JP2787478B2 - アルミニウム合金製被塗装物における化成皮膜の表面部構造 - Google Patents

アルミニウム合金製被塗装物における化成皮膜の表面部構造

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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) この発明は、アルミニウム合金製被塗装物に施された
化成皮膜の表面部構造に関する。
(従来の技術) アルミニウム合金製物品、例えば車両用ホイールに塗
装を施す場合、主塗装の付着を良くするため、並びに、
耐水性及び耐湿性を向上させるために、前処理として物
品の表面に化成皮膜を施している。
そして、この化成皮膜を施した製品を洗浄した後に、
主塗装を施すわけである。
(発明が解決しようとする課題) 発明者は、アルミニウム合金製物品(被塗装物)に入
っているSiが、化成処理によって溶け出し、その後、循
環式の水洗を行うと、この循環水にSiが混入するため、
この洗浄がSiを多量に含んだ循環水で行われることにな
り、後の乾燥によって形成される化成被膜のSi/Alの比
率が上昇することを発見し、さらに、洗浄方法が循環式
に限らず排水式に限らず、水道水にも当初からSiが含ま
れているため、水道水によって化成処理の原液を希釈し
ていることや洗浄水に水道水をそのまま用いていること
を考慮すれば、前記したように後の乾燥によって形成さ
れる化成被膜のSi/Alの比率が上昇することを発見し、
鋭意研究した。
そして、発明者は、前記アルミニウム合金製品におけ
る主塗装の二次密着を良くする手段として、洗浄水のSi
量を管理することによって筧被膜のSi量とAl量の比率
(Si/Al)から塗装性能の有効な管理ポイントを見出
し、この発明を完成した。
この発明の課題は、前記アルミニウム合金製物品にお
ける主塗装の二次密着を良くし、当該製品の耐水性およ
び耐湿性を向上させる、前記洗浄後(塗装直前)におけ
るアルミニウム合金製物品のSi/Alを提供することであ
る。
〔課題を達成するための手段〕
前記課題を達成するために、この発明のアルミニウム
合金製被塗装物における化成皮膜の表面部構造において
は、循環式の水洗によって得られた化成皮膜の表面部の
Si/Alを2.4以下にしたため、第1表に示すように、この
アルミニウム合金製被塗装物の表面に主塗装を施せば、
耐水性および耐湿性に優れたアルミニウム合金製品を得
ることができる。
(発明の実施例) 以下、第1図に基づいて、この発明の実施例を説明す
る。
なお、化成処理としては、クロメータ処理やりん酸塩
処理である。本実施例ではクロメート処理を行う場合に
ついて説明する。
図において、Fは洗浄装置Wの流路であり、循環式に
構成されている。この流路FにはポンプPの作動によっ
て矢印(点線矢印)方向に洗浄水が回流する。1は洗浄
装置Wの主洗浄部(図における「第4水洗」部)であ
り、前記流路Fに設置されている。又、2は同補助洗浄
部(図における「第5水洗」部)であり、前記流路Fに
おける前記主洗浄部1の上流側に設置されている。更
に、3はミスト洗浄部(図における「ミスト水洗」部)
であり、前記流路Fにおける前記補助洗浄部2の上流側
に設置されている。よって、洗浄水は順にミスト洗浄部
3,補助洗浄部2,主洗浄部1を流れる。化成皮膜の施され
た車両用ホイール(この発明の「アルミニウム合金製被
塗装物」に相当する)は、順に、前記主洗浄部1、前記
補助洗浄部2、前記ミスト洗浄部3において洗浄され、
次の工程(乾燥、主塗装)に移動される。4は陽イオン
塔(「陽イオン交換部材」を備えている)であり、前記
ポンプPの下流側に設置されている。
この陽イオン塔4は洗浄水中の陽イオンを除去する。
5は陰イオン塔(「陰イオン交換部材」を備えている)
であり、前記陽イオン塔4の下流側に設置されている。
この陰イオン塔5は洗浄水中の陰イオンを除去する。6
は両イオン塔(この発明の「両イオン交換部材」に相当
する)であり、前記陰イオン塔5の下流側に設置されて
いる。この両イオン塔6は洗浄水中の陰イオンおよび陽
イオンを同時に除去する。7は水質監視計であり、両イ
オン塔6の下流側に設置されている。この水質監視計7
は洗浄水の電気伝導率を表示することによってその汚染
度を常時表示し、前記電気伝導率の値が1μS/cm以下に
ならないにように管理している。このように管理すれ
ば、Si/Al=2.4以下を維持することができる。
この洗浄装置Wの作動を第1図に基づいて説明する。
車両用ホイールを鋳造し、順に、湯洗、第一脱脂、第
二脱脂、第一水洗、第二水洗、第三水洗の工程を終了し
た後、前記車両陽ホイールの表面にクロメート処理を施
すことにより化成皮膜を形成する。この化成皮膜を施し
た車両用ホイールを洗浄装置Wにおける主洗浄部1によ
って第四水洗、補助洗浄部2によって第五水洗を、ミス
ト洗浄部3によって最終水洗を行う。なお、洗浄水はミ
スト洗浄部3、補助洗浄部2、主洗浄部1の間を還流し
ているため、第4水洗と第五水洗とミスト水洗は同一の
洗浄水によって行われる。そして、水洗後における洗浄
水の汚染は前記4は陽イオン塔、陰イオン塔5、両イオ
ン塔6によって浄化され、再度、水洗に供される。ミス
ト水洗を終了した車両用ホイールを乾燥後に、X線光電
子分光法によって、車両用ホイールの表面部の元素分析
を行ったら、Si/Al値が2.3であった。このSi/Al値が2.3
の車両用ホイールの表面にポリエステル系塗料を塗布
し、焼付乾燥する。
この主塗装を施した車両用ホイールについて、洗浄水
のSi含有量に対し耐水性および耐湿性テストを行ったも
のが下記の第1表である。
なお、第1表における比較対象品も、Si標準液を洗浄
水に混ぜて、洗浄水のSi量を意図的に調整した以外は同
様な方法で得られたものである。
(1).耐水性テスト 被テスト物を常温水に200時間浸し、碁盤目状に傷を
つけ(JIS K5400)、テーピングテストを行うものであ
る。
(2).耐湿性テスト 被テスト物を湿度90%、温度45〜50℃の状態に200時
間放置し、その後、碁盤目状に傷をつけ(JIS K540
0)、テーピングテストを行うものである。
〔発明の効果〕
この発明のアルミニウム合金製被塗装物における化成
皮膜の表面部構造は、循環式の水洗によって得られた化
成皮膜の表面部のSi/Alを2.4以下にしたため、第1表に
示すように、このアルミニウム合金製被塗装物の表面に
主塗装を施せば、耐水性および耐湿性に優れたアルミニ
ウム合金製品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明に係る、アルミニウム合金製被塗装物
における化成皮膜の表面部構造の使用される、ルミニウ
ム合金製被塗装物の化成皮膜用洗浄装置の実施例の工程
図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】循環式の水洗によって得られた化成皮膜の
    表面部のSi/Alを2.4以下にしたことを特徴とするアルミ
    ニウム合金製被塗装物における化成皮膜の表面部構造。
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