JP2772689B2 - 焼結摺動材料 - Google Patents
焼結摺動材料Info
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、焼結摺動材料に係り、特に各種機械装置、
車両等に用いられる高強度で耐摩耗性に優れた鉄系の焼
結摺動材料に関する。
車両等に用いられる高強度で耐摩耗性に優れた鉄系の焼
結摺動材料に関する。
[従来の技術] 鉄系焼結摺動材料においては高強度化を主目的とする
溶浸材として、通常Cu−Mn系のものまたはCu−Co系のも
のを使用している。また、Pbを主成分とする溶浸材を用
いて溶浸した焼結摺動材料の例として、パンタグラフに
用いられる集電材が知られている。
溶浸材として、通常Cu−Mn系のものまたはCu−Co系のも
のを使用している。また、Pbを主成分とする溶浸材を用
いて溶浸した焼結摺動材料の例として、パンタグラフに
用いられる集電材が知られている。
[発明が解決しようとする課題] 鉄系焼結摺動材料にCu系合金を溶浸すると、焼結摺動
材料の組織が高密度化するので、軸受として用いたとき
潤滑条件の向上によって摩擦係数は低下する。しかしな
がら従来の鉄系焼結摺動材料にCu−Mn系あるいはCu−Co
系の溶浸剤を用いた溶浸では摺動材料のかたさが低いた
め、より面圧の高い条件下で使用すると摺動面に摺動材
が伸び出してしまい、耐焼き付き性の向上につながらな
い。
材料の組織が高密度化するので、軸受として用いたとき
潤滑条件の向上によって摩擦係数は低下する。しかしな
がら従来の鉄系焼結摺動材料にCu−Mn系あるいはCu−Co
系の溶浸剤を用いた溶浸では摺動材料のかたさが低いた
め、より面圧の高い条件下で使用すると摺動面に摺動材
が伸び出してしまい、耐焼き付き性の向上につながらな
い。
またPb系合金の溶浸の場合は、Pbと鉄との濡れ性が悪
いため溶浸が均一に進行せず、品質のばらつきが起こり
やすい。更にPb系合金を溶浸した摺動材料を用いるとPb
公害が発生しやすい。
いため溶浸が均一に進行せず、品質のばらつきが起こり
やすい。更にPb系合金を溶浸した摺動材料を用いるとPb
公害が発生しやすい。
本発明は上記従来の問題点に着目し、高強度で耐摩耗
性に優れた鉄系焼結摺動材料を提供することを目的とす
る。
性に優れた鉄系焼結摺動材料を提供することを目的とす
る。
[課題を解決するための手段] 上記目的を達成するために本発明に係る焼結摺動材料
は、Cを0.2〜0.6wt%を含有し、残部が実質的に鉄から
なる鉄系焼結体を浸炭処理し、表面層にセメンタイトの
炭化物を析出させた後、Sn:15〜40wt%、Pb:6〜40wt
%、残部がCuからなると共に、硬質なβ,γ相を含む金
属間化合物を主体とする銅合金を溶融させる構成とし、
かかる構成において、銅合金がMn,Si,P,Zn,Sb,Ni,Coの
中から1種類以上、5wt%以下を含有するものとし、鉄
系焼結体を750℃以上の温度で浸炭処理し、表面層にセ
メンタイト等の炭化物を析出させたものとする。
は、Cを0.2〜0.6wt%を含有し、残部が実質的に鉄から
なる鉄系焼結体を浸炭処理し、表面層にセメンタイトの
炭化物を析出させた後、Sn:15〜40wt%、Pb:6〜40wt
%、残部がCuからなると共に、硬質なβ,γ相を含む金
属間化合物を主体とする銅合金を溶融させる構成とし、
かかる構成において、銅合金がMn,Si,P,Zn,Sb,Ni,Coの
中から1種類以上、5wt%以下を含有するものとし、鉄
系焼結体を750℃以上の温度で浸炭処理し、表面層にセ
メンタイト等の炭化物を析出させたものとする。
[作用] 上記構成によれば、鉄系焼結体を浸炭処理することに
より、表面層にセメンタイトの炭化物を析出させて表面
を高硬度化した後、Sn:15〜40wt%、Pb:6〜40wt%、残
部がCuからなると共に、Cu−Sn−Pb系の硬質なβ,γ相
を含む金属間化合物を主体とする銅合金が、焼結体の空
孔に溶浸する。また、銅合金がMn、Si、P、Zn、Sb、N
i、Coの中から1種類以上、5wt%以下を含有すると溶浸
温度が低下する。
より、表面層にセメンタイトの炭化物を析出させて表面
を高硬度化した後、Sn:15〜40wt%、Pb:6〜40wt%、残
部がCuからなると共に、Cu−Sn−Pb系の硬質なβ,γ相
を含む金属間化合物を主体とする銅合金が、焼結体の空
孔に溶浸する。また、銅合金がMn、Si、P、Zn、Sb、N
i、Coの中から1種類以上、5wt%以下を含有すると溶浸
温度が低下する。
[実施例] 以下に本発明に係る焼結摺動材料の実施例について、
詳細に説明する。
詳細に説明する。
鉄系焼結体の高強度化を図るとともに、耐摩耗性、耐
焼き付き性を向上させるため、焼結材に0.2wt%以上の
炭素を含有させることとし、焼結材粉体にあらかじめ黒
鉛を添加して摺動面の炭素濃度を増大させ、または750
℃以上の温度で浸炭処理することによって摺動面にセメ
ンタイト系炭化物を析出させた。このように鉄系焼結材
を高強度に焼結した後、800〜1050℃で、Cu−15〜40wt
%Sn−3〜40wt%Pbをベースとする溶浸材を溶浸させ
た。前記溶浸材の成分は、溶浸相が硬質なβ,γ相など
の化合物となるようにし、更にPbによる潤滑性向上を図
ったものである。
焼き付き性を向上させるため、焼結材に0.2wt%以上の
炭素を含有させることとし、焼結材粉体にあらかじめ黒
鉛を添加して摺動面の炭素濃度を増大させ、または750
℃以上の温度で浸炭処理することによって摺動面にセメ
ンタイト系炭化物を析出させた。このように鉄系焼結材
を高強度に焼結した後、800〜1050℃で、Cu−15〜40wt
%Sn−3〜40wt%Pbをベースとする溶浸材を溶浸させ
た。前記溶浸材の成分は、溶浸相が硬質なβ,γ相など
の化合物となるようにし、更にPbによる潤滑性向上を図
ったものである。
Pb含有量はPb公害の低減を図るため3〜40wt%に抑
え、溶浸温度の低下を図るためMn,Si,P,Zn,Sb,Ni,Coを
1種類以上、5wt%以下添加した。また焼結材に0.5〜6w
t%のNiを添加してPV値の向上を図った。
え、溶浸温度の低下を図るためMn,Si,P,Zn,Sb,Ni,Coを
1種類以上、5wt%以下添加した。また焼結材に0.5〜6w
t%のNiを添加してPV値の向上を図った。
上記に基づく実験例と、従来の摺動材料として製作し
た比較例について説明する。
た比較例について説明する。
実験例については100メッシュ以下の低合金鋼粉(神
鋼、アトメル4100,4600)、黒鉛(日本黒鉛、CPB)、カ
ーボニルNi(BASF社、アベレージ5μm)を用いて第1
表に示す材料組成の混合粉を作り、CIP(冷間等方静水
圧プレス)により4.5ton/cm2で成形した上、この成形体
を1120℃で1時間の真空焼結を行った。このうち実験例
3は、更に950℃で1時間の真空浸炭を施し、表面から
約0.3mmの深さまでセメンタイトを均質に析出させた。
これらの鉄系焼結体に、電解銅粉(福田金属、CE15)、
Sn粉(福田金属、200メッシュ以下)、Pb粉(福田金
属、200メッシュ以下)で、第1表のように配合したCu
系溶浸材を用いてAXガス雰囲気中で溶浸し、ガス急冷処
理を施した。
鋼、アトメル4100,4600)、黒鉛(日本黒鉛、CPB)、カ
ーボニルNi(BASF社、アベレージ5μm)を用いて第1
表に示す材料組成の混合粉を作り、CIP(冷間等方静水
圧プレス)により4.5ton/cm2で成形した上、この成形体
を1120℃で1時間の真空焼結を行った。このうち実験例
3は、更に950℃で1時間の真空浸炭を施し、表面から
約0.3mmの深さまでセメンタイトを均質に析出させた。
これらの鉄系焼結体に、電解銅粉(福田金属、CE15)、
Sn粉(福田金属、200メッシュ以下)、Pb粉(福田金
属、200メッシュ以下)で、第1表のように配合したCu
系溶浸材を用いてAXガス雰囲気中で溶浸し、ガス急冷処
理を施した。
このようにして製作した摺動材料について摺動試験を
行い、限界PV値と、比摩耗量とを測定したところ、第2
表に示す結果を得た。また実験例と配置するために製作
した比較例の材料組成、溶浸材を第3表に、摺動試験結
果を第4表に示す。
行い、限界PV値と、比摩耗量とを測定したところ、第2
表に示す結果を得た。また実験例と配置するために製作
した比較例の材料組成、溶浸材を第3表に、摺動試験結
果を第4表に示す。
前記摺動試験は、ディスク材;S53C高周波焼入れ品、
周速;10m/sec、油量;50cc/min、油温;80℃の条件で実施
した。
周速;10m/sec、油量;50cc/min、油温;80℃の条件で実施
した。
このように本発明においては、 (1)摺動面に焼き付きを起こさない限り高硬度化によ
って耐摩耗性を著しく改善することができるので、鉄系
焼結摺動材料のC量を0.2wt%以上とした。これに対し
Cを含まない比較例4の場合はHv100〜120と低硬度であ
るため、耐摩耗性に劣るだけでなく、高面圧比によって
容易に焼き付きを起こした。
って耐摩耗性を著しく改善することができるので、鉄系
焼結摺動材料のC量を0.2wt%以上とした。これに対し
Cを含まない比較例4の場合はHv100〜120と低硬度であ
るため、耐摩耗性に劣るだけでなく、高面圧比によって
容易に焼き付きを起こした。
(2)溶浸材に含まれるPb量は3%程度でPV値向上に十
分な効果が見られるため、Pb添加量は3〜40wt%とし
た。添加量を40wt%を超える値にすると公害面の問題が
大きくなるので、上限を40wt%とした。
分な効果が見られるため、Pb添加量は3〜40wt%とし
た。添加量を40wt%を超える値にすると公害面の問題が
大きくなるので、上限を40wt%とした。
(3)鉄系摺動材料にNiが添加されていると安定した高
PV値が得られるが、これは溶浸材との濡れ性が良いため
と考えられる。Ni添加量の下限を0.5wt%としたのは、
ガス冷却による焼入れ性確保の観点からであり、上限は
残留オーステナイト量が多くなりすぎて十分な硬度が得
られなくなることを避ける限界として、およびコスト面
から6wt%とした。
PV値が得られるが、これは溶浸材との濡れ性が良いため
と考えられる。Ni添加量の下限を0.5wt%としたのは、
ガス冷却による焼入れ性確保の観点からであり、上限は
残留オーステナイト量が多くなりすぎて十分な硬度が得
られなくなることを避ける限界として、およびコスト面
から6wt%とした。
[発明の効果] 以上説明したように本発明によれば、鉄系焼結体の表
面層に析出しているセメンタイトにより硬さがHv400以
上で高強度を有すると共に、焼結体の空孔に溶浸したCu
−Sn−Pb系の硬質なβ,γ相を含む金属間化合物を主体
とする銅合金により、耐磨耗性、耐焼付性に優れ、摺動
性は銅合金に近い鉄系の焼結摺動材料を得ることができ
る。
面層に析出しているセメンタイトにより硬さがHv400以
上で高強度を有すると共に、焼結体の空孔に溶浸したCu
−Sn−Pb系の硬質なβ,γ相を含む金属間化合物を主体
とする銅合金により、耐磨耗性、耐焼付性に優れ、摺動
性は銅合金に近い鉄系の焼結摺動材料を得ることができ
る。
また、上記摺動材料に、Mn、Si、P、Zn、Sb、Ni、Co
の中から1種類以上、5wt%以下を含有する銅合金を溶
浸させたので、溶浸温度を低下させても鉄系の焼結摺動
材料が得られる。
の中から1種類以上、5wt%以下を含有する銅合金を溶
浸させたので、溶浸温度を低下させても鉄系の焼結摺動
材料が得られる。
これにより従来ころがり軸受を使用していた高精度軸
受部等にも、本発明による焼結摺動材料からなるすべり
軸受を適用することができるので、広く機械産業分野に
おいても軸受部の構造簡素化、低コスト化を推進するこ
とができるという効果が得られる。
受部等にも、本発明による焼結摺動材料からなるすべり
軸受を適用することができるので、広く機械産業分野に
おいても軸受部の構造簡素化、低コスト化を推進するこ
とができるという効果が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C23C 8/22 C23C 8/22 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 38/00 - 38/60
Claims (2)
- 【請求項1】Cを0.2〜0.6wt%を含有し、残部が実質的
に鉄からなる鉄系焼結体を浸炭処理し、表面層にセメン
タイトの炭化物を析出させた後、Sn:15〜40wt%、Pb:6
〜40wt%、残部がCuからなると共に、硬質なβ,γ相を
含む金属間化合物を主体とする銅合金を溶浸させること
を特徴とする焼結摺動材料。 - 【請求項2】銅合金がMn、Si、P、Zn、Sb、Ni、Coの中
から1種類以上、5wt%以下を含有していることを特徴
とする請求項(1)記載の焼結摺動材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1297957A JP2772689B2 (ja) | 1989-11-16 | 1989-11-16 | 焼結摺動材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1297957A JP2772689B2 (ja) | 1989-11-16 | 1989-11-16 | 焼結摺動材料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03158443A JPH03158443A (ja) | 1991-07-08 |
JP2772689B2 true JP2772689B2 (ja) | 1998-07-02 |
Family
ID=17853278
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1297957A Expired - Fee Related JP2772689B2 (ja) | 1989-11-16 | 1989-11-16 | 焼結摺動材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2772689B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4326216B2 (ja) | 2002-12-27 | 2009-09-02 | 株式会社小松製作所 | 耐摩耗焼結摺動材料および耐摩耗焼結摺動複合部材 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5323761A (en) * | 1976-08-14 | 1978-03-04 | Matsushita Electric Works Ltd | Folding bed |
JPS5633456A (en) * | 1979-08-23 | 1981-04-03 | Toshiba Corp | Sintered parts used in fluid containing earth, sand or the like |
JPS5816055A (ja) * | 1981-07-23 | 1983-01-29 | Mitsubishi Metal Corp | 燃料供給装置の構造部材用材料 |
-
1989
- 1989-11-16 JP JP1297957A patent/JP2772689B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03158443A (ja) | 1991-07-08 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |