JP2763425B2 - プリンタの紙送りローラ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、プリンタの紙送りロー
ラに関する。

【０００２】

【従来の技術】図５および図６に従来のプリンタの概略
構成を示す。

【０００３】これらの図において、１は印字部で，例え
ば印字ヘッド２およびプラテン３から構成されている。
この印字部１より用紙搬送方向上流には、用紙送り用の
一対のフィードローラ４とピンチローラ５とが矢印方向
に回転可能に設けられている。また、印字部１より用紙
搬送方向下流には、ピンチローラ９と協働して用紙送り
と用紙排出とを行う紙送りローラ６がシャフト６ａを介
して矢印方向に回転可能に設けられている。

【０００４】紙送りローラ６のローラ本体の一端部に
は、図５に示す如く，用紙排出時に用紙Ｐを瞬発的に排
出方向に付勢するための歯車状の凸部７が設けられてい
る。この凸部７は、紙送りローラ６のピンチローラ５と
接触するローラ本体より大径に形成されており，当該凸
部７には所定高さ（例えば１〜１．５ｍｍ）の歯８が複
数個所定ピッチ間隔で設けられている。

【０００５】しかして、フィードローラ４とピンチロー
ラ５との協働により図６中右方向へ送られる用紙Ｐは紙
送りローラ６とピンチローラ９との間に差し込まれ，各
ローラ４，５，６，９によって所定距離送られた後，紙
送りローラ６とピンチローラ９との協働により所定方向
へ排出される。この排出時に、用紙Ｐは、凸部７によっ
て瞬発的に排出方向へ付勢される。これにより、用紙Ｐ
は、その後端が紙送りローラ６とピンチローラ９との間
から確実に抜け円滑に排出される。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記したプ
リンタにおいて、フィードローラ４とピンチローラ５と
により送られてきた用紙Ｐの先端が、紙送りローラ６の
凸部７の歯８に突き当たり用紙搬送が邪魔されることが
ある。かかる事態が生じると、用紙送り精度が低下して
印字行ピッチ間隔が狭まったり，極端な場合にはオーバ
ーラップして印字されたりするなど印字精度不良が発生
する。

【０００７】なお、図７に示す如く，紙送りローラ６の
一端部に、ウレタンフォーム製の円盤状部材を両面テー
プ等を用いて貼り付けて凸部７′を形成したものもある
が、凸部７′が自然に加水分解し最終的にはボロボロに
崩れて破壊してしまう問題点があることや，貼り付けに
手間がかかる不都合を有するので実用的ではない。

【０００８】本発明の目的は、上記事情に鑑み、用紙送
りを円滑に行って印字精度の低下を防ぎ，かつ用紙排出
を確実に行うことができるプリンタの紙送りローラを提
供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、印字部より用
紙搬送方向下流に回転自在に配設されピンチローラと協
働して用紙送りと用紙排出とを行うローラ本体を有する
プリンタの紙送りローラにおいて、前記ローラ本体の少
なくとも一端部に、当該ローラ本体より大径の鍔部を設
け、前記鍔部の周面に多数の円錐形状の突起を設けて高
摩擦係合面を形成したことを特徴とする。

【００１０】

【作用】本発明では、印字部を通過して紙送りローラに
送られてきた用紙の先端が鍔部の周面（高摩擦係合面）
に当たっても，当該周面（高摩擦係合面）が多数の円錐
形状の突起からなり凹凸の差が小さいので、引っ掛かる
ようなことはなく用紙送りの邪魔とはならない。これに
より、用紙送りを円滑に行って印字精度の低下を防ぐこ
とができる。

【００１１】また、用紙排出時には、鍔部の周面（高摩
擦係合面）が用紙を排出方向に瞬発的に付勢するので、
用紙の後端が紙送りローラとピンチローラとの間に残る
ようなことはなく，当該用紙は確実に排出される。

【００１２】したがって、用紙送りを円滑に行って印字
精度の低下を防ぎ，かつ用紙排出を確実に行うことがで
きる。

【００１３】

【実施例】本発明の一実施例を図面に基づき説明する。

【００１４】本実施例に係るプリンタの紙送りローラ１
０は、図１〜図４に示す如く，印字部１（印字ヘッド
２，プラテン３）より用紙搬送方向下流に回転自在に配
設されピンチローラ９と協働して用紙送りと用紙排出と
を行う構成とされている。

【００１５】なお、図５および図６に示した構成要素と
同一のものについては同一の符号を付し、その説明を省
略もしくは簡略化する。

【００１６】ここで、紙送りローラ１０は、ピンチロー
ラ９と圧接されるローラ本体１１を有している。このロ
ーラ本体１１は、シャフト１２を介して回転自在に設け
られている。このローラ本体１１の一端部には、図１に
示す如く，当該ローラ本体１１より大径の鍔部１３が一
体的に設けられている。この鍔部１３の周面１４は、凹
凸の差の小さい高摩擦係合面とされている。

【００１７】本実施例においては、鍔部１３の周面１４
には、背の低い円錐形状の突起１５が多数設けられて高
摩擦係合面を形成している。なお、鍔部１３は、用紙排
出時に一段と確実に用紙に瞬発的な力を付与できるよう
に弾性を有する構成とされている。本実施例では、図４
に斜線で示す如く，鍔部１３に相応するローラ本体１１
部分の肉を盗んで中空部１９を形成することにより弾性
を増大させる構成とされている。

【００１８】次に、作用について説明する。

【００１９】印字部１を通過して紙送りローラ１０に送
られてきた用紙Ｐの先端が鍔部１３の周面１４に形成さ
れた各突起１５に当たっても，当該突起１５は背が低く
しかも円錐形状であるので引っ掛かるようなことはなく
用紙送りの邪魔とはならない。これにより、用紙送りを
円滑に行って印字精度の低下を防ぐことができる。

【００２０】また、用紙排出時には、鍔部１３の各突起
１５が、用紙Ｐを排出方向に瞬発的に付勢するので、用
紙Ｐの後端が紙送りローラ１０とピンチローラ９との間
に残るようなことはなく，当該用紙Ｐは確実に排出され
る。

【００２１】しかして、この実施例によれば、ローラ本
体１１の一端部に，当該ローラ本体１１より大径の鍔部
１３を設け、この鍔部１３の周面１４を背の低い円錐形
状の多数の突起１５により高摩擦係合面としたので、用
紙先端の引っ掛かりが防止され用紙送りが円滑に行われ
る。これにより、印字精度の低下を防ぎ，かつ用紙排出
を確実に行うことができる。

【００２２】また、鍔部１３に相応するローラ本体１１
部分を肉盗みして弾性を増大させる構成としたので、用
紙を一段と確実に行うことができる。

【００２３】さらに、鍔部１３をローラ本体１１と一体
に形成したので、構造強度の増大を図り，かつコスト低
減を図ることができる。

【００２４】さらにまた、鍔部１３の周面１４に背の低
い円錐形状の突起１５を多数設けて高摩擦係合面を形成
したので、用紙先端が当該突起１５に突き当たっても外
れやすく、一段と用紙送りを高精度に行うことができ
る。

【００２５】なお、上記実施例においては、鍔部１３の
周面１４に多数の突起１５を設けて高摩擦係合面を形成
したが、周面１４の摩擦係数を大とすることができれ
ば，どのように形成してもよい。例えば、鍔部１３の周
面１４をローレット切りして高摩擦係合面を形成しても
よい。

【００２６】また、鍔部１３をローラ本体１１とは別体
に形成し，当該ローラ本体１１に装着する構成としても
よい。

【００２７】さらに、ローラ本体１１の両端部に鍔部１
３，１３を設けてもよい。

【００２８】

【発明の効果】本発明によれば、ローラ本体の一端部
に，当該ローラ本体より大径の鍔部を設け、この鍔部の
周面に多数の円錐形状の突起を設けて凹凸の差の小さい
高摩擦係合面を形成したので、用紙先端の引っ掛かりが
防止され用紙送りが円滑に行なわれる。これにより、印
字精度の低下が防止される。また、用紙排出を確実に行
うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の紙送りローラ本体とピンチ
ローラとの位置関係を示す図である。

【図２】一実施例が適用されたプリンタの概略構成を示
す図である。

【図３】一実施例の鍔部が一体形成されたローラ本体を
示す斜視図である。

【図４】鍔部付近のローラ本体を説明するための図であ
る。

【図５】従来の紙送りローラの概略構成を示す図であ
る。

【図６】従来の紙送りローラが適用されたプリンタの概
略構成を示す図である。

【図７】ウレタンフォーム製の凸部が貼り付けられた紙
送りローラを示す図である。

【符号の説明】

１ 印字部 １０ 紙送りローラ １１ ローラ本体 １３ 鍔部 １４ 周面

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 印字部より用紙搬送方向下流に回転自在
   に配設されピンチローラと協働して用紙送りと用紙排出
   とを行うローラ本体を有するプリンタの紙送りローラに
   おいて、 前記ローラ本体の少なくとも一端部に、当該ローラ本体
   より大径の鍔部を設け、 前記鍔部の周面に多数の円錐形状の突起を設けて凹凸の
   差の小さい高摩擦係合面を形成したことを特徴とするプ
   リンタの紙送りローラ。