JP2773817B2 - 育苗培地及び育苗方法 - Google Patents
育苗培地及び育苗方法Info
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びそれを用いた効率的な育苗方法に関するものである。
本発明の育苗培地は、長期育苗作物、中でもネギのよう
な好アンモニア性で長期育苗期間を要する作物用として
好適であり、また広範囲の育苗形態で使用でき、例えば
プランターや庭用、さらにハウス栽培、トンネル栽培、
砂耕栽培などの農家や企業の業務用として有用である。
理的性質にも優れていることが必要であり、これまで全
農の培土の検査基準を満たすために、造粒した粒状培土
や、保水力や保肥力に優れたピートモスと透水性や通気
性のよいバーミキュライトを配合した粉状培土などが提
案されている。
果菜用、葉菜用等に大別され、肥効日数がせいぜい1か
月までであるにすぎず、ネギのように2か月、3か月と
いった長期育苗を要する作物に対しては、追肥しなけれ
ば肥切れを生じるという問題がある。
従来の育苗培地のもつ欠点を克服し、保水性や透水性な
どの培地としての特性を損なうことなく、保肥能力を高
めた、長期育苗作物の生育に適した育苗培地及びこの培
地を用いた効率的な育苗方法を提供することを目的とし
てなされたものである。
良好な特性を有する育苗培地を開発するために鋭意研究
を重ねた結果、ゼオライト、ピートモス、及びバーミキ
ュライト及びパーライトの中から選ばれた少なくとも1
種を所定割合で含有し、かつ所定値以上の高陽イオン交
換容量をもち、かつ所定値未満のpF値及び所定範囲の
pF値の各水分量がそれぞれ所定範囲にある育苗培地
が、その目的に適合することを見出し、この知見に基づ
いて本発明をなすに至った。
0重量%、ピートモス5〜30重量%、及びバーミキュ
ライト及びパーライトの中から選ばれた少なくとも1種
1〜20重量%を含有し、かつ陽イオン交換容量が50
meq/100g以上で、水を飽和させた容水状態にお
いて、培地中の全水分量に対し、pF1.4未満の水分
量が10〜35容量%、pF1.4〜3.3の水分量が
10〜45容量%であることを特徴とする育苗培地、及
びゼオライト50〜90重量%、ピートモス5〜30重
量%、及びバーミキュライト及びパーライトの中から選
ばれた少なくとも1種1〜20重量%を含有する培地を
用い、この培地の陽イオン交換容量が50meq/10
0g以上になるように調整した状態下で、かつ培地のp
Fで示される水分のうち、pF1.4〜3.3の水分が
10〜45容量%となるように調整した保水状態下で育
苗することを特徴とする育苗方法を提供するものであ
る。
換容量(以下、CECという)が50meq/100g
以上、好ましくは70meq/100g以上であること
が必要である。このような高陽イオン交換容量の培地と
しては、陽イオン交換能力が大きく多孔質であるゼオラ
イト、中でも天然ゼオライトを含有するものが好まし
く、その陽イオン交換容量は50meq/100g以
上、特に100meq/100g以上が好ましい。この
ゼオライトは、保肥力に優れ、雨水や灌水などによる肥
料要素の流亡、流失を抑制し、保水性とともに透水性、
通気性を有し、根の成育、根張りに適している。またゼ
オライトは、陽イオンの肥料成分を吸着し、雨水や灌水
による養分の溶脱を抑制し、吸着した肥料成分を長期に
わたり植物体に供給するため、長期育苗中の追肥作業、
特にアンモニア態窒素(NH4 +−N)の施肥を省ける。
本発明培地の長期育苗が可能なのは、このゼオライトの
イオン交換能力によるところが大きい。
とを併用するのが好ましく、特に粒状ゼオライト70〜
95重量%と粉状ゼオライト5〜30重量%の割合で用
いるのがよい。粒状物は通常1〜10mm、好ましくは
1〜3mmのサイズのもの、粉状物は通常1mm以下の
サイズのものである。天然ゼオライトは粘土分を少量含
んでおり、この粘土分は粉状物の方に多く含まれるの
で、粉状ゼオライトの併用により培地に粘結性を付与し
うる。また、粉状ゼオライトは陰イオン吸着能も多少有
するので、硝酸態窒素(NO3 −−N)などの陰イオン
の流亡を抑制しうる。
についての常用の指標であって、水分が土壌に吸引され
ている強さをその吸引圧に相当する水柱の高さ(単位c
m)の対数で表わしたものである。本発明の育苗培地に
おいては、水を飽和させた容水状態での全水分量に対
し、pF1.4未満の水分が10〜35容量%、好まし
くは15〜35容量%、pF1.4〜3.3の水分が1
0〜45容量%、好ましくは20〜35容量%であるこ
とが必要である。この前者の水分が10容量%未満では
通気性を失い根腐れを生じるし、また35容量%を超え
ると保水性が低下し作物が萎れやすくなる。また、後者
の水分が10容量%未満では保水性が低下し作物が萎れ
やすくなるし、また45容量%を超えると通気性を失い
根腐れを生じる。なお、前者の水分は重力により流出し
その空所へは空気が入りこんでいると考えられ、この割
合は圃場容水状態時の気相率に相当すると考えられる。
また、後者の水分は作物の利用しうる水分、すなわち生
育有効水分に相当すると考えられる。
して、好ましくは、ピートモス、バーミキュライト、パ
ーライト、ココナッツ繊維、バナナ繊維等を適当に組み
合わせて含有させたものが挙げられる。
り、これについては特に制限はないが、不純物の混入が
少なく、含水率が一定のものが好ましい。
れ、根などの地下部生体重の増進効果を有しており、こ
れについては特に制限はないが、嵩比重が小さく、粒度
が揃ったものが好ましい。
ついては特に制限はないが、嵩比重が小さく、不純物の
混入が少ないものが好ましい。
れており、これについては特に制限はないが、嵩比重が
小さく、不純物の混入が少ないものが好ましい。
向上、さらには粉塵防止に優れており、これについては
特に制限はないが、雑菌の混入のないものが好ましい。
諸要件を備え、かつゼオライト50〜90重量%、好ま
しくは70〜90重量%を含有するものが挙げられる。
この含有量が50重量%未満では陽イオン交換容量が低
下し、肥料流亡による苗の生育悪化を来すし、また90
重量%を超えると保水性が低下する。
ーミキュライト及びパーライトの一方又は両方とを配合
するのが好ましい。ピートモスの配合割合は培地全量に
対して、5〜30重量%、中でも10〜20重量%とす
るのが好ましい。この配合量が5重量%未満では保水性
が低下し、pHが高くなるし、また30重量%を超える
と透水性が低下し、pHが低くなる。
一方又は両方の配合割合は培地全量に対し、1〜20重
量%、中でも1〜15重量%、特に5〜15重量%とす
るのが好ましい。この配合量が1重量%未満では嵩比重
が大きくなり、透水性が低下するし、また20重量%を
超えると嵩比重が0.4以下と軽くなりすぎてしまう。
特に、パーライトを配合する場合、その割合は培地全量
に対し、0.5〜15重量%、中でも1〜10重量%と
するのが好ましい。この割合が0.5重量%未満では透
水性が低下するし、また15重量%を超えるとpHが高
くなる。
50〜90重量%、ピートモス5〜30重量%、及びバ
ーミキュライト及びパーライトの中から選ばれた少なく
とも1種1〜20重量%、特にゼオライト70〜90重
量%、ピートモス5〜20重量%、及びバーミキュライ
ト及びパーライトの中から選ばれた少なくとも1種5〜
15重量%を含有するものが好ましい。
合することができる。さらに、上記好適培地には、無機
質肥料成分を0.1〜2.0重量%、好ましくは0.1
〜1.0重量%配合するのが好ましい。この無機質肥料
成分としては、窒素、リン酸、カリの要素を含むもの、
例えば硫安、尿素、燐安、塩化カリ、過燐酸石灰などが
挙げられる。
0〜90重量%、ピートモス5〜30重量%、及びバー
ミキュライト及びパーライトの中から選ばれた少なくと
も1種1〜20重量%を含有する培地を用い、この培地
の陽イオン交換容量が50meq/100g以上になる
ように調整した状態下で、かつ培地のpFで示される水
分のうち、pF1.4〜3.3の水分が10〜45容量
%となるように調整した保水状態下で育苗するものであ
る。
ましくは、さらに0.1〜2.0重量%の無機質肥料塩
類を配合させたものが挙げられる。
灌水時等に、水に対し硝化菌培養液等の液体硝化菌を適
当量、例えば数%添加して、硝化活性速度を異ならせ、
1〜3か月程度の幅広い肥効日数を持たせることが可能
となり、長期育苗を短縮化したり、3か月という長期に
わたり窒素を供給し続けることができる。特にネギのよ
うな好アンモニア性の植物用には、その生育に適した窒
素形態、例えばアンモニア態窒素(NH4 +−N)、硝酸
態窒素(NO3 -−N)などに応じて各形態別施肥を行う
のが好ましい。
どの培地としての特性がそこなわれることなく、保肥能
が高いため、長期育苗作物の生育に適し、例えばネギで
は3か月間追肥無しで育苗でき、また適度な透水性や気
相率、及び保水性を有しているため、地上部、地下部と
もに生体重が増大するという顕著な効果を奏し、特にペ
ーパーポット、チェーンポット、セルポット等を用いる
簡易な新育苗法に用いて好適である。また、本発明の育
苗方法によれば、育苗中、灌水時等に液体硝化菌を添加
して、硝化活性速度を異ならせ、1〜3か月程度の幅広
い肥効日数を持たせることが可能となり、長期育苗を短
縮化したり、長期間窒素を供給し続けることができる。
明する。
市販培地A(比較例1)及び市販培地B(比較例2)に
ついて諸物性を測定した。その結果を表2に示す。
業社製) 市販培地B:ニッテン培土(商品名:日本甜菜製糖社
製)
220穴ペーパーポット(約20ml)に充填し、ネギ
(品種:東京夏黒2号葱)種子を1穴に5粒ずつ110
0粒を播種し、90日間育苗の後、それぞれの生育度を
1本当りのg数で地上部、地下部の生体重を測定するこ
とによって調べた。これらの結果を表3に示す。
市販培地Aでは5.3容量%であるのに対し、本発明の
育苗培地では14容量%より多いし、またpF1.4〜
3.3の水分が、市販培地Bでは47.2容量%と多す
ぎるのに対し、本発明の育苗培地ではそれより少ない好
適範囲にあるため、生育が著しく優れている。
で示す同量の培地成分を有する、本発明の育苗培地とC
ECが50meq/100g未満の比較例1の育苗培地
とに、容量比2の割合で純水を灌水し、溶脱成分量を測
定し、培地100ml当りのmg数で示した。これらの
結果を表4に示す。
しているため、陽イオンを吸着し、灌水により溶脱せ
ず、保肥力に優れている。
ニア態窒素(NH4 +−N)及び硝酸態窒素(NO3 -−
N)でみて、その経時的変化を無育苗の場合とネギ育苗
の場合について測定し、また、無育苗の場合、比較のた
め市販培地Aの窒素形態の経時的変化を測定した。これ
らの結果を図1及び図2にグラフで示す。これらのグラ
フの縦軸は培地100ml中のそれぞれの窒素形態のも
のの窒素換算量(mg)を示す。
ってアンモニア態窒素(NH4 +−N)が硝化し、硝酸態
窒素(NO3 -−N)となり、ネギでは約90日間という
長期間肥切れを生じずに育苗することができる。また、
播種後28日目頃に液体硝化菌を添加することにより、
一点鎖線で示される硝酸態窒素量の経時的曲線のように
硝化活性を促進させ育苗期間をコントロールすることが
できる。
モニア性植物として知られているが、ネギは生育初期の
みアンモニア態窒素を必要としてこれを吸収し、それ以
降は培地中にアンモニア態窒素が存在するにも係わらず
硝酸態窒素を吸収する。
ンモニア態窒素の吸着により、急激な硝化が抑制され、
これによりネギの生育段階に適した硝酸態窒素の供給が
でき、ネギ育苗のように2か月以上の育苗を要する作物
に適している。
瑞秀)を播種し、これを2群に分け、一方には育苗期間
中に播種後2週間目に灌水と一緒に硝化菌を添加し、他
方には灌水のみで硝化菌を添加しなかった。これらにつ
いてトマトの播種後57日目の生育度を1本当りのg数
で調べた結果を表5に示す。
1〜2か月)作物に対しては、硝化菌添加により硝酸化
を促進させ、生育を改善することができた。
地における窒素形態の経時的変化を示すグラフ。
窒素形態の経時的変化を示すグラフ。
Claims (5)
- 【請求項1】 ゼオライト50〜90重量%、ピートモ
ス5〜30重量%、及びバーミキュライト及びパーライ
トの中から選ばれた少なくとも1種1〜20重量%を含
有し、かつ陽イオン交換容量が50meq/100g以
上で、水を飽和させた容水状態において、培地中の全水
分量に対し、pF1.4未満の水分量が10〜35容量
%、pF1.4〜3.3の水分量が10〜45容量%で
あることを特徴とする育苗培地。 - 【請求項2】 培地が0.1〜2.0重量%の無機質肥
料塩類を含有する請求項1記載の育苗培地。 - 【請求項3】 ゼオライト50〜90重量%、ピートモ
ス5〜30重量%、及びバーミキュライト及びパーライ
トの中から選ばれた少なくとも1種1〜20重量%を含
有する培地を用い、この培地の陽イオン交換容量が50
meq/100g以上になるように調整した状態下で、
かつ培地のpFで示される水分のうち、pF1.4〜
3.3の水分が10〜45容量%となるように調整した
保水状態下で育苗することを特徴とする育苗方法。 - 【請求項4】 培地が0.1〜2.0重量%の無機質肥
料塩類を含有する請求項3記載の育苗方法。 - 【請求項5】 育苗中に、培地に液体硝化菌を添加して
硝化速度をコントロールする請求項3又は4記載の育苗
方法。
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JP7216406A JP2773817B2 (ja) | 1995-06-21 | 1995-08-24 | 育苗培地及び育苗方法 |
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JP15500295 | 1995-06-21 | ||
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Cited By (2)
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JP2010110281A (ja) * | 2008-11-07 | 2010-05-20 | Chugoku Electric Power Co Inc:The | 水耕栽培用培地及びそれを用いた屋上緑化装置 |
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JP2014064496A (ja) * | 2012-09-25 | 2014-04-17 | Toyo Tire & Rubber Co Ltd | 人工土壌およびその製造方法 |
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JP2021103957A (ja) * | 2019-12-26 | 2021-07-26 | 株式会社クラレ | 農業用保水材 |
-
1995
- 1995-08-24 JP JP7216406A patent/JP2773817B2/ja not_active Expired - Fee Related
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三好 洋/嶋田永生/石川昌男/伊達 昇 編 「土壌肥料用語事典」 (昭58−4−25) 農山漁村文化協会 第59頁 |
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JPH0965758A (ja) | 1997-03-11 |
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