与えることなく、複合金属材料の表面に、簡単
に防食性の高い酸化物を生成し、複合金属材料表面の物
性改善を図ったものである。
これにより、表面処理材料はステンレス鋼、ニッケル
基合金またはコバルト基合金の基材の機械的・物理化学
的特性に変化を与えることなく、金属表面に約0.3ミク
ロン程度と小さく緻密で、防食性の高い酸化物を生成
し、この酸化物により、金属表面を改質し、金属表面の
酸化による腐食を防止し、放射性物質の付着量を大幅に
低減させることができる。
基合金またはコバルト基合金の基材の機械的・物理化学
的特性に変化を与えることなく、金属表面に約0.3ミク
ロン程度と小さく緻密で、防食性の高い酸化物を生成
し、この酸化物により、金属表面を改質し、金属表面の
酸化による腐食を防止し、放射性物質の付着量を大幅に
低減させることができる。
(実施例) 以下、本発明の一実施例について添付図面を参照して
説明する。
説明する。
第1図は本発明に係る材料の表面処理装置の一例を示
す原理図であり、この表面処理装置は給排気口1,2を備
えた反応槽3を有する。反応槽3内には水蒸気(高温水
を含む)や酸素を含むガス、あるいはこれらの混合物で
充填されており、反応槽3の内部は水蒸気もしくは高温
水を有するガスまたは高温水を含む水蒸気および酸素の
混合物4が充填され、湿式に形成される。
す原理図であり、この表面処理装置は給排気口1,2を備
えた反応槽3を有する。反応槽3内には水蒸気(高温水
を含む)や酸素を含むガス、あるいはこれらの混合物で
充填されており、反応槽3の内部は水蒸気もしくは高温
水を有するガスまたは高温水を含む水蒸気および酸素の
混合物4が充填され、湿式に形成される。
一方、反応槽3内には、材料支持台5が設置され、こ
の支持台5上に複合金属材料6が設けられる。材料支持
台5は、固定式の他、移動・回転機構を有してもよく、
また、材料支持台5は水蒸気もしくは高温水を含むガ
ス、または高温水を含む水蒸気および酸素の混合物によ
る冷却手段による冷却の他に、ヘリウムや液体窒素、水
等を用いた他、冷却機構を備えてもよい。また、複合金
属材料6はステンレス鋼、コバルト基合金または、クロ
ムと徹を含むニッケル基合金などからなる基材に、クロ
ムやモリブデン等の防食性効果のある防食金属を表面に
コーティングして形成され、複合金属材料6の表面は防
食被覆される。
の支持台5上に複合金属材料6が設けられる。材料支持
台5は、固定式の他、移動・回転機構を有してもよく、
また、材料支持台5は水蒸気もしくは高温水を含むガ
ス、または高温水を含む水蒸気および酸素の混合物によ
る冷却手段による冷却の他に、ヘリウムや液体窒素、水
等を用いた他、冷却機構を備えてもよい。また、複合金
属材料6はステンレス鋼、コバルト基合金または、クロ
ムと徹を含むニッケル基合金などからなる基材に、クロ
ムやモリブデン等の防食性効果のある防食金属を表面に
コーティングして形成され、複合金属材料6の表面は防
食被覆される。
この複合金属材料6を反応槽3内に収容すると、反応
槽3内は水蒸気もしくは高温水を含むガス、または高温
水を含む水蒸気および酸素の混合物4に維持されている
ので、複合金属材料6は酸化され、表面に酸化皮膜が形
成される。
槽3内は水蒸気もしくは高温水を含むガス、または高温
水を含む水蒸気および酸素の混合物4に維持されている
ので、複合金属材料6は酸化され、表面に酸化皮膜が形
成される。
一応、反応槽3内に収容された複合金属材料6に、レ
ーザ装置7からレーザ光が局所的(全体でもよい。)に
照射されると、レーザ光照射により、複合金属材料6の
表面に形成された酸化皮膜が加熱・溶解され、金属表面
に加熱・溶解された酸化物が形成される。
ーザ装置7からレーザ光が局所的(全体でもよい。)に
照射されると、レーザ光照射により、複合金属材料6の
表面に形成された酸化皮膜が加熱・溶解され、金属表面
に加熱・溶解された酸化物が形成される。
レーザ装置7には炭酸ガスレーザ等のガスレーザや、
YAGレーザ、ルビーレーザ等の固体レーザなど種々のレ
ーザ装置が考えられる。このレーザ装置からのレーザ光
により複合金属材料の表面溶融が生じるようにレーザ出
力が調節される。
YAGレーザ、ルビーレーザ等の固体レーザなど種々のレ
ーザ装置が考えられる。このレーザ装置からのレーザ光
により複合金属材料の表面溶融が生じるようにレーザ出
力が調節される。
次に、材料の表面処理方法について説明する。
初めに、ステンレス鋼、コバルト基合金またはニッケ
ル基合金を基材とし、この基材に防食性の高いクロム、
モリブデン等の金属(防食金属)をコーティングさせて
複合金属材料6を形成する。
ル基合金を基材とし、この基材に防食性の高いクロム、
モリブデン等の金属(防食金属)をコーティングさせて
複合金属材料6を形成する。
次に、この複合金属材料6を反応槽3内に収容し、水
蒸気もしくは高温水を含むガス、または高温水を含む水
蒸気および酸素の混合物4中に晒すと、複合金属材料6
と酸素が反応して金属表面に酸化皮膜が形成される。
蒸気もしくは高温水を含むガス、または高温水を含む水
蒸気および酸素の混合物4中に晒すと、複合金属材料6
と酸素が反応して金属表面に酸化皮膜が形成される。
一方、反応槽3に収納された複合金属材料6にレーザ
装置7からレーザ光を照射して金属表面に形成された酸
化皮膜を例えば局所的に加熱溶融(溶融)し、金属表面
上に酸化物(粒径の小さな酸化皮膜)が生成される。加
熱・溶融された酸化物は反応槽3内の冷却手段である水
蒸気もしくは高温水を含むガス、または高温水を含む水
蒸気および酸素の混合物で冷却される。加熱・溶融され
た酸化物を冷却機構で強制的に冷却してもよい。この冷
却により、複合金属材料の金属表面が酸化物で覆われた
表面処理材料が得られる。
装置7からレーザ光を照射して金属表面に形成された酸
化皮膜を例えば局所的に加熱溶融(溶融)し、金属表面
上に酸化物(粒径の小さな酸化皮膜)が生成される。加
熱・溶融された酸化物は反応槽3内の冷却手段である水
蒸気もしくは高温水を含むガス、または高温水を含む水
蒸気および酸素の混合物で冷却される。加熱・溶融され
た酸化物を冷却機構で強制的に冷却してもよい。この冷
却により、複合金属材料の金属表面が酸化物で覆われた
表面処理材料が得られる。
また、複合金属材料6の金属表面に生成された酸化皮
膜に、レーザ光を照射させることにより、次のメリット
を有する。
膜に、レーザ光を照射させることにより、次のメリット
を有する。
1.レーザ光は複合金属材料表面に局所的に照射されるた
め、レーザ光照射による熱影響が金属表面に限定され、
内部まで届かない。このため、複合金属材料の機械的・
物理化学的特性を変化させることがほとんどない。
め、レーザ光照射による熱影響が金属表面に限定され、
内部まで届かない。このため、複合金属材料の機械的・
物理化学的特性を変化させることがほとんどない。
2.レーザ光照射による温度上昇が早く、酸化皮膜が急速
に溶解されるため、防食性を損う水酸基(−OH)や不純
物を少なくできる。
に溶解されるため、防食性を損う水酸基(−OH)や不純
物を少なくできる。
3.冷却が速いため、酸化皮膜の溶解急冷によって生成さ
れる酸化物は結晶が小さく、緻密になる。
れる酸化物は結晶が小さく、緻密になる。
4.反応槽内を真空等の特殊な雰囲気にする必要がなく、
複合金属材料の金属表面から溶融金属の蒸発を少なくで
き、材料組成金属の組織変化を少なくできる。
複合金属材料の金属表面から溶融金属の蒸発を少なくで
き、材料組成金属の組織変化を少なくできる。
次に、ステンレス鋼を基材にした表面処理材料を、従
来の前酸化処理をしないステンレス鋼材料や、沸騰水型
原子炉(BWR)の炉水温度条件(258℃程度)下で前酸化
処理した(炉水に500時間浸漬させた)ステンレス鋼材
料と比較した結果を第2図に示す。
来の前酸化処理をしないステンレス鋼材料や、沸騰水型
原子炉(BWR)の炉水温度条件(258℃程度)下で前酸化
処理した(炉水に500時間浸漬させた)ステンレス鋼材
料と比較した結果を第2図に示す。
この図から、本発明のようにステンレス鋼の表面にク
ロムをコーティングした複合金属材料を、水蒸気、空気
の雰囲気下でレーザ光を照射してレーザ処理することに
より表面処理材料を得ると、得られた表面処理材料は、
レーザ処理をしないステンレス鋼材料や、単にレーザ処
理だけを行なったステンレス鋼材料に比べて、放射性物
質の付着量を相対的に大幅低下させることができる。
ロムをコーティングした複合金属材料を、水蒸気、空気
の雰囲気下でレーザ光を照射してレーザ処理することに
より表面処理材料を得ると、得られた表面処理材料は、
レーザ処理をしないステンレス鋼材料や、単にレーザ処
理だけを行なったステンレス鋼材料に比べて、放射性物
質の付着量を相対的に大幅低下させることができる。
また、複合金属材料の金属表面に形成される酸化皮膜
の粒径はレーザ光照射により溶融され、第3図に示すよ
うに微粒化され、酸化皮膜の物性を改善することができ
る。
の粒径はレーザ光照射により溶融され、第3図に示すよ
うに微粒化され、酸化皮膜の物性を改善することができ
る。
具体的には、BWRの炉水温度条件(約285℃)下で通常
の溶存酸素濃度200ppbで酸化させたステンレス鋼試料
と、この酸化処理後、さらにレーザ光照射によりステン
レス鋼表面の酸化皮膜の物性を改善させた場合との間の
酸化皮膜(酸化物)の粒径を第3図に示す。第3図か
ら、ステンレス鋼試料の酸化処理後、さらにレーザ処理
を行なうと、酸化皮膜(酸化物)の平均粒径が約0.3ミ
クロンとなり、レーザ処理前の約1/3となり、酸化物の
粒径が細かくなり、酸化皮膜は緻密化される。
の溶存酸素濃度200ppbで酸化させたステンレス鋼試料
と、この酸化処理後、さらにレーザ光照射によりステン
レス鋼表面の酸化皮膜の物性を改善させた場合との間の
酸化皮膜(酸化物)の粒径を第3図に示す。第3図か
ら、ステンレス鋼試料の酸化処理後、さらにレーザ処理
を行なうと、酸化皮膜(酸化物)の平均粒径が約0.3ミ
クロンとなり、レーザ処理前の約1/3となり、酸化物の
粒径が細かくなり、酸化皮膜は緻密化される。
そして、BWRの炉水温度条件下で通常の溶存酸素濃度2
00ppbで酸化処理したステンレス鋼試料と、このステン
レス鋼試料をさらにレーザ処理してステンレス鋼表面の
酸化皮膜の物性を改善させた処理済ステンレス鋼試料の
酸化皮膜の生成の経時変化を第4図に示す。この図か
ら、レーザ処理した処理済ステンレス鋼試料は、未処理
のステンレス鋼試料に較べて酸化皮膜の生成が1/2以下
に低減されており、腐食抑制効果があることがわかる。
また、処理済ステンレス鋼試料の酸化皮膜の生成量が少
ないから、放射性物質の付着量の抑制を図ることができ
る。
00ppbで酸化処理したステンレス鋼試料と、このステン
レス鋼試料をさらにレーザ処理してステンレス鋼表面の
酸化皮膜の物性を改善させた処理済ステンレス鋼試料の
酸化皮膜の生成の経時変化を第4図に示す。この図か
ら、レーザ処理した処理済ステンレス鋼試料は、未処理
のステンレス鋼試料に較べて酸化皮膜の生成が1/2以下
に低減されており、腐食抑制効果があることがわかる。
また、処理済ステンレス鋼試料の酸化皮膜の生成量が少
ないから、放射性物質の付着量の抑制を図ることができ
る。
以上に述べたように本発明においては、ステンレス
鋼、コバルト基合金またはニッケル基合金の基材の表面
に、防食性を有するクロム等の防食金属をコーティング
して複合金属材料を形成し、この複合金属材料の表面に
水蒸気もしくは高温水を含むガス、または高温水を含む
水蒸気および酸素の混合物中でレーザ装置からレーザ光
を照射して加熱・溶解し、冷却手段で冷却して防食性の
高い酸化物を生成したので、基材の機械的・物理化学的
特性を損うことなく、加熱溶融された高温の金属組織が
そのまま急冷され、微細結晶を保ったまま、複合金属材
料表面に粒径が約0.3ミクロン程度と小さく、緻密で防
食性の高い酸化物を生成して材料表面の物性改善を図る
ことができる。
鋼、コバルト基合金またはニッケル基合金の基材の表面
に、防食性を有するクロム等の防食金属をコーティング
して複合金属材料を形成し、この複合金属材料の表面に
水蒸気もしくは高温水を含むガス、または高温水を含む
水蒸気および酸素の混合物中でレーザ装置からレーザ光
を照射して加熱・溶解し、冷却手段で冷却して防食性の
高い酸化物を生成したので、基材の機械的・物理化学的
特性を損うことなく、加熱溶融された高温の金属組織が
そのまま急冷され、微細結晶を保ったまま、複合金属材
料表面に粒径が約0.3ミクロン程度と小さく、緻密で防
食性の高い酸化物を生成して材料表面の物性改善を図る
ことができる。
また、基材に防食性を有するクロム等の防食金属を表
面にコーティングした複合金属材料の表面を酸化させて
酸化皮膜を形成し、この酸化皮膜をレーザ光照射により
加熱溶融し、その後、冷却手段で急冷することにより、
複合金属材料の表面に約0.3ミクロン程度の粒径の小さ
な緻密な酸化物を簡単に形成することができ、材料の腐
食を抑制して放射性物質の付着量を抑えることができ
る。
面にコーティングした複合金属材料の表面を酸化させて
酸化皮膜を形成し、この酸化皮膜をレーザ光照射により
加熱溶融し、その後、冷却手段で急冷することにより、
複合金属材料の表面に約0.3ミクロン程度の粒径の小さ
な緻密な酸化物を簡単に形成することができ、材料の腐
食を抑制して放射性物質の付着量を抑えることができ
る。
第1図は本発明に係る材料の表面処理装置の一実施例を
示す原理図、第2図は本発明による表面処理材料を従来
のステンレス鋼材料等と比較した図、第3図はレーザ処
理によりステンレス鋼試料に形成される酸化皮膜の粒径
変化を示す図、第4図はレーザ処理したステンレス鋼試
料と未処理のステンレス鋼試料の酸化皮膜の生成を示す
図である。 1……給気口、2……排気口、3……反応槽、4……雰
囲気、5……材料支持台、6……複合金属材料、7……
レーザ装置。
示す原理図、第2図は本発明による表面処理材料を従来
のステンレス鋼材料等と比較した図、第3図はレーザ処
理によりステンレス鋼試料に形成される酸化皮膜の粒径
変化を示す図、第4図はレーザ処理したステンレス鋼試
料と未処理のステンレス鋼試料の酸化皮膜の生成を示す
図である。 1……給気口、2……排気口、3……反応槽、4……雰
囲気、5……材料支持台、6……複合金属材料、7……
レーザ装置。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−296973(JP,A) 特開 昭55−18575(JP,A) 特開 昭61−104063(JP,A) 特開 昭61−296974(JP,A) 特開 平1−136958(JP,A) 特公 昭63−49744(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 24/00 - 30/00 C23C 14/00 - 14/58
Claims (2)
- 【請求項1】ステンレス鋼、コバルト基合金またはニッ
ケル基合金の基材の表面に、防食性を有するクロム等の
防食金属をコーティングして複合金属材料を形成する形
成工程と、形成された複合金属材料を水蒸気もしくは高
温水を含むガス、または高温水を含む水蒸気および酸素
の混合物が充填された反応槽に収納する収納工程と、収
納された複合金属材料にレーザ光を照射する照射工程
と、レーザ光照射で表面が加熱溶解された複合金属材料
を冷却する冷却工程とを備え、複合金属材料の金属表面
に防食性の高い酸化物を生成することを特徴とする材料
の表面処理方法。 - 【請求項2】ステンレス鋼、コバルト基合金またはニッ
ケル基合金の基材の表面に防食性を有するクロム等の防
食金属をコーティングして形成された複合金属材料と、
この複合金属材料を収納し、かつ水蒸気もしくは高温水
を含むガス、または高温水を含む水蒸気および酸素の混
合物が充填された反応槽と、この反応槽内の複合金属材
料の表面にレーザ光を照射させるレーザ光装置と、この
レーザ光照射で表面が加熱溶解された複合金属材料を冷
却する冷却手段とを備え、この冷却手段で加熱溶融され
た複合金属材料の表面を冷却し、複合金属材料の金属表
面に防食性の高い酸化物を生成したことを特徴とする材
料の表面処理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63069771A JP2788246B2 (ja) | 1988-03-25 | 1988-03-25 | 材料の表面処理方法およびその表面処理装置 |
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---|---|---|---|
JP63069771A JP2788246B2 (ja) | 1988-03-25 | 1988-03-25 | 材料の表面処理方法およびその表面処理装置 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01242787A JPH01242787A (ja) | 1989-09-27 |
JP2788246B2 true JP2788246B2 (ja) | 1998-08-20 |
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---|---|---|---|
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JP (1) | JP2788246B2 (ja) |
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DE102022121925A1 (de) | 2022-08-30 | 2024-02-29 | Glatt Gesellschaft Mit Beschränkter Haftung | Verfahren zur kontrollierten Verbesserung einer an einer Stahloberfläche angeordneten Passivierungsschicht mittels Laseroxidation und Verwendung eines zur Durchführung des Verfahrens geeigneten Lasersystems |
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Family Cites Families (4)
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-
1988
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