JP2772396B2 - 画信号処理装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はファクシミリ装置、複写機などにおける画信
号の処理装置に関し、特に像域分離を伴う画信号処理装
置に関する。 従来の技術 網点写真の画信号をそのままディザ処理手段に入力し
処理させると、網点写真の網構造によるモアレが発生
し、画質が著しく劣化してしまう。このようなモアレの
発生を防止するためには、ディザ処理の前に画信号に平
滑化処理を施すことにより、網点写真の網構造をつぶす
と効果的である。 他方、文字の画信号に平滑化処理やディザ処理を施す
と、文字のぼけ、かすれが生じてしまう。 そこで、像域分離を行い、画像の種類に応じて画信号
に施す処理内容を適切に制御する必要がある。 従来、この種の画信号処理装置は第４図に示すよう
に、入力端子１より入力した画信号をモアレ抑圧平滑化
部２に通してから、単純２値化部３、ディザ処理部４お
よび文字写真判別部５にそれぞれ入力し、単純２値化部
３およびディザ処理部４の出力画信号を、文字写真判別
部５の出力によって制御されるセレクタ部６を介して選
択的に出力端子７に出力する構成となっていた（画像電
子学会61年全国大会，「濃度勾配を用いた文字／中間調
画像実時間方式」，富士ゼロックス社）。 モアレ抑圧平滑化部２は、網点写真の網構造をつぶす
ために画信号に２×２画素の平滑化を施す部分である。
文字写真判別部５は、注目画素を中心とした３×３のウ
インドウ内の画素ペアの濃度差を検出し、その最大値
（濃度勾配）を計算し、濃度勾配がある閾値より大きい
場合に文字と判定し、濃度勾配が閾値より小さい場合に
写真と判定する部分である。この文字写真判別部５によ
って文字と判定された場合にセレクタ部６は単純２値化
部３の出力を選択し、写真と判定された場合にセレクタ
部６はディザ処理部４の出力を選択する。 発明が解決しようとする問題点 しかし、かかる構成によれば、文字の画質が劣化する
という問題と、低い線数の網点写真が文字と同様に単純
２値化されてしまうという問題があった。 すなわち、第１の問題は、文字も写真（網点写真を含
む）も共に画信号が平滑化される結果、文字の解像度が
劣化し、いわゆる「ぼけ」が生じてしまうからである。 また、２×２画素のフィルタ／サイズによる平滑化で
は、読み取り解像度12本/mmで100線以下の網点写真の網
構造を除去できないため、このような低線数の網点写真
の画信号は網点構造を持ったまま文字写真判別部５に入
力する。しかるに、網点構造を持つ画像は、白と黒の２
値表現された画像であるため、濃度勾配による判別方法
では文字と判定される結果、第２の問題が生じていた。 ここで、第２の問題に関しては、モアレ抑圧平滑化の
ためのフィルタ・サイズを大きくすることにより解決す
ることも考えられるが、文字の画質劣化をさらに悪化さ
せてしまうため、得策ではない。 なお、この種の画信号処理に関しては、単純２値化と
ディザ化との切り換え部分での閾値の不連続変化による
画質劣化を防止するため、ディザ化閾値を段階的に変化
させる像域分離装置が知られている（特開昭61-19283
号）。 本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、文
字の画質を劣化させることなく、かつ低線数の網点写真
をも写真として適切に処理可能とした画信号処理装置を
提供することを目的とする。 発明が解決しようとする問題点 本発明は上述の問題点を解決するため、フーリエ変換
によって入力画信号の特定の周波数のパワーを算出し、
このパワーに基づき文次と写真（網点写真を含む）の判
別を行うとともに、モアレ抑圧のための平滑化手段を写
真処理系にだけ挿入し、文字処理系からは排除するとい
う構成を備えたものである。 作用 実施例において詳細に説明するように、文字、写真、
網点写真のパワースペクトルの特性から、文字と写真
（網点写真を含む）とで画信号のパワーが大きく異なる
周波数が存在する。したがって、上述の構成の本発明に
おいて、パワーを算出する周波数を適切に選定すること
により、従来の濃度勾配による方法では文字と判定され
てしまうような線数の低い網点写真をも含めて、写真と
文字を正しく判別することができる。 また、本発明は上述のように、モアレ抑圧のための平
滑化手段を文字処理系から除外し、写真処理系だけに挿
入するため、平滑化による文字の画質劣化を防止するこ
とができる。 実施例 以下、本発明の一実施例について図面を参照しながら
説明する。 第１図は本発明の一実施例による画信号処理装置の構
成を示すものであって、８は画信号の入力端子、９はモ
アレ抑圧平滑化部、10はディザ処理部、11は２値化部、
12はフーリエ変換部、13は文字写真判別部、14はセレク
タ部、15は画信号の出力端子である。２値化部11は文字
処理系を構成しており、モアレ抑圧平滑化部９およびデ
ィザ処理部10は写真処理系を構成している。セレクタ部
14は文字処理系または写真処理系の一方の出力信号を有
効な処理出力信号として選択するためのものである。 入力端子８に外部より入力した画信号は、モアレ抑圧
平滑化部９、２値化部11およびフーリエ変換部12にそれ
ぞれ入力する。２値化部11は所定の閾値により入力画信
号の２値化（単純２値化）を行うものであり、処理後の
画信号はセレクタ部14に入力する。モアレ抑圧平滑化部
９は、網点写真の網構造を抑圧するための平滑化を入力
画信号に施すものであり、平滑化後の画信号はディザ処
理部10に入力する。ディザ処理部10は画信号のディザ化
を行うもので、ディザ化後の画信号はセレクタ部14に入
力する。 フーリエ変換部12はフーリエ変換により画信号の特定
の周波数のパワーを演算するものであるが、その詳細に
ついては後述する。文字写真判別部13は、フーリエ変換
部12により求められたパワーをある閾値と比較し、パワ
ーが閾値より大きければ文字と判定し、そうでない場合
は写真（網点写真を含む）と判定する。セレクタ部14は
文字写真判別部13の出力により制御され、判別結果が文
字の場合に２値化部11の出力画信号を選択して出力端子
15へ出力し、判別結果が写真の場合にディザ処理部10の
出力画信号を出力端子15へ出力する。 ここで、フーリエ変換部12および文字写真判別部13に
ついて詳細に説明する。 文字、写真（中間調画像）および網点写真（擬似中間
調画像）のパワースペクトル（一次元）は第２図および
第３図に示すようになっている。16は文字のパワースペ
クトル（第２図および第３図の斜線部）、17は写真のパ
ワースペクトル（第２図の縦線部）、18は網点写真のパ
ワースペクトル（第３図の縦線部）である。 フーリエ変換部12は、図示のような注目周波数F1のパ
ワーを計算する。この注目周波数F1は、文字のパワーが
閾値Thより十分に大きくかつ写真（網点写真を含む）の
パワーが網点Thより十分に小さくなるような、網点画像
の基本周波数F2より低く写真の周波数より高い周波数に
設定される。したがって、文字写真判別部13はフーリエ
変換部12の出力と閾値Thとを比較することにより、文字
と写真（網点写真を含む）を判別することができ、濃度
勾配による方法では文字と判定されたような低い線数
（例えば読み取り解像度12本/mmで100線以下）の網点写
真も写真として正しく判別可能である。 さて、上述のようにして文字写真判別部13により文字
と判別された場合、２値化部11の出力画信号がセレクタ
部14により選択されて出力端子15へ出力される。ここ
で、外部から入力した画信号は、従来のように平滑化を
施されることなく、直接的に２値化部11に入力するた
め、文字のぼけは生じない。 他方、文字写真判別部13により写真（網点写真を含
む）と判別された場合、ディザ処理部10の出力画信号が
セレクタ14により選択されて出力端子15へ出力する。デ
ィザ処理部10には、モアレ抑圧平滑化部９を通して画信
号が入力するため、網点写真の網構造によるモアレの発
生は抑止される。低線数の網点写真の画信号もディザ化
されたものが出力される。 また、モアレ抑圧平滑化部９は文字の画質劣化の原因
にならないため、そのフィルタ・サイズを従来よりも大
きくし、低線数の網点写真のモアレをも十分に抑止する
ことが可能である。 なお、フーリエ変換部12では、一次元フーリエ変換ま
たは二次元フーリエ変換のどちらを行ってもよいが、一
般的には二次元フーリエ変換を行わせるほうが好まし
い。モアレ抑圧平滑化部９では、二次元の空間フィルタ
を用いるのが一般的に好ましい。 また、本実施例においては、２値化部11およびディザ
処理部10の出力側にセレクタ部14を設けたが、２値化部
11およびモアレ抑圧平滑化部９の入力側に同様のセレク
タ部を設けて文字写真判別部13の出力に従ってモアレ抑
圧平滑化部９または２値化部11に画信号を選択的に入力
し、ディザ処理部10および２値化部11の出力画信号を論
理和して出力端子15へ出力するようにしてもよい。 あるいは、ディザ処理部10と２値化部11をスリーステ
ート出力とし、それぞれの出力を論理和接続しておき、
文字写真判別部13の判別出力によりディザ処理部10また
は２値化部11の一方を選択的に活性化させることによ
り、セレクタ部14を省くこともできる。 さらに、文字処理系および写真処理系に、濃度補正な
どの他の処理のための手段を追加してもよい。 発明の効果 以上の説明から明らかなように、本発明は、フーリエ
変換によって入力画信号の特定の周波数のパワーを算出
し、このパワーに基づき文字と写真（網点写真を含む）
の判別を行い、またモアレ抑圧のための平滑化を写真処
理系だけで行うため、線数の低い網点写真をも含めて写
真と文字とを正しく判別し、それぞれの画信号を適切に
処理することが可能であり、また文字の画質劣化を防止
できるという効果を有する。

【図面の簡単な説明】 第１図は本発明の一実施例による画信号処理装置の構成
図、第２図は文字および写真のパワースペクトル図、第
３図は文字と網点写真のパワースペクトル図、第４図は
従来の画信号処理装置の構成図である。 ８……入力端子、９……モアレ抑圧平滑化部、10……デ
ィザ処理部、11……２値化部、12……フーリエ変換部、
13……文字写真判別部、14……セレクタ部、15……出力
端子。

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 １．平滑化を施された入力画信号にディザ化処理するデ
   ィザ処理手段と、入力画信号を２値化する２値化処理手
   段と、網点写真部の基本周波数より低い注目周波数での
   パワー値を算出するフーリエ変換手段と、このフーリエ
   変換手段のパワー値に基づいて文字と写真を判別する判
   別手段と、この判別手段の判別結果に従い前記ディザ処
   理手段若しくは２値化処理手段の出力を択一的に有効と
   する選択手段とを具備し、前記判別手段は前記フーリエ
   変換手段から出力されるパワー値が所定のしきい値より
   大きい場合には文字と判別し、小さい場合には写真と判
   別することを特徴とする画信号処理装置。