JP2784713B2 - モルタル層表面の凹部形成方法 - Google Patents

モルタル層表面の凹部形成方法

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信朗 坪内
博司 渡辺
拡 高橋
健一 山崎
和博 小笠原
浩二 網本
雅人 佐藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、躯体壁面又は床面等の
施工面へ塗つたモルタル層の表面に、接着性向上ための
凹部を形成する方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】タイルの施工は、施工面に下地用のモル
タルを複数回塗つてモルタル層を形成し、張付モルタル
を裏面に塗つたタイルをモルタル層へ押しつけることに
より、あるいはモルタル層の上に重ね塗りした張付モル
タルの上へタイルを押しつけることにより、タイルを貼
着する手法が採用されている。ところで、タイル壁面の
強度は、モルタル層と張付モルタルとの接着強度と重要
な相関性を持つている。この接着強度を向上させるため
には、モルタル層の表面に、張付モルタルが入り込む凹
部を形成することが必要である。
【0003】モルタル層の表面に凹部を形成する方法と
しては、特開平5−106322号公報に記載の方法が
ある。この方法は、図3(A)に示すように、所要粒度
の無機質または有機質の発泡体を骨材3,3…として混
入したモルタル2をコンクリート1の表面に施し、同図
(B)に示すように、硬化後にノズル5から噴出する高
圧水で脆弱層4と共に発泡骨材3,3…を強制的に除去
して、同図(C)に示すように、モルタル層7の表面に
発泡骨材の痕跡による奥の広い凹部6,6…を形成する
ものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の方法
は、高圧水をノズル5から噴出させる機器の取扱に手間
を必要とすると共に、飛散した水で作業環境を悪化した
り、施工現場を汚す問題点があつた。
【0005】本発明者は、上記問題点に鑑み、高圧水を
用いることなく施工できるモルタル層表面凹部の形成方
法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明が採用した手段
は、中空の骨材を混入したモルタルを施工面に施してモ
ルタル層を形成し、硬化後に層表面側から工具で骨材の
一部分を割ることにより、層表面に割れた骨材の中空内
部で凹部を形成したことを特徴とするモルタル層表面の
凹部形成方法である。なお、硬化後にモルタル層の表面
層を適宜厚み削り取つて前記骨材を割ることもある。
【0007】
【作用】骨材の一部分が割られて開口すると、モルタル
層の表面に割れた骨材の中空内部で凹部が形成される。
割られた凹部の中には、割られた開口部よりも内部空間
部の方が大きいものが存在する。
【0008】
【実施例】以下、本発明をタイル施工の実施例を示す図
面に基づいて説明する。図1は、本発明に従つて、タイ
ル壁面を施工するためのモルタル層12を、施工面1上
に形成する工程を示すものである。
【0009】第1工程は、同図(A)に示す如く、骨材
13の適宜量を分散混入したモルタル11を施工面1に
塗り、モルタル層12を形成することである。なお、施
工面1は、骨材13の混入されていないモルタルを塗
り、予め厚み調整用のモルタル層(図示は省略)を形成
しておくこともある。このとき、骨材13の混入したモ
ルタル11は、厚み調整用のモルタル層の上に塗られ
る。
【0010】前記骨材13としては、ガラス又は合成樹
脂等の素材から殻部13cが成形され、内部13bが中
空で外径が3〜10mm程度のピンポン玉状又は卵状等
の適宜形状のものが用いられる。
【0011】第2工程は、同図(B)に示す如く、モル
タル層12が硬化した後に、層表面側から工具(図示は
省略)で骨材13の一部分を割ることにより、層表面1
2aに割れた骨材13の中空内部13bで凹部14を形
成することである。骨材13の割り作業は、層表面12
aに露出している骨材13の部分をハンマー等の打撃工
具で個別に割るか、又はサンデイング具又はケレン等の
削り工具でモルタル層12の表面層を適宜厚みだけ削り
取ることにより骨材13の多数を一度に割つて行う。形
成された凹部14には、図示の如く、開口部14aより
も内部空間部14bの方が広く形成されるものがある。
【0012】第3工程は、同図(C)及び図2に示す如
く、前記凹部14を形成したモルタル層12の層表面1
2aの上へ、張付モルタル17を塗布してこれを凹部1
4内へ入り込ませ、タイル19を貼着することである。
凹部14は、開口部14aよりも内部空間部14bの方
が広く形成されているとき、張付モルタル17の硬化後
に投錨効果が発揮され、モルタル層12と張付モルタル
層18との間に、きわめて大きな接着強度を発現させる
ことができる。従つて、当該モルタル層12を用いて構
築したタイル壁面20は、強度的に優れたものが得られ
る。
【0013】モルタル層12を施工するに当たり、モル
タルを複数回塗り重ねるのが一般的であるが、モルタル
の塗布工程ごとに本発明を実施すれば、非常に強固なモ
ルタル層12を得ることが可能である。更に、本発明
は、壁面のみならず、床面の施工に際しても実施可能で
ある。図示は省略するが、躯体床面上にセルフレベリン
グ材を流し込むことにより水平床面を施工するにあた
り、本発明を適用して、躯体床面となるモルタル層の表
面に凹部を形成しておけば、セルフレベリング材との接
着強度を高めることができるので、床の浮き上がりや剥
離の防止が確実である。その他、本発明の態様は、状況
に応じて適宜の変更又は応用を施すことを妨げない。
【0014】
【発明の効果】以上詳述の如く、本発明は、高圧水を用
いることなくモルタル層の表面に、投錨効果を発揮する
凹部を簡単且つ確実に形成することができる。従つて、
本発明は、作業工数を低減できると共に、施工現場の周
りの汚れを少なくすることができる優れた効果を有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すものであつて、(A)は
骨材が混入したモルタルを施工面に塗つた状態を拡大し
て示す要部縦断面図、(B)は骨材を割つて凹部を形成
した後のモルタル層を拡大して示す要部縦断面図、
(C)はモルタル層の表面に張付モルタルを塗布した状
態を拡大して示す要部縦断面図である。
【図2】本発明を実施して構築したタイル壁面の一例を
示す縦断面図である。
【図3】タイル壁面を構築するにあたり、モルタル層の
表面に凹部を形成するための従来方法を説明する縦断面
図である。
【符号の説明】
1…施工面 11…モルタル 12a…層表面 13…骨材 14…凹部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 博司 千葉県印旛郡印西町大塚一丁目5番 株 式会社竹中工務店 技術研究所内 (72)発明者 高橋 拡 千葉県印旛郡印西町大塚一丁目5番 株 式会社竹中工務店 技術研究所内 (72)発明者 山崎 健一 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株 式会社イナックス内 (72)発明者 小笠原 和博 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株 式会社イナックス内 (72)発明者 網本 浩二 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株 式会社イナックス内 (72)発明者 佐藤 雅人 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株 式会社イナックス内 (56)参考文献 特開 平4−52376(JP,A) 特公 平6−81865(JP,B2) 特公 平6−13791(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04G 21/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空の骨材を混入したモルタルを施工面
    に施してモルタル層を形成し、硬化後に層表面側から工
    具で骨材の一部分を割ることにより、層表面に割れた骨
    材の中空内部で凹部を形成したことを特徴とするモルタ
    ル層表面の凹部形成方法。
  2. 【請求項2】 硬化後にモルタル層の表面層を適宜厚み
    削り取つて前記骨材を割る請求項1記載のモルタル層表
    面の凹部形成方法。
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