JP2766940B2 - 易剥離性多層構造物の製造方法 - Google Patents

易剥離性多層構造物の製造方法

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JP2766940B2
JP2766940B2 JP2137064A JP13706490A JP2766940B2 JP 2766940 B2 JP2766940 B2 JP 2766940B2 JP 2137064 A JP2137064 A JP 2137064A JP 13706490 A JP13706490 A JP 13706490A JP 2766940 B2 JP2766940 B2 JP 2766940B2
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京次 田中
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、食品包装材料や食品容器材料等に好適に使
用される易剥離性多層構造物の製造方法に関する。
〔従来の技術〕 食品包装などに好適な包装材料としてプラスチック加
工品が多く用いられている。プラスチック加工品を用い
る場合、包装体の開封を容易にするため、プラスチック
材料として剥離性を有するものを用い、そのプラスチッ
ク材料を剥離することにより包装体を開封することが考
えられている。このため、易剥離性を有するプラスチッ
ク材料が望まれている。特に、プラスチック材料とし
て、耐熱性、耐薬品性、コスト性等の点で優れたポリオ
レフィン系樹脂の需要が極めて高く、ポリオレフィン系
樹脂を用いた易剥離性材料が求められている。
このようなポリオレフィン系樹脂を用いた易剥離性材
料として易剥離性多層構造物が挙げられる。従来の易剥
離性多層構造物の製造方法としては、ラミネート法、
押出法が挙げられる。例えば、2つのポリオレフィン
系樹脂からなる層を有する易剥離性多層構造物を製造す
るとき、のラミネート法を用いる場合、ポリオレフィ
ン系樹脂をシート状等に成形し、剥離材や粘着剤等を一
方のシート上に塗工し、その上に他方のシートをラミネ
ートして易剥離性多層構造物を製造する。また、の押
出法を用いる場合、2つのポリオレフィン系樹脂からな
る層を接着樹脂を介して共押出するか、あるいは、2つ
のポリオレフィン系樹脂からなる層の一層又は両層に第
三成分を配合して押し出し、易剥離性多層構造物を製造
する。
しかし、のラミネート法では、剥離材や粘着剤等を
塗工する公定が煩雑であること、最低3層以上となるこ
と、所望の剥離強度を得ることのできる剥離材や粘着剤
等の選定が煩雑であることなどの問題点がある。
また、の押出法では、接着樹脂を介して共押出しす
る場合、最低3層以上必要であること、強固に接着させ
ることを目的としているため易剥離性が不十分であるこ
と等の問題がある。また、第三成分を配合する場合、原
料の組み合わせにより多層構造の易剥離性を実現するた
め原料が制限されること、配合する第三成分の影響から
機械的物性、外観適性等に制約があることなどの問題が
ある。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、多層構造物の機械的強度を変更せず、かつ
接着樹脂を必用とせず、所望の層間剥離強度を得ること
のできる易剥離性多層構造物の製造方法を提供しようと
するものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意研究を重
ねた結果、特定の層構造を有する多層構造物に特定の熱
処理を施すことにより層間剥離強度を低減化することが
でき、目的とする易剥離性多層構造物が得られることを
見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至っ
た。
すなわち本発明は、ポリエチレン系樹脂からなる層と
ポリプロピレン系樹脂からなる層とが隣接するように加
熱積層し冷却した多層構造物を、ポリエチレン系樹脂の
主融解ピーク温度−20℃以上であってポリプロピレン系
樹脂の主融解ピーク温度以下の温度に加熱した後冷却す
ることにより、ポリエチレン系樹脂からなる層とポリプ
ロピレン系樹脂からなる層との層間剥離強度を調整して
易剥離性多層構造物とすることを特徴とする易剥離性多
層構造物の製造方法を提供するものである。
本発明の易剥離性多層構造物の製造方法では、ポリエ
チレン系樹脂からなる層とポリプロピレン系樹脂からな
る層とが隣接するように加熱積層し冷却した多層構造物
を熱処理する。
多層構造物のポリエチレン系樹脂からなる層として
は、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエ
チレン(L−LDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)のい
ずれか1種又は2種以上の混合物からなる層が挙げられ
る。使用するポリエチレン系樹脂は、主融解ピーク温度
が95〜135℃のものであることが好ましい。ここで主融
解ピーク温度とは、融解ピーク温度のうち最大ピークを
示す融解ピーク温度をいう。
ポリプロピレン系樹脂からなる層としては、ポリプロ
ピレン(PP)単品からなる層又はPPにポリエチレン(P
E)を配合したものからなる層が挙げられる。易剥離性
の多層構造物を製造する場合にはPPにLDPEを配合するこ
とが好ましい。PPにPEを配合する場合、配合の割合とし
ては、PEを3〜80重量%とすることが好ましく、特にPE
を10〜30重量%とすることが好ましい。使用するポリプ
ロピレン系樹脂は、主融解ピーク温度が135〜165℃のも
のであることが好ましい。
各層の厚みとしては、熱処理を施すことが可能な厚み
であれば特に制限はない。
上記のポリエチレン系樹脂からなる層とポリプロピレ
ン系樹脂からなる層とが隣接するように加熱積層し冷却
した多層構造物を形成する方法としては、両層が溶融一
体化する方法であれば、特に制限はない。例えば、各層
を構成する樹脂をそれぞれ個別に溶融して押出法等によ
り単層品として成形し、これらの2つの単層品が隣接す
るように重ね合わせてプレス法等により加熱積層し冷却
する方法や、両層を構成する樹脂を同時に加熱溶融し共
押出法等によって両樹脂層が隣接するように加熱積層し
冷却する方法などが挙げられる。積層後の冷却として
は、冷却後の温度が0〜80℃となるような冷却速度101
〜105℃/秒の急冷が好ましい。急冷された多層構造物
では、ポリエチレン系樹脂からなる層とポリプロピレン
系樹脂からなる層との層間剥離強度が高く、易剥離性が
損なわれている。本発明は、このような多層構造物にお
いて層間剥離強度を精度よく低減化し所望の剥離強度に
制御することができ、特に有効である。
多層構造物の形状としては、特に制限はなく、シート
状、ボトル状、トレー状など任意の形状とすることがで
きる。
本発明では、上記の多層構造物に熱処理を施す。すな
ち、上記の多層構造物をポリエチレン系樹脂の主融解ピ
ーク温度−20℃以上であってポリプロピレン系樹脂の主
融解ピーク温度以下の温度に加熱した後冷却する。
加熱する温度がポリエチレン系樹脂の主融解ピーク温
度−20℃未満の温度では、層間剥離強度は変化しない。
また、ポリプロピレン系樹脂の主融解ピーク温度を超え
る温度では、熱処理後の冷却速度により層間剥離強度が
左右される。
加熱は、少なくともポリエチレン系樹脂からなる層と
ポリプロピレン系樹脂からなる層とが接する界面が上記
の温度に達するように行えばよい。
このような温度に加熱するための所要時間としては、
特に制限はないが、通常1秒以上とすることが好まし
く、特に10秒以上とすることが好ましい。
多層構造物を加熱する手段としては、特に制限はな
く、熱媒体等に多層構造物を接触させて加熱する接触加
熱手段や、他の媒体を介して加熱する間接加熱手段など
が挙げられる。使用する熱媒体には、特に制限はない。
例えば、所定の温度に加熱した金属ロール等に多層構造
物を接触させて加熱したり、プレス機等により多層構造
物を加熱したりすることができる。
次いで、加熱した多層構造物を、その後冷却する。
冷却するための所要時間は、多層構造物の層間剥離強
度には影響しないので、特に制限はない。
冷却する手段としては、特に制限はなく、冷却媒体等
に多層構造物を接触させて冷却する接触冷却手段や、他
の媒体を介して冷却する間接冷却手段などが挙げられ
る。使用する冷却媒体には、特に制限はない。
このような熱処理により、ポリエチレン系樹脂からな
る層とポリプロピレン系樹脂からなる層との層間剥離強
度を低減化し、機械的強度を全く変更せず、所望の層間
剥離強度を有する易剥離性多層構造物を製造することが
できる。
すなわち、多層構造物を加熱する温度により層間剥離
強度の低減する割合が異なるので、加熱温度を変更する
ことにより所望の層間剥離強度を有する易剥離性多層構
造物を得ることができる。具体的には、多層構造物を加
熱する温度が、ポリエチレン系樹脂の主融解ピーク温度
−20℃〜ポリプロピレン系樹脂からなる層に含まれる高
密度ポリエチレンの融解ピーク温度の温度範囲では、高
温であるほど層間剥離強度の低減する割合が大きくな
る。また、ポリプロピレン系樹脂からなる層に含まれる
高密度ポリエチレンの融解ピーク温度〜ポリプロピレン
系樹脂の主融解ピーク温度の温度範囲では、高温である
ほど層間剥離強度の低減する割合が小さくなる。以上の
ような熱処理により、通常1kg/25mm以下の所望の層間剥
離強度を得ることができる。
したがって、同一層構成の剥離性多層構造物の層間剥
離強度を、多層構造物の熱処理温度を変化させるだけで
機械的物性を全く変更せず、所望の強度に変化させるこ
とが可能である。このため、シート成形品や食品包装容
器用だけでなく、各種の使用用途分野で本発明により製
造された剥離性多層構造物を使用することが可能とな
る。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、
本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1〜6及び比較例1〜5 ポリエチレン系樹脂からなる層をA層、ポリプロピレ
ン系樹脂からなる層をB層とし、第1表に示す性状を有
する(a)〜(d)の樹脂を用いて、下記に示すA層と
B層とが隣接するように加熱積層し冷却して多層構造物
を製造した。ここで、加熱積層は共押出法により行っ
た。すなわち、フィードブロック法、Tダイ法を用いて
A層とB層とを共押出して積層した。このとき、ダイ温
度を220℃として多層構造物を加熱した。また、冷却は
水温5℃の水槽に多層構造物を浸す水冷による急冷とし
た。
A層:(c) 主融解ピーク温度 130℃ B層:(a)/(b)/(d)=80/4/16(重量%) 主融解ピーク温度 165℃ 得られた多層構造物のA層の厚みは0.1mm、B層の厚
みは0.7mmであった。また、得られた多層構造物のA層
とB層との層間剥離強度をJIS K−6854に準拠して、1
80゜剥離、引張速度50mm/分、試験片幅25mmで測定した
ところ、2.0kg/25mmであった。
次いで、上記の多層構造物を易剥離化するために、第
2表に示す種々の温度に加熱した後、除冷又は急冷する
ことにより多層構造物に熱処理を施した。ここで加熱
は、実施例1〜3及び比較例1〜3では、金属ロールを
用いた接触加熱により行った。実施例4〜6では、A層
が金属ロールに付着したため、接触加熱とセラミックヒ
ーターによる補助間接加熱を併用した加熱により行っ
た。比較例4及び5では、A層とB層が共に金属ロール
に付着したため、実施例4と同様の補助間接加熱併用に
より行った。また、除冷は、ラバーロールに多層構造物
を接触させた後、20℃の雰囲気中に放置する法冷により
行った。急冷は、前記と同様の5℃の水冷により行っ
た。
以上により、製造した易剥離性多層構造物について、
A層とB層との層間剥離強度と前記と同様に測定した。
結果を第2表に示す。
〔発明の効果〕 本発明によると、多層構造物の機械的強度を変更せ
ず、かつ接着樹脂を必要とせず、所望の層間剥離強度を
有する易剥離性多層構造物を製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B32B 1/00 - 35/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエチレン系樹脂からなる層とポリプロ
    ピレン系樹脂からなる層とが隣接するように加熱積層し
    冷却した多層構造物を、ポリエチレン系樹脂の主融解ピ
    ーク温度−20℃以上であってポリプロピレン系樹脂の主
    融解ピーク温度以下の温度に加熱した後冷却することに
    より、ポリエチレン系樹脂からなる層とポリプロピレン
    系樹脂からなる層との層間剥離強度を調整して易剥離性
    多層構造物とすることを特徴とする易剥離性多層構造物
    の製造方法。
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