JP2779293B2 - 磁器コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents
磁器コンデンサ及びその製造方法Info
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Description
磁器層を少なくとも2以上の内部電極によって各々挟持
させてなる単層又は積層構造の磁器コンデンサ及びその
製造方法に関するものである。
器原料粉末からなる未焼結磁器シート(グリーンシー
ト)に白金、パラジウム等の貴金属を主成分とする導電
性ペーストを所望パターンで印刷し、この未焼結磁器シ
ートを複数枚積み重ねて圧着し、酸化性雰囲気中におい
て1300℃〜1600℃の温度で焼成させることによ
って製造されている。
ジウム等の貴金属を主成分とするものを使用しているの
は、導電性ペーストとしてこれら貴金属を主成分とする
ものを使用すれば、積層磁器コンデンサを酸化性雰囲気
中において1300℃〜1600℃の高温で焼成させて
も導電性ペーストが酸化せず、所望の内部電極が得られ
るからである。しかし、白金、パラジウム等の貴金属は
高価な材料であるので、従来の積層磁器コンデンサはコ
スト高になるという問題があった。
て、本件出願人に係わる特公昭60−20851号公報
には、{(BaxCaySrz)O}k(TinZr1-n)O2 からなる基本成分
と、MOとSiO2 とMO(但し、MOはBaO,Ca
O及びSrOから選択された1種又は2種以上の酸化
物)からなる添加成分とを含む誘電体磁器組成物が開示
されている。
は、{(Ba1-x-yCaxSry)O}k(Ti1-zZrz)O2 からなる基本成
分と、B2 O3 とSiO2 とMOからなる添加成分とを
含む誘電体磁器組成物が開示されている。
は、{(Ba1-x-yCaxSry)O}k(Ti1-zZrz)O2 からなる基本成
分と、B2 O3 とSiO2 からなる添加成分とを含む誘
電体磁器組成物が開示されている。
は、{(Ba1-x-yCaxSry)O}K(Ti1-zZrz)O2 からなる基本成
分と、B2 O3 とSiO2 とMO(但し、MOはBa
O,CaO及びSrOから選択された1種又は2種以上
の酸化物)からなる添加成分とを含む誘電体磁器組成物
が開示されている。
器組成物は、還元性雰囲気中における1200℃以下の
比較的低い温度の焼成で得ることができるものであり、
その比誘電率εは5000以上、抵抗率ρは1×106
MΩ・cm以上である。
る電子回路の高密度化への進展は著しく、積層磁器コン
デンサの小型化に対する要求は非常に強いが、更に、積
層磁器コンデンサが自動車等の電装用として使用される
ことから、高温における信頼性に対する要求も非常に強
い。
を構成する誘電体磁器組成物の比誘電率εと高温CR積
を、他の電気的特性を悪化させることなく、上記各公報
に開示されている誘電体磁器組成物よりも更に良好なら
しめた磁器コンデンサの開発が望まれていた。
中における1200℃以下の温度の焼成で得られるもの
であるにもかかわらず、誘電体層を構成している誘電体
磁器組成物の比誘電率εが7000以上、誘電体損失t
anδが2.5%以下、抵抗率ρが1×106 MΩ・c
m以上、125℃下におけるCR積が1000F・Ω以
上と、その電気的特性が従来のものより更に優れた磁器
コンデンサ及びその製造方法を提供することにある。
ンサは、誘電体磁器組成物からなる1又は2以上の誘電
体磁器層と、この誘電体磁器層を挟持している少なくと
も2以上の内部電極とを備えた磁器コンデンサにおい
て、
部の基本成分と、0.2〜5.0重量部の添加成分との
混合物を焼成したものからなり、前記基本成分が、 (1−α){(Ba1-v-w-xCavSrwMgx)O}k(Ti1-yZry)O2+α(R1-zR' z)O3/2 (但し、Rは、La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm及
びEuから選択された1種又は2種以上の元素、R′
は、Sc,Y,Gd,Dy,Ho,Er,Yb,Tb,
Tm及びLuから選択された1種又は2種以上の元素、
α,v,w,x,y,z及びkは、 0.002≦α≦0.04 0≦v≦0.27 0<w≦0.37 0.001≦x≦0.03 0<y<0.26 0.05≦0.6w+y≦0.26 0.5≦z≦0.9 1.00≦k≦1.04 を満足する数値)で表わされる物質からなり、前記添加
成分がB2 O3 とSiO2 とMO(但し、MOはBa
O,SrO,CaO,MgO及びZnOから選択された
1種又は2種以上の酸化物)とからなり、前記B2 O3
と前記SiO2 と前記MOとの組成範囲が、これらの組
成をモル%で示す三角図において、前記B2 O3 が1モ
ル%、前記SiO2 が80モル%、前記MOが19モル
%の組成を示す第1の点Aと、前記B2 O3 が1モル
%、前記SiO2 が39モル%、前記MOが60モル%
の組成を示す第2の点Bと、前記B2 O3 が30モル
%、前記SiO2 が0モル%、前記MOが70モル%の
組成を示す第3の点Cと、前記B2 O3 が90モル%、
前記SiO2 が0モル%、前記MOが10モル%の組成
を示す第4の点Dと、前記B2 O3 が90モル%、前記
SiO2 が10モル%、前記MOが0モル%の組成を示
す第5の点Eと、前記B2 O3 が20モル%、前記Si
O2 が80モル%、前記MOが0モル%の組成を示す第
6の点Fとをこの順に結ぶ6本の直線で囲まれた領域内
にあるものである。
1-zR' z)O3/2 の割合、すなわちαの値を0.002≦α
≦0.04としたのは、αの値がこの範囲内にある場合
は所望の電気的特性の焼結体を得ることができるが、
0.002未満になった場合には、tanδが大幅に悪
化し、抵抗率ρも1×103 MΩ・cm未満となり、ま
た、0.04を越えた場合には、焼成温度が1250℃
であっても、緻密な焼結体を得ることができないからで
ある。
原子数の割合、すなわちvの値を0≦v≦0.27とし
たのは、vの値がこの範囲内にある場合には、所望の電
気的特性を有するとともに、温度特性が平坦で、抵抗率
ρの高い焼結体を得ることができるが、0.27を越え
た場合には、緻密な焼結体を得るための焼成温度が12
50℃を越えて高くなり、比誘電率εs も7000未満
となるからである。
ンデンサの温度特性を平坦にし、また抵抗率ρの向上を
図るために使用する元素であるため、あえて含有させな
くても、すなわちvの値を零としても所望の電気的特性
を有する焼結体を得ることはできる。
≦0.6w+y≦0.26としたのは、関係式0.6w
+yの値がこの範囲内にある場合は、所望の電気的特性
を有する焼結体を得ることができるが、関係式0.6w
+yの値が0.05未満となったり、0.26を越えた
りした場合は、いずれも比誘電率εs が7000未満と
なるからである。
範囲を定めたのは、w,yで割合が示されるSr,Zr
はいずれもキュリー点を低温側にシフトさせる元素であ
り、全体として考慮する必要があるからである。但し、
Srのシフターとしての特性はZrを1とした場合に3
/5(=0.6)であるので、wには係数0.6を掛け
て補正した。
以下であっても、wの値が0.37を越えると、比誘電
率εs が7000未満となる。従って、関係式0.6w
+yの上限値は0.26であるが、同時に、wの上限値
は0.37としなければならない。このため、Sr,Z
rの割合は、0<w≦0.37及び0<y<0.26を
満足する範囲で、且つ、0.05≦0.6w+y≦0.
26を満足させる範囲としなければならない。
原子数の割合、すなわちxの値を0.001≦x≦0.
03としたのは、xの値がこの範囲内の場合には所望の
電気的特性を有する誘電体磁器組成物を得ることができ
るが、xの値が0.03を越えた場合には誘電体磁器組
成物の比誘電率εs が急激に低下して7000未満とな
るからである。
させるとともに、温度特性を平坦にする作用及び抵抗率
ρを向上させる作用を有するものである。また、Mg
は、xの値が0.03以下の範囲において極微量であっ
てもそれなりの効果を有するが、量産する時の電気的特
性のバラツキを考慮すれば、xの値は0.0001以上
とすることが望ましい。
原子数の割合、すなわちzの値を0.5≦z≦0.9と
したのは、zの値がこの範囲内にある場合には所望の電
気的特性を有する焼結体を得ることができるが、0.5
未満になった場合、もしくは、0.9を越えた場合に
は、高温CR積が1000F・Ωを割ってしまい、所望
の電気的特性のものを得ることができないからである。
Pm,Sm及びEuはほゞ同様に働き、これ等から選択
された1つを使用しても、または複数を使用しても同様
な結果が得られる。また、R′成分のSc,Y,Gd,
Dy,Ho,Er,Yb,Tb,Tm及びLuもほゞ同
様に働き、これ等から選択された1つを使用しても、ま
たは複数を使用しても同様な結果が得られる。
avSrwMgx)O} の割合、すなわちkの値を1.00≦k≦
1.04としたのは、kの値がこの範囲内にある場合に
は、所望の電気的特性を有する焼結体を得ることができ
るが、1.00未満になった場合には、抵抗率ρが1×
104 MΩ・cm未満と、大幅に低くなり、1.04を
越えた場合には、1250℃の焼成でも緻密な焼結体を
得ることができないからである。
阻害しない範囲で微量のMnO2 (好ましくは0.05
〜0.1重量%)等の鉱化剤を添加し、焼結性を向上さ
せてもよい。また、その他の物質を必要に応じて添加し
てもよい。また、基本成分を得るための出発原料として
は、実施例で示した以外の酸化物を使用してもよいし、
水酸化物又はその他の化合物を使用してもよい。
の基本成分に対して0.2〜5.0重量部としたのは、
添加成分の添加量がこの範囲内にある場合は1180〜
1190℃の焼成で所望の電気的特性を有する焼結体を
得ることができるが、0.2重量部未満になると、焼成
温度が1250℃であっても緻密な焼結体を得ることが
できないし、また、5.0重量部を越えると、比誘電率
εs が7000未満となるからである。
MOとの組成をモル%で示す三角図において、前記した
点A〜Fをこの順に結ぶ6本の直線で囲まれた範囲内と
したのは、添加成分の組成をこの範囲内のものとすれ
ば、所望の電気的特性を有する焼結体を得ることができ
るが、添加成分の組成をこの範囲外とすれば、1250
℃の焼成で緻密な焼結体を得ることができないからであ
る。なお、MO成分は、BaO,SrO,CaO,Mg
O,ZnOのいずれか1つであってもよいし、または適
当な比率としてもよい。
方法は、前記の基本成分と添加成分とからなる未焼結の
磁器粉末からなる混合物を調製する工程と、前記混合物
からなる未焼結磁器シートを形成する工程と、前記未焼
結磁器シートを少なくとも2以上の導電性ペースト膜で
挟持させた積層物を形成する工程と、前記積層物を非酸
化性雰囲気中において焼成する工程と、前記焼成を受け
た積層物を酸化性雰囲気中において熱処理する工程とを
備えたものである。
COなどの還元性雰囲気のみならず、N2 やArなどの
中性雰囲気であってもよい。また、非酸化性雰囲気中に
おける焼成温度は、電極材料を考慮して種々変更するこ
とができる。ニッケルを内部電極とする場合には、10
50℃〜1200℃の範囲でニッケル粒子の凝集をほと
んど生じさせることなく焼成することができる。
度は、非酸化性雰囲気中における焼成温度より低い温度
であればよく、500〜1000℃の範囲が好ましい。
酸化性雰囲気としては、大気雰囲気に限定することな
く、例えば、N2 に数ppmのO2 を混合したような低
酸素濃度の雰囲気から任意の酸素濃度の雰囲気を使用す
ることができる。どのような温度あるいはどのような酸
素濃度の雰囲気にするかは、電極材料(ニッケル等)の
酸化と誘電体磁器層の酸化とを考慮して種々変更する必
要がある。後述する実施例ではこの熱処理の温度を60
0℃としたが、この温度に限定されるものではない。
中における焼成と、酸化性雰囲気中における熱処理を1
つの連続したプロファイルの中で行なっているが、もち
ろん非酸化性雰囲気中における焼成工程と、酸化性雰囲
気中における熱処理工程とを独立した工程に分けて行な
うことも可能である。
を使用しているが、電極の焼付け条件を選択することに
よりNi,Ag,Cu等の電極を用いることができるの
はもちろんであるし、Ni外部電極を未焼成積層体の端
面に塗布して積層体の焼成と外部電極の焼付けを同時に
行なうこともできる。なお、本発明は積層磁器コンデン
サ以外の一般的な単層の磁器コンデンサにも勿論適用可
能である。
て説明する。基本成分の調製 表1に示す化合物を各々秤量し、これらの化合物を、複
数個のアルミナボール及び2.5リットルの水ととも
に、ポットミルに入れ、15時間攪拌混合して、混合物
を得た。
前記基本成分の組成式 (1-α){(Ba1-v-w-xCavSrwMgx)O}k(Ti1-yZry)O2+α(R1-zR'Z)O3/2 …(1) (但し、RはLa,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm及び
Euから選択された1種又は2種以上の元素、R′は、
Sc,Y,Gd,Dy,Ho,Er,Yb,Tb,Tm
及びLuから選択された1種又は2種以上の元素)にお
ける第1項の{(Ba1-v-w-xCavSrwMgx)O}k(Ti1-yZry)O2が {Ba0.84Ca0.07Sr0.08Mg0.01)O}1.01(Ti0.90Zr0.10)O2 となるように計算して求めた値である。
に入れ、熱風式乾燥器を用い、150℃で4時間乾燥
し、この乾燥した混合物を粗粉砕し、この粗粉砕した混
合物をトンネル炉を用い、大気中において約1200℃
で2時間仮焼し、上記基本成分の組成式(1) における第
1項の成分(第1基本成分)の粉末を得た。
に、1−αが0.98モル、αが0.02モルとなるよ
うに、98モル部(984.08g)の第1基本成分の
粉末と、2モル部(15.92g、うち、Dy2 O3 が
11.55g,Pr2 O3 が4.37g)の第2基本成
分(基本成分の組成式(1) における第2項の成分)の粉
末とを湿式ポットミルで撹拌混合し、150℃で乾燥さ
せ、1000gの基本成分粉末を得た。
リエチレンポットに、複数個のアルミナボール及び30
0ミリリットルのアルコールとともに加え、10時間攪
拌混合して、混合物を得た。
B2 O3 が1モル%、SiO2 が80モル%、MOが1
9モル%{BaO(3.8モル%)+CaO(9.5モ
ル%)+MgO(5.7モル%)}の組成となるように
計算して求めた値である。また、MOのうちでBaO,
CaO及びMgOの占める割合は、BaOが20モル
%、CaOが50モル%、MgOが30モル%である。
00℃の温度で2時間仮焼し、これをアルミナポットに
複数個のアルミナボール及び300ミリリットルの水と
ともに入れ、15時間粉砕し、その後、150℃で4時
間乾燥させ、前記組成の添加成分の粉末を得た。
2重量部(20g)の前記添加成分とをボールミルに入
れ、更に、これらの基本成分と添加成分との合計重量に
対して15重量%の有機バインダーと50重量%の水を
入れ、これらを混合及び粉砕して誘電体磁器組成物の原
料となるスラリーを得た。ここで、有機バインダーとし
ては、アクリル酸エステルポリマー、グリセリン及び縮
合リン酸塩の水溶液からなるものを使用した。
この脱泡処理したスラリーをポリエステルフィルム上に
リバースコータを用いて所定の厚さで塗布し、この塗布
されたスラリーをこのポリエステルフィルムとともに1
00℃で加熱して乾燥させ、厚さ約25μmの長尺な未
焼結磁器シートを得た。そして、この長尺な未焼結磁器
シートを裁断して10cm角の未焼結磁器シートを得
た。
チルセルロース0.9gをブチルカルビトール9.1g
に溶解させたものとを攪拌機に入れて10時間攪拌し、
内部電極用の導電性ペーストを得た。
の導電性ペーストからなるパターン(長さ14mm、幅
7mm)を50個、スクリーン印刷法によって形成さ
せ、乾燥させた。
るパターンが形成されている側を上にして2枚積層し
た。この積層の際、隣接する上下の未焼結磁器シート間
において、導電性ペーストからなるパターンが長手方向
に半分程ずれるようにした。そして、更に上記のように
して積層したものの上下両面に厚さ60μmの未焼結磁
器シートを各々4枚ずつ積層して積層物を得た。
向から約40トンの荷重を加えて、この積層物を構成し
ている未焼結磁器シート相互を圧着させた。そして、こ
の積層物を格子状に裁断して、50個の積層体チップを
得た。
れ、この炉内を大気雰囲気にし、100℃/hの速度で
600℃まで昇温させ、未焼結磁器シート中の有機バイ
ンダーを燃焼除去させた。
元雰囲気{H2(2体積%)+N2(98体積%)}に変
え、炉内の温度を600℃から1160℃まで、100
℃/hの速度で昇温させ、1160℃の温度を3時間保
持し、その後、100℃/hの速度で降温させ、炉内の
雰囲気を大気雰囲気(酸化性雰囲気)に変え、600℃
の温度を30分間保持して酸化処理を行い、その後、室
温まで冷却して積層焼結体チップを得た。
内部電極の端部が露出している側面に一対の外部電極を
形成し、図1に示すような、3層の誘電体磁器層12,
12,12と2層の内部電極14,14とからなる積層
焼結体チップ15の端部に一対の外部電極16,16が
形成された積層磁器コンデンサ10が得られた。
とガラスフリット(glass frit)とビヒクル(vehicle) と
からなる導電性ペーストを塗布し、この導電性ペースト
を、乾燥後、大気中において550℃の温度で15分間
焼き付けて亜鉛電極層18とし、更にこの亜鉛電極層1
8の上に無電解メッキ法で銅層20を形成し、更にこの
銅層20の上に電気メッキ法でPb−Sn半田層22を
設けることによって形成した。
体磁器層12の厚さは0.02mm、一対の内部電極1
4,14の対向面積は5mm×5mm=25mm2 であ
る。また、焼結後の誘電体磁器層12の組成は、焼結前
の基本成分及び添加成分の混合物の組成と実質的に同じ
である。
その平均値を求めたところ、表3の右欄に示すよう
に、比誘電率εs が15700、tanδが1.1%、
抵抗率ρが3.95×106 MΩ・cm、高温CR積が
1770F・Ωであった。
圧(実効値)1.0Vの条件で静電容量を測定し、この
測定値と、一対の内部電極14,14の対向面積(25
mm2 )と一対の内部電極14,14間の誘電体磁器層
12の厚さ(0.02mm)から計算で求めた。 (B) 誘電体損失tanδ(%)は、上記した比誘電率ε
s の測定の場合と同一の条件で測定した。 (C) 抵抗率ρ(MΩ・cm)は、温度20℃においてD
C100Vを1分間印加した後に、一対の外部電極1
6,16間の抵抗値を測定し、この測定値と寸法とに基
づいて計算で求めた。 (D) 高温CR積(F・Ω)は、温度125℃、周波数1
kHz、電圧(実効値)1.0Vの条件で静電容量を測
定し、また、DC100Vを1分間印加した後に、一対
の外部電極16,16間の抵抗値〔MΩ〕を測定し、計
算で求めた。
たが、No.2〜100の試料の場合についても、基本
成分及び添加成分の組成を表3〜表3の左欄に示す
ように変え、還元性雰囲気中における焼成温度を表3
〜表3の右欄に示すように変えた他は、No.1の試
料の場合と全く同一の条件で積層磁器コンデンサを作成
し、同一の方法で電気的特性を測定した。No.1〜1
00の試料の場合の焼成温度及び電気的特性は表3〜
表3の右欄に示す通りとなった。
基本成分の組成式における第1項の{(Ba1-v-w-xCavSrwM
gx)O}k(Ti1-yZry)O2の割合が、1−v−w−xの欄には
基本成分の組成式の第1項におけるBaの原子数の割合
が、vの欄には基本成分の組成式の第1項におけるCa
の原子数の割合が、wの欄には基本成分の組成式の第1
項におけるSrの原子数の割合が、xの欄には基本成分
の組成式の第1項におけるMgの原子数の割合が、1−
yの欄には基本成分の組成式の第1項におけるTiの原
子数の割合が、yの欄には基本成分の組成式の第1項に
おけるZrの原子数の割合が、w+yの欄には基本成分
の組成式の第1項におけるSr+Zrの原子数の割合
が、kの欄には基本成分の組成式の第1項における{(Ba
1-v-w-xCavSrwMgx)O} の割合が、αの欄には基本成分の
組成式の第2項の(R1-zR'Z)O3/2 の割合が、1−zの欄
には基本成分の組成式の第2項のRの原子数の割合が、
zの欄には基本成分の組成式における第2項のR′の原
子数の割合が示されている。
の内容の欄において、添加量重量部の欄には基本成分1
00重量部に対する添加成分の添加量が重量部で示さ
れ、組成の欄にはB2 O3 ,SiO2 及びMOの割合が
モル%で示され、MOの内容の欄にはBaO,SrO,
CaO,MgO及びZnOの割合がモル%で示されてい
る。
〜19の試料による実験は添加成分であるガラスの適正
範囲を明らかにし、No.20〜31の試料による実験
は添加成分であるガラスの添加量の適正範囲を明らかに
し、No.32〜43の試料による実験はCaの原子数
の割合であるv値の適正範囲を明らかにし、No.44
〜59の試料による実験はSrの原子数の割合であるw
値と、Zrの原子数の割合であるy値の適正範囲を明ら
かにし、No.60〜69の試料による実験はMgの原
子数の割合であるx値の適正範囲を明らかにし、No.
70〜79の試料による実験はR′の原子数の割合であ
るz値の適正範囲を明らかにし、No.80〜90の試
料による実験は(R1-zR'z)O3/2 成分の割合であるαの適
正範囲を明らかにし、No.91〜100の試料による
実験は{(Ba1-v-w-xCavSrwMgx)O}成分の割合であるkの
適正範囲を明らかにするものである。
明に従う試料によれば、非酸化性雰囲気中における12
00℃以下の焼成で、比誘電率εs が7000以上、誘
電体損失tanδが2.5%以下、抵抗率ρが1×10
6 MΩ・cm以上、125℃下におけるCR積が100
0F・Ω以上の電気的特性を有する誘電体磁器組成物を
備えた磁器コンデンサを得ることができるものである。
5,26,31,37,43,44,49,57,5
9,64,69,70,79,80,85,86,9
0,91,95,96及び100の試料によれば、所望
の電気的特性を有する磁器コンデンサを得ることができ
ない。従って、これらのNo.の試料は本発明の範囲外
のものである。
られている誘電体磁器組成物の組成範囲の限定理由につ
いて、表3〜表3に示す実験結果を参照しながら説
明する。
原子数の割合、すなわちvの値について説明する。vの
値が、試料No.36及び42に示すように、0.27
の場合には、所望の電気的特性を有する焼結体を得るこ
とができるが、試料No.37及び43に示すように、
0.30の場合には、焼成温度が1250℃と高くな
り、比誘電率εs も7000未満となる。従って、vの
上限値は0.27である。
び抵抗率ρを向上させる作用を有するが、vの値が、試
料No.32及び38に示すように、零であっても所望
の電気的特性の焼結体を得ることができる。従って、v
の下限値は零である。
原子数の割合であるwの値と、Zrの原子数の割合であ
るyの値を、関係式0.6w+yの値で表わした場合に
ついて説明する。関係式0.6w+yの値が、試料N
o.50に示すように、0.05の場合には、所望の電
気的特性を有する焼結体を得ることができるが、試料N
o.44に示すように、0.035の場合には、比誘電
率εs が7000未満となる。従って、関係式0.6w
+yの下限値は0.05である。
o.56,58に示すように、0.260,0.258
の場合は、所望の電気的特性を有する焼結体を得ること
ができるが、試料No.57,59に示すように、0.
26を越えて0.290,0.285になった場合に
は、比誘電率εs が7000未満となる。従って、関係
式0.6w+yの上限値は0.26である。
以下であっても、試料No.49に示すように、wの値
が0.37を越えて0.40になった場合は、比誘電率
εsが7000未満となる。従って、関係式0.6w+
yの上限値は0.26であるが、同時に、wの上限値は
0.37としなければならない。
リー点を低温側にシフトさせ、室温における比誘電率を
増大させる同様の作用を有し、0<w≦0.37及び0
<y<0.26を満足する範囲で、且つ、0.05≦
0.6w+y≦0.26を満足させる範囲で使用するこ
とができる。
原子数の割合、すなわちxの値の適正範囲について検討
する。xの値が、試料No.63及び68に示すように
0.03の場合には、所望の電気的特性を有する誘電体
磁器組成物を得ることができるが、試料No.64及び
69に示すように、0.03を越えた場合には、比誘電
率εs が急激に低下して7000未満となる。従って、
xの上限値は0.03である。
させるとともに、温度特性を平坦にする作用及び抵抗率
ρを向上させる作用を有するが、xの値が0.03以下
の範囲において、極微量であってもそれなりの効果を有
する。しかし、量産する時の電気的特性のバラツキを考
慮すれば、xの値は0.0001以上とすることが望ま
しい。
(R1-z R′z )の割合、すなわちαの値について説明
する。αの値が、試料No.81及び87に示すよう
に、0.002の場合には所望の電気的特性を有する焼
結体を得ることができるが、試料No.80及び86に
示すように、0.001の場合には、誘電体損失tan
δが大幅に悪化し、抵抗率ρも1×103 MΩ・cm未
満となる。従って、αの下限値は0.002である。
に示すように、0.04の場合には所望の電気的特性を
有する焼結体を得ることができるが、試料No.85及
び90に示すように、0.06の場合には、焼成温度が
1250℃であっても緻密な焼結体を得ることができな
い。従って、αの上限値は0.04である。
るR′の原子数の割合、すなわちzの値について説明す
る。zの値が、試料No.71に示すように、0.5の
場合には所望の電気的特性を有する焼結体を得ることが
できるが、試料No.70に示すように、0.40の場
合には、高温CR積が悪化し、1000未満となる。従
って、zの下限値は0.5である。
に、0.9の場合には、所望の電気的特性のものを得る
ことができるが、試料No.79に示すように、0.9
5の場合には、高温CR積は悪化し、1000未満とな
る。従って、zの下限値は0.90である。
Pm,Sm,Euはほゞ同様に働き、これ等から選択さ
れた1つを使用しても、または複数を使用しても同様な
結果が得られる。また、R′成分のSc,Y,Dy,H
o,Er,Ybもほゞ同様に働き、これ等から選択され
た1つを使用しても、または複数を使用しても同様な結
果が得られる。
1-v-w-xCavSrwMgx)O} の割合、すなわちkの値について
説明する。kの値が、試料No.92及び97に示すよ
うに、1.00の場合には、所望の電気的特性を有する
焼結体を得ることができるが、試料No.91及び96
に示すように、0.99の場合には、抵抗率ρが1×1
04 MΩ・cm未満と、大幅に低くなる。従って、kの
下限値は1.00である。
に示すように、1.04の場合には所望の電気的特性の
焼結体を得ることができるが、試料No.95及び10
0に示すように、1.05の場合には、緻密な焼結体を
得ることができない。従って、kの上限値は1.04で
ある。
る。添加成分の添加量が、試料No.17及び23に示
すように、100重量部の基本成分に対して0.2重量
部の場合には、1180〜1190℃の焼成で所望の電
気的特性を有する焼結体を得ることができるが、添加成
分の添加量が零の場合には、試料No.20及び26に
示すように、焼成温度が1250℃であっても緻密な焼
結体を得ることができない。従って、添加成分の下限値
は、100重量部の基本成分に対して0.2重量部であ
る。
4及び30に示すように、100重量部の基本成分に対
して5重量部の場合には、所望の電気的特性を有する焼
結体を得ることができるが、添加成分の添加量が、試料
No.25及び31に示すように、100重量部の基本
成分に対して7重量部の場合には、比誘電率εs が70
00未満となる。従って、添加成分の添加量の上限値
は、100重量部の基本成分に対して5重量部である。
説明する。添加成分の好ましい組成範囲は、図1のB2
O3 −SiO2 −MOの組成比を示す三角図に基づいて
決定することができる。三角図の第1の点Aは、試料N
o.1のB2 O3 が1モル%、SiO2 が80モル%、
MOが19モル%の組成を示し、第2の点Bは、試料N
o.2のB2 O3 が1モル%、SiO2 が39モル%、
MOが60モル%の組成を示し、第3の点Cは、試料N
o.3のB2 O3 が30モル%、SiO2 が0モル%、
MOが70モル%の組成を示し、第4の点Dは、試料N
o.4のB2 O3 が90モル%、SiO2 が0モル%、
MOが10モル%の組成を示し、第5の点Eは、試料N
o.5のB2 O3 が90モル%、SiO2 が10モル
%、MOが0モル%の組成を示し、第6の点Fは、試料
No.6のB2 O3 が20モル%、SiO2 が80モル
%、MOが0モル%の組成を示す。
は、図2に示す三角図の第1〜6の点A〜Fをこの順に
結ぶ6本の直線で囲まれた範囲内となっている。添加成
分の組成をこの範囲内のものとすれば、所望の電気的特
性を有する焼結体を得ることができる。一方、試料N
o.11〜13のように、添加成分の組成を本発明で特
定した範囲外とすれば、緻密な焼結体を得ることができ
ない。
〜18に示すように、BaO,SrO,CaO,Mg
O,ZnOのいずれか1つであってもよいし、または他
の試料に示すように適当な比率としてもよい。
体層を構成している誘電体磁器組成物の組成を前述した
ように構成したので、非酸化性雰囲気中における120
0℃以下の焼成であるにもかかわらず、その比誘電率ε
s を7000〜21500と飛躍的に向上させることが
でき、従って、磁器コンデンサの小型大容量化を図るこ
とができるという効果がある。
誘電体層を構成している誘電体磁器組成物の組成を前述
したように構成したので、高温におけるCR積を高める
ことができ、従って、磁器コンデンサの高温における信
頼性を高めることができるという効果がある。
誘電体層を構成している誘電体磁器組成物を非酸化性雰
囲気中で焼結させるので、内部電極をニッケル等の安価
な卑金属の導電性ペーストで形成することができ、従っ
て、磁器コンデンサの小型大容量化とあいまって、磁器
コンデンサの低コスト化を図ることができるという効果
がある。
面図である。
する誘電体組成物の添加成分の組成範囲を示す三角図で
ある。
Claims (2)
- 【請求項1】 誘電体磁器組成物からなる1又は2以上
の誘電体磁器層と、この誘電体磁器層を挟持している少
なくとも2以上の内部電極とを備えた磁器コンデンサに
おいて、 前記誘電体磁器組成物が、100.0重量部の基本成分
と、0.2〜5.0重量部の添加成分との混合物を焼成
したものからなり、 前記基本成分が、 (1−α){(Ba1-v-w-xCavSrwMgx)O}k(Ti1-yZry)O2+α(R1-zR' z)O3/2 (但し、Rは、La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm及
びEuから選択された1種又は2種以上の元素、R′
は、Sc,Y,Gd,Dy,Ho,Er,Yb,Tb,
Tm及びLuから選択された1種又は2種以上の元素、
α,v,w,x,y,z及びkは、 0.002≦α≦0.04 0≦v≦0.27 0<w≦0.37 0.001≦x≦0.03 0<y<0.26 0.05≦0.6w+y≦0.26 0.5≦z≦0.9 1.00≦k≦1.04 を満足する数値)で表わされる物質からなり、 前記添加成分がB2 O3 とSiO2 とMO(但し、MO
はBaO,SrO,CaO,MgO及びZnOから選択
された1種又は2種以上の酸化物)とからなり、 前記B2 O3 と前記SiO2 と前記MOとの組成範囲
が、これらの組成をモル%で示す三角図において、 前記B2 O3 が1モル%、前記SiO2 が80モル%、
前記MOが19モル%の組成を示す第1の点Aと、 前記B2 O3 が1モル%、前記SiO2 が39モル%、
前記MOが60モル%の組成を示す第2の点Bと、 前記B2 O3 が30モル%、前記SiO2 が0モル%、
前記MOが70モル%の組成を示す第3の点Cと、 前記B2 O3 が90モル%、前記SiO2 が0モル%、
前記MOが10モル%の組成を示す第4の点Dと、 前記B2 O3 が90モル%、前記SiO2 が10モル
%、前記MOが0モル%の組成を示す第5の点Eと、 前記B2 O3 が20モル%、前記SiO2 が80モル
%、前記MOが0モル%の組成を示す第6の点Fとをこ
の順に結ぶ6本の直線で囲まれた領域内にあることを特
徴とする磁器コンデンサ。 - 【請求項2】 未焼結の磁器粉末からなる混合物を調製
する工程と、前記混合物からなる未焼結磁器シートを形
成する工程と、前記未焼結磁器シートを少なくとも2以
上の導電性ペースト膜で挟持させた積層物を形成する工
程と、前記積層物を非酸化性雰囲気中において焼成する
工程と、前記焼成を受けた積層物を酸化性雰囲気中にお
いて熱処理する工程とを備え、 前記未焼結の磁器粉末からなる混合物が、100.0重
量部の基本成分と、0.2〜5重量部の添加成分とから
なり、 前記基本成分が、 (1−α){(Ba1-v-w-xCavSrwMgx)O}k(Ti1-yZry)O2+α(R1-zR' z)O3/2 (但し、Rは、La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm及
びEuから選択された1種又は2種以上の元素、R′
は、Sc,Y,Gd,Dy,Ho,Er,Yb,Tb,
Tm及びLuから選択された1種又は2種以上の元素、
α,v,w,x,y,z及びkは、 0.002≦α≦0.04 0≦v≦0.27 0<w≦0.37 0.001≦x≦0.03 0<y<0.26 0.05≦0.6w+y≦0.26 0.5≦z≦0.9 1.00≦k≦1.04 を満足する数値)で表わされる物質からなり、 前記添加成分がB2 O3 とSiO2 とMO(但し、MO
はBaO,SrO,CaO,MgO及びZnOから選択
された1種又は2種以上の酸化物)とからなり、 前記B2 O3 と前記SiO2 と前記MOとの組成範囲
が、これらの組成をモル%で示す三角図において、 前記B2 O3 が1モル%、前記SiO2 が80モル%、
前記MOが19モル%の組成を示す第1の点Aと、 前記B2 O3 が1モル%、前記SiO2 が39モル%、
前記MOが60モル%の組成を示す第2の点Bと、 前記B2 O3 が30モル%、前記SiO2 が0モル%、
前記MOが70モル%の組成を示す第3の点Cと、 前記B2 O3 が90モル%、前記SiO2 が0モル%、
前記MOが10モル%の組成を示す第4の点Dと、 前記B2 O3 が90モル%、前記SiO2 が10モル
%、前記MOが0モル%の組成を示す第5の点Eと、 前記B2 O3 が20モル%、前記SiO2 が80モル
%、前記MOが0モル%の組成を示す第6の点Fとをこ
の順に結ぶ6本の直線で囲まれた領域内にあることを特
徴とする磁器コンデンサの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4241368A JP2779293B2 (ja) | 1992-08-18 | 1992-08-18 | 磁器コンデンサ及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4241368A JP2779293B2 (ja) | 1992-08-18 | 1992-08-18 | 磁器コンデンサ及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0669064A JPH0669064A (ja) | 1994-03-11 |
JP2779293B2 true JP2779293B2 (ja) | 1998-07-23 |
Family
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP4446324B2 (ja) * | 2001-09-27 | 2010-04-07 | 株式会社村田製作所 | 誘電体磁器組成物及びそれを用いたコンデンサ |
-
1992
- 1992-08-18 JP JP4241368A patent/JP2779293B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH0669064A (ja) | 1994-03-11 |
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