JP2786757B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真感光体の製造方法

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JP2786757B2 JP15374891A JP15374891A JP2786757B2 JP 2786757 B2 JP2786757 B2 JP 2786757B2 JP 15374891 A JP15374891 A JP 15374891A JP 15374891 A JP15374891 A JP 15374891A JP 2786757 B2 JP2786757 B2 JP 2786757B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、導電性基体上にシリコ
ンを母体とする光受容部層を形成した電子写真感光体の
製造方法に関する。
【0002】本発明は、電子写真複写機、レーザービー
ムプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター、レ
ーザー製版機等、電子写真技術応用分野に広く用いるこ
とができる電子写真感光体の製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】従来、電子写真感光体に用いるものとし
て、非単結晶堆積膜、例えば水素及び(または)ハロゲ
ン(例えば弗素、塩素等)で補償されたアモルファスシ
リコン等のアモルファス堆積膜が提案され、その幾つか
は実用に付されている。こうした堆積膜の形成方法とし
て従来、スパッタリング法、熱により原料ガスを分解す
る方法(熱CVD法)、光により原料ガスを分解する方
法(光CVD法)、プラズマにより原料ガスを分解する
方法(プラズマCVD法)等、多数の方法が知られてい
る。中でも、プラズマCVD法、すなわち、原料ガスを
直流、高周波またはマイクロ波グロー放電等によって分
解し、基体上に薄膜状の堆積膜を形成する方法は、電子
写真用アモルファスシリコン堆積膜の形成方法に最適で
あり、現在実用化が非常に進んでいる。こうした例が例
えば特開昭54−86341号公報に記載されている。
【0004】このアモルファスシリコン感光体は、無公
害であり、高画質、高耐久といった特徴があり、現在実
用に付されているアモルファスシリコン感光体も、十分
にその特徴を現わしているものである。しかしながら、
アモルファスシリコン感光体が今後、ますます普及して
いくためにはさらにコストダウン、さらに電気特性のア
ップ、さらに高耐久が望まれている。
【0005】また、近年では地球規模の環境汚染が問題
になってきており、環境汚染につながるものはもちろん
のこと製造段階での使用についても早急に改善しなけれ
ばならなくなっている。アモルファシシリコン感光体自
身は無公害であるがそれを製造する段階において感光体
の基体部分であるシリンダーの洗浄から、製造後の梱包
までこうした点から再検討を行なう必要が生じてきてい
る。
【0006】アモルファスシリコン感光体を作製する
際、膜を作製する前の基体の洗浄については、従来から
注意が必要であることが知られている。アモルファスシ
リコン感光体を堆積するための基体としては、帯電、露
光、現像、転写、クリーニングといった電子写真プロセ
スに耐え、また画質を落さないために常に位置精度を高
く保つため、金属を使用する場合が多い。そのため、特
に加工性、寸法安定性などの優れているアルミニウム合
金が広く採用されている。一般にこれら基体の加工時に
は、切削油等の油系物質を使い旋盤加工される。そのた
め、加工後の基体には必ず油系物質の残渣があり、さら
には加工時の切削粉、空気中の粉塵等が付着している。
洗浄が不十分でこれらの残渣が残っていると、欠陥の無
い均一な堆積膜が形成できなかったり十分な電気特性が
得られず、特に長時間使ったとき画像不良を引き起こし
てしまうといった問題点が知られている。したがって、
電子写真感光体を製造する際には、細心の注意を払い基
体を十分に洗浄することが必要である。
【0007】こうした中で、例えば特開昭61−171
798号公報には電子写真感光体の基体の加工方法に関
する技術が記載されている。該公報には、特定の成分に
よる切削油を使用し、基体を切削することにより良好な
品質のアモルファスシリコン等の電子写真感光体を得る
技術が開示されている。また該公報中には切削後、基体
をトリエタン(トリクロルエタン:C23 Cl3 )で
洗浄することが記載されている。このような方法により
洗浄された基体を用いて作製された感光体はある程度の
特性が得られ、特に大きな問題もなく現在広く使用され
るようになっているがトリクロルエタンのような有機溶
剤は、人体のみならず地域環境に悪影響を与えることか
ら、その使用を避けなければならないものである。
【0008】この問題を解決すべく、近年では前述の洗
浄に代わって水系による基体の洗浄方法がいくつか提案
されている。
【0009】例えば、特開平1−130159号公報に
は、水ジェットにより電子写真用の基体を洗浄する技術
が開示されている。該公報には感光体の例として、セレ
ン、有機光導電体と同時にアモルファスシリコンが挙げ
られており、アモルファスシリコン感光体にも、当技術
が応用できることが示唆されている。しかしながら該公
報には実際に行なったときの問題点について、特にプラ
ズマCVD法特有の問題点については全く触れられてい
ないのが実状である。
【0010】また、特開昭63−264764号公報に
は、水ジェットにより基体表面を粗面化する技術が開示
されている。
【0011】また一方、アモルファスシリコン感光体の
高品質化の検討も層構成の検討を行なうことにより着実
に進歩している。
【0012】例えば、特開昭54−145540号公報
には、炭素を化学修飾物質として0.1〜30原子%含
むアモルファスシリコンを電子写真感光体の光導電層と
して使用することにより、暗抵抗が高く、光感度の良好
な優れた電子写真特性を示すことが示されている。
【0013】また、特開昭57−119357号公報に
は、アモルファスシリコン中に炭素原子を基体側に多く
分布させることによって優れた特性の電子写真感光体が
得られることが開示されている。
【0014】こうした技術により、電子写真感光体の性
能は改善されてきているがまだまだ改善の余地が残って
いるのが現状である。
【0015】まずポチと呼ばれる黒点状あるいは白点状
の画像欠陥の低減は大きく望まれている点の1つであ
る。現在では、高画質の要求から従来あまり問題にされ
なかった微小な大きさのポチの低減までが望まれるよう
になってきている。
【0016】このポチの原因についての解析も日々進ん
でおり、いくつかの知見が得られるようになっている。
ポチの原因はほとんどがアモルファスシリコン膜を堆積
している時に発生するダスト等が原因である球状突起と
呼ばれる異状成長によるものである。さらにそれ以外に
耐久を続けていくにしたがって増えてくる耐久ポチとい
うものもあり、これはトナーの飛散や紙粉が分離帯電器
へ混入することが原因である。こうしたいくつかの原因
から起こる画像欠陥を減らすために感光体を製造する者
としては、堆積膜形成装置内のクリーン度のアップはも
ちろんのこと、堆積膜を形成する方法の改良や製法面か
らアモルファスシリコン感光体の耐圧のアップ等の対策
を行なっていかなければならない。
【0017】また、近年の電子写真複写機には、より高
画質、高機能が望まれている。そのため写真等のハーフ
トーンを含む原稿を忠実に再現できることが必要であ
り、電子写真感光体には特性のむら、特にハーフトーン
のむらの低減が切望されている。また、近年普及してき
たフルカラー複写機においては、このむらは色の微妙な
むらとなり、視覚的に明らかに認識されるものとなるた
め、大きな問題となっている。
【0018】こうした問題点について導電性基体の洗浄
の工程から堆積膜作製の工程まで含めた、トータルの検
討が必要になっているのが現状である。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の点に鑑
みなされたものであって、上述のごときシリコン原子を
母体とする材料で構成された従来の光受容層を有する電
子写真感光体における諸問題を解決し、電気特性が非常
に優れ、画像欠陥を非常に低減した感光体を安価に歩留
まりよく供給することを目的とするものである。
【0020】すなわち、本発明の主たる目的は、有機溶
剤を製造工程で用いず、従って環境保全に優れ、しかも
製造した電子写真感光体の外観不良での歩留まりを大幅
に改善し、画像欠陥、ハーフトーンむら等の特性に特に
優れ、使用環境を選ばない感光体を低コストで製造する
方法を提供するものである。
【0021】本発明の他の目的は、導電性基体上に設け
られる層と導電性基体との間や積層される層の各層間に
おける密着性に優れ、均一で品質の高いシリコン原子を
母体とする材料で構成された光受容層を有する電子写真
感光体を提供することにある。
【0022】本発明のさらに他の目的は、電子写真感光
体として適用させた場合、静電像形成のための帯電処理
の際の電荷保持能力が十分であり、ハーフトーンが鮮明
に出て、かつ解像度の高い高品質画像を容易に得ること
ができる、通常の電子写真法にきわめて有効に適用され
得る優れた電子写真特性を示す、シリコン原子を母体と
する材料で構成された光受容層を有する電子写真感光体
を製造する方法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来の堆
積膜形成方法における上述の問題点を克服すべく、生産
性とコストダウンの点、また環境保護の立場から鋭意検
討を行なった結果、上記目的を達成できたものである。
【0024】本発明は上記知見に基づいて完成せしめた
ものであり、その骨子とするところは、導電性の基体の
表面を所定の精度で切削する工程、切削後の基体表面を
水で洗浄する工程、洗浄した基体の表面を純水に接触さ
せて基体表面を清浄にする工程、清浄にした基体上に、
シリコン原子を母体とする非単結晶材料で構成された光
導電層及び表面層からなる光受容部層を形成する工程、
及び、前記光導電層中に全層にわたって炭素原子及び水
素原子を含有するとともに、前記炭素原子の含有量が層
厚方向に不均一でかつ前記基体側において高く分布して
なる、前記表面層中に炭素原子及び水素原子を含有して
いる光導電層をプラズマCVD法により導電性基体上に
形成する工程を有することを特徴としている。
【0025】以下、アルミニウム合金製シリンダーを導
電性基体として用いて、本発明の電子写真感光体の製造
方法により電子写真感光体を実際に形成する手順の一例
を、図1に示す導電性基体の前処理装置、及び図2
(a)、図2(b)に示すマイクロ波CVD法による堆
積膜形成装置を用いて説明する。
【0026】まず、図示しない精密切削用のエアダンバ
ー付旋盤(PNEUMO PRECLSION INC.製)に、ダイヤモンド
バイト(商品名:ミラクルバイト、東京ダイヤモンド
製)を、シリンダー中心角に対して5°の角のすくい角
を得るようにセットする。次に、この旋盤の回転フラン
ジに、基体を真空チャックし、付設したノズルから白灯
油噴霧、同じく付設した真空ノズルから切り粉の吸引を
併用しつつ、周速1000m/min、送り速度0.0
1mm/Rの条件で外形が108mmとなるように鏡面
切削を施す。切削が終了した基体は、図1に示す基体前
処理装置により基体表面の処理を行なう。図1に示す基
体前処理装置は、処理部102と基体搬送機構103よ
りなっている。処理部102は、基体投入台111、基
体洗浄槽121、純水接触槽131、乾燥槽141、基
体搬出台151よりなっている。洗浄槽121、純水接
触槽131とも液の温度を一定に保つための温度調節装
置(図示せず)が付いている。搬送機構103は、搬送
レール165と搬送アーム161よりなり、搬送アーム
161は、レール165上を移動する移動機構162、
導電性基体101を保持するチャッキング機構173及
びチャッキング機構163を上下させるためのエアーシ
リンダー164よりなっている。切削後、基体投入台1
11上に置かれた導電性基体101は、搬送機構103
により洗浄槽121に搬送される。洗浄槽121中の主
として界面活性剤水溶液よりなる洗浄液122中で超音
波処理されることにより表面に付着している切削油及び
切り粉の洗浄が行なわれる。次に導電性基体101は、
搬送機構103により純水接触槽131へ運ばれ、25
℃の温度に保たれ抵抗率17.5MΩ−cmの純水をノ
ズル132から50kg・f/cm2 の圧力で吹き付け
られる。純水接触工程の終わった導電性基体101は搬
送機構103により乾燥槽141へ移動され、ノズル1
42から高温の高圧空気を吹き付けられ乾燥される。乾
燥工程の終了した導電性基体101は、搬送機構103
により基体搬出台151に運ばれる。
【0027】次にこれらの切削加工及び前処理の終了し
た導電性基体表面に図2(a)及び図2(b)に示すマ
イクロ波プラズマCVD法による光導電部材堆積膜の形
成装置により、アモルファスシリコンを主体とした堆積
膜を形成する。図2(a)、(b)において、堆積膜形
成用の反応容器201は、真空機密化構造をなしてい
る。また、マイクロ波導入誘電体窓202は、マイクロ
波電力を反応容器201内に効率よく透過し、かつ真空
気密を保持し得るような材料(例えば石英ガラス、アル
ミナセラミックス等)で形成されている。マイクロ波電
力の伝送を行なう導波管203は、マイクロ波電源(図
示せず)から反応容器近傍までの矩形の部分と、反応容
器201に挿入された円筒形の部分からなっている。導
波管203はスタブチューナ(図示せず)、アイソレー
ター(図示せず)とともにマイクロ波電源(図示せず)
に接続されている。誘電体窓202は、反応容器内の雰
囲気を保持するために導波管203の円筒形の開口部分
で反応容器201の内壁に気密封止されている。排気管
204は一端が反応容器201に開口し、他端が排気装
置(図示せず)に連通している。放電空間206は導電
性基体205により囲まれた空間である。電源211は
バイアス印加用の電極212に直流電圧を印加するため
の直流電源(バイアス電源)であり、電極212に電気
的に接続されている。
【0028】こうした堆積膜形成装置を使用した電子写
真感光体の製造は以下のようにして行なう。まず真空ポ
ンプ(図示せず)により排気管204を介して、反応容
器201内を排気し、反応容器201内の圧力を1×1
-7torr以下に調整する。ついでヒーター207に
より、基体205の温度を所定の温度に加熱保持する。
その後原料ガスを不図示のガス導入手段を介して、アモ
ルファスシリコンの原料ガスとしてシランガス、ドーピ
ングガスとしてジボランガス、希釈ガスとしてヘリウム
ガス等の原料ガスを反応容器201内に導入する。それ
と同時併行的にマイクロ波電源(図示せず)により周波
数2.45GHzのマイクロ波を発生させ、これを導波
管203を通じ、誘電体窓202を介して反応容器20
1内に導入する。さらに放電空間206中のバイアス電
極212に電気的に接続された直流電源211によりバ
イアス電極212に基体205に対して直流電圧を印加
する。かくして導電性基体205により囲まれた放電空
間206において、原料ガスはマイクロ波のエネルギー
により励起されて解離し、さらにバイアス電極212と
基体205の間の電界により定常的に導電性基体205
上にイオン衝撃を受けながら、基体205表面に堆積膜
が形成される。このとき、導電性基体205が設置され
た回転軸209をモーター210により回転させ、導電
性基体205を基体母線方向中心軸の周りに回転させる
ことにより、導電性基体205全周にわたって均一に堆
積膜層を形成する。
【0029】こうした製造装置により例えば表2に示さ
れるような条件により、図5に示すように基体501上
に、本発明の必須要件である光導電層502、表面層5
03からなる光受容部材504の作製をすることができ
る。
【0030】こうした手順にしたがって、連続して電子
写真感光体の作製が効率よく行なわれる。
【0031】本発明において、洗浄工程に使用される洗
浄液は、水または水に界面活性剤を添加したものが望ま
しい。またその水質は、いずれでも可能である。また洗
浄工程で用いられる界面活性剤は、陰イオン界面活性
剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界
面活性剤、またはそれらの混合したもの等、いずれのも
のでも可能である。またトリポリリン酸ナトリウム等の
添加剤を添加しても本発明は有効である。
【0032】本発明の洗浄工程で用いられる水の温度
は、高すぎると導電性基体表面に酸化膜が発生してしま
い、堆積膜の剥れ等の原因となる。また、低すぎると洗
浄効果が小さく、さらに本発明の効果が十分得られな
い。このため、水の温度としては、10℃以上、90℃
以下、好ましくは20℃以上、75℃以下、最適には3
0℃以上、55℃以下が本発明には適している。
【0033】本発明において洗浄工程に超音波を用いる
ことは本発明の効果を十分に出す上で重要である。超音
波の周波数は、好ましくは100Hz以上、10MHz
以下、さらに好ましくは1kHz以上、5MHz以下、
最適には10kHz以上100kHz以下が効果的であ
る。超音波の出力は、好ましくは10W以上、100k
W以下、さらに好ましくは100W以上、10kW以下
が効果的である。
【0034】本発明の純水接触工程に使用される水の水
質は、非常に重要であり半導体グレードの純水、特に超
LSIグレードの超純水が望ましい。具体的には、水温
25℃のときの抵抗率として、1MΩ−cm以上、好ま
しくは4MΩ−cm以上、最適には10MΩ−cm以上
が本発明には適している。微粒子量としては、0.2μ
m以上が1ミリリットル中に100000個以下、好ま
しくは10000個以下、最適には1000個以下が本
発明には適している。微生物量としては、総生菌数が1
ミリリットル中に1000個以下、好ましくは100個
以下、最適には10個以下が本発明には適している。有
機物量(TOC)は、1リットル中に100mg以下、
好ましくは10mg以下、最適には2mg以下が本発明
には適している。
【0035】上記の水質の水を得る方法としては、活性
炭法、蒸留法、イオン交換法、フィルター濾過法、逆浸
透法、紫外線殺菌法等があるが、これらの方法を複数組
み合わせて用い、要求される水質まで高めることが望ま
しい。
【0036】導電性基体表面に純水を接触させるとき
は、水圧を掛けて吹き付けることが望ましい。吹き付け
る際の水の圧力は、弱すぎると本発明の効果が小さいも
のとなり、強すぎると得られた電子写真感光体の画像
上、特にハーフトーンの画像上で梨肌状の模様が発生し
てしまう。このため、水の圧力としては2kg・f/c
2 以上、300kg・f/cm2 以下、好ましくは1
0kg・/cm2 以上、200kg・f/cm2 以下、
最適には20kg・f/cm2 以上、150kg・f/
cm2 以下が本発明には適している。ただし、本発明に
おける圧力単位kg・f/cm2 は、重力キロクログラ
ム毎平方センチメートルを意味し、1kg・f/cm2
は98066.5Paと等しい。本発明の純水を吹き付
ける方法には、ポンプにより高圧化した水をノズルから
吹き付ける方法、または、ポンプで汲み上げた水を高圧
空気とノズルの手前で混合して、空気の圧力により吹き
付ける方法等がある。
【0037】本発明の純水の流量としては、発明の効果
と、経済性から、導電性基体1本当たり1リットル/m
in以上、200リットル/min以下、好ましくは2
リットル/min以上、100リットル/min以下、
最適には5リットル/min以上、50リットル/mi
n以下が本発明には適している。
【0038】本発明の純水の温度は、高すぎると導電性
基体上に酸化膜が発生してしまい堆積膜の剥れ等の原因
となる、さらに本発明の効果が十分に得られない。ま
た、低すぎるとやはり本発明の効果が十分得られない。
このため、純水の温度としては、5℃以上、90℃以
下、好ましくは10℃以上、55℃以下、最適には15
℃以上、40℃以下が本発明には適している。
【0039】水接触処理の処理時間は、長すぎると導電
性基体上に酸化膜が発生してしまい、短すぎると本発明
の効果が小さいため、10秒以上、30分以下、好まし
くは20秒以上、20分以下、最適には30秒以上、1
0分以下が本発明には適している。
【0040】本発明において、堆積膜形成時の基体表面
の酸化被膜等の影響を取り除くために、堆積膜形成の直
前に基体表面の切削を行なうことは重要なことである。
【0041】切削から水処理までの時間は、長すぎると
基体表面に再び酸化膜が発生してしまい、短すぎると工
程が安定しないため1分以上、16時間以下、好ましく
は2分以上、8時間以下、最適には3分以上、4時間以
下が本発明には適している。水接触処理から堆積膜形成
装置へ投入までの時間は、長すぎると本発明の効果が小
さくなってしまい、短すぎると工程が安定しないため、
1分以上、8時間以下、好ましくは2分以上、4時間以
下、最適には3分以上、2時間以下が本発明には適して
いる。
【0042】本発明において使用される導電性支持体と
しては、例えば、Al,Cr,Mo,Au,In,N
b,Te,V,Ti,Pt,Pd,Fe等の金属、及び
これらの合金、例えばステンレス等が挙げられる。ま
た、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、
セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルム
またはシート、ガラス、セラミック等の電気絶縁性支持
体の少なくとも光受容層を形成する側の表面を導電処理
した基体も用いることができるものであるが、機械的強
度等から金属が好ましい。
【0043】本発明では、導電性基体を所定の精度で切
削した後、表面の形状について加工を行なっても有効で
ある。例えばレーザー光等の可干渉性光を用いて像記録
を行なう場合には、可視画像において現われる干渉縞模
様による画像不良を解消するために、導電性基体表面に
凹凸を設けてもよい。導電性基体表面に設けられる凹凸
は、特開昭60−168156号公報、同60−178
457号公報、同60−225854号等に記載された
公知の方法により作製される。また、レーザー光等の可
干渉光を用いた場合の干渉縞模様による画像不良を解消
する別の方法として、導電性基体表面に複数の球状痕跡
窪みによる凹凸形状を設けてもよい。すなわち、導電性
基体のの表面が電子写真用感光体に要求される解像力よ
りも微少な凹凸を有し、しかも該凹凸は、複数の球状痕
跡窪みによるものである。導電性基体表面に設けられる
複数の球状痕跡窪みによる凹凸は、特開昭61−231
561号公報に記載された公知の方法により作製され
る。
【0044】本発明における光導電層は、導電性基体側
より、構成要素としてシリコン原子と炭素原子、水素原
子、弗素原子を含む非結晶性シリコンカーバイドnc−
SiC(H)からなる光導電層により構成され、所望の
光導電特性、特に電荷保持特性、電荷発生特性、電荷輸
送特性を有する。前記光導電層に含有される炭素原子は
分布をなし、該分布が前記導電性基体の表面に各々平行
な面内では実質的に均一であり、層の厚み方向には不均
一であって、膜厚方向の各点において前記導電性基体側
の含有率が高く、前記表面層側の含有率が低く分布して
いる。炭素原子の含有量としては、前記導電性基体の設
けてある側の表面または表面近傍で0.5%以下であれ
ば前述の導電性基体との密着性向上及び、電荷の注入阻
止の機能が悪化し、さらに静電容量の減少による帯電能
向上の効果が無くなる。また50%以上では残留電位が
発生してしまう。このため、実用的には0.5〜50原
子%、好ましくは1〜40原子%であり、最適には1〜
30原子%とされるのが好ましい。なお、ここで原子%
は原子の箇数を基準とした百分率を表わす。また、本発
明においては光導電層中に水素原子が含有されることが
必要であるが、これはシリコン原子の未結合手を補償
し、層品質の向上、特に光導電性及び電荷保持特性を向
上させるために必須不可欠であるからである。特に炭素
原子が含有された場合、その膜質を維持するためにより
多くの水素原子が必要となるため、炭素含有量にしたが
って含有される水素量が調整されることが望ましい。よ
って、導電性基体の設けてある側の表面の水素原子の含
有量は望ましくは1〜40原子%、より好ましくは5〜
35原子%、最適には10〜30原子%とされるのが好
ましい。
【0045】本発明において、光導電層は真空堆積膜形
成方法によって、所望特性が得られるように適宜成膜パ
ラメーターの数値条件が設定されて作製される。具体的
には、グロー放電法(低周波CVD法、高周波CVD法
またはマイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、ある
いは直流放電CVD法等)によって形成することができ
る。グロー放電法によってnc−SiC:H光導電層を
形成するには、基本的にはシリコン原子(Si)を供給
し得るSi供給用の原料ガスと、炭素原子(C)を供給
し得るC供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給し
得るH供給用の原料ガスと、内部が減圧にし得る反応容
器内に所望の割合のガス状態で導入して、該反応容器内
にグロー放電を生起させ、予め所定の位置に設置されて
ある所定の導電性基体表面上にnc−SiC:Hからな
る層を形成すればよい。
【0046】本発明において、光導電層の層厚は所望の
電子写真特性が得られること及び経済的効果等の点から
適宜所望にしたがって決定され、光導電層については、
好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜40μ
m、最適には20〜30μmとされるのが望ましい。
【0047】本発明の目的を達成し得る特性を有するn
c−SiC(H)からなる光導電層を形成するには、導
電性基体の温度、反応容器内のガス圧を所望にしたがっ
て、適宜設定する必要がある。
【0048】上記光導電層を作製するために本発明にお
いて使用されるSi供給用ガスとなり得る物質として
は、SiH4 ,Si26 ,Si38 ,Si410
のガス状態の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン
類)が挙げられ、さらに層作製時の取り扱い易さ、Si
供給効率のよさ等の点でSiH4 ,Si26 が好まし
いものとして挙げられる。また、これらのSi供給用の
原料ガスを必要に応じてH2 ,He,Ar,Ne等のガ
スにより希釈して使用してもよい。本発明において、炭
素原子導入用の原料物質となり得るものとしては、常温
常圧でガス状のまたは、少なくとも層形成条件下で容易
にガス化し得るものが採用されるのが望ましい。
【0049】炭素原子(C)導入用の原料ガスになり得
るものとして有効に使用される出発物質は、CとHとを
構成原子とする、例えば炭素数1〜5の飽和炭化水素、
炭素数2〜4のエチレン系炭化水素、炭素数2〜3のア
セチレン系炭化水素等が挙げられる。具体的には、飽和
炭化水素としては、メタン(CH4)、エタン(C2
6 )、プロパン(C38 )、n−ブタン(n−C4
10),ペンタン(C512)、エチレン系炭化水素とし
ては、エチレン(C24 )、プロピレン(C3
6 )、ブテン−1(C48 )、ブテン−2(C4
8 )、イソブチレン(C48 )、ペンテン(C5
10)、アセチレン系炭化水素としては、アセチレン
(C22 )、メチルアセチレン(C34 )、ブチン
(C46 )等が挙げられる。
【0050】また、SiとCとを構成原子とする原料ガ
スとしては、Si(CH34 ,Si(C254
のケイ化アルキルを挙げることができる。
【0051】水素原子を光導電層中に構造的に導入する
には、上記の他にH2 ,あるいはSiH4 ,Si2
6 ,Si38 ,Si410等の水素化珪素とSiを供
給するためのシリコンまたはシリコン化合物とを反応容
器中に共存させて放電を生起させることでも行なうこと
ができる。
【0052】光導電層中に含有される水素原子の量を制
御するには、例えば導電性基体の温度、水素原子を含有
させるために使用される原料物質の反応容器内へ導入す
る量、放電電力等を制御すればよい。
【0053】さらに本発明においては、光導電層には必
要に応じて伝導性を制御する原子(M)を含有させるこ
とが好ましい。伝導性を制御する原子は、光導電層中に
万遍なく均一に分布した状態で含有されてもよいし、あ
るいは層厚方向には不均一な分布状態で含有している部
分があってもよい。
【0054】前記の伝導性を制御する原子としては、半
導体分野における、いわゆる不純物を挙げることがで
き、p型伝導特性を与える周期律表III 族に属する原子
(以後「第III 族原子」と略記する)またはn型伝導特
性を与える周期律表V族に属する原子(以後「第V族原
子」と略記する)を用いることができる。
【0055】第III 族原子としては、具体的には、硼素
(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、
(インジウム)(In)、タリウム(Tl)等があり、
特にB,Al,Gaが好適である。第V族原子として
は、具体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン
(Sb)、ビスマス(Bi)等があり、特にP,Asが
好適である。
【0056】光導電層に含有される伝導性を制御する原
子(M)の含有量としては、好ましくは1×10-3〜5
×104 原子ppm、より好ましくは1×10-2〜1×
104 原子ppm、最適には1×10-1〜5×103
子ppmとされるのが望ましい。特に、光導電層におい
て炭素原子(C)の含有量が1×103 原子ppm以下
の場合は、光導電層に含有される原子(M)の含有量と
しては好ましくは1×10-3〜1×103 原子ppmと
されるのが望ましく、炭素原子(C)の含有量が1×1
3 原子ppmを越える場合は、原子(M)の含有量と
しては、好ましくは1×10-1〜5×104 原子ppm
とされるのが望ましい。なお、ここで原子ppmとは原
子の箇数を基準とした100万分率を示す。
【0057】光導電層中に、伝導性を制御する原子、例
えば、第III 族原子あるいは第V族原子を構造的に導入
するには、層形成の際に、第III 族原子導入用の原料物
質あるいは第V族原子導入用の原料物質をガス状態で反
応容器中に、光導電層を形成するための他のガスととも
に導入してやればよい。第III 族原子導入用の原料物質
あるいは第V族原子導入用の原料物質となり得るものと
しては、常温常圧でガス状のまたは、少なくとも層形成
条件下で容易にガス化し得るものが採用されるのが望ま
しい。そのような第III 族原子導入用の原料物質として
具体的には、硼素原子導入用としては、B26 ,B4
10,B59 ,B511,B610,B612,B6
14等の水素化硼素、BF3 ,BCl3 ,BBr3 等の
ハロゲン化硼素等が挙げられる。。この他、AlCl
3 ,GaCl3 ,Ga(CH33,InCl3 ,Tl
Cl3 等も挙げることができる。
【0058】第V族原子導入用の原料物質として本発明
において、有効に使用されるのは、燐原子導入用として
は、PH3 ,P24 等の水素化燐、PH4 I,PF
3 ,PF5 ,PCl3 ,PCl5 ,PBr3 ,PBr
5 ,PI3 等のハロゲン化燐が挙げられる。この他、A
sH3 ,AsF3 ,AsCl3 ,AsBr3,AsF
5 ,SbH3 ,SbF3 ,SbF5 ,SbCl3 ,Sb
Cl5 ,BiH3 ,BiCl 3 ,BiBr3 等も第V族
原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げることが
できる。
【0059】また、これらの伝導性を制御する原子導入
用の原料物質を必要に応じてH2 ,He,Ar,Ne等
のガスにより希釈して使用してもよい。
【0060】さらに本発明の光受容部材の光導電層に
は、周期律表第Ia族、IIa族、VIb族、VIII族から選
ばれる少なくとも1種の元素を含有してもよい。前記元
素は前記光導電層中に万遍なく均一に分布されてもよい
し、あるいは該光導電層中に万遍なく含有されてはいる
が、層厚方向に対し不均一に分布する状態で含有してい
る部分があってもよい。しかしながら、いずれの場合に
おいても導電性基体の表面と平行な面内方向において
は、均一な分布で万遍なく含有されていることが、面内
方向における特性の均一化を図る点からも必要である。
第Ia族原子としては、具体的には、リチウム(L
i)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)を挙げるこ
とができ、第IIa族原子としては、ベリリウム(B
e)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ス
トロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)等を挙げるこ
とができる。
【0061】また、第VIb族原子としては、具体的に
は、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステ
ン(W)等を挙げることができ、第VIII族原子として
は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)
等を挙げることができる。
【0062】導電性基体の温度(Ts)は、層設計にし
たがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好
ましくは20〜500℃、より好ましくは50〜480
℃、最適には100〜450℃とすることが望ましい。
【0063】本発明の光受容部材においては、光導電層
と表面層との間に組成を連続的に変化させた層領域を設
けてもよい。該層領域を設けることにより各層間での密
着性をより向上させることができる。
【0064】さらに本発明の光受容部材においては、光
導電層の前記導電性基体側に、少なくともアルミニウム
原子、シリコン原子、炭素原子及び水素原子が層厚方向
に不均一な状態で含有する層領域を有することが望まし
い。
【0065】本発明における表面層は、構成要素として
シリコン原子と炭素原子、水素原子及び必要によりハロ
ゲン原子とを含有する非単結晶材料で構成される。表面
層には光導電層中に含有されるような伝導性を制御する
物質は実質的に含有されない。
【0066】該表面層に含有される炭素原子は該層中に
万遍なく均一に分布されてもよいし、あるいは層厚方向
には万遍なく含有されてはいるが、不均一に分布する状
態で含有している部分があってもよい。しかしながら、
いずれの場合にも導電性基体の表面と平行面内方向にお
いては、均一な分布で万遍なく含有されることが面内方
向における特性の均一化を図る点からも必要である。
【0067】本発明における表面層の全層領域に含有さ
れる炭素原子は、高暗抵抗化、高硬度化等の効果を奏す
る。表面層中に含有される炭素原子の含有量は、好適に
は40〜90原子%、より好適には45〜85原子%、
最適には50〜80原子%とされるのが望ましい。
【0068】また、本発明における表面層に含有される
水素原子及びハロゲン原子はnc−SiC(H,X)内
に存在する未結合手を補償し膜質の向上に効果を奏し、
光導電層と表面層の界面にトラップされるキャリアーを
減少させるため、画像流れを改善する。さらにハロゲン
原子は表面層の撥水性を向上させるので、水蒸気の吸着
による高湿流れをも減少させる。表面層中のハロゲン原
子の含有量は20原子%以下であり、さらに水素原子と
ハロゲン原子の含有量の和は好適には30〜70原子
%、より好適には35〜65原子%、最適には40〜6
0原子%とするのが望ましい。
【0069】さらに本発明において表面層に、周期律表
第Ia族、IIa族、VIb族、VIII族から選ばれる少なく
とも1種の元素を含有してもよい。前記元素は前記光導
電層中に万遍なく均一に分布されてもよいし、あるいは
該光導電層中に万遍なく含有されてはいるが、層厚方向
に対し不均一に分布する状態で含有している部分があっ
てもよい。しかしながら、いずれの場合においても導電
性基体の表面と平行な面内方向においては、均一な分布
で万遍なく含有されていることが、面内方向における特
性の均一化を図る点からも必要である。
【0070】第Ia族原子としては、具体的には、リチ
ウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)を
挙げることができ、第IIa族原子としては、ベリリウム
(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(C
a)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)等を
挙げることができる。
【0071】また、第VIb族原子としては、具体的に
は、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステ
ン(W)等を挙げることができ、第VIII族原子として
は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)
等を挙げることができる。
【0072】本発明において、表面層の層厚は所望の電
子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点から
好ましくは0.01〜30μm、より好ましくは0.0
5〜20μm、最適には0.1〜10μmとされるのが
望ましい。
【0073】本発明においてnc−SiC(H,X)で
構成される表面層を形成するには、前述の光導電層を形
成する方法と同様の真空堆積法が採用される。
【0074】本発明の目的を達成し得る特性を有する表
面層を形成する場合には、導電性基体の温度、ガス圧が
前記表面層の特性を左右する重要な要因である。導電性
基体の温度は適宜最適範囲が選択されるが、好ましくは
20〜500℃、より好ましくは50〜480℃、最適
には100〜450℃とするのが望ましい。
【0075】反応容器内のガス圧も適宜最適範囲が選択
されるが、好ましくは1×10-5〜10torr、より
好ましくは5×10-5〜3torr、最適には1×10
-4〜1torrとするのが好ましい。
【0076】本発明においては、表面層を形成するため
の導電性基体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前
記した範囲が挙げられるが、これらの層作製ファクター
は通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望
の特性を有する表面層を形成すべく相互的かつ有機的関
連性に基づいて、各層作製ファクターの最適値を決める
のが望ましい。
【0077】本発明において、プラズマを発生させるエ
ネルギーは、DC、高周波、マイクロ波等いずれでも可
能であるが、特に、プラズマの発生のエネルギーにマイ
クロ波を用いた場合、吸着した水分にマイクロ波が吸収
され、界面の変化がより顕著なものとなるため、本発明
の効果がより顕著なものとなる。
【0078】本発明において、プラズマ発生のためにマ
イクロ波を用いる場合、マイクロ波電力は、放電を発生
させることができればいずれでもよいが、100W以
上、10kW以下、好ましくは500W以上、4kW以
下が本発明を実施するのに当たり適当である。
【0079】本発明は、いずれの電子写真感光体製造方
法にも適用が可能であるが、特に、放電空間を囲むよう
に基体を設け、少なくとも基体の一端側から導波管によ
りマイクロ波を導入する構成により堆積膜を形成する場
合大きな効果がある。
【0080】
【実施例】以下本発明の効果を、実施例を用いて具体的
に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるも
のではない。
【0081】実施例1 純度99.5%のアルミニウムよりなる直径108m
m,長さ358mm,肉厚5mmの円筒状基体を、前述
の本発明による電子写真感光体の製造方法の手順の一例
と同様の手順で表面の切削を行ない、切削工程終了15
分後に図1に示す表面処理装置により、表1に示す条件
により基体表面の前処理を行なった。ただし、本実施例
では界面活性剤としてはポリエチレングリコールノニル
フェニルエーテルを1wt%水溶液として用いた。この
ように前処理を行なったアルミシリンダー上に、さきに
詳述した手順にしたがって、図4に示す電子写真感光体
の製造装置を用い、高周波グロー放電法により表2に示
す作製条件で図5に示す光受容部材504からなる電子
写真感光体を作製した。本実施例では、光導電層中の炭
素含有量の変化パターンを図7のように変化させるため
に、光導電層の形成時に導入するCH4 の流量をリニア
に変化させた。このときの光導電層の基体との界面での
炭素含有量は、約30原子%となるようにした。なお、
炭素含有量は、ラザフォード後方散乱法による元素分析
により標準サンプルの検量線を作製し、標準サンプルと
作製したサンプルをオージュ分光法によるシグナル強度
で比較し、絶対量を求めた。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】 作製した電子写真感光体をまず目視により表面性を評価
し、その後キヤノン製複写機NP−7550を実験用に
改造した電子写真装置に設置し、帯電能、感度、残留電
位等、電子写真特性について以下の評価を行なった。
【0084】(1)表面曇り 作製した電子写真感光体の表面の曇りの程度を目視によ
り検査した。
【0085】◎は曇りなし ○は一部曇りあり △は部分的に、数カ所曇りがあり ×は全面に曇りがある (2)帯電能・感度・残留電位 帯電能 :電子写真感光体を実験装置に設置し、帯電
器に+6kVの高圧を印加しコロナ帯電を行ない、表面
電位計により電子写真感光体の暗部表面電位を測定す
る。
【0086】感度 :電子写真感光体を、一定の暗
部表面電位に帯電させる。そして直ちに光像を照射す
る。光像はキセノンランプ光源を用い、フィルターを用
いて550nm以下の波長域の光を除いた光を照射し
た。このとき表面電位計により電子写真感光体の明部表
面電位を測定する。明部表面電位が所定の電位になるよ
う露光量を調整し、このときの露光量をもって感度とす
る。
【0087】残留電位 :電子写真感光体を、一定の暗
部表面電位に帯電させる。そして直ちに一定光量の比較
的強い光を照射する。光像はキセノンランプ光源を用
い、フィルターを用いて550nm以下の波長域の光を
除いた光を照射した。このとき表面電位計により電子写
真感光体の明部表面電位を測定する。
【0088】(3)白ポチ・ハーフトーンむら:電子写
真感光体を、キヤノン社製複写機NP−7550を実験
用に改造した複写機に入れ、通常の電子写真プロセスに
より転写し紙面上に画像を形成し、下記の手順により画
像の評価を行なった。
【0089】白ポチ :キヤノン製全面黒チャート
(部品番号:FY9−9073)を原稿台に置きコピー
したときに得られたコピー画像の同一面積内にある直径
0.2mm以下の白ポチについて、その数を数えた。
【0090】ハーフトーンむら:キヤノン製中間調チャ
ート(部品番号FY9−9042)を原稿台に置きコピ
ーしたときに得られたコピー画像上で直径0.05mm
の円形の領域を1単位として100点の画像濃度を測定
し、その画像濃度のばらつきを評価した。それぞれにつ
いて、 ◎は「特に良好」 ○は「良好」 △は「実用上問題無し」 ×は「実用上問題有り」 これらの結果を表3に示す。
【0091】
【表3】 比較例1 実施例1と同様の導電性基体を同様の手順で切削を行な
い、切削が終了した導電性基体は、図3に示す従来の導
電性基体の洗浄装置により表4の条件で基体表面の処理
を行なった。図3に示す導電性基体の洗浄装置は、処理
槽302と基体搬送機構303よりなっている。処理槽
302は、基体投入台311、基体洗浄槽321、基体
搬出台351よりなっている。基体洗浄槽321は液の
温度を一定に保つための温度調節装置(図示せず)が付
いている。基体搬送機構303は、搬送レール365と
搬送アーム361よりなり、搬送アーム361は、レー
ル365上を移動する移動機構362、基体301を保
持するチャッキング機構363、及びこのチャッキング
機構363を上下させるためのエアーシリンダー364
よりなっている。
【0092】切削後、投入台上311に置かれた基体3
01は、搬送機構303により洗浄槽321に搬送され
る。洗浄槽321中の主としてトリクロルエタン(商品
名:エターナVG 旭化成工業社製)よりなる洗浄液3
22により表面に付着している切削油及び切り粉を除去
するための洗浄が行なわれる。
【0093】
【表4】 洗浄後、基体301は、搬送機構303により搬出台3
51に運ばれる。このようにして従来の基体の前処理を
行なった基体に実施例1と同様にして、表5に示す条件
で図6に示すように基体601上に、電荷輸送層60
2、電荷発生層603、表面層604の3層構成の、い
わゆる機能分離型の電子写真感光体605を作製した。
得られた電子写真感光体605の評価は実施例1と同様
に行ない、実施例1の結果と合わせて表3に示す。
【0094】
【表5】 表3より明らかなように実施例1の方法によれば、感度
が向上し、なおかつ残留電位が低く抑えられている。そ
して特に感光体の表面曇り、及びハーフトーンむらに関
して優れた特性を示していることがわかる。
【0095】実施例2 図1に示す基体表面処理装置により実施例1と同様の基
体の前処理を行なった基体上に、図2(a),(b)に
示す電子写真感光体の製造装置を用い、マイクロ波グロ
ー放電法により、表6に示す条件により電子写真感光体
を作製した。作製した電子写真感光体は実施例1と同様
の評価を行なった。その結果実施例1と全く同様の結果
が得られた。
【0096】
【表6】 比較例2 図3に示す基体表面処理装置により比較例1と同様の前
処理を行なった導電性基体上に、図2(a),(b)に
示す電子写真感光体の製造装置を用い、マイクロ波グロ
ー放電法により、表7に示す条件で図6に示すように基
体601上に、電荷輸送層602、電荷発生層603、
表面層604の3層構成の、いわゆる機能分離型の電子
写真感光体605を作製した。得られた電子写真感光体
605の評価は実施例2と同様に行なった。その結果、
比較例1と全く同様の結果が得られた。
【0097】
【表7】 実施例3 図1に示す基体表面処理装置により実施例1と同様の基
体の前処理を行なった基体上に、図4に示す電子写真感
光体の製造装置を用い、さきに詳述した手順にしたがっ
て、高周波グロー放電法により表8に示す作製条件で電
子写真感光体を作製した。本実施例では、光導電層中の
炭素含有量の変化パターンを図8、図9に示すように変
化させるために、光導電層の形成時に導入するCH4
流量を変化させ、2種類の感光体を作製した。いずれの
パターンにおいても光導電層の基体側表面での炭素含有
量は、約30原子%となるようにした。なお、炭素含有
量はラザフォード後方散乱法による元素分析により標準
サンプルの検量線を作製し、標準サンプルと作製したサ
ンプルをオージェ分光法によるシグナル強度で比較し絶
対量を求めた。
【0098】
【表8】 作製した電子写真感光体の表面曇り、及びキヤノン製複
写機NP−7550を実験用に改造した電子写真装置に
設置し、帯電能、感度、残留電位等について実施例1と
同様の方法で評価した。その結果を表9に示す。
【0099】比較例3 比較例1と同様に前処理を行なった基体上に、実施例3
と同様にして、図10、図11に示す炭素含有量パター
ンで電子写真感光体を作製し、実施例3と同様の評価を
行なった。その結果を表9に、実施例3の評価結果と合
わせて示す。
【0100】
【表9】 実施例3によるところの光導電層の炭素量変化パターン
では、比較例3の結果に比べて特に表面曇り、感度、残
留電位、ハーフトーンむらについて良好な結果が得られ
ていることがわかる。
【0101】実施例4 図1に示す基体表面処理装置により、実施例1と同様の
前処理を行なった基体上に、図2(a),(b)に示す
電子写真感光体の製造装置を用い、マイクロ波グロー放
電法を用いる以外は実施例3と同様にして、表10に示
す作製条件で電子写真感光体を作製した。本実施例で
は、光導電層中の炭素含有量の変化パターンを図8、図
9に示すように変化させるために、光導電層の形成時に
導入するCH4 の流量を変化させた。いずれのパターン
においても光導電層の基体側表面での炭素含有量は、約
30原子%となるようにした。なお、炭素含有量の測定
は、前述と同様にしてオージェ分光法で行なった。作製
した電子写真感光体は実施例3と全く同様の結果が得ら
れた。
【0102】
【表10】 比較例4 図3に示す基体表面処理装置により、比較例1と同様に
前処理を行なった基体上に、実施例4と同様にして、図
10、図11に示す炭素含有量パターンで電子写真感光
体を作製した。得られた電子写真感光体を実施例4と同
様の評価を行なったところ、比較例3と全く同様の結果
が得られた。
【0103】実施例5 図1に示す基体表面処理装置により、実施例1と同様の
基体の前処理を行なった基体上に、図4に示す電子写真
感光体の製造装置を用い、さきに詳述した手順にしたが
って、高周波グロー放電法により表2に示す作製条件で
電子写真感光体を作製した。本実施例では、光導電層中
の炭素含有量の変化パターンを図7を用い、基体側表面
の炭素含有量を光導電層の形成時に導入するCH4 の流
量を変えることにより変化させた。そして光導電層の基
体側表面での炭素含有量は、前述と同様にしてオージェ
分光法で測定した。
【0104】作製した電子写真感光体の表面の曇り及び
球状突起の発生数、さらにキヤノン製複写機NP−75
50を実験用に改造した電子写真装置に設置し、帯電
能、感度、残留電位、白ポチ、ハーフトーンむら等の電
子写真特性及び画像性の評価を行なった。各項目は、以
下の方法で評価した。
【0105】(1)表面の曇り 実施例1と同様にして評価した。
【0106】(2)球状突起の数 作製した電子写真感光体の表面全域を光学顕微鏡で観察
し、100cm2 の面積内での直径20μm以上の球状
突起の個数を調べた。各電子写真感光体について結果を
出し、最も球状突起の数の多かったものを100%とし
て相対比較をした。その結果を以下のように分類した。
【0107】◎は60%未満 ○は80〜60% △は100〜80% (3)帯電能・感度・残留電位 実施例1と同様にして評価した。
【0108】(4)白ポチ・ハーフトーンむら 白ポチ・ハーフトーンむら:実施例1と同様にして評価
した。
【0109】このようにして得た結果をまとめて表11
に示す。表中、at.%は原子%を表わす。この結果から、
光導電層の基体側表面の炭素量としては、0.5〜50
原子%で性能の向上が見られ、さらに1〜30原子%で
きわめて良好な結果が得られている。
【0110】
【表11】 実施例6 図1に示す基体表面処理装置により、実施例1と同様の
前処理を行なった基体上に、図2(a),(b)に示す
電子写真感光体の製造装置を用い、さきに詳述した手順
にしたがって、マイクロ波グロー放電法により、表6に
示す作製条件で電子写真感光体を作製した。本実施例で
は、光導電層中の炭素含有量の変化パターンを図7を用
い、基体側表面の炭素含有量を光導電層の形成時に導入
するCH 4 の流量を各感光体毎に変えることにより変化
させた。
【0111】そして実施例5と同様にして評価した結
果、表11と全く同じ結果が得られた。
【0112】実施例7 実施例1と同様の前処理を行なった基体上に、図4に示
す電子写真感光体の製造装置を用い、さきに詳述した手
順にしたがって、高周波グロー放電法により表12に示
す作製条件で電子写真感光体を作製した。本実施例で
は、光導電層中の弗素含有量を図12に示すように変化
させるために、光導電層の形成時に導入するSiF4
流量を変化させた。
【0113】
【表12】 (I)作製した電子写真感光体をキヤノン製複写機NP
−7550を実験用に改造した電子写真装置に設置し、
加速耐久試験を行なう前の白ポチ、ハーフトーンむら、
ゴースト等の電子写真特性について評価を行なった。各
項目は、実施例1及び実施例5と同様の方法で評価し
た。また、ゴーストについては以下のように評価した。
【0114】ゴースト:キヤノン製ゴーストチャート
(部品番号:FY9−9040)に反射濃度1.1、φ
5mmの黒丸を貼り付けたものを原稿台の画像先端部に
置き、その上に、キヤノン製中間調チャートを重ねてお
いた際のコピー画像において中間調コピー上に認められ
るゴーストチャートのφ5mmの反射濃度と中間調部分
の反射濃度との差を測定した。
【0115】それぞれについて、 ◎は「特に良好」 ○は「良好」 △は「実用上問題無し」 ×は「実用上問題有り」 を表わしている。
【0116】この結果を表13にまとめて示す。表中、
at.ppmは原子ppmを表わす。
【0117】
【表13】 (II)次に、作製した電子写真感光体をキヤノン製複
写機NP−7550を実験用に改造した電子写真装置に
設置し、250万枚相当の加速耐久試験を行なった。そ
して白ポチ、ハーフトーンむら、ゴースト等の電子写真
特性について評価を(I)と同様に行なった。その結果
を表14にまとめて示す。表中、at.ppmは原子ppmを
表わす。
【0118】
【表14】 表13及び表14の結果から、光導電層中の弗素含有量
が95原子ppm以下の範囲に設定することで画像特性
及び耐久性に関しても非常に優れた電子写真感光体を作
製することが可能であることが示された。
【0119】実施例8 図1に示す基体表面処理装置により、実施例1と同様の
前処理を行なった基体上に、図2(a),(b)に示す
電子写真感光体の製造装置を用い、マイクロ波グロー放
電法により、実施例7と同様に、表15に示す作製条件
で電子写真感光体を作製した。そして作製した電子写真
感光体を実施例7と同じ手順で評価した。その結果は表
13及び表14と全く同様であった。
【0120】
【表15】 実施例9 図1に示す基体表面処理装置により、実施例1と同様の
基体の前処理を行なった基体上に、図4に示す電子写真
感光体の製造装置を用い、高周波グロー放電法により表
16の作製条件で電子写真感光体を作製した。本実験で
は表面層に含有される炭素量を変化させるように、表面
層形成時に導入するCH4 の流量を変化させた。
【0121】
【表16】 作製した電子写真感光体をキヤノン製複写機NP−75
50を実験用に改造した電子写真装置に設置して、帯電
能、残留電位、耐久前の画像評価、300万枚相当の加
速耐久試験後の画像評価を以下に示す方法で行なった。
【0122】帯電能: 実施例1と同様に行なった。
【0123】残留電位:実施例1と同様に行なった。
【0124】耐久後の画像評価:白ポチ、擦傷それぞれ
について5段階の限度見本を作製し、評価結果の合計を
次の4段階に分類した。
【0125】◎は「特に良好」 ○は「良好」 △は「実用上問題無し」 ×は「実用上問題有り」 以上の結果を表17に示す。表中、at.%は原子%を表わ
す。表より明らかなように、炭素含有量が40〜90原
子%で帯電能、耐久性に著しい改善が見られる。
【0126】
【表17】 実施例10 図1に示す基体表面処理装置により、実施例1と同様の
前処理を行なった基体上に、図2(a),(b)に示す
電子写真感光体の製造装置を用い、マイクロ波グロー放
電法により実施例9と同様に、表18に示す作製条件で
電子写真感光体を作製した。本実験では表面層に含有さ
れる炭素量を変化させるように、表面層形成時に導入す
るCH4 流量を変化させた。
【0127】作製した電子写真感光体は実施例9と同じ
手順で評価した。その結果、表17と全く同様の結果が
得られた。
【0128】
【表18】 実施例11図1に示す基体表面処理装置により、実施例
1と同様の前処理を行なった基体上に、図4に示す電子
写真感光体の製造装置を用い、高周波グロー放電法によ
り表19の作製条件で電子写真感光体を作製した。本実
験では表面層に含有される水素原子量及び弗素原子量を
変化させるように、表面層形成時に導入するH2 及び/
またはSiF4 の流量を変化させた。
【0129】
【表19】 作製した電子写真感光体をキヤノン製複写機NP−75
50を実験用に改造した電子写真装置に設置して、残留
電位・感度・画像流れの3項目について評価を行なっ
た。
【0130】残留電位:実施例1と同様に行なった。
【0131】感度 :実施例1と同様に行なった。
【0132】画像流れ:白地に全面文字よりなるキヤノ
ン製テストチャート(部品番号:FY9−9058)を
原稿台に置き通常の露光量の2倍の露光量で照射しコピ
ーをとる。得られたコピー画像を観察し、画像上の細線
が途切れずにつながっているか評価した。ただしこのと
きの画像上でむらがあるときは、全画像領域で評価し一
番悪い部分の結果を示した。
【0133】◎…良好 ○…一部途切れあり △…途切れは多いが文字として認識でき、実用上問題な
い得られた結果を表20に示す。表20より明らかなよ
うに、表面層中の、水素含有量と弗素含有量の和を30
〜70原子%とし、かつ弗素の含有量を20原子%以下
の範囲とすることによって、残留電位、感度のいずれも
良好な結果が得られ、さらに強露光での画像流れが大幅
に抑制できることがわかった。
【0134】
【表20】 実施例12 図1に示す基体表面処理装置により、実施例1と同様の
前処理を行なった基体上に、図2(a),(b)に示す
電子写真感光体の製造装置を用い、マイクロ波グロー放
電法により実施例10と同様に、表21に示す作製条件
で電子写真感光体を作製した。なお、He流量は、H2
流量とあわせて2000sccmと、一定になるように
変化させ、内圧を一定に保った。作製した電子写真感光
体は実施例10と同じ手順で評価した。その結果、表2
0と全く同様の結果が得られた。
【0135】
【表21】 実施例13 図1に示す基体表面処理装置により、表22に示す条件
により、実施例1と同様の前処理を行なった基体上に、
図2(a),(b)に示す電子写真光体の製造装置を用
い、マイクロ波グロー放電法により表23に示す作製条
件で電子写真感光体を作製した。本実施例では光導電層
中の弗素の含有量を図12〜15に示す分布形になるよ
うにSiF4 /SiH4 の値が10〜50ppmの範囲
内で流量をなめらかに変化させ、4種類の電子写真感光
体を作製した。また、弗素の含有しないこと以外は同条
件で電子写真感光体も作製した。以上の5種類の電子写
真感光体について以下の評価を行なった。
【0136】表面の曇り、帯電能、感度、残留電位、白
ポチ、ハーフトーンむら、 ゴースト:実施例1と同様の評価 温度特性:作製した電子写真感光体をキヤノン社製複写
機NP−7550を実験用に改造した複写機に入れ、電
子写真感光体の表面温度を30〜45℃まで、変化し、
帯電器に+6kVの高電圧を印加し、コロナ帯電を行な
い、表面電位計により暗部の表面電位を測定する。感光
体の表面温度に対する暗部の表面温度の変化を直線で近
似し、その傾きを「温度特性」とし、[V/deg]の
単位で表わす。
【0137】◎ 非常に優れている ○ 優れている △ 実用上問題ない × 実用的ではない 以上の結果を表24に示す。表より光導電層中に弗素を
含有し、しかも膜厚方向に分布させた場合において、ゴ
ースト、温度特性まで含め、全ての電子写真特性が改善
されていることがわかる。
【0138】
【表22】
【0139】
【表23】
【0140】
【表24】
【0141】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
金属基体上に機能性膜を形成する工程を含む電子写真感
光体製造方法において、特に金属基体上に本発明の層構
成であるアモルファスシリコンを母体とした電子写真感
光体膜をプラズマCVD法により形成する工程を含む電
子写真感光体製造方法において、前記光受容層を形成す
る工程の前に、前記導電性基体の表面層を所定の精度で
切削する工程と、この切削工程後に、切削された導電性
基体表面を洗浄する工程及び洗浄された導電性基体の表
面を純水に接触させる工程とを行なうようにしたので、
均一な高品位の画像を与える電子写真感光体を安価に、
かつ安定してしかも環境汚染の心配もなく製造すること
が可能である。
【0142】さらに、本発明によれば光導電層を導電性
基体から炭素原子を連続的に変化させることによって、
電荷(フォトキャリア)の発生と該発生した電荷の輸送
という電子写真感光体にとっての重要な機能をなめらか
に接続させることが可能となり、従来の電荷発生層と電
荷輸送層を分離した、いわゆる機能分離型光受容部材で
問題となる、電荷発生層と電荷輸送層の間の光学的エネ
ルギーギャップの差による電荷の走行不良を防ぎ、光感
度の向上及び残留電位の低減に貢献する。
【0143】また、光導電層に炭素が含有されているこ
とにより光受容層の誘電率を小さくすることができるた
めに、層厚当たりの静電容量を減少させることができて
高い帯電能と光感度において著しい改善がみられ、さら
に高電圧に対する耐圧性も向上する。
【0144】そして、炭素を多く含む層を導電性基体側
に設置することにより導電性基体からの電荷の注入を阻
止することにより帯電能が改善され、さらに導電性基体
と光導電層との密着性が向上し、膜の剥離や微少な欠陥
の発生を抑制することができる。
【0145】本発明の光導電層を用いることにより、高
帯電能、高感度、低残留電位で、優れた電気特性を維持
したままで耐久性を飛躍的に向上させることができる。
【0146】すなわち、膜の密着性が向上するため、連
続して大量に画像形成を行なってもクリーニングブレー
ドや分離爪へのダメージが少なく、クリーニング性及び
転写紙の分離性も良好になる。したがって、画像形成装
置としての耐久性を飛躍的に向上することができる。さ
らに誘電率の低下により高電圧に対する耐久性も向上す
るため光受容部材の一部が絶縁破壊することによって起
こる「リークポチ」がさらに発生しにくくなる。
【0147】以上のような効果は、例えばマイクロ波C
VD法のように堆積速度を速くして層形成を行なったと
きに特に顕著に現われる。
【0148】さらに膜質が緻密になるため、帯電処理を
受けた際に表面より電荷が注入されるのを効果的に阻止
でき、帯電能、使用環境特性、耐久特性及び電気的耐圧
性を向上することができる。さらに、光導電層と表面層
の界面におけるキャリアの蓄積が減少させることができ
るために、帯電能を高い状態に維持しても画像流れを抑
制することができる。
【0149】本発明によれば、さらに製造後の感光体の
表面の曇りといった外観不良での歩留まりを大幅に改良
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体製造方法を実施するた
めに使用される基体表面処理装置の一例を示す概略縦断
面図である。
【図2】(a)はマイクロ波プラズマCVD法により円
筒状基体上に堆積膜を形成するための堆積膜形成装置の
一例を示す概略縦断面図、(b)は同横断面図である。
【図3】従来の堆積膜形成の前処理として基体の洗浄を
行なうための洗浄装置を示す概略断面図である。
【図4】高周波プラズマCVD法により円筒状基体上に
堆積膜を形成するための堆積膜形成装置を示す概略断面
図である。
【図5】本発明の電子写真感光体の製法において、構成
された層構成を示す説明図である。
【図6】従来の電子写真感光体の層構成を示す説明図で
ある。
【図7】本発明の実施例により製造した電子写真感光体
の光導電層の炭素含有量の変化パターンを示すグラフで
ある。
【図8】本発明の実施例により製造した電子写真感光体
の光導電層の炭素含有量の変化パターンを示すグラフで
ある。
【図9】本発明の実施例により製造した電子写真感光体
の光導電層の炭素含有量の変化パターンを示すグラフで
ある。
【図10】比較例により製造した電子写真感光体の光導
電層の炭素含有量の変化パターンを示すグラフである。
【図11】比較例により製造した電子写真感光体の光導
電層の炭素含有量の変化パターンを示すグラフである。
【図12】本発明の実施例により製造した電子写真感光
体の光導電層の弗素含有量の変化パターンを示すグラフ
である。
【図13】本発明の実施例により製造した電子写真感光
体の光導電層の弗素含有量の変化パターンを示すグラフ
である。
【図14】本発明の実施例により製造した電子写真感光
体の光導電層の弗素含有量の変化パターンを示すグラフ
である。
【図15】本発明の実施例により製造した電子写真感光
体の光導電層の弗素含有量の変化パターンを示すグラフ
である。
【符号の説明】
101 導電性基体 102 処理部 103 基体搬送機構 111 基体投入台 121 基体洗浄槽 122 洗浄液 131 純水接触槽 132,142 ノズル 141 乾燥槽 151 基体搬出台 161 搬送アーム 162 移動機構 163 チャッキング機構 164 エアーシリンダー 165 搬送レール 201 反応容器 202 マイクロ波導入誘電体窓 203 導波管 204 排気管 205 導電性基体 206 放電空間 207 ヒーター 209 回転軸 210 モーター 211 直流バイアス用の電源 212 バイアス印加用の電極 301 基体 302 処理槽 303 基体搬送機構 311 基体投入台 321 基体洗浄槽 322 洗浄液 351 基体搬出台 361 搬送アーム 362 移動機構 363 チャッキング機構 364 エアーシリンダー 365 搬送レール 400 堆積膜形成装置 401 反応容器 402 円筒状基体 403 加熱ヒーター 404 原料ガス導入管 405 高周波マッチングボックス 406 原料ガス導入用配管 407 反応容器リークバルブ 408 メイン排気バルブ 409 真空計 410 原料ガス供給装置 411〜416 マスフローコントローラー 417〜422 原料ガスボンベ 423〜428 原料ガスボンベバルブ 429〜434 原料ガス流入バルブ 435〜440 原料ガス流出バルブ 441〜446 圧力調整器 447 補助バルブ 501,601 基体 502 光導電層 503,604 表面層 504 光受容部材 602 電荷輸送層 603 電荷発生層 605 電子写真感光体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G03G 5/10 G03G 5/10 B (72)発明者 ▲高▼井 康好 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 片桐 宏之 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03G 5/08 G03G 5/10

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性の基体の表面を所定の精度で切削
    する工程、切削後の基体表面を水で洗浄する工程、洗浄
    した基体の表面を純水に接触させて基体表面を清浄にす
    る工程、清浄にした基体上に、シリコン原子を母体とす
    る非単結晶材料で構成された光導電層及び表面層からな
    る光受容部層を形成する工程、及び、前記光導電層中に
    全層にわたって炭素原子及び水素原子を含有するととも
    に、前記炭素原子の含有量が層厚方向に不均一でかつ前
    記基体側において高く分布してなる、前記表面層中に炭
    素原子及び水素原子を含有している光導電層をプラズマ
    CVD法により導電性基体上に形成する工程を有するこ
    とを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記光導電層中の炭素原子の含有量が前
    記導電性基体との界面において0.5〜50原子%、前
    記表面層との界面において実質的に0%であり、前記光
    導電層中の水素原子の含有量が1〜40原子%である請
    求項1記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記表面層中の炭素原子の含有量が、炭
    素原子/(炭素原子+シリコン原子)で表わされる値で
    40〜90原子%であり、かつハロゲンを含み、該ハロ
    ゲン原子の含有量が20原子%以下、かつ水素原子とハ
    ロゲン原子の含有量の和が30〜70原子%である請求
    項2記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記光導電層中にハロゲンを含有する請
    求項1記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記光導電層中のハロゲンが、前記表面
    層との界面、または界面近傍において最大値を有するよ
    うに分布する請求項4記載の電子写真感光体の製造方
    法。
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