JP2778140B2 - Ni基合金製熱間工具及びその熱間工具の後処理方法 - Google Patents

Ni基合金製熱間工具及びその熱間工具の後処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、高温での変形、溶損、焼き付き、割れ等が
生じ難く、耐久性に優れたNi基合金でつくられた熱間工
具、例えば、継目無鋼管の製造に用いる穿孔プラグ、マ
ンドレル等の熱間工具、およびその工具の耐久性を一層
改善する後処理方法に関する。
(従来の技術) 例えば、マンネスマンプラグミル又はマンドレルミル
方法による継目無鋼管の製造では、高温の中実丸鋼片は
穿孔プラグやガイドシュー等の製管用工具を備えるピア
サーで中空素管に加工される。或いは、ユジーンセジェ
ルネ方式による継目無鋼管の製造では、高温の中実丸鋼
片はマンドレルおよびダイスを備える押出プレスで中空
素管に加工される。
そして、これら熱間工具は使用中は高温で非常に高い
圧力を受けるので、次のような特性が必要である。
高温での高い強度(変形防止)、高温での優れた
延性(加工時の割れ防止)、室温での優れた靭性(取
り扱い時および加工初期の割れ防止)、良好な耐熱亀
裂性(昇温および降温の繰り返しによる割れ防止)、
優れた表面潤滑性(焼き付きおよび表面温度上昇の抑
制)、高融点(表面温度上昇による溶損防止)、等で
ある。
熱間工具には、このような特性が求められるので、従
来、その素材にはいわゆる高温用材料が使われている。
例えば、3〜5重量%のCrと、Mo又はWは1種以上を総
量で3重量%以下含むFe系合金、或いはNi基合金のイン
コネル718(商品名)などの高温材料である。
これら高温材料は、1000℃程度の温度までは優れた特
性を有するので、被加工材が普通鋼のような変形抵抗の
小さいものであれば、これらの高温材料からなる熱間工
具で十分である。
ところが、近年、継目無鋼管の使用環境が益々過酷化
する傾向にあり、それに伴いステンレス鋼のような合金
鋼管やNi基合金、Ti、Ti合金、Zr、Zr合金等のようない
わゆる高合金管の必要性が高まっている。これら合金鋼
や高合金は普通鋼より変形抵抗が高いので、熱間工程は
より高い応力や摩擦を受けるようになってきた。
例えば、被加工材の中実丸鋼片がステンレス鋼の場
合、ピアサーでは摩擦熱により穿孔プラグやガイドシュ
ーの表面には1200℃以上、製管条件によっては1300℃以
上の温度に上昇する。特に、表面の潤滑性に何ら対策を
講じない場合には、最表面層は摩擦熱により1400℃以上
に上昇することもある。しかし、穿孔プラグやガイドシ
ューには平均で20kgf/mm2以上、場合によっては30kgf/m
m2以上の応力がかかる。そして、このような過酷な状態
が1回の穿孔で30秒以上も継続する場合がある。
ユジーンセジュルネ方式の場合も、押出しに要する時
間は短いがダイスおよびマンドレルの表面は前記と同様
の厳しい条件となる。そして、このユジーンセジュルネ
方式では、被加工材はスーパアロイ或いはTi、Ti合金、
Zr、Zr合金まで含まれるので、工具には40kgf/mm2を超
える応力がかかる場合がある。
このように、合金鋼或いは高合金の加工では、工具は
高温で高い応力および摩擦を受ける。このため従来の高
温材料からなる熱間工具では、合金鋼又は高合金を加工
すると、工具は変形、摩耗、焼き付け、溶損等を起こ
し、後述する実施例で示すように寿命が極端に短いか
ら、一本の加工途中でこのような問題が発生して加工そ
のものができなくなる。
そこで、熱間工具の耐久性を改善するために酸化アル
ミニウム、窒化アルミニウム等の各種セラミックスを工
具表面に被覆するか、高温強度に優れたMoやNb又はこれ
らの合金を工具材料に使用することが検討されている。
しかしながら、セラミックスを被覆する方法は、工具の
変形抵抗、耐熱性および潤滑性を改善することができる
ものの、セラミックスは剥離しやすいので耐久性がさほ
ど大きく向上しない。一方、工具材料にMo、Nb又はこれ
らの合金を使用する方法は、MoおよびNbが高価であると
ともにこれら元素は昇華を起こし且つ酸素を吸収するの
で、昇華による消耗および酸素吸収による脆化が発生
し、高価な割に寿命が短い。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の課題は、合金鋼や高合金のような変形抵抗が
高く、しかも加工条件の厳しい被加工材を熱間加工して
も、変形、溶損、焼き付き、割れ等が生じ難い、耐久性
に優れたNi基合金製熱間工具と、その工具表面に断熱性
或いは潤滑性を有する皮膜を形成させて、耐久性を一層
改善することができる後処理方法を提供することにあ
る。
具体的には、本発明は(a)融点が1400℃以上、
(b)1200℃での高温強度が少なくとも20kgf/mm2
上、望ましくは1300℃での高温強度が30kgf/mm2以上、
(c)1200℃での高温延性が少なくとも40%以上、望ま
しくは1300℃での高温延性が40%以上、(d)室温での
靭性が2kg−m/cm2以上、の特性を有する熱間工具と、
(e)厚さ10〜150μmの潤滑性および断熱性を有する
酸化皮膜、(f)潤滑性のある厚さ10〜150μmの表面
硬化層、を工具表面に形成することができる後処理方法
を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段) 本発明者は、融点、高温強度および高温延性が上記条
件を満たす材料ついて鋭意検討を行った。
高温強度に優れた材料として、高Crフェライト鋼、Ni
基合金、Co基合金、或いは炭化物,酸化物,窒化物等の
鋼融点物質と金属との焼結複合材料であるサーメット等
の超強力耐熱合金が知られている。しかし、Crを15重量
%以上含む高Crフェライト鋼は、耐酸化性に優れたCrの
酸化物が表面に生成するが、その酸化皮膜は8μm以下
と薄いので、潤滑および断熱効果に乏しく、また、融点
が1400℃以下のため容易に焼き付きを起こす。Ni基合金
およびCo基合金は、高温強度が前記(b)の条件を満た
さない。また、Co基合金は高価である。サーメットは、
室温および高温での延性と靭性に乏しく、加工時に容易
に割れが発生する。このため、従来の耐熱合金では、合
金鋼および鋼合金の工具用材料には適さない。
ところが、本発明者は前記Ni基合金の組成を工夫する
ことで高温強度、高温延性および室温靭性が向上するこ
と、およびこの工夫したNi基合金からなる熱間工具に適
正な後処理を施せば、潤滑性、耐熱性等が改善されるこ
とを見出した。このような知見をまとめれば以下の通り
である。
(1)NiにWを合金すると融点が1400℃以上となる。そ
して、この中でもWを20〜60重量%含むものは、高温強
度が高く、しかも高温延性および室温靭性が良好であ
る。特に、Wを35重量%以上含有するものは、α−Wが
分散し高温強度が最も高い。
(2)Wを20〜60重量%含有するNi−W合金に、更に適
量のMoを添加すれば一層高温強度が向上する。
(3)Fe、Co、Ti、Al、V、Crは潤滑性のある酸化皮膜
の生成に有効である。また、希土類元素、Mg、Zr、Ca
は、熱間延性および酸化皮膜の耐剥離性の改善に有効で
ある。
(4)このNi−W合金からなる熱間工具に酸化、浸炭、
拡散焼鈍等の処理を施せば、工具の耐久性が一層向上す
る。
本発明は、このような知見を基に完成したものであっ
て、その要旨は、下記の(i1)および(ii)にある。
(i)重量%で、C+N:0.1%以下、Si:3%以下、Mn:0.
01〜2.0%、P:0.02%以下、S:0.01%以下、W:20〜60%
を含み残部が実質的にNiからなるか、または更に、必要
に応じて下記のA群、B群、C群の内から選ばれた少な
くとも1種以上の成分を含有し、残部が実質的にNiから
なるNi基合金製熱間工具。
〔A群〕
1〜10%のMo。
〔B群〕
10%以下のFe、20%以下のCo、3%以下のTi、3%以
下のAl、3%以下のV、10%以下のCr。
〔C群〕
0.05%以下の希土類元素、0.05%以下のMg、0.05%以
下のZr、0.05%以下のCa。
(ii)前記(i)記載のNi基合金製熱間工具に、下記の
〜の処理を施すことを特徴とするNi基合金製熱間工
具の後処理方法。
800〜1250℃の温度に1〜20時間加熱する浸炭処理。
800〜1250℃の温度に1〜20時間加熱する浸炭処理と8
00〜1250℃の温度に1〜10時間加熱する拡散焼鈍処理。
大気以下の酸素分圧下で800〜1400℃の温度に0.1〜10
時間加熱する酸化処理。なお、大気以下の酸素分圧と
は、酸素の分圧が大気の酸素分圧(約0.21気圧)以下で
あることを意味する。
800〜1250℃の温度に1〜20時間加熱する浸炭処理と
大気以下の酸素分圧下で800〜1400℃の温度に0.1〜10時
間加熱する酸素処理。
800〜1250℃の温度に1〜20時間加熱する浸炭処理、8
00〜1250℃の温度に1〜10時間加熱する拡散焼鈍処理お
よび大気以下の酸素分圧下で800〜1400℃の温度に0.1〜
10時間加熱する酸化処理。
上記熱間工具としては、例えばプラグ、ガイドシュ
ー、マンドレル、ダイス等の製管用工具、鍛造用金型、
熱間圧延用ロール等が代表的である。
(作用) 以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明のNi基合金製熱間工具における母材のNi
基合金の化学組成を前記のように限定する理由を作用効
果とともに説明する。
CおよびN:合金で0.1%以下 CおよびNは共に固溶強化により高温強度を高める作
用がある。しかし、その一方で融点を大きく下げるの
で、CおよびNの含有量は合計で0.1%以下とする。
Si:3%以下 Siは脱酸のために添加するが、融点を下げるので、そ
の含有量を3%以下とする。3%を超えると合金の融点
が1400℃未満となる。特に、Si含有量を0.05%以下にす
ると、高温延性の改善効果が大きくなる。
Mn:0.01〜2.0% Mnは脱酸のために添加する。また、Mnは後述するSを
固定し高温延性を改善する作用がある。0.01%未満の含
有量ではこの作用が大きく、2.0%を超えると合金の融
点が1400℃未満となる。
P:0.02%以下 Pは高温延性を劣化させ、且つ融点を下げる元素であ
る。0.02%を越えて含有すると目標とする高温延性およ
び融点を確保することができなくなる。
S:0.01%以下 Sは前記Pに比べてより顕著に高温延性を劣化させ、
且つ融点を下げる元素である。0.01%を越えて含有する
と目標とする高温延性および融点を確保することができ
なくなる。1400℃以上での40%以上の高温延性を確保し
ようとすれば、Pは0.005%以下にするのが望ましい。
W:20〜60% Wは本発明において特に重要な元素である。NiにWを
添加すると、含有量の増加とともに合金の融点および高
温強度が向上する。これは、他の添加元素にないW特有
の効果である。
W含有量が20%未満であっても、1400℃以上の融点を
確保することができるが、高温強度の向上が大きくない
ので、所望の高温強度が得られない。一方、W含有量が
60%を超え、例えば65%でも合金は40%以上の高温延性
を有しているので、鍛造で工具を作ることができる。し
かし、60%を超えてWを含有させると固相温度(液体か
ら固体が生成開始する温度)が高くなり、真空誘導溶
解、AOD、VOD等の通常の溶解法では製造が困難となるの
で、上限を60%とする。望ましいW含有量は30%以上、
より望ましいのは35%以上である。
W含有量が30%以上でα−W(純粋に近いW)が分散
し、高温強度が一段と改善される。35%以上でα−W量
がさらに増し、特に浸炭処理を行った場合にWCが増加
し、高温強度と潤滑性がより一段と改善される。
残部は実質的にNiである。Niは融点、室温靭性および
高温延性に富み、且つ、比較的安価である。なお、「実
質的に」とはNiの他に不可避不純物を含む場合もあるこ
とを意味する。
本発明の熱間工具は、以上述べた化学組成のNi基合金
からなるものである。この他に、上記元素に加えて下記
のA群、B群およびC群の中から選ばれた少なくとも1
種以上の成分を含むNi基合金からなる熱間工具であって
もよい。
A群:1〜10%のMo Moは高温強度を高める効果がある。しかし、1%未満
の含有量ではその効果が小さく、10%を超えて含有する
と融点が大きく低下する。
B群:10%以下のFe、20%以下のCo、3%以下のTi、3
%以下のAl、3%以下のV、10%以下のCr。
これらの元素は、1種以上添加されて熱間加工後の冷
却途中、或いは後述する酸化処理で工具表面にこれらの
酸化皮膜を形成し、断熱性および潤滑性を改善する効果
がある。しかし、Coを除く他の元素は融点を下げるの
で、Feは10%以下、Tiは3%以下、Alは3%以下、Vは
3%以下、Crは10%以下、の含有量とする。Coは高価で
あるので20%を超えて含有させると経済的に不利とな
る。
なお、前記元素の中でFe、Co、Vからは低融点の酸化
皮膜が形成され、Al、Tiからは高融点の酸化皮膜が形成
される。これら酸化皮膜はともに断熱性と潤滑性の両方
を改善する効果を有しているが、どちらかといえば前者
の低融点の酸化皮膜は潤滑性を改善する効果の方が大き
く、後者の高融点の酸化皮膜は断熱性を改善する効果の
方が大きい。
C群:0.05%以下の希土類元素、0.05%以下のMg、0.05
%以下のZr、0.05%以下のCa。
これらの元素は1種以上添加されて高温延性を改善す
る効果がある。また、これらの元素は高温で形成される
前記の酸化皮膜に入り、酸化皮膜を緻密化させて加工時
における剥離、割れ、損耗等を抑制する効果がある。し
かし、各々0.05%を超えて含有させると低融点化合物を
形成し、また、融点および高温延性を低下させる。
本発明において、前記希土類元素とはY、La、Ce、或
いはこれらの混合物である。
以上述べた化学組成からなるNi基合金で作られたもの
が本発明の熱間工具である。このNi基合金は、融点が高
く、高温強度、高温延性および室温靭性に優れ、且つ、
適度の潤滑性と断熱性を有しているので、通常の製造方
法で工具にしても合金鋼或いは高合金の加工に十分使用
することができて、しかも、その寿命は従来の熱間工具
よりも長い。しかし、この熱間工具に更に下記の浸炭処
理、拡散焼鈍処理或いは酸化処理の後処理を施すと、工
具の寿命を一層向上させることができる。
これら後処理の適正な条件は下記の通りである。
〔浸炭処理:800〜1250℃で1〜20時間加熱〕 前記のNi基合金製熱間工具に浸炭処理を施し、表面に
適正な厚みの硬化層を形成させれば、潤滑性および耐摩
耗性が向上する。
しかし、800℃未満の処理温度又は1時間未満の処理
時間では、形成される浸炭層が10μm以下と薄く、且つ
表面硬度もピッカース硬度(Hv)で900以下と低いため
潤滑性および耐摩耗性の向上が小さい。一方、1250℃を
超える処理温度又は20時間を超える処理時間では、表面
硬度はHvで1100以上と十分高いが、硬化層が150μmを
越えて厚すぎるので加工中に割れや剥離が発生する。そ
のため工具寿命は浸炭処理していないものより悪い。即
ち、浸炭処理することにより逆に寿命が損なわれるので
ある。
浸炭処理は、α−Wが生成するWを35%以上含むNi基
合金製熱間工具に施すのが有効である。このものを浸炭
処理すると、浸炭によりα−Wが硬質で高温強度の高い
WCに変化するので、潤滑性、耐熱性および耐摩耗性が著
しく向上する。なかでも潤滑性の向上が大きい。
〔拡散焼鈍処理:800〜1250℃で1〜10時間加熱〕 拡散焼鈍処理は、浸炭処理の後に必要に応じて実施す
る。
硬質で高温強度の高いWCは、浸炭処理のみでも形成さ
せることができるが、さらに浸炭処理後に拡散焼鈍処理
を施せば、WCは増加し基地の炭素量が減少するので、摩
耗によるWCの剥離を防止することができるとともにWCの
増加により、高温強度、潤滑性並びに耐摩耗性が改善さ
れる。
拡散焼鈍処理は、800℃未満の処理温度又は1時間未
満の処理時間では、WCの増加が期待できず、寧ろ浸炭処
理で得られた潤滑性および耐摩耗性を低下させるため、
工具寿命は後処理を行っていないものよりは長いが、浸
炭処理を行ったものより短い。一方、1250℃を超える処
理温度又は20時間より長い処理時間で拡散焼鈍しても、
効果が飽和し、経済的に不利を招くことになる。
〔酸化処理:大気以下の酸素分圧下で800〜1400℃の温
度に0.1〜10時間加熱〕 酸化処理は、これのみを単独で実施してもよく、或い
は、浸炭処理した後、又は浸炭処理して拡散焼鈍処理し
た後に実施してもよい。
浸炭処理した後或いは浸炭処理して拡散焼鈍処理した
後に酸化処理を行えば、潤滑性および断熱性が更に向上
するので、工具寿命は浸炭処理のみのもの、浸炭処理と
拡散焼鈍処理したものよりも長くなる。
無論、酸化処理のみでもNi基合金製熱間工具に潤滑性
と断熱性を有した酸化皮膜を形成することができて、工
具寿命を向上させることができる。
酸化処理は、800℃未満の処理温度又は0.1時間未満の
処理時間では、十分な厚さ(10μm以上)の酸化皮膜が
得られないので、潤滑性および断熱性の向上が小さい。
一方、1400℃を超える処理温度又は10時間を超える処
理時間では、生成する酸化層が厚くなり過ぎ、例えば15
0μmを超える厚さとなるため、逆に加工中に割れや剥
離が発生し、工具寿命の向上が望めず、場合によっては
無処理のものより悪くなる場合がある。
また、この酸化処理のみを本発明で規定する条件範囲
内で施したものの、浸炭処理或いは浸炭処理と拡散焼鈍
処理を本発明で限定する条件範囲内で施したものに比べ
ると、断熱性と潤滑性に優れるが高温強度と耐摩耗性に
劣るため、工具寿命は長くならない。しかし、当然のこ
とながら無処理のものよりは長い。
この酸化処理は大気以下の酸素分圧下で行うのがよ
い。即ち、Fe、Co、Ti、Al、V、Cr等の酸化皮膜のう
ち、前述したようにどちらかといえば、高融点で断熱性
に優れるTi、Alの酸化皮膜は、低融点で潤滑性に優れる
Fe、Co、VさらにはSiの酸化皮膜の下方(地金側)に形
成される。しかし、大気の酸素分圧を越える酸素分圧下
ではFe、Co、V、Siの酸化皮膜が優先的に形成されて、
その下方のTi、Alの酸化皮膜が充分な厚さにまで成長せ
ず、潤滑性と断熱性をともに備える酸化皮膜を形成させ
ることができない。ところが、酸素分圧が大気の酸素分
圧以下であると、Fe、Co、Si等の酸化が抑制される結
果、Ti、Alの酸化皮膜が充分な暑さにまで成長し、潤滑
性と断熱性をともに備える酸化皮膜を形成させることが
できるのである。
なお、この酸化処理を施して顕著な寿命延長を図れる
工具は、その鋼組成が前記A〜C群の内、酸化皮膜形成
を目的に添加されるB群から選ばれる元素を含有する鋼
であり、その他の群から選ばれる元素を含有する鋼の場
合、その結果は少ない。
以下、実施例により本発明の効果を示す。
(実施例1) 第1表に示す化学組成の合金からなるインゴットを溶
製し、これらから二つのサイズのプラグを次のようにし
て作製した。
10トンの電気炉で合金1および2のインゴット(160m
m径×2000mm長さ)を溶製し、これを150mm径×400mm長
さのプラグに切削加工。17kgの真空誘導溶解炉で合金3
〜27のインゴット(90mm径×300mm長さ)を溶製し、こ
れを1200℃で熱間鍛造して55mm径の丸棒とした後、50mm
径×70mm長さのプラグに切削加工。
このようにして作製したプラグを用いて、1180〜1230
℃に加熱されたSUS304(変形抵抗:1200℃で8kg/mm2)の
中実丸鋼片を継目無鋼管に穿孔加工した。穿孔はプラグ
の使用が不能となるまで行った。
なお、150mm径のプラグでは、187mm径×2mのSUS304丸
鋼片を、50mm径のプラグでは、70mm径×2mのSUS304丸鋼
片をいずれも穿孔比3(穿孔比とは「穿孔後の長さ」/
「穿孔前の長さ」である)にとって穿孔加工した。
第2表にプラグの使用が不能となるまでの穿孔回数
(製管可能本数)とプラグ材料の特性を調べた結果を示
す。
第2表より明らかなように、合金15〜24からなるプラ
グ(比較例)および合金25〜27からなるプラグ(従来
例)は、融点、高温強度、室温延性のいずれかが劣り、
その結果穿孔寿命が短いか穿孔が不可能である。
これに対して、合金1〜14からなるプラグ(本発明
例)は、いずれのものも融点、高温強度および室温延性
が高く、比較例および従来例に比べて穿孔回数が多く、
工具寿命が向上している。
(実施例2) 実施例1で使用したのと同じ合金1〜3および合金6
〜14からなるプラグに、第3表に示す条件で浸炭処理、
拡散焼鈍処理、酸化処理の何れかの後処理を単独或いは
複合して施した後、SUS304丸鋼片を継目無鋼管に穿孔す
るのに供した。穿孔はプラグが使用不能となるまで行っ
た。
なお、穿孔条件、プラグサイズ、丸鋼片サイズは実施
例1と同じである。
第3表に、その結果と各処理の条件を示す。なお、第
3表中の「酸素分圧(大気中比)」とは、大気の酸素分
圧(約0.21気圧)を1とした相対比である。
穿孔回数は、後処理を施していない実施例1で使用し
た同じ合金からなるプラグの穿孔回数からの増減で示し
た。
即ち、表中において例えば「−5」は後処理を施して
いない同じ合金製プラグの穿孔回数より5回少ないこと
意味し、「5」は5回多いことを意味する。
第3表から明らかなように、適正な条件で浸炭処理、
酸化処理をそれぞれ単独、或いは浸炭処理、拡散焼鈍処
理、酸化処理を複合して行ったものは、穿孔回数が向上
している(本発明例)。これに対して、適正でない条件
で拡散処理のみを行ったもの(比較例No.3、4)および
適正でない条件で酸化処理のみを行ったもの(比較例の
No.11、12、42、43)は、これらの処理を行っていない
ものより穿孔回数が大幅に減るか、全く増えていない。
また、比較例のNo.7〜No.9のように、適正な条件で浸
炭処理しても、拡散焼鈍が不適当であると同じ条件で拡
散処理のみを行ったものより穿孔回数が少ないか、拡散
焼鈍の効果が飽和している。
即ち、拡散処理温度の低いNo.7および処理時間の短い
No.9は、同じ条件で拡散処理したNo.5より穿孔回数が少
なく、処理時間の長いNo.8とNo.6と比べて向上していな
い。また、適正でない条件で浸炭処理を行った後、適正
でない条件で酸化処理を行ったもの(比較例No.15)の
穿孔回数は無処理のものに比べて大幅に少ない。しか
し、その後の酸化処理を適正な条件で行ったもの(比較
例No.14)の穿孔回数の低下は酸化処理の効果によって
抑制されるが無処理のものより少ない。
また、比較例のNo.17およびNo.18は、適正な条件で浸
炭処理を行った後、適正でない条件で拡散焼鈍処理を行
い、次いで、No.17については適正な条件の酸化処理
を、No.18については不適性な条件の酸化処理を行った
ものであり、両者共に穿孔回数は無処理のものより増え
ている。しかし、浸炭処理、拡散焼鈍処理および酸化処
理の全てを適正な条件で行った本発明例のNo.16に比べ
ると穿孔回数の増加は少ない。
(発明の効果) 実施例で示したように、本発明のNi基合金製熱間工具
は、融点が高く、高温靭性、高温延性および室温靭性に
優れているで、変形抵抗の高いステンレス鋼ような合金
鋼やNi基合金、Tiおよびその合金、Zrおよびその合金等
の高合金を加工しても、変形、焼き付き、溶損等が少な
く、工具寿命が長い。
なお、本発明のNi基合金製熱間工具は普通鋼、低合金
鋼の加工にも勿論使用可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/10 C22F 1/10 A

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C+N:0.1%以下、Si:3%以
    下、Mn:0.01〜2.0%、P:0.02%以下、S:0.01%以下、W:
    20〜60%を含み、残部が実質的にNiからなるNi基合金製
    熱間工具。
  2. 【請求項2】重量%で、C+N:0.1%以下、Si:3%以
    下、Mn:0.01〜2.0%、P:0.02%以下、S:0.01%以下、W:
    20〜60%およびMo:1〜10%を含み、残部が実質的にNiか
    らなるNi基合金製熱間工具。
  3. 【請求項3】合金成分として更に重量%で10%以下のF
    e、20%以下のCo、3%以下のTi、3%以下のAl、3%
    以下のVおよび10%以下のCrの中から選んだ1種以上の
    元素を含有する請求項(1)または(2)のNi基合金製
    熱間工具。
  4. 【請求項4】合金成分として更に重量%で0.05%以下の
    希土類元素、0.05%以下のMg、0.05%以下のZrおよび0.
    05%以下のCaの中から選んだ1種以上の元素を含有する
    請求項(1)または(2)のNi基合金製熱間工具。
  5. 【請求項5】合金成分として更に重量%で10%以下のF
    e、20%以下のCo、3%以下のTi、3%以下のAl、3%
    以下のVおよび10%以下のCrの中から選んだ1種以上の
    元素、ならびに0.05%以下の希土類元素、0.05%以下の
    Mg、0.05%以下のZrおよび0.05%以下のCaの中から選ん
    だ1種以上の元素を含有する請求項(1)または(2)
    のNi基合金製熱間工具。
  6. 【請求項6】請求項(1)から(5)までのいずれかに
    記載のNi基合金製熱間工具を、800〜1250℃の温度に1
    〜20時間加熱して浸炭処理することを特徴とするNi基合
    金製熱間工具の後処理方法。
  7. 【請求項7】請求項(1)から(5)までのいずれかに
    記載のNi基合金製熱間工具を、800〜1250℃の温度に1
    〜20時間加熱して浸炭処理した後、800〜1250℃の温度
    に1〜10時間加熱して拡散焼鈍処理することを特徴とす
    るNi基合金製熱間工具の後処理方法。
  8. 【請求項8】請求項(1)から(5)までのいずれかに
    記載のNi基合金製熱間工具を、大気以下の酸素分圧下で
    800〜1400℃の温度に0.1〜10時間加熱して酸化処理する
    ことを特徴とするNi基合金製熱間工具の後処理方法。
  9. 【請求項9】請求項(1)から(5)までのいずれかに
    記載のNi基合金製熱間工具を、800〜1250℃の温度に1
    〜20時間加熱する浸炭処理の後、大気以下の酸素分圧下
    で800〜1400℃の温度に0.1〜10時間加熱する酸化処理を
    行うことを特徴とするNi基合金製熱間工具の後処理方
    法。
  10. 【請求項10】請求項(1)から(5)までのいずれか
    に記載のNi基合金製熱間工具を、800〜1250℃の温度に
    1〜20時間加熱して浸炭処理した後、800〜1250℃の温
    度に1〜10時間加熱して拡散焼鈍処理し、その後更に大
    気圧以下の酸素分圧下で800〜1400℃の温度に0.1〜10時
    間加熱する酸化処理を行うことを特徴とするNi基合金製
    熱間工具の後処理方法。
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