JP2772815B2 - 微生物セルロース性物質の製造法 - Google Patents

微生物セルロース性物質の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、アセトバクター属に属し、微生物セルロー
ス性物質を生産する能力を有する微生物によって微生物
セルロース性物質を製造する方法に関するものである。
本発明でいう微生物セルロース性物質とは、従来周知
のアセトバクター属菌の生産する微生物セルロース性物
質で、成分的にはセルロース及びセルロースを主鎖とし
たヘテロ多糖を含むものをさし、ヘテロ多糖の場合、構
成糖としてグルコース以外にキシロース、ガラクトー
ス、アラビノース、マンノース等を含有しているものを
さし、そして、これらの多糖が単一もしくは2種以上が
混在しているものも意味するものである。
該物質は、植物起源のセルロース性物質と比較し、力
学的強度にすぐれ、可食性であり食品の粘度保持剤、乳
化安定助剤、増量安定剤、低カロリー添加物、ダイエタ
リー・ファイバー、分離膜材料、スピーカー振動板材
料、医療用パッド材料などの用途がある。
(従来技術) 従来より微生物が微生物セルロース性物質を生成する
能力を有することは知られており、特にアセトバクター
属に属する微生物は、該物質の生成能力が高く、工業的
に用いられている。アセトバクター属に属する微生物を
用いて微生物セルロース性物質を生産させる場合、ヘス
トリンとシュラムによって開発された培地(Biochem.
J.,第58巻、第345頁(1954年))での生産性が最も高
く、多くの研究者がこれを用いてきた。しかしながら、
ヘストリンとシュラムの培地を用いても対糖微生物セル
ロース性物質の収率は、重量で通常5〜10%程度であっ
た。こうしたことから、培地組成を改良することによ
り、対糖収率を高める試みがなされており、イノシトー
ルやフィチン酸を培地に添加することにより、生産性が
向上している(特開昭61−212295)。
しかし、いずれの場合も生産性の低い菌株を用いて収
率向上がみとめられており、その最高値は、微生物セル
ロース生産能がもともと高い菌株を用いて上記物質を添
加しないで得られる収率とほぼ同程度であった。
また、ピロロキノリンキノンを培地に添加することに
より、生産性の向上が見られている(特開昭61−21229
5)が、ピロロキノリンキノンは高価な試薬であり、実
用的に使用することは困難であった。
一方、セルラーゼ製剤をセルラー活性を保持した形で
微量添加することにより、収率が高まった例もある(特
開昭63−74490)が、多量にセルロース製剤を加えると
かえって生産されるセルロースが分解されてしまうた
め、添加方法が難しく、また再現性にも乏しく実用的で
なかった。このため、より安価で効率的に微生物セルロ
ース性物質を生産するための培地の開発が望まれてい
た。
(本発明が解決しようとする問題点) アセトバクター属に属する微生物セルロース性物質を
生産する能力を有する微生物を用いて微生物セルロース
性物質を生産する場合に、該物質を効率よくかつ安定し
て生産できる培地を開発することにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは上記の目的を達成するため、鋭意検討
し、アセトバクター属に属し、微生物セルロース性物質
を生産する能力を有する微生物を失活させたセルラーゼ
製剤を添加した培地中で培養することにより、セルラー
ゼ製剤を添加しない場合と比較し、顕著に微生物セルロ
ース性物質の生産性が向上することを見出し、本発明を
完成するに至った。
本発明において使用される微生物は、アセトバクター
属に属し、微生物セルロース性物質を生産する能力を有
する微生物であれば、いずれの菌株でもよいが、特に微
生物セルロース性物質の高生産株、たとえば、アセトバ
クター・パスツリアヌスATCC 10245が好適に用いられ
る。
本発明において使用されるセルラーゼ製剤は、いかな
る起源のものでも使用できるが、たとえば、トルコデル
マ属起源のもの、ウスバタケ起源のもの、アスペルギル
ス属起源のものが好適に用いられる。
具体的なセルラーゼ製剤としては、セルラーゼオノズ
カR−10(ヤクルト社製)、ドリセラーゼ(協和発酵社
製)、セルラーゼA(天野製薬社製)、セルラーゼA
3(天野製薬社製)、セルラーゼT(天野製薬社製)、
ヘミセルラーゼ(天野製薬社製)、セルクラスト(ノボ
インダストリージャパン社製)、セルラーゼ“オノズ
カ"3S(ヤクルト社製)、セルラーゼY−NC(ヤクルト
社製)、セルロシンAF(上田化学工業社製)、スミチー
ムAC(新日本化学工業社製)、スミチームC(新日本化
学工業社製)、スミチームX(新日本化学工業社製)、
セルレース〈ナガセ〉(長瀬産業社製)等が使用でき
る。
セルラーゼ製剤は精製酵素でも粗酵素でもよい。
また、セルラーゼ製剤は、失活させた形で培地に添加
する必要があるが、たとえば他の培地成分と別に加熱処
理し、失活させて使用しても良いが、あらかじめ他の培
地成分と混合し、オートクレーブ処理をおこない、失活
処理と殺菌処理を同時におこなってもなんら差しつかえ
ない。セルラーゼ製剤が失活していない場合には、生産
されたセルロースが分解を受けるため、微生物セルロー
ス性物質の生産は認められなくなる。
セルラーゼ製剤の添加量は、培地100mlあたり、0.02g
〜1.0g、好ましくは、0.05g〜0.5gである。
セルラーゼ製剤は単独でもまた2種以上を混合して使用
してもよい。
炭素源としては、生産菌が資化できるものであれば特
に限定はなく、通常ショ糖、グルコース、フラクトース
等が単独あるいは併用して用いられる。また、これらの
炭素源を含有する澱粉水解物、セルロース分解物等も使
用できる。
窒素源としては、生産菌が利用できるものであれば良
く、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アン
モニウム、硝酸塩などの無機窒素源やペプトン、酵母エ
キスなどの有機窒素源が使用される。
また、向機塩として、リン酸塩、マグネシウム塩、カ
ルシウム塩、鉄塩などが適宜使用される。
クエン酸、乳酸、コハク酸、グリセロール、グルタミ
ン酸などの添加は、促進的な効果を示す場合があり適宜
使用される。
生育菌が生育に微量元素として、ビタミン、核酸、ア
ミノ酸などを要求する場合には、要求する栄養素を補添
することが必要である。
培地の初発pHは、3ないし7、望ましくは5〜6の範
囲が好ましい。培養温度は、10〜40℃、望ましくは25〜
35℃の範囲で行う。培養方法としては、生産菌に酸素が
適宜供給されることが必要であるが、通気撹拌培養より
も望ましくは、静置培養をおこない、培養液表層に微生
物セルロース性物質を生産させるのが、好ましい。通
常、培地液量1に対し、0.1〜0.3の割合で接種すること
により、24〜96時間程度培養することにより、微生物セ
ルロース性物質が生産される。
本発明の方法によって生産される微生物セルロース性
物質は、水不溶性であり、培養液をそのまま濾過などの
操作にかけ、分離し、採取してもよく、さらに採取した
該物質中に含まれる菌体等の不純物を取り除く処理をお
こなってもよい。
不純物を取り除くためには、水洗、アルカリ洗浄、ト
ルエンなどの有機溶媒処理、次亜塩素酸ソーダによる処
理、リゾチームなどの溶菌酵素処理、ラウリル硫酸ソー
ダなどの界面活性剤による処理などを単独または併用す
る方法が有効である。
上記の処理を適宜行ない得られた精製物は、そのもの
のみならず、化学修飾することにより物理的や化学的な
性質を改変することができ、種々の用途への適用が可能
となる。
〔実施例〕
以下に実施例を示し、本発明を詳しく説明する。
実施例1 アセトバクター・パスツリアヌスATCC 10245をヘス
トリン−シュラム培地(HS培地)(D−グルコース2.0
g、バクトペプトン(ディフコ社製)0.5g、酵母エキス
(ディフコ社製)0.5g、クエン酸0.115g、リン酸水素二
ナトリウム0.27g、蒸留水100ml、pH6.0)に植菌し、28
℃で96時間静置培養をおこなった。
一方、上記のHS培地にセルラーゼオノズカR−10(株
式会社ヤクルト社製)を0.5g添加し、オートクレーブ滅
菌(120℃、20分)した後、同様に植菌し、静置培養を
おこなった。
また、対照実験として、加熱失活させないように上記
セルラーゼ製剤0.5gを濾過滅菌し、添加したHS培地でも
同様に静置培養をおこなった。
セルラーゼ製剤を加えたHS培地では調整時のpHは、い
ずれも約5.3であった。培養終了後、培養液表面に産生
された微生物セルロース性物質を濾過により取り出し、
1%NaOH水溶液により室温で24時間除蛋白処理をおこな
い、次いで1%酢酸溶液にて室温で24時間中和処理を行
なった。中和処理後、水洗したのち乾燥し、その後、生
成微生物セルロース性物質を秤量した。生成膜が微生物
セルロース性物質であることをIRスペクトル、X線回折
により確認した。第1図に無添加の場合と失活セルラー
ゼ添加の場合のIRスペクトルを示し、第2図に無添加の
場合と失活セルラーゼ添加の場合のX線回折図を示す。
培養液15mlあたりの生成微生物セルロース性物質量を第
1表にまとめた。加熱したセルラーゼ製剤を添加するこ
とにより、無添加の場合の約1.7倍の微生物セルロース
性物質の生産が認められた。また、濾過滅菌し、活性を
保持したままでセルラーゼ製剤を添加した場合には、セ
ルロース性物質の生産は全く見られなかった。
実施例2 アセトバクター・パスツリアヌスATCC 10245を実施
例1で示したHS培地に植菌し、96時間静置培養をおこな
った。一方、HS培地に実施例1のセルラーゼオノズカR
−10のかわりにドリセラーゼ(協和発酵株式会社製)を
培地100mlあたり、0.5g添加して、同様に培養した。生
成した微生物セルロース性物質を実施例1のごとく、除
蛋白処理をした後、乾燥し秤量した。培養液15ml当りの
生成微生物セルロース性物質の量を第2表に示した。第
2表に示すように、加熱したドリセラーゼ添加区で無添
加区の約1.8倍の微生物セルロース性物質の生産が認め
られた。また、濾過滅菌したセルラーゼ添加区では、微
生物セルロース性物質の生成はみられなかった。なお、
生成物が微生物セルロース性物質であることは、IRスペ
クトル、X線回折で確認した。
実施例3 アセトバクター・パスツリアヌスATCC 10245をショ
糖5.0g、リン酸カリウム0.3g、硫酸マグネシウム・7水
塩0.05g、カザミノ酸0.8g、蒸留水100ml、pH6.0の組成
からなるS培地に植菌し、96時間静置培養した。
同時に、S培地にセルラーゼオノズカR−10を培地10
0mlあたり0.5gを添加し、オートクレーブ処理した培地
及びS培地に培地100mlあたり0.5g濾過滅菌によってセ
ルラーゼ製剤を添加した培地で、同様に培養をおこなっ
た。実施例1と同様に培養液15ml当りの生成した微生物
セルロース性物質を秤量したところ、第3表に示す結果
が得られた。加熱セルラーゼ製剤を添加することによ
り、約1.3倍無添加区と比較し、生産量が向上した。な
お、生成物が微生物セルロース性物質であることは、IR
スペクトル、X線回折で確認した。
実施例4 実施例1で示したHS培地に第3図に示すごとく種々の
濃度(0〜0.5%)のセルラーゼオノズカR−10(株式
会社ヤクルト社製)を添加し、オートクレーブ滅菌(12
0℃、20分)した後、アセトバクター・パスツリアヌスA
TCC 10245を植菌し、96時間静置培養をおこなった。
培養液15ml当りの生成したセルロース性物質を実施例
1のごとく除蛋白処理をした後、乾燥し秤量した。第3
図に示すように、セルラーゼ製剤を添加することによ
り、微生物セルロース性物質の生成量が増加し、0.1%
のセルラーゼ製剤を添加した場合に最も生産量が多かっ
た。なお、生成物が微生物セルロース性物質であること
は、IRスペクトル、X線回折で確認した。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1において、セルラーゼ製剤無添加の場
合と失活セルラーゼ製剤0.5%添加の場合のIRスペクト
ルを示す図で、第2図は、セルラーゼ製剤無添加の場合
と失活セルラーゼ製剤0.5%添加の場合のX線回折を示
す図で、第3図は実施例4において、失活したセルラー
ゼ製剤濃度と微生物セルロース性物質の生成量の関係を
示すグラフである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アセトバクター属に属する微生物セルロー
    ス性物質生産能を有する微生物を、微生物セルロース性
    物質生産培地に接種し、培養して培地中に該物質を生成
    蓄積し、該物質を採取する方法において、失活させたセ
    ルラーゼ製剤を微生物セルロース性物質生産培地に含有
    させることを特徴とする微生物セルロース性物質の製造
    方法。
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