JP2782980B2 - サーボ型ディスクブレーキのサーボ圧発生装置 - Google Patents

サーボ型ディスクブレーキのサーボ圧発生装置

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JP2782980B2
JP2782980B2 JP3135442A JP13544291A JP2782980B2 JP 2782980 B2 JP2782980 B2 JP 2782980B2 JP 3135442 A JP3135442 A JP 3135442A JP 13544291 A JP13544291 A JP 13544291A JP 2782980 B2 JP2782980 B2 JP 2782980B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はサーボ型ディスクブレー
キに関するものであり、特に、そのサーボ圧発生装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】サーボ型ディスクブレーキのサーボ圧発
生装置の一種に、ディスクロータ近傍の固定部材にほぼ
ディスクロータの回転方向に回動可能に取り付けられた
ブレーキ本体の回動に基づいてサーボ圧を発生するもの
がある。例えば、特開昭57−30647号に記載され
た自動二輪車用のサーボ型ディスクブレーキにおいて
は、ディスクロータの片側にシリンダを備え、ディスク
ロータの軸方向に移動可能なキャリパが、固定部材の一
部である支軸にディスクロータの回転中心線まわりに回
動可能に取り付けられており、制動時に、このキャリパ
が一対のブレーキパッドをディスクロータに押し付ける
際、連れ回りトルクによりキャリパが回動する。
【0003】一方、固定部材の一部であるフロントフォ
ークには、サーボ圧発生装置が設けられている。サーボ
圧発生装置のサーボシリンダ内にはサーボピストンが液
密かつ摺動可能に嵌合されることにより、サーボ圧発生
室が形成されている。サーボピストンはキャリパに相対
移動不能に連結されており、キャリパの回動に伴ってピ
ストンがサーボシリンダ内を移動し、サーボ圧発生室に
サーボ圧を発生させる。サーボ圧発生室はキャリパのシ
リンダと連通させられており、サーボ圧がシリンダに供
給されることによりブレーキパッドの押付力が増大させ
られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このサ
ーボ圧発生装置は、構造上、車両前進時に制動が行われ
たときにのみサーボ圧を発生させ得、車両後退時にはサ
ーボ圧を発生させることができない。自動二輪車におい
ては後退時にサーボ圧を発生させる必要はないのである
が、四輪自動車等においては後退時にもサーボ圧を発生
させることが望ましい。上記サーボ圧発生装置により車
両後退時にもサーボ圧を発生させるためには、ディスク
ロータの回転方向逆向きにもう1つ同じサーボ圧発生装
置を設け、キャリパと連結しなければならない。このよ
うに1つのディスクブレーキに2つのサーボ圧発生装置
を設ければ、ディスクブレーキ全体が大形化し、装置コ
ストが高くなる。
【0005】本発明はこの問題に鑑み、車両後退時にも
サーボ圧を発生し得るサーボ圧発生装置を得ることを課
題として為されたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】そして、本発明に係るサ
ーボ圧発生装置は、シリンダハウジングにピストンが
液密かつ摺動可能に嵌合され、ピストンの片側にサーボ
圧発生室が形成されたサーボシリンダと、ブレーキ本
体と固定部材とのうちピストンよりサーボ圧発生室側に
位置する第一部材に、ピストンおよびシリンダハウジン
グを、軸方向に相対移動可能に、かつ、ピストンと第一
部材とが一定限度以上離間不能、シリンダハウジングと
第一部材とが一定限度以上接近不能に連携させる第一連
携装置と、ブレーキ本体と固定部材とのうちピストン
を間に挟んでサーボ圧発生室とは反対側に位置する第二
部材に、ピストンおよびシリンダハウジングを、軸方向
に相対移動可能に、かつ、ピストンと第二部材とが一定
限度以上接近不能、シリンダハウジングと第二部材とが
一定限度以上離間不能に連携させる第二連携装置とを含
むように構成される。
【0007】ここにおいて、ブレーキ本体とは、ブレー
キパッドを支持してそれの連れ回りトルクを受ける部材
である。キャリパがディスクロータの両側にシリンダを
備えたオポーズド型である場合には、キャリパ自体がブ
レーキパッドを支持するようにされるのが普通であり、
この場合にはキャリパがブレーキ本体であることとな
る。また、キャリパがディスクロータの片側にのみシリ
ンダを備え、ディスクロータの軸方向に移動可能な浮動
型である場合には、そのキャリパを支持するマウンティ
ングブラケットがブレーキパッドを支持するようにされ
るのが普通であって、この場合にはマウンティングブラ
ケットがブレーキ本体であることとなる。
【0008】
【作用】上記のように構成されたディスクブレーキのサ
ーボ圧発生装置において、ブレーキ本体がサーボ圧発生
室側に位置する第一部材,固定部材がその反対側に位置
する第二部材である場合には、ブレーキ本体が第一連携
装置によりピストンと一定限度以上離間不能、シリンダ
ハウジングと一定限度以上接近不能に連携される一方、
固定部材が第二連携装置によりピストンと一定限度以上
接近不能、シリンダハウジングと一定限度以上離間不能
に連携される。したがって、ブレーキ本体が連れ回りト
ルクにより固定部材に接近する場合には、第一連携装置
を介してシリンダハウジングを固定部材に接近する向き
に移動させるが、ピストンは第二連携装置により固定部
材と一定限度以上の接近を阻止されるため、シリンダハ
ウジングとピストンとが相対移動してサーボ圧発生室に
サーボ圧を発生させる。一方、ブレーキ本体が固定部材
から遠ざかる場合には、第一連携装置を介してピストン
を固定部材から離れる向きに軸方向に移動させるが、シ
リンダハウジングは第二連携装置により固定部材と一定
限度以上の離間を阻止されるため、ブレーキ本体が固定
部材に接近する場合と同様にシリンダハウジングとピス
トンとが相対移動して、サーボ圧発生室にサーボ圧を発
生させる。つまり、車両の前進時にも後退時にもサーボ
圧が発生させられるのである。固定部材が第一部材、キ
ャリパが第二部材である場合にも同様にして車両前進時
および後退時に共にサーボ圧が発生させられる。
【0009】
【発明の効果】上記のように、サーボ圧発生装置を1個
設けるのみで車両前進時および後退時のいずれにもサー
ボ圧を発生させることができ、ディスクブレーキをコン
パクトに構成することができるとともに、装置コストを
低減させることができる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。図4および図5において、10はディス
クロータである。ディスクロータ(以下、単にロータと
いう)10は図示しないボルトによりアクスルハブ12
に相対回転不能に固定されている。アクスルハブ12の
中心からはスピンドル14が一体的に延び出させられて
おり、固定部材たるステアリングナックル16に相対回
転可能に保持されている。したがって、ロータ10はス
ピンドル14およびアクスルハブ12と一体的に軸線L
のまわりに回転する。
【0011】このロータ10を跨ぐ状態でキャリパ22
が配設されている。キャリパ22はいわゆるオポーズド
型であり、ロータ10を間に挟んで2対のシリンダ2
4,26を備えており、それぞれにピストン28,30
が液密かつ摺動可能に嵌合されている。2個のピストン
28とロータ10との間にはインナパッド32が配設さ
れ、2個のピストン30とロータ10との間にはアウタ
パッド34が配設されている。これらインナパッド32
およびアウタパッド34はそれらの各裏板36,38に
おいて、キャリパ22によりロータ10の軸方向に移動
可能に支持されている。本実施例においては、キャリパ
22がブレーキ本体を構成しているのである。また、裏
板36,38にはキャリパ22に固定の一対のパッドピ
ン40(図5には1本のみ示す)が挿通されており、両
パッド32,34のロータ半径方向の移動が防止されて
いる。
【0012】各シリンダ24,26の液圧室41,42
は、図6に示す増圧制御弁44を介して、図1に示すサ
ーボ圧発生装置46のサーボ圧発生室48と図示しない
マスタシリンダとに接続されており、各液圧室41,4
2にブレーキ液が供給されることによりピストン28,
30がロータ10に向かって前進させられ、両パッド3
2,34がロータ10に押し付けられる。
【0013】キャリパ22は2本のリンク50によりス
テアリングナックル16に連結されている。キャリパ2
2の、軸線Lから偏心しかつ周方向に隔たった2箇所に
は、図5に示すように、ロータ10の半径方向内向きに
延びる各一対の突部52,54が形成されており、各突
部52,54には軸線Lと平行に延びる図示しない貫通
穴が形成されている。また、ステアリングナックル16
にも各一対ずつの突部56,58が形成されている。両
突部56,58は、軸線Lから偏心するとともに互いに
ロータ10の周方向に隔たった位置においてそれぞれロ
ータ10の半径方向外向きに延びており、軸線Lと平行
に延びる図示しない貫通穴を備えている。
【0014】一方、各リンク50は両端部に貫通穴を有
しており、図5に示すように各端部がキャリパ22の突
部52,54間とステアリングナックル16の突部5
6,58間とに位置させられ、ピン66,68により軸
線Lに直角な平面内で回動可能に連結されている。2本
のピン64は軸線Lを中心とする一円弧上に位置し、別
の2本のピン66は軸線Lを中心とし上記一円弧より半
径の大きい別の一円弧上に位置している。また、各リン
ク50はそれぞれロータ10の半径方向に延びている。
したがって、キャリパ22はほぼロータ10の周方向に
回動可能にステアリングナックル16に取り付けられて
いることとなる。
【0015】ステアリングナックル16の外周面の一部
から、図4に示すように、アーム72がロータ10の半
径方向に延び出させられている。アーム72はステアリ
ングナックル16と一体的に形成されており、その先端
部とキャリパ22との間に前記サーボ圧発生装置46が
設けられている。サーボ圧発生装置46は、図1乃至図
3に示すように、サーボシリンダ78を備えている。サ
ーボシリンダ78のシリンダハウジング80にはピスト
ン82が液密かつ摺動可能に嵌合されることによって、
ピストン82の端面84とシリンダハウジング80の端
壁86との間にサーボ圧発生室48が形成されている。
ピストン82の端面84と端壁86との間にはスプリン
グ90が配設され、ピストン82を端壁86から離間す
る向きに付勢している。また、端壁86には同心に貫通
穴92が形成されている。
【0016】サーボシリンダ78にはヨーク状の連結部
材96が連結されている。連結部材96は、平板部98
とその両側から平行に延び出た一対の側板部100とか
ら成っている。平板部98にはサーボシリンダ78の軸
方向に延びる円筒状の突部104が形成されており、端
壁86の貫通穴92に液密かつ摺動可能に嵌合され、サ
ーボ圧発生室48内へ突入している。突部104には同
心の貫通穴106が形成されている。一方、ピストン8
2の端面84からはロッド110が軸方向に延び出させ
られており、突部104の貫通穴106に液密かつ摺動
可能に挿通されている。ロッド110の先端部には、連
結部材96の平板部98の内面112に係合可能な係合
部114が形成されており、図1の状態において係合部
114がスプリング90の付勢力により内面112に当
接することによって、平板部98がシリンダハウジング
80のサーボ圧発生室48側の端壁86の外面に密着さ
せられている。
【0017】また、連結部材96の両側板部100の先
端部にはそれぞれ貫通穴118が形成されており、図4
に示すように、ピン120によりアーム72の先端に相
対回動可能に連結されている。したがって、連結部材9
6の平板部98とシリンダハウジング80の端壁86と
が当接することにより、シリンダハウジング80とアー
ム72との接近限度が規定され、平板部98の内面11
2とロッド110の係合部114とが当接することによ
り、ピストン82とアーム72との離間限度が規定され
ることとなる。
【0018】本実施例においては、連結部材96および
ロッド110が第一連携装置を構成しているのである。
【0019】一方、シリンダハウジング80の端壁86
とは反対側の端壁124には貫通穴126が形成されて
おり、連結部材130の軸部132が軸方向に移動可能
に嵌合されている。連結部材130は、軸部132の一
端に形成された大径の係合部134と、他端に形成され
た連結部136とを備えており、係合部134がシリン
ダハウジング80内に位置することにより連結部材13
0のシリンダハウジング80からの抜け出しが防止され
ている。また、係合部134には半球状の突起140が
形成されており、これがピストン82の端面84とは反
対側の端面に形成された半球状の凹部144に嵌入した
状態でピストン82を押すことにより、ピストン82が
スプリング90の付勢力に抗してサーボ圧発生室48側
へ移動させられるようになっている。
【0020】また、連結部136は、図4に示すように
ピン146によりキャリパ22に回動可能に連結されて
おり、ピストン82が突起140に当接することによ
り、ピストン82とキャリパ22との接近限度が規定さ
れるとともに、シリンダハウジング80の端壁124が
係合部134と係合することにより、シリンダハウジン
グ80とキャリパ22との離間限度が規定される。
【0021】本実施例においては、連結部材130が第
二連携装置を構成しているのである。
【0022】シリンダハウジング80のサーボ圧発生室
48は、ポート152において図6に示す前記増圧制御
弁44に接続されている。増圧制御弁44のバルブハウ
ジング158には、図示しないマスタシリンダと連通す
る第一ポート160,キャリパ22のシリンダ24,2
6の各液圧室41,42と連通する第二ポート162お
よびサーボシリンダ78のポート152に連通する第三
ポート164が形成されている。また、バルブハウジン
グ158には、小径穴部166,中径穴部168および
大径穴部170から成る段付のバルブ穴172が形成さ
れており、第一ポート160が小径穴部166と、第二
ポート162が中径穴部168と、第三ポート164が
大径穴部170とそれぞれ連通させられている。また、
第二ポート162と第三ポート164とは液通路174
によって連通させられているが、液通路174には逆止
弁176が設けられており、サーボシリンダ78のサー
ボ圧発生室48へのキャリパ22のシリンダ24,26
からのブレーキ液の流れは許容され、逆向きの流れは阻
止される。
【0023】大径穴部170には有底円筒状の補助ハウ
ジング180が液密に、かつスナップリング182によ
り離脱を阻止された状態で嵌合されている。補助ハウジ
ング180は一端に開口する段付の軸方向穴184を有
しており、この軸方向穴184にバルブピストン188
の軸部190が摺動可能に嵌合されることにより、液室
192と大気圧室193とが形成されている。液室19
2は液通路194および第三ポート164を経てサーボ
圧発生室48と連通しており、バルブピストン188の
軸部190は中空とされて大気圧室193の容積増大が
図られている。また、液室192には2個のシール19
5が設けられて、軸部190と補助ハウジング180と
の液密を保持しており、軸部190の外周面の一部には
軸方向に平行に延びる溝196が形成されている。バル
ブピストン188が図6の原位置にある状態では、溝1
96が液室192と中径穴部168の液室197とを連
通させない位置にあるため、サーボ圧発生室48とシリ
ンダ24,26との連通が遮断されている。
【0024】液室197において、バルブピストン18
8のフランジ部198と補助ハウジング180との間に
はスプリング200が配設されており、バルブピストン
188を補助ハウジング180から離間する向き、すな
わち図において左方へ付勢している。そして、バルブピ
ストン188の頭部202が小径穴部166の端面に当
接することにより原位置が規定されている。頭部202
には液通路204,205が設けられており、バルブピ
ストン88が原位置にある状態では、第一ポート160
と第二ポート162とが連通させられている。また、液
室197の肩面には弾性体から成る弁座208が配設さ
れており、バルブピストン188が一定量前進したと
き、頭部202の弁部206が弁座208に着座して第
一ポート160と第二ポート162との連通を遮断す
る。弁部206はさらに弁座208を弾性変形させつつ
弁座208に嵌入することが可能であり、やがて、軸部
190の溝196が液室197と液室192とを連通さ
せ、シリンダ24,26とサーボ圧発生室48とを連通
させる。
【0025】次に、作動を説明する。なお、図7乃至図
9は増圧制御弁44の構造を簡略化して示す図である。
車両走行中はロータ10が車輪と共に回転し、サーボシ
リンダ78のシリンダハウジング80およびピストン8
2が図4に示す原位置に位置させられ、サーボ圧発生室
48にはサーボ圧が発生していない。また、図7に示す
ように、増圧制御弁44のバルブピストン188は、ス
プリング200の付勢力により原位置に位置させられて
おり、キャリパ22の液圧室41,42をマスタシリン
ダに連通させている。
【0026】運転者によりブレーキペダルの踏込み操作
が行われれば、マスタシリンダからブレーキ液圧Pm が
第一ポート160,液通路204,205,液室19
7,第二ポート162を経てキャリパ22のシリンダ2
4,26へ供給される。したがって、この段階ではマス
タシリンダの液圧Pm とシリンダ24,26の液圧Pc
とは等しい(Pm =Pc)。このときの増圧制御弁44の
状態を非増圧状態と称することとする。
【0027】シリンダ24,26にそれぞれキャリパ液
圧Pc が供給されれば、両ピストン28,30によりパ
ッド32,34がロータ10の両側の摩擦面に押し付け
られ、制動が行われる。このとき、キャリパ22にロー
タ10の回転方向(図4に実線の矢印で示す方向)の連
れ回りトルクが作用し、一対のリンク50がロータ10
の軸線Lから偏心した位置において軸線Lに直角な平面
内で小角度回動する。前述のように、一対のリンク50
は常にはロータ10の半径方向に延びているため、その
位置からリンク50が小角度回動すればキャリパ22が
ほぼロータ10の軸線Lまわりに回動することとなる。
すなわち、図10に示すように、実線で示す回動前と、
二点鎖線で示す角度α回動後とにおいて、キャリパ22
の前端部とロータ10の外周面との隙間tおよびキャリ
パ22の後端部とロータ10の外周面との隙間cに殆ど
差が生じないのである。このようにキャリパ22がほぼ
ロータ10の周方向に移動させられることによって、前
端部がロータ10の外周面に接触したり、後端部がホイ
ールディスクに接触したりすることが良好に回避され
る。
【0028】キャリパ22の回動に伴って連結部材13
0に引張力が加えられ、図2に示すようにサーボ圧発生
装置46の係合部134がシリンダハウジング80の端
壁124に係合して、シリンダハウジング80を図にお
いて右方へ移動させる。連結部材96はアーム72によ
り軸方向の移動を阻止されているため、スプリング90
の付勢力に抗してピストン82とシリンダハウジング8
0の端壁86とが相対的に接近し、サーボ圧発生室48
にサーボ圧Ps が発生させられる。このサーボ圧Ps は
ポート152を経て増圧制御弁44の第三ポート164
から液室192へ供給される。
【0029】図6において、増圧制御弁44のバルブピ
ストン188の軸部190の断面積をAr ,弁部206
の断面積をAh , スプリング200の付勢力をF,図に
おいて右方向の抵抗をf1 , 左方向の抵抗をf2 とする
と、Pm ・Ar >F+f1 が成立したとき、バルブピス
トン188がスプリング90の付勢力Fに抗して前進
し、図8に示すようにバルブピストン188の弁部20
6が弁座208に着座して、第一ポート160と第二ポ
ート162との連通が遮断される。すなわち、シリンダ
24,26にマスタシリンダ液圧Pm もサーボ液圧Ps
も供給されない遮断状態となるのである。この遮断状態
は−f2 <Pm ・Ah −Pc(Ah −Ar)−F<f1 なる
条件が成立する間保たれる。
【0030】さらにブレーキペダルが踏み込まれてマス
タシリンダ液圧Pm が増大し、Pm・Ah >Pc(Ah −
Ar)+F+f1 が成立すれば、バルブピストン188が
さらに前進して溝196が液室197と液室192とを
連通させ、第二ポート162が第三ポート164と連通
する増圧状態となる。したがって、第三ポート164か
ら液室192に供給されているサーボ圧Ps が第二ポー
ト162からキャリパ22のシリンダ24,26へ供給
され、両パッド32,34のロータ10への押圧力が増
大させられる。
【0031】サーボ圧Ps の供給によりPc(Ah −Ar)
+F>Pm ・Ah +f2 が成立すれば、バルブピストン
188が後退して第二ポート162が第三ポート164
から遮断されて再び遮断状態となる。キャリパ液圧Pc
がマスタシリンダ液圧Pm より高く、かつ、マスタシリ
ンダ液圧Pm に比例した高さに制御されるのである。
【0032】ブレーキペダルの踏込みが緩められればマ
スタシリンダ液圧Pmが減少し、弁部206が弁座20
8から離れてキャリパ液圧Pc がほぼPc(Ah −Ar)+
F=Pm ・Ah の関係を保ちつつ減少する。そして、P
m ・Ar <F+f2 が成立すればバルブピストン188
が原位置に復帰し、増圧制御弁44が元の状態に戻る。
一方、サーボシリンダ78においては、キャリパ液圧P
c が低下してキャリパ22の連れ回りトルクが減少する
につれて、サーボ圧Ps が低下する。そして、スプリン
グ90の付勢力に基づくキャリパ22の逆向きの回転ト
ルクが連れ回りトルクに打ち勝つに到れば、シリンダハ
ウジング80がスプリング90の付勢力により図4の原
位置に復帰させられ、キャリパ22およびリンク50が
図4に破線で示す矢印の方向に回動し、原位置に復帰す
る。なお,シリンダハウジング80が上記のように原位
置に復帰させられる際には、サーボ圧発生室48の容積
が増大するが、この容積の増大はブレーキ液が逆止弁1
76を経てサーボ圧発生室48に流入することにより許
容される。
【0033】次に、車両後退中にブレーキペダルが踏み
込まれた場合について説明する。車両後退中はロータ1
0が、図4において破線で示す矢印の方向に回転する。
したがって、運転者によりブレーキペダルが踏み込まれ
れば、キャリパ22の連れ回りトルクにより、図3に示
すように、連結部材130の突起140がピストン82
の凹部144に係合し、ピストン82をスプリング90
の付勢力に抗してサーボ圧発生室48に向かって移動さ
せる。そのため、サーボ圧発生室48の容積が減少して
サーボ液圧Ps が発生させられる。
【0034】このときのサーボ液圧Ps は、車両前進時
に発生するサーボ液圧Ps に比較して低くなる。図1に
おいて、ピストン82の断面積をAp ,ロッド110の
断面積をAd , 連結部材96の突部104の外径と同一
直径を有する円の面積をAtとすると、Ad <At <Ap
となっている。ピストン82とシリンダハウジング8
0とを相対移動させる力をFとすると、車両前進時に発
生するサーボ液圧PsはF/(Ap −At )であり、車
両後退時に発生するサーボ液圧Ps はF/(Ap −Ad
)となる。(Ap −At )<(Ap −Ad )であるか
ら、F/(Ap −At )>F/(Ap −Ad )となっ
て、車両前進時に発生するサーボ液圧Ps の方が高くな
るのである。車両後退時には、車両前進時ほど車速が大
きくなく、それほど大きなブレーキ力は必要ないのが普
通であるため、このように、車両前進時と後退時とでサ
ーボ液圧Ps が変わるようにすることにより制動を良好
に行うことができる。なお、増圧制御弁の作動は、車両
前進時と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0035】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、キャリパ22をロータ10の軸線Lから偏
心した位置においてステアリングナックル16に連結し
ながら、ほぼロータ10の軸線Lまわりに回動させ得る
ため、キャリパの傾きを回避することができ、キャリパ
22のロータ10あるいはホイールディスクへの接触を
回避しつつロータ10の直径を大きくすることができ
る。
【0036】また、本実施例においては、1つのサーボ
圧発生装置46が車両前進時と後退時のいずれにおいて
もサーボ圧を発生し得るため、従来のようにキャリパ2
2の前後に1つずつサーボ圧発生装置を設ける場合に比
較してディスクブレーキ全体の構造が簡単となり、装置
を小形化し得る。装置コストが低くなる効果も得られ
る。
【0037】なお、本実施例において、リンクの位置や
数はブレーキ本体の形や大きさによって適宜変更するこ
とが可能である。
【0038】また、本実施例のようにキャリパ22がブ
レーキ本体を構成するオポーズド型ディスクブレーキの
他に、キャリパ浮動型ディスクブレーキに本発明を適用
することも可能である。キャリパ浮動型ディスクブレー
キにおいては、キャリパがディスクロータの片側にのみ
シリンダを備え、マウンティングブラケットによりロー
タの軸方向に移動可能に支持される。この場合には、ブ
レーキパッドを支持するマウンティングブラケットを、
少なくとも2本のリンクを介して固定部材に取り付けれ
ば、制動時にマウンティングブラケットがキャリパの連
れ回りトルクを受けてディスクロータの回転中心を中心
として回動することとなる。
【0039】さらに、本実施例においては、サーボ圧発
生装置46がキャリパ22に連結されていたが、リンク
50あるいはピン66等に連結することも可能である。
【0040】上記実施例のサーボ圧発生装置46に代え
て、図11に示すサーボ圧発生装置220あるいは図1
2に示すサーボ圧発生装置222を用いることも可能で
ある。なお、両装置220,222において、サーボ圧
発生装置46と同様の部材には同一の符号を付して詳細
な説明は省略する。
【0041】サーボ圧発生装置220の連結部材224
には前記突部104が設けられておらず、ロッド110
のみがサーボシリンダ226のシリンダハウジング22
8に挿通されている。したがって、車両前進時と車両後
退時とにおいて、制動時に同じ高さのサーボ圧が発生さ
せられる。
【0042】また、サーボ圧発生装置222において
は、連結部材130に代えて連結部材230が設けられ
ている。サーボシリンダ232のシリンダハウジング2
34には、ピストン82側の端壁に一対の半円状の突部
236が形成されている。また、連結部材230は一端
に軸方向に延びる長穴240,他端に円形の貫通穴24
2を有しており、長穴240において、ピン244によ
り、軸方向に移動可能かつピン244まわりに回動可能
に突部236に取り付けられている。連結部材230の
他端は、貫通穴242に図示しないピンが挿通されるこ
とによりキャリパまたは固定部材に連結されるようにな
っている。したがって、制動時にキャリパが回動させら
れれば、連結部材230の一端に形成された半球状の突
起246がピストン82の凹部144に係合してピスト
ン82を押圧するか、または連結部材230がピン24
4を介して突部236を引っ張る。
【0043】この連結部材230を用いれば、前記連結
部材130によりシリンダハウジングとキャリパあるい
は固定部材とを連結する場合に比較して、組付け性が向
上する効果が得られる。すなわち、連結部材130は、
図1〜図3や図11においては簡略化のため一体の部材
として図示されているが、実際にはシリンダハウジング
80,228に組み付けるために複数の部品に分解して
構成されており、組付けが面倒である。それに対して、
連結部材230は一対の突部236間に位置させた状態
でピン244を挿通すればよいため、容易にシリンダハ
ウジングに組み付けることができるのである。
【0044】なお、上記各実施例において、サーボ圧発
生装置46,220,222の取付方向を反転させ、連
結部材96あるいは224をキャリパ側に連結し、連結
部材130あるいは230を固定部材側に連結するよう
にしても、同様の効果を得ることができる。また、第一
実施例以外の実施例においては、ロータの回転方向を逆
にしても機能は変わらない。
【0045】その他、当業者の知識に基づいて種々の変
形,改良を施した態様で、本発明を実施することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるサーボ圧発生装置を示
す正面断面図である。
【図2】上記サーボ圧発生装置の図4とは別の作動状態
を示す正面断面図である。
【図3】上記サーボ圧発生装置の図4および図2とは別
の作動状態を示す正面断面図である。
【図4】上記サーボ圧発生装置が配設されたサーボ型デ
ィスクブレーキを示す正面断面図である。
【図5】上記ディスクブレーキのV−V断面図である。
【図6】上記ディスクブレーキの増圧制御弁を示す正面
断面図である。
【図7】上記増圧制御弁を概念的に示す正面断面図であ
る。
【図8】上記増圧制御弁の図7とは別の作動状態を概念
的に示す正面断面図である。
【図9】上記増圧制御弁の図7および図8とは別の作動
状態を概念的に示す正面断面図である。
【図10】上記ディスクブレーキにおけるキャリパの回
動前と回動後との状態を比較して示す説明図である。
【図11】本発明の別の実施例であるサーボ圧発生装置
を示す正面断面図である。
【図12】本発明のさらに別の実施例であるサーボ圧発
生装置を示す正面断面図である。
【符号の説明】
10 ディスクロータ 22 キャリパ 48 サーボ圧発生室 72 アーム 78 サーボシリンダ 80 シリンダハウジング 82 ピストン 90 スプリング 96 連結部材 110 ロッド 114 係合部 130 連結部材 134 係合部 220 サーボ圧発生装置 222 サーボ圧発生装置 224 連結部材 226 サーボシリンダ 228 シリンダハウジング 230 連結部材 232 サーボシリンダ 234 シリンダハウジング 244 ピン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16D 55/22 F16D 55/224 103 F16D 55/228

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブレーキパッドを支持してディスクロー
    タ近傍の固定部材にほぼディスクロータの回転方向に回
    動可能に取り付けられたブレーキ本体の回動に基づいて
    サーボ圧を発生するサーボ型ディスクブレーキのサーボ
    圧発生装置であって、シリンダハウジングにピストンが
    液密かつ摺動可能に嵌合され、ピストンの片側にサーボ
    圧発生室が形成されたサーボシリンダと、前記ブレーキ
    本体と前記固定部材とのうち前記ピストンより前記サー
    ボ圧発生室側に位置する第一部材に、前記ピストンおよ
    びシリンダハウジングを、軸方向に相対移動可能に、か
    つ、ピストンと第一部材とが一定限度以上離間不能、シ
    リンダハウジングと第一部材とが一定限度以上接近不能
    に連携させる第一連携装置と、前記ブレーキ本体と前記
    固定部材とのうち前記ピストンを間に挟んで前記サーボ
    圧発生室とは反対側に位置する第二部材に、前記ピスト
    ンおよびシリンダハウジングを、軸方向に相対移動可能
    に、かつ、ピストンと第二部材とが一定限度以上接近不
    能、シリンダハウジングと第二部材とが一定限度以上離
    間不能に連携させる第二連携装置とを含むことを特徴と
    するサーボ圧発生装置。
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