JP2786923B2 - 紙葉類繰出し装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、紙葉類を供給部から１枚ずつ繰出して処理
部に送る紙葉類繰出し装置に関するものである。

〔従来の技術〕

紙葉類を順次処理していく紙葉類処理機、例えば計数
処理部に紙葉類を送って計数する計数機や読取り処理部
に送信用文書を送って読取り送信処理を行なうファクシ
ミリ等においては、紙葉類供給部の送出側に、紙葉類を
１枚ずつ繰出すようにした紙葉類繰出し装置が設けられ
ている。従来のこの種の繰出し装置は、供給部送出側に
位置して駆動装置により紙葉類繰出し方向に回転駆動さ
れる繰出しローラと、この繰出しローラの周面に対向す
る部材とで、繰出しローラの周面に接する１枚の紙葉類
を繰出しつつ、２枚目以降の紙葉類の同時繰出しを防止
するようになっている。例えば実公昭60−10982号公報
に示された装置では、繰出しローラ（送り込みローラ）
に対し、その周面に対向した凹弧状の案内面を有する挟
着案内体を固定的に設けるとともに、上記案内面に、繰
出しローラの周面に向けて突出した軟質ゴム等からなる
可撓性突起部を設け、この突起部が繰出しローラによる
紙葉類の巻込みにより変形して摩擦力を高めることによ
り２枚の紙葉類の同時繰出しを阻止するようにしてい
る。

〔発明が解決しようとする課題〕

ところが、上記従来装置のように繰出しローラに対向
する案内面に可撓性突起部を設けるという程度の構造で
は、単に可撓性突起部が繰出しローラによる紙葉類の巻
込みに応じて変形するだけなので、その変形量が小さ
い。しかも、繰出すべき紙葉類を可撓性突起部と繰出し
ローラの周面との間にスムーズに導入するためには、可
撓性突起部を柔軟にしておく必要があるので、わずかな
変形によるだけで充分に摩擦力を高めることは難しい、
従ってこの構造によると、紙葉類の繰出時に、次位以降
の紙葉類が、同時繰出しには至らなくとも、繰出される
紙葉類に引きずられてある程度ずれ動いたり、このよう
なずれ動きにつれて紙葉類が傾いたりする可能性があ
る。そしてこのような状態になると、その後の紙葉類繰
出し時に紙葉類の繰出し方向への位置ずれや蛇行が生
じ、紙葉類の処理に支障をきたすおそれがある。

本発明はこのような事情に鑑み、紙葉類を１枚ずつス
ムーズに繰出し、かつ、次位以降の紙葉類の不適正なず
れ動きを充分に抑制し、位置ずれや蛇行等の繰出し不良
を防止することができる紙葉類繰出し装置を提供するこ
とを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は上記の目的を達成するため、紙葉類供給部の
送出側に配置された繰出しローラと、この繰出しローラ
の外方に位置し、繰出しローラ周面に向けて付勢され、
かつ、繰出しローラと平行な支軸に揺動可能に支持され
て、紙葉類繰出し時の上記繰出しローラの回転に伴い基
本位置から繰出し方向側に揺動する繰出し規制部材と、
この繰出し規制部材を上記基本位置に復帰させる復帰手
段とを備え、上記回転規制部材の先端に、頂部が上記繰
出しローラの周面に密接する紙葉類押え部を設け、この
紙葉類押え部の頂部に連なる紙葉類導入側部分に、上記
繰出し規制部材の繰出し方向側への揺動につれて繰出し
ローラ周面とのなす角度が次第に小さくなる紙葉類規制
案内面を形成したものである。

〔作用〕

上記構成によると、紙葉類繰出し時に、上記繰出しロ
ーラの回転に伴って上記繰出し規制部材が繰出し方向側
に揺動し、それにつれて上記紙葉類案内規制面と繰出し
ローラ周面とのなす角度が小さくなることにより、紙葉
類案内面と繰出しローラ周面との間の楔状空間に紙葉類
がスムーズに導かれてローラ周面に接する紙葉類が繰出
されるとともに、次位以降の紙葉類に対しては紙葉類案
内面による挟着角度が狭められることと接触面積が増加
することとで充分に摩擦力が高められることになる。

〔実施例〕

本発明の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図および第２図は本発明の繰出し装置の一実施例
を示す。これらの図において、紙葉類供給部２から紙葉
類１を１枚ずつ繰りだす繰出し機構は、紙葉類供給部２
の送出側に配置された繰出しローラ５と、この繰出しロ
ーラ５の周面に対向する紙葉類押え部11を有して繰出し
ローラ５の前部上方に位置する繰出し規制部材10を備え
ている。上記紙葉類供給部２は、積み重ねられた紙葉類
１を傾斜状態に収容して送出側に案内するように、傾斜
した紙葉類支持プレート３とこれに対向する上方側プレ
ート４とで構成されている。上記両プレート3,4には、
繰出しローラ５および繰出し規制部材10に対応する箇所
に切欠部3a,4aが形成されるとともに、繰出し機構の繰
出し前方に延びる案内部3b,4bが連なっている。そし
て、上記繰出し機構により繰出された紙葉類が、案内部
3b,4bを経て、用途に応じた紙葉類の処理（例えば後述
の読取り処理）を行なう処理部に送られるようになって
おり、処理部には引取りローラ６が具備されている。

上記繰出しローラ５および引取りローラ６は、図外の
ステップモータ等の駆動手段とこれを制御する制御回路
により、それぞれ所定のタイミングで断続的に駆動さ
れ、例えば、紙葉類供給部２に紙葉類が収容されている
繰出し可能な条件下で繰出しローラ５が繰出し方向に回
転駆動され、繰出された紙葉類１が処理部に達すれば引
取りローラ６が駆動されるとともに繰出しローラ５が停
止され、さらに、引取りローラ６の駆動により紙葉類１
が一定位置まで移動した段階で繰出しローラ５が再駆動
されることにより、一定間隔置きに紙葉類１が繰出され
るようになっている。

上記繰出し規制部材10は、第２図にも示すように、繰
出しローラ３と平行な支軸12に揺動可能に支持された揺
動板13を備え、この揺動板13の先端に紙葉類押え部11が
固着されている。上記揺動板13は、その中間部に形成さ
れた長孔14が支軸12が係合し、長孔14の範囲内で繰出し
ローラ５に対する進退方向の移動が許容されつつ、支軸
12を中心に揺動可能となっている。上記揺動板13の周囲
に位置して支軸12に当接するスプリング受け15と上記紙
葉類押え部11との間には、紙葉類押え部11および揺動板
13を繰出しローラ３に向けて付勢するスプリング16が設
けられている。

こうして繰出し規制部材10は、一定範囲内で、紙葉類
押え部11の先端が繰出しローラ５の周面に密接した状態
を保ちつつ揺動可能となり、第１図に示すような紙葉類
供給部側に傾いた位置を基本位置として、紙葉類繰出し
時に繰出しローラ５の回転に伴って繰出し方向側に揺動
するように構成されている。

繰出し規制部材10の先端の紙葉類押え部11は、側方か
ら見て略三角形状に形成され、その頂部11aが繰出しロ
ーラ３の外周に臨み、頂部11aに連なって紙葉類導入側
（紙葉類供給部側）の斜め上方に延びる斜面部分が、紙
葉類規制案内面11bを構成している。この紙葉類規制案
内面11bと繰出しローラ５の周面（紙葉類押え部11に対
応する位置での接線）とのなす角度は、繰出し規制部材
10が上記基本位置にあるときに比較的大きく、繰出し規
制部材10が繰出し方向側に揺動するにつれて次第に小さ
くなる。

また、上記繰出し規制部材10の側方には、繰出し規制
部材10を基本位置に復帰させる復帰手段としてソレノイ
ド20が設けられ、このソレノイド20のロッド21と上記揺
動板13とがリンク22を介して連結されている。そして、
上記ソレノイド20がON（励磁）状態となったときに繰出
し規制部材10が第１図に示す所定の基本位置とされ、上
記ソレノイド16がOFF（消磁）状態となると繰出し規制
部材10の繰出し方向前方側への揺動が許容されるように
なっている。

このような当実施例の紙葉類繰出し装置の動作を、第
１図と動作説明図である第３図とによって説明する。

紙葉類の繰出しが開始される前は、繰出し規制部材10
が上記基本位置（第１図および第３図中の二点鎖線の状
態）にあり、この状態で、紙葉類供給部２に複数枚の紙
葉類１が収容されて繰出し条件が成立すると、繰出しロ
ーラ５が所定方向に回転駆動されて繰出し動作が開始さ
れる。この繰出し動作の初期段階では、紙葉類押え部11
の紙葉類規制案内面11bと繰出しローラ周面とのなす角
度が大きいため、その間の楔状空間17に紙葉類１が容易
に導かれる。

この状態から、上記繰出しローラ５の回転に伴い、繰
出し規制部材10が繰出し方向側の所定位置（第３図中の
実線の状態）まで揺動し、この揺動につれて、紙葉類規
制案内面11bと繰出しローラ周面とのなす角度が次第に
小さくなる。そして、積重ねられた複数枚の紙葉類１が
上記紙葉類規制案内面11bに沿って整列した状態で、繰
出しローラ５が引続き回転することによりその周面に接
した１枚の紙葉類１が繰出される。このとき、上記のよ
うに繰出し規制部材10が所定位置まで揺動していること
により、次位以降の紙葉類１に対しては、紙葉類規制案
内面11bと繰出しローラ周面とによる挟着角度が狭くな
り、かつ、紙葉類規制案内面11bによる接触面積が大き
くなるために、摩擦力が充分に大きくなる。従って、次
位以降の紙葉類１のずれ動きが抑制される。

その後は、繰出しローラ５がいったん停止されてか
ら、先に繰出れた紙葉類１と一定間隔をおいて次の紙葉
類１が繰出されるという動作が繰返され、その間は、第
２図中に実線で示した状態での紙葉類規制案内面11bに
より紙葉類のずれ動き抑制作用が維持されることによ
り、不適正なずれ動きが抑制されつつ各紙葉類が順次繰
出されていくこととなる。

上記繰出し規制部材10は適当な時期にソレノイド20の
ON作動によって上記基本位置に戻され、例えば紙葉類供
給部２内の紙葉類１を順次繰出していく一連の動作が終
了した段階で基本位置に戻される。

第５図は、上記繰出し装置をファクシミリに適用した
場合の具体例を示している。この図に示すファクシミリ
は、既存の電話器に接続されるような簡易タイプのもの
であって、本体30の上面部にスタータスイッチ等を有す
る操作部（図示せず）が設けられるとともに、本体30の
後部上方に、紙葉類（送信用文書）の挿入口31が開口
し、この挿入口31に紙葉類供給部２が連なっている。上
記挿入口31は、送信用文書の支持部を兼ねる蓋体32で開
閉されるようになっている。

上記本体30の内部には、紙葉類供給部２の送出端側
に、繰出しローラ５と、紙葉類押え部11を有する揺動可
能な繰出し規制部材10とを備えた繰出し機構が設けられ
るとともに、その前方に、送信用の処理部として、引取
りローラ６とこれに密接する密着型イメージセンサ（CI
S）33が設けられている。そして、繰出し機構により繰
出された紙葉類が上記処理部の引取りローラ６とCIS33
との間を通過するときに画像が読取られて送信処理が行
なわれ、上記処理部を経た紙葉類は送出口34に送られる
ようになっている。上記繰出しローラ５および繰出し規
制部材10等は第１図と同様に構成されている。また、上
記繰出しローラ５および引取りローラ６はそれぞれステ
ップモータ35,36によりギヤ（図示省略）等を介して駆
動される。そして、紙葉類供給部２内の紙葉類の存在を
検出する第１検出スイッチ37、繰出しローラ５と引取り
ローラ６との間の経路において紙葉類を検出する第２検
出スイッチ38およびスタートスイッチ等からの信号に基
づき、制御回路（図示省略）によって上記ステップモー
タ35,36が制御されることにより、上記各ローラ5,6の駆
動、停止がそれぞれ所定のタイミングで行なわれるよう
になっている。なお、このような送信系統のほかに、感
熱紙ローラ39と、このローラ39から導出された感熱紙に
受信画像を転写する感熱ヘッド（TPH）40およびTPH用ロ
ーラ41と、TPH用ローラ41を駆動するステップモータ42
等からなる受信系統も、本体30の内部に設けられてい
る。

なお、上記実施例では、繰出し規制部材10を基本位置
に復帰させる復帰状態としてソレノイド20を用いている
が、ソレノイド以外のアクチュエータを用いてもよく、
また、繰出しローラ５の回転に伴う繰出し規制部材10の
揺動力よりは弱いスプリングで上記基本位置方向へ付勢
するようにしてもよい。あるいは、正逆転可能な駆動手
段により繰出し動作後に繰出しローラ５を逆転させるこ
とにより、それに伴って繰出し規制部材10が復帰するよ
うにしてもよい。

また、本発明の紙葉類繰出し装置は、上記の例に示す
ファクシミリ以外にも、紙葉類を供給部から１枚ずつ繰
出して処理を行なう各種用途に適用することができるも
のであり、繰出された紙葉類を処理する処理部は用途に
応じた構造を採用すればよい。

〔発明の効果〕

以上のように本発明は、繰出しローラ周面に向けて付
勢されて繰出しローラと平行な支軸に揺動可能に支持さ
れた規制部材の先端に、紙葉類規制案内面を有する紙葉
類押え部を設け、紙葉類繰出し時の繰出しローラの回転
に伴って繰出し規制部材が基本位置から繰出し方向側へ
揺動するとともに、その揺動につれて上記紙葉類規制案
内面と繰出しローラ周面とのなす角度が次第に小さくな
るように構成しているため、紙葉類を紙葉類規制案内面
と繰出しローラ周面との間にスムーズに導き、かつ、繰
出しローラ周面に接する紙葉類を繰出しつつ、次位以降
の紙葉類に対して上記紙葉類規制案内面による摩擦力を
充分に高め、紙葉類の不適正なずれ動きを抑制する効果
を高めることができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の紙葉類繰出し装置の一実施例を示す概
略断面図、第２図は繰出し規制部材の斜視図、第３図は
この装置の動作を示す説明図、第４図はこの装置のファ
クシミリに適用した例を示す要部の断面図である。 １……紙葉類、２……紙葉類供給部、５……繰出しロー
ラ、10……繰出し規制部材、11……紙葉類抑え部、11a
……頂部、11b……紙葉類規制案内面、12……支軸、20
……ソレノイド（復帰手段）。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】紙葉類供給部の送出側に配置された繰出し
   ローラと、この繰出しローラの外方に位置し、繰出しロ
   ーラ周面に向けて付勢され、かつ、繰出しローラと平行
   な支軸に揺動可能に支持されて、紙葉類繰出し時の上記
   繰出しローラの回転に伴い基本位置から繰出し方向側に
   揺動する繰出し規制部材と、この繰出し規制部材を上記
   基本位置に復帰させる復帰手段とを備え、上記回転規制
   部材の先端に、頂部が上記繰出しローラの周面に密接す
   る紙葉類押え部を設け、この紙葉類押え部の頂部に連な
   る紙葉類導入側部分に、上記繰出し規制部材の繰出し方
   向側への揺動につれて繰出しローラ周面とのなす角度が
   次第に小さくなる紙葉類規制案内面を形成したことを特
   徴とする紙葉類繰出し装置。