JP2778202B2 - 衣類乾燥機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、衣類の脱臭，殺菌を目的とした衣類乾燥機
に関する。

従来の技術 一般に衣類の乾燥させる場合、単に乾燥させるだけで
なく、衛生的に乾燥させることが好ましい。

従来、この種の衣類乾燥機で、たとえば乾いた衣類に
付着するたばこ臭などの臭い成分の脱臭、あるいは雑菌
などの殺菌を行う場合の手段として蒸気を用いる方法が
一般的であった。この場合、蒸気は衣類にまんべんなく
入り込みたばこ臭等の臭い成分を水分内にとり込んで、
衣類からの除去に効果的に作用する働きを有し、また殺
菌については高温の蒸気が衣類を高温高湿とし、単に熱
風による殺菌よりはるかに高い効果を発揮させていた。

発明が解決しようとする課題 しかし、衣類乾燥機内で蒸気を用いて乾いた衣類の脱
臭、殺菌を行う場合、単に蒸気を衣類に供給すればよい
というわけでない。たとえば、常温の衣類に蒸気を供給
しても、温度差によって蒸気は、衣類表面に充分まわら
ないうちに水となって衣類を均一に湿らさなかったり、
あるいは、衣類表面ではなく、乾燥ドラム表面で結露す
るなどの問題点があり、衣類をまんべんなく湿めらすに
は多くの蒸気が必要であった。また殺菌に関しても衣類
表面の湿熱温度が所定温度以上に上昇しなければその効
果は得られないため、この場合も多量の蒸気の供給が必
要であった。仮に多量の蒸気を供給して衣類表面の温度
を上昇させようとした場合、多くのエネルギーと時間が
必要となるのに加えてその後の衣類の仕上げ乾燥にも多
くの時間を必要とする等の問題があった。

本発明は上記課題に鑑み、脱臭、殺菌を効率的に行う
衣類乾燥機を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段 上記問題を解決するために本発明は、ドラムから排出
される熱交換前の循環風温度を測定する感熱手段を設
け、この感熱手段で測定した温度が所定温度に達した時
点で蒸気供給手段を所定時間作動させる構成としたもの
である。

作用 本発明の衣類乾燥機は、ドラム内に投入した衣類をあ
らかじめ予熱し、その状態で蒸気を衣類に作用させるた
め、蒸気が温度差によって衣類表面やドラム表面で結露
することなくドラム内全体に充満して衣類に対して均一
に水分を付着させることができる。また、衣類表面の温
度は蒸気に近い温度まで上昇し、高温高湿となるため、
衣類に付着する一般雑菌を殺菌するのに充分な条件を実
現することができる。

実 施 例 以下、本発明の一実施例を添付図面にもとづいて説明
する。第１図においては１は本体２内に設けられたドラ
ムであり、前記ドラム１の後部には両翼回転ファンなど
よりなる熱交換手段３が設けられ、この熱交換手段３に
より前記ドラム１内に熱源４からの熱風を導入するとと
もに、外気との熱交換を行わせるようにしている。前記
本体２内には循環風経路５が設けられ、ドラム１からの
循環風を熱交換手段３で除湿した後、熱源４で再加熱し
てドラム１内に供給するようにしている。また本体１内
には前記熱交換手段３の冷却風を導く冷却風路６が設け
られ、裏板７には冷却風を導入する吸気穴８を設けてい
る。また本体１の下部には熱交換によって生じた凝縮水
を排水する排水口９が設けられている。

前記ドラム１には蒸気供給手段10によって蒸気を供給
するようにしてあり、また前記循環風経路５の前記熱交
換手段３を通過する前の循環風の温度を感熱手段11で測
定するようにしている。前記感知手段11で得られた温度
情報は温度判定手段12で判定され、工程制御手段13を介
して蒸気供給手段10の作動を制御するようにしている。

次に、この一実施例の構成における具体的な動作につ
いて説明する。また第２図は本実施例動作時の感熱手段
11と衣類表面の温度変化を表わしたものである。

まず衣類を回転ドラム１に投入して運転を開始するこ
とにより、モータ（図示せず）が駆動して熱交換手段３
を回転させ循環風経路５内を循環風（黒塗りの矢印で示
す）が発生し、熱源４によって加熱され温風となってド
ラム１内に吹き込まれる。これによって感熱手段11およ
び投入された衣類の表面温度は第２図に示すように徐々
に上昇していく。感熱手段11の温度情報は温度判手手段
12によって判定され、所定温度Ｔに達するまでドラム１
内への熱風送風を行う。温度判定手段12によって所定温
度Ｔに達したと判断された時点で、工程制御手段13によ
って蒸気判定手段10が作動させられる。この場合、本実
施例の構成では、蒸気をドラム１内に満すために熱交換
手段３の回転は停止させる。第２図に示すように、蒸気
供給手段10を作動させることにより、衣類表面温度はさ
らに上昇していき、蒸気そのものの温度付近にまで上昇
していく。このとき、感熱手段11には直接に熱が伝わら
ないため、第２図に示すように感熱手段11の温度は下降
していく。所定時間、蒸気供給手段10を作動させた後、
蒸気供給手段10を停止させ、これと同時に再びモータを
駆動させて、ドラム１内に熱風を送風し、蒸気供給によ
って湿った衣類の仕上げ乾燥を行う。また、熱風の送風
によって感熱手段11の温度が所定の温度Ｔ′に達した時
点で、衣類の熱的ダメージを少なくするために熱源制御
手段14によって熱源４の出力制御を行い、熱風温度を下
げる。そして低い温度で所定時間運転した後、冷風の送
風を経て運転停止となる。第２図に示したように蒸気供
給手段10をオンさせてオフさせるまでの区間Ａにおい
て、衣類表面の温度は高くなっていることから、蒸気は
安定してドラム１内に充満していることがわかり、これ
によってドラム１内の衣類にまんべんなく蒸気が作用
し、衣類に対して均一に水分を供給し、臭い成分の粒子
を水分にとり込ませることが可能になる。この状態で熱
風を送風すれば、水分の衣類からの蒸発と伴に臭い成分
もまた、衣類から脱離し、結果として効果的な脱臭を行
うことができる。さらに区間Ａでは、高温高湿となって
いるため、殺菌効果を得ることができる。第３図に示す
ように、殺菌効果は、温度が高ければ高い程高い殺菌効
果が得られ、同じ温度であっても湿気を多く含んだ湿熱
状態の方が湿気をほとんど含まない類熱状態により高い
殺菌効果が得られる。一般殺菌を殺菌するには湿熱で約
50℃以上の温度が必要とされている。そこで第２図で示
すところのＴ″が50℃以上になるように感熱手段11の所
定温度Ｔを設定しておけば、一般雑菌を殺菌するのに充
分な湿熱条件を得ることができ、衣類を衛生的に仕上げ
ることができる。

発明の効果 以上の実施例の説明より明らかなように、本発明はド
ラム内に投入した衣類をあらかじめ予熱し、その状態で
蒸気を供給するものであるので、蒸気を安定してドラム
内に充満させることができ、これによって衣類にまんべ
んなく蒸気が作用し、衣類に対して均一に水分を供給
し、臭い成分の粒子を水分にとり込ませることが可能と
なる。その後に熱風送風によって水分の蒸発と伴に臭い
成分を衣類から脱離させることができ、効果的な脱臭を
行うことができる。また、衣類を予熱して蒸気を供給す
ることにより衣類表面を高温高湿状態にすることができ
るため、衣類に付着する一般雑菌の殺菌が可能となり、
衣類を衛生的に仕上げることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の衣類乾燥機の縦断面図、第
２図は、本発明の一実施例の衣類乾燥機を動作させた場
合の感熱手段および投入衣類表面の温度変化を示した
図、第３図は温度の値の差、湿熱，乾熱の差によって殺
菌効果のちがいを示した図である。 １……ドラム、10……蒸気供給手段、11……感熱手段。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】衣類を乾燥するドラムと、このドラム内に
   蒸気を供給する蒸気供給手段と、前記ドラム内に送風す
   る送風手段と、この送風を加熱する熱源と、前記ドラム
   内からの排気を再度熱源側に戻す循環風経路とを備え、
   前記循環風経路途中には、除湿を行う熱交換手段を配
   し、前記循環風経路の前記熱交換手段を通過する前の循
   環風の温度を測定する感熱手段を設け、この感熱手段で
   測定した温度が所定温度に達した時点で、前記蒸気供給
   手段を作動させ、蒸気供給手段を停止した後、所定時間
   熱風送風を行う衣類乾燥機。
2. 【請求項２】蒸気供給手段は所定時間作動するように制
   御された請求項１記載の衣類乾燥機。