JP3124199B2 - シアル酸を含む糖類の製造方法 - Google Patents
シアル酸を含む糖類の製造方法Info
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Description
製造方法に関し、特にガラクトース残基の6位にシアル
酸を有する複合糖質及び遊離のオリゴ糖、並びに動物由
来の複合糖質を構成しうる単糖で6位の炭素に水酸基を
有する単糖の6位にシアル酸を結合させた2糖類を製造
する方法に関する。
質などの複合糖質が有する生物活性が次々と明らかにさ
れ、複合糖質における糖鎖の重要性が認識されつつあ
る。複合糖質中の糖鎖の非還元末端に存在することの多
い糖としてシアル酸が挙げられるが、糖鎖の持つ生理機
能、生物学的意識が重要視される中で、シアル酸はとり
わけ多くの機能を有していると考えられている。このシ
アル酸を含む2糖、オリゴ糖、複合糖質糖鎖等の生理機
能又は生物学的意義を詳細に検討するために、シアル酸
を含まない糖や糖鎖にシアル酸を転移することは非常に
重要である。
N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルグルコサミ
ンなどの単糖の6位や、遊離のオリゴ糖又は糖蛋白質、
糖脂質など複合糖質の糖鎖の非還元末端部分に存在する
ガラクト−スの6位に、α2,6結合で結合させる方法
としては、従来より化学合成法と酵素法が知られてい
る。化学合成法は、酵素法と比べてほぼ無制限の柔軟性
があるが、その合成方法が複雑であり、また副反応も生
じるため、シアル酸をガラクトースの6位に選択的に結
合させた生成物を収率よく合成することは極めて難しい
という欠点があった。
方法が非常に簡便で、かつ副反応が全く生じないため高
収率で合成することが可能である。このような酵素は、
ラット、ブタ、ヒト等の動物の顎下線、肝臓などの臓器
から取得されているが(Poulson et al. J.Biol.Chem.
252 2356-2362 (1977) 、Weinstein et al. J.Biol.Che
m. 257 13835-13844 (1982) 、Miyagi et al. Eur.J.Bi
ochem. 126 253-261 (1982) )、精製が困難で大量に得
られないため非常に高価である。これら動物由来のシア
ル酸転移酵素の一部は既にクロ−ニングされているが、
現在までのところ大量にかつ安価にシアル酸転移酵素を
供給するには至っておらず、そのため、簡便にかつ安価
にシアル酸を含むオリゴ糖や複合糖質を合成することは
きわめて難しい状況にある。
ル酸を含む糖類を、簡便にかつ安価に製造する方法を提
供することである。
の結果、本発明者等は、海洋性細菌であるフォトバクテ
リウム属に属する微生物が、シアル酸を複合糖質糖鎖又
は遊離の糖鎖中のガラクトース残基等に転移させる酵素
を生産することを見出すとともに、この酵素を用いるこ
とにより、シアル酸を含む糖類を容易にかつ安価に製造
することができることを見出し、本発明を完成した。
2,6−シアル酸転移酵素を用いて、複合糖質糖鎖中の
ガラクトース残基の6位もしくは遊離の糖鎖中のガラク
トース残基の6位、又は動物由来の複合糖質を構成しう
る単糖で6位の炭素に水酸基を有する単糖の6位にシア
ル酸を結合させることを特徴とする、シアル酸を含む糖
類の製造方法である。
α2,6−シアル酸転移酵素が、フォトバクテリウム属
に属する微生物由来であり、さらに下記[a] 又は[b] の
理化学的性質を有することを特徴とする、シアル酸を含
む糖類の製造方法である。
とする場合もある。)−シアル酸からシアル酸を、複合
糖質糖鎖もしくは遊離の糖鎖中のガラクトース残基の6
位、又は動物由来の複合糖質を構成しうる単糖で6位の
炭素に水酸基を有する単糖の6位に転移させる。 (2) 至適pH:5〜6 (3) 至適温度:30℃ (4) 分子量:64,000±5,000(ゲル濾過による)
シアル酸を、複合糖質糖鎖もしくは遊離の糖鎖中のガラ
クトース残基の6位、又は動物由来の複合糖質を構成し
うる単糖で6位の炭素に水酸基を有する単糖の6位に転
移させる。 (2) 至適pH:5 (3) 至適温度:30℃ (4) pH安定性:4.5 〜6 (5) 熱安定性:35℃で5分間加熱後の活性は、初期活性
の約90%を保持する。45℃で5分間加熱後の活性は、初
期活性の約70%を保持する。 (6) 分子量:約61,000(12.5% SDS−ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動による) 約64,000(ゲル濾過による) (7) アミノ酸末端アミノ酸配列: X-Asn-Ser-Asp-Asn-Thr-Ser-Leu-Lys-Glu-Thr-Val (8) 等電点:4.6
用いるβ−ガラクトシド−α2,6−シアル酸転移酵素
は、フォトバクテリウム属に属し、β−ガラクトシド−
α2,6−シアル酸転移酵素生産能を有する微生物を培
地に培養し、菌体中にβ−ガラクトシド−α2,6−シ
アル酸転移酵素を生産させ、これを採取することより得
ることができる。
テリウム属に属し、β−ガラクトシド−α2,6−シア
ル酸転移酵素生産能を有する微生物であれば、いずれで
も用いることができるが、中でもフォトバクテリウム
ダムセーラ種に属するものが好ましく、その例として
は、フォトバクテリウム ダムセーラ JTO160、ATCC 33
539、ATCC 35083などが挙げられる。フォトバクテリウ
ム ダムセーラは、いずれも海洋性細菌であり、フォト
バクテリウム ダムセーラ JTO160 は、相模湾の海水中
から分離されたものである。一例として、フォトバクテ
リウム ダムセーラ JTO160 のスクリーニング法を以下
に示す。
て、これらを直接もしくは滅菌海水で希釈した後に、マ
リンブロス2216−寒天培地(ディフコ社製、寒天濃度1.
5 %)なる平板培地に塗布し、生育する海洋性微生物を
取得する。得られた微生物を常法にしたがってシングル
コロニーアイソレーションした後に、マリンブロス2216
(ディフコ社製)なる液体培地を用い、それぞれの微生
物を培養する。微生物が十分生育した後に、培養液から
菌体を遠心分離によって集める。集めた菌体に、0.2 %
トライトンX-100 (関東化学社製)なる界面活性剤を含
む、20mMカコジレート緩衝液(pH6.0 )を添加し、菌体
を懸濁する。この菌体懸濁液を、氷冷下、超音波処理し
て細胞を破砕する。この細胞破砕液を酵素溶液として、
常法にしたがってシアル酸転移活性を測定し、シアル酸
転移活性を示す菌株より本菌株を得ることができる。
ム ダムセーラ JTO160の菌学的性質を以下に示す。
1μm。 (2) 運動性を有し、鞭毛(極単毛)を有する。 (3) グラム染色性は陰性。 (4) 胞子は形成しない。
素を産生せず (3) O−Fテスト F (4) カタラーゼテスト 陽性 (5) オキシダーゼテスト 陽性 (6) グルコースからのガスの生成 陽性 (7) V−P反応 陽性 (8) ゼラチン分解能 無 (9) デンプン分解能 無 (10)硝酸塩還元能 有 (11)発光性 無 (12)酸素に対する態度 通性嫌気性 (13)グルコースの蓄積 有 (14)β−ヒドロキシ酪酸の蓄積 無 (15)β−ヒドロキシ酪酸の利用能 有 (16)Na+ 要求性 有 (17)プテリジン誘導体に対する感受性 10μg 有 150 μg 有 (18)キノン系 Q-8,Q-7 (19)菌体内DNA のGC含量(モル%)* 42 (20)リパーゼ活性 有 (21)アルギニンジヒドラーゼ活性 有 (22)資化性 酢酸塩 無 マルトース 有 L−プロリン 有 ピルビン酸塩 無 D−キシロース 無 セロビオース 無 D−ガラクトース 有 D−ガラクチュロン酸 無 D−グルコン酸塩 無 グルコース 有 L−グルタミン酸塩 無 D−マンノース 有 シュークロース 無 マンニトール 無 注)*:HPLC法によって行った。
テリウム ダムセーラと推定された。そこで、フォトバ
クテリウム ダムセーラ GIFU 10450(基準株)とDN
A−DNAハイブリダイゼーション試験を行った結果、
89%と高い相同値が得られたため、本菌はフォトバクテ
リウム ダムセーラと同定された。なお、DNA−DN
Aハイブリダイゼーション試験はマイクロプレートを用
いたフォトビオチン標識方法によって行った。
は、平成6年11月24日付で、工業技術院生命工学工業技
術研究所に、FERM BP-4900として寄託されている。ま
た、フォトバクテリウム ダムセーラ ATCC 33539 及び
ATCC 35083はいずれもAEMERICAN TYPE CULTURE COLLECT
ION (ATCC)に寄託されており、 ATCC 33539 の菌学的性
質は、Int.J. Syst.Bact. 32 267 (1982) 、及び MacDO
NELL et al. Syst.Appl.Microbiol. 6 171-182 (1985)
に、ATCC 35083の菌学的性質は、Grimes et al.Microb.
Ecol. 10 271-282 (1984) に記載されている。
それらの微生物が利用し得る炭素源、窒素源、無機物等
を含むものを用いる。炭素源としては、ペプトン、トリ
プトン、カゼイン分解物、肉エキス等が挙げられ、好ま
しくはペプトンを用いる。窒素源としては、酵母エキス
を用いるのが好ましい。塩類としては、塩化ナトリウ
ム、クエン酸鉄、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、
塩化カルシウム、塩化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭
酸ナトリウム、臭化カリウム、塩化ストロンチウム、ほ
う酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、フッ化ナトリウ
ム、硝酸アンモニウム、リン酸水素二ナトリウム等を適
宜組み合わせて用いるのが好ましい。
ス2216なる培地(ディフコ社製)を用いることもでき
る。さらには、上記塩類を適度に含む人工海水を用い、
これにペプトン、酵母エキス等を添加した培地を用いる
こともできる。培養条件は培地の組成によって多少異な
るが、培養温度は15〜35℃、好ましくは20〜33℃、pHは
6.8〜8.8、好ましくは7.3〜8.2、培養時間は8〜48
時間、好ましくは16〜24時間である。
公知の菌体破砕法、例えば超音波破砕法、フレンチプレ
ス破砕法、ガラスビーズ破砕法、ダイノミル破砕法など
のいずれかの方法を行えばよく、その菌体破砕物から目
的とする酵素を分離精製する。本発明における好ましい
菌体破砕法は、超音波破砕法である。例えば、菌体破砕
物から遠心分離により固形物を除去した後に、得られた
菌体破砕液上清を市販の陰イオン交換カラム、陽イオン
交換カラム、ゲル濾過カラム、ハイドロキシアパタイト
カラム、 CDP−ヘキサノールアミンアガロースカラム、
CMP−ヘキサノールアミンアガロースカラム、疎水性カ
ラム等のカラムクロマトグラフィー及びネイティブ−ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動等を適宜組み合わせて電
気泳動的に単一バンドになるまで精製することができ
る。
ル酸転移酵素は、完全に精製してもよいが、部分精製品
でも十分な活性を有するため、本発明ではβ−ガラクト
シド−2,6−シアル酸転移酵素の精製品及び部分精製
品のいずれをも用いることができる。
−α2,6 −シアル酸転移酵素の特徴は、フォトバクテリ
ウム属に属する微生物、中でもフォトバクテリウム ダ
ムセーラ種に属する微生物由来であり、かつCMP−シ
アル酸からシアル酸を、複合糖質糖鎖もしくは遊離の糖
鎖中のガラクトース残基の6位、好ましくはそれらの非
還元末端に存在するガラクトース残基の6位、又は動物
由来の複合糖質を構成しうる単糖で6位の炭素に水酸基
を有する単糖の6位に転移させる作用及び基質特異性を
有する点にある。この酵素の至適pHは5〜6の範囲内に
あり、至適温度は30℃、分子量はゲル濾過法によると6
4,000±5,000である。ここで、動物由来の複合糖質を構
成しうる単糖で6位の炭素に水酸基を有する単糖とは、
例えばガラクトース、マンノース、N−アセチルガラク
トサミン等をいう。
トバクテリウム ダムセーラ JTO160 由来の酵素、フォ
トバクテリウム ダムセーラ ATCC 33539 由来の酵素、
フォトバクテリウム ダムセーラ ATCC 35083 由来の酵
素等が挙げられるが、一例としてフォトバクテリウム
ダムセーラ JTO160 由来の酵素の酵素学的性質及び理化
学的性質を以下に示す。
は遊離の糖鎖中のガラクトース残基の6位、特にその非
還元末端に存在するガラクトースの6位に、またラクト
ース、N−アセチルラクトサミンなどのオリゴ糖に存在
するガラクトースの6位、特にその非還元末端に存在す
るガラクトースの6位に、さらにはガラクトース、マン
ノース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラ
クトサミンなどの動物由来の複合糖質を構成しうる単糖
で6位の炭素に水酸基を有する単糖の6位に転移させ
る。
℃及び60℃の水浴中で5分間加熱した後、酵素活性を測
定し、非加熱時の酵素活性を100%として加熱後の残存
活性を比較した。その結果より、本酵素は30℃では100
%、35℃では約90%、45℃では約70%の残存活性を示
す。
ジレート緩衝液)及びpH7.3から8.0(トリス−塩酸緩
衝液)で酵素溶液を調製し、この酵素溶液10μl を用い
て酵素活性を測定した。酵素活性を比較した結果より、
本酵素はpH4.5〜6で安定である。
に進む温度は、30℃〜35℃である。
ジレート緩衝液)及びpH7.3から8.0(トリス−塩酸緩
衝液)で調製した糖受容体基質を用いて、酵素活性を測
定した。その結果より、本酵素の至適pHは5である。
びゲル濾過法で測定した。 SDS−ポリアクリルアミド電
気泳動法では、常法にしたがって、 SDSを含むポリアク
リルアミドゲルの濃度が12.5%のゲルで、分子量マーカ
ー(分子量97,400のフォスフォリラーゼb、66,267のウ
シ血清アルブミン、42,400のアルドラーゼ、30,000のカ
ルボニックアンヒドラーゼ、20,100のトリプシンインヒ
ビター、14,400のリゾチーム)とともに電気泳動を行
い、移動度から分子量を求めた。その結果より、本酵素
の分子量(SDS−ポリアクリルアミド電気泳動法)は約6
1,000である。
ル濾過カラム(旭化学社製)を用いて、緩衝液として0.
2MのNaClを含む20mMリン酸緩衝液(pH6.0)を使用し、
分子量マーカー(分子量 158,000のアルドラーゼ、68,0
00のアルブミン、45,000のアルブミン) のゲル濾過を行
い、各蛋白質の溶出位置を測定した後、本酵素のゲル濾
過を行い、その溶出位置とマーカー蛋白質の溶出位置を
比較計算し、分子量を求めた。その結果より、本酵素の
分子量(ゲル濾過法)は約64,000である。
り決定した。本酵素溶液20μl (0.3μg/μl ) につい
て、7.5% SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を常
法に従って行った後、本酵素をウェスタンブロッテイン
グ法によりバイオダインA(日本ポール製) なる膜に吸
着させ、アミノ酸配列分析装置477A及び120Aプロテイン
シークエンサー(アプライドバイオシステムズ社製)に
より、アミノ末端側12個のアミノ酸配列を決定した。そ
の結果より、本酵素のアミノ末端アミノ酸配列は、 X-A
sn-Ser-Asp-Asn-Thr-Ser-Leu-Lys-Glu-Thr-Valである。
ステム(ファルマシア製)で等電点マーカーとともに等
電点電気泳動を行い、等電点マーカーの移動度と、本酵
素の移動度とを比較することにより測定した。
−α2,6−シアル酸転移酵素を用いることによって、
単糖の6位、又はオリゴ糖や糖蛋白質糖鎖等に存在する
ガラクトースの6位にシアル酸を転移し、シアル酸を含
む糖類を製造する。
セチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミンなど
の複合糖質糖鎖を構成しうる単糖、ガラクトースを有す
るラクトース、N−アセチルラクトサミン等の2糖や、
糖鎖構造中にガラクトースを有する遊離の複合糖質糖
鎖、すなわちN−アセチルラクトサミンタイプ:バイア
ンテナリー糖鎖、N−アセチルラクトサミンタイプモノ
シアリレイテッド:バイアンテナリー糖鎖等のオリゴ
糖、又は糖鎖構造中にガラクトースを有する複合糖質、
すなわちアシアロフェツイン、アシアロα1 −酸性糖蛋
白質等の糖蛋白質や、ラクトシルセラミド、ガングリオ
シド等の糖脂質等を糖受容体基質として用いるととも
に、CMP−シアル酸を糖供与体基質として用い、β−
ガラクトシド−α2,6 −シアル酸転移酵素を作用させる
ことにより、それぞれのシアロ体を製造する。なお、β
−ガラクトシド−α2,6 −シアル酸転移酵素は完全な精
製品であってもよいし、部分精製品であってもよい。
ずれの条件でも行うことができる。すなわち、反応温度
は、15〜50℃、好ましくは25〜35℃であり、pHは、4〜
7.5、好ましくは5〜6である。また、反応に用いる緩
衝液としては、このpH範囲であるならばいずれのものを
も用いることができる。すなわち、カコジレート緩衝
液、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液等を用いることができ
る。
を有するラクトース、N−アセチルラクトサミン等の2
糖や、糖鎖構造中にガラクトースを有する遊離の複合糖
質糖鎖、すなわちN−アセチルラクトサミンタイプ:バ
イアンテナリー糖鎖、N−アセチルラクトサミンタイプ
モノシアリレイテッド:バイアンテナリー糖鎖等のオリ
ゴ糖、又は糖鎖構造中にガラクトースを有する複合糖
質、すなわちアシアロフェツイン、アシアロα1 −酸性
糖蛋白質等の糖蛋白質等を用いる場合は、様々な濃度の
これら糖受容体基質溶液に、糖供与体基質としてCMP
−シアル酸と、完全精製酵素又は部分精製酵素とを添加
して反応を開始させる。この際に、糖受容体基質及び糖
供与体基質ともに、Km値(ミカエリス定数)の5倍量な
いし10倍量以上含まれているのが好ましい。
容体基質のシアロ体)は、カラムクロマトグラフィー等
で分離・精製することができる。一方、糖受容体基質と
して糖脂質を用いる場合、これら糖受容体基質は疎水性
であるため、上記反応液中に界面活性剤等を添加して酵
素と十分に混合することにより、効率よく反応させるこ
とができる。用いる界面活性剤としては、非イオン性界
面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性
剤、両性界面活性剤等が挙げられる。すなわち、トライ
トンX-100、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルピリジ
ニウムブロミド、ドデシル−N−ベタイン等が挙げられ
るが、好ましくはトライトンX-100を用いる。糖脂質を
糖受容体基質とする場合、反応溶液中にこれら界面活性
剤を適量添加することにより、効率よく反応を行うこと
ができる。この際に、糖受容体基質及び糖供与体基質と
もに、Km値(ミカエリス定数)の5倍量ないし10倍量以
上含まれているのが好ましい。反応終了後、得られた反
応生成物(各糖受容体基質のシアロ体)は、カラムクロ
マトグラフィー等で分離・精製することができる。
具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの製造例及
び実施例に限定されるものではない。
ラクトシド−α2,6−シアル酸転移酵素の製造 マリンブロス2216なる培地を常法にしたがって調製し、
この液体培地10mlを試験管に分注してオートクレーブを
用いて滅菌操作を行った。マリンブロス2216−寒天プレ
ート(寒天濃度1.5%)で継代したフォトバクテリウム
ダムセーラ JTO160 のコロニーから白金耳菌体を採取
し、上記マリンブロス2216液体培地10mlに接種し、30℃
下、毎分150回転で8時間培養した。得られた培養液を
前培養液とした。
容のコブ付フラスコに常法にしたがって調製したマリン
ブロス2216なる培地を500ml 張り込み、オートクレーブ
を用いて滅菌操作を行った。これに前培養で得られた培
養液5mlを接種し、30℃下、毎分150回転で16時間培養
した。得られた菌体を遠心分離装置で回収し、湿重量で
約2gを得た。
イトンX-100なる界面活性剤(関東化学社製)を含む20m
M カコジレート緩衝液(pH6.0)に懸濁し、氷冷下で超
音波破砕した。破砕は、懸濁液の660nm の吸光度が30%
以下になるまで行った。破砕終了後、菌体破砕液につい
て、4℃下、100,500gで1時間遠心分離を行い、破砕液
上清を得た。得られた上清を、0.2%トライトンX-100
なる界面活性剤を含む20mM カコジレート緩衝液(pH6.
0) 5000mlに対して、セルロースチューブを用いて4℃
で一晩透析した。透析外液は、3回交換した。透析終了
後、透析チューブ内に沈澱が生じていたため、再度4℃
下、100,500gで1時間遠心分離を行い、菌体破砕液から
粗酵素液を調製した。
ンX-100なる界面活性剤を含む20mMカコジレート緩衝液
(pH6.0)で平衡化したQ-Sepharose HR 26/10(ファル
マシア製)なる強陰イオン交換カラムに吸着させ、0.2
%トライトンX-100なる界面活性剤を含む20mM カコジレ
ート緩衝液(pH6.0)から1M 塩化ナトリウムを含む同
緩衝液へ、直線濃度勾配法(総溶出量1060ml)で溶出さ
せ、塩化ナトリウム濃度が0.25M から0.35M の間に溶出
してくる酵素活性を有する画分を回収した。
なる界面活性剤を含む20mM カコジレート緩衝液(pH6.
0)5000mlに対して4℃で一晩透析した。なお、透析外
液は3回交換した。透析した画分を、予め0.2%トライ
トンX-100 なる界面活性剤を含む20mM カコジレート緩
衝液(pH6.0)で平衡化したハイドロキシアパタイト
(高研製)に吸着させ、0.2%トライトンX-100 なる界
面活性剤を含む20mM カコジレート緩衝液(pH6.0)か
ら、0.2%トライトンX-100なる界面活性剤を含む0.35M
リン酸緩衝液(pH6.0)へ、直線濃度勾配法(総溶出
量620ml)で溶出させ、リン酸緩衝液濃度が0.08M から
0.16M の間に溶出してくる酵素活性を有する画分を回収
した。この画分を、0.2%トライトンX-100 なる界面活
性剤を含む20mM カコジレート緩衝液(pH6.0)5000ml
に対して4℃で透析した。透析外液、3回交換した。
マシア製)なるゲル濾過カラム(2.6 ×60cm)に供し、
0.1M 塩化ナトリウム及び0.2%トライトンX-100なる
界面活性剤を含む20mM カコジレート緩衝液(pH6.0)
で溶出させ、溶出量100ml から140 mlに溶出される酵素
活性を有する画分を分取した。この画分を、0.2%トラ
イトンX-100 なる界面活性剤を含む20mM カコジレート
緩衝液(pH6.0)5000mlに対して4℃で透析した。
100 なる界面活性剤を含む20mM カコジレート緩衝液(p
H6.0)で平衡化した CDP−ヘキサノールアミンアガロ
ースを担体としたカラム(0.7×1.2cm)に吸着させ、
4mlの同緩衝液でカラムを洗浄後、8mlの2M 塩化ナト
リウムで溶出させた。溶出した画分を、0.2%トライト
ンX-100 なる界面活性剤を含む20mM カコジレート緩衝
液(pH6.0)に対して透析した。この画分を SDS−ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動したところ、目的酵素は単
一のバンドを示し、約61,000の分子量を示した。この画
分の比活性は、菌体破砕時の比活性に比べて 643倍に上
昇し、全活性は257U、活性収率は19%であった。
(CMP−シアル酸)、糖受容体基質(アシアロ糖蛋白
質)及び酵素溶液を混合して酵素反応を行った後、糖受
容体基質に転移されたシアル酸を定量することにより行
った。詳しくは以下の通りである。
受容体としてアシアロフェツインを6.25mg/ml 濃度で溶
解し、この溶液80μl を糖受容体基質溶液とした。この
糖受容体基質溶液に、14Cでシアル酸をラベルしたCM
P−シアル酸を含むCMP−シアル酸溶液10μl (6.7nm
ol、6,700cpm/nmol)を加え、予め30℃に保温した後に、
酵素溶液10μl を添加し、30℃下で5分間反応させた。
反応終了後、反応溶液を0.1MのNaClで平衡化した内径10
mm、長さ160mm の Sephadex G-50(ファルマシア社製)
のカラムに供した。溶離液としては、0.1MのNaClを用い
た。カラムのボイド画分に溶出する、酵素反応によって
シアル酸が転移した糖受容体基質を集め、この画分の放
射活性を測定し、転移されたシアル酸量を計算して酵素
活性を決定した。酵素1単位(1U) は、1分間に1ナノ
モルのシアル酸を転移する酵素量とした。
クト−ス、メチル−α−D−マンノ−ス、メチル−β−
D−マンノ−ス、メチル−β−D−N−アセチルグルコ
サミン、メチル−α−D−N−アセチルガラクトサミン
をそれぞれ糖受容体とし、CMP−シアル酸を糖供与体
基質とし、製造例1で得られた酵素を用いて酵素反応を
行った。具体的には、単糖80mM、放射ラベルしたCMP
−シアル酸67μM(6700cpm/nmol)及び酵素1U を、50
μl の20mM カコジレート緩衝液(pH6.0)に溶解し、3
0℃下で30分反応させた。
たDowex 1X2(フォスフェートフォーム)のカラム(0.
7×2cm,0.8ml,室町化学社製)に供し、反応生成物
を5mM燐酸緩衝液(pH6.8)で溶出した。得られた反応
生成物の放射活性を測定した結果、いずれの単糖にもシ
アル酸は転移していることが分かった。また、メチル−
α−D−ガラクト−スを100 としたときの酵素の相対活
性を測定した。結果を図1に示す。
製造 メチル−β−D−N−アセチルラクトサミンを糖受容体
基質として、シアリルメチル−β−D−N−アセチルラ
クトサミンの製造を行った。メチル−β−D−N−アセ
チルラクトサミン 79.4mg (200μmol)、CMP−シアル
酸 9.4mg(16μmol)及び製造例1で得られたβ−ガラク
トシド−α2,6 −シアル酸転移酵素270Uを、1mlの20mM
カコジレート緩衝液(pH6.0)に溶解し、30℃下で1
時間反応させた。反応の進行は、同条件で上記の1/10ス
ケールで、糖供与体基質として14Cでシアル酸をラベル
したCMP−シアル酸を用い、転移されたシアル酸量を
測定して確認した。反応終了後、反応液1mlに蒸留水を
添加し10mlとした。この溶液を、蒸留水で平衡化したDo
wexl-x2 (フォスフェートフォーム)のカラム(1.5×
9cm,15.9ml,室町化学社製)に供した。
mM Sodium Phosphate (pH6.8) 60mlで溶出を行い、5ml
ずつ分画した。それぞれの画分のグリコシド結合型シア
ル酸を、過よう素酸−レゾルシノール法で測定し、グリ
コシド結合型シアル酸を含む20mlから50mlまでの画分を
集め、ローターリーエバポレーターで濃縮した。濃縮し
た反応生成物を、活性炭カラム(1.5×6.8cm, 12ml,和
光純薬社製)に供した。その後、カラムの3倍量の蒸留
水でカラムを洗浄し、カラムの2倍量の10%、20%、50
%及び100%エタノールでそれぞれ溶出し、各画分のグ
リコシド結合型シアル酸を過よう素酸−レゾルシノール
法で測定した。グリコシド結合型シアル酸を含む10%、
20%、50%エタノール溶出画分を集め、ローターリーエ
バポレーターで濃縮した。
ルを測定した。結果を図2に示す。シアリルメチル−β
−D−N−アセチルラクトサミンの分子量は 688である
が、図2の結果より、分子量 689に相当するピーク((M
+H+) )を確認することができた。また、反応生成物に
ついて 1H−NMR及び13C−NMRによる測定を行っ
た。13C−NMRによる測定結果を表1に示す。
応生成物はα2,6シアリルメチル−β−D−N−アセ
チルラクトサミンであることが明らかとなった。さら
に、糖供与体基質として14Cでシアル酸をラベルしたC
MP−シアル酸を用いた対照実験から、今回の条件で16
μmol のα2,6シアリルメチル−β−D−N−アセチ
ルラクトサミンを製造できたと計算された。
を糖受容体基質として酵素反応を行った。ピリジルアミ
ノ化糖鎖としては、N−アセチルラクトサミンタイプ:
バイアンテナリー糖鎖( Galβ1-4GlcNAcβ1-2Manα1-6
(Galβ1-4GlcNAcβ1-2Manα1-3)Manβ1-4GlcNAcβ1-4Gl
cNAc-PA (PA1)、宝酒造製) 及び2種類のN−アセチル
ラクトサミンタイプモノシアリレイテッド:バイアンテ
ナリー糖鎖( NeuAcα2-6Galβ1-4GlcNAcβ1-2Manα1-6
(Galβ1-4GlcNAcβ1-2Manα1-3)Manβ1-4GlcNAcβ1-4G
lcNAc-PA (PA2)、 Galβ1-4GlcNAcβ1-2Manα1-6 (NeuA
cα2-6Galβ1-4GlcNAcβ1-2Manα1-3) Manβ1-4GlcNAc
β1-4GlcNAc-PA (PA3)、宝酒造製) を用いた。各糖鎖の
構造を表2に示す。
体基質が 2.0μM 、CMP−シアル酸が 5.7μM 及び酵
素が1U となるように、それぞれを20mM カコジレート
緩衝液(pH6.0)25μl 中に溶解し、30℃下で20時間反
応させた。反応終了後、 100℃で2分間反応溶液を処理
することにより酵素を失活させた。その後、HPLCで反応
生成物の分析を行った。
津製)、カラムとしてはTakara PALPAK Type R (宝酒造
製) を用い、酵素を失活させた反応液10μl を、0.15%
N−ブタノールを含む100 mM酢酸−トリエチルアミン
(pH5.0) で平衡化したカラムに注入した。ピリジルア
ミノ化糖鎖の溶出には溶出液A(100 mM酢酸−トリエチ
ルアミン、pH5.0) 及び溶出液B(0.5%、n−ブタノ
ールを含む100mM 酢酸−トリエチルアミン、pH5.0)を
用い、30〜100%溶出液Bの直線濃度勾配法(0〜35
分)及び 100%溶出液B(35〜50分)により、順次ピリ
ジルアミノ化糖鎖の溶出を行い、1ml/minの流速、40℃
のカラム温度の条件下、蛍光(Ex:320nm 、Em:400nm)
を検出した。また、同様にしてN−アセチルラクトサミ
ンタイプジシアリレイテッド:バイアンテナリー糖鎖
( NeuAcα2-6Galβ1-4GlcNAcβ1-2Manα1-6 (NeuAcα2
-6Galβ1-4GlcNAcβ1-2Manα1-3) Manβ1-4GlcNAcβ1-4
GlcNAc-PA (PA4)) を溶出させ、蛍光を検出することに
より、本ピリジルアミノ化糖鎖を検出した。結果を図3
に示す。
て、PA4と同一のリテンションタイムを示すピークが検
出できた。即ち、β−ガラクトシド−α2,6 −シアル酸
転移酵素を用いることにより、N−アセチルラクトサミ
ンタイプ:バイアンテナリー糖鎖及び2種類のN−アセ
チルラクトサミンタイプモノシアリレイテッド:バイア
ンテナリー糖鎖のいずれからも、N−アセチルラクトサ
ミンタイプジシアリレイテッド:バイアンテナリー糖鎖
を合成することが明らかとなった。
シアリル化 20mMカコジレート緩衝液(pH6.0)に、糖受容体として
アシアロフェツインを6.25mg/ml濃度で溶解し、この溶
液80μl を糖受容体基質溶液とした。この糖受容体基質
溶液に、14Cでシアル酸をラベルしたCMP−シアル酸
を含むCMP−シアル酸溶液10μl (6.7nmol、6,700c
pm/nmol )を加え、予め30℃に保温した後に、製造例1
で得られた粗酵素溶液10μl を添加し、30℃で5分間反
応させた。反応終了後、反応溶液を0.1MのNaClで平衡化
した内径10mm、長さ160 mmのセファデクスG-50のカラム
に供した。溶離液としては、0.1MのNaClを用いた。カラ
ムのボイド画分に溶出する、酵素反応によってシアル酸
が転移したアシアロフェツインを含む高分子量画分を集
め、この画分の放射活性を測定した。その結果、放射活
性は平均で3125cpm であった。
基質溶液と、14Cでシアル酸をラベルしたCMP−シア
ル酸を含むCMP−シアル酸溶液10μl (6.7 nmol、6,
700cpm/nmol )との混合溶液に、酵素溶液の代わりに10
μl の20mMカコジレート緩衝液(pH6.0)を添加した溶
液を用いた。この対照溶液を、30℃で5分間インキュベ
ートした後に、上記のカラムでゲル濾過を行い、上記と
同様にカラムのボイド画分の放射活性を測定した。その
結果、放射活性は平均で30cpm であった。
酵素を添加して反応させた場合のボイド画分の放射活性
から差し引いた値から、転移された総シアル酸量を計算
した。この結果から、上記条件下において、3nmolのシ
アル酸がアシアロフェツインに転移されたものと計算さ
れた。同様に、アシアロα1 −酸性糖蛋白質を糖受容体
基質とした場合、対照溶液のボイド画分の放射活性は、
平均で35cpm であり、酵素を添加して反応させた場合の
ボイド画分の放射活性は、平均で2985cpm であった。こ
の結果から、上記条件下において、2.9nmolのシアル酸
がアシアロα1 −酸性糖蛋白質に転移されたものと計算
された。
C 35083 由来のβ−ガラクトシド−α2,6−シアル酸
転移酵素の製造 ATCC 33539及びATCC 35083を、マリンブロス2216(ディ
フコ社製)なる液体培地を用いてそれぞれ培養した。微
生物が十分に生育した後、培養液から菌体を遠心分離に
よって集めた。集めた菌体に、0.2 %トライトンX-100
(関東化学社製)なる界面活性剤を含む、20mMカコジレ
ート緩衝液(pH6.0 )を添加し、菌体を懸濁した。この
菌体懸濁液を氷零下で超音波処理し、細胞を破砕するこ
とにより、粗酵素溶液を調製した。
鎖を糖受容体基質として酵素反応を行った。ピリジルア
ミノ化糖鎖としては、ピリジルアミノ化ラクトース(Ga
lβ1-4Glc-PA 、宝酒造製) を用い、実施例3と同様に
して分析した。糖受容体基質についてのHPLCの分析結果
を図4に、ATCC 33539由来の酵素による反応物質につい
てのHPLCの分析結果を図5に、ATCC 35083由来の酵素に
よる反応物質についてのHPLCの分析結果を図6に示す。
ークがピリジルアミノ化α2,6 −シアリルラクトースを
示し、図6では、リテンションタイム5.499 のピークが
ピリジルアミノ化α2,6 −シアリルラクトースを示して
いる。即ち、β−ガラクトシド−α2,6 −シアル酸転移
酵素を用いることにより、ピリジルアミノ化ラクトース
からピリジルアミノ化α2,6 −シアリルラクトースを合
成することが明らかとなった。
を、簡便にかつ安価に製造することができる。
のβ−ガラクトシド−α2,6−シアル酸転移酵素を用
いて単糖にシアル酸を転移させた場合における、各単糖
に対するβ−ガラクトシド−α2,6−シアル酸転移酵
素の相対活性を示すグラフである。
のβ−ガラクトシド−α2,6−シアル酸転移酵素を用
いて合成した、α2,6−シアリルメチル−β−D−N
−アセチルラクトサミンのマススペクトルを示すグラフ
である。
のβ−ガラクトシド−α2,6−シアル酸転移酵素を用
いてシアル酸を転移させたPA化糖鎖についてのHPLCによ
る分析結果を示すグラフである。
よる分析結果を示すグラフである。
由来のβ−ガラクトシド−α2,6−シアル酸転移酵素
を用いて合成した、ピリジルアミノ化α2,6 −シアリル
ラクトースについてのHPLCによる分析結果を示すグラフ
である。
由来のβ−ガラクトシド−α2,6−シアル酸転移酵素
を用いて合成した、ピリジルアミノ化α2,6 −シアリル
ラクトースについてのHPLCによる分析結果を示すグラフ
である。
Claims (2)
- 【請求項1】 フォトバクテリウム属に属する微生物由
来であり、下記の理化学的性質を有するβ−ガラクトシ
ド−α2,6−シアル酸転移酵素を用いて、複合糖質糖
鎖中のガラクトース残基の6位もしくは遊離の糖鎖中の
ガラクトース残基の6位、又は動物由来の複合糖質を構
成しうる単糖で6位の炭素に水酸基を有する単糖の6位
にシアル酸を結合させることを特徴とする、シアル酸を
含む糖類の製造方法。 (1) 作用及び特異性:シチジン1リン酸−シアル酸から
シアル酸を、複合糖質糖鎖もしくは遊離の糖鎖中のガラ
クトース残基の6位、又は動物由来の複合糖質を構成し
うる単糖で6位の炭素に水酸基を有する単糖の6位に転
移させる。 (2) 至適pH:5〜6 (3) 至適温度:30℃ (4) 分子量:64,000±5,000(ゲル濾過による) - 【請求項2】 フォトバクテリウム属に属する微生物由
来であり、下記の理化学的性質を有するβ−ガラクトシ
ド−α2,6−シアル酸転移酵素を用いて、複合糖質糖
鎖中のガラクトース残基の6位もしくは遊離の糖鎖中の
ガラクトース残基の6位、又は動物由来の複合糖質を構
成しうる単糖で6位の炭素に水酸基を有する単糖の6位
にシアル酸を結合させることを特徴とする、シアル酸を
含む糖類の製造方法。 (1) 作用及び特異性:シチジン1リン酸−シアル酸から
シアル酸を、複合糖質糖鎖もしくは遊離の糖鎖中のガラ
クトース残基の6位、又は動物由来の複合糖質を構成し
うる単糖で6位の炭素に水酸基を有する単糖の6位に転
移させる。 (2) 至適pH:5 (3) 至適温度:30℃ (4) pH安定性:4.5 〜6 (5) 熱安定性:35℃で5分間加熱後の活性は、初期活性
の約90%を保持する。45℃で5分間加熱後の活性は、初
期活性の約70%を保持する。 (6) 分子量:約61,000(12.5% SDS−ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動による)約64,000(ゲル濾過による) (7) アミノ酸末端アミノ酸配列:X-Asn-Ser-Asp-Asn-Th
r-Ser-Leu-Lys-Glu-Thr-Val (8) 等電点:4.6
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