JP2763831B2 - 可逆感熱記録シート - Google Patents

可逆感熱記録シート

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JP2763831B2
JP2763831B2 JP3064873A JP6487391A JP2763831B2 JP 2763831 B2 JP2763831 B2 JP 2763831B2 JP 3064873 A JP3064873 A JP 3064873A JP 6487391 A JP6487391 A JP 6487391A JP 2763831 B2 JP2763831 B2 JP 2763831B2
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reversible thermosensitive
recording
thermosensitive recording
recording sheet
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正明 鈴木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加熱により可逆的に情
報を記録・消去できる、例えば書換可能な感熱表示ので
きる可逆感熱記録シートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、可逆的に情報を記録・消去で
きる記録層の組成物として、スピロピラン化合物などの
光照射によって発・消色するフォトクロミック材料が多
く検討されてきた。しかし、この材料の場合には、光や
熱に対する安定性や繰返し使用に対する耐久性に問題が
あり、実用にいたっていない。
【0003】これに対して、耐光性があり繰返し使用で
きる材料として、熱的に記録層の透明、不透明さを変化
させて可逆的に情報の記録や表示を行なう高分子組成物
が、例えば特開昭54−119377号公報で開示され
ている。この組成物は、比較的低分子量の結晶性の有機
化合物をマトリクスポリマ中に粒子状に分散した複合組
成物であり、加熱温度範囲によって透明状態にしたり、
白濁した不透明状態にすることができ、可逆的に状態を
変化した記録を行なうことが可能である。それぞれの状
態は、粒子中での有機化合物の単結晶状態、多結晶状態
に対応して、結晶サイズの違いによって光の透過、散乱
を生じるものである。使用する際の構成の一つとして、
支持体シート上に記録層をコーティングして形成された
シート、およびそれを打ち抜いて加工したカードの形態
で利用される。
【0004】この可逆感熱記録シートへの情報の書き込
み及び消去は、通常サーマルヘッドで行なわれる。サー
マルヘッドによって加熱して記録あるいは消去する際
に、その繰返しによって、記録層の損傷による物理的劣
化な記録状態の劣化や、記録層組成物のサーマルヘッド
への付着によるヘッドの熱特性低下を生じる。そのた
め、記録層の上に保護層がコーティングによって形成さ
れ使用される。保護層は、熱安定性に加え機械的強度と
可撓性が必要であり、さらに記録層の情報の読みだしを
良好に行なうために、光学的には透明性が必要とされ
る。一般に保護層の材質としては、セルロース系樹脂、
スチレン樹脂あるいはスチレン共重合樹脂、アクリル樹
脂またはメタクリル樹脂あるいはそれらの共重合樹脂、
ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリ塩化ビニル樹
脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重
合樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリレート系放射線硬化
樹脂などが用いられ、支持シート上にコーティングされ
た記録層上にさらにコーティングされて使用される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】保護層の材質として
は、損傷などの機械的劣化や、加熱による物理的劣化に
対して耐久性のあるものが選ばれる。しかし、サーマル
ヘッドによる記録・消去の加熱を繰り返して使用してい
ると、保護層の表面のわずかな劣化が積み重なって情報
の消え残りなどを生じるようになる。また、記録層マト
リクスポリマが熱収縮等の熱的なストレスを受ける場合
にも、保護層表面まで変形が生じて光学的に乱反射し、
薄く消え残り記録状態が低下する。従来技術は、前記し
たような耐久性に問題があった。
【0006】本発明は前記従来技術の課題を解決するた
め、より機械的、熱的特性の優れた保護層を提案し、可
逆感熱記録の繰り返しを向上することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の可逆感熱記録シートは、有機結晶粒子がマ
トリクスポリマ中に分散された高分子組成物よりなり、
前記有機結晶粒子の溶融・凝固により可逆的に透明度が
変化して記録および消去できる可逆感熱記録シートにお
いて、耐熱性を有し、有機溶媒に可溶な可溶性ポリイミ
ド樹脂を保護層として前記記録層の表面にコーティング
してなることを特徴とする。
【0008】この構成により、本発明の可逆感熱記録シ
ートは、機械的及び熱的特性の優れた保護層とすること
ができ、可逆感熱記録の繰り返し特性を向上できる。
【0009】また前記構成においては、可溶性ポリイミ
ド樹脂が、前記(化1)で表される分子構造を少なくと
も1種類含んでいることが好ましい。
【0010】さらに前記構成においては、可溶性ポリイ
ミド樹脂を溶解する有機溶媒が、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジ
メチルスルホキシド、クレゾールのいずれかであること
が好ましい。
【0011】
【作用】前記本発明の構成によれば、耐熱性、機械的強
度に優れた保護層を提供し、信頼性の高い記録・消去の
繰り返し特性を得ることができる。すなわち、ポリイミ
ド樹脂は、耐熱性、機械的性質、耐化学薬品性に優れて
いる上に、成形性にも優れている樹脂である。特に、耐
熱性に関しては、一般的な芳香族ポリイミドにおいて、
ガラス転移温度では200℃以上、最高実使用温度では
200℃から300℃、サーマルヘッドによる劣化に関
係する熱変形温度ではポリエチレンテレフタレートの2
30℃に対して300℃以上の優れた性質を有してい
る。機械的には、耐摩耗性、引張り強さ、曲げ強さや圧
縮強さなど優れた性質を有している。本発明では、この
ポリイミド樹脂を保護層として用いることで、記録・消
去の繰返し性能の優れた可逆感熱記録シートを作製でき
る。
【0012】また、耐熱性を有する保護層を形成するポ
リイミド樹脂が、有機溶媒に可溶な可溶性ポリイミド樹
脂であるという本発明の好ましい構成によれば、可溶性
ポリイミド樹脂の溶液を記録層上にコーティングした
後、イミド化反応が不必要であるため処理としては有機
溶媒を除去するための比較的低い温度での加熱と、減圧
処理でよい。そのため、記録層のマトリクスポリマの変
質を防ぐことができる。さらに、イミド化反応による縮
合水の生成がなく、ボイドが発生しにくいために均質な
フィルムとして保護層を製造することができる。
【0013】また、可溶性ポリイミド樹脂が、前記(化
1)で表される分子構造を少なくとも1種類含んでいる
という本発明の好ましい構成によれば、記録・消去の加
熱繰り返しによる記録状態の低下やサーマルヘッドによ
る機械的な損傷をより受けにくくなり、繰り返し特性の
良好な可逆感熱記録を実現できる。
【0014】さらに、可溶性ポリイミド樹脂を溶解する
有機溶媒が、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、
クレゾールのいずれかであるという本発明の好ましい構
成によれば、前記ポリイミド樹脂を好ましく溶解するこ
とができ、コーティングしやすいものとすることができ
る。
【0015】
【実施例】まず、本発明を図1を参照して説明する。本
発明の可逆感熱記録シートの基本構成を図1に示す。支
持体シート3上に可逆感熱記録層2をコーティングによ
り形成したのち、可溶性ポリイミド樹脂の溶液を用いて
保護層1をコーティングする。保護層をコーティングし
た後に、溶媒を除去するための熱処理と真空乾燥処理を
行なったのち使用する。次に、本発明で用いる可逆感熱
記録の原理を(図2)を用いて説明する。この感熱記録
層は、T0 以下の常温では白濁した不透明状態にある。
加熱してT1 〜T2 の温度範囲にすると透明化し、常温
に戻してもその透明状態を維持する。また、T3 以上の
温度範囲に加熱した場合には、半透明状態に移行し、こ
の状態から常温に戻すと白濁した不透明状態に戻る。こ
の加熱温度範囲に違いによる透明度の違いを用いて、透
明、不透明状態を情報として可逆的に感熱記録を行うこ
とができる。
【0016】以下に各構成要素について説明する。一般
的なデュポン社の“カプトン”(商品名)に代表される
ポリ(ピロメリット)イミドを保護層として製膜する場
合には、有機溶媒に不溶であるために、その前駆体であ
る溶媒可溶なポリアミド酸でコーティングし、その後に
加熱処理を行なってポリイミドにする。この際、イミド
化反応の加熱温度としては充分なイミド化反応を行なう
ためには300℃以上必要であるため、この処理中に生
じてしまう記録層の熱的な劣化に注意する必要がある。
さらに、イミド化反応による脱水縮合の際に生成する水
によってボイドが形成され、均質なフィルムを製造しに
くいという問題がある。
【0017】そこで、本発明では有機溶媒に溶解する可
溶性ポリイミド樹脂を保護層として形成することで、上
記の問題を克服することができる。すなわち、可溶性ポ
リイミド樹脂の溶液を記録層上にコーティングした後、
イミド化反応が不必要であるため処理としては有機溶媒
を除去するための比較的低い温度での加熱と、減圧処理
でよい。そのため、記録層のマトリクスポリマの変質を
防ぐことができる。さらに、イミド化反応による縮合水
の生成がなく、ボイドが発生しにくいために均質なフィ
ルムとして保護層を製造することができる。
【0018】ポリイミド樹脂を保護層として使用した本
発明では、従来のポリマ樹脂を記録層上にコーティング
した場合と異なり、熱的にも機械的にも優れた性能を有
している上に、記録層マトリクスポリマのサーマルヘッ
ドによる加熱時での熱収縮等の熱的ストレスによる影響
を受けない。そのため、記録・消去の加熱繰り返しによ
る記録状態の低下やサーマルヘッドによる機械的な損傷
をより受けにくくなり、繰り返し特性の良好な可逆感熱
記録を実現できる。
【0019】本発明では、保護層として耐熱性を有する
ポリイミド樹脂を使用するが、特に優れた保護層を形成
するために可溶性ポリイミド樹脂が選ばれる。耐熱性を
有するポリイミド樹脂は、芳香族テトラカルボン酸無水
物と芳香族ジアミンの縮重合反応で形成され、通常はポ
リイミドの状態では有機溶媒に溶解しないため、第一段
階であるポリイミドの前駆体のポリアミド酸の状態でコ
ーティングされ、その後に加熱処理によってポリイミド
とする。可溶性ポリイミド樹脂の場合は、重合時の有機
溶媒としてポリイミド樹脂が可溶な溶媒を選択すること
によって、ポリイミド樹脂溶液が得られる。また、第1
段階であるポリアミド酸の状態で、いったん再沈などで
取り出してから、熱処理でイミド化反応を行なった後に
有機溶媒に溶解してポリイミド樹脂溶液を得る方法があ
る。
【0020】可溶性ポリイミド樹脂の分子構造として
は、化1に示す樹脂が適用できる。テトラカルボン酸無
水物成分の芳香族分子構造としては、ビフェニル、ビフ
ェニルエーテル、ベンゾフェノン、ジ(トリフルオロ)
ジフェニルメタンが主骨格であり、芳香族ジアミン成分
としては、フェニレンジアミン、オキシジアニリン、メ
チレンジアニリン、ジアミノビフェニル、トリジンなど
の分子骨格を中心にした分子が使われている。これらの
組合せにより重合した可溶性ポリイミド樹脂、あるいは
無水ピロメリット酸など他の構造との共重合体の可溶性
ポリイミド樹脂などを、保護層として使用できる。
【0021】これらの可溶性ポリイミド樹脂を溶解する
有機溶媒としては、ポリイミド樹脂の重合に使用される
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メ
チルピロリドン、ジメチルスルホキシド、クレゾールが
適している。しかし、ポリイミド樹脂を溶解する有機溶
媒であれば、保護層の形成に使用できる。
【0022】次に、支持体シートは、材質としては強
度、剛性などの条件を考慮して選択される。ナイロン、
セルロースアセテート系樹脂、ポリスチレン、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミド、ポ
リカーボネート、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックが
単独あるいは複合して用いられるが、支持体としてはポ
リエステル、ポリ塩化ビニルが実際的である。また、シ
ート構造を機械的強度によって保持するのに充分な厚さ
を必要とする。その膜厚としては、0.005〜5mm
程度で使用されることが多い。支持体シート上には記録
層のコントラストを向上させるための反射層を形成して
用いられることが多い。さらに、支持体シートとして
は、磁気記録層などの感熱記録以外の他の方式による情
報記録層が形成されていてもよい。
【0023】可逆感熱記録を行なう記録層を構成するマ
トリクスポリマとしては、有機結晶性の低分子化合物を
均一に粒子状に分散して保持すると共に、透明化状態に
高い透明度を有する必要がある。そのため、成膜性が良
好で、機械的安定性に優れ、光学的に透明な性質のもの
が好ましい。このような樹脂として、ポリ塩化ビニル、
ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル/酢
酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニル
アルコール共重合樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/マレ
イン酸共重合樹脂、塩化ビニル/アクリレート共重合樹
脂、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合樹脂、塩化ビニ
リデン/アクリロニトリル共重合樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリメタクリ
ル樹脂、アクリル/メタクリル共重合樹脂、シリコン樹
脂、ナイロン系樹脂、ブチラール樹脂、スチレン/ブタ
ジエン共重合樹脂などが適用できる。これらの樹脂単独
あるいは2種以上混合して使用される。
【0024】可逆感熱記録を行なう記録層を構成する有
機結晶性粒子としては、マトリクスポリマに分散される
ことで図2の温度特性を示す化合物であり、その選択に
よって透明化温度範囲、不透明化温度範囲が選定され
る。化合物の融点としては、30℃から200℃、特に
サーマルヘッドの熱特性とマトリクスポリマ材料の熱的
性質を考慮して50℃から150℃が好ましい。結晶化
し易さを考えると有機結晶性粒子を構成する有機化合物
としては、分子中に少なくとも1つのヘテロ原子、酸
素、窒素、硫黄、ハロゲン等を含む化合物であることが
好ましい。例えば、−O−、−OH、−COOH、−C
ONH−、−COOR、−CO−,−NH−、−NH 2
、−S−、−SH、−S−S−、ハロゲン等を含む化
合物であり、アルカノール、アルカンジオール、アルキ
ルアミン、アルキルアンモニウム塩、アルカン、アルケ
ン、アルキン、シクロアルカン、シクロアルケンまたは
アルキン、飽和または不飽和モノまたはジカルボン酸、
またはこれらモノまたはジカルボン酸のエステル、アミ
ド、またはアンモニウム塩、芳香族カルボン酸またはこ
れらのエステル、アミド、またはアンモニウム塩、チオ
アルコール、チオカルボン酸またはこれらのエステル、
アミド、またはアンモニウム塩、チオアルコールのカル
ボン酸エステルなど、あるいはこれら化合物のハロゲン
化物が挙げられる。これらの化合物は、単独または2種
以上混合して使用される。また、これら化合物の炭素数
としては10から60、好ましくは10から38であ
り、とくに10から30の範囲が好ましい。
【0025】具体的な化合物としては、高級脂肪酸では
ラウリン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン
酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノ
ナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、オレイン酸などで
あり、高級アルコールではヘキサデシルアルコール、ヘ
プタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイ
コサノール、ドコサノールなどである。高級脂肪酸エス
テルではステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ス
テアリン酸テトラデシル、ステアリン酸オクタデシル、
ラウリン酸オクタデシル、パルミチン酸テトラデシル、
アラキン酸メチル、ベヘン酸ドコシルなどであり、エー
テルまたはチオエーテルではジドデシルエーテル、ジド
デシルチオエーテル、オクタデシルチオエーテルなどで
ある。
【0026】なお、可逆感熱記録層を構成する有機結晶
性粒子の化合物とマトリクスポリマとの組成割合は、重
量比で1:0.5から1:20の範囲が望ましい。マト
リクスポリマの比率がこれ以下になると有機結晶性粒子
の化合物分量が多くなるため記録層として均質なコーテ
ィングが困難になる。逆に、マトリクスポリマの比率が
高くなると、有機結晶性粒子の量が少なくなるため不透
明化が困難になり、情報のコントラストが悪くなる。次
に、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明する。
【0027】実施例1 支持体シート3として、表面にγ−Fe2 3 の濃茶色
を呈した磁気記録層を形成した厚さ200μmの白色ポ
リエチレンテレフタレートシートを用いた。記録層2
は、有機結晶粒子の化合物としてベヘン酸2g、酸化防
止剤としてフェノール系酸化防止剤0.1g、マトリク
スポリマとして塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体8g
を、テトラヒドロフランの100mlに均一に溶解した
のち、支持体シート3の磁気記録層の表面上に、厚さ1
2μmでコーティングして形成した。耐熱性を有する保
護層1の可溶性ポリイミド樹脂としては、化2に示す構
造のポリイミド(宇部興産社製、ユーピレックスR)を
使用した。
【0028】
【化2】
【0029】有機溶媒としては、m−クレゾールを用
い、ポリイミド5gをm−クレゾール100mlに溶解
した後に、記録層2の表面に8μmでコーティングし、
淡黄色で透明な保護層1を形成した。この後、150℃
で5時間溶媒を除去してから、真空乾燥機中で12時間
溶媒除去を行ない、図1の構成の可逆感熱記録シートを
得た。この可逆感熱記録シートの透明化温度範囲は、約
70℃から80℃であった。そこで、初期に透明化して
おいた可逆感熱記録シートに、サーマルヘッドのヘッド
エネルギーを記録層面で85℃に調整し、記録層を白濁
不透明化して記録を行なった。さらに、ヘッドエネルギ
ーを75℃に調整し、白濁不透明化した記録部を透明化
して消去を行なった。
【0030】この可逆感熱記録シートに文字情報として
0から9の数字10文字の記録を行った結果、磁気記録
層の濃茶色の表面に白く文字が表示でき、良好に認識で
きた。この文字表示の記録・消去を繰り返し行った結
果、3000回以上の繰り返しを安定に行なうことがで
きた。しかも、サーマルヘッドの接触する保護層1の表
面は、熱的または機械的な損傷による消え残りは全くみ
られなかった。
【0031】比較例1 支持体シート3として、表面にγ−Fe2 3 の濃茶色
を呈した磁気記録層を形成した厚さ200μmの白色ポ
リエチレンテレフタレートシートを用いた。この支持体
シート3上に、実施例1と同じ組成で記録層2をコーテ
ィングして形成した。有機結晶粒子の化合物としてベヘ
ン酸2g、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤
0.1g、マトリクスポリマとして塩化ビニル/酢酸ビ
ニル共重合体8gを、テトラヒドロフランの100ml
に均一に溶解したのち、厚さ12μmでコーティングし
た。さらに、記録層2の表面上に、保護層1として紫外
線硬化形アクリル樹脂のプレポリマを20μmコーティ
ングしたのち紫外線照射して、可逆感熱記録シートを得
た。
【0032】この可逆感熱記録シートへ文字表示の記録
・消去を繰り返し行った結果、1000回以上の繰り返
しを行うことができたが、保護層表面に白く文字の消え
残りが観察された。これは、サーマルヘッドによる機械
的な摩耗などによる乱反射、あるいは記録層の熱的なス
トレスによる記録層自体や保護層の熱収縮などによる表
面歪みでの乱反射である。
【0033】実施例2 支持体シート3として、蒸着アルミニウムによる反射層
を厚さ0.2μmで形成してある、厚さ180μmの白
色ポリエチレンテレフタレートシートを用いた。記録層
2は、有機結晶粒子の化合物としてベヘン酸2gとステ
アリン酸0.3gとドコサノイルアルコール0.2g、
酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤0.1g、マ
トリクスポリマとして塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリ
ルアミド共重合体10gを、テトラヒドロフランの10
0mlに均一に溶解したのち、支持体シート3の反射層
上に、厚さ20μmでコーティングした。
【0034】耐熱性を有する保護層1の可溶性ポリイミ
ド樹脂としては、化3に示す含弗素構造のポリイミド樹
脂を使用した。このポリイミド樹脂は、N−メチルピロ
リドンに可溶であり、無色透明な保護層1が形成でき
た。
【0035】
【化3】
【0036】記録層2上に、厚さ20μmにコーティン
グした後、加熱処理200℃を1時間、真空乾燥を12
時間行ない、可逆感熱記録シートを形成した。この可逆
感熱記録シートの透明化温度範囲は、約70℃から90
℃であった。そこで、初期に透明化しておいた可逆感熱
記録シートに、サーマルヘッドのヘッドエネルギーを記
録層面で95℃に調整し、記録層を白濁不透明化して記
録を行なった。さらに、ヘッドエネルギーを75℃に調
整し、白濁不透明化した記録部を透明化して消去を行な
った。
【0037】この可逆感熱記録シートを54mm×86
mmのテレホンカードサイズに打ち抜き、サーマルヘッ
ドを有するカードリーダー・ライターを用いて可逆感熱
記録の記録・消去繰り返しを評価した結果、5000回
以上の繰り返しを安定に行うことができ、しかも消え残
りは全くみられなかった。
【0038】実施例3 支持体シート3として、厚さ700μmのポリ塩化ビニ
ルシートを用いた。
【0039】反射シートとして、アルミニウムを蒸着し
た厚さ15μmのポリエチレンテレフタレートフィルム
を用いた。このアルミ反射層上に、γ−(2−アミノエ
チル)アミノプロピルトリメトキシシランのシランカッ
プリング剤をイソプロピルアルコール中から単分子層吸
着させて、記録層2との接着性を良好にしておいた。次
に、反射シートのポリエチレンテレフタレート表面に、
エポキシ樹脂接着剤を約5μmコーティングし、支持体
シートにラミネートした。
【0040】記録層2は、有機結晶粒子の化合物として
ベヘン酸2gとステアリン酸0.2gとアラキン酸0.
2g、マトリクスポリマとして塩化ビニル/酢酸ビニル
共重合体10gを、テトラヒドロフランの100mlに
均一に溶解したのち、支持体シート3の反射層面上に、
厚さ15μmでコーティングした。
【0041】次に、耐熱性を有する保護層1の可溶性ポ
リイミド樹脂としては、芳香族テトラカルボン酸無水物
としてビフェニルテトラカルボン酸無水物と無水ピロメ
リット酸、芳香族ジアミンとしてオルトトリジンを用い
た共重合体ポリイミド樹脂を用いた。有機溶媒として
は、m−クレゾールを用いて、記録層2上に厚さ10μ
mでコーティングして、可逆感熱記録シートを製造し
た。こうして作製したポリイミド樹脂フィルムは、ボイ
ドのない均質な保護層として形成できた。
【0042】この可逆感熱記録シートの透明化温度範囲
は、約80℃から110℃であった。そこで、初期に透
明化しておいた可逆感熱記録シートに、サーマルヘッド
のヘッドエネルギーを記録層面で120℃に調整し、記
録層を白濁不透明化して記録を行う。さらに、ヘッドエ
ネルギーを90℃に調整し、白濁不透明化した記録部を
透明化して消去を行う。可逆感熱記録の記録・消去繰り
返しを評価した結果、5000回以上の繰り返しを安定
に行うことができ、保護層上に全く消え残りがみられな
かった。
【0043】
【発明の効果】以上のように本発明は、有機結晶粒子と
マトリクスポリマ中よりなる可逆感熱記録シートにおい
て、保護層として可溶性ポリイミド樹脂を用いること
で、耐熱性、機械的強度に優れた保護層を提供し、信頼
性の高い記録・消去の繰り返し特性を得ることができ
た。
【0044】このように本発明は工業価値の大なるもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における可逆感熱記録シートの構成の一
実施例を示す図である。
【図2】本発明の可逆感熱記録シートの記録原理を示す
図である。
【符号の説明】
1 可溶性ポリイミド樹脂からなる保護層 2 記録層 3 支持体シート

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機結晶粒子がマトリクスポリマ中に分
    散された高分子組成物よりなり、前記有機結晶粒子の溶
    融・凝固により可逆的に透明度が変化して記録および消
    去できる可逆感熱記録シートにおいて、耐熱性を有し、
    有機溶媒に可溶な可溶性ポリイミド樹脂を保護層として
    前記記録層の表面にコーティングしてなることを特徴と
    する可逆感熱記録シート。
  2. 【請求項2】 可溶性ポリイミド樹脂が、下記(化1)
    で表される分子構造を少なくとも1種類含んでいる請求
    項1記載の可逆感熱記録シート。 【化1】 (ただし、X=なし、O、CO、C(CF32のいずれ
    か、 Y=なし、O、CO、C(CF32のいずれか、 m=0、1、2のいずれか、 Rは各種芳香族分子構造をそれぞれ示す。)
  3. 【請求項3】 可溶性ポリイミド樹脂を溶解する有機溶
    媒が、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、
    N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、クレゾ
    ールのいずれかである請求項1記載の可逆感熱記録シー
    ト。
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