JP3062409B2 - 新規なβ−ガラクトシド−α2,6−シアル酸転移酵素及びその製造方法 - Google Patents

新規なβ−ガラクトシド−α2,6−シアル酸転移酵素及びその製造方法

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JP3062409B2
JP3062409B2 JP30409094A JP30409094A JP3062409B2 JP 3062409 B2 JP3062409 B2 JP 3062409B2 JP 30409094 A JP30409094 A JP 30409094A JP 30409094 A JP30409094 A JP 30409094A JP 3062409 B2 JP3062409 B2 JP 3062409B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シチジン1リン酸(以
下、CMPということがある。)−シアル酸からシアル
酸を、複合糖質糖鎖もしくは遊離の糖鎖中のガラクトー
ス残基の6位、又は複合糖質を構成しうる単糖の6位に
転移させる、新規なβ−ガラクトシド−α2,6−シア
ル酸転移酵素及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、動物細胞における糖蛋白質、糖脂
質などの複合糖質が有する生物活性が次々と明らかにさ
れ、複合糖質における糖鎖の重要性が認識されつつあ
る。複合糖質中の糖鎖の非還元末端に存在することの多
い糖としてシアル酸が挙げられるが、糖鎖の持つ生理機
能、生物学的意識が重要視される中で、このシアル酸は
とりわけ多くの機能を有していると考えられている。こ
のことから、糖鎖にシアル酸を転移するシアル酸転移酵
素の重要性もまた、広く認識されている。
【0003】シアル酸をオリゴ糖、複合糖質糖鎖などに
結合させる場合、例えばシアル酸を糖鎖中の非還元末端
におけるガラクトース残基の6位にα2,6結合で結合
させる場合、従来より化学合成法と酵素法が知られてい
る。しかしながら、化学合成法は、その合成方法が複雑
であり、また副反応も生じるため、シアル酸をガラクト
ースの6位に選択的に結合させた生成物を収率よく合成
することは極めて難しいという欠点があった。
【0004】一方、酵素法は、化学合成法と比較して、
方法が非常に簡便で、かつ副反応が全く生じないため高
収率で合成することが可能である。このような酵素は、
ラット、ブタ、ヒト等の動物の顎下線、肝臓などの臓器
から取得されているが(Poulson et al. J.Biol.Chem.
252 2356-2362 (1977) 、Weinstein et al. J.Biol.Che
m. 257 13835-13844 (1982) 、Miyagi et al. Eur.J.Bi
ochem. 126 253-261 (1982) )、精製が困難で大量に得
られないため非常に高価であり、さらには酵素としての
安定性が悪いという問題を抱えていた。
【0005】また、現在までに精製されているシアル酸
転移酵素は、すべて動物細胞由来の酵素であるため、そ
れらのほとんどすべては糖蛋白質からなる。これら動物
由来のシアル酸転移酵素の一部は既にクローニングされ
ており、このシアル酸転移酵素の遺伝子を用いて、酵
母、COS−3細胞、COS−7細胞などを宿主として
シアル酸転移酵素を生産させれば、その酵素活性を示す
酵素蛋白質が得られる。
【0006】しかし、これらを宿主として生産された酵
素が示す比活性は、本来の動物組織や、動物細胞内での
シアル酸転移酵素の比活性と比較すると非常に低い値を
示す。これは、酵母、COS−3細胞、COS−7細胞
などを宿主として生産したシアル酸転移酵素は、動物細
胞内で生産されている本来のシアル酸転移酵素と蛋白質
の一次構造は同じであっても、蛋白質部分に付加される
糖鎖が異なり、その結果、本来の酵素と比較して組み換
え体の比活性が非常に低くなっているものと考えられる
からである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、微生
物由来の新規なβ−ガラクトシド−α2,6−シアル酸
転移酵素を、大量にかつ安価に生産することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者等は、フォトバクテリウム属に属する
微生物が、シアル酸を複合糖質糖鎖又は遊離の糖鎖中の
ガラクトース残基等に転移させる酵素を生産することを
見出し、本発明を完成した。即ち、本発明は、フォトバ
クテリウム属に属する微生物由来であって、下記の理化
学的性質を有する新規なβ−ガラクトシド−α2,6−
シアル酸転移酵素である。 (1) 作用及び特異性:シチジン1リン酸−シアル酸から
シアル酸を、複合糖質糖鎖もしくは遊離の糖鎖中のガラ
クトース残基の6位、又は動物由来の複合糖質を構成し
うる単糖で6位の炭素に水酸基を有する単糖の6位に転
移させる。 (2) 至適pH:5〜6 (3) 至適温度:30℃ (4) 分子量:64,000±5,000(ゲル濾過による) また、本発明は、下記の理化学的性質を有する新規なβ
−ガラクトシド−α2,6−シアル酸転移酵素である。 (1) 作用及び特異性:シチジン1リン酸−シアル酸から
シアル酸を、複合糖質糖鎖もしくは遊離の糖鎖中のガラ
クトース残基の6位、又は動物由来の複合糖質を構成し
うる単糖で6位の炭素に水酸基を有する単糖の6位に転
移させる。 (2) 至適pH:5 (3) 至適温度:30℃ (4) pH安定性:4.5 〜6 (5) 熱安定性:35℃で5分間加熱後の活性は、初期活性
の約90%を保持する。
【0009】45℃で5分間加熱後の活性は、初期活性の
約70%を保持する。 (6) 分子量:約61,000(12.5% SDS−ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動による) 約64,000(ゲル濾過による) (7) 等電点:4.6 さらに、本発明は、フォトバクテリウム属に属し、β−
ガラクトシド−α2,6−シアル酸転移酵素生産能を有
する微生物を培地に培養し、得られた菌体から酵素を採
取することを特徴とするβ−ガラクトシド−α2,6−
シアル酸転移酵素の製造方法である。
【0010】さらに、本発明は、上記フォトバクテリウ
ム属に属し、β−ガラクトシド−α2,6−シアル酸転
移酵素生産能を有する微生物が、フォトバクテリウム
ダムセーラ(Photobacterium damsela) JTO160、ATCC 3
3539及びATCC 35083からなる群から選ばれた少なくとも
1種であることを特徴とするβ−ガラクトシド−α2,6
−シアル酸転移酵素の製造方法である。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
β−ガラクトシド−α2,6−シアル酸転移酵素は、フ
ォトバクテリウム属に属し、β−ガラクトシド−α2,
6−シアル酸転移酵素生産能を有する微生物を培地に培
養し、菌体中にβ−ガラクトシド−α2,6−シアル酸
転移酵素を生産させ、これを採取することより得ること
ができる。
【0012】ここで用いる微生物としては、フォトバク
テリウム属に属し、β−ガラクトシド−α2,6−シア
ル酸転移酵素生産能を有する微生物であれば、いずれで
も用いることができるが、中でもフォトバクテリウム
ダムセーラ種に属するものが好ましく、その例として
は、フォトバクテリウム ダムセーラ JTO160 、ATCC 3
3539、ATCC 35083などが挙げられる。フォトバクテリウ
ム ダムセーラは、いずれも海洋性細菌であり、フォト
バクテリウム ダムセーラ JTO160 は、相模湾の海水中
から分離されたものである。一例として、フォトバクテ
リウム ダムセーラ JTO160 のスクリーニング法を以下
に示す。
【0013】海水、海砂、もしくは海泥を微生物源とし
て、これらを直接もしくは滅菌海水で希釈した後に、マ
リンブロス2216−寒天培地(ディフコ社製、寒天濃度1.
5 %)なる平板培地に塗布し、生育する海洋性微生物を
取得する。得られた微生物を常法にしたがってシングル
コロニーアイソレーションした後に、マリンブロス2216
(ディフコ社製)なる液体培地を用い、それぞれの微生
物を培養する。微生物が十分生育した後に、培養液から
菌体を遠心分離によって集める。集めた菌体に、0.2 %
トライトンX-100 (関東化学社製)なる界面活性剤を含
む、20mMカコジレート緩衝液(pH6.0 )を添加し、菌体
を懸濁する。この菌体懸濁液を、氷冷下、超音波処理し
て細胞を破砕する。この細胞破砕液を酵素溶液として、
常法にしたがってシアル酸転移活性を測定し、シアル酸
転移活性を示す菌株より本菌株を得ることができる。
【0014】このようにして得られるフォトバクテリウ
ム ダムセーラ JTO160の菌学的性質を以下に示す。 菌学的性質: 1) 形態 (1) 細胞の形態は桿菌で、大きさは1×0.5μm〜2×
1μm。
【0015】(2) 運動性を有し、鞭毛(極単毛)を有す
る。 (3) グラム染色性は陰性。 (4) 胞子は形成しない。 2)生理学的性質 (1) 生育温度 25〜35℃ (2) 集落の色調 特徴的集落色
素を産生せず (3) O−Fテスト F (4) カタラーゼテスト 陽性 (5) オキシダーゼテスト 陽性 (6) グルコースからのガスの生成 陽性 (7) V−P反応 陽性 (8) ゼラチン分解能 無 (9) デンプン分解能 無 (10)硝酸塩還元能 有 (11)発光性 無 (12)酸素に対する態度 通性嫌気性 (13)グルコースの蓄積 有 (14)β−ヒドロキシ酪酸の蓄積 無 (15)β−ヒドロキシ酪酸の利用能 有 (16)Na+ 要求性 有 (17)プテリジン誘導体に対する感受性 10μg 有 150 μg 有 (18)キノン系 Q-8,Q-7 (19)菌体内DNA のGC含量(モル%)* 42 (20)リパーゼ活性 有 (21)アルギニンジヒドラーゼ活性 有 (22)資化性 酢酸塩 無 マルトース 有 L−プロリン 有 ピルビン酸塩 無 D−キシロース 無 セロビオース 無 D−ガラクトース 有 D−ガラクチュロン酸 無 D−グルコン酸塩 無 グルコース 有 L−グルタミン酸塩 無 D−マンノース 有 シュークロース 無 マンニトール 無 注)*:HPLC法によって行った。
【0016】以上の菌学的性質より、本菌はフォトバク
テリウム ダムセーラと推定された。そこで、フォトバ
クテリウム ダムセーラ GIFU 10450(基準株)とDN
A−DNAハイブリダイゼーション試験を行った結果、
89%と高い相同値が得られたため、本菌はフォトバクテ
リウム ダムセーラと同定された。なお、DNA−DN
Aハイブリダイゼーション試験はマイクロプレートを用
いたフォトビオチン標識方法によって行った。
【0017】フォトバクテリウム ダムセーラ JTO160
は、平成6年11月24日付で、工業技術院生命工学工業技
術研究所に、FERM BP-4900として寄託されている。ま
た、フォトバクテリウム ダムセーラ ATCC 33539 及び
ATCC 35083はいずれもAEMERICAN TYPE CULTURE COLLECT
ION (ATCC)に寄託されており、 ATCC 33539 の菌学的性
質は、Int.J. Syst.Bact. 32 267 (1982) 、及び MacDO
NELL et al. Syst.Appl.Microbiol. 6 171-182 (1985)
に、ATCC 35083の菌学的性質は、Grimes et al.Microb.
Ecol. 10 271-282 (1984) に記載されている。
【0018】上記微生物の培養に用いる培地としては、
それらの微生物が利用し得る炭素源、窒素源、無機物等
を含むものを用いる。炭素源としては、ペプトン、トリ
プトン、カゼイン分解物、肉エキス等が挙げられ、好ま
しくはペプトンを用いる。窒素源としては、酵母エキス
を用いるのが好ましい。塩類としては、塩化ナトリウ
ム、クエン酸鉄、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、
塩化カルシウム、塩化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭
酸ナトリウム、臭化カリウム、塩化ストロンチウム、ほ
う酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、フッ化ナトリウ
ム、硝酸アンモニウム、リン酸水素二ナトリウム等を適
宜組み合わせて用いるのが好ましい。
【0019】また、上記成分をすべて含んだマリンブロ
ス2216なる培地(ディフコ社製)を用いることもでき
る。さらには、上記塩類を適度に含む人工海水を用い、
これにペプトン、酵母エキス等を添加した培地を用いる
こともできる。培養条件は培地の組成によって多少異な
るが、培養温度は15〜35℃、好ましくは20〜33℃、pHは
6.8〜8.8、好ましくは7.3〜8.2、培養時間は8〜48
時間、好ましくは16〜24時間である。
【0020】目的とする酵素は菌体内に存在するため、
公知の菌体破砕法、例えば超音波破砕法、フレンチプレ
ス破砕法、ガラスビーズ破砕法、ダイノミル破砕法など
のいずれかの方法を行えばよく、その菌体破砕物から目
的とする酵素を分離精製する。本発明における好ましい
菌体破砕法は、超音波破砕法である。例えば、菌体破砕
物から遠心分離により固形物を除去した後に、得られた
菌体破砕液上清を市販の陰イオン交換カラム、陽イオン
交換カラム、ゲル濾過カラム、ハイドロキシアパタイト
カラム、 CDP−ヘキサノールアミンアガロースカラム、
CMP−ヘキサノールアミンアガロースカラム、疎水性カ
ラム等のカラムクロマトグラフィー及びネイティブ−PA
GE等を適宜組み合わせて電気泳動的に単一バンドになる
まで精製することができる。
【0021】なお、β−ガラクトシド−α2,6−シア
ル酸転移酵素は、完全に精製してもよいが、部分精製品
でも十分な活性を有するため、本発明のβ−ガラクトシ
ド−2,6−シアル酸転移酵素は、精製品と部分精製品
の両者を含むものとする。本発明のβ−ガラクトシド−
α2,6 −シアル酸転移酵素の特徴は、フォトバクテリウ
ム属に属する微生物、中でもフォトバクテリウム ダム
セーラ種に属する微生物由来であり、かつCMP−シア
ル酸からシアル酸を、複合糖質糖鎖もしくは遊離の糖鎖
中のガラクトース残基の6位、又は動物由来の複合糖質
を構成しうる単糖で6位の炭素に水酸基を有する単糖の
6位に転移させる作用及び基質特異性を有する点にあ
る。本酵素の至適pHは5〜6の範囲内にあり、至適温度
は30℃、分子量はゲル濾過法によると64,000±5,000で
ある。ここで、動物由来の複合糖質を構成しうる単糖で
6位の炭素に水酸基を有する単糖とは、例えばガラクト
ース、マンノース、N−アセチルガラクトサミン等をい
う。
【0022】本酵素としては、具体的にはフォトバクテ
リウム ダムセーラ JTO160 由来の酵素、フォトバクテ
リウム ダムセーラ ATCC 33539 由来の酵素、フォトバ
クテリウム ダムセーラ ATCC 35083 由来の酵素等が挙
げられるが、一例としてフォトバクテリウム ダムセー
ラ JTO160 由来の酵素の酵素学的性質及び理化学的性質
を以下に示す。 (1) 作用及び基質特異性 CMP−シアル酸からシアル酸を、複合糖質糖鎖もしく
は遊離の糖鎖中のガラクトース残基の6位、特にその非
還元末端に存在するガラクトースの6位に、またラクト
ース、N−アセチルラクトサミンなどのオリゴ糖に存在
するガラクトースの6位、特にその非還元末端に存在す
るガラクトースの6位に、さらにはガラクトース、マン
ノース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラ
クトサミンなどの動物由来の複合糖質を構成しうる単糖
で6位の炭素に水酸基を有する単糖の6位に転移させ
る。 (2) 熱安定性 本酵素溶液10μl を30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55
℃及び60℃の水浴中で5分間加熱した後、酵素活性を測
定し、非加熱時の酵素活性を100%として加熱後の残存
活性を比較した。その結果より、本酵素は30℃では100
%、35℃では約90%、45℃では約70%の残存活性を示
す。 (3) pH安定性 pH3.7から5.0(酢酸緩衝液)、pH5.0から7.3(カコ
ジレート緩衝液)及びpH7.3から8.0(トリス−塩酸緩
衝液)で酵素溶液を調製し、この酵素溶液10μl を用い
て酵素活性を測定した。酵素活性を比較した結果より、
本酵素はpH4.5〜6で安定である。 (4) 至適温度 酵素の失活が最小限に抑制され、かつ酵素反応が速やか
に進む温度は、30℃〜35℃である。 (5) 至適pH pH3.7から5.0(酢酸緩衝液)、pH5.0から7.3(カコ
ジレート緩衝液)及びpH7.3から8.0(トリス−塩酸緩
衝液)で調製した糖受容体基質を用いて、酵素活性を測
定した。その結果より、本酵素の至適pHは5である。 (6) 分子量 分子量の測定は SDS−ポリアクリルアミド電気泳動法及
びゲル濾過法で測定した。 SDS−ポリアクリルアミド電
気泳動法では、常法にしたがって、 SDSを含むポリアク
リルアミドゲルの濃度が12.5%のゲルで、分子量マーカ
ー(分子量97,400のフォスフォリラーゼb、66,267のウ
シ血清アルブミン、42,400のアルドラーゼ、30,000のカ
ルボニックアンヒドラーゼ、20,100のトリプシンインヒ
ビター、14,400のリゾチーム)とともに電気泳動を行
い、移動度から分子量を求めた。その結果より、本酵素
の分子量(SDS−ポリアクリルアミド電気泳動法)は約6
1,000である。
【0023】ゲル濾過法では、AsahiPak GS-510 なるゲ
ル濾過カラム(旭化学社製)を用いて、緩衝液として0.
2MのNaClを含む20mMリン酸緩衝液(pH6.0)を使用し、
分子量マーカー(分子量 158,000のアルドラーゼ、68,0
00のアルブミン、45,000のアルブミン) のゲル濾過を行
い、各蛋白質の溶出位置を測定した後、本酵素のゲル濾
過を行い、その溶出位置とマーカー蛋白質の溶出位置を
比較計算し、分子量を求めた。その結果より、本酵素の
分子量(ゲル濾過法)は約64,000である。 (7) アミノ末端アミノ酸配列 本酵素のアミノ末端アミノ酸配列をエドマン分解法によ
り決定した。本酵素溶液20μl (0.3μg/μl ) につい
て、7.5% SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を常
法に従って行った後、本酵素をウェスタンブロッテイン
グ法によりバイオダインA(日本ポール製) なる膜に吸
着させ、アミノ酸配列分析装置477A及び120Aプロテイン
シークエンサー(アプライドバイオシステムズ社製)に
より、アミノ末端側12個のアミノ酸配列を決定した。そ
の結果より、本酵素のアミノ末端アミノ酸配列は、 X-A
sn-Ser-Asp-Asn-Thr-Ser-Leu-Lys-Glu-Thr-Valである。
【0024】以上説明した本発明のβ−ガラクトシド−
α2,6−シアル酸転移酵素を用いることによって、単
糖の6位、又はオリゴ糖や糖蛋白質糖鎖等に存在するガ
ラクトースの6位にシアル酸を転移することができる。
即ち、ガラクトース、マンノース、N−アセチルグルコ
サミン、N−アセチルガラクトサミンなどの複合糖質糖
鎖を構成しうる単糖、ガラクトースを有するラクトー
ス、N−アセチルラクトサミン等のオリゴ糖、又はアシ
アロフェツイン、アシアロα1 −酸性糖蛋白質等の糖蛋
白質、ガングリオシド等の糖脂質などを糖受容体基質と
して用いるとともに、CMP−シアル酸を糖供与体基質
として用い、本酵素を作用させることにより、それぞれ
のシアロ体を生産することができる。
【0025】反応は、酵素が失活しない条件であればい
ずれの条件でも行うことができる。即ち、反応温度は、
15〜50℃、好ましくは25〜35℃、pHは、4〜7.5、好ま
しくは5〜6である。また、緩衝液としては、このpH範
囲であるならばいずれのものをも用いることができる。
反応によって生じたオリゴ糖、糖蛋白質、糖脂質などの
シアロ体は、カラムクロマトグラフィー等で分離精製す
ることができる。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定される
ものではない。 (実施例1)フォトバクテリウム ダムセーラ JTO160 由来のβ−ガ
ラクトシド−α2,6−シアル酸転移酵素の製造 マリンブロス2216なる培地を常法にしたがって調製し、
この液体培地10mlを試験管に分注してオートクレーブを
用いて滅菌操作を行った。マリンブロス2216−寒天プレ
ート(寒天濃度1.5%)で継代したフォトバクテリウム
ダムセーラ JTO160 のコロニーから白金耳菌体を採取
し、上記マリンブロス2216液体培地10mlに接種し、30℃
下、毎分150回転で8時間培養した。得られた培養液を
前培養液とした。
【0027】本培養は、以下の手順で実施した。3000ml
容のコブ付フラスコに常法にしたがって調製したマリン
ブロス2216なる培地を500ml 張り込み、オートクレーブ
を用いて滅菌操作を行った。これに前培養で得られた培
養液5mlを接種し、30℃下、毎分150回転で16時間培養
した。得られた菌体を遠心分離装置で回収し、湿重量で
約2gを得た。
【0028】この菌体を、40mlの1M NaCl、0.2%トラ
イトンX-100なる界面活性剤(関東化学社製)を含む20m
M カコジレート緩衝液(pH6.0)に懸濁し、氷冷下で超
音波破砕した。破砕は、懸濁液の660nm の吸光度が30%
以下になるまで行った。破砕終了後、菌体破砕液につい
て、4℃下、100,500gで1時間遠心分離を行い、破砕液
上清を得た。得られた上清を、0.2%トライトンX-100
なる界面活性剤を含む20mM カコジレート緩衝液(pH6.
0) 5000mlに対して、セルロースチューブを用いて4℃
で一晩透析した。この透析を3回行ったが、透析終了
後、透析チューブ内に沈澱が生じていたため、再度4℃
下、100,500gで1時間遠心分離を行い、菌体破砕液から
粗酵素液を調製した。
【0029】得られた粗酵素液を、予め0.2%トライト
ンX-100なる界面活性剤を含む20mMカコジレート緩衝液
(pH6.0)で平衡化したQ-Sepharose HR 26/10(ファル
マシア製)なる強陰イオン交換カラムに吸着させ、0.2
%トライトンX-100なる界面活性剤を含む20mM カコジレ
ート緩衝液(pH6.0)から1M 塩化ナトリウムを含む同
緩衝液へ、直線濃度勾配法(総溶出量1060ml)で溶出さ
せ、塩化ナトリウム濃度が0.25M から0.35M の間に溶出
してくる酵素活性を有する画分を回収した。
【0030】回収した画分を、0.2%トライトンX-100
なる界面活性剤を含む20mM カコジレート緩衝液(pH6.
0)5000mlに対して4℃で一晩透析した。なお、透析外
液は3回交換した。透析した画分を、予め0.2%トライ
トンX-100 なる界面活性剤を含む20mM カコジレート緩
衝液(pH6.0)で平衡化したハイドロキシアパタイト
(高研製)に吸着させ、0.2%トライトンX-100 なる界
面活性剤を含む20mM カコジレート緩衝液(pH6.0)か
ら、0.2%トライトンX-100なる界面活性剤を含む0.35M
リン酸緩衝液(pH6.0)へ、直線濃度勾配法(総溶出
量620ml)で溶出させ、リン酸緩衝液濃度が0.08M から
0.16M の間に溶出してくる酵素活性を有する画分を回収
した。この画分を、0.2%トライトンX-100 なる界面活
性剤を含む20mM カコジレート緩衝液(pH6.0)5000ml
に対して4℃で一晩透析した。なお、透析外液は3回交
換した。
【0031】透析した画分を、Sephacryl S-200(ファル
マシア製)なるゲル濾過カラム(2.6 ×60cm)に供し、
0.1M 塩化ナトリウム及び0.2%トライトンX-100なる
界面活性剤を含む20mM カコジレート緩衝液(pH6.0)
で溶出させ、溶出量100ml から140 mlに溶出される酵素
活性を有する画分を分取した。この画分を、0.2%トラ
イトンX-100 なる界面活性剤を含む20mM カコジレート
緩衝液(pH6.0)5000mlに対して4℃で透析した。
【0032】得られた画分を、予め0.2%トライトンX-
100 なる界面活性剤を含む20mM カコジレート緩衝液(p
H6.0)で平衡化した CDP−ヘキサノールアミンアガロ
ースを担体としたカラム(0.7×1.2cm)に吸着させ、
4mlの同緩衝液でカラムを洗浄後、8mlの2M 塩化ナト
リウムで溶出させた。溶出した画分を、0.2%トライト
ンX-100 なる界面活性剤を含む20mM カコジレート緩衝
液(pH6.0)に対して透析した。この画分を SDS−ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動したところ、目的酵素は単
一のバンドを示し、約61,000の分子量を示した。この画
分の比活性は、菌体破砕時の比活性に比べて 643倍に上
昇し、全活性は257U、活性収率は19%であった。
【0033】なお、本酵素の活性測定は、糖供与体基質
(CMP−シアル酸)、糖受容体基質(アシアロ糖蛋白
質)及び酵素溶液を混合して酵素反応を行った後、糖受
容体基質に転移されたシアル酸を定量することにより行
った。詳しくは以下の通りである。20mMカコジレート緩
衝液(pH6.0) に、糖受容体としてアシアロフェツイン
を6.25mg/ml 濃度で溶解し、この溶液80μl を糖受容体
基質溶液とした。この糖受容体基質溶液に、14Cでシア
ル酸をラベルしたCMP−シアル酸を含むCMP−シア
ル酸溶液10μl (6.7nmol、6,700cpm/nmol)を加え、予め
30℃に保温した後に、酵素溶液10μl を添加し、30℃下
で5分間反応させた。反応終了後、反応溶液を0.1MのNa
Clで平衡化した内径10mm、長さ160mm の Sephadex G-50
(ファルマシア社製)のカラムに供した。溶離液として
は、0.1MのNaClを用いた。カラムのボイド画分に溶出す
る、酵素反応によってシアル酸が転移した糖受容体基質
を集め、この画分の放射活性を測定し、転移されたシア
ル酸量を計算して酵素活性を決定した。酵素1単位(1
U) は、1分間に1ナノモルのシアル酸を転移する酵素
量とした。
【0034】(実施例2)シアリルメチル−β−D−N−アセチルラクトサミンの
製造 メチル−β−D−N−アセチルラクトサミンを糖受容体
基質として、シアリルメチル−β−D−N−アセチルラ
クトサミンの製造を行った。メチル−β−D−N−アセ
チルラクトサミン 79.4mg (200μmol)、CMP−シアル
酸 9.4mg(16μmol)及び実施例1で得られたβ−ガラク
トシド−α2,6 −シアル酸転移酵素270Uを、1mlの20mM
カコジレート緩衝液(pH6.0)に溶解し、30℃下で1
時間反応させた。反応の進行は、同条件で上記の1/10ス
ケールで、糖供与体基質として14Cでシアル酸をラベル
したCMP−シアル酸を用い、転移されたシアル酸量を
測定して確認した。反応終了後、反応液1mlに蒸留水を
添加し10mlとした。この溶液を、蒸留水で平衡化したDo
wexl-x2 (フォスフェートフォーム)のカラム(1.5×
9cm,15.9ml,室町化学社製)に供した。
【0035】90mlの蒸留水でカラムを洗浄し、その後5
mM Sodium Phosphate (pH6.8) 60mlで溶出を行い、5ml
ずつ分画した。それぞれの画分のグリコシド結合型シア
ル酸を、過よう素酸−レゾルシノール法で測定し、グリ
コシド結合型シアル酸を含む20mlから50mlまでの画分を
集め、ローターリーエバポレーターで濃縮した。濃縮し
た反応生成物を、活性炭カラム(1.5×6.8cm, 12ml,和
光純薬社製)に供した。その後、カラムの3倍量の蒸留
水でカラムを洗浄し、カラムの2倍量の10%、20%、50
%及び100%エタノールでそれぞれ溶出し、各画分のグ
リコシド結合型シアル酸を過よう素酸−レゾルシノール
法で測定した。グリコシド結合型シアル酸を含む10%、
20%、50%エタノール溶出画分を集め、ローターリーエ
バポレーターで濃縮した。
【0036】得られた反応生成物について、 1H−NM
R及び13C−NMRによる測定を行った。結果をそれぞ
れ図3及び図4に示す。図3及び図4より、酵素合成に
よって生じた反応生成物はα2,6シアリルメチル−β
−D−N−アセチルラクトサミンであることが明らかと
なった。また、反応生成物についてマススペクトルを測
定した。結果を図5に示す。シアリルメチル−β−D−
N−アセチルラクトサミンの分子量は 688であるが、図
5の結果より、分子量 689に相当するピーク((M+H+)
)を確認することができた。
【0037】さらに、糖供与体基質として14Cでシアル
酸をラベルしたCMP−シアル酸を用いた対照実験か
ら、今回の条件で16μmol のα2,6シアリルメチル−
β−D−N−アセチルラクトサミンを製造できたと計算
された。 (実施例3)ピリジルアミノ化糖鎖のシアリル化(1) 実施例1で得られた酵素を用い、ピリジルアミノ化糖鎖
を糖受容体基質として酵素反応を行った。ピリジルアミ
ノ化糖鎖としては、N−アセチルラクトサミンタイプ:
バイアンテナリー糖鎖( Galβ1-4GlcNAcβ1-2Manα1-6
(Galβ1-4GlcNAcβ1-2Manα1-3)Manβ1-4GlcNAcβ1-4Gl
cNAc-PA、宝酒造製) 及び2種類のN−アセチルラクト
サミンタイプモノシアリレイッテド:バイアンテナリー
糖鎖( NeuAcα2-6Galβ1-4GlcNAcβ1-2Manα1-6 (Gal
β1-4GlcNAcβ1-2Manα1-3) Manβ1-4GlcNAcβ1-4GlcNA
c-PA、 Galβ1-4GlcNAcβ1-2Manα1-6 (NeuAcα2-6Gal
β1-4GlcNAcβ1-2Manα1-3) Manβ1-4GlcNAcβ1-4GlcNA
c-PA、宝酒造製) を用いた。
【0038】いずれの糖受容体を用いた場合も、糖受容
体基質が 2.0μM 、CMP−シアル酸が 5.7μM 及び酵
素が1U となるように、それぞれを20mM カコジレート
緩衝液(pH6.0)25μl 中に溶解し、30℃下で20時間反
応させた。反応終了後、 100℃で2分間反応溶液を処理
することにより酵素を失活させた。その後、HPLCで反応
生成物の分析を行った。
【0039】HPLCシステムとしては Shimazu LC-10(島
津製)、カラムとしてはTakara PALPAK Type R (宝酒造
製) を用い、酵素を失活させた反応液10μl を、0.15%
N−ブタノールを含む100 mM酢酸−トリエチルアミン
(pH5.0) で平衡化したカラムに注入した。ピリジルア
ミノ化糖鎖の溶出には溶出液A(100 mM酢酸−トリエチ
ルアミン、pH5.0) 及び溶出液B(0.5%、n−ブタノ
ールを含む100mM 酢酸−トリエチルアミン、pH5.0)を
用い、30〜100%溶出液Bの直線濃度勾配法(0〜35
分)及び 100%溶出液B(35〜50分)により、順次ピリ
ジルアミノ化糖鎖の溶出を行い、1ml/minの流速、40℃
のカラム温度の条件下、蛍光(Ex:320nm 、Em:400nm)
を検出することによりピリジルアミノ化糖鎖を検出し
た。
【0040】その結果、上記の分析方法でN−アセチル
ラクトサミンタイプジシアリレイッテド:バイアンテナ
リー糖鎖( NeuAcα2-6Galβ1-4GlcNAcβ1-2Manα1-6
(NeuAcα2-6Galβ1-4GlcNAcβ1-2Manα1-3) Manβ1-4Gl
cNAcβ1-4GlcNAc-PA) を溶出させた場合の溶出位置と同
一のリテンションタイムを示すピークを検出した。即
ち、本酵素を用いることにより、N−アセチルラクトサ
ミンタイプ:バイアンテナリー糖鎖及び2種類のN−ア
セチルラクトサミンタイプモノシアリレイッテド:バイ
アンテナリー糖鎖のいずれからも、N−アセチルラクト
サミンタイプジシアリレイッテド:バイアンテナリー糖
鎖を合成することが明らかとなった。
【0041】(実施例4)フォトバクテリウム ダムセーラ ATCC 33539 及び ATC
C 35083 由来のβ−ガラクトシド−α2,6−シアル酸
転移酵素の製造 ATCC 33539及びATCC 35083を、マリンブロス2216(ディ
フコ社製)なる液体培地を用いてそれぞれ培養した。微
生物が十分に生育した後、培養液から菌体を遠心分離に
よって集めた。集めた菌体に、0.2 %トライトンX-100
(関東化学社製)なる界面活性剤を含む、20mMカコジレ
ート緩衝液(pH6.0 )を添加し、菌体を懸濁した。この
菌体懸濁液を氷零下で超音波処理し、細胞を破砕するこ
とにより、粗酵素溶液を調製した。
【0042】(実施例5)ピリジルアミノ化糖鎖のシアリル化(2) 実施例4で得られた各酵素を用い、ピリジルアミノ化糖
鎖を糖受容体基質として酵素反応を行った。ピリジルア
ミノ化糖鎖としては、ピリジルアミノ化ラクトース(Ga
lβ1-4Glc-PA 、宝酒造製) を用い、実施例3と同様に
して分析した。
【0043】糖受容体基質についてのHPLCの分析結果を
図6に、ATCC 33539由来の酵素による反応物質について
のHPLCの分析結果を図7に、ATCC 35083由来の酵素によ
る反応物質についてのHPLCの分析結果を図8に示す。図
7では、リテンションタイム5,500 のピークがピリジル
アミノ化α2,6 −シアリルラクトースを示し、図8で
は、リテンションタイム5,499 のピークがピリジルアミ
ノ化α2,6 −シアリルラクトースを示している。即ち、
本酵素を用いることにより、ピリジルアミノ化ラクトー
スからピリジルアミノ化α2,6 −シアリルラクトースを
合成することが明らかとなった。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、微生物由来の新規なβ
−ガラクトシド−α2,6−シアル酸転移酵素を提供す
ることができ、大量にかつ安価に本酵素を提供すること
が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のβ−ガラクトシド−α2,6−シアル
酸転移酵素のpH安定性を示すグラフである。
【図2】本発明のβ−ガラクトシド−α2,6−シアル
酸転移酵素の熱安定性を示すグラフである。
【図3】本発明のβ−ガラクトシド−α2,6−シアル
酸転移酵素を用いて合成した、α2,6シアリルメチル
−β−D−N−アセチルラクトサミンの 1H−NMRス
ペクトル(303Kで測定)を示すグラフである。
【図4】本発明のβ−ガラクトシド−α2,6−シアル
酸転移酵素を用いて合成した、α2,6シアリルメチル
−β−D−N−アセチルラクトサミンの13C−NMRス
ペクトル(303Kで測定)を示すグラフである。
【図5】本発明のβ−ガラクトシド−α2,6−シアル
酸転移酵素を用いて合成した、α2,6−シアリルメチ
ル−β−D−N−アセチルラクトサミンのマススペクト
ルを示すグラフである。
【図6】ピリジルアミノ化ラクトースについてのHPLCに
よる分析結果を示すグラフである。
【図7】ATCC 33539由来のβ−ガラクトシド−α2,6
−シアル酸転移酵素を用いて合成した、ピリジルアミノ
化α2,6 −シアリルラクトースについてのHPLCによる分
析結果を示すグラフである。
【図8】ATCC 35083由来のβ−ガラクトシド−α2,6
−シアル酸転移酵素を用いて合成した、ピリジルアミノ
化α2,6 −シアリルラクトースについてのHPLCによる分
析結果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12R 1:01) (72)発明者 児玉 久 神奈川県横浜市青葉区梅が丘6−2 日 本たばこ産業株式会社 生命科学研究所 内 (56)参考文献 特開 平5−199871(JP,A) 特表 平5−504678(JP,A) 特表 平7−505771(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 9/00 - 9/99 C12N 1/00 - 1/38 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フォトバクテリウム属に属する微生物由
    来であって、下記の理化学的性質を有する新規なβ−ガ
    ラクトシド−α2,6−シアル酸転移酵素。 (1) 作用及び特異性:シチジン1リン酸−シアル酸から
    シアル酸を、複合糖質糖鎖もしくは遊離の糖鎖中のガラ
    クトース残基の6位、又は動物由来の複合糖質を構成し
    うる単糖で6位の炭素に水酸基を有する単糖の6位に転
    移させる。 (2) 至適pH:5〜6 (3) 至適温度:30℃ (4) 分子量:64,000±5,000(ゲル濾過による)
  2. 【請求項2】 下記の理化学的性質を有する新規なβ−
    ガラクトシド−α2,6−シアル酸転移酵素。 (1) 作用及び特異性:シチジン1リン酸−シアル酸から
    シアル酸を、複合糖質糖鎖もしくは遊離の糖鎖中のガラ
    クトース残基の6位、又は動物由来の複合糖質を構成し
    うる単糖で6位の炭素に水酸基を有する単糖の6位に転
    移させる。 (2) 至適pH:5 (3) 至適温度:30℃ (4) pH安定性:4.5 〜6 (5) 熱安定性:35℃で5分間加熱後の活性は、初期活性
    の約90%を保持する。45℃で5分間加熱後の活性は、初
    期活性の約70%を保持する。 (6) 分子量:約61,000(12.5% SDS−ポリアクリルアミ
    ドゲル電気泳動による) 約64,000(ゲル濾過による) (7) 等電点:4.6
  3. 【請求項3】 フォトバクテリウム属に属し、請求項1
    又は2記載のβ−ガラクトシド−α2,6−シアル酸転移
    酵素生産能を有する微生物を培地に培養し、得られた菌
    体から酵素を採取することを特徴とするβ−ガラクト
    シド−α2,6−シアル酸転移酵素の製造方法。
  4. 【請求項4】 微生物が、フォトバクテリウム ダムセ
    ーラ(Photobacterium damsela) JTO160、ATCC 33539及
    びATCC 35083からなる群から選ばれた少なくとも1種で
    あることを特徴とする請求項3記載のβ−ガラクトシド
    −α2,6−シアル酸転移酵素の製造方法。
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