JP2521855B2 - 磁器コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents
磁器コンデンサ及びその製造方法Info
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Description
磁器層を少なくとも2以上の内部電極によって各々挟持
させてなる単層または積層構造の磁器コンデンサ及びそ
の製造方法に関するものである。
合は、誘電体磁器原料粉末から成る未焼結磁器シート
(グリーンシート)に白金又はパラジウム等の貴金属を
主成分とする導電性ペーストを所望パターンで印刷し、
この未焼結磁器シートを複数枚積み重ねて圧着し、酸化
性雰囲気中において1300℃〜1600℃で焼成させ
ていた。この焼成により、未焼結磁器シートは誘電体磁
器層となり、導電性ペーストは内部電極となるものであ
る。
て白金またはパラジウム等の貴金属を主成分とするもの
を使用すれば、酸化性雰囲気中において1300℃〜1
600℃という高温で焼成させても、この導電性ペース
トを酸化させることなく目的とする内部電極を得ること
ができるものである。しかし、白金やパラジウム等の貴
金属は高価であるため、このような積層磁器コンデンサ
を製造すると必然的にコスト高になるという問題があっ
た。
るものとして、本件出願人は特公昭60−20851号
公報、特開昭61−147404号公報、特開昭61−
147405号公報、特開昭61−147406号公報
等に開示されている発明を提案した。
は、 {(Bax Cay Srz )O}k (Tin Zr1-n )O2 からなる基本成分と、Li2 OとSiO2 とMO(但
し、MOはBaO,CaO及びSrOから選択された1
種または2種以上の酸化物)からなる添加成分とを含む
誘電体磁器組成物が開示されている。
は、 {(Ba1-x-y Cax Sry )O}k (Ti1-z Zrz )O2 からなる基本成分と、B2 O3 とSiO2 とLi2 Oか
らなる添加成分とを含む誘電体磁器組成物が開示されて
いる。
は、 {(Ba1-x-y Cax Sry )O}k (Ti1-z Zrz )O2 からなる基本成分と、B2 O3 とSiO2 からなる添加
成分とを含む誘電体磁器組成物が開示されている。
は、 {(Ba1-x-y Cax Sry )O}k (Ti1-z Zrz )O2 からなる基本成分と、B2 O3 とSiO2 とMO(但
し、MOはBaO,CaO及びSrOから選択された1
種または2種以上の酸化物)からなる添加成分とを含む
誘電体磁器組成物が開示されている。
組成物は、比誘電率εが5000以上、抵抗率ρが1×
106 MΩ・cm以上であり、これらの誘電体磁器組成
物を誘電体層として使用すれば、Ni等の卑金属を主成
分とする導電性ペーストを内部電極の材料として用い、
還元性雰囲気中における1200℃以下の温度の焼成
で、電気的特性の優れた磁器コンデンサを低コストで得
ることができるものである。
る電子回路の高密度化に伴ない、磁器コンデンサ、特に
積層磁器コンデンサの小型化の要求は非常に強いので、
積層磁器コンデンサの誘電体層を構成する誘電体磁器組
成物の比誘電率εを、他の電気的特性を悪化させること
なく、上記各公報に開示されている誘電体磁器組成物の
比誘電率εよりも更に増大させることが望まれていた。
中における1200℃以下の温度の焼成で得られるもの
であるにもかかわらず、誘電体層を構成している誘電体
磁器組成物の比誘電率εが7000以上、誘電体損失t
anδが2.5%以下、抵抗率ρが1×106 MΩ・c
m以上と、その電気的特性が従来のものより更に優れた
磁器コンデンサ及びその製造方法を提供することにあ
る。
ンサは、誘電体磁器組成物からなる1又は2以上の誘電
体磁器層と、この誘電体磁器層を挟持している少なくと
も2以上の内部電極とを備えた磁器コンデンサにおい
て、前記誘電体磁器組成物が、100.0重量部の基本
成分と、0.2〜5.0重量部の添加成分との混合物を
焼成したものからなり、前記基本成分が、 {(Ba1-w-x Caw Mgx )O}k (Ti1-y-z Zry Rz )O2-z/2 (但し、Rは、Sc,Y,Gd,Dy,Ho,Er,Y
b,Tb,Tm及びLuから選択された1種または2種
以上の元素、w,x,y,z,kは、 0.00≦w≦0.27 0.001≦x≦0.03 0.05≦y≦0.26 0.002≦z≦0.04 1.00≦k≦1.04 を満足する数値)で表わされる物質からなり、前記添加
成分がLi2 OとSiO2 とMO(但し、MOはBa
O,SrO,CaO,MgO及びZnOから選択された
1種または2種以上の酸化物)とからなり、前記Li2
Oと前記SiO2 と前記MOとの組成範囲が、これらの
組成をモル%で示す三角図において、前記Li2 Oが1
モル%、前記SiO2 が80モル%、前記MOが19モ
ル%の組成を示す第1の点Aと、前記Li2 Oが1モル
%、前記SiO2 が39モル%、前記MOが60モル%
の組成を示す第2の点Bと、前記Li2 Oが30モル
%、前記SiO2 が30モル%、前記MOが40モル%
の組成を示す第3の点Cと、前記Li2 Oが50モル
%、前記SiO2 が50モル%、前記MOが0モル%の
組成を示す第4の点Dと、前記Li2 Oが20モル%、
前記SiO2 が80モル%、前記MOが0モル%の組成
を示す第5の点Eとをこの順に結ぶ5本の直線で囲まれ
た領域内にあるものである。
の原子数の割合、すなわちwの値の範囲を0.00≦w
≦0.27としたのは、wの値がこの範囲の場合には、
所望の電気的特性を有し、温度特性が平坦で、抵抗率ρ
の高い誘電体磁器組成物を得ることができるが、wの値
が0.27を越えた場合には、焼成温度が1250℃と
高くなり、比誘電率εs も7000未満となるからであ
る。
ンデンサの温度特性を平坦にし、また抵抗率ρの向上を
図るために添加する元素であるため、あえて含有させな
くても、すなわちwの値を零としても所望の電気的特性
を有する焼結体を得ることができる。従って、wの値の
下限として零の場合を含めた。
原子数の割合、すなわちxの値の範囲を0.001≦x
≦0.03としたのは、xの値がこの範囲の場合には所
望の電気的特性を有する誘電体磁器組成物を得ることが
できるが、xの値が0.03を越えた場合には、誘電体
磁器組成物の比誘電率εs が急激に低下して7000未
満となるからである。
させるとともに、温度特性を平坦にする作用及び抵抗率
ρを向上させる作用を有するが、xの値が0.03以下
の範囲において極微量であってもそれなりの効果を有す
る。しかし、量産する時の電気的特性のバラツキを考慮
してxの値は0.001以上とすることが望ましい。
原子数の割合、すなわちyの値の範囲を0.05≦y≦
0.26としたのは、yの値がこの範囲の場合には所望
の電気的特性を有する誘電体磁器組成物を得ることがで
きるが、yの値が0.05未満及び0.26を越えた場
合には、誘電体磁器組成物の比誘電率εs が7000未
満となるからである。
子数の割合、すなわちzの値の範囲を0.002≦z≦
0.04としたのは、zの値がこの範囲の場合には所望
の電気的特性を有する誘電体磁器組成物を得ることがで
きるが、0.002未満の場合には、誘電体磁器組成物
の誘電体損失tanδが大幅に悪化し、抵抗率ρも1×
104 MΩ・cm未満となり、また、0.04を越えた
場合には、焼成温度が1250℃であっても緻密な焼結
体を得ることができないからである。
o,Er,Yb,Tb,Tm及びLuはほゞ同様に働
き、これ等から選択された1つを使用しても、または複
数を使用しても同様な結果が得られる。また、基本成分
の組成式中におけるR成分のうちで、Tb,Tm及びL
uは後記する表3中に記載しなかったが、これらも他の
R成分と同様の作用効果を有するものである。
1-w-x Caw Mgx )O}の割合、すなわちkの値の範
囲を1.00≦k≦1.04としたのは、kの値がこの
範囲の場合には所望の電気的特性を有する誘電体磁器組
成物を得ることができるが、1.00未満になった場合
には、誘電体磁器組成物の抵抗率ρが1×106 MΩ・
cm未満と大幅に低くなり、またtanδが悪化し、
1.04を越えた場合には、焼成温度が1250℃であ
っても緻密な焼結体を得ることができなくなるからであ
る。
阻害しない範囲で微量のMnO2 (好ましくは0.05
〜0.1重量%)等の鉱化剤を添加し、焼結性を向上さ
せてもよい。また、その他の物質を必要に応じて添加し
てもよい。また、基本成分を得るための出発原料として
は、後述する実施例で示した以外の酸化物を使用しても
よいし、水酸化物またはその他の化合物を使用してもよ
い。
の基本成分に対して0.2〜5.0重量部としたのは、
添加成分の添加量がこの範囲の場合には1190〜12
00℃の焼成で所望の電気的特性を有する焼結体を得る
ことができるが、添加成分の添加量が0.2重量部未満
になった場合は焼成温度が1250℃であっても緻密な
焼結体を得ることができないし、また、添加成分の添加
量が5.0重量部を越えた場合は比誘電率εs が700
0未満となるからである。
MOとの組成をモル%で示す三角図において、前記した
点A〜Eをこの順に結ぶ5本の直線で囲まれた範囲内と
したのは、添加成分の組成をこの範囲の場合には所望の
電気的特性を有する焼結体を得ることができるが、添加
成分の組成がこの範囲を外れた場合は緻密な焼結体を得
ることができないからである。なお、MO成分は、Ba
O,SrO,CaO,MgO,ZnOのいずれか1つで
あってもよいし、または適当な比率としてもよい。
方法は、前記の基本成分と添加成分とからなる未焼結の
磁器粉末からなる混合物を調製する工程と、前記混合物
からなる未焼結磁器シートを形成する工程と、前記未焼
結磁器シートを少なくとも2以上の導電性ペースト膜で
挟持させた積層物を形成する工程と、前記積層物を非酸
化性雰囲気中において焼成する工程と、前記焼成を受け
た積層物を酸化性雰囲気中において熱処理する工程とを
備えたものである。
COなどの還元性雰囲気のみならず、N2 やArなどの
中性雰囲気であってもよい。また、非酸化性雰囲気中に
おける焼成温度は、電極材料を考慮して種々変更するこ
とができる。ニッケルを内部電極とする場合には、10
50℃〜1200℃の範囲でニッケル粒子の凝集をほと
んど生じさせることなく熱処理することができる。
度は、非酸化性雰囲気中における焼成温度より低い温度
であればよく、500〜1000℃の範囲が好ましい。
酸化性雰囲気としては、大気雰囲気に限定することな
く、例えば、N2 に数ppmのO2 を混合したような低
酸素濃度の雰囲気から任意の酸素濃度の雰囲気を使用す
ることができる。どのような温度あるいはどのような酸
素濃度の雰囲気にするかは、電極材料(ニッケル等)の
酸化と誘電体磁器層の酸化とを考慮して種々変更する必
要がある。後述する実施例ではこの熱処理の温度を60
0℃としたが、この温度に限定されるものではない。
る熱処理と、酸化性雰囲気中における熱処理を1つの連
続した焼成プロファイルの中で行なっているが、もちろ
ん非酸化性雰囲気中における焼成工程と、酸化性雰囲気
における熱処理工程とを独立した工程に分けて行なうこ
とも可能である。
を使用しているが、電極の焼付け条件を選択することに
よりNi,Ag,Cu等の電極を用いることができるの
はもちろんであるし、Ni外部電極を未焼成積層体の端
面に塗布して積層体の焼成と外部電極の焼付けを同時に
行なうこともできる。
一般的な単層の磁器コンデンサにも勿論適用可能であ
る。
説明する。基本成分の調製 表1に示す化合物を各々秤量し、これらの化合物をポッ
トミルに、複数個のアルミナボール及び2.5リットル
の水とともに入れ、15時間攪拌混合して、混合物を得
た。
前記基本成分の組成式{(Ba1-w-x Caw Mgx )
O}k (Ti1-y-z Zry Rz )O2-z/2 が {(Ba0.925Ca0.07Mg0.005)O}1.01(Ti0.83Zr0.15Er0.02)O1.99 …(1) となるように計算して求めた値である。
れ、熱風式乾燥器を用い、150℃で4時間乾燥し、こ
の乾燥した混合物を粗粉砕し、この粗粉砕した混合物を
トンネル炉を用い、大気中において約1200℃で2時
間仮焼し、上記組成式(1) で表わされる組成の基本成分
の粉末を得た。
をポリエチレンポットに、複数個のアルミナボール及び
300ミリリットルのアルコールとともに加え、10時
間攪拌混合して、混合物を得た。
Li2 Oが1モル%、SiO2 が80モル%、MOが1
9モル%{BaO(3.8モル%)+CaO(9.5モル%)+
MgO(5.7モル%)}の組成となるように計算して求め
た値である。また、MOのうちでBaO,CaO及びM
gOの占める割合は、BaOが20モル%、CaOが5
0モル%、MgOが30モル%である。
00℃の温度で2時間仮焼し、これをアルミナポットに
複数個のアルミナボール及び300ミリリットルの水と
ともに入れ、15時間粉砕し、その後、150℃で4時
間乾燥させ、前記組成の添加成分の粉末を得た。
2重量部(20g)の前記添加成分とをボールミルに入
れ、更に、これらの基本成分と添加成分との合計重量に
対して15重量%の有機バインダーと50重量%の水を
入れ、これらを混合及び粉砕して誘電体磁器組成物の原
料となるスラリーを得た。ここで、有機バインダーとし
ては、アクリル酸エステルポリマー、グリセリン及び縮
合リン酸塩の水溶液からなるものを使用した。
この脱泡処理したスラリーをポリエステルフィルム上に
リバースコータを用いて所定の厚さで塗布し、この塗布
されたスラリーをこのポリエステルフィルムとともに1
00℃で加熱して乾燥させ、厚さ約25μmの長尺な未
焼結磁器シートを得た。そして、この長尺な未焼結磁器
シートを裁断して10cm角の未焼結磁器シートを得
た。
チルセルロース0.9gをブチルカルビトール9.1g
に溶解させたものとを攪拌機に入れて10時間攪拌し、
内部電極用の導電性ペーストを得た。そして、前記未焼
結磁器シートの片面にこの導電性ペーストからなるパタ
ーン(長さ14mm、幅7mm)を50個、スクリーン
印刷法によって形成させ、乾燥させた。
るパターンが形成されている側を上にして2枚積層し
た。この積層の際、隣接する上下の未焼結磁器シート間
において、導電性ペーストからなるパターンが長手方向
に半分程ずれるようにした。そして、更に上記のように
して積層したものの上下両面に厚さ60μmの未焼結磁
器シートを各々4枚ずつ積層して積層物を得た。
向から約40トンの荷重を加えて、この積層物を構成し
ている未焼結磁器シート相互を圧着させた。そして、こ
の積層物を格子状に裁断して、50個の積層体チップを
得た。
れ、この炉内を大気雰囲気にし、100℃/hの速度で
600℃まで昇温させ、未焼結磁器シート中の有機バイ
ンダーを燃焼除去させた。
元雰囲気{H2(2体積%)+N2(98体積%)}に変
え、炉内の温度を600℃から1150℃まで、100
℃/hの速度で昇温させ、1150℃の温度を3時間保
持し、その後、100℃/hの速度で降温させ、炉内の
雰囲気を大気雰囲気(酸化性雰囲気)に変え、600℃
の温度を30分間保持して酸化処理を行い、その後、室
温まで冷却して積層焼結体チップを得た。
内部電極の端部が露出している側面に一対の外部電極を
形成し、図1に示すような、3層の誘電体磁器層12,
12,12と2層の内部電極14,14とからなる積層
焼結体チップ15の端部に一対の外部電極16,16が
形成された積層磁器コンデンサ10が得られた。
とガラスフリット(glass frit)とビヒクル(vehicle) と
からなる導電性ペーストを塗布し、この導電性ペースト
を、乾燥後、大気中において550℃の温度で15分間
焼き付けて亜鉛電極層18とし、更にこの亜鉛電極層1
8の上に無電解メッキ法で銅層20を形成し、更にこの
銅層20の上に電気メッキ法でPb−Sn半田層22を
設けることによって形成した。
体磁器層12の厚さは0.02mm、一対の内部電極1
4,14の対向面積は5mm×5mm=25mm2 であ
る。また、焼結後の誘電体磁器層12の組成は、焼結前
の基本成分及び添加成分の混合物の組成と実質的に同じ
である。
その平均値を求めたところ、表4に示すように、比誘
電率εs が14700、tanδが1.3%、抵抗率ρ
が3.46×106 MΩ・cmであった。
圧(実効値)1.0Vの条件で静電容量を測定し、この
測定値と、一対の内部電極14,14の対向面積(25
mm2 )と一対の内部電極14,14間の誘電体磁器層
12の厚さ(0.02mm)から計算で求めた。 (B) 誘電体損失tanδ(%)は、上記した比誘電率ε
s の測定の場合と同一の条件で測定した。 (C) 抵抗率ρ(MΩ・cm)は、温度20℃においてD
C100Vを1分間印加した後に、一対の外部電極1
6,16間の抵抗値を測定し、この測定値と寸法とに基
づいて計算で求めた。
No.2〜100の試料についても、基本成分の組成を
表3〜表3に示すように変え、添加成分の組成及び
焼成温度を表4〜表4に示すように変えた他は、N
o.1の試料と全く同一の方法で積層磁器コンデンサを
作成し、同一の方法で電気的特性を測定した。No.1
〜100の試料の焼成温度及び電気的特性は表4〜表
4に示す通りとなった。
には基本成分の組成式におけるBaの原子数の割合が、
wの欄には基本成分の組成式におけるCaの原子数の割
合が、xの欄には基本成分の組成式におけるMgの原子
数の割合が、1−y−zの欄には基本成分の組成式にお
けるTiの原子数の割合が、yの欄には基本成分の組成
式におけるZrの原子数の割合が示されている。
るRの原子数の割合が、kの欄には基本成分の組成式に
おける{(Ba1-w-x Caw Mgx )O}の割合が示さ
れている。zの欄のSc,Y,Gd,Dy,Ho,E
r,Ybは基本成分の組成式中におけるRの内容を示
し、これ等の元素の各欄にはこれ等の元素の原子数の割
合が示され、合計の欄にはこれ等の元素の原子数の割合
の合計値(z値)が示されている。
の添加量は基本成分100重量部に対する重量部で示さ
れ、MOの内容の欄にはBaO,SrO,CaO,Mg
O,ZnOの割合がモル%で示されている。
添加成分であるガラスの適正範囲を明らかにし、No.
24〜35の試料による実験は添加成分であるガラスの
添加量の適正範囲を明らかにし、No.36〜47の試
料による実験はCaの原子数の割合であるw値の適正範
囲を明らかにし、No.48〜59の試料による実験は
Mgの原子数の割合であるx値の適正範囲を明らかに
し、No.60〜69の試料による実験はZrの原子数
の割合であるy値の適正範囲を明らかにし、No.70
〜78の試料による実験はRの種類の違いによる影響を
明らかにし、No.79〜90の試料による実験はRの
原子数の割合であるz値の適正範囲を明らかにし、N
o.91〜100の試料による実験は{(Ba1-w-x C
aw Mgx )O}の割合であるk値の適正範囲を明らか
にするものである。
らかなように、本発明に従う試料によれば、非酸化性雰
囲気中における1200℃以下の焼成で、比誘電率εs
が7000以上、誘電体損失tanδが2.5%以下、
抵抗率ρが1×106 MΩ・cm以上の電気的特性を有
する誘電体磁器組成物を備えた磁器コンデンサを得るこ
とができるものである。
9,30,35,41,47,53,59,60,6
4,65,69,79,84,85,90,91,9
5,96及び100の試料によれば、所望の電気的特性
を有する磁器コンデンサを得ることができない。従っ
て、これらのNo.の試料は本発明の範囲外のものであ
る。
られている誘電体磁器組成物の組成の適正範囲につい
て、表3〜表3及び表4〜表4に示す実験結果
を参照しながら検討する。
原子数の割合、すなわちwの値の適正範囲について検討
する。wの値が、試料No.40及び46に示すよう
に、0.27の場合には、所望の電気的特性を有する誘
電体磁器組成物焼結体を得ることができるが、試料N
o.41及び47に示すように、0.30の場合には、
焼成温度が1250℃と高くなり、比誘電率εs も70
00未満となる。従って、wの上限値は0.27であ
る。
び抵抗率ρを向上させる作用を有するが、wの値が零で
あっても所望の電気的特性の誘電体磁器組成物を得るこ
とができる。従って、wの下限値は零である。
原子数の割合、すなわちxの値の適正範囲について検討
する。xの値が、試料No.52及び58に示すように
0.03の場合には、所望の電気的特性を有する誘電体
磁器組成物を得ることができるが、試料No.53及び
59に示すように、0.04の場合には比誘電率εs が
急激に低下して7000未満となる。従ってxの上限値
は0.03である。
させるとともに、温度特性を平坦にする作用及び抵抗率
ρを向上させる作用を有するが、xの値が0.03以下
の範囲において極微量であってもそれなりの効果を有す
る。しかし、量産する時の電気的特性のバラツキを考慮
してxの値は0.001以上とすることが望ましい。
原子数の割合、すなわちyの値の適正範囲について検討
する。yの値が、試料No.61及び66に示すよう
に、0.05の場合には、所望の電気的特性を有する誘
電体磁器組成物を得ることができるが、試料No.60
及び65に示すように、0.03の場合には、比誘電率
εs が7000未満となる。従って、yの値の下限は
0.05である。
に示すように、0.26の場合には所望の電気的特性の
誘電体磁器組成物を得ることができるが、試料No.6
4及び69に示すように、0.29の場合には比誘電率
εs が7000未満となる。従って、yの値の上限は
0.26である。
子数の割合、すなわちzの値の適正範囲について検討す
る。zの値が、試料No.80及び86に示すように、
0.002の場合には所望の電気的特性を有する誘電体
磁器組成物を得ることができるが、試料No.79及び
85に示すように、0.001の場合には、誘電体損失
tanδが大幅に悪化し、抵抗率ρも1×104 MΩ・
cm未満となる。従って、zの下限値は0.002であ
る。
に示すように、0.04の場合には所望の電気的特性を
有する誘電体磁器組成物を得ることができるが、試料N
o.84及び90に示すように、0.06の場合には、
焼成温度が1250℃であっても緻密な焼結体を得るこ
とができない。従って、zの値の上限は0.04であ
る。
r,Ybはほゞ同様に働き、これ等から選択された1つ
を使用しても、または複数を使用しても同様な結果が得
られる。また、R成分のうちで、Tb,Tm及びLuは
表3〜表3中に記載しなかったが、これらも他のR
成分と同様の作用効果を有するものである。
a1-w-x Caw Mgx )O}の割合、すなわちkの値の
適正範囲について検討する。kの値が、試料No.92
及び97に示すように、1.00の場合には、所望の電
気的特性を有する誘電体磁器組成物を得ることができる
が、試料No.91及び96に示すように、0.99の
場合には、抵抗率ρが1×106 MΩ・cm未満と、大
幅に低くなり、tanδが悪化する。従って、kの下限
値は1.00である。
に示すように、1.04の場合には所望の電気的特性の
誘電体磁器組成物を得ることができるが、試料No.9
5及び100に示すように、1.05の場合には、緻密
な焼結体を得ることができない。従って、kの上限値は
1.04である。
て検討する。添加成分の添加量が、試料No.25及び
31に示すように、100重量部の基本成分に対して
0.2重量部の場合には、1190〜1200℃の焼成
で所望の電気的特性を有する誘電体磁器組成物を得るこ
とができるが、添加成分の添加量が零の場合には、試料
No.24及び30に示すように、焼成温度が1250
℃であっても緻密な焼結体を得ることができない。従っ
て、添加成分の添加量の下限値は、100重量部の基本
成分に対して0.2重量部である。
8及び34に示すように、100重量部の基本成分に対
して5重量部の場合には、所望の電気的特性を有する誘
電体磁器組成物を得ることができるが、添加成分の添加
量が、試料No.29及び35に示すように、100重
量部の基本成分に対して7重量部の場合には、比誘電率
εs が7000未満となる。従って、添加成分の添加量
の上限値は、100重量部の基本成分に対して5重量部
である。
検討する。添加成分の好ましい組成範囲は、図2に示し
たLi2 O−SiO2 −MOの組成比を示す三角図に基
づいて決定することができる。
i2 Oが1モル%、SiO2 が80モル%、MOが19
モル%の組成を示し、第2の点Bは、試料No.2のL
i2Oが1モル%、SiO2 が39モル%、MOが60
モル%の組成を示し、第3の点Cは、試料No.3のL
i2 Oが30モル%、SiO2 が30モル%、MOが4
0モル%の組成を示し、第4の点Dは、試料No.4の
Li2 Oが50モル%、SiO2 が50モル%、MOが
0モル%の組成を示し、第5の点Eは、試料No.5の
Li2 Oが20モル%、SiO2 が80モル%、MOが
0モル%の組成を示す。
は、図2に示す三角図の第1〜5の点A〜Eをこの順に
結ぶ5本の直線で囲まれた範囲内となっている。添加成
分の組成をこの範囲内のものとすれば、所望の電気的特
性を有する誘電体磁器組成物を得ることができる。一
方、試料No.11〜16のように、添加成分の組成を
本発明で特定した範囲外とすれば、緻密な焼結体を得る
ことができない。
〜21に示すように、BaO,SrO,CaO,Mg
O,ZnOのいずれか1つであってもよいし、または他
の試料に示すように適当な比率としてもよい。
体層を構成している誘電体磁器組成物の組成を前述した
ように構成したので、非酸化性雰囲気中における120
0℃以下の焼成であるにもかかわらず、その比誘電率ε
s を7000〜19000と飛躍的に向上させることが
でき、従って、磁器コンデンサの小型大容量化を図るこ
とが可能になった。
図ることができるようになったので、ニッケル等の卑金
属の導電性ペーストを内部電極の形成に用いることと相
まって、磁器コンデンサの低コスト化を図ることが可能
になった。
面図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 誘電体磁器組成物からなる1又は2以上
の誘電体磁器層と、この誘電体磁器層を挟持している少
なくとも2以上の内部電極とを備えた磁器コンデンサに
おいて、前記誘電体磁器組成物が、100.0重量部の
基本成分と、0.2〜5.0重量部の添加成分との混合
物を焼成したものからなり、前記基本成分が、 {(Ba1-w-x Caw Mgx )O}k (Ti1-y-z Zry Rz )O2-z/2 (但し、Rは、Sc,Y,Gd,Dy,Ho,Er,Y
b,Tb,Tm及びLuから選択された1種または2種
以上の元素、w,x,y,z,kは、 0.00≦w≦0.27 0.001≦x≦0.03 0.05≦y≦0.26 0.002≦z≦0.04 1.00≦k≦1.04 を満足する数値)で表わされる物質からなり、前記添加
成分がLi2 OとSiO2 とMO(但し、MOはBa
O,SrO,CaO,MgO及びZnOから選択された
1種または2種以上の酸化物)とからなり、前記Li2
Oと前記SiO2 と前記MOとの組成範囲が、これらの
組成をモル%で示す三角図において、前記Li2 Oが1
モル%、前記SiO2 が80モル%、前記MOが19モ
ル%の組成を示す第1の点Aと、前記Li2 Oが1モル
%、前記SiO2 が39モル%、前記MOが60モル%
の組成を示す第2の点Bと、前記Li2 Oが30モル
%、前記SiO2 が30モル%、前記MOが40モル%
の組成を示す第3の点Cと、前記Li2 Oが50モル
%、前記SiO2 が50モル%、前記MOが0モル%の
組成を示す第4の点Dと、前記Li2 Oが20モル%、
前記SiO2 が80モル%、前記MOが0モル%の組成
を示す第5の点Eとをこの順に結ぶ5本の直線で囲まれ
た領域内にあることを特徴とする磁器コンデンサ。 - 【請求項2】 未焼結の磁器粉末からなる混合物を調製
する工程と、前記混合物からなる未焼結磁器シートを形
成する工程と、前記未焼結磁器シートを少なくとも2以
上の導電性ペースト膜で挟持させた積層物を形成する工
程と、前記積層物を非酸化性雰囲気中において焼成する
工程と、前記焼成を受けた積層物を酸化性雰囲気中にお
いて熱処理する工程とを備え、前記未焼結の磁器粉末か
らなる混合物が、100.0重量部の基本成分と、0.
2〜5.0重量部の添加成分とからなり、前記基本成分
が、 {(Ba1-w-x Caw Mgx )O}k (Ti1-y-z Zry Rz )O2-z/2 (但し、Rは、Sc,Y,Gd,Dy,Ho,Er,Y
b,Tb,Tm及びLuから選択された1種または2種
以上の元素、w,x,y,z,kは、 0.00≦w≦0.27 0.001≦x≦0.03 0.05≦y≦0.26 0.002≦z≦0.04 1.00≦k≦1.04 を満足する数値)で表わされる物質からなり、前記添加
成分がLi2 OとSiO2 とMO(但し、MOはBa
O,SrO,CaO,MgO及びZnOから選択された
1種または2種以上の酸化物)とからなり、前記Li2
Oと前記SiO2 と前記MOとの組成範囲が、これらの
組成をモル%で示す三角図において、前記Li2 Oが1
モル%、前記SiO2 が80モル%、前記MOが19モ
ル%の組成を示す第1の点Aと、前記Li2 Oが1モル
%、前記SiO2 が39モル%、前記MOが60モル%
の組成を示す第2の点Bと、前記Li2 Oが30モル
%、前記SiO2 が30モル%、前記MOが40モル%
の組成を示す第3の点Cと、前記Li2 Oが50モル
%、前記SiO2 が50モル%、前記MOが0モル%の
組成を示す第4の点Dと、前記Li2 Oが20モル%、
前記SiO2 が80モル%、前記MOが0モル%の組成
を示す第5の点Eとをこの順に結ぶ5本の直線で囲まれ
た領域内にあることを特徴とする磁器コンデンサの製造
方法。
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3161033A JP2521855B2 (ja) | 1991-06-05 | 1991-06-05 | 磁器コンデンサ及びその製造方法 |
TW081100645A TW242191B (ja) | 1991-06-05 | 1992-01-29 | |
KR1019920007166A KR100245448B1 (ko) | 1991-06-05 | 1992-04-28 | 자기콘덴서및그제조방법 |
DE69201108T DE69201108T2 (de) | 1991-06-05 | 1992-06-04 | Keramischer Kondensator und sein Herstellungsverfahren. |
EP92109455A EP0517213B1 (en) | 1991-06-05 | 1992-06-04 | Ceramic capacitor and method for fabricating the same |
US07/894,471 US5453409A (en) | 1991-06-05 | 1992-06-05 | Ceramic capacitor and method for fabricating the same |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3161033A JP2521855B2 (ja) | 1991-06-05 | 1991-06-05 | 磁器コンデンサ及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04359813A JPH04359813A (ja) | 1992-12-14 |
JP2521855B2 true JP2521855B2 (ja) | 1996-08-07 |
Family
ID=15727325
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3161033A Expired - Fee Related JP2521855B2 (ja) | 1991-06-05 | 1991-06-05 | 磁器コンデンサ及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2521855B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6291380B1 (en) | 1999-03-15 | 2001-09-18 | Rohm Co., Ltd. | Dielectric ceramic and capacitor using the same |
-
1991
- 1991-06-05 JP JP3161033A patent/JP2521855B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6291380B1 (en) | 1999-03-15 | 2001-09-18 | Rohm Co., Ltd. | Dielectric ceramic and capacitor using the same |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04359813A (ja) | 1992-12-14 |
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