JP2774355B2 - サーマルヘッドおよびその製造方法 - Google Patents
サーマルヘッドおよびその製造方法Info
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- JP2774355B2 JP2774355B2 JP2099824A JP9982490A JP2774355B2 JP 2774355 B2 JP2774355 B2 JP 2774355B2 JP 2099824 A JP2099824 A JP 2099824A JP 9982490 A JP9982490 A JP 9982490A JP 2774355 B2 JP2774355 B2 JP 2774355B2
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、サーマルプリンタに搭載され、印字情報に
従って通電加熱することにより所望の印字を行なうサー
マルヘッドおよびその製造方法に係り、特に、高速印字
に対応しうるサーマルヘッドおよびその製造方法に関す
る。
従って通電加熱することにより所望の印字を行なうサー
マルヘッドおよびその製造方法に係り、特に、高速印字
に対応しうるサーマルヘッドおよびその製造方法に関す
る。
一般に、感熱プリンタ、熱転写プリンタ等のサーマル
プリンタに搭載されるサーマルヘッドは、例えば、複数
の発熱抵抗体を絶縁性基板上に形成されたグレーズ層上
に直線的に整列配置し、印字情報に従って前記各発熱抵
抗体を選択的に通電加熱させて、感熱プリンタにおいて
は、感熱記録紙に発色記録させ、また、熱転写プリンタ
においては、インクリボンのインクを溶融して普通紙に
転写記録させるようになっている。
プリンタに搭載されるサーマルヘッドは、例えば、複数
の発熱抵抗体を絶縁性基板上に形成されたグレーズ層上
に直線的に整列配置し、印字情報に従って前記各発熱抵
抗体を選択的に通電加熱させて、感熱プリンタにおいて
は、感熱記録紙に発色記録させ、また、熱転写プリンタ
においては、インクリボンのインクを溶融して普通紙に
転写記録させるようになっている。
第5図は従来のこの種のサーマルヘッドの一例を示す
ものであり、アルミナ等の絶縁性基板1の上面には、蓄
熱層として機能するガラスからなるグレーズ層2が上面
が断面円弧状となるように絶縁性基板1上に部分的に積
層されており、このグレーズ層2の上面には、Ta2N等か
らなる複数の発熱抵抗体3が、蒸着、スパッタリング等
により全体的に積層された後にフォトリソグラフィ技術
のエッチングを行なうことにより直線状に整列して形成
されている。これらの各発熱抵抗体3の両側の上面に
は、各発熱抵抗体3に対して通電するための共通電極4a
および個別電極4bがそれぞれ形成されている。これらの
各電極4a,4bは、例えば、Al、Cu、Au等の軟質金属から
なり、約2μmの厚みに蒸着、スパッタリング等により
全体的に積層された後にフォトリソグラフィ技術のエッ
チングを行なうことにより所望の形状のパターンに形成
されている。そして、前記各発熱抵抗体3は、前記共通
電極4aおよび個別電極4b間に、最小印字単位たる1ドッ
ト相当分の発熱ドット3Aを露出するようにして各個独立
に形成され、この発熱抵抗体3の発熱ドット3Aは、前記
各電極4a,4b間に電圧を印加することにより発熱される
ようになっている。
ものであり、アルミナ等の絶縁性基板1の上面には、蓄
熱層として機能するガラスからなるグレーズ層2が上面
が断面円弧状となるように絶縁性基板1上に部分的に積
層されており、このグレーズ層2の上面には、Ta2N等か
らなる複数の発熱抵抗体3が、蒸着、スパッタリング等
により全体的に積層された後にフォトリソグラフィ技術
のエッチングを行なうことにより直線状に整列して形成
されている。これらの各発熱抵抗体3の両側の上面に
は、各発熱抵抗体3に対して通電するための共通電極4a
および個別電極4bがそれぞれ形成されている。これらの
各電極4a,4bは、例えば、Al、Cu、Au等の軟質金属から
なり、約2μmの厚みに蒸着、スパッタリング等により
全体的に積層された後にフォトリソグラフィ技術のエッ
チングを行なうことにより所望の形状のパターンに形成
されている。そして、前記各発熱抵抗体3は、前記共通
電極4aおよび個別電極4b間に、最小印字単位たる1ドッ
ト相当分の発熱ドット3Aを露出するようにして各個独立
に形成され、この発熱抵抗体3の発熱ドット3Aは、前記
各電極4a,4b間に電圧を印加することにより発熱される
ようになっている。
前記絶縁性基板1、グレーズ層2、各発熱抵抗体3お
よび各電極4a,4bの上面には、各発熱抵抗体3および電
極4a,4bを保護する約7〜10μmの膜厚の保護層5が積
層されており、この保護層5は、発熱抵抗体3を酸化に
よる劣化から保護するSiO2等からなるほぼ2μmの膜厚
の耐酸化層6と、この耐酸化層6上に積層され感熱記録
紙、インクリボン等の感熱記録部材との接触による摩耗
から各発熱抵抗体3および電極4a,4bを保護するTa2O5等
からなる約5〜8μmの膜厚の耐摩耗層7とから構成さ
れており、この保護層5は、前記各電極4a,4bの端子部
以外の表面のすべてを被覆するようになっている。この
保護層5の耐酸化層6および耐摩耗層7は、スパッタリ
ング等の手段により順次形成されるようになっている。
よび各電極4a,4bの上面には、各発熱抵抗体3および電
極4a,4bを保護する約7〜10μmの膜厚の保護層5が積
層されており、この保護層5は、発熱抵抗体3を酸化に
よる劣化から保護するSiO2等からなるほぼ2μmの膜厚
の耐酸化層6と、この耐酸化層6上に積層され感熱記録
紙、インクリボン等の感熱記録部材との接触による摩耗
から各発熱抵抗体3および電極4a,4bを保護するTa2O5等
からなる約5〜8μmの膜厚の耐摩耗層7とから構成さ
れており、この保護層5は、前記各電極4a,4bの端子部
以外の表面のすべてを被覆するようになっている。この
保護層5の耐酸化層6および耐摩耗層7は、スパッタリ
ング等の手段により順次形成されるようになっている。
なお、実際のサーマルヘッドの製造においては、ひと
つの絶縁性基板1上に複数個のサーマルヘッドを形成す
るようになっているため、最終工程において前記絶縁性
基板1を分割して所定数のサーマルヘッドチップを得る
ようになっている。
つの絶縁性基板1上に複数個のサーマルヘッドを形成す
るようになっているため、最終工程において前記絶縁性
基板1を分割して所定数のサーマルヘッドチップを得る
ようになっている。
前述した従来のサーマルヘッドを使用する熱転写プリ
ンタにおいては、このサーマルヘッドをインクリボンを
介して用紙に圧接させ、所定の印字情報に基づいて所望
のドットに対応する個別電極4bに通電することにより、
その発熱抵抗体3の発熱ドット3Aを発熱させ、前記イン
クリボンのインクを前記用紙に溶融転写させることによ
り、前記用紙上に所望の印字を行なうことができる。
ンタにおいては、このサーマルヘッドをインクリボンを
介して用紙に圧接させ、所定の印字情報に基づいて所望
のドットに対応する個別電極4bに通電することにより、
その発熱抵抗体3の発熱ドット3Aを発熱させ、前記イン
クリボンのインクを前記用紙に溶融転写させることによ
り、前記用紙上に所望の印字を行なうことができる。
しかしながら、サーマルヘッドは、他の方式のプリン
タと比較して、印字における蓄熱が激しく、特に高速印
字を行なう場合は、熱伝導率の低い材質からなり肉厚の
薄いグレーズ層2を使用して、絶縁性基板1への放熱量
を大きくしないと、グレーズ層2の蓄熱量が大きく熱応
答性が悪いため、発熱ドット3Aの温度制御が不能となっ
て用紙上のインクの尾引きや濃度ムラを生じ、印字品質
が著しく劣化するとともに、印字に濃淡をつける階調表
現ができなくなる。
タと比較して、印字における蓄熱が激しく、特に高速印
字を行なう場合は、熱伝導率の低い材質からなり肉厚の
薄いグレーズ層2を使用して、絶縁性基板1への放熱量
を大きくしないと、グレーズ層2の蓄熱量が大きく熱応
答性が悪いため、発熱ドット3Aの温度制御が不能となっ
て用紙上のインクの尾引きや濃度ムラを生じ、印字品質
が著しく劣化するとともに、印字に濃淡をつける階調表
現ができなくなる。
このように、グレーズ層2における蓄熱性をグレーズ
層2の肉厚だけで制御しようとすると、グレーズ層2の
肉厚を薄くするほど絶縁性基板1への熱の逃げが大きく
なって熱効率が低下し、供給電力を増大しないと、所望
の印字濃度が得られず、発熱抵抗体3の電力密度が高く
なることによる寿命の低下、ならびに、電源容量の増大
を招来することになる。
層2の肉厚だけで制御しようとすると、グレーズ層2の
肉厚を薄くするほど絶縁性基板1への熱の逃げが大きく
なって熱効率が低下し、供給電力を増大しないと、所望
の印字濃度が得られず、発熱抵抗体3の電力密度が高く
なることによる寿命の低下、ならびに、電源容量の増大
を招来することになる。
そのため、グレーズ層2にある程度の肉厚を設け、高
速印字における発熱ドット3Aの温度制御を、各発熱ドッ
ト3Aにおける個々の通電状態の実績たる熱履歴に応じて
通電時間を変える等詳細に補正することにより、ある程
度各発熱ドット3Aの温度制御を行なうことができるが、
このような制御を行なうと、集積回路素子容量が増大
し、著しくコストアップになるというサーマルヘッドに
おける根本的な欠点があった。
速印字における発熱ドット3Aの温度制御を、各発熱ドッ
ト3Aにおける個々の通電状態の実績たる熱履歴に応じて
通電時間を変える等詳細に補正することにより、ある程
度各発熱ドット3Aの温度制御を行なうことができるが、
このような制御を行なうと、集積回路素子容量が増大
し、著しくコストアップになるというサーマルヘッドに
おける根本的な欠点があった。
本発明は、前述した従来のものにおける問題点を克服
し、蓄熱量を減少させて、熱効率を低下させることなく
熱応答性を高めて高速印字に対応することができ、高速
印字をローコストで行なうことのできるサーマルヘッド
およびその製造方法を提供することを目的とする。
し、蓄熱量を減少させて、熱効率を低下させることなく
熱応答性を高めて高速印字に対応することができ、高速
印字をローコストで行なうことのできるサーマルヘッド
およびその製造方法を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するため本発明に係るサーマルヘ
ッドは、絶縁性基板上にグレーズ層を形成し、このグレ
ーズ層上に、複数の発熱抵抗体ならびに各発熱抵抗体に
選択的に通電する複数の電極をそれぞれ整列状に積層し
て各発熱抵抗体に発熱ドットを形成し、これらの上方を
保護層により被覆してなるサーマルヘッドにおいて、前
記グレーズ層と発熱抵抗体との間に熱吸収しやすい黒色
膜からなる熱抵抗層を介装したことを特徴としている。
ッドは、絶縁性基板上にグレーズ層を形成し、このグレ
ーズ層上に、複数の発熱抵抗体ならびに各発熱抵抗体に
選択的に通電する複数の電極をそれぞれ整列状に積層し
て各発熱抵抗体に発熱ドットを形成し、これらの上方を
保護層により被覆してなるサーマルヘッドにおいて、前
記グレーズ層と発熱抵抗体との間に熱吸収しやすい黒色
膜からなる熱抵抗層を介装したことを特徴としている。
また、前記熱抵抗層を、絶縁層により単層に形成した
り、導電層と絶縁層とを順に積層複層に形成したり、あ
るいは、高比抵抗のサーメットにより単層に形成したり
することができる。
り、導電層と絶縁層とを順に積層複層に形成したり、あ
るいは、高比抵抗のサーメットにより単層に形成したり
することができる。
さらに、本発明に係るサーマルヘッドの製造方法は、
絶縁性基板上にグレーズ層を形成し、このグレーズ層上
に、複数の発熱抵抗体ならびに各発熱抵抗体に選択的に
通電する複数の電極をそれぞれ整列状に積層して各発熱
抵抗体に発熱ドットを形成し、これらの上方を保護層に
より被覆したサーマルヘッドの製造方法において、前記
グレーズ層上に、熱吸収しやすい色からなる熱抵抗層を
スパッタリングにより形成し、この熱抵抗層上に発熱抵
抗体を形成することを特徴としている。
絶縁性基板上にグレーズ層を形成し、このグレーズ層上
に、複数の発熱抵抗体ならびに各発熱抵抗体に選択的に
通電する複数の電極をそれぞれ整列状に積層して各発熱
抵抗体に発熱ドットを形成し、これらの上方を保護層に
より被覆したサーマルヘッドの製造方法において、前記
グレーズ層上に、熱吸収しやすい色からなる熱抵抗層を
スパッタリングにより形成し、この熱抵抗層上に発熱抵
抗体を形成することを特徴としている。
前述した構成からなる本発明のサーマルヘッドによれ
ば、グレーズ層および発熱抵抗体間に介装された熱抵抗
層を熱伝導率の大きな材料により形成しても、この熱抵
抗層の熱吸収作用が大きいため、この熱抵抗層は見かけ
上熱伝導率の小さな材料となり、グレーズ層方向への熱
の流れを少なくすることができ、その分、印字に寄与す
る熱量ならびにエネルギ密度が増大することになる。こ
の結果、グレーズ層における蓄熱量が減少するので、供
給電力を少なくできるし、各発熱ドットにおけるエネル
ギ密度を大きくでき、しかも放熱性も良好となるので、
熱応答性を向上して高速印字を行なうことができる。
ば、グレーズ層および発熱抵抗体間に介装された熱抵抗
層を熱伝導率の大きな材料により形成しても、この熱抵
抗層の熱吸収作用が大きいため、この熱抵抗層は見かけ
上熱伝導率の小さな材料となり、グレーズ層方向への熱
の流れを少なくすることができ、その分、印字に寄与す
る熱量ならびにエネルギ密度が増大することになる。こ
の結果、グレーズ層における蓄熱量が減少するので、供
給電力を少なくできるし、各発熱ドットにおけるエネル
ギ密度を大きくでき、しかも放熱性も良好となるので、
熱応答性を向上して高速印字を行なうことができる。
また、本発明のサーマルヘッドの製造方法によれば、
スパッタリングにより特殊構成の熱抵抗層を確実に製造
することができる。
スパッタリングにより特殊構成の熱抵抗層を確実に製造
することができる。
以下、本発明を図面に示す実施例により説明する。な
お、前述した従来のものと同一ないしは相当する構成に
ついては、図面中に同一に付して説明する。
お、前述した従来のものと同一ないしは相当する構成に
ついては、図面中に同一に付して説明する。
第1図は、本発明のサーマルヘッドの実施例を示すも
のであり、アルミナなどからなる絶縁性基板1上には、
上面が断面円弧状をなし、頂部において約40μmの肉厚
のガラスからなるグレーズ層2が焼付けにより積層され
ている。
のであり、アルミナなどからなる絶縁性基板1上には、
上面が断面円弧状をなし、頂部において約40μmの肉厚
のガラスからなるグレーズ層2が焼付けにより積層され
ている。
前記絶縁性基板1およびグレーズ層2上には、約1μ
mの肉厚の熱抵抗層10が積層されている。この熱抵抗層
10は、ほぼ絶縁性を有するAlNX、SiC−N、SiC−O、Ta
OX、SiNX、SiOX、CrOX等の材料により熱吸収しやすい色
たる黒色に形成することができる。
mの肉厚の熱抵抗層10が積層されている。この熱抵抗層
10は、ほぼ絶縁性を有するAlNX、SiC−N、SiC−O、Ta
OX、SiNX、SiOX、CrOX等の材料により熱吸収しやすい色
たる黒色に形成することができる。
この熱抵抗層10は、Al、Si、Ta、Crまたはこれらの酸
化物、窒化物、炭化物からなるターゲット、あるいは高
抵抗のサーメットからなるターゲットを用いて、Arガス
に適量のN2ガスまたはO2ガスを添加した雰囲気中でスパ
ッタリングを行なうことにより成膜される。そして、こ
のようにしてスパッタリングにより形成される熱抵抗層
10は、Arガス中のN2またはO2ガスの混合比を制御するこ
とによって、導電性黒色膜からほぼ絶縁性黒色膜および
絶縁性透光膜まで連続的に形成できる特徴を有する。
化物、窒化物、炭化物からなるターゲット、あるいは高
抵抗のサーメットからなるターゲットを用いて、Arガス
に適量のN2ガスまたはO2ガスを添加した雰囲気中でスパ
ッタリングを行なうことにより成膜される。そして、こ
のようにしてスパッタリングにより形成される熱抵抗層
10は、Arガス中のN2またはO2ガスの混合比を制御するこ
とによって、導電性黒色膜からほぼ絶縁性黒色膜および
絶縁性透光膜まで連続的に形成できる特徴を有する。
すなわち、AlNをターゲットとして、Arガス中に適量
のN2ガスあるいはO2ガスを混合してスパッタリングを行
なうことにより黒色の絶縁性膜からなる単層の熱抵抗層
10を形成することができる。
のN2ガスあるいはO2ガスを混合してスパッタリングを行
なうことにより黒色の絶縁性膜からなる単層の熱抵抗層
10を形成することができる。
前記熱抵抗層10上には、Ta−SiO2等からなる発熱抵抗
体3を形成するための発熱抵抗体層が、蒸着ならびにス
パッタリング等により積層される。また、この発熱抵抗
体層上には、Al、Cu、Au等からなる電極4を形成するた
めの電極層が蒸着ならびにスパッタリング等により積層
される。そして、フォトリソグラフィ技術により前記電
極層ならびに発熱抵抗体層を所望のパターンにエッチン
グして、整列配置された複数の発熱抵抗体3と、各発熱
抵抗体3の中央部の発熱ドット3Aの両端から一方を共通
電極4aとし、他方を個別電極4bとしてそれぞれ導出され
た電極4とが形成される。また、前記抵抗層10、各発熱
抵抗体3および各電極4には、前記各膜を保護するため
の保護層5が積層されている。この保護層5は、前述し
た従来のものよりも硬度が高く、しかも薄くできるSi3N
4系、例えばサイアロン等の単層構造とされている。
体3を形成するための発熱抵抗体層が、蒸着ならびにス
パッタリング等により積層される。また、この発熱抵抗
体層上には、Al、Cu、Au等からなる電極4を形成するた
めの電極層が蒸着ならびにスパッタリング等により積層
される。そして、フォトリソグラフィ技術により前記電
極層ならびに発熱抵抗体層を所望のパターンにエッチン
グして、整列配置された複数の発熱抵抗体3と、各発熱
抵抗体3の中央部の発熱ドット3Aの両端から一方を共通
電極4aとし、他方を個別電極4bとしてそれぞれ導出され
た電極4とが形成される。また、前記抵抗層10、各発熱
抵抗体3および各電極4には、前記各膜を保護するため
の保護層5が積層されている。この保護層5は、前述し
た従来のものよりも硬度が高く、しかも薄くできるSi3N
4系、例えばサイアロン等の単層構造とされている。
前述した構成からなる本実施例のサーマルヘッドは、
グレーズ層2と各発熱抵抗体3の間に、黒色の熱抵抗層
10を介装したので、この熱抵抗層10が発熱抵抗体3の発
熱ドット3Aの発熱による熱エネルギの一部を吸収し、グ
レーズ層2方向への熱の流れを少なくすることができ、
その分、印字に寄与する熱量ならびにエネルギ密度を増
大することができる。したがって、サーマルヘッドの発
熱ドット3Aのピーク温度が顕著に高まり、発熱ドット3A
の発熱等温面積が拡大するという効果がある。この効果
は実験により確められている。
グレーズ層2と各発熱抵抗体3の間に、黒色の熱抵抗層
10を介装したので、この熱抵抗層10が発熱抵抗体3の発
熱ドット3Aの発熱による熱エネルギの一部を吸収し、グ
レーズ層2方向への熱の流れを少なくすることができ、
その分、印字に寄与する熱量ならびにエネルギ密度を増
大することができる。したがって、サーマルヘッドの発
熱ドット3Aのピーク温度が顕著に高まり、発熱ドット3A
の発熱等温面積が拡大するという効果がある。この効果
は実験により確められている。
また、高速印字に要求される熱応答性においても、黒
色の熱抵抗層10は約1μmと薄いため熱容量が小さい
し、ならびに熱伝導のよい材料たるAlN、SiC、Si等によ
り熱抵抗層10を形成しても、この熱抵抗層10の見かけ上
の熱伝導率は小さくなるので、ピーク温度が著しく高ま
り、かつ放熱性に優れたサーマルヘッドとすることがで
きる。
色の熱抵抗層10は約1μmと薄いため熱容量が小さい
し、ならびに熱伝導のよい材料たるAlN、SiC、Si等によ
り熱抵抗層10を形成しても、この熱抵抗層10の見かけ上
の熱伝導率は小さくなるので、ピーク温度が著しく高ま
り、かつ放熱性に優れたサーマルヘッドとすることがで
きる。
第2図は従来例と本実施例における発熱ドット3Aのピ
ーク温度の絶対値ならびに熱応答性を示すグラフであ
り、本実施例の発熱ドット3Aは、熱抵抗層10の存在によ
りピーク温度が従来例より約20%高温にまで上昇するこ
とが可能とされ、しかも熱応答性が優れているので、従
来のものと同様の時間内における応答が可能とされる。
ーク温度の絶対値ならびに熱応答性を示すグラフであ
り、本実施例の発熱ドット3Aは、熱抵抗層10の存在によ
りピーク温度が従来例より約20%高温にまで上昇するこ
とが可能とされ、しかも熱応答性が優れているので、従
来のものと同様の時間内における応答が可能とされる。
第3図は本発明に係るサーマルヘッドの第2実施例を
示すものであり、本実施例においては、前記熱抵抗層10
が、グレーズ層2上に積層された黒色の導電層11と、こ
の導電層11上にさらに積層された黒色の絶縁層12とによ
り形成されている。その他の構成は第1図と同様であ
る。
示すものであり、本実施例においては、前記熱抵抗層10
が、グレーズ層2上に積層された黒色の導電層11と、こ
の導電層11上にさらに積層された黒色の絶縁層12とによ
り形成されている。その他の構成は第1図と同様であ
る。
このような、熱抵抗層10を導電層11と絶縁層12とによ
り形成するためには、まず、例えば、AlNをターゲット
として、単にArガスだけでスパッタする。すると、Al過
剰・N不足という状態、すなわち、導電層11が形成され
ることになる。ところが、この導電層11のみを熱抵抗層
10として用いると、導電層11への電流の漏洩が大きすぎ
てしまい、この導電層11上に発熱抵抗体3を形成する
と、発熱抵抗体3への通電が不十分になってしまう。そ
こで、さらにこの導電層11上に、Ar+N2ガスまたはAr+
O2ガス雰囲気においてスパッタリングにより連続的に成
膜し、黒色の絶縁層12を積層して熱抵抗層10を形成す
る。
り形成するためには、まず、例えば、AlNをターゲット
として、単にArガスだけでスパッタする。すると、Al過
剰・N不足という状態、すなわち、導電層11が形成され
ることになる。ところが、この導電層11のみを熱抵抗層
10として用いると、導電層11への電流の漏洩が大きすぎ
てしまい、この導電層11上に発熱抵抗体3を形成する
と、発熱抵抗体3への通電が不十分になってしまう。そ
こで、さらにこの導電層11上に、Ar+N2ガスまたはAr+
O2ガス雰囲気においてスパッタリングにより連続的に成
膜し、黒色の絶縁層12を積層して熱抵抗層10を形成す
る。
前述した導電層11および絶縁層12の2層構造の熱抵抗
層10は第1図の実施例における単層構造の熱抵抗層10と
比較してさらに熱抵抗性を高めることができる(第4図
参照)。
層10は第1図の実施例における単層構造の熱抵抗層10と
比較してさらに熱抵抗性を高めることができる(第4図
参照)。
前述したように黒色に形成された導電層11の熱抵抗性
が著しく大きくなる理由は、黒体化しているため、熱の
吸収と放射効果が生じ、これが熱抵抗性を生んでいると
思われ、単純に熱伝導率のみでは表現できない熱抵抗の
発現があると考えられる。
が著しく大きくなる理由は、黒体化しているため、熱の
吸収と放射効果が生じ、これが熱抵抗性を生んでいると
思われ、単純に熱伝導率のみでは表現できない熱抵抗の
発現があると考えられる。
本発明は、前述した各実施例に限定されるものではな
く、必要に応じて種々の変更が可能である。
く、必要に応じて種々の変更が可能である。
例えば、前述した各実施例においては、AlNをターゲ
ットとしたスパッタリングについて説明したが、その他
の物質をターゲットとしてスパッタリングを行なうこと
ももちろん可能である。
ットとしたスパッタリングについて説明したが、その他
の物質をターゲットとしてスパッタリングを行なうこと
ももちろん可能である。
SiCをターゲットとしたスパッタリングの場合、SiCは
半導体なので、これに絶縁性を付与するためには、Arガ
スにN2ガスまたはO2ガスを適量添加してSiN、SiO成分を
増せばよい。このようにすれば、AlNをターゲットとし
て用いる場合と同様に、単層および積層構造の熱抵抗層
10を容易に形成することができる。
半導体なので、これに絶縁性を付与するためには、Arガ
スにN2ガスまたはO2ガスを適量添加してSiN、SiO成分を
増せばよい。このようにすれば、AlNをターゲットとし
て用いる場合と同様に、単層および積層構造の熱抵抗層
10を容易に形成することができる。
また、Al、Si、Ta、Cr等の金属ターゲットを用いる場
合も、同様に、ArガスにN2ガスまたはO2ガスを適量混合
することにより、導電性膜あるいは絶縁性膜を任意に形
成でき、単層あるいは積層構造の熱抵抗層10の形成を容
易に行なうことができる。
合も、同様に、ArガスにN2ガスまたはO2ガスを適量混合
することにより、導電性膜あるいは絶縁性膜を任意に形
成でき、単層あるいは積層構造の熱抵抗層10の形成を容
易に行なうことができる。
その他Ta−SiO2からなる発熱抵抗体3のような高比抵
抗のサーメットを用いる場合、絶縁性を付与するためO2
ガス等を適量添加するか、または、絶縁性材料の組成比
を高めればよく、さらにはO2ガスを制御することによっ
て発熱抵抗体材料との共用も考えられる。
抗のサーメットを用いる場合、絶縁性を付与するためO2
ガス等を適量添加するか、または、絶縁性材料の組成比
を高めればよく、さらにはO2ガスを制御することによっ
て発熱抵抗体材料との共用も考えられる。
さらにまた、前記熱抵抗層10を黒色の導電層11と透光
性の絶縁層12との多層構造とすることにより、さらに熱
抵抗性を高められることが実験的に確められている(第
4図参照)。このような多層構造の例としては、AlNを
ターゲットとして、黒色AlNX(導電層)/透光性AlN
(絶縁層)/黒色AlNX(導電層)/透光性AlN(絶縁
層)というように、導電層11と絶縁層12とを交互に積層
して全体としてほぼ1μm厚の導電層10を形成すること
が考えられる。
性の絶縁層12との多層構造とすることにより、さらに熱
抵抗性を高められることが実験的に確められている(第
4図参照)。このような多層構造の例としては、AlNを
ターゲットとして、黒色AlNX(導電層)/透光性AlN
(絶縁層)/黒色AlNX(導電層)/透光性AlN(絶縁
層)というように、導電層11と絶縁層12とを交互に積層
して全体としてほぼ1μm厚の導電層10を形成すること
が考えられる。
以上説明したように、本発明に係るサーマルヘッド
は、グレーズ層と発熱抵抗体との間に熱吸収しやすい黒
色膜からなる熱抵抗層を介装し、この熱抵抗層は、ガラ
スからなる透明なグレーズ層中への熱の流れを効果的に
低減する作用を有するものであり、この熱抵抗層の材質
が熱伝導性の高い物質であっても、熱吸収作用が大きい
ため、見かけ上はグレーズ層よりも明らかに熱伝導性の
低い物質となる。しかも、熱抵抗層の膜厚は約1μmで
あり、従来のものと比較して約30%の熱効率が改善でき
るのでサーマルヘッドヘッドの特性上、極めて有用なも
のである。
は、グレーズ層と発熱抵抗体との間に熱吸収しやすい黒
色膜からなる熱抵抗層を介装し、この熱抵抗層は、ガラ
スからなる透明なグレーズ層中への熱の流れを効果的に
低減する作用を有するものであり、この熱抵抗層の材質
が熱伝導性の高い物質であっても、熱吸収作用が大きい
ため、見かけ上はグレーズ層よりも明らかに熱伝導性の
低い物質となる。しかも、熱抵抗層の膜厚は約1μmで
あり、従来のものと比較して約30%の熱効率が改善でき
るのでサーマルヘッドヘッドの特性上、極めて有用なも
のである。
このような熱抵抗層を介装したサーマルヘッドとする
ことにより、グレーズ層方向への熱の流れを少なくする
ことができ、その分、印字に寄与する熱量ならびにエネ
ルギ密度が増大することになり、グレーズ層における蓄
熱量が少なくなるので、従来のものと比較して、供給電
力を低減することができる。
ことにより、グレーズ層方向への熱の流れを少なくする
ことができ、その分、印字に寄与する熱量ならびにエネ
ルギ密度が増大することになり、グレーズ層における蓄
熱量が少なくなるので、従来のものと比較して、供給電
力を低減することができる。
また、熱抵抗層はサーマルヘッドの熱量のエネルギ密
度を高くできるばかりでなく、放熱性にも優れ、熱抵抗
層への蓄熱量が低減するので、熱応答性も高まり、高速
印字に適したものとすることができる。したがって、サ
ーマルヘッドの寿命性の向上、電源のローコスト化、発
熱ドットの温度制御集積回路素子の容量低減によるロー
コスト化等の有用な利点を有する。
度を高くできるばかりでなく、放熱性にも優れ、熱抵抗
層への蓄熱量が低減するので、熱応答性も高まり、高速
印字に適したものとすることができる。したがって、サ
ーマルヘッドの寿命性の向上、電源のローコスト化、発
熱ドットの温度制御集積回路素子の容量低減によるロー
コスト化等の有用な利点を有する。
さらに本発明のサーマルヘッドの製造方法によれば、
スパッタリングにより前述した構成の熱抵抗層を有する
サーマルヘッドを確実に製造することができる。
スパッタリングにより前述した構成の熱抵抗層を有する
サーマルヘッドを確実に製造することができる。
第1図は本発明に係るサーマルヘッドの実施例を示す縦
断面図、第2図は第1図のサーマルヘッドおよび従来例
の熱応答性を示すグラフ、第3図は本発明の他の実施例
を示す縦断面図、第4図は第3図のサーマルヘッドおよ
び従来例の熱応答性を示すグラフ、第5図は従来例を示
す縦断面図である。 1……絶縁性基板、2……グレーズ層、3……発熱抵抗
体、3A……発熱ドット、4……電極、5……保護層、10
……熱抵抗層、11……導電層、12……絶縁層。
断面図、第2図は第1図のサーマルヘッドおよび従来例
の熱応答性を示すグラフ、第3図は本発明の他の実施例
を示す縦断面図、第4図は第3図のサーマルヘッドおよ
び従来例の熱応答性を示すグラフ、第5図は従来例を示
す縦断面図である。 1……絶縁性基板、2……グレーズ層、3……発熱抵抗
体、3A……発熱ドット、4……電極、5……保護層、10
……熱抵抗層、11……導電層、12……絶縁層。
Claims (5)
- 【請求項1】絶縁性基板上にグレーズ層を形成し、この
グレーズ層上に、複数の発熱抵抗体ならびに各発熱抵抗
体に選択的に通電する複数の電極をそれぞれ整列状に積
層して各発熱抵抗体に発熱ドットを形成し、これらの上
方を保護層により被覆してなるサーマルヘッドにおい
て、前記グレーズ層と発熱抵抗体との間に熱吸収しやす
い黒色膜からなる熱抵抗層を介装したことを特徴とする
サーマルヘッド。 - 【請求項2】前記熱抵抗層を絶縁層により単層に形成し
たことを特徴とする請求項第1項記載のサーマルヘッ
ド。 - 【請求項3】前記熱抵抗層を、導電層と絶縁層とを順に
積層した複層に形成したことを特徴とする請求項第1項
記載のサーマルヘッド。 - 【請求項4】前記熱抵抗層を高比抵抗のサーメットによ
り単層に形成したことを特徴とする請求項1項記載のサ
ーマルヘッド。 - 【請求項5】絶縁性基板上にグレーズ層を形成し、この
グレーズ層上に、複数の発熱抵抗体ならびに各発熱抵抗
体に選択的に通電する複数の電極をそれぞれ整列状に積
層して各発熱抵抗体に発熱ドットを形成し、これらの上
方を保護層により被覆するサーマルヘッドの製造方法に
おいて、前記グレーズ層上に、熱吸収しやすい黒色膜か
らなる熱抵抗層をスパッタリングにより形成し、この熱
抵抗層上に発熱抵抗体を形成することを特徴とするサー
マルヘッドの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2099824A JP2774355B2 (ja) | 1990-04-16 | 1990-04-16 | サーマルヘッドおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2099824A JP2774355B2 (ja) | 1990-04-16 | 1990-04-16 | サーマルヘッドおよびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03297663A JPH03297663A (ja) | 1991-12-27 |
JP2774355B2 true JP2774355B2 (ja) | 1998-07-09 |
Family
ID=14257576
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2099824A Expired - Fee Related JP2774355B2 (ja) | 1990-04-16 | 1990-04-16 | サーマルヘッドおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2774355B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4673729B2 (ja) * | 2004-12-14 | 2011-04-20 | オプトレックス株式会社 | 有機el素子及び有機el表示装置、並びにそれらの製造方法 |
JP6209003B2 (ja) * | 2013-07-18 | 2017-10-04 | 東芝ホクト電子株式会社 | サーマルプリントヘッドおよびその製造方法 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS59146870A (ja) * | 1983-02-10 | 1984-08-22 | Hitachi Ltd | 感熱ヘツド |
JPS6072752A (ja) * | 1983-09-29 | 1985-04-24 | Fujitsu Ltd | サ−マルヘツド |
JPS6292860A (ja) * | 1985-10-18 | 1987-04-28 | Seiko Epson Corp | サ−マルヘツド |
-
1990
- 1990-04-16 JP JP2099824A patent/JP2774355B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03297663A (ja) | 1991-12-27 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |