JP2003171733A - 継目無鋼管製造用プラグ - Google Patents

継目無鋼管製造用プラグ

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JP2003171733A
JP2003171733A JP2001369153A JP2001369153A JP2003171733A JP 2003171733 A JP2003171733 A JP 2003171733A JP 2001369153 A JP2001369153 A JP 2001369153A JP 2001369153 A JP2001369153 A JP 2001369153A JP 2003171733 A JP2003171733 A JP 2003171733A
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一宗 下田
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Masaaki Igarashi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】Cr含有量13%以上のステンレス鋼やNi基
合金の穿孔圧延に用いて長寿命な継目無鋼管製造用プラ
グの提供。 【解決手段】本発明のプラグは、C:0.05〜0.5
%、Si:0.1〜1.0%、Mn:3.0%を超え
7.5%以下、Ni:0.5〜5.0%、Mo:5.0
%以下、W:1.5〜5.0%、残部Feおよび不純物
の合金鋼表面に厚さ50〜500μmの酸化スケール層
を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、継目無鋼管製造用
プラグに関し、より詳しくは13%以上のCrを含有す
る高Cr含有鋼を穿孔圧延するのに用いて好適な継目無
鋼管製造用プラグに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の穿孔圧延用工具であるピアサープ
ラグ(以下、単にプラグと称する場合もある)として
は、3%Cr−1%Ni−残Feベース鋼の表面に酸化
スケール付け熱処理を施した普通鋼用のものが広く使用
されている。
【0003】しかし、13%以上のCrを含有する高C
r含有鋼やNi基合金からなる継目無鋼管を製管(穿孔
圧延)する場合には、プラグ表面の温度上昇や面圧上昇
が起こるため、プラグの寿命が著しく短くなる。たとえ
ば、SUS304材の製管では1パスでプラグの変形が
生じる。
【0004】そこで、ステンレス鋼の製管時におけるプ
ラグ寿命を向上させるために、プラグの形状を変更した
り、Cr、Mo、W等を添加してプラグ素材の高温強度
を高めるとともに、プラグ表面に密着性に優れた酸化ス
ケールを生成付着させる方法が提案されている(特公平
4−8498号公報)。また、製管時の高温変形抵抗と
焼割れ性を向上させた成分系素材のプラグも提案されて
いる(特開平4−74848号公報、同4−27000
3号公報)。
【0005】しかし、上記の各公報に示される手段によ
って得られるプラグは、最も面圧が高く、温度が上昇す
るプラグ先端部の酸化スケールが製管中に溶融して断熱
効果および耐摩耗性が消失し、先端溶損や先端変形が発
生しやすいという欠点を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、13
%以上のCrを含有するステンレス鋼やNi基合金のよ
うに変形抵抗が高く、プラグとの焼付きが発生しやすい
材料を製管する場合でも、長寿命でかつ内面性状に優れ
た継目無鋼管が得られるピアサープラグ、すなわち継目
無鋼管製造用プラグを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記の
継目無鋼管製造用プラグにある。
【0008】化学組成が、質量%で、C:0.05〜
0.5%、Si:0.1〜1.0%、Mn:3.0%を
超え7.5%以下、Ni:0.5〜5.0%、Mo:
5.0%以下、W:1.5〜5.0%、残部Feおよび
不純物の合金鋼からなり、表面に厚さ50〜500μm
の酸化スケール層を有する継目無鋼管製造用プラグ。
【0009】上記の本発明になる継目無鋼管製造用プラ
グを構成する合金鋼は、Feの一部に代えて、下記のA)
〜D)群の1群以上の元素を含むものであってもよい。
【0010】A)Cr:0.05〜1.0%、 B)Co:0.05〜5.0%、 C)Ti、Nb、V、ZrおよびBの1種以上:合計で
0.05〜0.5%、 D)La、CeおよびYの1種以上:合計で0.001〜
0.2%。
【0011】本発明者らは、上記の課題を達成するため
に種々検討をおこない、以下の知見を得て上記の本発明
を完成させた。
【0012】(a) Cr含有量が13%以上の高Cr含有
鋼を製管する場合、プラグ表面に形成させた酸化スケー
ルの物性とプラグ素材の強度がプラグ寿命に多大な影響
を与える。
【0013】(b) 現在使用されているステンレス鋼用の
プラグ素材は、高温強度を向上させる目的で添加された
Cr、W、Moを含有している。しかし、Crを含有す
るプラグ素材では、焼付き防止の酸化スケール付け熱処
理をおこなうと、Crは酸素との親和力が高いため、形
成される酸化スケールの地金側にCr酸化物が濃縮した
スピネル型スケール(FeCrO)を質量%で20
〜90%程度と多く含む内層スケール層が形成される。
この内層スケール層中のCrの濃縮割合は、地金のCr
濃度が高いほど高くなる傾向を示すが、たとえば地金に
0.5%のCrが含有されている場合、内層スケール層
中のCr濃度は1〜5%程度となる。
【0014】(c) 一般に焼付きが発生しやすい材料と
は、共金(同種の成分を含んだ材質)と考えられている
が、ステンレス鋼の製管(穿孔圧延)時のプラグの焼付
きやすさは、内層スケール層中のCr濃縮度合が高いほ
ど焼付きやすくなる。したがって、内層スケール層中の
Cr濃度上昇を抑制する必要がある。
【0015】(d) しかし、プラグ素材中のCrは、地金
の組織安定性、高温強度の向上、形成された酸化スケー
ルの密着性向上、耐摩耗性の向上に有用な成分であり、
Crの無添加はきわめて困難であった。
【0016】そこで、本発明者らは、Crをプラグ素材
の強化元素としないステンレス鋼製管用プラグについて
鋭意研究した結果、以下のことが判明した。
【0017】(e) Mnは、従来、組織安定性に用いられ
ていた元素であるが、他の成分元素と組み合わせること
により、ステンレス鋼製管用プラグ素材の構成成分とし
てきわめて有効な働きをする。すなわち、Mnは、Cr
と同様に、オーステナイト安定元素であり、高温の組織
を安定させるとともに、高温の強度を向上させる。
【0018】(f) また、プラグ素材に多量のMnを含有
させると、酸化スケール付け熱処理した際、形成される
酸化スケールの地金側にMn酸化物を含有するスピネル
型スケール(FeMnO)を質量%で20〜90%
程度と多く含む内層スケール層が形成される。このMn
酸化物を含有するスピネル型スケール(FeMn
)を多く含む内層スケール層は、Crを含有してお
らず、またCrを含有した場合でもMnにより希釈され
るため、ステンレス鋼製管時の耐焼付き性が大幅に向上
する。一方、Mnの濃縮とともに、内層スケール層の耐
摩耗性が向上し、製管中の酸化スケール層摩滅が減少
し、プラグ寿命が向上する。
【0019】(g) さらに、Mnは、Crと異なり、酸化
を抑制する元素ではないため、プラグの酸化スケール付
け熱処理時に低温、短時間処理でも十分な厚さの酸化ス
ケール層を形成させることができる。また、製管直後か
ら、冷却時に、Crを含有する従来のプラグ素材に比較
して、酸化しやすいため、プラグ表面に酸化スケールが
形成され、この酸化スケールの存在によりプラグ寿命が
向上する。
【0020】(h) Mn酸化物を含んだ内層スケールの融
点は1200℃以上であり、穿孔中に溶融しないために
潤滑効果が現れず、その結果、穿孔時間が長くなってプ
ラグの表面温度が上昇し、溶損する。したがって、酸化
スケールに潤滑性を付与するためには、酸化スケールの
融点の適正化が必要となる。これには、W酸化物とFe
酸化物とが1100℃付近で共晶反応を起こすこと、さ
らに融点が1170℃付近のFeとSiとの複合酸化物
が利用できる。すなわち、WとSiの含有量を適正に調
整すれば、酸化スケール中のW酸化物およびFeとSi
との複合酸化物の形成を制御することが可能となり、酸
化スケールの融点の適正化が可能である。
【0021】(i) また、Mn酸化物を含有するスピネル
型スケール(FeMnO)を多く含む内層スケール
層は、Cr酸化物が濃縮したスピネル型スケール(Fe
CrO)を多く含む内層スケール層に比較して密着
力が低く、製管中に酸化スケール層が剥離して焼付きや
溶損が発生しやすい。しかし、内層スケールをその層中
に金属粒子が分散する内層スケール層にすると、スケー
ルの変形能が増大して密着力が向上し、製管中にスケー
ル剥離が生じず、しかも加熱冷却の繰り返し環境下での
スケール剥離も大幅に抑制される。
【0022】(k) 前記の金属粒子としては、NiやCo
を挙げることができ、これらの金属粒子はこれを含有す
る素材のプラグに酸化スケール付け熱処理を施す際にも
酸化されないので、金属粒子となって酸化スケール層中
に分散析出する。したがって、プラグ素材としては、少
なくともNi含有合金鋼とする必要があり、より好まし
くはNi、Coの複合含有合金鋼とするのが望ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の継目無鋼管製造用
プラグを上記のように定めた理由について詳細に説明す
る。なお、以下において、「%」は特に断らない限り
「質量%」を意味する。
【0024】《素材の化学組成》 C:0.05〜0.5% Cは、高温強度の向上に有効であるが、その含有量が
0.05%未満では十分な高温強度が得られない。一
方、0.5%を超えて含有させると製管に使用後の表面
に焼きが入る部分の硬度が高くなりすぎ、焼き割れが生
じやすくなる。このため、C含有量は0.05〜0.5
%とした。好ましい範囲は0.05〜0.3%、より好
ましい範囲は0.1〜0.2%である。
【0025】Si:0.1〜1.0% Siは、脱酸剤、AC1変態点の上昇およびプラグ表面
の酸化スケールの緻密化に有効であるとともに、フェア
ライト(FeSiO)を生成して酸化スケールの高
温変形能を増大させ密着性を向上させるのに有効であ
る。しかし、Si含有量が0.1%未満では前記の効果
が得られず、逆に1.0%を超えてSiを含有させると
フェアライトが多量に生成し、酸化スケールの融点を低
下させるだけでなく、高温硬度も低下させる。このた
め、Si含有量は0.1〜1.0%とした。好ましい範
囲は0.1〜0.6%、より好ましい範囲は0.1〜
0.5%である。
【0026】Mn:3.0%を超え7.5%以下 Mnは、酸化スケールの形態制御および高温強度を向上
させる観点から本発明において最も重要な元素であり、
その含有量が3.0%以下では酸化スケールの耐摩耗性
の改善効果が認められないだけでなく、高温強度の向上
効果も小さく、プラグ寿命の向上が認められない。一
方、その含有量が7.5%を超えると、酸化スケールの
潤滑性が大幅に低下する。このため、Mn含有量は3.
0%を超え7.5%以下とした。好ましい範囲は3.0
%を超え7.0%以下、より好ましい範囲は3.0%を
超え5.0%以下である。
【0027】Ni:0.5〜5.0% Niは、酸化スケール層中、なかでも内層スケール層中
に金属粒子として分散析出し、酸化スケールの耐剥離性
を向上させるのに有効であるが、その含有量が0.5%
未満では十分な効果が得られない。一方、5.0%を超
えて含有させると、金属粒子が多くなりすぎて焼付きが
発生しやすくなるとともに、酸化スケールの高温硬度を
低下させるだけでなく、酸化スケール形成を抑制する。
このため、Ni含有量は0.5〜5.0%とした。好ま
しい範囲は0.8〜4.0%、より好ましい範囲は1.
0〜3.5%である。
【0028】Mo:5.0%以下 Moは、高温強度を向上させるのに有効なだけでなく、
Niとの複合添加により酸化スケールの密着性を向上さ
せるのに有効な成分であり、これらの効果は不純物量レ
ベルでも得られるが、その効果は5.0%で飽和する。
このため、Mo含有量は5.0%以下とした。なお、こ
のMoの効果は、前記したように、その含有量が不純物
量レベルでも得られるので、下限は特に規定しないが、
顕著な効果を得るためには0.05%以上含有させるの
がよく、好ましい範囲は0.05〜4.0%、より好ま
しい範囲は0.05〜3.0%である。
【0029】W:1.5〜5.0% Wは、高温強度を上昇させる他、酸化スケールの潤滑性
を制御するのに極めて重要な元素であり、最低でも1.
5%含有させる必要がある。しかし、5%を超えて含有
させると、酸化スケールの融点が低下しすぎて製管使用
中に酸化スケール層が剥離しやすくなって焼付きが発生
するようになる。このため、W含有量は1.5〜5.0
%とした。好ましい範囲は2.0〜4.0%、より好ま
しい範囲は2.5〜3.5%である。
【0030】Cr:0.05〜1.0% Crは、酸化スケールの密着性を向上させるのに有効な
元素であるので、必要に応じて添加含有させる。しか
し、その含有量が0.05%未満では前記の効果は得ら
れない。一方、1.0を超えて含有させると焼付きやす
くなる。このため、添加含有させる場合のCr含有量は
0.05〜1.0%とするのがよい。好ましくは0.0
5〜0.8%、より好ましくは0.05〜0.1%であ
る。
【0031】Co:0.05〜5.0% Coは、靭性を向上させるのに有効な元素であるととも
に、上記のNiと同様に、酸化スケール層中に金属粒子
として分散析出し、酸化スケールの耐剥離性を向上させ
るのに有効な元素であるので、必要に応じて添加含有さ
せる。しかし、その含有量が0.05%未満では前記の
効果は得られない。一方、5.0を超えて含有させる
と、金属粒子が多くなりすぎて焼付きが発生しやすくな
るとともに、かえって疲労特性を低下させるだけでな
く、酸化スケール形成を抑制する。このため、添加含有
させる場合のCo含有量は0.05〜5.0%とするの
がよい。好ましくは0.05〜4.0%、より好ましく
は0.05〜3.0%である。
【0032】Ti、Nb、V、Zr、B:1種以上を合
計で0.05〜0.5% これらの元素は、いずれも細粒化作用を有し、靭性を向
上させるのに有効な元素であるので、必要に応じて1種
または2種以上を添加含有させる。しかし、その合計含
有量が0.05%未満では上記の効果は得られず、0.
5%を超えて含有させると脆化層が現れ、地金の強度が
低下する。このため、添加含有させる場合のこれら元素
の含有量は、合計で0.05〜0.5%とするのがよ
い。好ましくは0.05〜0.3%、より好ましくは
0.05〜0.1%である。
【0033】La、Ce、Y:1種以上を合計で0.0
01〜0.2% これらの元素は、いずれも酸化スケール層の密着性を改
善するのに有効な元素であるので、必要に応じて1種ま
たは2種以上を添加含有させる。しかし、その合計含有
量が0.001%未満では上記の効果は得られず、0.
2%を超えて含有させると脆化層が現れ、強度が低下す
る。このため、添加含有させる場合のこれら元素の含有
量は、合計で0.001〜0.2%とするのがよい。好
ましくは0.001〜0.1%、より好ましくは0.0
01〜0.05%である。
【0034】《プラグの製造方法》プラグの製造方法と
しては、鍛造または鋳造のいずれでもよく、その溶解方
法は大気溶解、AOD、VODのいずれのプロセスでも
よい。その際、特別な制約は一切なく、常法にしたがっ
て製造すればよい。
【0035】《酸化スケール層の厚さ》酸化スケール層
は、素材の温度上昇を抑制し、プラグに潤滑性能を付与
するのに有効であるが、その厚さが50μm未満では断
熱効果が不十分であり、一方、500μmを超えると、
酸化スケール層内に空隙が多数発生し、密着力が低下す
る。このため、酸化スケール層の厚さは50〜500μ
mとした。好ましい厚さは70〜500μm、より好ま
しい厚さは100〜500μmである。なお、本発明に
いう酸化スケール層の厚さとは、内層スケール層とその
上に形成された外層スケール層(Fe、Fe
が主体で最外層はFeである)の両方を合わせ
た厚さのことである。
【0036】
【実施例】表1に示す化学組成を有する25種類の合金
鋼を、大気溶解により溶製し、鍛造後、外削して所定形
状のピアサープラグに仕上げた。
【0037】その後、所定の形状に仕上げたプラグは、
LNG燃焼雰囲気(体積%で、10%CO 、2%O
、20%HO 、1%CO、残N )中で所定
の温度、時間で加熱し、種々異なる厚さの酸化スケール
層を形成させた。
【0038】そして、このようにして得られた各プラグ
を、外径70mm、長さ1000mmのSUS304製
の丸ビレットを、外径73.3mm、肉厚8.6mm、
長さ2200mmのホローシェルに成形する穿孔圧延に
連続して供し、酸化スケール層が摩滅して使用できなく
なるか、もしくは割れや焼付きが発生したりプラグ先端
が溶損または変形するまでのプラグ寿命、すなわち穿孔
圧延に供し得た使用回数(穿孔圧延本数)と、使用後の
プラグ損傷状況を調べた。
【0039】調べた結果は、酸化スケール付け熱処理条
件のうちの加熱温度、加熱時間、酸化スケール層の厚
さ、および酸化スケール付け熱処理後に調べた素材の1
000℃における引張強さ(TS:N/mm )と併
せて、表2に示した。
【0040】表2に示す結果からわかるように、本発明
になるプラグ(試番1、3および5〜26)は、8回以
上の使用(穿孔圧延)が可能であり、優れた性能を示し
た。
【0041】これに対し、試番2のプラグは、地金鋼A
の化学組成は本発明で規定する範囲内であるが、酸化ス
ケール層の厚さが45μmと薄すぎるために断熱効果が
ほとんどなく、1回の使用で先端が変形した。
【0042】試番4のプラグは、地金鋼Bの化学組成は
本発明で規定する範囲内であるが、酸化スケール層の厚
さが800μmと厚すぎてポーラスなために密着力が低
く、先端部の酸化スケール層が早期に剥離脱落した結
果、5回の使用で先端が溶損した。
【0043】試番27のプラグは、酸化スケール層の厚
さは本発明の範囲内であるが、地金鋼YのC含有量が
0.04%と低すぎるとともに、Ti含有量が0.6%
と高すぎるために高温強度が不十分で、3回の使用で先
端が変形した。これとは逆に、地金鋼ZのC含有量が
0.61%と高い試番28のプラグは、使用後の冷却過
程で焼きが入り、2回の使用で割れが生じた。
【0044】試番29のプラグは、酸化スケール層の厚
さは本発明の範囲内であるが、地金鋼AAのSi含有量が
0.07%と低すぎるために酸化スケールの潤滑性が不
十分で、穿孔効率が低下した結果、5回の使用で先端が
溶損した。これとは逆に、地金鋼ABのSi含有量が1.
25%と高い試番30のプラグは、Si含有量が高すぎ
るために酸化スケールの融点が低く、製管中に酸化スケ
ールが多量に溶融した他、密着性が不十分で先端部の酸
化スケール層が早期に剥離脱落した結果、3回の使用で
先端が溶損した。
【0045】試番31のプラグは、酸化スケール層の厚
さは本発明の範囲内であるが、地金鋼ACのMn含有量が
2.82%と低すぎるために酸化スケールの耐摩耗性が
不十分で、先端部の酸化スケール層が早期に摩滅した結
果、2回の使用で先端が変形した。これとは逆に、地金
鋼ADのMn含有量が8.03%と高い試番32のプラグ
は、Mn含有量が高すぎるために酸化スケールの潤滑性
が不十分で、穿孔効率が低下した結果、4回の使用で先
端が溶損した。
【0046】試番33のプラグは、酸化スケール層の厚
さは本発明の範囲内であるが、地金鋼AEのNi含有量が
0.41%と低く、酸化スケール層の密着性が悪いため
に先端部の酸化スケール層が早期に隔離脱落した結果、
3回の使用で先端が溶損した。これとは逆に、地金鋼AF
のNi含有量が5.50%と高い試番34のプラグは、
酸化スケールの高温硬度が低く、耐摩耗性が不十分なた
めに先端部の酸化スケール層が早期に磨滅し、2回の使
用で先端が変形した。また、試番33のプラグは地金鋼
AEのCo含有量、試番34のプラグは地金鋼AFのNi含
有量が高すぎるために酸化スケール層中の金属粒子が多
すぎ、焼付きが発生した結果、得られたホローシェルの
内面性状が不芳であった。
【0047】試番35のプラグは、酸化スケール層の厚
さは本発明の範囲内であるが、地金鋼AGのW含有量が
1.48%と低すぎるとともに、Y含有量が0.22%
と高すぎるために高温強度が不十分であり、かつ酸化ス
ケールの潤滑性も十分でないために4回の使用で、先端
が変形および溶損した。これとは逆に、地金鋼AHのW含
有量が5.53%と高い試番36のプラグは、W含有量
が高すぎるため酸化スケールの融点が低く、製管中に酸
化スケールが多量に溶融した結果、4回の使用で先端が
変形した。
【0048】試番37のプラグは、酸化スケール層の厚
さは本発明の範囲内であるが、地金鋼AIのMo含有量が
5.31%、Cr含有量が1.50%と高すぎるために
酸化スケール層の内層スケールがCr酸化物の濃縮した
スピネル型スケール(FeCrO)を多く含むスケ
ール層となり、3回の使用で焼付きが発生した。
【0049】以上の結果からも明らかなように、本発明
のプラグは優れた機械的特性と高温での酸化スケールの
安定性を有しており、比較材のプラグに比べて著しい寿
命の向上が認められる。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】本発明のプラグは、高温強度、耐摩耗性
および酸化スケール層の密着性ともに優れるので、ステ
ンレス鋼やNi基合金からなる中実ビレットをホローシ
ェルに成形する穿孔圧延に供して長寿命であり、焼付き
も発生しにくいので、内面性状の良好な継目無鋼管を低
い工具原単位で製造することが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山川 富夫 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 五十嵐 正晃 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】化学組成が、質量%で、C:0.05〜
    0.5%、Si:0.1〜1.0%、Mn:3.0%を
    超え7.5%以下、Ni:0.5〜5.0%、Mo:
    5.0%以下、W:1.5〜5.0%、残部Feおよび
    不純物の合金鋼からなり、表面に厚さ50〜500μm
    の酸化スケール層を有する継目無鋼管製造用プラグ。
  2. 【請求項2】合金鋼が、Feの一部に代えて、質量%
    で、Cr:0.05〜1.0%を含有する請求項1に記
    載の継目無鋼管製造用プラグ。
  3. 【請求項3】合金鋼が、Feの一部に代えて、質量%
    で、Co:0.05〜5.0%を含有する請求項1また
    は2に記載の継目無鋼管製造用プラグ。
  4. 【請求項4】合金鋼が、Feの一部に代えて、質量%
    で、Ti、Nb、V、ZrおよびBの1種以上を合計で
    0.05〜0.5%含有する請求項1〜3のいずれかに
    記載の継目無鋼管製造用プラグ。
  5. 【請求項5】合金鋼が、Feの一部に代えて、質量%
    で、La、CeおよびYの1種以上を合計で0.001
    〜0.2%含有する請求項1〜4のいずれかに記載の継
    目無鋼管製造用プラグ。
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