JP2787405B2 - 炊飯釜の刻印表示部形成方法 - Google Patents

炊飯釜の刻印表示部形成方法

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JP2787405B2 JP5088809A JP8880993A JP2787405B2 JP 2787405 B2 JP2787405 B2 JP 2787405B2 JP 5088809 A JP5088809 A JP 5088809A JP 8880993 A JP8880993 A JP 8880993A JP 2787405 B2 JP2787405 B2 JP 2787405B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【利用分野】本発明は、炊飯釜の刻印表示部形成方法、
特に、炊飯釜の内面に形成される水量目盛等の刻印表示
部の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来技術およびその問題点】従来から、炊飯米量に適
する水量設定を可能にするため、炊飯器では、図1に示
すように、炊飯釜の胴部(1) の内面に炊飯米量に対応し
た水量目盛(2) が刻設されている。この水量目盛(2)
は、炊飯釜を構成する生地材料に直接刻印しただけのも
のであることから、使用時には、この刻印が判別しにく
い。これは、目盛と他の部分とが同色であって、しか
も、この目盛が炊飯釜の内面に形成されるものであるこ
とから、炊飯釜の外側からは目盛部分が暗くなって見ず
らくなるからである。
【0003】そこで、刻印によって形成された水量目盛
を分かり易くするために、図2に示すように、この刻印
凹部(D) に胴部(1) の地色と異なる色の着色材(3) を同
図 (b)のように流し込んで、余剰部分を同図(C) のよう
に拭き取ったあと、これを焼成する方法が採用されてい
る。このものでは、刻印凹部(D) が、炊飯釜の内面の生
地の地色とは異なる色彩となることから、従来の場合に
比べて水量目盛(2) が判別し易いものとなる。
【0004】ところが、このような方法による場合に
は、刻印工程とは別に着色剤の塗布工程やこれの拭き取
り工程が必要で、その分生産性が不十分であると共に、
拭き取り作業によるバラツキによって水量目盛(2) の文
字や線の太さが不均一になる不都合がある。
【0005】
【技術的課題】本発明は、このような点に鑑みてなされ
たものであり、『炊飯釜の胴部(1)の内周面に形成さ
れる水量目盛等の刻印表示部をその他の内周面と相違す
る色彩とするようにした炊飯釜の刻印表示部形成方法』
において、生産性が高く且着色剤による文字や表示線が
刻印によるそれと確実に一致するようにすることをその
技術的課題とする。
【0006】
【技術的手段】上記技術的課題を解決するために講じた
本発明の技術的手段は、『胴部(1)の内周面と異なる
色彩の弗素樹脂シート(3a)を前記内周面とこれに対
向する刻印用型(4)との間に介在させ、胴部(1)を
加熱した状態に於いて前記内周面に対して刻印用型
(4)の刻印型部(40)(40)を加圧させることに
よって、刻印型部(40)(40)で前記内周面に所定
の刻印凹部を形成すると同時に、弗素樹脂シート(3
a)における刻印型部(40)(40)に一致する部分
を打ち抜き、その被打抜き部(30)(30)が溶融圧
着により前記刻印凹部に結合一体化するようにした』こ
とである。
【0007】
【作用】本発明の上記技術的手段は次のように作用す
る。水量目盛等の表示部は、刻印によって形成される
が、このとき、炊飯釜の胴部(1)の内周面に、刻印用
型(4)の刻印型部(40)(40)によって刻印凹部
が形成される。これと同時に、刻印用型(4)と胴部
(1)の内周面との間に介在した弗素樹脂シート(3
a)から刻印型部(40)(40)に一致した部分が打
ち抜かれる。その被打抜き部(30)(30)は刻印型
部(40)(40)により前記刻印凹部に圧接される
が、このとき、胴部(1)が加熱された状態であるか
ら、前記圧接された被打抜き部(30)(30)が溶融
される。従って、被打抜き部(30)(30)は前記刻
印凹部に溶着して一体化される。
【0008】このように、被打抜き部(30)(30)
が前記刻印凹部に溶着されるから、被打抜き部(30)
(30)により形成された文字や線等は、前記刻印凹部
の文字や線等と正確に一致したものとなる。
【0009】
【効果】本発明は上記構成であるから次の特有の効果を
有する。従来のような着色材(3)の塗布工程や、余剰
部分の拭き取り工程が不要であるから、前記従来のもの
に比べて、生産性が向上する。又、弗素樹脂シート(3
a)から部分的に打ち抜かれて胴部(1)の内周面に形
成される文字や線等からなる着色表示部は、前記刻印凹
部による文字や線等と正確に一致し、刻印表示部の精度
も向上する。更に、胴部(1)を加熱するものであるか
ら、被打抜き部(30)(30)は、凹陥部(42)
(42)側から加熱され溶融される。従って、刻印用型
(4)を加熱するものに比べて、刻印型部(40)(4
0)への溶融樹脂の付着が抑えられる。
【0010】
【実施例】以下本発明の実施例を図3から図6に基づい
て説明する。この実施例は、炊飯釜の胴部(1) の内面に
水量目盛(2) を形成する方法において本発明を実施した
ものである。この実施例の炊飯釜は、アルミニューム合
金製で、鋳造によって所定の形状に製作されたものであ
る。そして、この炊飯釜のアルミニューム合金のグレー
の地色に対して白色の弗素樹脂シート(3a)を使用するこ
とにより、白い水量目盛(2)を形成するようにしてい
る。
【0011】このため、図3のように、胴部(1)の内
周側に位置する刻印用型(4)と胴部(1)の内周面と
の間に弗素樹脂シート(3a)を介在させる。又、胴部
(1)を所定温度に加熱した状態とする。そして、刻印
用型(4)に対向する加圧体(41)を胴部(1)の外
周側から押圧させることによって、胴部(1)の所要域
に対して刻印用型(4)の刻印型部(40)(40)を
加圧させる。これにより、図4及び図5に示すように、
胴部(1)の内周面に於ける刻印型部(40)(40)
に対向する部分が部分的に薄肉化されて、凹陥部(4
2)(42)となる。同時に、弗素樹脂シート(3a)
における刻印型部(40)(40)に対応する部分が、
刻印型部(40)(40)によって弗素樹脂シート(3
a)から打ち抜かれ、その被打抜き部(30)(30)
は、凹陥部(42)(42)内に押し込まれる。このと
き、胴部(1)が加熱された状態であるから、被打抜き
部(30)(30)は、凹陥部(42)(42)に対し
て溶着により一体化される。
【0012】上記刻印作業の終了時点では、弗素樹脂シ
ート(3a)から打ち抜かれた被打抜き部(30)(30)は、胴部
(1) の内面に形成された凹陥部(42)(42)内に焼付けられ
ているから、これら被打抜き部(30)(30)と凹陥部(42)(4
2)との結合強度は十分なものとなる。尚、この刻印作業
では、図1の一点鎖線で示すように、水量目盛(2) の形
成域の全体を被覆する大きさの弗素樹脂シート(3a)が用
いられる。従って、この刻印作業の後で、余剰の弗素樹
脂シート(3a)を除去すると、水量目盛(2) の部分のみが
被打抜き部(30)(30)によって被覆されたものとなる。つ
まり、着色された水量目盛(2) となる。
【0013】さらに、上記の刻印作業の次に、この炊飯
釜を十分冷却して、前記表示部の被打抜き部(30)(30)を
固化させた後に、胴部(1) の内表面を旋盤等によって平
滑に削り仕上げ、その後、アルマイト処理によってこの
炊飯釜の表面に防食性被膜を形成させて完成する。尚、
この実施例の刻印作業においては、凹陥部(42)(42)内に
押し込まれた被打抜き部(30)(30)は、凹陥部(42)(42)側
から加熱され溶融されるが、このときの加熱温度及び加
圧時間は、押圧の際に、前記被打抜き部(30)(30)におけ
る刻印型部(40)(40)との接触面にまで溶融が達しない程
度に設定される。このため、この刻印作業においては、
前記刻印型部(40)(40)に溶融した樹脂が付着するような
ことがない。
【0014】又、上記刻印作業に際して、前記胴部(1)
は、約250 ℃に加熱される。尚、この実施例のもので
は、胴部(1) を加熱する方法を採用しているが、これを
刻印用型(4) を加熱する方法とすることもできる。ただ
し、この方法の場合、弗素樹脂シート(3a)を溶融させる
のに十分な温度が必要であり、又、加熱した刻印用型
(4) が弗素樹脂シート(3a)を押圧するときに、溶融した
被打抜き部(30)(30)が前記刻印用型(4) の刻印型部(40)
(40)側に付着しないようにすることが必要である。
【0015】この刻印用型(4) を加熱する方式では、前
記弗素樹脂シート(3a)を、図6に示すように、樹脂層(3
1a) における刻印用型(4) 側の面に台シート(31b) を接
合した構成としている。そして、この弗素樹脂シート(3
a)は、前記刻印型部(40)(40)によって胴部(1) 側に押圧
されると、樹脂層(31a) から刻印型部(40)(40)に一致す
る部分のみが打ち抜かれるが、前記台シート(31b) は剪
断されないことが必要となる。
【0016】このために、前記台シート(31b) は十分な
引き裂き強度を有するものを採用している。又、この台
シート(31b) は、その溶融温度が前記樹脂層(31a) のそ
れよりも十分高いものを採用している。上記構成の弗素
樹脂シート(3a)を用いて刻印作業を行うと、前記樹脂層
(31a)から被打抜き部(30)(30)のみが凹陥部(42)(42)内
に押し込まれ溶着される。その後、刻印用型(4) の押圧
力を除去し弗素樹脂シート(3a)を取り外すと、凹陥部(4
2)(42)内に溶着した前記被打抜き部(30)(30)が台シート
(31b) からはがれる。さらに、このとき、上記台シート
(31b) が刻印型部(40)(40)と樹脂層(31a) との間に介在
することから、溶融した樹脂が前記刻印型部(40)(40)に
付着する不都合が防止される。
【0017】尚、本実施例では、既述のアルマイト処理
による防食加工を採用しているが、その代わりに、弗素
などの樹脂コーティング被膜を形成させる方法でも良
い。又、上記実施例のものでは炊飯釜をアルミニューム
合金製の鋳造品としたが、これをアルミニューム合金製
のプレス成形品とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】炊飯釜の水量目盛の説明図
【図2】従来の水量目盛の色入れ工程の説明図
【図3】本発明実施例の刻印方法の説明図
【図4】本発明の方法による刻印工程の要部断面図
【図5】刻印工程終了後の要部断面図
【図6】刻印用型(4) を加熱する方法の場合の弗素樹脂
シート(3a)の説明図
【符号の説明】
(1) ・・・胴部 (3a)・・・樹脂シート (4) ・・・刻印用型 (40)・・・刻印型部 (30)・・・被打抜き部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炊飯釜の胴部(1)の内周面に形成され
    る水量目盛等の刻印表示部をその他の内周面と相違する
    色彩とするようにした炊飯釜の刻印表示部形成方法にお
    いて、 胴部(1)の内周面と異なる色彩の弗素樹脂シート(3
    a)を前記内周面とこれに対向する刻印用型(4)との
    間に介在させ、 胴部(1)を加熱した状態に於いて前記内周面に対して
    刻印用型(4)の刻印型部(40)(40)を加圧させ
    ることによって、刻印型部(40)(40)で前記内周
    面に所定の刻印凹部を形成すると同時に、弗素樹脂シー
    ト(3a)における刻印型部(40)(40)に一致す
    る部分を打ち抜き、その被打抜き部(30)(30)が
    溶融圧着により前記刻印凹部に結合一体化するようにし
    た炊飯釜の刻印表示部形成方法。
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