JP2776288B2 - 装置内情報伝送システム - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、装置内に分散して配置
された各種の処理を行う複数の処理部に、各種制御情報
を伝送する装置内情報伝送システムに係わり、特に非同
期転送モードの通信においてその伝送単位となるセルを
装置内の各処理部で取り扱う装置内情報伝送システムに
関する。

【０００２】

【従来の技術】複雑な機能を実現するための装置は、単
純な機能を果たす回路部分を組み合わせて構成れること
が多い。装置を単純な機能ごとの回路部分に分割するこ
とにより、設計や保守が容易になるとともに装置の機能
変更や機能の追加なども行い易くなる。このように１つ
の装置を構成する各回路部分をパッケージと呼ぶことに
する。

【０００３】複数のパッケージで構成される装置の中に
は、１つの信号がこれら複数のパッケージを順次経由す
るように構成されたものがある。たとえば、ネットワー
クの分岐点としての各ノードに配置される交換器などの
通信装置では、通信の対象として入力された信号が装置
内の各種パッケージを経由して出力されるように構成さ
れることが多い。

【０００４】ところでＬＡＮ（ローカル・エリア・ネッ
トワーク）などのネットワークにおいて、データを高速
に伝送するための通信方式の１つとして、非同期転送モ
ード（Asynchronous Transfer Mode) がある。非同期転
送モードは、固定長のパケットであるセルを単位として
データの伝送を行うようになっている。そして、音声や
画像データなどあらゆる種類のデータを高速に伝送する
ために、セルの長さが短く設定されている。セルを単位
として通信を行う非同期転送モードの通信装置では、入
力されたセルを単位として所定の処理を施したり、ある
いは各セルに含まれる情報を基にして各種の処理が行わ
れる。このため、非同期転送通信モードの通信装置で
は、入力されたセルが装置を構成する各パッケージを順
次経由して出力されるように構成される。

【０００５】これらのパッケージを統括して制御するた
めには各パッケージに制御信号を送る必要がある。通常
は、制御信号を生成する制御回路と各パッケージの間に
はそれぞれ制御信号を伝送するための信号線が設けら
れ、これを通じて各パッケージに制御信号が伝送される
ようになっている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】このような従来から使
用されている装置では、各パッケージと制御回路との間
にそれぞれ信号線が配置されているので、パッケージの
数が多くなると信号線の数も多くなり、配線の複雑化を
招くという問題がある。

【０００７】そこで本発明の目的は、装置を構成する複
数のパッケージに各種情報を伝送するための信号線を減
らし配線の簡略化された装置内情報伝送システムを提供
することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の発明で
は、（イ）同一装置内に配置されて予め定められた処理
を行う複数の処理手段と、（ロ）装置外から入力された
非同期転送モードの通信でその伝送単位となる一定デー
タ量のセルであって有効な情報を有する有効セルと有効
な情報を有しない空きセルの含まれる信号を伝送する伝
送路と、（ハ）複数の処理手段に送るべき所定の制御情
報を生成する装置内伝送情報生成手段と、（ニ）入力さ
れた信号の中から有効な情報を含まない空きセルを検出
する非有効部分検出手段と、（ホ）この非有効部分検出
手段により検出された空きセルに装置内伝送情報生成手
段の生成する所定の制御情報を付加する情報付加手段
と、（ヘ）処理手段ごとに設けられて伝送路を通じて伝
送されてくる信号の中から所定の制御情報の付加された
空きセルを検出しこれに含まれる所定の制御情報を抽出
するとともにこの制御情報に対応した制御信号を処理手
段に入力させる装置内情報抽出手段とを装置内情報伝送
システムに具備させている。

【０００９】すなわち請求項１記載の発明では、装置外
部から入力された非同期転送モードの通信で有効な情報
を有するセルと有効な情報を有しないセルを含む所定の
信号を同一装置内に配置された複数の処理手段に伝送す
るための伝送路を備えている。この伝送路によって伝送
される信号のうち有効な情報を有しない空きセルを検出
し、ここに装置内の各処理手段に伝送すべき所定の制御
情報を付加するようにした。処理手段ごとに設けられた
装置内情報抽出手段では、伝送路を通じて伝送されてく
る信号の中から付加された所定の制御情報を抽出し、処
理手段に対して抽出した制御情報に対応した制御信号を
入力するようにして、伝送路を通じて所定の制御信号を
複数の処理手段に送ることができるようにしている。

【００１０】請求項２記載の発明では、請求項１記載の
装置内情報伝送システムで、複数の処理手段に所定の制
御情報を伝送した後の信号の中から所定の制御情報の付
加されたセルを検出しこれを有効な情報を有しない空き
セルに戻して伝送路を通じて装置外に出力する非有効情
報部分復元手段を具備させている。

【００１１】すなわち請求項２記載の発明では、非同期
転送モードの通信で伝送されるセルのうち、有効な情報
の含まれていない空きセルに装置内の各処理手段に伝送
すべき所定の制御情報を付加するようにしている。そし
て、装置内の各処理手段に対して所定の制御情報を伝送
した後の信号の中からこの所定の制御信号を付加した空
きセルを検出し、元の有効な情報を有しない空きセルに
戻して装置外に出力するようにしている。

【００１２】

【００１３】

【００１４】

【００１５】

【００１６】

【００１７】

【００１８】

【実施例】以下実施例につき本発明を詳細に説明する。

【００１９】図１は、本発明の一実施例における装置内
情報伝送システムの構成を表わしたものである。ここで
は、非同期転送モードの通信で用いられる通信装置を例
に取って説明する。通信装置１１は、第１〜第４のパッ
ケージ１２〜１５と、セルを伝送するための伝送路１６
と、パッケージに送出すべき制御情報を生成する制御情
報生成回路１７とから構成されている。伝送路１６を通
じて入力される信号は、有効なデータを含む有効セル
と、有効セルと有効セルの間に生じる空き時間を埋める
ためのセルであって何ら有効なデータを含まない空きセ
ルとから構成される。さらに、伝送路１６を通じて入力
される信号には、通信装置間においてネットワークを管
理するための所定の情報を伝送する監視制御（Operatio
n and Maintenance)セルが含まれている。

【００２０】第１のパッケージ１２は、伝送路１６から
入力されるセルの中から空きセルを検出する空きセル検
出回路２１と、検出された空きセルに所定の制御情報を
書き込む多重回路２２と、制御情報の書き込まれたセル
を検出する検出回路２３とから構成されている。空きセ
ル検出回路２１は入力された信号の中から空きセルを検
出したとき所定の空きセル検出信号２４を出力するよう
になっている。多重回路２２は、空きセル検出信号２４
を基にセル流の中から空きセルを認識し、制御情報生成
回路１７から入力される制御情報をこれに書き込むこと
を行う回路である。検出回路２３は、セル流の中から制
御情報の書き込まれた空きセルを検出し、この中から自
己宛の制御情報を抽出してこれに対応する制御信号２５
を出力するようになっている。検出回路２３によって抽
出された自己宛の制御信号２５は、第１のパッケージ１
２の中の所定の回路に入力される。

【００２１】第１のパッケージ１２から出力されるセル
は、伝送路１６を通じて第２のパッケージ１３に入力さ
れている。第２のパッケージ１３には、検出回路２６が
設けられている。検出回路２６は、伝送路１６を通じて
入力された信号の中から制御情報の書き込まれたセルを
検出する回路である。そして、検出したセルに含まれて
る自己宛の制御情報を抽出しこれに対応する制御信号２
７を出力するようになっている。第２のパッケージ１３
から出力されるセルは第３のパッケージ１４に入力され
る。第３のパッケージ１４は検出回路２８を備えてい
る。検出回路２８は制御情報の書き込まれたセルの中か
ら自己宛の制御情報を抽出し制御信号２９を出力する回
路である。

【００２２】第３のパッケージを経由したセルは、伝送
路１６を通じて第４のパッケージ１５に入力される。第
４のパッケージ１５は、制御情報の書き込まれたセルを
検出し自己宛の制御情報に対応する制御信号３１を抽出
する検出回路３２を備えている。検出回路３２を経由し
たセルは、制御情報の書き込まれたセルを検出しこれに
書き込まれている制御情報を消去して空きセルの状態に
戻す書換回路３２に入力されている。書換回路３２を経
由したセルは伝送路１６を通じて通信装置１１の外部に
出力されている。

【００２３】図２は、伝送路を通じて空きセル検出回路
に入力される信号および空きセル検出回路の出力する空
きセル検出信号の一例を表わしたものである。空きセル
検出回路に入力される信号（同図ａ）には有効セル４１
と空きセル４２と制御セル４３の３種類のセルが含まれ
ている。空きセル検出回路２１の出力する空きセル検出
信号（同図ｂ）は、空きセルを検出したときだけローレ
ベルになり、空きセル以外のセルが入力されている間は
ハイレベルになるようになっている。多重回路は、この
空きセル検出信号がローレベルになっている期間中に入
力されたセルに制御情報を書き込むようになっている。

【００２４】図３は、セルのデータ構成を表わしたもの
である。１つのセルは５３バイトの固定長になってい
る。セルの先頭から５バイトはヘッダ部５１に、残りの
４８バイトはペイロード部５２になっている。ヘッダ部
５１は、たとえばセルの転送先を表わした仮想パス識別
子や、仮想チャネル識別子などが含まれている。またヘ
ッダ部５１にはそのセルの種別を示す情報が含まれてい
る。ペイロード部分５２は任意の情報を伝送するための
領域である。空きセル検出回路２１および検出回路２
３、２６、２８、３２、さらに書換回路３３はそれぞ
れ、ヘッダ部分の情報を基に空きセルを識別するように
なっている。多重回路２２は、セルのペイロード部５２
に、制御情報を書き込む。この領域は４８バイトあるの
で、装置内の各パッケージ１２〜１５に送るべき制御情
報を十分に書き込むことができる。また、１つのセルに
書き込めない場合には、２以上のセルに分散して書き込
んでいる。ペイロード部５２には、それぞれのパッケー
ジに予め割り当てられている識別番号とそのパッケージ
に送るべき制御情報が組になって書き込まれている。

【００２５】伝送されてくるセルのヘッダ部の情報を基
に、空きセル検出回路２１が空きセルを検出し、空きセ
ル検出信号２４を出力する。多重回路２２は空きセル検
出信号２４が入力されたとき、制御情報生成回路１７か
ら入力されている制御情報を検出された空きセルのペイ
ロード部に書き込む。検出回路２３には、多重回路２２
から有効セル、制御セルおよび制御情報の書き込まれた
空きセルが入力される。第１のパッケージの検出回路２
５は、これらのセルの中からそのヘッダ情報を基にして
空きセルを検出する。そしてそのペイロード部に書き込
まれている制御情報を読み出す。この中で自己に割り当
てられている識別番号の付された制御情報を抽出し、こ
れに対応した制御信号２５を第１のパッケージの所定の
回路に入力する。

【００２６】第１のパッケージから出力されるセルは伝
送路１６を通じて第２のパッケージ１３に入力される。
第２のパッケージ１３の検出回路２６は、空きセルを検
出し、そのペイロード部の情報を読み出す。その中から
自己宛の識別番号の付された制御情報を抽出する。第２
のパッケージ１３の出力するセルは続いて第３のパッケ
ージ１４に入力されて、その検出回路２８により第３の
パッケージ宛の制御信号が抽出される。その後各セルは
第３のパッケージを経由して第４のパッケージ１５に入
力される。第４のパッケージ１５でも同様にその検出回
路３２によって自己宛の制御情報が空きセルのペイロー
ド部から抽出される。検出回路３２を経たセルは書換回
路３３に入力される。書換回路３３は各セルのヘッダ部
の情報を基に空きセルを検出し、そのペイロード部分に
書き込まれている制御情報を消去する。

【００２７】このように、制御情報生成回路１７によっ
て生成された制御情報は、空きセルのペイロード部に書
き込まれ、このセルにより装置内の各パッケージに伝送
される。空きセルを利用して制御情報を伝送することに
より、セルを伝送する伝送路以外に制御情報専用の伝送
路を設ける必要がなくなる。このため、装置内の配線を
簡略化することができる。また、ペイロード部に書き込
まれた制御情報を書換回路３３により消去し、何ら有効
な情報の含まれない状態に戻してから空きセルを装置の
外部に出力している。これにより、他の装置が本来空き
セルであったセルを有効な情報の含まれた有効セルと誤
認することがない。

【００２８】以上説明した実施例では、書換回路３３に
よって制御情報を消去して空きセルの状態に戻している
が、ヘッダ部の情報により空きセルであることは判別で
きるので必ずしもこれを消去しなくても良い。ただし、
複数の装置で空きセルに制御情報を書き込む場合には、
他の装置で書き込まれた制御情報がペイロード部に残っ
ていると、これを自装置の制御情報として誤認すること
も考えられる。書換回路によってペイロード部の制御情
報を消去することでこのような事態を回避することがで
きる。

【００２９】

【発明の効果】このように請求項１記載の発明によれ
ば、非同期転送モードの通信で伝送されてくるセルのう
ち、有効な情報の含まれていない空きセルに装置内の各
処理手段に伝送すべき所定の制御情報を付加するように
した。また、セルを単位に判別を行えば良いので、所定
の制御情報を付加あるいは抽出すべき箇所を容易に検出
することができる。各処理手段を非同期転送モードの通
信でこのような空きセルを用いれば、装置内の各処理手
段の所定の制御情報を容易に伝送することができるよう
になり、制御情報伝送用の信号線を設ける必要がなく、
装置内の配線を劇的に簡略化することができるようにな
る。

【００３０】また請求項２の発明によれば、非同期転送
モードの通信で伝送されるセルのうち、有効な情報の含
まれていない空きセルに、装置内の各処理手段に伝送す
べき所定の制御情報を付加している。そして、装置内の
各処理手段に所定の制御情報を伝送した後の空きセルか
ら所定の制御情報を消去して元の状態に戻すようにし
た。これにより、所定の制御情報が付加されたままの状
態で空きセルが装置の外部に流出することがなくなるの
で、従来の非同期転送モードの通信装置との接続できる
互換性を維持することができる。

【００３１】

【００３２】

【００３３】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における装置内情報伝送シス
テムの構成を表わしたブロック図である。

【図２】伝送路を通じて空きセル検出回路に入力される
信号および空きセル検出回路の出力する空きセル検出信
号の一例を表わした説明図である。

【図３】セルのデータ構成を表わした説明図である。

【符号の説明】

１１ 通信装置 １２〜１５ パッケージ １６ 伝送路 １７ 制御情報生成回路 ２１ 空きセル検出回路 ２２ 多重回路 ２３、２６、２８、３２ 検出回路 ３３ 書換回路

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 同一装置内に配置されて予め定められた
   処理を行う複数の処理手段と、 前記装置外から入力された非同期転送モードの通信でそ
   の伝送単位となる一定データ量のセルであって 有効な情
   報を有する有効セルと有効な情報を有しない空きセルの
   含まれる信号を伝送する伝送路と、前記 複数の処理手段に送るべき所定の制御情報を生成す
   る装置内伝送情報生成手段と、 前記入力された信号の中から有効な情報を含まない空き
   セルを検出する非有効部分検出手段と、 この非有効部分検出手段により検出された空きセルに前
   記装置内伝送情報生成手段の生成する所定の制御情報を
   付加する情報付加手段と、前記処理手段ごとに設けられて 前記伝送路を通じて伝送
   されてくる信号の中から前記所定の制御情報の付加され
   た空きセルを検出しこれに含まれる前記所定の制御情報
   を抽出するとともにこの制御情報に対応した制御信号を
   前記処理手段に入力させる装置内情報抽出手段とを具備
   することを特徴とする装置内情報伝送システム。
2. 【請求項２】 前記複数の処理手段に前記所定の制御情
   報を伝送した後の信号の中から前記所定の制御情報の付
   加されたセルを検出しこれを有効な情報を有しない空き
   セルに戻して前記伝送路を通じて装置外に出力する非有
   効情報部分復元手段を具備することを特徴とする請求項
   １記載の装置内情報伝送システム。