JP2781412B2 - 糖転移活性の強いβ―フラクトフラノシダーゼ、その製造法および該酵素を用いてアルドシルフラクトシドを製造する方法 - Google Patents

糖転移活性の強いβ―フラクトフラノシダーゼ、その製造法および該酵素を用いてアルドシルフラクトシドを製造する方法

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JP2781412B2 JP1160660A JP16066089A JP2781412B2 JP 2781412 B2 JP2781412 B2 JP 2781412B2 JP 1160660 A JP1160660 A JP 1160660A JP 16066089 A JP16066089 A JP 16066089A JP 2781412 B2 JP2781412 B2 JP 2781412B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、新規な糖転移活性の強いβ−フラクトフラ
ノシダーゼ、その製造法および該酵素を用いてアルドシ
ルフラクトシドを製造する方法に関する。
〔従来の技術、発明が解決しようとする課題〕
近年、健康志向の増大にともない、グルコシル基ある
いはフラクトシル基転移酵素を用いた種々の生理活性を
有するオリゴ糖,有用配糖体の合成等の研究が盛んに行
なわれている。カツプリングシュガー 、フラクトオリ
ゴ糖,パラチノース,α−グルコシルステビオサイドな
どが虫歯にならない、またビフィズス菌増殖因子等の性
質をもつものとして実用化された例である。
現在、フラクトシル基転移酵素としてはバチルス・ズ
ブチリス(Bacillus subtilis)の生産するレバンシュ
クラーゼおよびアスペルギルス・ニガー(Aspergillus
niger),ペニシリウム・オキザリクム(Penicillium o
xalicum),ペニシリウム・フリクエンタンス(Penicil
lium frequentans),ペニシリウム・エスピー(Penici
llium sp.)K25などかびの生産するβ−フラクトフラノ
シダーゼが知られている。このうちレバンシュクラーゼ
の糖転移作用を利用して合成されるキシロシルフラクト
シド,イソマルトシルフラクトシドは抗う蝕性の性質を
有し、さらにラクトシルフラクトシドはビフィズス菌増
殖因子としての活性を有していることより、これらのオ
リゴ糖は有用な甘味料として実用化される可能性を秘め
ている。しかし、これらのオリゴ糖の生産に用いられて
いるレバンシュクラーゼはショ糖によって誘導されるた
め、培地にショ糖の添加が不可欠であり、このため培養
液にレバンを作り、粘度が高くなるため扱いにくい。ま
た、酵素の生産性も低く、さらに耐熱性が低いなどの問
題点が指摘されている。また、従来のかびの生産するβ
−フラクトフラノシダーゼは菌体内酵素であり、受容体
特異性も狭いという欠点を持っている。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、上記の課題を解決するためショ糖から
より付加価値の高い糖質を合成し得る耐熱性の高いフラ
クトシル基転移酵素を菌体外に生産する微生物を検索し
てきた。その結果、アルスロバクター属に属する微生物
を栄養培地で培養することにより目的とする糖転移活性
の強いβ−フラクトフラノシダーゼを菌体外に生産する
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、第1に以下に示す性質を有する新規なβ−
フラクトフラノシダーゼに関する。
(1) 本酵素は受容体として各種単糖,糖アルコー
ル,アルキルアルコール,配糖体,オリゴ糖等の存在下
ショ糖に作用させるとフラクトシル基を受容体に転移さ
せ、その受容体特異性は極めて広い。
(2) 本酵素はショ糖,エルロース,キシロシルフラ
クトシド,ラフィノース,ネオケストース,スタキオー
スをよく分解するが、1−ケストース,ニストース,イ
ヌロビオース,レバンビオースには作用しにくい。
(3) 本酵素は40℃にてpH6.5〜6.8が至適であり、pH
5.5〜10で安定である。
(4) 本酵素はpH6.5において至適温度は55℃であ
り、60℃でも70%以上の残存活性を示す。
(5) 本酵素は銀,水銀,亜鉛,銅,錫の存在で阻害
を受ける。
(6) 本酵素の分子量は52,000±2,500および58,000
±2,500(デイスクゲル電気泳動およびゲル濾過法によ
る)である。
(7) 本酵素の等電点はpH4.3および4.6(アンフオラ
イン電気泳動法による)である。
第2に本発明は、アルスロバクター属に属し、上記性
質を有する新規なβ−フラクトフラノシダーゼの生成能
を有する微生物を培養し、培養物中に当該酵素を蓄積せ
しめ、これを採取することを特徴とする新規なβ−フラ
クトフラノシダーゼの製造法である。
第3に本発明は、アルドースの存在下、ショ糖,ラフ
ィノースもしくはスタキオースに上記性質を有する新規
なβ−フラクトフラノシダーゼを作用させることを特徴
とするアルドシルフラクトシドの製造法である。
本発明の新規なβ−フラクトフラノシダーゼは微生物
を用いて生産され、その生産菌としてはアルスロバクタ
ー属に属し、上記性質を有する酵素を生産する能力を有
するものであればよい。本発明に用いる微生物としては
アルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)K−
1とその変異種変異株などがあるが、これら微生物に制
限されるものではなく、上記酵素の生産能を有するもの
であればよい。ここで変異手段としては常法のものでよ
く、たとえばラジオアイソトープ(RI)、紫外線(U
V)、ニトロソグアニジンなどを用いて行なえばよい。
また、遺伝子組み換え技術を適用することもできる。
以下に、アルスロバクター・エスピーK−1の菌学的
性質を記載する。
I 形態学的性質 a 細胞形態 肉汁寒天培地では24時間培養する間に若い細胞では桿
状で大きさは0.5〜3×0.6〜6μである。古い細胞では
球状(0.3〜0.5μm)も存在し、生育段階により変化す
る。
b 多形性 肉汁寒天培地ではT字型、Y字型の細胞を観察するこ
とができる。
c 運動性、鞭毛 鞭毛はなく、運動性も示さない。
d 胞子 胞子は形成しない。
e グラム染色 若い細胞では陽性であり古い細胞では陰性となり生育
段階により変化する。
f 抗酸性 陰性 II 培養的性質 以下は0.02%の酵母エキスを含む肉汁を基本培地とし
たものであり25℃で培養した結果である。
a 肉汁寒天平板培養 発育は良好であり、集落は直径2mmの円形で、周囲は
なだらかであり、不透明であるが、光沢を有するロー・
コンベックッス状(low convex)となる。集落の色は黄
色で拡散性の色素は産生しない。
b 肉汁寒天斜面培養 発育は良好で、線状に生育し、光沢を有する。集落の
色は黄色で拡散性の色素は産生しない。
c 肉汁液体培養 表面発育において菌膜を形成しないか、もしくは形成
しても非常にうすい。その培養液は一様に懸濁後沈澱を
生じる。
d 肉汁ゼラチン穿刺培養 表面のみに発育し、その発育は良好である。
g リトマスミルク 発育は弱く、2週間位でペプトン化する。軟らかい凝
固またはアルカリ化する場合もある。リトマスは還元し
ない。
III 生理的性質 c MR試験 陰性 d VP試験 陰性 e インドールの生成 陰性 h クエン酸の利用 陰性 j 色素の生成 黄色の色素を生成する。
k ウレアーゼ 陰性 l カタラーゼ 陽性 オキシダーゼ 陰性 セルラーゼ 陰性 m 生育の範囲 pH5.5〜9.5で生育し、生育の最適pHは7附近である。
また10〜41℃で生育し、生育最適温度は37℃附近であ
る。
n 酸素に対する態度 好気性 o O−Fテスト グルコースを用いた場合微弱であるが発酵により酸を
生成する。
p 糖類からの酸及びガスの生成 グルコース,マルトース,シュクロースより酸を生成
する。澱粉、ラクトースでは生産しない。
化学的分析 細胞壁成分 ミコール酸 陰性 ジアミノ酸 リジン(主要構成成分) 脂肪酸組成 イソC 15:0 1.85 アンテイソC 17:0 60.68 イソC 16:0 4.21 イソC 17:0 0.47 アンテイソC 17:0 31.54 以上の性質を有する本菌株は、バージース・マニュア
ル・オブ・デタミナティブ・バクテリオロジー(Barge
y's Manual af Determinative Bacteriology)第8版
(1974)およびザ・ジャーナル・オブ・ゼネラル・アン
ド・アプライド・マイクロバイオロジー(The journal
of General and Applied Microbiology)第18巻、第417
頁(1972)によれば、アルスロバクター属に分類され
る。本菌株は工業技術院微生物工業技術研究所に寄託さ
れており、その寄託番号はFERM P−10736である。
次に、本発明の新規なβ−フラクトフラノシダーゼを
生産するための微生物の培養条件について検討した。ま
ず、基本培地として1.0%ポリペプトン,0.2%硝酸アン
モニウム,0.1%硫酸マグネシウムおよび炭素源を含むも
のを用い、炭素源については第1表に示した各種物質を
1%使用した。この培地にアルスロバクター・エスピー
K−1(FERM P−10736)を植菌し、37℃で2日振盪培
養した。このときの活性比率(可溶性澱粉を100とした
ときの値)を第1表に示す。表から明らかなように、本
酵素はショ糖によって誘導されるものではなく、グルコ
ースのように発酵性の高いもの以外は使用可能であり、
炭素源としては可溶性澱粉が最良である。
次に、有機窒素源について検討するため、1.0%可溶
性澱粉,0.2%硝酸アンモニウム,0.1%硫酸マグネシウム
および1%有機窒素源を含む培地に前記微生物を植菌
し、37℃で2日振盪培養した。このときの活性比率(0.
5%ポリペプトン+0.5%酵母エキスを100としたときの
値)を第2表に示す。表から明らかなように、酵母エキ
スを用いた場合に高い活性を示している。
さらに、培地組成について検討した結果、最適の培地
組成は1.2%酵母エキス,0.8%ポリペプトン,4%可溶性
澱粉,0.4%(NH42HPO4および0.1%MgSO4・7H2O(pH7.
0)を含むものであった。したがって、培養に用いる培
地としては、上記知見を参考とし、供試菌株が目的とす
る酵素を大量に生産し得る組成を選定すべきである。
本発明のβ−フラクトフラノシダーゼを生産するため
には、選定した培地に、上記微生物を植菌し、pHを中性
ないし微アルカリ性、温度20℃から45℃、好ましくは30
℃から40℃に保ちつつ、10時間から5日間振盪あるいは
通気撹拌培養すればよい。
以上の様にして得られた培養物より酵素は常法により
採取、精製できる。たとえば培養物より遠心分離し、菌
体を除いた上清液を粗酵素液として使用できる。さら
に、必要に応じて、既知の方法を適当に組合せて精製し
て使用できる。
酵素の精製は各種方法により行なうことができるが、
その1例を示すと次の通りである。
5℃の低温下、粗酵素液に固形の硫酸アンモニウムを
加え0.6飽和で沈澱する画分を集め、10mMリン酸緩衝液
に溶解し、同緩衝液に対して一晩透析したものについて
以後の操作を行なう。尚、この硫安塩析での回収率は約
90%である。次に、DEAE−トヨパール650によるイオン
交換クロマトグラフィー,ブチルトヨパール650による
疎水クロマトグラフィー,ウルトロゲルAcA44を用いた
ゲル濾過,ヒドロキシアパタイトによる吸着クロマトグ
ラフィー等により精製されディスクゲル電気泳動的に単
一バンドを示す二つの標品(フラクションA,B)を得る
ことができる。尚、この標品の回収率はそれぞれ15,14
%である。
フラクションAの精製酵素を用いて性質を検討した。
以下に結果を示す。
(1) 作用 (イ) 5%ショ糖に作用し、グルコースとフラクトー
スに分解する。ショ糖分子間での転移反応は起りにく
く、オリゴ糖の生成は極めて少ない。第1図に示すよう
に、50%という高濃度で反応させても転移オリゴ糖の生
成率は20%にすぎない。
(ロ) 中性の単糖及びオリゴ糖についてはイス型のコ
ンホメーション(4C1)をとったとき、C2,C3のOHがequa
torial位にある糖質の存在下、本酵素をショ糖に作用さ
せると、還元未満のC1位の水酸基にフラクトシル基を転
移し、アルドシルフラクトシドを生成する。たとえばD
−キシロース,D−ガラクトース,D−およびL−フコー
ス,L−ソルボース,マルトオリゴ糖,イソマルトオリゴ
糖,ラクトース等によくフラクトシル基を転移し、キシ
ロシルフラクトシド,ガラクトシルフラクトシド,フコ
シルフラクトシド,ソルボシルフラクトシド,マルトオ
リゴシルフラクトシド,イソマルトシルフラクトシド,
ラクトシルフラクトシドを生成する。
第2図にキシロース存在下、等量のショ糖からなる50
%基質に本酵素を40℃で作用させた時のキシロシルフラ
クトシドの生成率の経時変化を示す。第2図から明らか
なように、用いたショ糖の70%に相当する生成率を示
す。
(ハ) D−キシリトール,D−リビトール,D−ガラクチ
トール,D−ソルビトール,D−マルチトール,D−エリスリ
トール等の糖アルコール存在下、ショ糖に作用させる
と、フラクトシル基を糖アルコールに転移する。
(ニ) メタノール,エタノール,プロパノールなどの
炭素数10までの1級のアルキルアルコールの存在下、シ
ョ糖に作用させると、フラクトシル基をアルキルアルコ
ールに転移し、アルキルフラクトシドを生成する。
(ホ) リボフラビン,ルチン,エスクリンの様な配糖
体ビタミンやピリドキシンの様な水酸基を持つビタミン
の存在下、ショ糖に作用させると、ビタミンにフラクト
シル基を転移する。
(ヘ) アデノシン,イノシンの様なヌクレオシド存在
下、ショ糖に作用させると、ヌクレオシドにフラクトシ
ル基を転移する。
(2) 基質特異性 本酵素はショ糖以外にエルロース,キシロシルフラク
トシド,ラフィノース,ネオケストース,スタキオース
をよく分解するが、1−ケストース,ニストース,イヌ
ロビオース,レバンビオースには作用しにくい。
(3) 活性測定法 40%キシロースを含む20%ショ糖溶液(50mMリン酸緩
衝液pH6.5)200μに適宜希釈した酵素液200μを加
え、40℃、10分間作用させた後、反応液の一部を沸騰水
に入れ、酵素を熱失活させた後、Fキットで遊離するグ
ルコース及びフラクトース量を求め、グルコース量から
フラクトース量を差し引き、転移したフラクトース量を
算出する。1単位は1分間に1μmolのフラクトシル基
を転移させる酵素量とした。
(4) 至適pHと安定pH 作用至適pHは酵素0.1mlに0.05M緩衝液(pH3〜8:マッ
キーベン緩衝液、8.0〜11:コルソフ緩衝液)0.9mlを加
え、この内0.2mlを20%ショ糖,40%キシロース溶液0.2m
lと混ぜて活性を測定した。pH安定性は酵素0.1mlに0.1M
の同緩衝液0.4mlを加え、40℃に2時間保った後、1.0ml
のpH6.5の0.1Mリン酸緩衝液を加え、その200μを用い
残存活性を測定した。
第3図に示すごとく、至適pHは6.5〜6.8付近であり、
この処理ではpH5.5から10の範囲で安定である。
(5) 至適温度と温度安定性 至適温度は各温度で10分間反応させ活性を測定した。
温度安定性は酵素液を各温度に30分間保持した後、10分
間冷却後、残存活性を測定した。第4図に示すごとく、
本酵素の至適温度は55℃付近であり、60℃でも72%の残
存活性を有する。
(6) 阻害、活性化 本酵素は1mMの銀,水銀,銅の存在で90%以上阻害さ
れ、1mMの亜鉛,錫の存在で40〜50%阻害を受ける。そ
の他の10mMのカルシウム,バリウム,マグネシウム,マ
ンガン,ストロンチウム、1mMのニッケル,カドミニウ
ム,鉄の存在では殆ど阻害は受けなかった。また、10mM
ラウリル硫酸ナトリウム,200mMリボースで90%以上阻害
される。システイン残基に特異的に作用する0.1mMのp
−クロロマーキュリ安息香酸の存在では阻害されない。
本酵素は本酵素の有効な受容体となるキシロースやガ
ラクトースの存在により活性化される。
SH還元試薬であるジチオスレイトール,還元型グルタ
チオンは本酵素の安定化に効果はなかった。また、カル
シウム,マグネシウムにも安定性を高める効果は見られ
ない。
(7) 分子量 SDS−デイスクゲル電気泳動およびゲル濾過法により
測定したところ、フラクションAの分子量は52,000±2,
500であり、フラクションBは58,000±2,500であった。
(8) 等電点 アンホライン電気泳動法により調べた結果、等電点は
フラクションAは4.3、フラクションBは4.6であった。
(9) 結晶構造および元素分析 本酵素については未だ結晶標品が得られていないが、
電気泳動で単一なバンドを示す標品をそれぞれ得てい
る。
第3表にこれまで報告されているかびのβ−フラクト
フラノシダーゼの基質特異性をショ糖の分解速度を100
としたときの相対速度で示す。第4表にレバンシュクラ
ーゼおよびかびのβ−フラクトフラノシダーゼの受容体
特異性を示す。
第3表に示すように、本酵素はラフィノースをよく分
解するが、1−ケストースを分解しにくいこと、従来、
報告されているかびの酵素とは異なりショ糖間でのフラ
クトシル基転移反応を触媒しにくいこと、第4表に示す
ように、受容体特異性が幅広くガラクトース,ラクトー
ス等にフラクトシル基を転移する。以上のことより本酵
素は従来報告されているβ−フラクトフラノシダーゼと
は明らかに異なる新規なβ−フラクトフラノシダーゼで
ある。
尚、フラクションBの部分精製品についても酵素の安
定性,金属塩の影響,基質特異性および受容体特異性な
どを調べた結果、フラクションAとほぼ同じ結果が得ら
れている。
なお、本酵素は菌体外酵素であり、培養液に酵素を蓄
積する。また、ショ糖による誘導酵素ではなく、培地に
ショ糖を添加することなく、他の炭素源を用いて培養が
可能である。さらに、レバンシュクラーゼと異なり培養
液中にレバンを生産することがないことから酵素の回収
は容易であり、実用的にも有用である。
前述したように、本酵素はアルドースの存在下、ショ
糖,ラフィノース或いはスタキオースに作用させると、
アルドシルフラクトシドを生成、蓄積する。反応を行な
うにあたり、本酵素の性質を考慮して目的とするアルド
シルフラクトシドの生成量が最大となるような条件を選
定すべきである。
ここでアルドースとしてはβ−フラクトフラノシダー
ゼのフラクトシル基転移反応によりショ糖若しくはラフ
ィノース以外のアルドシルフラクトシドを新たに生成し
得るアルドースであり、すなわちグルコース若しくはメ
リビオース以外のアルドースである単糖あるいはオリゴ
糖が望ましい。たとえばD−キシロース,D−ガラクトー
ス,L−アラビノース,L−ソルボース,L−フコース,マル
トース,セロビオース,キシロビオース,イソマルトー
ス,ラクトース,マルトトリオース,イソマルトトリオ
ース,パノース,イソパノース等が適している。反応に
用いるアルドースは1つに限らず複数でも可能であり、
これらの混合物でもよく、澱粉,アラビノグラクタン,
キシログルカンの様な多糖類の部分加水分解物でもよ
い。
目的とするアルドシルフラクトシドを生成させるため
には、そのアルドース(受容体分子)とショ糖,ラフィ
ノースもしくはスタキオース(供与体分子)とを共存せ
しめた基質溶液に新規なβ−フラクトフラノシダーゼを
反応させればよい。反応時の受容体分子と供与体分子の
モル比は1:5から5:1が望ましく、基質濃度は10から50w/
w%が望ましい。反応時のpH及び温度はβ−フラクトフ
ラノシダーゼが作用しアルドシルフラクトシドを生成す
るような範囲であればよく、pH5.5から7.0、温度40から
60℃の範囲が選ばれる。酵素の添加量は1から50単位/g
ショ糖の範囲で使用され、反応時間は0.1から100時間の
範囲が選ばれる。
この様にして製造した反応液は、一般には酵素を加熱
失活させ、活性炭脱色,イオン交換樹脂を用いて脱塩,
脱色して混合液を得る。更に、活性炭カラムクロマトグ
ラフィーなどのクロマト操作により高純度に精製して目
的とするアルドシルフラクトシドを得ることができる。
〔実施例〕
次に実施例について述べる。
実施例1 普通寒天斜面培地にアルスロバクター・エスピーK−
1(FERM P−10736)を接種し、37℃で2日間培養後、
その1白金耳をとり、1.2%酵母エキス,0.8%ポリペプ
トン,4%可溶性澱粉,0.4%(NH42HPO4,0.1%MgSO4・7
H2O(pH7.0)の組成からなる液体培地(60ml培地/500ml
肩付きフラスコ)に植菌し、37℃で2日間通気振盪培養
した。これを種菌とし、同組成からなる液体培地に分注
し、37℃で5日間通気振盪培養した。培養終了後、培養
液を遠心分離し、上清(粗酵素液)を約1.1得た。本
液にはmlあたり30単位のβ−フラクトフラノシダーゼを
含有していた。
実施例2 1.2%酵母エキス,0.8%ポリペプトン,4%ラクトース,
0.4%(NH42HPO4,0.1%MgSO4・7H2O(pH7.0)を培地
とし、500ml容坂口フラスコに60ml分注し、これに同培
地で2日間前培養した種菌を4mlづつ植菌し、37℃で2
日間前培養した。これを種菌とし、12の5%コーンス
テープリカー,3%ショ糖,0.4%(NH42HPO4,0.1%MgSO
4・7H2O(pH7.0)からなる培地に植菌し、pHを7に調整
しながら25時間通気撹拌培養した。培養終了後、培養液
を遠心分離して菌体を除去し、粗酵素液12を得た。こ
の液の活性はmlあたり50単位であった。
実施例3 ラクトース5kgとショ糖5kgを予め水に溶かし、pHを6.
5とし、実施例2の粗酵素液をショ糖1gあたり5単位加
え固形分濃度を40%とし、50℃で5時間反応せしめてラ
クトシルフラクトシドを30%含む反応液を得た。
反応液は活性炭カラムクロマトグラフィーに供しオリ
ゴ糖をカラムに吸着させアルコール濃度を順次高くする
ことにオリゴ糖を溶出させ、15%アルコール画分を濃縮
することにより純度98%のラクトシルフラクトシドを2.
7kg得た。
実施例4 ガラクトース20kgとショ糖10kgを水に予め溶解し、pH
を6.5とし、これに実施例2の粗酵素液をショ糖1gあた
り10単位添加し、固形分濃度を40%とし50℃で15時間反
応させてガラクトシルフラクトシドを20%含有する反応
液を得た。
反応液を活性炭カラムクロマトグラフィーにかけ単糖
を除去し、ショ糖を含む純度85%のガラクトシルフラク
トシドを5kg得た。さらに、このものをα−グラコシダ
ーゼでショ糖を分解後、活性炭カラムクロマトグラフィ
ーを行ない純度98%のガラクトシルフラクトシド3.8kg
を得た。
〔発明の効果〕
本発明によれば、新規な糖転移活性の強いβ−フラク
トフラノシダーゼを効率よく得ることができる。さら
に、この酵素を用いることによってアルドシルフラクト
シドを効率よく安価に製造することができる。
キシロシルフラクトシド,イソマルトシルフラクトシ
ドは抗う蝕性の性質を有し、さらにラクトシルフラクト
シドはビフィズス菌増殖因子としての活性を有している
ことにより、これらのアルドシルフラクトシドは有用な
甘味料として実用化が期待される。
したがって、β−フラクトフラノシダーゼとその製法
ならびに該酵素を用いてアルドシルフラクトシドを製造
する方法を提供する本発明は産業上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】 第1図はβ−フラクトフラノシダーゼの反応経過(50%
ショ糖、10U/g基質)を示すグラフ、第2図は受容体と
して25%キシロース存在下の本酵素の反応経過(25%シ
ョ糖、10U/g基質)を示すグラフ、第3図A,Bは本酵素の
至適pH(第3図A)及びpH安定性(第3図B)を示すグ
ラフ、第4図A,Bは本酵素の至適温度(第4図A)及び
温度安定性(第4図B)を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北畑 寿美雄 大阪府泉南郡熊取町野田621―440 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 9/24 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の性質を有する新規なβ−フラクトフ
    ラノシダーゼ。 (1) 本酵素は受容体として各種単糖,糖アルコー
    ル,アルキルアルコール,配糖体,オリゴ糖等の存在下
    ショ糖に作用させると、フラクトシル基を受容体分子に
    転移させ、その受容体特異性は極めて広い。 (2) 本酵素はショ糖,エルロース,キシロシルフラ
    クトシド,ラフィノース,ネオケストース,スタキオー
    スをよく分解するが、1−ケストース,ニストース,イ
    ヌロビオース,レバンビオースには作用しにくい。 (3) 本酵素は40℃にてpH6.5〜6.8が至適であり、pH
    5.5〜10で安定である。 (4) 本酵素はpH6.5において至適温度は55℃であ
    り、60℃でも70%以上の残存活性を示す。 (5) 本酵素は銀,水銀,亜鉛,銅,錫の存在で阻害
    を受ける。 (6) 本酵素の分子量は52,000±2,500および58,000
    ±2,500(デイスクゲル電気泳動およびゲル濾過法によ
    る)である。 (7) 本酵素の等電点はpH4.3および4.6(アンフオラ
    イン電気泳動法による)である。
  2. 【請求項2】アルスロバクター属に属し、請求項1記載
    の性質を有する新規なβ−フラクトフラノシダーゼの生
    成能を有する微生物を培養し、培養物中に該酵素を蓄積
    せしめ、これを採取することを特徴とする新規なβ−フ
    ラクトフラノシダーゼの製造法。
  3. 【請求項3】アルスロバクター属に属する新規なβ−フ
    ラクトフラノシダーゼの生産菌がアルスロバクター・エ
    スピーK−1(FERM P−10736)である請求項2記載の
    製造法。
  4. 【請求項4】アルスロバクター属に属する新規なβ−フ
    ラクトフラノシダーゼの生産菌を、炭素源としてショ
    糖,マルトース,ラクトースおよび可溶性澱粉のいずれ
    かを含む培地で培養する請求項2記載の製造法。
  5. 【請求項5】アルドースの存在下、ショ糖もしくはラフ
    ィノースに請求項1記載の新規なβ−フラクトフラノシ
    ダーゼを作用させることを特徴とするアルドシルフラク
    トシドの製造法。
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