JP2767508B2 - 冷間圧延におけるエッジドロップ制御方法 - Google Patents

冷間圧延におけるエッジドロップ制御方法

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JP2767508B2
JP2767508B2 JP3332792A JP33279291A JP2767508B2 JP 2767508 B2 JP2767508 B2 JP 2767508B2 JP 3332792 A JP3332792 A JP 3332792A JP 33279291 A JP33279291 A JP 33279291A JP 2767508 B2 JP2767508 B2 JP 2767508B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷間圧延における被圧
延材のプロフィール、特にエッジドロップ量を制御する
ようにした冷間圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、冷間圧延では、板幅方向の板
厚偏差のうち、特に両板幅端部での急激な板厚減少(以
下エッジドロップ)が発生することが知られている。そ
して、このエッジドロップを改善するために一対の作業
ロールのそれぞれが少なくとも片側端部に先細り研削を
施したテーパー部を備え、このテーパー部を被圧延材の
両側端部に位置させ、ロールギャップの幾何学的形状の
改良によってエッジドロップの軽減に成果を挙げ得るこ
と、また、これを冷間タンデム圧延機列に適用した場合
に、少なくも第1スタンドに当該テーパー部を備えた作
業ロールを組み込んだ圧延機を配置するとともに少なく
とも出側最終スタンドにはプレーンな形状の作業ロール
を組み込んだ圧延機を配置することが提案されている
(特公平2-4364)。
【0003】更に、上記冷間タンデム圧延機列におい
て、最終スタンド出側における鋼板のエッジドロップ量
を測定し、この測定エッジドロップ量と目標エッジドロ
ップ量とを比較演算し、この比較演算値に基づき、前記
テーパー部を備えた作業ロールの板幅方向におけるシフ
ト量とロールベンダー圧を制御することが提案されてい
る(特開昭60-12213)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、前述のテ
ーパー部を備えた作業ロールをシフトする制御方法で
は、酸洗工程で耳切りをしない材料に対し、熱間圧延で
生じた板幅変動のため、板幅端からの距離で規定される
エッジドロップ量(例えば板幅端10mmで 5μm )を測定
し、冷間圧延工程でこの測定結果に基づいて作業ロール
をシフト制御しても、耳切りして最終製品にしたときに
は板幅変動のために、上記冷間圧延工程での制御のため
のエッジドロップ量測定位置と最終製品で板幅端からの
距離で規定されるエッジドロップ量検定位置とが異なる
ため、上記冷間圧延工程での制御によっても必ずしも長
手方向に均一なエッジドロップを有する製品が得られな
い問題があった。
【0005】また、板幅変動は、冷間圧延でのエッジド
ロップ挙動自体にも影響を与えるため、上記冷間圧延工
程での制御を実行しても、冷間圧延でのエッジドロップ
の変動が大きくなる問題があった。
【0006】本発明は、板幅変動がエッジドロップ偏差
量に与える影響を改善し、冷間圧延後のエッジドロップ
を一定に制御でき、板幅方向の板厚偏差の少ない冷延ス
トリップ製品を安定的に製造することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
は、片側端部に先細り研削を施したテーパー部を被圧延
材の両側端部に位置させる配列からなる作業ロール対を
板幅方向にシフト可能な圧延機を、少なくとも第1スタ
ンドを含む1以上のスタンドに順次配置した冷間タンデ
ム圧延機列にて、上記作業ロール対をシフトできる圧延
機のシフト位置を調整し、被圧延材の板幅方向板厚偏差
を制御する冷間圧延を行なうに際し、被圧延材の板幅を
測定するとともに、上記作業ロール対をシフトできる圧
延機を配置したスタンドより後方で被圧延材の板幅端部
のエッジドロップ量を測定し、最終製品幅に対する被圧
延材の板幅との差より、上記エッジドロップ量の測定位
置を変更し、測定エッジドロップ量と目標エッジドロッ
プ量とのエッジドロップ偏差量を求め、該エッジドロッ
プ偏差量に基づき前記作業ロールのシフト位置を変更す
るようにしたものである。
【0008】請求項2に記載の本発明は、請求項1の本
発明において更に、測定された板幅変動に対し、板幅端
部と作業ロールのテーパー部との相対的位置関係を保持
すべく、作業ロールをシフトするようにしたものであ
る。
【0009】
【作用】図1に本発明に係るエッジドロップ制御方法の
一実施例に用いられるエッジドロップ制御装置10の制
御系統図を示す。
【0010】このとき、冷間タンデム圧延機列20は、
図2に示す如く、片側端部に先細り研削を施したテーパ
ー部を被圧延材1の両側端部に位置させる配列からなる
上下一対の作業ロール21Aを板幅方向にシフト可能な
圧延機21を、少なくとも第1スタンドを含む1以上の
スタンドに順次配置するとともに、プレーンな形状の上
下一対の作業ロール22Aを組み込んだ圧延機22を、
少なくとも出側最終スタンドに配置して構成されてい
る。
【0011】そして、圧延機列20は、最終スタンドの
圧延機22の出側に、被圧延材1の板幅を測定する板幅
計24を設置するとともに、被圧延材1の操作側、駆動
側の両板幅端部それぞれのエッジドロップ量を測定する
エッジドロップ計23を設置してある。
【0012】エッジドロップ計23は、板幅方向に細か
いピッチで板厚計を並べた構造からなり、急激に板厚の
減少する位置を板端部と認識し、板幅端から板幅内側に
ある距離入った位置における板厚が設定板厚に対する板
厚偏差を、当該位置でのエッジドロップ量として出力す
る。図3は、操作側のエッジドロップ計23の出力値で
ある。
【0013】また、冷間タンデム圧延機列20は、上下
の作業ロール21Aのためのシフト装置25を配設して
ある。
【0014】然るに、エッジドロップ制御装置10は、
エッジドロップ量演算装置11と、シフト位置演算装置
12とを有する。
【0015】エッジドロップ量演算装置11は、エッジ
ドロップ計23と板幅計24の測定結果(タンデム入側
に設置された板幅計34の出力をエッジドロップ計23
までトラッキングしても良い)に基づき、エッジドロッ
プ量演算装置11において制御すべきエッジドロップ偏
差量Δhed を演算する。このとき、当初エッジドロップ
管理位置として設定した板幅端からの距離をxo とする
と、板幅が、設定板幅からΔWだけ広い場合には、エッ
ジドロップ測定位置xを下記(1) 式で求められる位置に
変更する。 x=xo +ΔW/2 …(1) x;エッジドロップ測定位置(板幅端からの距離) xo ;エッジドロップ管理位置の設定値 ΔW;板幅偏差量(設定板幅からの偏差量)
【0016】そして、上記エッジドロップ測定位置xに
おける測定エッジドロップ量と目標エッジドロップ量と
の差を、例えば図3より、エッジドロップ偏差量Δhed
として出力する。
【0017】シフト位置演算装置12は、エッジドロッ
プ量演算装置11が演算したエッジドロップ偏差量Δhe
d を0 に保つべく、上下の作業ロール21Aのシフト変
更量ΔSj を求め、このΔSj に基づいて、シフト装置
25を制御する。
【0018】ここで、ΔSj は例えば下記(2) 式に従っ
て演算できる。 ΔSj =1/ξj ・Δhed/ tanαj …(2) αj ;jスタンドの作業ロールのテーパー部のテーパー
角度 ξj ;タンデム圧延機列出側でのエッジドロップ量に対
するjスタンドのエッジ部の幾何学的ギャップ量(E
H;図2参照)の影響係数
【0019】即ち、エッジドロップ計23と板幅計24
(又は34)の測定結果に基づき、エッジドロップ量演
算装置11により演算されたエッジドロップ偏差量Δhe
d に応じて、上流スタンドに設置されている、作業ロー
ルをシフトできる圧延機のシフト量を上記(2) 式に基づ
いてフィードバック方式にて変更すれば良いこととな
る。
【0020】尚、上記(2) 式はjスタンド単独のシフト
量変更でエッジドロップ量を修正しようとしたときのシ
フト量を示すものであり、複数スタンドのシフト変更量
でエッジドロップを修正しようとする場合には、エッジ
ドロップ偏差量Δhed を各シフト量変更スタンドに任意
の分配率で分配し、上記(2) 式の演算を行なう必要があ
る。
【0021】尚、板幅計のかわりに、左右のエッジドロ
ップ計間の距離を測定するとともに、エッジドロップ計
の板端部検出機能を利用することにより板幅を計算し、
上記(1) 式の板幅に応じた修正演算を行なうこともでき
る。
【0022】また、図1は、タンデム圧延機列出側にエ
ッジドロップ計を配置した例であるが、スタンド間にエ
ッジドロップ計を配置し、もしくは、複数スタンドそれ
ぞれの出側に複数のエッジドロップ計を配置する場合で
も、上記(1)式の板幅に応じた修正演算を同様に行なえ
ば良い。
【0023】また、板幅変動がエッジドロップ量に与え
る影響を取り除く方法として、タンデム入側に設置され
た板幅計34の出力を用いてフィードフォワード方式に
て、作業ロールのシフト位置を変更する方式を採用する
ことも考えられる。この場合、シフト量は以下の考え方
で決定される。
【0024】即ち、単スタンドにおける上記作業ロール
をシフトできる圧延機での作業ロールのテーパー肩部と
板幅端との距離と、エッジドロップ改善量との関係を図
4に示す。作業ロールを固定した状態下で板幅が変動し
た場合には、例えば、当初a点でエッジドロップを改善
していたものが板幅偏差量ΔWだけ広くなると、作業ロ
ールのテーパー肩部と板幅端との距離がΔW/2だけ大き
くなり、結果として改善量に変化が出ることから、板幅
偏差量ΔWの半分の量だけ作業ロールをシフトすること
によりテーパー肩部と板幅端と距離を一定に保ちエッジ
ドロップ改善量の変動をなくすことができる。この場合
シフト量ΔSj は(3) 式で示される。 ΔSj =−ΔW/2 …(3)
【0025】即ち、タンデム入側に設置された板幅計3
4により測定された板幅変動に合わせて、上流スタンド
に設置されている、作業ロールをシフトできる圧延機の
シフト量を上記(3) 式に基づいてフィードフォワード方
式にて変更すれば良いこととなる。
【0026】また、前述のエッジドロップ計23と板幅
計24(又は34)の測定結果に基づくフィードバック
方式によるシフト量変更操作と、上述の板幅計34の測
定結果に基づくフィードフォワード方式によるシフト量
変更操作とを同時に実施する場合には、制御すべきシフ
ト量ΔSj は、(2)式と(3) 式の値を加算したものとな
る。
【0027】
【実施例】板幅1100mm、板厚2.6mm の母板を図5に示す
5スタンドの冷間タンデム圧延機列において、0.3mm ま
で冷間圧延した。NO. 1スタンドに、片側端部に先細り
研削を施した作業ロールを板幅方向にシフトできる圧延
機を設置するとともにタンデム入側に板幅計を設置し、
最終スタンド出側にエッジドロップ計及び板幅計を設置
した。
【0028】最終スタンド出側のエッジドロップ計の出
力のみを用いて制御する場合(従来法)、タンデム出側
の板幅計で測定した板幅偏差によってエッジドロップの
測定位置を変更し、該エッジドロップ計の出力を用いて
制御した場合(本発明法I )、タンデム入側の板幅計で
測定した板幅偏差によって作業ロールのテーパー肩部と
板幅端部との距離を一定に保つように板幅偏差に対応さ
せてシフト量を変更する方法を本発明法I に追加した場
合(本発明法II)のそれぞれについて圧延を行なった。
【0029】即ち、上述の本発明法I は、作業ロールの
シフト量を前記(2) 式に基づいて変更したものである。
また、本発明法IIは、作業ロールのシフト量を前記(2)
式と(3) 式の値を加算したものに基づいて変更したもの
である。
【0030】図5に圧延時のエッジドロップ偏差量、板
幅偏差量及び耳切り後のエッジドロップ偏差量(上記圧
延時と同一板速度で通板し、各位置が一致するようにし
ている)を示す。従来法では、板幅偏差があっても常に
板幅端からの同じ距離のところでエッジドロップを測定
し制御しているため、板幅が広くなると最終製品にとっ
ては、指定した管理位置より、より板幅端部に近い位置
でのエッジドロップ量を目標値になるように制御するた
め、指定した管理位置では目標値より小さなエッジドロ
ップ量となりその偏差量は−側に大きくはずれている
(板厚としては、厚くなる)。一方、本発明法I では、
板幅が広くなるとこれに対応してより内側の部分の板厚
を測定してエッジドロップ量としているため、板幅が広
くなると冷間圧延機出側でも幾分小さい方向にエッジド
ロップ量がはずれるが、冷間圧延機出側と耳切り後で同
じ位置のエッジドロップ量を測定しているため、エッジ
ドロップ偏差量は同一であり、従来法に比べて偏差量は
小さく改善されている。更に、本発明法IIでは板幅偏差
に合わせて、エッジドロップ測定位置を変更するだけで
なく、板幅変動に合わせて作業ロールのテーパー肩部の
位置を予め変更しているため、冷間圧延機出側でのエッ
ジドロップ量も小さくでき、その結果耳切り後のエッジ
ドロップ偏差量も小さくできる。
【0031】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、板幅変
動がエッジドロップ偏差量に与える影響を改善すること
ができ、冷間圧延後のエッジドロップを一定に制御で
き、板幅方向の板厚偏差の少ない冷延ストリップ製品を
安定的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明を実施するためのエッジドロップ
制御装置の一例を示す制御系統図である。
【図2】図2は本発明に用いられる圧延機のエッジドロ
ップ改善の概念図である。
【図3】図3はエッジドロップ計の出力の一例を示す線
図である。
【図4】図4はエッジドロップ改善量と作業ロールのテ
ーパー肩部ないし板幅端の距離との関係を示す線図であ
る。
【図5】図5は本発明を実施したタンデム圧延機列の配
列図である。
【図6】図6は本発明によるエッジドロップ改善効果を
示す線図である。
【符号の説明】
1 被圧延材 10 エッジドロップ制御装置 11 エッジドロップ量演算装置 12 シフト位置演算装置 20 冷間タンデム圧延機列 21A 作業ロール 23 エッジドロップ計 24、34 板幅計 25 シフト装置
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B21B 37/28 B21B 37/40 - 37/42

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 片側端部に先細り研削を施したテーパー
    部を被圧延材の両側端部に位置させる配列からなる作業
    ロール対を板幅方向にシフト可能な圧延機を、少なくと
    も第1スタンドを含む1以上のスタンドに順次配置した
    冷間タンデム圧延機列にて、上記作業ロール対をシフト
    できる圧延機のシフト位置を調整し、被圧延材の板幅方
    向板厚偏差を制御する冷間圧延を行なうに際し、被圧延
    材の板幅を測定するとともに、上記作業ロール対をシフ
    トできる圧延機を配置したスタンドより後方で被圧延材
    の板幅端部のエッジドロップ量を測定し、最終製品幅に
    対する被圧延材の板幅との差より、上記エッジドロップ
    量の測定位置を変更し、測定エッジドロップ量と目標エ
    ッジドロップ量とのエッジドロップ偏差量を求め、該エ
    ッジドロップ偏差量に基づき前記作業ロールのシフト位
    置を変更することを特徴とする冷間圧延におけるエッジ
    ドロップ制御方法。
  2. 【請求項2】 測定された板幅変動に対し、板幅端部と
    作業ロールのテーパー部との相対的位置関係を保持すべ
    く、作業ロールをシフトする請求項1記載の冷間圧延に
    おけるエッジドロップ制御方法。
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JP4878485B2 (ja) 2006-03-17 2012-02-15 三菱日立製鉄機械株式会社 冷間連続圧延設備
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