JP2787484B2 - 新規血栓溶解剤とその製造方法 - Google Patents
新規血栓溶解剤とその製造方法Info
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- JP2787484B2 JP2787484B2 JP1269407A JP26940789A JP2787484B2 JP 2787484 B2 JP2787484 B2 JP 2787484B2 JP 1269407 A JP1269407 A JP 1269407A JP 26940789 A JP26940789 A JP 26940789A JP 2787484 B2 JP2787484 B2 JP 2787484B2
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- JP
- Japan
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- dna
- dna sequence
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
Landscapes
- Enzymes And Modification Thereof (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、新規プラスミノーゲン活性化因子、該因子
を産する細胞、該因子をコードするDNA配列及び該因子
の製造法にかかわる。本発明による新規プラスミノーゲ
ン活性化因子は、プラスミノーゲンをフィブリン溶解活
性を有するプラスミンに変換する作用を有し、種々の血
栓症の治療薬として用いることができる。
を産する細胞、該因子をコードするDNA配列及び該因子
の製造法にかかわる。本発明による新規プラスミノーゲ
ン活性化因子は、プラスミノーゲンをフィブリン溶解活
性を有するプラスミンに変換する作用を有し、種々の血
栓症の治療薬として用いることができる。
ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子(以下、TPAと
略記する)は、ヒト・メラノーマ細胞(Bowes Melanom
a)の分泌するTPAについてよく研究され、527のアミノ
酸残基からなる糖蛋白質である〔Pennica,D.ら(1983
年)ネイチャー(Nature)301巻、214頁〕。TPAは、フ
ィブリン溶解能を有しないプラスミノーゲンを該活性を
有するプラスミンに変換する酵素で血栓溶解作用を有し
ている。TPAは現在、血栓症の治療に用いられている〔G
rossbard,E,B.(1987年)ファーマシューティカル・リ
サーチ(Pharmaceutical Research)4巻、375頁〕。し
かし、TPAの最大の欠点はその血中からの急速なクリア
ランスにある。血流中に投与されたTPAは、主に肝臓で
代謝されると推定され〔Fuchs,H.E.ら(1985年)ブラッ
ド(Blood),65巻、539頁〕、その血中半減期は僅かに
2分である〔Collen,D.ら(1985年)サーキュレーショ
ン(Circulation)72巻、384頁〕。従って、血栓症の治
療には大量のTPAの投与が必要である。TPAの様な蛋白の
大量投与による血栓症治療は、極めて高価な治療になる
ばかりでなく、抗原抗体反応による副作用という懸念さ
れるべき問題を含んでいる。従って、TPA分子の化学的
修飾(WO 84/01786)(特開昭63−06983)〔Berger,H.
ら(1983年)ブラッド(Blood)71巻、1641頁〕、酵素
的修飾(特開昭62−282582)(EP 0 253 582A1)、
あるいは遺伝子工学的改変(特開昭61−243024、特開昭
62−130690、特開昭62−272976、特開昭62−269688、特
開昭62−282582、特開昭64−63379)等により血中持続
性の改良された、すなわち血中半減期の長いTPA誘導体
の作成の試みが行なわれている。
略記する)は、ヒト・メラノーマ細胞(Bowes Melanom
a)の分泌するTPAについてよく研究され、527のアミノ
酸残基からなる糖蛋白質である〔Pennica,D.ら(1983
年)ネイチャー(Nature)301巻、214頁〕。TPAは、フ
ィブリン溶解能を有しないプラスミノーゲンを該活性を
有するプラスミンに変換する酵素で血栓溶解作用を有し
ている。TPAは現在、血栓症の治療に用いられている〔G
rossbard,E,B.(1987年)ファーマシューティカル・リ
サーチ(Pharmaceutical Research)4巻、375頁〕。し
かし、TPAの最大の欠点はその血中からの急速なクリア
ランスにある。血流中に投与されたTPAは、主に肝臓で
代謝されると推定され〔Fuchs,H.E.ら(1985年)ブラッ
ド(Blood),65巻、539頁〕、その血中半減期は僅かに
2分である〔Collen,D.ら(1985年)サーキュレーショ
ン(Circulation)72巻、384頁〕。従って、血栓症の治
療には大量のTPAの投与が必要である。TPAの様な蛋白の
大量投与による血栓症治療は、極めて高価な治療になる
ばかりでなく、抗原抗体反応による副作用という懸念さ
れるべき問題を含んでいる。従って、TPA分子の化学的
修飾(WO 84/01786)(特開昭63−06983)〔Berger,H.
ら(1983年)ブラッド(Blood)71巻、1641頁〕、酵素
的修飾(特開昭62−282582)(EP 0 253 582A1)、
あるいは遺伝子工学的改変(特開昭61−243024、特開昭
62−130690、特開昭62−272976、特開昭62−269688、特
開昭62−282582、特開昭64−63379)等により血中持続
性の改良された、すなわち血中半減期の長いTPA誘導体
の作成の試みが行なわれている。
TPAはフィブリンに対する強い親和性とその活性のフ
ィブリン依存性のために血栓特異的に作用すると考えら
れている。しかしながらその血中半減期が著しく短かい
ため血栓治療には大量投与が必要であり、その結果出血
傾向等の副作用が問題になってきた。化学修飾、酵素修
飾、遺伝子工学的手法等によって、多くの血中持続性の
向上したTPA誘導体が発明されている〔Browne,M,J,ら
(1988年)ザ ジャーナル オブ バイオロジカル ケ
ミストリー(同上)263巻、1599頁〕〔Dodd,1.ら(1988
年)スロンボシス アンド ヘモスタシス(Thombosis
and Haemostasis)59巻、523頁〕〔kayan,N,K.ら(1988
年)ザ ジャーナル オブ バイオロジカル ケミスト
リー(同上)263巻、3971頁〕。しかし血中持続性が大
幅に向上した反面、TPAの特徴的な性質であるフィブリ
ン親和性の極端な低下が認められ、優れた治療効果を示
すには至っていない。〔Larsen,G.R.ら(1988年)ザ
ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(同
上)263巻、1023頁〕。また改変によりTPAとしての酵素
活性が著しく低下している例もある。血中持続性が向上
し、かつTPA本来の特性をできるだけ保持しTPA誘導体
は、より少量の投与での血栓治療が期待でき、その開発
の意義は極めて大きい。本発明は、血中半減期が長く、
かつグリコシル化された新規TPA誘導体の発見に基づ
く。本発明は、該TPA誘導体を産生する動物培養細胞の
作製法及び該動物培養細胞を利用した該TPA誘導体の製
造方法を提供するものである。
ィブリン依存性のために血栓特異的に作用すると考えら
れている。しかしながらその血中半減期が著しく短かい
ため血栓治療には大量投与が必要であり、その結果出血
傾向等の副作用が問題になってきた。化学修飾、酵素修
飾、遺伝子工学的手法等によって、多くの血中持続性の
向上したTPA誘導体が発明されている〔Browne,M,J,ら
(1988年)ザ ジャーナル オブ バイオロジカル ケ
ミストリー(同上)263巻、1599頁〕〔Dodd,1.ら(1988
年)スロンボシス アンド ヘモスタシス(Thombosis
and Haemostasis)59巻、523頁〕〔kayan,N,K.ら(1988
年)ザ ジャーナル オブ バイオロジカル ケミスト
リー(同上)263巻、3971頁〕。しかし血中持続性が大
幅に向上した反面、TPAの特徴的な性質であるフィブリ
ン親和性の極端な低下が認められ、優れた治療効果を示
すには至っていない。〔Larsen,G.R.ら(1988年)ザ
ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(同
上)263巻、1023頁〕。また改変によりTPAとしての酵素
活性が著しく低下している例もある。血中持続性が向上
し、かつTPA本来の特性をできるだけ保持しTPA誘導体
は、より少量の投与での血栓治療が期待でき、その開発
の意義は極めて大きい。本発明は、血中半減期が長く、
かつグリコシル化された新規TPA誘導体の発見に基づ
く。本発明は、該TPA誘導体を産生する動物培養細胞の
作製法及び該動物培養細胞を利用した該TPA誘導体の製
造方法を提供するものである。
TPAはN端末からフィンガー領域、成長因子領域、ク
リングル1、クリングル2及びセリンプロテアーゼ活性
を有する領域の5つの領域からなる〔Pennica,D ら(19
83年)ネイチャー(Nature)301巻、214頁〕。TPAの成
長因子領域を欠失したTPA誘導体の作製と性質について
は、幾つかの記述がある(特開昭62−168623,特開昭62
−269688,特開昭64−63379)〔Larsen,R.G.ら(1988
年)ザ ジャーナル オブ バイオルジカル ケミスト
リー(The Journal of Biological Chemi−stry)263
巻、1023頁〕〔Browne,J.M.ら(1988年)ザ ジャーナ
ル オブ バイオロジカル ケミストリー(同上)263
巻、1599頁〕。
リングル1、クリングル2及びセリンプロテアーゼ活性
を有する領域の5つの領域からなる〔Pennica,D ら(19
83年)ネイチャー(Nature)301巻、214頁〕。TPAの成
長因子領域を欠失したTPA誘導体の作製と性質について
は、幾つかの記述がある(特開昭62−168623,特開昭62
−269688,特開昭64−63379)〔Larsen,R.G.ら(1988
年)ザ ジャーナル オブ バイオルジカル ケミスト
リー(The Journal of Biological Chemi−stry)263
巻、1023頁〕〔Browne,J.M.ら(1988年)ザ ジャーナ
ル オブ バイオロジカル ケミストリー(同上)263
巻、1599頁〕。
成長因子領域を欠くTPA誘導体は、血中持続性が向上
したもののインビトロ血栓溶解能が著しく低下してお
り、天然型TPAのなんらかの良い特性を失っている。
したもののインビトロ血栓溶解能が著しく低下してお
り、天然型TPAのなんらかの良い特性を失っている。
本発明者らは、成長因子領域を欠くTPAのインビトロ
フィブリン溶解能の低下は、欠失によって新たに生じた
不自然なフィンガー領域とクリングル1領域の連結部に
あると考え、遺伝子工学的手法を用いて改良に努めた。
その成長因子領域の部分欠失体の中に従来の成長因子領
域欠失体よりを血中持続性が改善され、かつインビトロ
血栓溶解能が著しく改善されたものがあることを発見し
た。
フィブリン溶解能の低下は、欠失によって新たに生じた
不自然なフィンガー領域とクリングル1領域の連結部に
あると考え、遺伝子工学的手法を用いて改良に努めた。
その成長因子領域の部分欠失体の中に従来の成長因子領
域欠失体よりを血中持続性が改善され、かつインビトロ
血栓溶解能が著しく改善されたものがあることを発見し
た。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、成長因子
領域の欠失したTPA誘導体のさらなる改良であり、遺伝
子工学的手法を持って達成されるものである。したがっ
て改良型TPAの作成にはTPAのアミノ酸配列をコードする
DNA配列が不可欠である。そのようなDNA配列の取得は、
TPAcDNAあるいは染色体DNAのクローニング、あるいはTP
AcDNA、染色体DNAやTPAアミノ酸配列をもとにDNAを化学
合成することによって達成できるだろう。TPAcDNAは、
ペニカ等〔Pennica,D.ら(1983年〕ネイチャー(natur
e)301巻、214頁〕が単離している。TPAのアミノ酸配列
およびcDNAに対する番号付けは、彼等が提案しているも
のに従った。TPA染色体DNAはニイ等〔Ny,T.ら(1984
年)プロシーディング オブ ザ ナショナル アカデ
ミー オブ サイエンス ユーエスエイ (Proceeding
of the Academy of ScienceUSA)81巻、5355頁〕とブ
ラウンら〔Brown,M,J.ら(1985年)ジーン(Gene)33
巻、279頁〕とデーゲンら〔Degen,S.J.F.ら(1986年)
ザ ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー
(The Journal of Biological Chemistry)261巻、6972
頁〕がそれぞれ単離している。TPA染色体遺伝子のエク
ソンに対する番号付けは、ニイらに従うことにする。本
発明者らは、染色体DNA利用発現ベクターpSVePA−1
(特開昭62−14783)によって形質転換されたCHO−K1細
胞よりmRNAを抽出し、cDNAの合成およびクローニングを
行なった。実施例1にあるように新たに取得したTPAcDN
AおよびpSVePA−1に含まれる染色体DNAを利用してTPA
誘導体作成の基本となる発現ベクターpSVeCPA−1が作
成できた。
領域の欠失したTPA誘導体のさらなる改良であり、遺伝
子工学的手法を持って達成されるものである。したがっ
て改良型TPAの作成にはTPAのアミノ酸配列をコードする
DNA配列が不可欠である。そのようなDNA配列の取得は、
TPAcDNAあるいは染色体DNAのクローニング、あるいはTP
AcDNA、染色体DNAやTPAアミノ酸配列をもとにDNAを化学
合成することによって達成できるだろう。TPAcDNAは、
ペニカ等〔Pennica,D.ら(1983年〕ネイチャー(natur
e)301巻、214頁〕が単離している。TPAのアミノ酸配列
およびcDNAに対する番号付けは、彼等が提案しているも
のに従った。TPA染色体DNAはニイ等〔Ny,T.ら(1984
年)プロシーディング オブ ザ ナショナル アカデ
ミー オブ サイエンス ユーエスエイ (Proceeding
of the Academy of ScienceUSA)81巻、5355頁〕とブ
ラウンら〔Brown,M,J.ら(1985年)ジーン(Gene)33
巻、279頁〕とデーゲンら〔Degen,S.J.F.ら(1986年)
ザ ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー
(The Journal of Biological Chemistry)261巻、6972
頁〕がそれぞれ単離している。TPA染色体遺伝子のエク
ソンに対する番号付けは、ニイらに従うことにする。本
発明者らは、染色体DNA利用発現ベクターpSVePA−1
(特開昭62−14783)によって形質転換されたCHO−K1細
胞よりmRNAを抽出し、cDNAの合成およびクローニングを
行なった。実施例1にあるように新たに取得したTPAcDN
AおよびpSVePA−1に含まれる染色体DNAを利用してTPA
誘導体作成の基本となる発現ベクターpSVeCPA−1が作
成できた。
従来の技術で作成され、血中持続性およびフィブリン
溶解能が評価されている成長因子領域の欠失したTPA誘
導体に関しては、ラーセンら〔Larsen,R.G.ら(1988
年)ザ ジャーナル オブ バイオロジカル ケミスト
リー(The Journal of Biological Chemistry)263巻、
1023頁〕もしくはブローネら〔Browne.J.M.ら(1988
年)ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー
(Jounal of Biological Chemistry)263巻、1599
頁〕の報告がある。成長因子領域の欠失したこれらTPA
誘導体は、いずれもアミノ酸51番目から87番目までを欠
失したものであり、この誘導体は我々の発明の対照であ
り、成長因子領域と欠失あるいは部分欠失体を作成する
ためのもとに成るものである。この誘導体は彼等の行な
った方法で、作成することができる。彼等は、合成DNA
プライマーを利用したループアウト法を採用している
が、それ以外にカセット式変異導入法も有効である。即
ち51番目から87番目までのアミノ酸をコードするcDNA配
列bp340−bp450を欠失したDNA配列を化学的に合成する
ことによっても作成することができる。上記方法による
51番目から87番目迄のアミノ酸を欠失たTPA誘導体をコ
ードするDNA配列の作成方法については、実施例2に詳
細に記した。51番目から73番目のアミノ酸が欠失したTP
A誘導体の作成もループアウト法あるいはカセット式変
異導入法いずれでも可能であろう。カセット式変異導入
法を採用した場合、合成するDNA配列は、cDNAの全てで
あっても一部であっても良いだろう。一部のみ合成した
場合は、適当な制限エンドヌクレアーゼとT4DNAリガー
ゼを組み合わせれば、本来のcDNA配列の一部分を合成DN
Aと置き換えることが可能である。使用する制限エンド
ヌクレアーゼは、数多く考えられるが、本発明を達成す
るためにはBg1 IIとNar Iの組み合わせが好適であろ
う。より好ましくは、合成DNAとcDNA配列bp190付近から
bp330付近迄を含むBg1 IIとDra IIIで切断、単離して得
た約140bpの断片とbp457付近からbp515付近迄を含むHae
IIIとNar Iで切断、単離して得た約60bpの断片を組合
せれば良いだろう。これら3個の断片を連結後、前述の
TPA発現ベクターpSVeCPA−1の欠失、変異以外は相同な
部分、即ちBg1 IIとNar1での切断で生ずる約330bpの断
片と置き換えることによって目的のTPA誘導体発現ベク
ターが作成できるだろう。実施例3に51番目から73番目
までのアミノ酸を欠失したTPA誘導体の作成方法に関し
て詳細に記した。
溶解能が評価されている成長因子領域の欠失したTPA誘
導体に関しては、ラーセンら〔Larsen,R.G.ら(1988
年)ザ ジャーナル オブ バイオロジカル ケミスト
リー(The Journal of Biological Chemistry)263巻、
1023頁〕もしくはブローネら〔Browne.J.M.ら(1988
年)ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー
(Jounal of Biological Chemistry)263巻、1599
頁〕の報告がある。成長因子領域の欠失したこれらTPA
誘導体は、いずれもアミノ酸51番目から87番目までを欠
失したものであり、この誘導体は我々の発明の対照であ
り、成長因子領域と欠失あるいは部分欠失体を作成する
ためのもとに成るものである。この誘導体は彼等の行な
った方法で、作成することができる。彼等は、合成DNA
プライマーを利用したループアウト法を採用している
が、それ以外にカセット式変異導入法も有効である。即
ち51番目から87番目までのアミノ酸をコードするcDNA配
列bp340−bp450を欠失したDNA配列を化学的に合成する
ことによっても作成することができる。上記方法による
51番目から87番目迄のアミノ酸を欠失たTPA誘導体をコ
ードするDNA配列の作成方法については、実施例2に詳
細に記した。51番目から73番目のアミノ酸が欠失したTP
A誘導体の作成もループアウト法あるいはカセット式変
異導入法いずれでも可能であろう。カセット式変異導入
法を採用した場合、合成するDNA配列は、cDNAの全てで
あっても一部であっても良いだろう。一部のみ合成した
場合は、適当な制限エンドヌクレアーゼとT4DNAリガー
ゼを組み合わせれば、本来のcDNA配列の一部分を合成DN
Aと置き換えることが可能である。使用する制限エンド
ヌクレアーゼは、数多く考えられるが、本発明を達成す
るためにはBg1 IIとNar Iの組み合わせが好適であろ
う。より好ましくは、合成DNAとcDNA配列bp190付近から
bp330付近迄を含むBg1 IIとDra IIIで切断、単離して得
た約140bpの断片とbp457付近からbp515付近迄を含むHae
IIIとNar Iで切断、単離して得た約60bpの断片を組合
せれば良いだろう。これら3個の断片を連結後、前述の
TPA発現ベクターpSVeCPA−1の欠失、変異以外は相同な
部分、即ちBg1 IIとNar1での切断で生ずる約330bpの断
片と置き換えることによって目的のTPA誘導体発現ベク
ターが作成できるだろう。実施例3に51番目から73番目
までのアミノ酸を欠失したTPA誘導体の作成方法に関し
て詳細に記した。
発現ベクターpSVeCPA−1は、TPA遺伝子の上流にSV40
ウイルスの初期プロモーターがTPA遺伝子が発現可能な
形で存在しており、動物細胞に導入された際、TPAある
いはTPA誘導体が生産しうるように設計されている。
ウイルスの初期プロモーターがTPA遺伝子が発現可能な
形で存在しており、動物細胞に導入された際、TPAある
いはTPA誘導体が生産しうるように設計されている。
もちろんプロモーターとしてはSV40以外にTPA遺伝子
を発現可能なものならなんでも利用可能であろう。
を発現可能なものならなんでも利用可能であろう。
(発現ベクターの動物培養細胞への導入とTPA誘導体生
産細胞の作成) 動物細胞へのDNAの導入法として、トランスフェクシ
ョン効率に差はあるが、リン酸カルシウム法「Wigler,
M.ら(1977年)セル(cell)11巻、233頁」, マイクロインジェクション法〔Anderson,W.F.ら(198
9年)プロシーディング オブ ザ ナショナル アカ
デミー オブ サイエンス ユーエスエー(同上)77
巻、5399頁〕、リポゾーム法、DEAE−デキストラン法或
いは細胞融合法〔Schoffner,W.ら(1980年)プロシーデ
ィング オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サ
イエンス ユーエスエー(同上)77巻、2163頁〕電気導
入法〔達家雅明ら、(1987年)細胞工学、6巻、494
頁〕などが利用できる。TPA誘導体発現ベクターを細胞
に導入後、適当な選択マーカー遺伝子によって獲得した
形質により形質転換株を得ることができる。動物細胞で
の選択マーカー遺伝子としては、Ecogpt〔Mulligaan,R.
C.ら(1980年)サイエンス(Science),209巻、1422
頁〕,neo〔Southern,P.J.ら(1982年)ジャーナル オ
ブ モレキュラー アンド アプライド ジェネティッ
クス(Journal of Molecular and Applied Genetics)
1巻、327頁〕,dhfr〔Wigler,M.ら(1980年)プロシー
ディング オブ ザ ナショナル アカデミー オブ
サイエンス ユーエスエー(同上)77巻,327頁〕等の遺
伝子が用いられる。TPA誘導体発現ベクターは、これら
選択マーカー遺伝子を同一プラスミド内に含んでいても
あるいは別のプラスミドであっても形質転換株の取得は
可能である。得られた形質転換株がTPA誘導体を生産す
るか否かは、それぞれの形質転換細胞の培養液に含まれ
るプラスミノーゲン活性化活性を測定することによって
決定できる。
産細胞の作成) 動物細胞へのDNAの導入法として、トランスフェクシ
ョン効率に差はあるが、リン酸カルシウム法「Wigler,
M.ら(1977年)セル(cell)11巻、233頁」, マイクロインジェクション法〔Anderson,W.F.ら(198
9年)プロシーディング オブ ザ ナショナル アカ
デミー オブ サイエンス ユーエスエー(同上)77
巻、5399頁〕、リポゾーム法、DEAE−デキストラン法或
いは細胞融合法〔Schoffner,W.ら(1980年)プロシーデ
ィング オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サ
イエンス ユーエスエー(同上)77巻、2163頁〕電気導
入法〔達家雅明ら、(1987年)細胞工学、6巻、494
頁〕などが利用できる。TPA誘導体発現ベクターを細胞
に導入後、適当な選択マーカー遺伝子によって獲得した
形質により形質転換株を得ることができる。動物細胞で
の選択マーカー遺伝子としては、Ecogpt〔Mulligaan,R.
C.ら(1980年)サイエンス(Science),209巻、1422
頁〕,neo〔Southern,P.J.ら(1982年)ジャーナル オ
ブ モレキュラー アンド アプライド ジェネティッ
クス(Journal of Molecular and Applied Genetics)
1巻、327頁〕,dhfr〔Wigler,M.ら(1980年)プロシー
ディング オブ ザ ナショナル アカデミー オブ
サイエンス ユーエスエー(同上)77巻,327頁〕等の遺
伝子が用いられる。TPA誘導体発現ベクターは、これら
選択マーカー遺伝子を同一プラスミド内に含んでいても
あるいは別のプラスミドであっても形質転換株の取得は
可能である。得られた形質転換株がTPA誘導体を生産す
るか否かは、それぞれの形質転換細胞の培養液に含まれ
るプラスミノーゲン活性化活性を測定することによって
決定できる。
(TPA誘導体の精製) TPA誘導体生産株の培養は、宿主となる動物細胞株に
応じた培養法にて行なうことができる。培養上清からの
TPA誘導体の回収精製は、CPG、キレーティング セファ
ロース、Con−A セファロース、イオン交換体、オク
チル セファロース、セファデックスゲルでのクロマト
グラフィー、抗体カラムクロマトグラフィーや電気泳動
等を用いて行なうことができる。プラスミノーゲン活性
化能は、プラスミノーゲン含有フィブリン平板を用いる
方法〔Mackie,M.ら(1981年)ブリティッシュ ジャー
ナル オブ ヘマトロジー(British Journal of Hemat
orogy)47巻、77頁〕やプラスミンの合成基質S−2251
の分解を測定する方法〔Allen,R.A.とPepper,D.S.(198
1年)トロンボシス アンド ヘモスタシス(Thrombosi
s and Haemostasis)45巻、43頁〕CLT法〔Gaffney,P.T.
とCurtis,A.D.(1985年)トロンボシス アンド ヘモ
スタシス(同上)53巻、134頁〕ELISA法〔Holvoest,T.
ら(1985年)トロンボシス アンド ヘモスタシス(同
上)54巻、684頁〕によって測定できる。
応じた培養法にて行なうことができる。培養上清からの
TPA誘導体の回収精製は、CPG、キレーティング セファ
ロース、Con−A セファロース、イオン交換体、オク
チル セファロース、セファデックスゲルでのクロマト
グラフィー、抗体カラムクロマトグラフィーや電気泳動
等を用いて行なうことができる。プラスミノーゲン活性
化能は、プラスミノーゲン含有フィブリン平板を用いる
方法〔Mackie,M.ら(1981年)ブリティッシュ ジャー
ナル オブ ヘマトロジー(British Journal of Hemat
orogy)47巻、77頁〕やプラスミンの合成基質S−2251
の分解を測定する方法〔Allen,R.A.とPepper,D.S.(198
1年)トロンボシス アンド ヘモスタシス(Thrombosi
s and Haemostasis)45巻、43頁〕CLT法〔Gaffney,P.T.
とCurtis,A.D.(1985年)トロンボシス アンド ヘモ
スタシス(同上)53巻、134頁〕ELISA法〔Holvoest,T.
ら(1985年)トロンボシス アンド ヘモスタシス(同
上)54巻、684頁〕によって測定できる。
(血栓溶解能の評価) 本発明が提示するTPA誘導体は、血栓の溶解にかかわ
る種々の性質すなわち比活性、フィブリン親和性、活性
のフィブリン依存性、プロテアーゼ抵抗性、血中持続
性、プラスミノーゲン活性化活性、インビトロ血栓分解
能あるいは阻害剤感受性等のいずれかにおいて改善され
た性質を持つ。フィブリン親和性は、フィブリンクロッ
トへの取込みを指標とする方法に従って測定することが
できる。〔Collen,D.ら(1988年)ブラッド(Blood)71
巻、216頁〕。インビトロ血栓溶解能は、125I−フィブ
リンからの放射能の遊離を指標する方法に従って測定す
ることができる〔Larsen,G.R.ら(1988年)ザ ジャー
ナル オブ バイオロジカル ケミストリー(同上)26
3巻、1023頁〕。活性のフィブリン依存性あるいはプラ
スミノーゲン活性化活性は、プラスミンの合成基質S−
2251を利用するコレンら〔collen,D.ら(1982年)ザ
ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(同
上)257巻、2912頁〕の方法にて測定することができ
る。血中持続性に関しては、べーべら〔Beebe,D.P.ら
(1986年)トロンボシス リサーチ(同上)43巻、633
頁〕あるいはマットソンら〔Mattson,Ch.ら(1983年)
トロンボシス リサーチ(同上)30巻、91頁〕が報告し
ており、それらに記載の方法で血中半減期が測定でき
る。
る種々の性質すなわち比活性、フィブリン親和性、活性
のフィブリン依存性、プロテアーゼ抵抗性、血中持続
性、プラスミノーゲン活性化活性、インビトロ血栓分解
能あるいは阻害剤感受性等のいずれかにおいて改善され
た性質を持つ。フィブリン親和性は、フィブリンクロッ
トへの取込みを指標とする方法に従って測定することが
できる。〔Collen,D.ら(1988年)ブラッド(Blood)71
巻、216頁〕。インビトロ血栓溶解能は、125I−フィブ
リンからの放射能の遊離を指標する方法に従って測定す
ることができる〔Larsen,G.R.ら(1988年)ザ ジャー
ナル オブ バイオロジカル ケミストリー(同上)26
3巻、1023頁〕。活性のフィブリン依存性あるいはプラ
スミノーゲン活性化活性は、プラスミンの合成基質S−
2251を利用するコレンら〔collen,D.ら(1982年)ザ
ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(同
上)257巻、2912頁〕の方法にて測定することができ
る。血中持続性に関しては、べーべら〔Beebe,D.P.ら
(1986年)トロンボシス リサーチ(同上)43巻、633
頁〕あるいはマットソンら〔Mattson,Ch.ら(1983年)
トロンボシス リサーチ(同上)30巻、91頁〕が報告し
ており、それらに記載の方法で血中半減期が測定でき
る。
血中持続性以外に、生体内における血栓溶解能に影響
する因子は、フィブリン親和性、フィブリンによる活性
化、プラスミノーゲン活性化活性、プロテアーゼ抵抗
性、阻害剤感受性など様々である。本発明が提供する新
規TPA誘導体は、天然型TPAおよび既に知られている成長
因子領域の欠失誘導体に比べて遥かに改善された血中持
続性を持ち、且つ天然型TPAに近いインビトロ血栓溶解
能を保持している点で、心筋梗塞等の血栓症の治療に用
いることができ、現在試みられている治療方法を改善す
ることができる。
する因子は、フィブリン親和性、フィブリンによる活性
化、プラスミノーゲン活性化活性、プロテアーゼ抵抗
性、阻害剤感受性など様々である。本発明が提供する新
規TPA誘導体は、天然型TPAおよび既に知られている成長
因子領域の欠失誘導体に比べて遥かに改善された血中持
続性を持ち、且つ天然型TPAに近いインビトロ血栓溶解
能を保持している点で、心筋梗塞等の血栓症の治療に用
いることができ、現在試みられている治療方法を改善す
ることができる。
以下に実施例を示すが、本発明に係わる諸実験は、内
閣総理大臣の定める「組替えDNA実験指針」に従って行
なった。また実施例中のファージ、プラスミド、DNA、
種々の酵素、大腸菌等を扱う詳しい諸操作は以下にあげ
る雑誌、成書を参考とした。
閣総理大臣の定める「組替えDNA実験指針」に従って行
なった。また実施例中のファージ、プラスミド、DNA、
種々の酵素、大腸菌等を扱う詳しい諸操作は以下にあげ
る雑誌、成書を参考とした。
1.蛋白質 核酸 酵素、26巻、4号(1981年)臨時増刊
遺伝子操作(共立出版) 2.遺伝子操作実験法、高木康敬 編著(1980年)講談社 3.遺伝子操作マニュアル、高田康敬 編著(1982年)講
談社 4.Molecular Cloning a laboratory manual,T.maniati
s ら編(1982年)Cold Spring Harbor Laboratory 5.Methods in Enzymology,65巻、L.Grossmamら編(1980
年)Academic Press 6.Methods in Enzymology,65巻、R.Wu編(1979年)Acad
emic Press 実施例1 TPA発現ベクターpSVeCPA−1の作成 TPA発現ベクターpSVeCPA−1は以下に記述するステッ
プを経て作成した。
遺伝子操作(共立出版) 2.遺伝子操作実験法、高木康敬 編著(1980年)講談社 3.遺伝子操作マニュアル、高田康敬 編著(1982年)講
談社 4.Molecular Cloning a laboratory manual,T.maniati
s ら編(1982年)Cold Spring Harbor Laboratory 5.Methods in Enzymology,65巻、L.Grossmamら編(1980
年)Academic Press 6.Methods in Enzymology,65巻、R.Wu編(1979年)Acad
emic Press 実施例1 TPA発現ベクターpSVeCPA−1の作成 TPA発現ベクターpSVeCPA−1は以下に記述するステッ
プを経て作成した。
(1)TPAのcDNAクレーンpCH79の作成 まず、染色体DNA利用TPA発現ベクターpSVeCPA−1
(特開昭62−14783)導入したCHO−K1細胞から、既知の
グアニジン−ホットフェノール法に準じ、トータルRNA
を抽出した。次に、オリゴdTセルロースクロマトグラフ
ィーにより、ポリA+mRNAを調整し、ショ糖濃度勾配遠心
法によって分子量分画してTPAのmRNAを含む画分を得
た。市販のcDNA合成キット(アマシャム社製)にこの画
分を供してcDNAリーを合成し、市販のλgt10利用cDNAク
ローニングキット(アマシャム社製)を用いて、cDNAラ
イブラリーを作成した。
(特開昭62−14783)導入したCHO−K1細胞から、既知の
グアニジン−ホットフェノール法に準じ、トータルRNA
を抽出した。次に、オリゴdTセルロースクロマトグラフ
ィーにより、ポリA+mRNAを調整し、ショ糖濃度勾配遠心
法によって分子量分画してTPAのmRNAを含む画分を得
た。市販のcDNA合成キット(アマシャム社製)にこの画
分を供してcDNAリーを合成し、市販のλgt10利用cDNAク
ローニングキット(アマシャム社製)を用いて、cDNAラ
イブラリーを作成した。
このライブラリーに対して、pSVeCPA−1を制限酵素X
ba Iで切断、単離した第10,11及び12エクソンを含む約
2.5kbの断片をプローブとして用い、通常の方法でプラ
ークハイブリダイゼイションを行なって陽性ファージを
選択した。得られた陽性ファージDNAを調製し、制限酵
素Hind III(宝酒造株製)で消化後アガロースゲル電気
泳動を行なって、クローニングに用いたと同じXba I2.5
kb断片をプローブとしてサザンハイブリダイゼイション
法により解析した。その結果、CH79と名づけたクローン
には、Hind IIIで約2.2kbに切断されるプローブ陽性の
断片が含まれていることが分かった。このHind III約2.
2kb断片をアガロースゲル電気泳動法にて単離後、同じ
くHind IIIで消化したpUC19〔宝酒造(株)製〕とT4DNA
リガーゼを用いて連結後、E.coli DH1に導入してpCH79
を作成した。このcDNAクローンpCH79のcDNA部分の塩基
配列をM13法を利用した市販のキット〔宝酒造(株)
製〕にて決定した。5′末端に存在する発現ベクター由
来のHind III認識部位より約150bp下流にBg1 IIの認識
部位が存在し、塩基配列はその下流約1500bpの終止コド
ンTGAまでbp584のCがT及びbp1725のAがCであった以
外は、ペニカら〔Pennica,Dら(1983年)ネイチャー(N
ature)301巻、241頁〕が報告した塩基配列と一致して
おり、さらに、TGAコドンから約410塩基下流には発現ベ
クターに由来するHind III部位が存在していた。
ba Iで切断、単離した第10,11及び12エクソンを含む約
2.5kbの断片をプローブとして用い、通常の方法でプラ
ークハイブリダイゼイションを行なって陽性ファージを
選択した。得られた陽性ファージDNAを調製し、制限酵
素Hind III(宝酒造株製)で消化後アガロースゲル電気
泳動を行なって、クローニングに用いたと同じXba I2.5
kb断片をプローブとしてサザンハイブリダイゼイション
法により解析した。その結果、CH79と名づけたクローン
には、Hind IIIで約2.2kbに切断されるプローブ陽性の
断片が含まれていることが分かった。このHind III約2.
2kb断片をアガロースゲル電気泳動法にて単離後、同じ
くHind IIIで消化したpUC19〔宝酒造(株)製〕とT4DNA
リガーゼを用いて連結後、E.coli DH1に導入してpCH79
を作成した。このcDNAクローンpCH79のcDNA部分の塩基
配列をM13法を利用した市販のキット〔宝酒造(株)
製〕にて決定した。5′末端に存在する発現ベクター由
来のHind III認識部位より約150bp下流にBg1 IIの認識
部位が存在し、塩基配列はその下流約1500bpの終止コド
ンTGAまでbp584のCがT及びbp1725のAがCであった以
外は、ペニカら〔Pennica,Dら(1983年)ネイチャー(N
ature)301巻、241頁〕が報告した塩基配列と一致して
おり、さらに、TGAコドンから約410塩基下流には発現ベ
クターに由来するHind III部位が存在していた。
(2)TPA発現ベクターpSVeCPA−1の作成pSVeCPA−1
は、第1図に示した手順により作成した。pSVeSal I
(特開昭62−14783)を制限酵素Nco1で切断後、大腸菌
内での複製起点およびアンピシリン耐性を付与する約4.
7kb断片を単離し、さらにT4DNAリガーゼを用いて環状化
後E.coli DH1に導入してpSVeSal I−Hind IIIを作成し
た。従って、このベクターはHind III認識部位をはさん
でSV40の複製起点を含む初期プロモーター領域とSV40の
ポリアデニル化シグナルを含む配列がそれぞれ存在して
いる。次に、pSVesal I−Hind IIIをHind IIIにて切断
後、pSVeCPA−1をHind III及びBg1 IIで切断、単離し
て得たTPA染色体DNAの全第2エクソンと第3エクソンの
一部を含む約1.9kb断片と、pCH79をHind III及びBg1 II
で切断したTPAcDNAを含む約2kb断片とをT4DNAリガーゼ
にて連結後,E.coli DH1に導入してpSVeCPA−1を作成し
た。このTPA発現ベクターpSVeCPA−1は、第2エクソン
から第3エクソンのBg1 II認識部位までが染色体DNA由
来であり、それ以降がcDNAより成り、天然型のTPAを発
現する遺伝子をコードしている。
は、第1図に示した手順により作成した。pSVeSal I
(特開昭62−14783)を制限酵素Nco1で切断後、大腸菌
内での複製起点およびアンピシリン耐性を付与する約4.
7kb断片を単離し、さらにT4DNAリガーゼを用いて環状化
後E.coli DH1に導入してpSVeSal I−Hind IIIを作成し
た。従って、このベクターはHind III認識部位をはさん
でSV40の複製起点を含む初期プロモーター領域とSV40の
ポリアデニル化シグナルを含む配列がそれぞれ存在して
いる。次に、pSVesal I−Hind IIIをHind IIIにて切断
後、pSVeCPA−1をHind III及びBg1 IIで切断、単離し
て得たTPA染色体DNAの全第2エクソンと第3エクソンの
一部を含む約1.9kb断片と、pCH79をHind III及びBg1 II
で切断したTPAcDNAを含む約2kb断片とをT4DNAリガーゼ
にて連結後,E.coli DH1に導入してpSVeCPA−1を作成し
た。このTPA発現ベクターpSVeCPA−1は、第2エクソン
から第3エクソンのBg1 II認識部位までが染色体DNA由
来であり、それ以降がcDNAより成り、天然型のTPAを発
現する遺伝子をコードしている。
実施例2 DGFS発現ベクターの作成 天然型のTPAの51番目から87番目までのアミノ酸を欠
失したTPA誘導体をDGFSと名づけ、その発現ベクターpSV
eDH−1を第2図に示した手順により作成した。pSVeCPA
−1をBg1 II及びNar1で消化し約0.33kbの断片を得、さ
らにこれをDra III及びHae IIIで消化して得られるBg1
II−Dra III約135bp,Hae III−Narl約63bp断片を単離し
た。次に作製者の薦める条件にて下のDNAを合成した。
(381A DNAシンセサイザー、アプライド バイオシス
テムズ) それぞれの1本鎖DNAを合成、常法に従ってアニール
し、2本鎖DNAとした後、これとpSVeCPA−1のBg1 II−
Nar I約8.1kb断片とBg1 II−Dra III135bp断片とHae II
I−Nar I63bp断片とをT4DNAリガーゼで連結後、E.coli
DH1に導入してDGFS発現ベクタ−pSVeDH1を作成した。
失したTPA誘導体をDGFSと名づけ、その発現ベクターpSV
eDH−1を第2図に示した手順により作成した。pSVeCPA
−1をBg1 II及びNar1で消化し約0.33kbの断片を得、さ
らにこれをDra III及びHae IIIで消化して得られるBg1
II−Dra III約135bp,Hae III−Narl約63bp断片を単離し
た。次に作製者の薦める条件にて下のDNAを合成した。
(381A DNAシンセサイザー、アプライド バイオシス
テムズ) それぞれの1本鎖DNAを合成、常法に従ってアニール
し、2本鎖DNAとした後、これとpSVeCPA−1のBg1 II−
Nar I約8.1kb断片とBg1 II−Dra III135bp断片とHae II
I−Nar I63bp断片とをT4DNAリガーゼで連結後、E.coli
DH1に導入してDGFS発現ベクタ−pSVeDH1を作成した。
実施例3 DGF II発現ベクターの作成 天然型のTPAの51番目から73番目までのアミノ酸を欠
失したTPA誘導体をDGFIIと名づけ、その発現ベクターpS
VeDGF IIを第3図に示した手順により作成した。pSVeCP
A−1をBg1 II及びNar Iで消化した約0.33kbの断片を
得、さらにこれをDra III及びHae IIIで消化して得られ
るBa1 II−Dra III約135bp,Hae III−Nar I約63bp断片
を単離した。次に作製者の薦める条件にて下の4個のDN
Aを合成した。(381A DNAシンセサイザー、アプライド
バイオシステムズ) それぞれの1本鎖DNAを合成後T4ポリヌクレオチドキ
ナーゼでリン酸化した。E6−1とE6−2,E4−1とE4−2
の組み合わせで常法に従ってアニールし、2本鎖DNAと
した後、これら3種の2本鎖DNAとpSVeCPA−1のBg1 II
−Nar I約8.1kb断片とBg1 II−Dra III135bp断片とHae
III−Nar I63bp断片とをT4DNAリガーゼで連結後、E.col
iDH1に導入してDGF II発現ベクターpSVeDGF IIを作成し
た。
失したTPA誘導体をDGFIIと名づけ、その発現ベクターpS
VeDGF IIを第3図に示した手順により作成した。pSVeCP
A−1をBg1 II及びNar Iで消化した約0.33kbの断片を
得、さらにこれをDra III及びHae IIIで消化して得られ
るBa1 II−Dra III約135bp,Hae III−Nar I約63bp断片
を単離した。次に作製者の薦める条件にて下の4個のDN
Aを合成した。(381A DNAシンセサイザー、アプライド
バイオシステムズ) それぞれの1本鎖DNAを合成後T4ポリヌクレオチドキ
ナーゼでリン酸化した。E6−1とE6−2,E4−1とE4−2
の組み合わせで常法に従ってアニールし、2本鎖DNAと
した後、これら3種の2本鎖DNAとpSVeCPA−1のBg1 II
−Nar I約8.1kb断片とBg1 II−Dra III135bp断片とHae
III−Nar I63bp断片とをT4DNAリガーゼで連結後、E.col
iDH1に導入してDGF II発現ベクターpSVeDGF IIを作成し
た。
実施例4 マーカーベクターpSV2neo−dhfrの作成 pSV2neo−dhfrは以下の手順で作成した。pSV2dhfr
(アメリカン タイプカルチャー コレクション rDNA
Vectors 37146)を制限酵素Pvu IIで切断し、そこにB
amH Iリンカーd(PDGGATCCG)〔宝酒造(株)製〕をT4
DNAリガーゼで連結後、E.coliDH1に導入してpSV2Bdhfr
を作成した。pSV2BdhfrをBamH Iで消化して得れるdhfr
遺伝子を含む約2kbの断片アガロース電気泳動により調
製し、pSV2neo(アメリカン タイプルカルチャー コ
レクション rDNA Vectors 37149)をBamH1で切断した
DNAとをT4DNAリガーセを用いて環状化後、E.coil DH1に
導入し、neoとdhfr遺伝子が同発現方向に挿入されたpSV
2neo−dhfrを作成した。
(アメリカン タイプカルチャー コレクション rDNA
Vectors 37146)を制限酵素Pvu IIで切断し、そこにB
amH Iリンカーd(PDGGATCCG)〔宝酒造(株)製〕をT4
DNAリガーゼで連結後、E.coliDH1に導入してpSV2Bdhfr
を作成した。pSV2BdhfrをBamH Iで消化して得れるdhfr
遺伝子を含む約2kbの断片アガロース電気泳動により調
製し、pSV2neo(アメリカン タイプルカルチャー コ
レクション rDNA Vectors 37149)をBamH1で切断した
DNAとをT4DNAリガーセを用いて環状化後、E.coil DH1に
導入し、neoとdhfr遺伝子が同発現方向に挿入されたpSV
2neo−dhfrを作成した。
実施例5 TPA発現ベクターの動物培養細胞への導入とTPAの生産 TPA発現ベクターのpSVeDGF II、或いはpSVeDH−1をC
HO−K1(ATCC,CCL−61)を宿主として、チェンら〔Che
n,C.and Okayama,H.ら(1987年)モレキュラー アンド
セルラー バイオロジー(Molecular and Cellular B
iology)7巻、2745頁〕の方法に準じて形質転換を行な
った。即ち、プラスミド〔TPA発現ベクター:pSV2neo−d
hfr=300:1(重量比)〕−リン酸カルシウム共沈澱物を
予め5%牛胎児血清(FCS)を含むMD培地(MCDB302:ダ
ルベッコ変法MEM=1:1、シグマ)で生育させた細胞(5
×105細胞/10ml培地/直径10cm培養皿)に加え、15時間
後に培地を洗浄して更新した。さらに48時間後、培地を
5%FCS、800μg/mlG418硫酸塩(ギブコ)、7mM ε−
アミノカプロン酸、50μMフォイパン(小野薬品工業)
を含むMD培地に変え、さらに約2週間培養を続けG418耐
性株を分離した。G418耐性株を12穴マルチディッシュ
(リンブロー社製)の底面全体に生育させ、上記培地で
24時間培養し、培地中に含まれるDGF IIあるいはDGFSの
含量を実施例7にあるような蛋白定量された標品を標準
としてその活性をプラスミノーゲン含有フィブリンへ平
板を用いて測定した〔Mackie,Mら(1981年)ブリティッ
シュ ジャーナル オブ ヘマトロジー(British Jour
nal of Hematology)47巻、77頁〕。
HO−K1(ATCC,CCL−61)を宿主として、チェンら〔Che
n,C.and Okayama,H.ら(1987年)モレキュラー アンド
セルラー バイオロジー(Molecular and Cellular B
iology)7巻、2745頁〕の方法に準じて形質転換を行な
った。即ち、プラスミド〔TPA発現ベクター:pSV2neo−d
hfr=300:1(重量比)〕−リン酸カルシウム共沈澱物を
予め5%牛胎児血清(FCS)を含むMD培地(MCDB302:ダ
ルベッコ変法MEM=1:1、シグマ)で生育させた細胞(5
×105細胞/10ml培地/直径10cm培養皿)に加え、15時間
後に培地を洗浄して更新した。さらに48時間後、培地を
5%FCS、800μg/mlG418硫酸塩(ギブコ)、7mM ε−
アミノカプロン酸、50μMフォイパン(小野薬品工業)
を含むMD培地に変え、さらに約2週間培養を続けG418耐
性株を分離した。G418耐性株を12穴マルチディッシュ
(リンブロー社製)の底面全体に生育させ、上記培地で
24時間培養し、培地中に含まれるDGF IIあるいはDGFSの
含量を実施例7にあるような蛋白定量された標品を標準
としてその活性をプラスミノーゲン含有フィブリンへ平
板を用いて測定した〔Mackie,Mら(1981年)ブリティッ
シュ ジャーナル オブ ヘマトロジー(British Jour
nal of Hematology)47巻、77頁〕。
実施例6 形質転換株のメソトレキセート(Mtx)による選択及び
培養 実施例5で得たpSVeDH1の形質転換株を直径10cmの培
養皿に103から105個の細胞を植え50nMから200nMのMtxを
含むMD培地で約1ケ月培養を続け、Mtxに対して耐性を
示す株を分離した。これらの耐性株が24時間あたり生産
するDGFSの量を実施例5に示したようにフィブリン平板
法にて測定した。
培養 実施例5で得たpSVeDH1の形質転換株を直径10cmの培
養皿に103から105個の細胞を植え50nMから200nMのMtxを
含むMD培地で約1ケ月培養を続け、Mtxに対して耐性を
示す株を分離した。これらの耐性株が24時間あたり生産
するDGFSの量を実施例5に示したようにフィブリン平板
法にて測定した。
表−1には実施例5および6で得られたDGF IIおよび
DGFSの生産株名及びその力価を示した。Mtxで選択した
細胞からは親株よりも高いTPA生産性を示す株が得られ
た。また、これらの細胞はMD無血清培地(MD培地、7mM
ε−アミノカプロン酸、50μMフォイパン 1mg/ml牛
血清アルブミン 5μg/mlインシュリン)においてもTP
Aを生産した。
DGFSの生産株名及びその力価を示した。Mtxで選択した
細胞からは親株よりも高いTPA生産性を示す株が得られ
た。また、これらの細胞はMD無血清培地(MD培地、7mM
ε−アミノカプロン酸、50μMフォイパン 1mg/ml牛
血清アルブミン 5μg/mlインシュリン)においてもTP
Aを生産した。
実施例7 TPA誘導体DGFSおよびDGF IIの回収、精製 以下にTPA誘導体DGFSおよびDGF IIの回収,精製の工
程を示す。工程途中のTPA抗原の検出には、市販のELISA
キット(IMUBINDTPA ELISA KIT,アメリカンダイアグノ
スティカ社製)を用いた。DGF II−11−13あるいは10DH
−1−18−2を実施例6で示したMD無血清培地にて培養
し得たDGFSあるいはDGF IIを含む培養液を、1MNaCL,50
μMフォイパンを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.5)に平
衡化したCPG−10(エレクトロヌクレオニクス社製)カ
ラムにチャージし、平衡化に用いたと同じ緩衝液にて洗
浄した。CPG−10カラムを通過した培養液および洗浄液
中にDGFSあるいはDGF IIは、ほとんど検出されなかっ
た。CPG−10カラムよりDGFSあるいはDGF IIを1M Nac1,
0.5M KSCN,1M ε−アミノカプロン酸および50μMフ
ォイパンを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.5)にて溶出し
た。溶出液をそのまま1M Nac1,0.01%Tween80および50
μMフォイパンを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.5)にて
平衡化したConA−Sepharose(ファルマシア社製)カラ
ムにチャージした。平衡化に用いたと同じ緩衝液にて洗
浄後、2M KSCN,0.4M α−メチルマンノシド,0.01%Twee
n80および50μMフォイパンを含む20mMリン酸緩衝液(p
H7.5)にて溶出した。ELISAを利用してConA Sepharose
の通過培養液、洗浄液および溶出液中に含まれるTPA抗
原を検出したところ、DGF IIあるいはDGFSはほとんどCo
nA Sepharoseに吸着し、溶出回収されていることが判っ
た。
程を示す。工程途中のTPA抗原の検出には、市販のELISA
キット(IMUBINDTPA ELISA KIT,アメリカンダイアグノ
スティカ社製)を用いた。DGF II−11−13あるいは10DH
−1−18−2を実施例6で示したMD無血清培地にて培養
し得たDGFSあるいはDGF IIを含む培養液を、1MNaCL,50
μMフォイパンを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.5)に平
衡化したCPG−10(エレクトロヌクレオニクス社製)カ
ラムにチャージし、平衡化に用いたと同じ緩衝液にて洗
浄した。CPG−10カラムを通過した培養液および洗浄液
中にDGFSあるいはDGF IIは、ほとんど検出されなかっ
た。CPG−10カラムよりDGFSあるいはDGF IIを1M Nac1,
0.5M KSCN,1M ε−アミノカプロン酸および50μMフ
ォイパンを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.5)にて溶出し
た。溶出液をそのまま1M Nac1,0.01%Tween80および50
μMフォイパンを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.5)にて
平衡化したConA−Sepharose(ファルマシア社製)カラ
ムにチャージした。平衡化に用いたと同じ緩衝液にて洗
浄後、2M KSCN,0.4M α−メチルマンノシド,0.01%Twee
n80および50μMフォイパンを含む20mMリン酸緩衝液(p
H7.5)にて溶出した。ELISAを利用してConA Sepharose
の通過培養液、洗浄液および溶出液中に含まれるTPA抗
原を検出したところ、DGF IIあるいはDGFSはほとんどCo
nA Sepharoseに吸着し、溶出回収されていることが判っ
た。
溶出液を0.15M Nac1,0.01%Tween80および50μMフ
ォイパンを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.5)に対して透
析後、同緩衝液にて平衡化した抗体カラム(PAM−2−S
epharose,アメリカンダイアグノスティカ社製)にチャ
ージした。0.3M KTCN,0.15M NaC1,0.01%Tween80を含
む20mMリン酸緩衝液(pH7.5)にて洗浄後、3M KSCN,0.1
5M NaC1,0.01%Tween80を含むリン酸緩衝液にて溶出し
た。同溶出液中に含まれる蛋白量をウシ血清アルブミン
を標準としてローリー法にて測定した。その結果DGF II
はDGGF II−11−13の培養液約2Lより1.5mgが、DGFSは10
DH1−18−2の培養液2Lより4.1mgがそれぞれ回収、精製
されていることが判った。
ォイパンを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.5)に対して透
析後、同緩衝液にて平衡化した抗体カラム(PAM−2−S
epharose,アメリカンダイアグノスティカ社製)にチャ
ージした。0.3M KTCN,0.15M NaC1,0.01%Tween80を含
む20mMリン酸緩衝液(pH7.5)にて洗浄後、3M KSCN,0.1
5M NaC1,0.01%Tween80を含むリン酸緩衝液にて溶出し
た。同溶出液中に含まれる蛋白量をウシ血清アルブミン
を標準としてローリー法にて測定した。その結果DGF II
はDGGF II−11−13の培養液約2Lより1.5mgが、DGFSは10
DH1−18−2の培養液2Lより4.1mgがそれぞれ回収、精製
されていることが判った。
実施例8 インビトロ血栓溶解能測定 DGF IIおよびDGFSのインビトロ血栓溶解能を125I−フ
ィブリンからの放射能の遊離を測定するラーセン(同
上)の方法に従って測定した。4.55μg/ml ヒト グル
タイププラスミノーゲン、0.1M NaC1,0.001%Tween80を
含む50mMリン酸緩衝液(pH7.2)に5mg/mlとなるように
ヒトフィブリノーゲンを溶解後、ヒト トロンビンを1.
0NIH unit/mlとなるように添加し、適当な容器内で37
℃1hr放置して凝固させた。作成したフィブリンクロッ
トと当量の酵素液を重層し、37℃で4hr反応させた。反
応後各容器内の可溶性画分を抜取り、γ−カウンターに
て試料中に含まれる放射能を測定した。結果を第4図に
まとめた。DGF IIはTPA発現ベクターpSVeCPA−1(特開
昭62−14783)により形質転換されたCHO−K1細胞より得
たリコンビナントTPAよりやや劣るもののDGFSよりも強
力なインビトロ血栓溶解能をもっていることが判った。
ィブリンからの放射能の遊離を測定するラーセン(同
上)の方法に従って測定した。4.55μg/ml ヒト グル
タイププラスミノーゲン、0.1M NaC1,0.001%Tween80を
含む50mMリン酸緩衝液(pH7.2)に5mg/mlとなるように
ヒトフィブリノーゲンを溶解後、ヒト トロンビンを1.
0NIH unit/mlとなるように添加し、適当な容器内で37
℃1hr放置して凝固させた。作成したフィブリンクロッ
トと当量の酵素液を重層し、37℃で4hr反応させた。反
応後各容器内の可溶性画分を抜取り、γ−カウンターに
て試料中に含まれる放射能を測定した。結果を第4図に
まとめた。DGF IIはTPA発現ベクターpSVeCPA−1(特開
昭62−14783)により形質転換されたCHO−K1細胞より得
たリコンビナントTPAよりやや劣るもののDGFSよりも強
力なインビトロ血栓溶解能をもっていることが判った。
実施例9 DGFS,DGF IIの血中半減期測定 精製したDGF II及びDGFSの300μgをウサギに耳介静
脈より単回投与し、その血中半減期を測定した。その結
果、DGF IIはDGFSよりも改善された血中持続性を示し、
その半減期は、DGF IIが23分、DGFSが15分、TPA発現ベ
クターpSVeCPA−1(特開昭62−14783)により形質転換
されたCHO−K1細胞より得たリコンビナントTPAが2分と
測定された(第5図)。
脈より単回投与し、その血中半減期を測定した。その結
果、DGF IIはDGFSよりも改善された血中持続性を示し、
その半減期は、DGF IIが23分、DGFSが15分、TPA発現ベ
クターpSVeCPA−1(特開昭62−14783)により形質転換
されたCHO−K1細胞より得たリコンビナントTPAが2分と
測定された(第5図)。
第1図はTPA発現ベクターpSVeCPA−1の作成手順、第2
図はpSVeDH−1の作成手順、第3図はpSVeDGF IIの作成
手順をそれぞれ示す図、第4図は、発現ベクターDGFSお
よびDGF IIのインビトロ血栓溶解能の評価結果、第5図
はDGFSおよびDGF IIの血中持続性の評価結果をそれぞれ
示すグラフである。第1〜3図中SVe,polyA,ORI.,Ecogp
t,TPAcDNA,TPAgDNA,Amp.,ATG及びTGAは、それぞれSV40
のDNA複製起点を含む初期プロモータ領域、SV40のポリ
(A)付加シグナルを含む領域、プラスミドの複製起
点、Ecogpt遺伝子、TPAのcDNA遺伝子、TPAの染色体遺伝
子、アンピシリン耐性遺伝子、TPA遺伝子の翻訳開始コ
ドン、TPA遺伝子の翻訳終止コドンを示す。
図はpSVeDH−1の作成手順、第3図はpSVeDGF IIの作成
手順をそれぞれ示す図、第4図は、発現ベクターDGFSお
よびDGF IIのインビトロ血栓溶解能の評価結果、第5図
はDGFSおよびDGF IIの血中持続性の評価結果をそれぞれ
示すグラフである。第1〜3図中SVe,polyA,ORI.,Ecogp
t,TPAcDNA,TPAgDNA,Amp.,ATG及びTGAは、それぞれSV40
のDNA複製起点を含む初期プロモータ領域、SV40のポリ
(A)付加シグナルを含む領域、プラスミドの複製起
点、Ecogpt遺伝子、TPAのcDNA遺伝子、TPAの染色体遺伝
子、アンピシリン耐性遺伝子、TPA遺伝子の翻訳開始コ
ドン、TPA遺伝子の翻訳終止コドンを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−192323(JP,A) 特開 昭62−289179(JP,A) 特開 昭63−226285(JP,A) 特開 昭62−198623(JP,A) 特表 昭63−501841(JP,A) 特表 昭63−501335(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 15/58 C12N 9/64 WPI(DIALOG) BIOSYS(DIALOG)
Claims (11)
- 【請求項1】アミノ酸51〜73を欠失した組織プラスミノ
ーゲン活性化因子誘導体。 - 【請求項2】形成転換された動物培養細胞で産出されグ
リコシル化された請求項1記載のプラスミノーゲン活性
化因子誘導体。 - 【請求項3】動物培養細胞がCHO−K1である請求項2記
載のプラスミノーゲン活性化因子誘導体。 - 【請求項4】請求項1で示されるアミノ酸配列を有する
プラスミノーゲン活性化因子誘導体をコードするDNA配
列。 - 【請求項5】DNA配列がcDNAである請求項4記載のDNA配
列。 - 【請求項6】DNA配列が染色体DNAである請求項4記載の
DNA配列。 - 【請求項7】DNA配列がcDNAの一部分と染色体DNAの一部
分からなる請求項4記載のDNA配列。 - 【請求項8】請求項4〜7のいずれかに記載のDNA配列
を含む発現ベクターによって形質転換された動物培養細
胞。 - 【請求項9】動物培養細胞がCHO−K1である請求項8記
載の動物培養細胞。 - 【請求項10】請求項4〜7のいずれかに記載のDNA配
列を含む発現ベクターによって形質転換された動物培養
細胞を培養してプラスミノーゲン活性化因子誘導体を生
成しめ、これを採取するプラスミノーゲンン活性化因子
誘導体の製造方法。 - 【請求項11】動物培養細胞がCHO−K1である請求項10
記載のプラスミノーゲン活性化因子誘導体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1269407A JP2787484B2 (ja) | 1989-10-17 | 1989-10-17 | 新規血栓溶解剤とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1269407A JP2787484B2 (ja) | 1989-10-17 | 1989-10-17 | 新規血栓溶解剤とその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03130077A JPH03130077A (ja) | 1991-06-03 |
JP2787484B2 true JP2787484B2 (ja) | 1998-08-20 |
Family
ID=17471986
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1269407A Expired - Fee Related JP2787484B2 (ja) | 1989-10-17 | 1989-10-17 | 新規血栓溶解剤とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2787484B2 (ja) |
-
1989
- 1989-10-17 JP JP1269407A patent/JP2787484B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03130077A (ja) | 1991-06-03 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |