JP2773976B2 - 超靭性モノリシック窒化ケイ素 - Google Patents

超靭性モノリシック窒化ケイ素

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の説明 1.発明の分野 本発明は窒化ケイ素セラミックスの分野、より詳細に
は高い破壊靱性およびR−曲線挙動(R−curve behav
ior)を示すモノリシック窒化ケイ素セラミックスに関
する。
2.先行技術の説明 今日市販されている窒化ケイ素材料の破壊靱性は4−
7MPa m0.5である。破壊靱性は粒界相の組成および体
積分率にある程度依存し、結晶粒度、結晶粒度分布、お
よびSi3N4結晶粒のアスペクト比(たてよこ比、aspect
ratio)に大幅に依存する。
先行文献[セーレム(J.A.Salem)およびシャノン
(J.L.Shannon Jr.)J.Mater.Science,Vol.22,321−32
4,(1987).ジェンキンス(M.G.Jenkins),Int.j.Fra
cture,Vol.34,281−295(1987)]には、破壊靱性4.7MP
a.m0.5および7MPa.m0.5を有するモノリシック窒化ケイ
素セラミックスが平坦な耐亀裂生長性を有すると報告さ
れている。すなわちこれらのモノリシック窒化ケイ素は
R−曲線挙動を示さない。ここでR−曲線挙動とは亀裂
長さの増大に伴う亀裂生長抵抗性の増大である”と定義
される。
窒化ケイ素セラミックスは、通常はプレッシャーレス
(pressureless)またはプレッシャー−アシスト(pres
sure−assisted)(すなわちホットプレスまたはホット
アイソスタチックプレス)条件下で緻密化される(dens
ify)。窒化ケイ素、すなわち共有結合した材料は一般
にある量の焼結助剤を用いて液相法により緻密化され
る。液相焼結された窒化ケイ素は再構成プロセスによっ
て針状(acicular、needle−like)結晶粒を形成する。
原料粉末中のアルファ−Si3N4粒子は緻密化温度以下で
形成されるオキシニトリド液に溶解し、ケイ素および窒
素のイオンがこの液体を通して輸送され、ベータ−Si3N
4が六角プリズム晶、すなわち針状結晶粒の形で沈殿す
る。
イスケ(J.L.Iskoe)およびランゲ(F.F.Lange),Ce
ramic Microstructures,′76(フルラス(R.M.Fulrat
h)およびパスク(J.A.Pask)監修、ウェストビュー・
プレス、コロラド州ボールダー),669−678(1977)
に、Si3N4結晶粒のアスペクト比は出発粉末のアルファ
−およびベータ−Si3N4相の割合によって特定され、ア
ルファ−相含量の増加に伴ってアスペクト比が増大する
と述べられている。のちにランゲ(F.F.Lange)はJ.Am.
Ceram.Soc.,vol.62,428−430(1979)およびAm.Ceram.S
oc.Bull.,vol.62,1369−1374(1983)に、5%MgOと共
に1750℃で2時間ホットプレスされた窒化ケイ素の破壊
靱性は出発粉末のアルファ−相含量に伴って、従ってア
スペクト比に伴って、増大することを示している。しか
し、靱性は出発アルファ−相含量約70%において約6MP
a.m0.5の最大値に達し、これより高いアルファ−Si3N4
の割合はそれ以上の効果を及ぼさない。
タニ(Tani)らはAm.Ceram.Soc.Bull.,vol.65,1311−
1315(1986)に、シェブロンノッチ法により測定して6.
7−9.0MPa m0.5の破壊靱性を備えた窒化ケイ素の実験
試料を示している。これらの試料の製造に際してタニら
は83%のアルファ−Si3N4を含有する窒化ケイ素粉末を
用いた。これらのセラミックスにつきタニらは、(1)
0−5重量%Al2O3、および5重量%のイットリア(Y2O
3)、ランタナ(La2O3)またはセリア(CeO2)からなる
焼結助剤、(2)1700−2000Cの焼結温度、(3)各種
の温度ランピング(勾配、ramping)および保持スケジ
ュール、ならびに(4)高められた窒素圧の採用につき
述べている。タニらは彼らが報告しているセラミックス
につき耐損傷性(damage tolerance)、R−曲線挙動
またはワイブル(Weibull)モジュラスを示していな
い。
高い破壊靱性を備えたモノリシック窒化ケイ素の製造
に明らかな制限があることを考慮して、SiCホイスカー
を用いてモノリシック窒化ケイ素を強化する試みがなさ
れた。SiCホイスカーを用いて強化したモノリシック窒
化ケイ素についての大部分の報文は、7−9MPa m0.5
の破壊靱性を主張している。SiCホイスカー強化により
達成された最良のものは、シャレク(Shalek)ら、Am.C
eram.Soc.Bull.,vol.65,351−356(1986)のデータによ
り代表される。シャレクらは蒸気−液体−固体(VLS)
法により製造されたSiCホイスカーを用い、SiC−Si3N4
複合材料を一軸ホットプレスにより緻密化した。この複
合材料の破壊靱性はシェブロンノッチ法により測定し
て、ホイスカー容量割合10−30%につき約10MPa m0.5
であった。この複合材料につき耐損傷性、R−曲線挙動
またはワイブルモジュラスは示されていない。
ホイスカー強化複合材料を有用なセラミック部材に加
工する際に、重大な問題が提起された。これらの問題
は、バッチ配合に際して−−この場合ホイスカーは大き
さおよび形状を維持した状態でマトリックス全体に均一
に混合しなければならない−−;未処理材料成形(gree
n forming)に際して−−この場合ホイスカーの配向お
よびデミキシング(demixing)が起こる可能性がある−
−;ならびに複合材料緻密化に際して−−この場合プレ
ッシャーアシスト法(たとえば一軸ホットプレスまたは
ホットアイソスタチックプレス)が必要である−−遭遇
する。さらにこの種のプレッシャーアシスト法は部材の
寸法および形状、ならびに部材の原価に著しい制限を設
ける。この種の問題はガス圧焼結によりモノリシックSi
3N4セラミックスを加工する際には回避される。しかし
現在までにモノリシックSi3N4セラミックスにつき得ら
れた破壊靱性は比較的低かった。
今までに述べたモノリシック窒化ケイ素の特性のほか
に、これらのセラミックスの熱伝導率は約25−約40W.m
-1.K-1である[たとえば“Engineering Property Dat
a on Selected Ceramics,Vol.1,Nitrides"、バトル
・コロンブス・ラボラトリーズ、オハイオ州コロンブ
ス、5.3.3−3頁(1976)、ならびにツィーグラー(G.Z
iegler)およびハッセルマン(D.P.H.Hasselman),J.M
ater.Sci.,Vol.16,495−503(1981)を参照された
い]。
このように現在までモノリシック窒化ケイ素セラミッ
クスは比較的低い破壊靱性、低いワイブルモジュラスお
よび低い熱伝導率を有し;R−曲線挙動または耐損傷性を
もつことが示されたモノリシックSi3N4セラミックスは
無い。
発明の要約 本発明は経済的に製造され、かつ高い破壊靱性を備え
た窒化ケイ素系セラミックを提供する。このセラミック
のシェブロンノッチ破壊靱性は9MPa m0.5以上、好ま
しくは少なくとも約9.5MPa m0.5、一般に9.25−11MPa
0.5である。さらにこのセラミックスはR−曲線挙
動を示し、これにより製造または使用に際して誘導され
る傷(flaw)に対してより耐容性となる。本発明により
製造されるセラミックスは4点曲げ強さワイブルモジュ
ラス少なくとも15、および式 B=d(log S)/d(l
og P)により表わされる耐損傷性をもつ。式中、Sは
押込み(indentation)後に測定した4点曲げ強さ(4
point bend strength)であり、Pはビッカース押
込み荷重(Vickers indentation load)であり、Bは
−0.3以上である。さらに本発明のモノリシック窒化ケ
イ素セラミックスの熱伝導率は45W・m-1・K-1以上であ
り、しばしば80W.m-1.K-1に及ぶ。
R−曲線挙動(R−curve behavior)とは、亀裂(c
rack)の長さが増大するにつれて、亀裂の長さの関数と
して、亀裂成長に対する抵抗性が増大することをいう。
さらに本発明はモノリシック窒化ケイ素系セラミック
の製法において、緻密化温度より低い固相線温度(soli
dus temperature)を有し、かつ熱処理期間中安定な状
態を維持する焼結助剤の存在下に、セラミックスを緻密
化および熱処理する方法を提供する。緻密化および熱処
理工程を少なくとも約1850℃、好ましくは約1900−2100
℃の温度で、少なくとも30分間実施することにより、セ
ラミックスがR−曲線挙動および高い破壊靱性を共に示
す大きさおよび分布の針状Si3N4結晶粒の生長がセラミ
ックス内で促進されることが見出された。
こうして、高い針状(acicular)微細構造および高密
度の大型結晶粒を有し、さらにまた高い破壊靱性(たと
えば9−18MPa m0.5のシェブロンノッチ破壊靱性)、
R−曲線挙動(B定数−0.3以上、のちに詳述する)、
高い耐損傷性(たとえば欠損を有する試料が、曲げ応力
下にある試料の引張り面に対する196ニュートン(N)
のビッカース押込み後も強固な状態を維持し、しばしば
60%に及ぶ強度を保持する)、高いワイブルモジュラス
(たとえば12以上、しばしば20以上に及ぶ)、および卓
越した熱伝導率(45W・m-1・K-1以上、しばしば80W・m
-1・K-1に及ぶ)を示すモノリシック窒化ケイ素セラミ
ックスが提供される。
有利なことに、ホイスカー強化複合材料の成形および
緻密化に伴う問題が実質的に排除される。モノリシック
窒化ケイ素系セラミックが、強靱、耐久性であり、かつ
操作に際しての信頼性を備えた種々の寸法および形状の
ものに容易に加工される。その結果、本発明のセラミッ
クスは耐力用途、たとえば広い操作温度範囲を有する静
止または移動式ターボ機械部材、ポンプおよび弁の部
材、内燃機関部品、バイトなどに用いるのに特に適して
いる。さらに本発明のセラミックスはセラミック複合材
料のマトリックスとして用いるのに適している。
図面の簡単な説明 本発明は以下の詳細な説明および添付の図面を参照す
ることによってより良く理解され、他の利点も明らかに
なるであろう。
第1(a)図は、1765℃の温度で2時間緻密化した窒
化ケイ素系セラミックスの破面(fracture surface)
の走査電子顕微鏡写真である; 第1(b)図は、1900℃の温度で2時間緻密化し、そ
して2050℃の温度で2時間熱処理した、窒化ケイ素系セ
ラミックスの破面の走査電子顕微鏡写真である; 第2図は、1900℃の温度で90分間緻密化し、そして20
00℃の温度で2時間熱処理した、窒化ケイ素系セラミッ
クスの破面の走査電子顕微鏡写真である; 第3(a)図は、1900℃の温度で2時間緻密化し、そ
して2050℃の温度で3時間熱処理した窒化ケイ素系セラ
ミックスの磨き面の走査電子顕微鏡写真である; 第3(b)図は、第3(a)図の窒化ケイ素系セラミ
ックの破面の走査電子顕微鏡写真である; 第4図は、靱性を亀裂長さの関数として測定したグラ
フであり、このグラフは異なる窒化ケイ素ビレットにつ
いてのR−曲線挙動を示し、ビレットは第3(a)およ
び3(b)図のセラミックスの条件下で緻密化および熱
処理された; 第5(a)および5(b)図は、第4図のビレットの
走査電子顕微鏡写真であり、まがりくねった亀裂経路を
示す; 第6図は、第1(a)図のセラミックについて押込み
(indentation)荷重の関数として測定した押込み曲げ
強さのプロットである; 第7図は、市販の窒化ケイ素系セラミックおよび第3
(a)図のセラミックについて、押込み荷重の関数とし
ての押込み曲げ強さを表すグラフである; 第8図は、第7図に示したデータを等分目盛上に表し
たグラフである; 第9図は、第3(a)図のセラミックについて4点曲
げ強さの関数として測定した破壊の累積確率のプロット
である;ならびに 第10図は、R−曲線挙動の測定に使用した二重片持ば
り試験片の模式図である。
発明の詳細な説明 窒化ケイ素セラミックスの製造に際しては、一般に平
均粒径2μm以下、アルファ窒化ケイ素含量約90重量%
の窒化ケイ素粉末を焼結助剤と混合する。
焼結助剤は下記のものからの単一の酸化物、窒化物、
その他の化合物:IIIB族金属Sc、YおよびLa;希土類Ce、
Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybおよ
びLu;IIA族金属Be、Mg、Ca、SrおよびBa;IIIA族金属Al
およびTi;ならびにシリカ、または上記化合物の適切な
組み合わせであってもよい。焼結助剤の個々の組成は下
記になるように選ばれる: (a)窒化ケイ素粉末を目的の緻密化温度で緻密化して
有用なセラミックにすることができる; (b)広い温度範囲にわたって強固かつ強靱であるセラ
ミックを生じる、および; (c)適切な耐酸化性および耐熱衝撃性を備えたセラミ
ックを与える。
焼結助剤は、緻密化が進行し、目的とする微細構造の
発現が起こりうるのに十分な量で使用すべきである。焼
結助剤は好ましくは6重量%以上、より好ましくは7重
量%以上、極めて好ましくは8重量%以上の量で存在す
べきであり、残部は窒化ケイ素である。
窒化ケイ素および焼結助剤の混合物をスリップ注型、
コールドアイソスタチックプレス、ダイ成形その他通常
のセラミック加工法により目的の形状に成形する。こう
して成形された未処理セラミック部品を一般に電気加熱
炉内で窒素含有雰囲気において焼成することにより緻密
化する。
本発明の重要な特色は、低コストの一般的なセラミッ
ク加工技術を用いて高靱性のセラミックスを成形しうる
ことである。緻密化プロセスは1工程または多工程のも
のいずれであってもよい。それは1または多数の温度ラ
ンピング段階を備えることができ、その速度は満足すべ
き熱伝達が起こりうるものである。緻密化プロセスは1
または多数の温度保持段階を備えることもできる。しか
しこのプロセスでは、セラミックを緻密化が起こりかつ
目的の微細構造が発現するのに十分なほど高い温度とな
し、かつそれに十分な期間この温度環境を維持しなけれ
ばならない。緻密化および熱処理プロセスでは、セラミ
ックを少なくとも1850Cに加熱し、少なくとも30分間保
持すべきである。セラミックを好ましくは少なくとも19
00Cの温度に少なくとも90分間、極めて好ましくは少な
くとも1950Cの温度に少なくとも150分間保持すべきであ
る。
セラミックを上記の特定の温度および時間設定で処理
することは、目的とする微細構造を発現させるために必
要であり、これによって高い破壊靱性、R−曲線挙動、
高いワイブルモジュラスおよび耐損傷性−−耐衝撃性、
耐熱衝撃性、耐クリープ性および長い応力破断寿命を含
む−−が得られる。
以下の例は本発明をより完全に理解するために提示さ
れる。本発明の原理および実際を説明するために示され
た特定の技術、条件、材料、割合、および報告されたデ
ータは例示であり、本発明の範囲を限定するものと解す
べきでない。実施例1、2−5および7−19は、窒化ケ
イ素および焼結助剤の粉末混合物の調製法;この粉末混
合物を後続の緻密化のために圧縮体に成形する方法;な
らびに新規な窒化ケイ素セラミックスを得るために緻密
化に際しての温度、時間および窒素圧を設定する方法を
詳述する。これらのセラミックスは高密度の大型結晶粒
を含む新規な微細構造をもち、通常は9.25−11.0MPa.m
0.5の高い破壊靱性(シェブロンノッチ法により測定)
を特色とする。高い破壊靱性のほかにこれらのモノリシ
ック窒化ケイ素セラミックスは亀裂長さの増大に伴って
増大する耐亀裂生長性すなわちR−曲線挙動、高い耐損
傷性、高いワイブルモジュラスおよび熱伝導率を備えて
いる。“試験1.R−曲線挙動”、“試験2.押込み/強度
挙動”、および“試験2.ワイブルモジュラス”はセラミ
ックスをそれぞれR−曲線挙動、耐損傷性、およびワイ
ブルモジュラスにつき試験するために採用される方法を
示す。これらの方法はセラミックスの特性を解明するた
めに容易に採用しうるものである。
比較例1 1.試料の調製 アルファSi3N4含量が85%以上であり、BET表面積12m2
/g、C、Cl、Fe、Al、CaまたはKの金属系またはカチオ
ン系不純物水準0.1重量%以下、酸素含量1.7−1.9重量
%を有し、平均結晶粒度0.6μmを有するSi3N4粉末を用
いた。この窒化物粉末を4重量%のイットリア(Y2O3
および4重量%のMgAl2O4焼結助剤粉末と混合した。両
焼結助剤粉末は純度99.9重量%および平均結晶粒度10μ
m以下を有していた。配合された350gの重量の混合物を
1リットルのポリエチレン容器内で粉砕媒体ジルコニア
および500ccのイソプロピルアルコールを用いて、少な
くとも2.5時間湿式摩砕した。混合物を真空乾燥し、ポ
リエチレン容器内で粉砕媒体ジルコニアを用いて、少な
くとも2時間乾式摩砕し、得られた粉末を60メッシュの
ナイロンスクリーンにより篩分けした。次いでこの摩砕
粉末を30,000psi(206.8MPa)でアイソスタチックプレ
スして2cm×2cm×6cmのバーとなし、次いでこれを1765C
で1気圧の窒素ガス下に2時間焼成した。
2.焼結ビレットの解析 焼結体の密度は水浸漬法または幾何学的方法により測
定され、3.17−3.23gcc(97%TD以上)であることが認
められた。破壊靱性値はシェブロンノッチ付き試料につ
き幾何学的方法により測定され、6.0(±0.25)MPa m
0.5であることが認められた。
第1(a)図はこの例において製造したセラミックの
破面の走査電子顕微鏡写真である。この顕微鏡写真はこ
の材料の微細構造が極めて微細な結晶粒からなることを
示す。
実施例1 1.試料の調製 比較例1に記載したと同一組成のコールドアイソプレ
スしたバーを同様な方法により調製した。これらのビレ
ットを130psi(0.90MPa)のN2下に1900Cで2時間、そし
て1200psi(約8.27MPa)のN2下に2050Cで3時間焼成し
た。
2.焼結ビレットの解析 焼結体の密度は水浸漬法または幾何学的方法により測
定され、3.23gccであることが認められた。破壊靱性値
はシェブロンノッチ付き試料につき幾何学的方法により
測定され、10.3MPa m0.5であることが認められた。
焼結試料の微細構造を走査電子顕微鏡検査により調べ
た。
第1(b)図はこの材料の破面を示す。微細構造は広
範に分布した小型および大型の針状結晶粒からなり、こ
れがこの材料の高い靱性をもたらす。
実施例2−19 1.未処理試料の調製 アルファSi3N4含量が85%以上であり、100PPM以下の
金属系不純物、たとえばFe、Al、Ca、NaまたはK、およ
び1.7−1.9重量%の酸素を含有し、平均結晶粒度0.6μ
m、および比表面積12.2m2/gを有するSi3N4原料粉末
を、第1表に示す添加物と混合した。添加物は純度99重
量%以上および平均結晶粒度10μm以下を有していた。
混合は第1表に示す条件に従って行われた。次いでこう
して配合された原料200−300gを1.2リットルのプラスチ
ックボトル内で粉砕媒体ジルコニアおよびイソプロパノ
ール(500cc)を用いて、少なくとも6時間湿式摩砕し
た。スラリーを一夜真空乾燥し、摩砕された粉末を30メ
ッシュの篩により篩分けした。次いでこの篩分けされた
粉末を206MPaの圧力でアイソスタチックプレスしてほぼ
2cm×2cm×6cmの寸法のビレットを得た。
2.焼成プロセス 上記により調製したビレットをグラファイトるつぼに
入れた。直径15mm×高さ22mmの高温帯域を備えた2帯域
カーボン炉にこのるつぼを装入した。次いで炉を排気
し、純窒素ガスにより50PSi(0.35MPa)に加圧した。3
回の放圧−加圧サイクルののち、炉を第1表に示す加熱
スケジュールで操作した。
3.焼結ビレットの解析 焼結体の密度は水浸漬法または幾何学的方法により測
定された。破壊靱性値はショートバー(short bar)シ
ェブロンノッチ付き、または3点曲げシェブロンノッチ
付き試料につき幾何学的方法により測定された。結果を
第2表に示す。焼結試料の微細構造をSEMにより調べ
た。第2(a)図は実施例2において調製した試料の破
面を示す。
実施例2において製造した窒化ケイ素セラミックの微
細構造を第2図に示す。これは走査電子顕微鏡検査によ
り得られた顕微鏡写真である。
実施例3に従って製造した窒化ケイ素の微細構造を第
3(a)および3(b)図に示す。第3(a)図はセラ
ミックの磨き断面の顕微鏡写真である。第3(b)図は
実施例3のセラミックの破面の顕微鏡写真である。磨き
面および破面共にこのセラミックが高密度の大型窒化ケ
イ素結晶粒を含むことを示す。
比較例20 比較例1の方法に従って処理した。すなわち常法によ
り処理したSi3N4の熱伝導率は破壊靱性約5.3MPa.m0.5
有することが認められた。この材料の温度拡散率はレー
ザーフラッシュ法により測定され、23℃で0.117cm2.s-1
であることが認められた。このビレットの比熱および密
度は周囲温度でそれぞれ0.6532J.g-1.K-1および3.25g.c
m-3であった。これらのデータからこの窒化ケイ素の熱
伝導率は周囲温度で24.8W.m-1.K-1であると計算され
る。この熱伝導率の値は、特許明細書および文献に窒化
ケイ素に関して報告された値の範囲内(約25−約40W.m
-1.K-1)にある。
実施例20 実施例3と同様に焼結された、6.75重量%のLa2O3
2.25重量%のY2O3、1.0重量%のSiO2を含む窒化ケイ素
は、破壊靱性約11MPa.m0.5を有することが認められた。
この材料の温度拡散率はレーザーフラッシュ法により測
定され、23℃で0.3320cm2.s-1であることが認められ
た。このビレットの比熱および密度は、周囲温度でそれ
ぞれ0.6331J.g-1.K-1および3.3g.cm-3であった。これら
のデータからこの窒化ケイ素の熱伝導率は周囲温度で6
7.3W.m-1.K-1であると計算される。この熱伝導率の値は
特許明細書および文献に窒化ケイ素に関して報告された
約25−約40W.m-1.K-1の熱伝導率の値よりはるかに高
い。
実施例21 6重量%のLa2O3、2重量%のY2O3、2重量%のSrOを
含む窒化ケイ素を、250psi(1.72MPa)の窒素下に1950
℃で4時間、次いで1500psi(10.34MPa)の窒素下に205
0℃で4時間焼結し、破壊靱性約12.3MPa.m0.5を有する
ことが認められた。この材料の温度拡散率はレーザーフ
ラッシュ法により測定され、23℃で0.382cm2.s-1である
ことが認められた。このビレットの比熱および密度は周
囲温度でそれぞれ0.6306J.g-1.K-1および3.33g.cm-3
あった。これらのデータからこの窒化ケイ素の熱伝導率
は周囲温度で80.2W.m-1.K-1であると計算される。この
熱伝導率の値は特許明細書および文献に窒化ケイ素に関
して報告された約25−約40W.m-1.K-1の熱伝導率の値よ
りはるかに高い。
常法により処理され、1765℃で焼結された比較例1の
窒化ケイ素は、破壊靱性6.0MPa.m0.5を有していた。こ
の材料の押込み/強度挙動は試験2の定数Bにつき−0.
3013の値を与え、これはこのセラミックがR−曲線挙動
または耐損傷性を示さないことを示す(定数Bが−1/3
に等しいセラミックスはR−曲線挙動を示さないことが
理論的に推定され、−0.3013の値は98%の信頼水準にお
いて−1/3と有意に異ならない)。この窒化ケイ素がR
−曲線挙動を示さないことは、常法により処理された窒
化ケイ素についてのセーレムおよびシャノン(1987)の
初期の知見と一致する。
比較例1に例示される常法により処理された窒化ケイ
素と著しく対照的に、本発明に従って処理された、実施
例1、2−5、7−19および20−21に記載する窒化ケイ
素は意外にもR−曲線挙動、耐損傷性、高いワイブルモ
ジュラスおよび熱伝導率を示す。たとえば高度に針状の
微細構造および高密度の大型結晶粒を特色とする実施例
3の窒化ケイ素は、亀裂の伸長に伴って著しい耐亀裂生
長性の増大を示す。すなわちこれはR−曲線挙動を示
す。この挙動はこのセラミックの特異な微細構造の結果
であり、これにより成長する亀裂の経路は極めて曲がり
くねったものとなり(亀裂偏向プロセス)、亀裂の軌跡
形成に際して結晶粒架橋プロセスが生じる。本発明の窒
化ケイ素のR−曲線挙動は極めて意外な結果である。
本発明の窒化ケイ素のR−曲線挙動はそれらの押込み
/強度挙動によっても確認される。たとえば実施例3の
セラミックについての試験2の定数Bの値は−0.227で
あり、これは−1/3よりはるかに大きく、従って本発明
のセラミックは強いR−曲線挙動を示す。このセラミッ
クについての定数Bの値がより高いことが示すものは、
押込み荷重(すなわち損傷)の増大に伴う強度の低下率
が、R−曲線挙動を示さない材料について対応する率よ
り小さいということである。言い換えると、R−曲線挙
動を示す実施例3のセラミックは、同一の押込み荷重下
で損傷を受けた場合、R−曲線挙動を示さないセラミッ
クより高い割合のその初期強度を保持する。たとえば実
施例3の材料はビッカース圧子により196Nの荷重におい
て押込み処理されたのちその初期強度の60%を保持する
が、R−曲線挙動を示さないセラミックはその初期強度
の25%を保持するにすぎない。これらのデータは、R−
曲線挙動を示す本発明のモノリシック窒化ケイ素セラミ
ックはR−曲線挙動を示さない匹敵するセラミックより
良好な耐損傷性を備えていることをも示す。
さらに本発明のモノリシック窒化ケイ素セラミックは
その特異な微細構造の結果、より高いワイブルモジュラ
スを示す。ワイブルモジュラスはセラミックの強度分布
の尺度であり、これは材料の臨界傷寸法(critical fl
aw size)の分布を反映する。臨界傷寸法の分布は、セ
ラミックの製造に用いられた粉末、粉末が受けた特定の
処理、圧縮粉の成形に用いられた方法、圧縮粉の緻密化
に用いられた方法、焼結セラミックが受けた特定の処
理、試験片の調製に際してセラミックスに与えられた機
械加工傷、およびセラミックの微細構造により影響を受
ける。これらの理由から、上記作用のうち2以上におい
て異なる方法により処理されたセラミックスについてワ
イブルモジュラスの比較を行うべきではない。
この比較は、比較例1および実施例3において製造さ
れたセラミックスについては行うことができる。両例に
おいて未処理粉末が同一方法により混合および圧縮さ
れ、焼結セラミックスは追加処理を施されず、かつ同一
技術により機械加工されて試験片となされているからで
ある。比較例1の方法により製造されたモノリシック窒
化ケイ素のワイブルモジュラスは7−10である。これら
の値は、コールドアイソスタチックプレス(前記の各実
施例において採用された方法)により成形された圧縮体
から製造され、そのセラミックスが極めて微細な結晶粒
から構成される微細構造を有し、R−曲線挙動を示さな
い窒化ケイ素セラミックスのワイブルモジュラスに典型
的である。他方、高度に針状の結晶粒の微細構造および
高密度の大型結晶粒を有し、明白なR−曲線挙動を示す
実施例3の窒化ケイ素の対応するモジュラスは18.2であ
る。本発明の窒化ケイ素セラミックスに関するこの高い
値のワイブルモジュラスは、この材料の特異な微細構造
およびR−曲線挙動を反映する。
さらに本発明の窒化ケイ素は予想外に、異常に高い熱
伝導率を有する。常法により処理された比較例20に示し
たセラミックの熱伝導率はわずか24.8W.m-1.K-1であ
り、これは先行技術における同様なセラミックスの熱伝
導率値の範囲内にある。対照的に実施例20および21に示
した本発明のセラミックスの熱伝導率はそれぞれ67.3お
よび80.2W.m-1.K-1である。これらの値は先行技術に報
告された最良の熱伝導率よりはるかに高い。実施例21の
セラミックの熱伝導率がツィーグラーおよびハッセルマ
ン(1981)により報告された最良の熱伝導率値の2倍で
あることに注目すべきである。本発明の窒化ケイ素セラ
ミックスの高い熱伝導率はこのセラミックの耐熱衝撃性
を改善し、熱的に一過性の環境において発生する熱応力
を低下させる。いずれか特定の理論には拘束されない
が、このセラミックの高い熱伝導率はその特異な微細構
造(すなわち高密度の、大型、高結晶化度の結晶粒)お
よび適度な使用量の焼結助剤に起因すると考えられる。
セラミックの配合に際しては、完全な緻密化を達成す
るためだけでなく、先に論じた高い破壊靱性、R−曲線
挙動、耐損傷性、高いワイブルモジュラス、および高い
熱伝導率をもたらす特異な微細構造を達成するために
も、適量の焼結助剤が必要である。意外にも、焼結助剤
を約6重量%以下用いた場合、得られるセラミックは微
細構造が高度に針状であっても低い破壊靱性をもつこと
が見出された。この知見は実施例6により製造されたセ
ラミックによって示される。6重量%の焼結助剤の存在
下で完全密度にまで焼結した場合、セラミックはわずか
3.02MPa.m0.5の破壊靱性を示した。これらの知見と対照
的に、焼結助剤の量を8重量%以上に増加した場合、得
られるセラミックスの破壊靱性は9.28−11.0MPa.m0.5
あることが認められた。これらのデータは、高い破壊靱
性および先に述べた他の望ましい特性を備えた窒化ケイ
素セラミックスを得るためには焼結助剤の使用量は約6
重量%より多くなければならないことを示す。他方、焼
結助剤の量が約18重量%より多いと、得られるセラミッ
クは焼結セラミック中に存在すると思われる大量の酸化
物またはオキシニトリド粒界相のため、高温で良好な機
械的特性、たとえばヤング率、曲げおよび引張り強さ、
または耐クリープ性を示さないであろう。
試験1.R−曲線挙動 本発明の窒化ケイ素セラミックスの耐亀裂生長性を亀
裂伸長の関数として、ライヒル(A.Reichl)およびスタ
インブレヒ(R.W.Steinbrech),J.Am.Ceram.Soc.,vol.
71,C−299−C−301(1988)が述べた二重片持ばり(DC
B)法により測定した。耐亀裂生長性すなわち靱性が亀
裂伸長と共に増大した場合、その材料はR−曲線挙動を
示すと言う。
実施例3により製造した円筒形のビレットを切断して
角形のプレートとなし、約3mm厚にダイヤモンド研削し
た。これらのプレートから最終寸法約30×25×3mmの、
第10図に示す種類の“ショート"DCB試験片を作成した。
30×25mm面の一方を1μm仕上げにダイヤモンド研削し
た。23mmのノッチを800μmのダイヤモンドのこにより
切込み、さらに始動亀裂として作用する2mmのノッチを
約800μmのダイヤモンドのこにより切込んだ。
窒化ケイ素の靱性を亀裂伸長の関数として、空気中で
の安定な亀裂生長実験から測定した。オハイオ州クリー
ブランド、ケース・ウェスターン・リザーブ・ユニバー
シティの走行顕微鏡を備えた専用試験機を用いて、亀裂
長さ、荷重および偏向を同時に測定した。靱性曲線はコ
ンプライアンス実験データから下記の方程式により計算
された: 式中、Gは歪エネルギー放出率であり、Pは荷重であ
り、BはDCB試験片の厚さであり、dcは亀裂伸長に伴う
コンプライアンスの変化である;ならびに 式中、Eおよびnはそれぞれヤング率およびポアソン比
であり、Krは破壊靱性である;リーデイ(Readey)ら,
Mat.Res.Soc.Symp.Proc.,vol.78,107−120(1987)に論
述。
本発明の窒化ケイ素の靱性曲線を第4図に示す。この
曲線は、このセラミックの靱性が亀裂長さと共に増大
し、従ってこの窒化ケイ素はR−曲線挙動を示すことを
表す。第4図のデータは、この材料の破壊靱性が約1.5m
mの亀裂伸長にわたって約4.7から約10.0MPa m0.5に増
大し、それ以上の亀裂増大に際してほぼ一定に保持され
ることを示す。
第5(a)および5(b)図はDCB試験片内で安定に
生長した短い長さの亀裂を示す。第5(a)図は約2.5m
mに生長した典型的な亀裂の形態を示す。この亀裂は頻
繁にかつ急角度で偏向する曲がりくねった経路をとる。
これらの偏向は一部はこの窒化ケイ素の高い靱性に関与
し、これはフェイバー(K.T.Faber)およびエバンス
(A.G.Evans),J.Am.Ceram.Soc.,vol.66,C−94−C−9
6(1983)が述べた亀裂偏向による強化と同様である。
第5(b)図は、亀裂が結晶粒位置を越えて生長する
のに伴ってそのプリズマティック軸(prismatic axi
s)に対しほぼ90ÅCの角度で破断した大型窒化ケイ素
結晶粒を示す。さらに結晶粒は、亀裂がさらに生長する
のに伴ってセラミックのバルクと共にそのソケットから
わずかな距離だけ引き出されている。この図は、当技術
分野で亀裂架橋および繊維引き出し(fiber pull−ou
t)プロセスとして知られる現象がこの高靱性窒化ケイ
素において有効であることを証明する。これらの現象は
主として、このセラミックが示すR−曲線挙動に関与す
る。意外にも、このR−曲線挙動は本発明に従って緻密
化および熱処理された窒化ケイ素セラミックスにおいて
観察される。
試験2.押込み/強度挙動 押込み/強度測定は、ある材料がR−曲線性を備えて
いるか否かについての情報を提供する比較的迅速かつ簡
単な実験である;クラウス(R.F.Krause,Jr.),J.Am.C
eram.Soc.,vol.71,338−43(1988)に論述。さらにこれ
らの測定により得られたデータを強度−対−押込み荷重
としてプロットすると、その材料の耐損傷性が示され
る。
押込み/強度測定は被験材料を3mm×4mm×50.8mmのバ
ーに切断することにより行われる。押込みはバーの中央
領域にビッカースダイヤモンド圧子を用いてなされた。
次いで押込み面を引張り側にして4点曲げ加重下に、押
込み処理バーの破壊強さ、S、を測定した。9.8−294N
の一連の押込み荷重、P、を付与し、各バーを個々の押
込み荷重で押込み処理した。各バーが押込み部位から開
始する破壊亀裂により破壊すべく注意を払った。押込み
部位から速やかな破壊が開始する確率を高めるために、
49N以下の荷重により押込み処理したバーに、一般に4
または5箇所の押込みを0.5mm間隔で付与した。被験材
料のR−曲線挙動の形状および規模に関する正確な情報
を得るために、押込み前にバーの表面を1μm仕上げに
ダイヤモンド研削して、機械加工により誘導された残留
応力を除去した。
シャンティカル(P.Chantikul)ら、J.Am.Ceram.So
c.,vol.64,539−543(1981)に論述される破壊機構分析
によれば、押込み強さS−対−押込み荷重Pのlog−log
プロットは下記の方程式に従う直線になるはずであり: logS=logA+BlogP かつ、この直線の勾配B、すなわち は、その材料がR−曲線挙動を示さない場合−1/3に等
しいはずであると予想される。このモデルは立証され、
セラミックスの破壊靱性を測定するために広く利用され
ている。さらに、数種のモノリシック窒化ケイ素セラミ
ックスが−1/3に等しいBを有することが示され(たと
えばシャンティカル(P.Chantikul)ら,J.Am.Ceram.So
c.,vol.64,539−43(1981)およびタジマ(Tajima)ら,
Powder Processing Science,フロリダ州オルランド
ー,1987年11月1−4日を参照されたい)、これはこれ
らの窒化ケイ素材料がR−曲線挙動を示さないことを表
す。
破壊機構によれば、ある材料がR−曲線挙動を示す場
合Bは−1/3より大きいであろうということも予想され
る[クラウス(1988)]。
比較例1の材料についての押込み/強度データを第6
図にプロットする。これらのデータの最小2乗分析は、
勾配、B、が−0.3013に等しく、これは98%の信頼水準
で、R−曲線挙動を示さない材料につき予想される理論
値−1/3と有意差がないことを示す。比較例1において
論じたように、この材料の破壊靱性は比較的低い6.0MP
a.m0.5である。この材料の微細構造は第1a図に示すよう
に極めて微細な結晶粒からなり、これは亀裂架橋および
結晶粒引き出し現象を生じない。従ってこの材料は押込
み強さのデータにより立証されるように、R−曲線挙動
を示さない。
第7図は、実施例3で製造した試料の押込み/強度特
性を、技術水準の日本製の市販モノリシック窒化ケイ素
と比較したものである。このグラフは下記のことを示
す:(1)実施例3の材料はB=−0.227を有し、これ
は−1/3より有意に大きく、従って強いR−曲線挙動を
表す;(2)市販の材料はB=−1/3を有し、これはこ
の窒化ケイ素がR−曲線挙動を示さないことを表す。従
って押込み/強度の結果から、実施例3の材料が強いR
−曲線挙動を示すことを表すDCBの結果が確認された。
実施例3の材料の破面の顕微鏡写真[第3(b)図参
照]を比較例1で製造した材料(R−曲線挙動を示さな
い)の破面の顕微鏡写真である第1(a)図と比較する
と、前者の破壊経路の方が曲がりくねっていることが明
らかである。このより曲がりくねった経路は微細構造の
有意差の結果である。実施例3の材料は特に広い結晶粒
度分布の微細構造が生じるべく処理され、個々の結晶粒
は幅0.5−50μm、長さ5−500μmの粒度をもつ。これ
らの結晶粒は、有意な強化が得られ、破壊靱性(10.6MP
a.m0/5)が比較例1の材料の約2倍になるように形成さ
れ、分布する。さらに、これらの大型針状結晶粒は生長
する亀裂の軌跡においてホイスカー様に機能し、従って
架橋および/または結晶粒引き出し型の機構が存在する
[第5(a)および(b)図参照]。試験1および2に
おいて立証されたように、これらの機構が存在すること
により材料は強いR−曲線挙動を示す。
第7図には、実施例3で製造されたセラミックスにつ
いて押込み荷重(すなわち損傷)が増大するのに伴う強
度低下率は技術水準の市販モノリシックSi3N4セラミッ
クのものより低いことが示される。すなわち、強いR−
曲線挙動を示す実施例3の材料は望ましい耐損傷性を備
えている。この特性は第8図を調べることによってより
容易に認められる。これは第7図のデータを等分目盛に
表したものである。初期には市販のSi3N4セラミックは
約900MPaの強度をもち、これは実施例3で製造された材
料より約40%強靱である。しかしわずか29.4Nの押込み
(すなわち損傷)ののち、本発明により製造された材料
の方が強靱なものになる。196Nの押込みののち、市販の
Si3N4セラミックはその初期強度の75%を失ったが、本
発明の材料はなおその初期強度の60%を保持し、市販の
材料より約40%強靱である。ビッカース押込み誘発性損
傷は使用中のセラミックスに対する衝撃損傷に近似する
ことが一般に認められている。さらにR−曲線挙動を示
す材料は衝撃損傷に対してのみでなく、他の形の損傷、
たとえば物理的、化学的および熱的損傷に対しても高い
抵抗性をもつ。すなわち高い靱性およびR−曲線挙動を
示す本発明の材料は損傷に際してその強度をより高い割
合で保持し、従って耐損傷性材料であると言える。
試験3.ワイブルモジュラス R−曲線挙動を示す材料の他の望ましい特性は狭い強
度分布である[ケンダル(K.Kendall)ら、J.Mater.Re
s.,vol.1,120−123(1986);クーケ(R.F.Cooke)およ
びクラーク(D.R.Clarke),Acta.Metall.,vol.36,555
−562(1988)]。強度分布はワイブルの破断確率分布
関数を構成し、下記の方程式により表される: F(σ)=1−exP(−(σ/σ) 式中、 F(σ):強度値σにおける破断確率分布関数; σo: 定数;および m: ワイブル定数。
ワイブルの破断確率分布関数の定数であるmが大きいほ
ど、強度分布は小さい。mが小さいほど、強度分布は大
きい。ケンダルらおよびクーケらのモデルは、強いR−
曲線挙動を示す材料についてはmは2倍以上になる可能
性があることを示す。
第9図は実施例3で製造されたセラミックスについて
のm値が18.2であることを示す。この値は文献に報告さ
れた値−−常法により処理されたセラミック材料につい
ては一般にmは10に近い−−と比較して高い。本発明の
アイソプレスされた材料の極めて高いワイブルモジュラ
スは、その材料が保有するR−曲線挙動の直接的結果で
ある。
フロントページの続き (72)発明者 リ,チェン―ウェイ アメリカ合衆国ニュージャージー州 07039,リビングストン,クレセント・ ロード 11 (72)発明者 ヤマニス,ジェーン アメリカ合衆国ニュージャージー州 07962,モーリスタウン,フェアマウン ト・アベニュー 38 (72)発明者 カラスクイロ,ギルバート アメリカ合衆国ニュージャージー州 07603,ボゴタ,ウエスト・フォート・ リー・ロード 41 (56)参考文献 特開 昭61−201663(JP,A) 特開 昭59−213676(JP,A) 特開 昭59−199577(JP,A) 特開 昭63−233078(JP,A)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均シェブロンノッチ破壊靱性が9.25〜11
    MPa・m0.5の範囲内にあり、かつ周囲温度における熱伝
    導率が少なくとも45W・M-1・K-1であり、かつ亀裂長さ
    の増大の関数として亀裂成長に対し増大した抵抗性を示
    すR−曲線挙動を備えた、高度に針状の微細構造と、高
    密度の大結晶粒を有するモノリシック窒化ケイ素セラミ
    ック。
  2. 【請求項2】4点曲げ強さワイブルモジュラスが少なく
    とも15である請求項1に記載のセラミック。
  3. 【請求項3】式 B=d(log S)/d(log P)(但
    し式中Sは押込み後に測定した4点曲げ強さであり、P
    はビッカーズ押込み荷重であり、Bは−0.3より大きい
    値である)で表される耐損傷性を有する請求項1に記載
    のセラミック。
  4. 【請求項4】緻密化温度より低い固相線温度を有し、か
    つ熱処理中安定状態を維持する焼結助剤の存在下で、緻
    密化および熱処理された請求項2に記載のセラミック。
  5. 【請求項5】焼結助剤が少なくとも6.5重量%の量で存
    在する請求項4に記載のセラミック。
  6. 【請求項6】焼結助剤が少なくとも8重量%の量で存在
    する請求項4に記載のセラミック。
  7. 【請求項7】焼結助剤が6.5−18重量%の量で存在する
    請求項4に記載のセラミック。
  8. 【請求項8】緻密化および熱処理工程が少なくとも1850
    ℃の温度で少なくとも30分間実施された請求項4に記載
    のセラミック。
  9. 【請求項9】緻密化および熱処理工程が少なくとも1900
    ℃の温度で少なくとも90分間実施された請求項4に記載
    のセラミック。
  10. 【請求項10】緻密化および熱処理工程が少なくとも19
    50℃の温度で少なくとも150分間実施された請求項4に
    記載のセラミック。
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