JP2768089B2 - 車両用シート - Google Patents

車両用シート

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JP2768089B2 JP3286036A JP28603691A JP2768089B2 JP 2768089 B2 JP2768089 B2 JP 2768089B2 JP 3286036 A JP3286036 A JP 3286036A JP 28603691 A JP28603691 A JP 28603691A JP 2768089 B2 JP2768089 B2 JP 2768089B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電動着座姿勢調節手段を
備えた車両用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の車両用シートとしては、例えば特
開昭61−257333号公報に示されているように、
シートクッションの前端部と、シートバックの両側部お
よび中央部にそれぞれ空気袋を埋設し、乗員の着座を検
出する圧力スイッチと車速センサ、およびタイマーから
の信号をコントローラに入力して、運転時間と車速に応
じて空気袋への注入空気量を制御することによって乗員
の着座姿勢を変化させて、乗員の疲労を軽減させるよう
にしたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】自動車等の車両におい
て、長時間同じ乗車姿勢をとり続けると、関節が動かせ
ないことにより乗員の身体の同じ部分に負荷がかかり疲
労が進んだり、また、シートに接する部分においては血
行が阻害されることによる疲労が生じる。このため、経
時的に乗員の着座姿勢を変化させるとこれらの疲労を低
減することができるが、不自然な着座姿勢はまた別の疲
労を生じさせるため、走行状況に応じた最適な着座姿勢
もまた要求される。
【0004】一方、前記従来の車両用シートにあって
は、所定時間ごとに空気袋の圧力を増減調節するように
してあるため、長時間同じ着座姿勢による血行不順に起
因する疲労を軽減することはできるとしても、脚部関節
までも動かして着座姿勢を変化させることができないた
め、乗員の同じ部分にかかる負荷を解放することができ
ず、また、疲労の原因となる大腿部下面の圧迫を十分に
解放することができず、疲労低減効果をそれ程期待する
ことはできない。
【0005】しかも、車両の走行状況に合わせた最適な
着座姿勢変化を望めないため、走行状況の変化によって
新たに疲労を生じさせてしまう問題が依然として残され
る。
【0006】そこで、本発明は走行状況の変化に合わせ
て最適な着座姿勢を確保することができると共に、周期
的に脚部関節までも動かせて着座姿勢を変化させること
ができて、総合的に乗員の疲労を軽減させることができ
る車両用シートを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】電動式着座姿勢調節手段
を備えた車両用シートにおいて、電動式着座姿勢調節手
段は、車両の走行状態を検出する手段と、走行状態に応
最適な着座姿勢が得られるシートの基準ポジション
を設定する手段と、走行状態対応する基準ポジション
を中心にして所定の変化量でシートポジションを周期的
に調整する手段とで構成している。
【0008】
【作用】エンジンを始動して車両走行前に、予め所定の
走行条件ごとに最適な着座姿勢が得られる基準シートポ
ジションが設定される。車両を走行開始して走行状況検
出手段によって所定の走行状態が検出されると、シート
位置がその走行条件に対応した基準シートポジションに
調節されると共に、この基準シートポジションを中心に
して所定の変化量幅でシートポジションが周期的に調整
される。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面と共に詳述す
る。
【0010】図1は本発明の方法に用いられる車両用シ
ートを略示的に示すもので、2はシートクッション、3
はシートバック、4はモータ5により駆動されてシート
1の位置を前、後動調節するシートスライド装置で、シ
ート1の前、後スライド位置を検出するスライド位置セ
ンサ6を備えている。7はモータ8により駆動されてシ
ートクッション2の前端を上下動調節するシート前端リ
フター、10はモータ11により駆動されてシートクッ
ション1の後端を上下動調節するシート後端リフター
で、これらは何れもリフト量センサ9,12を備えて、
上下動位置を検出できるようにしてある。13はシート
クッション2の前端部に付設した圧力センサ、14はイ
グニッションキースイッチ、15は車速センサ、16は
タイマー、17はシートポジションメモリーで、何れも
前記モータ5,8,11およびスライド位置センサ6、
圧力センサ13、リフト量センサ9、12と共にコント
ローラ18に接続されている。
【0011】シートポジションメモリー17には、予め
走行条件に応じて最適な着座姿勢が得られるシート1の
基準ポジションがメモリーされる。これは、具体的には
市街地走行モード、高速走行モードの状況毎の基準とな
るシートポジションで、例えば市街地走行では各種運転
操作が多いため前方寄りのポジション、高速走行ではリ
ラックスした姿勢が得られる後方寄りのポジションとい
うように乗員の運転操作性、安楽性を好みに応じて決定
されるもので、メモリースイッチをオンにしてシートス
ライド装置4、シート前端リフター7、シート後端リフ
ター10によるシート1の前後スライド位置、シートク
ッション2の座面角度を調節することによって、そのシ
ートポジションが基準ポジションとしてシートポジショ
ンメモリー17に記憶される。以後、車両の走行後はこ
の基準ポジションをもとにシート位置の制御が行われる
が、勿論、この基準ポジションは走行中に乗員が最も安
楽な姿勢が得られるように変更することができる。
【0012】コントローラ18(調整手段)では、走行
状況を車速センサ15とタイマー16とで監視し、一定
時間以上同じ条件の走行が続いた場合、その条件に合う
シートポジションモードをシートポジションメモリ17
から選択し、選択された基準ポジションを中心にして所
定の変化量幅でシートポジションを周期的に調整するた
めシートスライド装置4およびシート前端リフタ7又は
シート後端リフタ10に制御信号を出力する。このコン
トローラ18によるシートポジション制御例を図2〜4
に、および基本的な制御パターンを図5〜7に示す。
【0013】これは、乗員が設定した基準ポジションを
最適姿勢として、この位置を中心に周期的なシートスラ
イド装置4の前、後駆動、およびシート前端リフタ7又
はシート後端リフタ10の上、下駆動によるシートクッ
ション2の座面角度変更を行い、不自然な姿勢とするこ
となく乗員の足首、膝、股関節の角度変更および大腿部
に加わる圧力の解放を行い、長時間一定姿勢をとり続け
ることによる疲労を防止又は低減させるもので、これら
の周期的制御モードは予めコントローラ18に記憶され
る。
【0014】ここで、例えば図2,5に示す制御モード
は乗員Hの大腿部の圧力解放優先の制御を行う場合で、
市街地走行、高速走行の何れにあっても、シート1のス
ライド位置が中心位置となる基準ポジション(市街地走
行の場合前方寄り、高速走行の場合後方寄り)よりも所
定の変化量で後方へ移動した時にシートクッション2の
前端を持ち上げ、逆にシート1のスライド位置が中心位
置よりも所定の変化量で前方へ移動した時にシートクッ
ション2の前端を下げることによって、効果的に大腿部
の圧力を解放させるものである。
【0015】図3,6に示す制御モードは乗員の関節の
角度変更優先の制御を行うもので、市街地走行、高速走
行の何れにあっても、シート1のスライド位置が基準ポ
ジション(中心位置)よりも所定の変化量で後方へ移動
した時にシートクッション2の前端を下げ、シート1の
スライド位置が中心位置よりも所定の変化量で前方へ移
動した時にシートクッション2の前端を持ち上げること
によって、膝、足首、股関節の角度変化をより大きくし
て、乗員の身体の同じ部分に負荷がかかるのをより一層
回避させるものである。
【0016】図4,7に示す制御モードは乗員の大腿部
の圧力解放と関節の角度変更の制御を同時に行うもの
で、市街地走行、高速走行の何れにあっても、シート1
のスライド位置が基準ポジションよりも所定の変化量で
後方および前方へ移動した時にシートクッション2の前
端を下げ、スライド位置が基準ポジション付近の時にシ
ートクッション2の前端も基準位置とすることによっ
て、大腿部の圧力解放と脚部関節の角度変更を共に効果
的に行わせるものである。
【0017】以上の周期的制御モードは前述のように予
めコントローラ20に記憶され、乗員の要求により任意
に選択される。
【0018】図8は前述のシート1の各周期的制御モー
ドにおけるシートスライド装置4、シート前端リフター
7の駆動波形を示すもので、基準ポジションを中心とし
た所定変化量幅でのポジション移動をリニアに(図8の
イ,ロ)、あるいはポジション移動を間欠的に(図8の
ハ)行わせたりすることができる。これは勿論、シート
スライド装置4とシート前端リフター7の駆動波形を同
じにする必要はないので、様々な組み合わせを用いるこ
ともできる。
【0019】また、この実施例にあっては車両の走行状
況を車速センサ15とタイマー16とで監視して、前述
の周期的モード制御を行わせることと併せて、前述圧力
センサ13によってシートクッション2の前端部の圧力
Pを監視し、図9に制御パターンとして示すように、前
記圧力が所定圧PU以上になった場合には、脚が伸びき
った状態と判断して、その位置より後方へのスライド移
動および上方へのリフタ作動は行わずに足がペダル等か
ら離れることを防止する。また、逆に所定圧PL以下に
なった場合にはその位置より前方へのスライド移動およ
び下方へのリフタ作動を行わないようにしている。
【0020】図10は以上のシート位置調整を行う制御
プログラムのフローチャートを示すもので、ステップ1
00でイグニッションスイッチのオン状態を判断して、
エンジンが始動されるとステップ101でタイマー16
が、ステップ102でスライド位置センサ6、リフト量
センサ9,12、圧力センサ13、車速センサ15が、
それぞれオンにされて測定可能状態となる。
【0021】ステップ103でメモリースイッチがオン
か否かを判断し、否定の場合は、シート1が走行条件に
対応した基準ポジションに設定されているものと判断し
てステップ104へ進む。肯定の場合基準ポジションへ
のシート位置調整が行われると、ステップ104でこの
シート位置が基準ポジションとしてシートポジションメ
モリ17に記憶される。
【0022】ステップ105で車速センサ15の監視の
下に走行開始か否かが判断され、否定の場合ステップ1
03に戻る。肯定の場合ステップ106に進み、メモリ
ースイッチのオン状態を監視して走行中に基準ポジショ
ンの変更がなされたか否かが判断され、肯定の場合ステ
ップ104に戻ってその調整位置がメモリーされ、否定
の場合ステップ107へ進む。
【0023】ステップ107では車速センサ15、タイ
マー16の監視の下に所定時間所定の同一走行条件か否
か、つまり、市街地走行又は高速走行か否かが判断さ
れ、否定の場合ステップ106へ戻る。肯定の場合ステ
ップ108で市街地走行モード又は高速走行モードの基
準シートポジションが選択、決定され、続くステップ1
09でこの基準ポジションモードに従ってコントローラ
18よりシートスライド装置4、シート前端リフター
7、シート後端リフター10に制御信号が出力され、シ
ートポジションを所定の走行条件に対応する基準ポジシ
ョンに移動すると共に、図2,5、又は図3,6、又は
図4,7に示す制御モードに従ってシートスライド装置
4およびシート前端リフター7を駆動し、当該基準ポジ
ションを中心にして所定の変化量幅でシートポジション
を周期的に調整する。
【0024】続くステップ110で再びメモリースイッ
チのオン状態を監視して走行中にこの基準ポジションの
変更がなされたか否かが判断され、肯定の場合ステップ
104へ戻って変更されたシートポジションがシートポ
ジションメモリー17に記憶され、否定の場合ステップ
111へ進む。
【0025】ステップ111では圧力センサ13で検出
されたシートクッション2前端部の圧力が所定圧PU
上であるか否かが判断される。肯定の場合脚が伸びきっ
た状態と判断してステップ116でシートスライド装置
4のスライド後退、シート前端リフタ7のリフタ上昇が
制限され、否定の場合ステップ112へ進みシートクッ
ション2前端部の圧力が所定圧PL以下であるか否かが
判断される。ステップ112で肯定の場合シートスライ
ド装置4のスライド前進、シート前端リフタ7のリフタ
下降が制限され(ステップ117)、否定の場合ステッ
プ113へ進む。
【0026】ステップ113では前述のセンサ15、タ
イマー16の監視の下に走行条件が変化したか否かが判
断され、否定の場合ステップ114へ進む。肯定の場合
ステップ118でその変化した走行状態が所定時間継さ
れているか否かが判断され、該ステップ118で肯定の
場合ステップ108へ戻ってモード決定される一方、否
定の場合ステップ114へ進む。
【0027】ステップ114ではイグニッションキース
イッチがオフか否かが判断され、否定の場合ステップ1
10へ戻って制御作動が継続され、肯定の場合ステップ
115へ進んでシートポジションを基準のメモリ位置に
戻して制御作動を終了する。
【0028】なお、前述においてシートクッション2の
座面角度変化に伴ってシートバック3も一体となって角
度が変化してしまうシートについては、図外のリクライ
ニング機構を制御対象に加えることで対応することがで
きる。
【0029】図11は本発明の第2実施例を示すもの
で、この実施例にあってはシートスライド装置のみを制
御、つまり、走行条件に対応した基準ポジションを中心
にして、シートスライド装置の前、後駆動により所定の
変化量幅でシート1のスライド位置を周期的に前、後変
化させるもので、この場合でもシートスライド装置の前
後運動により乗員Hの脚部関節の角度が変わり、また、
大腿部のシートクッション2に対する接触圧力が変化す
るために疲労低減効果を得ることができる。しかも、こ
の方法によればシートスライド装置のみの制御となるた
め、機構、制御が簡便となり、コスト的に有利となる。
【0030】図12はシートスライド装置、シート前端
リフター、リクライニング装置の3つを制御するように
した実施例を示す。
【0031】この実施例では先ず、基準となる姿勢の肩
の位置(ショルダーポイントS・P)を決定する。これ
は簡便にシートクッションから上方への距離で予め決め
ておいても良いし、バックレストに埋め込んだ体圧セン
サにより肩の位置を計測、決定してもよい。次に、ヒッ
プポイントH・Pの軌跡がショルダーポイントS・Pを
中心とした円になるようにシートスライド装置、シート
前端リフター、リクライニング装置を制御する。このヒ
ップポイントH・Pの運動も周期的な往復動とする。同
時にシートクッション座面の角度変更も行う。この制御
作動は図10に示したフローチャートと略同様の制御プ
ログラムで実施することができ、この実施例の場合、シ
ョルダーポイントS・Pを中心とした回転運動を行うた
め、ハンドル,シフトレバー等の操作系と乗員Hの手腕
系との距離L、および乗員HのアイポイントE・Pを一
定としたままで、足首a、膝b、股関節cの角度変化、
および大腿部に加わる圧力の解放を行うことができる。
【0032】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、走行条件
に応じて最適な着座姿勢が得られると共に、この着座姿
勢が得られるシート位置を基準ポジションとして、該基
準ポジションを中心に所定の変化量幅でシートポジショ
ンを周期的に調整、変化させるため、乗員の関節を動か
せることができて、長時間身体の同じ部分に負荷がかか
り生じる疲労や、大腿部がシートクッション前端により
圧迫されることによる疲労を低減することができる利点
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用シートの略示的斜視図。
【図2】同実施例の制御モードの第1例を示す模式的説
明図。
【図3】同制御モードの第2例を示す模式的説明図。
【図4】同制御モードの第3例を示す模式的説明図。
【図5】図2に対応した制御パターン図。
【図6】図3に対応した制御パターン図。
【図7】図4に対応した制御パターン図。
【図8】同実施例におけるシートスライド装置、シート
前端リフターの駆動波形図。
【図9】同実施例における圧力センサの検出波形と、シ
ートスライド装置、シート前端リフターの駆動波形図。
【図10】同実施例の制御プログラムのフローチャー
ト。
【図11】本発明の第2実施例における制御モードの模
式的説明図。
【図12】本発明の第3実施例における制御モードの模
式的説明図。
【符号の説明】
1…シート、2…シートクッション、3…シートバッ
ク、4…シートスライド装置、7…シート前端リフタ
ー、13…圧力センサ、15…車速センサ、16…タイ
マー、17…シートポジションメモリー、18…コント
ローラ。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−257333(JP,A) 特開 平3−200439(JP,A) 特開 平3−200438(JP,A) 特開 平3−198813(JP,A) 特開 昭62−178449(JP,A) 実開 昭63−89834(JP,U) 実願 平2−105839号(実開 平4− 62222号)の願書に添付した明細書及び 図面の内容を撮影したマイクロフィルム (JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60N 2/06 B60N 2/18 B60N 2/22 G05B 19/42

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電動式着座姿勢調節手段を備えた車両用
    シートにおいて、電動式着座姿勢調節手段は、車両の走
    行状態を検出する手段と、走行状態に応じ最適な着座
    姿勢が得られるシートの基準ポジションを設定する手段
    と、走行状態対応する基準ポジションを中心にして所
    定の変化量でシートポジションを周期的に調整する手段
    とで構成したことを特徴とする車両用シート。
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