JPH06159402A - サーボ型ディスクブレーキのサーボ圧発生装置 - Google Patents

サーボ型ディスクブレーキのサーボ圧発生装置

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JPH06159402A
JPH06159402A JP4328509A JP32850992A JPH06159402A JP H06159402 A JPH06159402 A JP H06159402A JP 4328509 A JP4328509 A JP 4328509A JP 32850992 A JP32850992 A JP 32850992A JP H06159402 A JPH06159402 A JP H06159402A
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JP
Japan
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servo
servo pressure
caliper
piston
rotor
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Application number
JP4328509A
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English (en)
Inventor
Riyouichi Kurasako
涼一 倉迫
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両前進時と車両後退時とのいずれの場合に
も、制動時にサーボ圧を発生させ得るサーボ圧発生装置
を得る。 【構成】 サーボシリンダ78はディスクロータの回転
軸線を中心とする円に接する方向に延びる姿勢でステア
リングナックルに固定され、サーボシリンダ駆動部材8
0はキャリパに連結され、係合突部138,140が係
合突部114,116に近接させられている。車両前進
時に制動が行われれば、キャリパ22が連れ回りトルク
により駆動部材80を引っ張り、第二ピストン102が
第一ピストン100側に移動させられ、サーボ圧発生室
48にサーボ圧が発生させられる。車両後退時に制動が
行われれば、キャリパ22が駆動部材80を押し、第一
ピストン100が第二ピストン102側に移動させられ
てサーボ圧が発生させられる。サーボ圧を取り出すポー
トの位置が固定であり、配管が容易となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はサーボ型ディスクブレー
キに関するものであり、特に、そのサーボ圧発生装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】サーボ型ディスクブレーキのサーボ圧発
生装置の一種に、ディスクロータ近傍の固定部材にほぼ
ディスクロータの回転方向に回動可能に取り付けられた
ブレーキ本体の回動に基づいてサーボ圧を発生するもの
がある。例えば、特開昭57−30647号に記載され
た自動二輪車用のサーボ型ディスクブレーキにおいて
は、ディスクロータの片側にシリンダを備え、ディスク
ロータの軸方向に移動可能なキャリパが、固定部材の一
部である支軸にディスクロータの回転中心線まわりに回
動可能に取り付けられており、制動時に、このキャリパ
が一対のブレーキパッドをディスクロータに押し付ける
際、連れ回りトルクによりキャリパが回動する。
【0003】一方、固定部材の一部であるフロントフォ
ークには、サーボ圧発生装置が設けられている。サーボ
圧発生装置のサーボシリンダ内にはサーボピストンが液
密かつ摺動可能に嵌合されることにより、サーボ圧発生
室が形成されている。サーボピストンはキャリパに相対
移動不能に連結されており、キャリパの回動に伴ってピ
ストンがサーボシリンダ内を移動し、サーボ圧発生室に
サーボ圧を発生させる。サーボ圧発生室はキャリパのシ
リンダと連通させられており、サーボ圧がシリンダに供
給されることによりブレーキパッドの押付力が増大させ
られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このサ
ーボ圧発生装置は、構造上、車両前進時に制動が行われ
たときにのみサーボ圧を発生させ得、車両後退時にはサ
ーボ圧を発生させることができない。自動二輪車におい
ては後退時にサーボ圧を発生させる必要はないのである
が、四輪自動車等においては後退時にもサーボ圧を発生
させることが望ましい。上記サーボ圧発生装置により車
両後退時にもサーボ圧を発生させるためには、ディスク
ロータの逆方向回転用にもう1つ同じサーボ圧発生装置
を設け、キャリパと連結しなければならない。このよう
に1つのディスクブレーキに2つのサーボ圧発生装置を
設ければ、ディスクブレーキ全体が大形化し、装置コス
トが高くなる。
【0005】本発明はこの問題に鑑み、車両後退時にも
サーボ圧を発生し得るサーボ圧発生装置を得ることを課
題として為されたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】そして、本発明に係るサ
ーボ圧発生装置は、(a)前記固定部材に固定されたシ
リンダハウジングに一対のピストンが液密かつ摺動可能
に嵌合され、それらピストンの間にサーボ圧発生室が形
成されたサーボシリンダと、(b)前記ブレーキ本体に
連結され、ブレーキ本体が連れ回りトルクにより車輪前
進方向と車両後退方向とにそれぞれ回動させられるのに
伴ってサーボシリンダの一対のピストンのサーボ圧発生
室に臨む側とは反対側の各端部にそれぞれ作用する一対
の作用部を一体的に有するサーボシリンダ駆動部材とを
含むように構成される。
【0007】ここにおいて、ブレーキ本体とは、ブレー
キパッドを支持してそれの連れ回りトルクを受ける部材
である。キャリパがディスクロータの両側にシリンダを
備えたオポーズド型である場合には、キャリパ自体がブ
レーキパッドを支持するようにされるのが普通であり、
この場合にはキャリパがブレーキ本体であることとな
る。また、キャリパがディスクロータの片側にのみシリ
ンダを備え、ディスクロータの軸方向に移動可能な浮動
型である場合には、そのキャリパを支持するマウンティ
ングブラケットがブレーキパッドを支持するようにされ
るのが普通であって、この場合にはマウンティングブラ
ケットがブレーキ本体であることとなる。
【0008】
【作用】上記のように構成されたディスクブレーキのサ
ーボ圧発生装置においては、車両前進時にディスクブレ
ーキが作動させられるとき、ブレーキ本体が連れ回りト
ルクによって正方向に回動させられるのに伴ってサーボ
シリンダ駆動部材の一方の作用部がサーボシリンダの一
方のピストンの端部に作用して他方のピストン側に移動
させ、それによりサーボ圧発生室の容積が減少させられ
てサーボ圧が発生させられる。また、車両後退時には、
ブレーキ本体が連れ回りトルクによって逆方向に回動さ
せられるのに伴ってサーボシリンダ駆動部材の他方の作
用部がサーボシリンダの他方のピストンに作用して一方
のピストン側に移動させ、サーボ圧発生室の容積が減少
させられてサーボ圧が発生させられる。
【0009】
【発明の効果】上記のように、サーボ圧発生装置を1個
設けるのみで車両前進時および後退時のいずれにもサー
ボ圧を発生させることができ、ディスクブレーキをコン
パクトに構成することができるとともに、装置コストを
低減させることができる。また、サーボシリンダのシリ
ンダハウジングは固定部材に固定すればよいため、取付
けが容易であり、しかも、サーボ圧発生室に発生させら
れたサーボ圧の取出し口の位置が固定となる。したがっ
て、サーボ圧が供給される液圧室のサーボ圧取入れ口の
位置が固定であれば、それらサーボ圧取出し口とサーボ
圧取入れ口とを固定の配管により接続することができ、
接続が容易であるとともに、配管周辺に配管移動用のス
ペースを確保する必要がなく、設置スペースが少なくて
済み、かつ設計の自由度が向上する効果が得られる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。図7および図8において、10はディス
クロータである。ディスクロータ(以下、単にロータと
いう)10は図示しないボルトによりアクスルハブ12
に相対回転不能に固定されている。アクスルハブ12の
中心からはスピンドル14が一体的に延び出させられて
おり、固定部材たるステアリングナックル16に相対回
転可能に保持されている。したがって、ロータ10はス
ピンドル14およびアクスルハブ12と一体的に軸線L
のまわりに回転する。
【0011】このロータ10を跨ぐ状態でキャリパ22
が配設されている。キャリパ22はいわゆるオポーズド
型であり、ロータ10を間に挟んで2対のシリンダ2
4,26を備えており、それぞれにピストン28,30
が液密かつ摺動可能に嵌合されている。2個のピストン
28とロータ10との間にはインナパッド32が配設さ
れ、2個のピストン30とロータ10との間にはアウタ
パッド34が配設されている。これらインナパッド32
およびアウタパッド34はそれらの各裏板36,38に
おいて、キャリパ22によりロータ10の軸方向に移動
可能に支持されている。本実施例においては、キャリパ
22がブレーキ本体を構成しているのである。また、裏
板36,38にはキャリパ22に固定の一対のパッドピ
ン40が挿通されており、両パッド32,34のロータ
半径方向の移動が防止されている。
【0012】各シリンダ24,26の液圧室41,42
は、図9に示す増圧制御弁44を介して、図1に示すサ
ーボ圧発生装置46のサーボ圧発生室48と、図6に示
すマスタシリンダ49とに接続されており、各液圧室4
1,42にブレーキ液が供給されることによりピストン
28,30がロータ10に向かって前進させられ、両パ
ッド32,34がロータ10に押し付けられる。
【0013】キャリパ22は、図6に示すように、2本
のリンク50によりステアリングナックル16に連結さ
れている。キャリパ22の、軸線L(図7参照)から偏
心しかつ周方向に隔たった2箇所にはそれぞれ、図8に
示すようにロータ10の半径方向に延びる切欠52が形
成されており、また、ステアリングナックル16には2
個の突部54(図7には一方の突部のみが示されてい
る)が形成されている。これら突部54は、軸線Lから
偏心するとともに、互にロータ10の周方向に隔たった
位置においてそれぞれロータ10の半径方向外向きに延
びている。
【0014】2本のリンク50はそれぞれその一端部に
おいて切欠52内に挿入されるとともに、ピン58によ
り軸線Lと平行な軸線まわりに回動可能に連結されてい
る。また、各リンク50の他端部は図7に示すようにヨ
ーク状を成し、突部54を挟んでピン60により軸線L
と平行な軸線まわりに回動可能に連結されている。2本
のリンク50をそれぞれステアリングナックル16に連
結するピン60は軸線Lを中心とする一円弧上に位置
し、キャリパ22に連結する2本のピン58は軸線Lを
中心とし上記一円弧より半径の大きい別の一円弧上に位
置している。また、各リンク50はそれぞれロータ10
のほぼ半径方向に延びている。したがって、リンク50
の回動に伴ってキャリパ22はほぼロータ10の周方向
に回動する。キャリパ22は2本ずつのリンク50,ピ
ン58,60により、ほぼロータ10の周方向に回動可
能にステアリングナックル16に取り付けられているの
である。
【0015】前記サーボ圧発生装置46は、図1乃至図
4に示すようにサーボシリンダ78およびサーボシリン
ダ駆動部材80(以下、駆動部材80と略称する)を有
している。サーボシリンダ78のシリンダハウジング8
2は、図1に示すように円筒状部材84と、その長手方
向の一端部に螺合されたキャップ86とを有する。図4
および図5に示すように、円筒状部材84の軸方向の中
間部には、上方(ロータ10の半径方向外向き)に突出
させられた突部88と、手前側(ロータ10の回転軸線
に平行な方向)に突出させられた取付け部90と、下方
(ロータ10の半径方向内向き)に突出させられた取付
け部92とが設けられており、シリンダハウジング82
は取付け部90,92において、ステアリングナックル
16に設けられた図示しない取付け部に、その中心線が
ロータ10の回転軸線を中心とする円に接する方向に延
びる姿勢で固定されている。
【0016】上記円筒状部材84内には第一ピストン1
00および第二ピストン102がそれぞれカップシール
104,106によりシールされて液密かつ摺動可能に
嵌合されており、それらピストン100,102の間に
前記サーボ圧発生室48が形成されている。このサーボ
圧発生室48は、前記取付け部90に形成されたサーボ
圧ポート107において増圧制御弁44に接続されてい
る。
【0017】第一,第二ピストン100,102はサー
ボ圧発生室48内に配設されたスプリング108により
互に離間する向きに付勢されている。第一ピストン10
0はキャリパ22側に位置し、第二ピストン102はキ
ャリパ22から離れた側に位置し、スプリング108に
よる第一ピストン100の移動は、円筒状部材84の開
口端に形成された半径方向内向きのフランジ部110に
より規制され、第二ピストン102の移動は、キャップ
86に設けられた半径方向内向きのフランジ部112に
より規制されている。また、第一,第二ピストン10
0,102のサーボ圧発生室48側に臨む側とは反対側
の各端面にはそれぞれ、係合突部114,116が同心
に形成されており、第一,第二ピストン100,102
がいずれもフランジ部110,112に当接する状態で
は、係合突部114,116はそれぞれ、フランジ部1
10,112に形成された開口118,120内に位置
している。
【0018】前記駆動部材80は、図4および図5に示
すように、前記シリンダハウジング82の円筒状部材8
4の直径より広い幅の板状の背板部124と、その背板
部124の長手方向の一端部からロータ10の中心側へ
延び出させられるとともにロータ10の板面に平行な板
状の取付け部126と、他端部からロータ10の中心側
へ延び出させられ、ロータ10の回転軸線に平行な板状
の腕部128とを有し、全体としてコの字形を成してい
る。駆動部材80は、シリンダハウジング82をロータ
10の外周側から跨いだ状態で配設され、取付け部12
6に形成された長穴129において、前記リンク50か
ら延び出させられたアーム130(図6参照)にピン1
32により軸線Lに平行な軸線まわりに回動可能に連結
されている。取付け部126と腕部128とはそれぞ
れ、第一ピストン100と第二ピストン102とに対向
させられており、その対向する端面134,136に各
々作用部としての係合突部138,140が突設されて
いる。係合突部138は係合突部140より短くされて
いる。その理由は後に説明する。
【0019】また、背板部124にはシリンダハウジン
グ82の中心線と平行に延びる長穴142が形成され、
この長穴142を通って2本のボルト144がシリンダ
ハウジング82に突設された前記突部88に螺合されて
おり、これら長穴140およびボルト142によって駆
動部材80の移動が案内される。
【0020】増圧制御弁44について説明する。図9に
示すように、増圧制御弁44のバルブハウジング158
には、マスタシリンダ49と連通する第一ポート16
0,キャリパ22のシリンダ24,26の各液圧室4
1,42と連通する第二ポート162およびサーボシリ
ンダ78のサーボ圧ポート107に連通する第三ポート
164が形成されている。また、バルブハウジング15
8には、小径穴部166,中径穴部168および大径穴
部170から成る段付のバルブ穴172が形成されてお
り、第一ポート160が小径穴部166と、第二ポート
162が中径穴部168と、第三ポート164が大径穴
部170とそれぞれ連通させられている。また、第二ポ
ート162と第三ポート164とは液通路174によっ
て連通させられているが、液通路174には逆止弁17
6が設けられており、サーボシリンダ78のサーボ圧発
生室48へのキャリパ22のシリンダ24,26からの
ブレーキ液の流れは許容され、逆向きの流れは阻止され
る。
【0021】大径穴部170には有底円筒状の補助ハウ
ジング180が液密に、かつスナップリング182によ
り離脱を阻止された状態で嵌合されている。補助ハウジ
ング180は一端に開口する段付の軸方向穴184を有
しており、この軸方向穴184にバルブピストン188
の軸部190が摺動可能に嵌合されることにより、液室
192と大気圧室193とが形成されている。液室19
2は液通路194および第三ポート164を経てサーボ
圧発生室48と連通しており、バルブピストン188の
軸部190は中空とされて大気圧室193の容積増大が
図られている。また、液室192には2個のシール19
5が設けられて、軸部190と補助ハウジング180と
の液密を保持しており、軸部190の外周面の一部には
軸方向に平行に延びる溝196が形成されている。バル
ブピストン188が図9の原位置にある状態では、溝1
96が液室192と中径穴部168の液室197とを連
通させない位置にあるため、サーボ圧発生室48とシリ
ンダ24,26との連通が遮断されている。
【0022】液室197において、バルブピストン18
8のフランジ部198と補助ハウジング180との間に
はスプリング200が配設されており、バルブピストン
188を補助ハウジング180から離間する向き、すな
わち図において左方へ付勢している。そして、バルブピ
ストン188の頭部202が小径穴部166の端面に当
接することにより原位置が規定されている。頭部202
には液通路204,205が設けられており、バルブピ
ストン88が原位置にある状態では、第一ポート160
と第二ポート162とが連通させられている。また、液
室197の肩面には弾性体から成る弁座208が配設さ
れており、バルブピストン188が一定量前進したと
き、頭部202の弁部206が弁座208に着座して第
一ポート160と第二ポート162との連通を遮断す
る。弁部206はさらに弁座208を弾性変形させつつ
弁座208に嵌入することが可能であり、やがて、軸部
190の溝196が液室197と液室192とを連通さ
せ、シリンダ24,26とサーボ圧発生室48とを連通
させる。
【0023】次に、作動を説明する。なお、図10乃至
図12は増圧制御弁44の構造を簡略化して作動を示す
図である。車両走行中はロータ10が車輪と共に回転
し、サーボ圧発生装置46は、サーボシリンダ78の第
一,第二ピストン100,102が図1に示すようにい
ずれもフランジ部110,112に当接させられるとと
もに、駆動部材80の係合突部138,140が第一,
第二ピストン100,102の係合突部114,116
に近接する中立状態にあり、サーボ圧発生室48にはサ
ーボ圧が発生していない。また、図10に示すように、
増圧制御弁44のバルブピストン188は、スプリング
200の付勢力により原位置に位置させられており、キ
ャリパ22の液圧室41,42をマスタシリンダ49に
連通させている。
【0024】運転者によりブレーキペダルの踏込み操作
が行われれば、マスタシリンダ49からブレーキ液圧P
m が第一ポート160,液通路204,205,液室1
97,第二ポート162を経てキャリパ22のシリンダ
24,26へ供給される。したがって、この段階ではマ
スタシリンダ49の液圧Pm とシリンダ24,26の液
圧Pc とは等しい(Pm =Pc)。このときの増圧制御弁
44の状態を非増圧状態と称することとする。
【0025】シリンダ24,26にそれぞれキャリパ液
圧Pc が供給されれば、両ピストン28,30によりパ
ッド32,34がロータ10の両側の摩擦面に押し付け
られ、制動が行われる。このとき、キャリパ22にロー
タ10の回転方向(図6に実線の矢印で示す方向)の連
れ回りトルクが作用し、一対のリンク50がロータ10
の軸線Lから偏心した位置において軸線Lに直角な平面
内で小角度回動する。前述のように、一対のリンク50
は常にはロータ10の半径方向に延びているため、その
位置からリンク50が小角度回動すればキャリパ22が
ほぼロータ10の軸線Lまわりに回動することとなる。
すなわち、図13に示すように、実線で示す回動前と、
二点鎖線で示す角度α回動後とにおいて、キャリパ22
の前端部とロータ10の外周面との隙間tおよびキャリ
パ22の後端部とロータ10の外周面との隙間cに殆ど
差が生じないのである。このようにキャリパ22がほぼ
ロータ10の周方向に移動させられることによって、前
端部がロータ10の外周面に接触したり、後端部がホイ
ールディスクに接触したりすることが良好に回避され
る。
【0026】車両前進中は、ロータ10が図6において
実線の矢印で示す方向に回転し、連れ回りトルクにより
キャリパ22はロータ10の回転方向と同じ正方向に回
動する。このキャリパ22の回動に伴って駆動部材80
に引張力が加えられて車両前進方向に移動させられ、図
2に示すように第二ピストン102がスプリング108
の付勢力に抗して第一ピストン100側に移動させら
れ、サーボ圧発生室48の容積が減少させられてサーボ
圧Ps が発生させられる。このサーボ圧Ps はサーボ圧
ポート107を経て増圧制御弁44の第三ポート164
から液室192へ供給される。なお、リンク50は回動
時にロータ10の中心側に僅かに移動し、それに伴って
アーム130も移動するが、アーム130は駆動部材8
0の取付け部126に長穴129およびピン132によ
って連結されているため、駆動部材80はアーム130
の移動を許容しつつロータ10の回転軸線を中心とする
円に接する方向に移動する。
【0027】図10において、増圧制御弁44のバルブ
ピストン188の軸部190の断面積をAr ,弁部20
6の断面積をAh , スプリング200の付勢力をF,図
において右方向の抵抗をf1 , 左方向の抵抗をf2 とす
ると、Pm ・Ar >F+f1が成立したとき、バルブピ
ストン188がスプリング90の付勢力Fに抗して前進
し、図11に示すようにバルブピストン188の弁部2
06が弁座208に着座して、第一ポート160と第二
ポート162との連通が遮断される。すなわち、シリン
ダ24,26にマスタシリンダ液圧Pm もサーボ液圧P
s も供給されない遮断状態となるのである。この遮断状
態は−f2 <Pm ・Ah −Pc(Ah −Ar)−F<f1
る条件が成立する間保たれる。
【0028】さらにブレーキペダルが踏み込まれてマス
タシリンダ液圧Pm が増大し、Pm・Ah >Pc(Ah −
Ar)+F+f1 が成立すれば、図12に示すようにバル
ブピストン188がさらに前進して溝196が液室19
7と液室192とを連通させ、第二ポート162が第三
ポート164と連通する増圧状態となる。したがって、
第三ポート164から液室192に供給されているサー
ボ圧Ps が第二ポート162からキャリパ22のシリン
ダ24,26へ供給され、両パッド32,34のロータ
10への押圧力が増大させられる。
【0029】サーボ圧Ps の供給によりPc(Ah −Ar)
+F>Pm ・Ah +f2 が成立すれば、バルブピストン
188が後退して第二ポート162が第三ポート164
から遮断されて再び遮断状態となる。キャリパ液圧Pc
がマスタシリンダ液圧Pm より高く、かつ、マスタシリ
ンダ液圧Pm に比例した高さに制御されるのである。
【0030】これらマスタシリンダ液圧Pm ,サーボ圧
Ps およびキャリパ液圧Pc の関係を図14のグラフに
示す。このグラフから明らかなように、キャリパ液圧P
c は、サーボ圧Ps が供給されるまではマスタシリンダ
液圧Pm と同じ高さに上昇し、サーボ圧Ps が供給され
るようになれば、バルブピストン188の軸部190の
断面積Arおよび弁部206の断面積Ahの面積によっ
て決まる勾配で上昇させられ、マスタシリンダ液圧Pm
の増加量ΔPm に対して大きいキャリパ液圧Pc の増加
量ΔPc が得られる。サーボ圧発生室48には常にマス
タシリンダ液圧Pm より高いサーボ圧Ps が発生するよ
うに第一,第二ピストン100,102の断面積が設定
されており、サーボ圧Ps は、マスタシリンダ液圧Pm
より高く、かつ、マスタシリンダ液圧Pm に比例した高
さに制御されて液圧室40,41に供給されるのであ
る。
【0031】ブレーキペダルの踏込みが緩められればマ
スタシリンダ液圧Pm が減少し、弁部206が弁座20
8から離れてキャリパ液圧Pc がほぼPc(Ah −Ar)+
F=Pm ・Ah の関係を保ちつつ減少する。そして、P
m ・Ar <F−f2 が成立すればバルブピストン188
が原位置に復帰し、増圧制御弁44が元の状態に戻る。
一方、サーボシリンダ78においては、キャリパ液圧P
c が低下してキャリパ22の連れ回りトルクが減少する
につれて、サーボ圧Ps が低下する。そして、スプリン
グ108の付勢力に基づくキャリパ22の逆向きの回転
トルクが連れ回りトルクに打ち勝つに到れば、スプリン
グ108の付勢力により第二ピストン102がフランジ
部112に当接する位置に復帰させられるとともに、駆
動部材80が係合突部138が第一ピストン100の係
合突部114に近接する位置に復帰させられ、キャリパ
22およびリンク50が図6に破線で示す矢印の方向に
回動し、原位置に復帰する。なお,第二ピストン102
が上記のように復帰させられる際には、サーボ圧発生室
48の容積が増大するが、この容積の増大はブレーキ液
が逆止弁176を経てサーボ圧発生室48に流入するこ
とにより許容される。
【0032】次に、車両後退中にブレーキペダルが踏み
込まれた場合について説明する。車両後退中はロータ1
0が、図6において破線で示す矢印の方向に回転する。
したがって、運転者によりブレーキペダルが踏み込まれ
れば、連れ回りトルクによりキャリパ22はロータ10
の回転方向と同じである逆方向に回動し、キャリパ22
の回動に伴って図3に示すように駆動部材80が車両後
退方向に移動し、第一ピストン100を第二ピストン1
02側に移動させる。そのため、サーボ圧発生室48の
容積が減少してサーボ液圧Ps が発生させられる。
【0033】車両後退時に発生するサーボ圧Ps は、車
両前進時に発生するサーボ圧Ps に比較して低くなる。
車両前進時における駆動部材80の移動は、腕部128
の端面136がキャップ86の端面に当接する前に第一
ピストン100と第二ピストン102とが互に当接する
ことにより規制され、車両後退時における駆動部材80
の移動は取付け部126の端面134が円筒状部材84
の端面に当接することにより規制される。係合突部14
0の長さは、第二ピストン102の移動が第一ピストン
100に当接することにより規制される長さに設定さ
れ、また、係合突部138の長さは、第一ピストン10
0の移動距離が第二ピストン102の移動距離より短く
なる長さ、すなわち第一ピストン100が第二ピストン
102に当接する前に取付け部126の端面134が円
筒状部材84の端面に当接する長さに設定されている。
係合突部138の方が係合突部140より短くされてい
るのであり、そのため車両後退時の制動時におけるサー
ボ圧発生室48の容積減少量の方が車両前進時より少な
くなり、車両後退時に発生するサーボ圧Pc の方が低く
なるのである。車両後退時には、車両前進時ほど車速が
大きくなく、それほど大きなブレーキ力は必要ないのが
普通であるため、このように、車両前進時と後退時とで
サーボ圧Ps が変わるようにすることにより制動を良好
に行うことができる。なお、増圧制御弁の作動は、車両
前進時と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0034】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、キャリパ22をロータ10の軸線Lから偏
心した位置においてステアリングナックル16に連結し
ながら、ほぼロータ10の軸線Lまわりに回動させ得る
ため、キャリパの傾きを回避することができ、キャリパ
22のロータ10あるいはホイールディスクへの接触を
回避しつつロータ10の直径を大きくすることができ
る。
【0035】また、本実施例においては、1つのサーボ
圧発生装置46が車両前進時と後退時のいずれにおいて
もサーボ圧を発生し得るため、従来のようにキャリパ2
2の前後に1つずつサーボ圧発生装置を設ける場合に比
較してディスクブレーキ全体の構造が簡単となり、装置
を小形化し得る。装置コストが低くなる効果も得られ
る。
【0036】なお、本実施例において、リンクの位置や
数はブレーキ本体の形や大きさによって適宜変更するこ
とが可能である。
【0037】また、本実施例のようにキャリパ22がブ
レーキ本体を構成するオポーズド型ディスクブレーキの
他に、キャリパ浮動型ディスクブレーキに本発明を適用
することも可能である。キャリパ浮動型ディスクブレー
キにおいては、キャリパがディスクロータの片側にのみ
シリンダを備え、マウンティングブラケットによりロー
タの軸方向に移動可能に支持される。この場合には、ブ
レーキパッドを支持するマウンティングブラケットを、
少なくとも2本のリンクを介して固定部材に取り付けれ
ば、制動時にマウンティングブラケットがキャリパの連
れ回りトルクを受けてディスクロータの回転中心を中心
として回動することとなる。
【0038】さらに、本実施例においては、サーボ圧発
生装置46がリンク50に連結されていたが、キャリパ
22あるいはピン58等に連結することも可能である。
【0039】また、本実施例においては、車両前進時に
駆動部材80が車両前進方向に移動させられて第二ピス
トン102を引っ張ることによりサーボ圧を発生させ、
車両後退時に駆動部材80が車両後退方向に移動させら
れて第一ピストン100を押すことによりサーボ圧を発
生させるようになっていたが、逆になるようにサーボ圧
発生装置46を配置し、あるいはサーボシリンダ駆動部
材によりサーボシリンダを駆動するようにしてもよい。
【0040】さらにまた、本実施例において駆動部材8
0は概してコの字形の部材とされていたが、環状等、他
の形状の部材としてもよい。一対の作用部を一体的に有
し、サーボシリンダを駆動するものであればよいのであ
る。
【0041】その他、当業者の知識に基づいて種々の変
形,改良を施した態様で、本発明を実施することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるサーボ圧発生装置を示
す正面断面図である。
【図2】上記サーボ圧発生装置の図2とは別の作動状態
を示す正面断面図である。
【図3】上記サーボ圧発生装置の図1および図2とは別
の作動状態を示す正面断面図である。
【図4】上記サーボ圧発生装置を駆動部材を断面にして
示す正面図である。
【図5】上記サーボ圧発生装置のV−V断面図である。
【図6】上記サーボ圧発生装置を構成要素として含むサ
ーボ型ディスクブレーキを備えたブレーキ装置の系統図
である。
【図7】上記ディスクブレーキを示す正面断面図であ
る。
【図8】上記ディスクブレーキを示す平面図である。
【図9】上記ブレーキ装置の増圧制御弁を示す正面断面
図である。
【図10】上記増圧制御弁を概念的に示す正面断面図で
ある。
【図11】上記増圧制御弁の図10とは別の作動状態を
概念的に示す正面断面図である。
【図12】上記増圧制御弁の図10および図11とは別
の作動状態を概念的に示す正面断面図である。
【図13】上記ディスクブレーキにおけるキャリパの回
動前と回動後との状態を比較して示す説明図である。
【図14】上記ブレーキ装置おけるマスタシリンダ液
圧,キャリパ液圧およびサーボ圧との関係を示すグラフ
である。
【符号の説明】
10 ディスクロータ 16 ステアリングナックル 22 キャリパ 32 インナパッド 34 アウタパッド 46 サーボ圧発生装置 48 サーボ圧発生室 78 サーボシリンダ 80 サーボシリンダ駆動部材 82 シリンダハウジング 100 第一ピストン 102 第二ピストン 138,140 係合突部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブレーキパッドを支持してディスクロー
    タ近傍の固定部材にほぼディスクロータの回転方向に回
    動可能に取り付けられたブレーキ本体の回動に基づいて
    サーボ圧を発生するサーボ型ディスクブレーキのサーボ
    圧発生装置であって、 前記固定部材に固定されたシリンダハウジングに一対の
    ピストンが液密かつ摺動可能に嵌合され、それらピスト
    ンの間にサーボ圧発生室が形成されたサーボシリンダ
    と、 前記ブレーキ本体に連結され、ブレーキ本体が連れ回り
    トルクにより正方向と逆方向とにそれぞれ回動させられ
    るのに伴って前記一対のピストンの前記サーボ圧発生室
    に臨む側とは反対側の各端部にそれぞれ作用する一対の
    作用部を一体的に有するサーボシリンダ駆動部材とを含
    むことを特徴とするサーボ圧発生装置。
JP4328509A 1992-11-13 1992-11-13 サーボ型ディスクブレーキのサーボ圧発生装置 Pending JPH06159402A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003002183A (ja) * 2001-06-20 2003-01-08 Toyota Motor Corp ブレーキ装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP4496676B2 (ja) * 2001-06-20 2010-07-07 トヨタ自動車株式会社 ブレーキ装置

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