JP2775234B2 - ドアのフランス落し装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば両開きの玄関ド
アの子扉に装着するドアのフランス落し装置に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種のフランス落し装置とし
て、実開昭６２−１１０４６３号公報に記載の両開きド
アに適用したものが知られている。このドアでは、フラ
ンス落しの落し棒が、子扉の召合せ框に収容され、この
落し棒に対応して、フランス落しの落し壺が、扉枠の水
切り勾配部に設けられている。落し棒の上端部はレバー
にねじ止めされており、レバーの回動操作により、落し
棒の先端部が落し棒ガイドに案内されて落し壺に挿入さ
れ、子扉が扉枠にロックされるようになっている。ま
た、落し壺の内部には、挿入された落し棒の先端部がが
たつかないように、ブッシュが設けられている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このような従来のフラ
ンス落し装置では、落し壺にブッシュが設けられている
ため、落し棒の先端部と落し壺との間では、がたつきが
生じないが、落し棒ガイドのガイド孔とこれに遊挿され
る落し棒との間には、一定のクリアランスがあるため、
この部分ががたつき、扉枠に対する子扉のロックが甘く
なると共に、がたつき音が発生する問題があった。ま
た、落し棒をレバーから吊下した構造になっているた
め、落し棒の自重がそのねじの部分に加わり、子扉を頻
繁に開閉しなくても親扉の開閉に伴う振動により、落し
棒のねじが緩み、やがて落し棒が脱落して子扉が開かな
くなる不具合があった。

【０００４】本発明は、落し棒ガイドの部分のがたつき
音を防止することができると共に、落し棒の脱落を有効
に防止することができるドアのフランス落し装置を提供
することをその目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく本
発明は、扉体の召合せ部に上下動自在に設けた落し棒
と、扉体の上下方向の端部に設けられ落し棒の上下動を
案内する落し棒ガイドと、扉枠に設けた落し壺とを備
え、落し棒ガイドに案内させて落し棒を移動させ、その
先端部を所定の挿入位置まで落し壺に挿入することによ
り、扉体を扉枠にロックするドアのフランス落し装置に
おいて、落し棒ガイドのガイド孔の基端側を拡開させて
傾斜面を形成し、落し棒の先端部に、落し棒ガイドの傾
斜面と相補的形状を有すると共に、挿入位置で傾斜面に
密接する傾斜部を形成したことを特徴とする。

【０００６】この場合、扉体の召合せ部の下端に設けた
小口キャップと、扉枠の戸当り段部に設けたシール部材
とを更に備え、小口キャップを、キャップ本体とシール
部材に接触する立上げ片部とで構成し、立上げ片部の左
右の両端部をなだらかな面に形成することが好ましい。

【０００７】

【作用】請求項１のフランス落し装置によれば、落し棒
ガイドのガイド孔の基端側を拡開させて傾斜面を形成
し、落し棒の先端部に、落し棒ガイドの傾斜面と相補的
形状を有すると共に、挿入位置で傾斜面に密接する傾斜
部を形成したことにより、落し棒を所定の挿入位置に移
動させたときに、落し棒の傾斜部と落し棒ガイドの傾斜
面とが密接し、両者のクリアランスをゼロにすることが
でき、この部分のがたつきを構造的に防止することがで
きる。同時に、挿入位置に移動させた落し棒が、落し棒
ガイドによりその先端側でも支持されるので、特に、上
端部のレバー側で、ねじにより取り付けられている落し
棒では、ねじの緩みを極力少なくすることができる。

【０００８】一方、扉枠の戸当り段部に設けたシール部
材に、扉体の上下方向の端部を突き当てることにより、
閉塞状態の扉体と扉枠との間の水密性が保持されるが、
その際、小口キャップの起立片部の左右の両端部がなだ
らかな面に形成されていることにより、これに当接する
シール部材は、起立片部に倣って窪み、起立片部の左右
両端とシール部材との間に一切の隙間を生ずることがな
い。このため、この部分からの雨水の侵入を有効に防止
することができる。

【０００９】

【実施例】以下、添付図面を参照して、本発明の一実施
例に係るフランス落し装置を、両開き玄関ドアの子扉に
適用した場合について説明する。図１及び図２に示すよ
うに、この玄関ドアは、扉枠１に親扉２及び子扉３を組
み込んで構成されており、親扉２及び子扉３は、開き戸
形式でそれぞれ開閉されると共に、それぞれ閉塞時に、
子扉３は上下一対のフランス落し（下側のみ図示）４に
より扉枠１にロックされ、親扉２はドア錠（図示省略）
により子扉３にロックされる。なお、以降の説明では、
下側のフランス落し４についてのみ説明し、同一の構造
となる上側のフランス落しは、説明を省略する。

【００１０】図１に示すように、扉枠１の下枠５には、
見込み方向に、閉塞時の親扉２及び子扉３が位置する水
切り勾配部５ａと、水切り勾配部５ａの屋内側の端から
上方に延びる戸当り段部５ｂと、戸当り段部５ｂの上端
から屋内側に水平に延びる靴ずり部５ｃとが、形成され
ている。水切り勾配部５ａには、後述するフランス落し
４の落し棒９が挿入される落し壺６が形成され、また戸
当り段部５ｂには、親扉２及び子扉３の下端部が当接す
るシール部材７が取り付けられている。

【００１１】フランス落し４は、子扉３の召合せ框８に
内蔵した落し棒９と、下枠５に設けた上記の落し壺６
と、落し棒９の落し壺６への挿入を案内する落し棒ガイ
ド１０と、召合せ框８に埋め込んだレバー１１と、レバ
ー１１と落し棒９との間に設けたスライダ１２とで、構
成されている。レバー１１は、子扉３の召合せ側の端面
に埋め込まれており、レバー本体１３と、レバー本体１
３を回動自在に保持するホルダー１４とで構成されてい
る。スライダ１２は、ホルダー１４に上下方向に摺動自
在に取り付けられており、中間部にレバー本体１３の作
動端が係合している。また、スライダ１２の下端部には
雌ねじが形成され、これに落し棒９の上端部がねじ込ま
れている。

【００１２】図１のロック状態では、レバー本体１３が
上側に回動しており、この状態からレバー本体１３を下
側に回動させると、ホルダー１４に案内されてスライダ
１２が上方にスライドし、同時に落し棒９が上動して落
し壺６から引き抜かれ、ロックが解除される。また逆
に、レバー本体１３を上側に回動させると、スライダ１
２が下方にスライドし、同時に落し棒９が下動して所定
の挿入位置まで落し壺６に挿入され、ロックが掛かるよ
うになっている。

【００１３】落し棒ガイド１０は、子扉４の召合せ框８
の下端部に取り付けられている。この場合、召合せ框８
の小口には小口キャップ１５が装着されており、落し棒
ガイド１０はこの小口キャップ１５に組み込んだ状態
で、召合せ框８に取り付けられている。落し棒ガイド１
０はブロック状に形成され、中央部に落し棒９が挿入さ
れるガイド孔１６が形成されている。ガイド孔１６は、
上側を拡開形成した下半部のテーパー孔部１６ａと、テ
ーパー孔部１６ａに連なる上半部のストレート孔部１６
ｂとで構成されている。テーパー孔部１６ａには、後述
する落し棒９の樹脂キャップ１８のテーパー部１８ｂが
密接し、ストレート孔部１６ｂには、樹脂キャップ１８
の上ストレート部１８ａが、所定のクリアランスを存し
て挿通されている。なお、図１（ｂ）に示すように、落
し棒ガイド１０は、小口キャップ１５に形成された長孔
１５ａにより、その取付位置を上下方向に微調整できる
ようになっている

【００１４】落し棒９は、スチールの丸棒で形成された
落し棒本体１７と、落し棒本体１７の下端部に取り付け
られた樹脂キャップ１８とで構成されている。落し棒本
体１７の上端部には雄ネジ１７ａを螺設されており、こ
の部分で上記スライダ１２の下端部に螺合されている。
樹脂キャップ１８は、上ストレート部１８ａと、これに
連なるテーパー部１８ｂと、テーパー部１８ｂに連なる
下ストレート部１８ｃとで構成されており、下ストレー
ト部１８ｃの下端部は、落し壺６に良好に挿入されるよ
うに面取りされている。また、テーパー部１８ｂは、落
し棒ガイド１０のテーパー孔部１６ａと相補的に形状を
有しており、落し棒９を所定の挿入位置に下動させたと
きに、テーパー部１８ｂが上側からテーパー孔部１６ａ
に密接するように構成されている。

【００１５】この場合、図１に示すように、子扉３を閉
塞すべく子扉３をシール部材７に軽く当てた状態では、
落し棒９が落し壺６に対して偏心した位置にあり、この
状態から落し棒９を下動させると、落し棒９の先端が落
し壺６にこじ入れるように挿入され、その反力で、子扉
３はシール部材７を押し潰すようにして、屋内側にわず
かに移動する。また、落し棒９が所定の挿入位置まで挿
入されると、落し棒９のテーパー部１８ｂが落し棒ガイ
ド１０のテーパー孔部１６ａに密接し、シール部材７か
ら受ける力を、この落し棒ガイド１０のテーパー孔部１
６ａ全体で受け得るようになっている。

【００１６】一方、小口キャップ１５は、図３に示すよ
うに、落し棒ガイド１０を取り付けた状態で召合せ框８
の小口を閉塞するキャップ本体１９と、召合せ框８の屋
内側に突設したシールホール片８ａの小口を閉塞するシ
ール部キャップ２０と、キャップ本体１９とシール部キ
ャップ２０とを連結する起立片２１とで一体に成形され
ている。シールホール片８ａには、親扉２との召合せ部
をシールするシール部材２２が縦方向に取り付けられて
おり（図２参照）、この縦方向のシール部材２２と、上
記下枠５に設けた横方向のシール部材７との間を、シー
ル部キャップ２０及び起立片２１で水密的に接続する構
造になっている。このため、起立片２１は、屋内側の面
が横方向のシール部材７に密着している（図１参照）。

【００１７】この場合、図３に示すように、起立片２１
の左右両端部２１ａ，２１ａは、なだらかな斜面となっ
ており、子扉３の閉塞により、起立片２１をシール部材
７に押し付けたときに、起立片２１に倣ってシール部材
７が窪み、起立片２１の左右両端部２１ａ，２１ａとシ
ール部材７との間に間隙が生じないようになっている。
なお、起立片７の横断面形状は、同図のような台形はも
とより、三角形や山形に形成してもよい。

【００１８】以上のように本実施例によれば、落し棒９
を所定の挿入位置まで下動させたときに、落し棒９のテ
ーパー部１８ｂと落し棒ガイド１０のテーパー孔部１６
ａとが密接するようになっているので、落し棒９の下端
部がこのテーパー孔部１６ａで支持され、スライダ１２
にねじ込まれている落し棒９の雄ねじ１７ａが振動など
で緩み難くなり、落し棒９の脱落を防止することができ
る。また、落し棒９と落し棒ガイド１０とが完全に密着
するため、この部分のがたつきを防止することができる
と共に、シール部材７の反発力をテーパー孔部１６ａ全
体で受けることができるので、全体としても、子扉３の
がたつきを有効に防止することができる。

【００１９】一方、シール部材７に当接する小口キャッ
プ１５において、その起立片２１の左右の両端部２１
ａ，２１ａがなだらかなに形成されているので、起立片
２１の左右両端部２１ａ，２１ａとシール部材７とが、
一切の隙間を生ずることなく密着する。このため、起立
片２１の左右両端部が直角に形成されている従来のもの
に比して、この部分からの雨水の侵入を確実に防止する
ことができる。

【００２０】図４は、落し棒９及び落し棒ガイド１０の
第２実施例を表している。同図に示すように、この実施
例では、落し棒９の落し棒本体１７の先端に、樹脂キャ
ップ１８に代えてステンレス製の金属キャップ３１が取
り付けられている。この金属キャップ３１は、ステンレ
ス板をプレス成形したものであり、全体を「コ」字状に
折り曲げると共に、下端部を幅狭に折り曲げて形成され
ている。また、左右の中間側部に半円形に突き出し加工
した突出部３１ａ，３１ａが形成され、この各突出部３
１ａにより、落し棒ガイド１０のガイド孔３２に密接す
る傾斜部が形成されている。

【００２１】落し棒ガイド１０のガイド孔３２は、金属
キャップ３１に合わせ全体として矩形断面に形成されて
いる。ガイド孔３２の上下方向の中間位置には、金属キ
ャップ３１の突出部３１ａ，３１ａと相補的に形状を有
する円弧孔部３２ａが形成され、この円弧孔部３２ａを
挟んで上側には傾斜孔部３２ｂが、下側にはストレート
孔部３２ｃがそれぞれ連続的に形成されている。

【００２２】このように構成された第２実施例では、落
し棒９を所定の挿入位置まで下動させると、落し棒９の
突出部３１ａが落し棒ガイド１０の円弧孔部３２ａに密
接し、第１実施例と同様に、落し棒９の下端部が落し棒
ガイド１０により支持されると共に、落し棒９と落し棒
ガイド１０とが完全に密着する。

【００２３】なお、本実施例では、フランス落し装置
を、親扉と子扉とから成る両開きの玄関ドア（親子開き
ドア）に適用した場合について説明したが、左右同じ大
きさの扉体で構成した両開きの玄関ドアに適用できるこ
とは、いうまでもなく、また玄関ドアのみならず、この
種の各種のドアや門扉に適用できることも、いうまでも
ない。更に、落し棒のねじ部の緩み止めのみを目的にす
る場合には、落し棒にピンなどを突設し、このピンを落
し棒ガイドの上端に突き当てるようにしてもよい。

【００２４】

【発明の効果】以上のように本発明のフランス落し装置
によれば、所定の挿入位置において、落し棒の斜面部
と、落し棒ガイドの傾斜面とを密接させるようにしてい
るので、落し棒ガイドの部分のがたつきを防止すること
ができると共に、落し棒の脱落を有効に防止することが
でき、シール性を含め、扉体の扉枠へのロックを安定且
つ確実なものとすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係るフランス落し装置廻り
の部分拡大縦断面図である。

【図２】実施例のフランス落し装置廻りの拡大横断面図
である。

【図３】小口キャップの平面図である。

【図４】第２実施例に係るフランス落し装置の部分構造
図である。

【符号の説明】

１ 扉枠、３ 子扉、４ フランス落し、５ 下枠、５
ｂ 戸当り段部、６落し壺、７ シール部材、８ 召合
せ框、９ 落し棒、１０ 落し棒ガイド、１５ 小口キ
ャップ、１６ ガイド孔、１６ａ テーパー孔部、１８
ｂ テーパー部、１９ キャップ本体、２１ 起立片、
２１ａ 端部

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 扉体（３）の召合せ部（８）に上下動自
   在に設けた落し棒（９）と、扉体（３）の上下方向の端
   部に設けられ前記落し棒（９）の上下動を案内する落し
   棒ガイド（１０）と、扉枠（１）に設けた落し壺（６）
   とを備え、前記落し棒ガイド（１０）に案内させて前記
   落し棒（９）を移動させ、その先端部を所定の挿入位置
   まで前記落し壺（６）に挿入することにより、前記扉体
   （３）を前記扉枠（１）にロックするドアのフランス落
   し装置において、前記落し棒ガイド（１０）のガイド孔
   （１６）の基端側を拡開させて傾斜面（１６ａ）を形成
   し、前記落し棒（９）の先端部に、前記落し棒ガイド
   （１０）の傾斜面（１６ａ）と相補的形状を有すると共
   に、前記挿入位置で当該傾斜面（１６ａ）に密接する傾
   斜部（１８ｂ）を形成したことを特徴とするドアのフラ
   ンス落し装置。
2. 【請求項２】 前記扉体（３）の召合せ部（８）の上下
   方向の端面に設けた小口キャップ（１５）と、前記扉枠
   （１）の戸当り段部（５ｂ）に設けたシール部材（７）
   とを、更に備え、前記小口キャップ（１５）を、キャッ
   プ本体（１９）と前記シール部材（７）に接触する起立
   片部（２１）とで構成し、当該起立片部（２１）の左右
   の両端部（２１ａ，２１ａ）をなだらかな面に形成した
   ことを特徴とする請求項１に記載のドアのフランス落し
   装置。