JP2760020B2 - ポリアセチレンフィルムの製造方法 - Google Patents

ポリアセチレンフィルムの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、高導電性を示すポリアセチレンの製造方法
に関するものである。本発明の製造方法によって得られ
るポリアセチレンは、電池材料、電気部品その他の電子
材料の用途を広く用いられる。
[従来の技術] ポリアセチレンの合成法は古くから検討されている
が、白川らによチーグラー・ナッタ系触媒を用いた方法
が最も一般的な方法として知られている[例えばJ.Poly
m.Sci.Polym.Ed.,12,11(1974).]。特公昭59-51904
号公報においては、チーグラー・ナッタ系触媒を有機溶
媒中、20℃〜10℃で熱処理(以下「エージング」と呼
ぶ)し、その触媒を用いて重合した後、ヨウ素ドープす
ることにより、〜102/cmの電導度を有するポリアセチレ
ンを合成し、さらに、6〜7倍に延伸処理を施すことに
より、2×103/cmの電導度を有するポリアセチレンを合
成する方法が示されている。
また[Polymer Journal,19.185(1987).]におい
て、液晶溶媒中でチーグラー・ナッタ系触媒を用いて重
合することにより、すでに重合時に配向したポリアセチ
レンフィルムを得る方法が提案されている。この方法に
より得たフィルムは、ヨウ素ドープすることにより、4.
8×103S/cmの電導度をもつポリアセチレンが得られてい
る。
以上のとおり、従来技術における延伸前のポリアセチ
レンフィルムの電導度は、高々102〜103S/cmと低く、不
十分なものであり、そのために延伸することにより配向
させ、導電性の向上を図っていた。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、従来法の延伸により配向させたポリア
セチレンフィルム面内においては、延伸配向方向の導電
性は高いという長所があるが、その垂直方向の導電性は
逆に延伸前のものより低くなるといった。フィルム面内
での大きな異方性が生じ、導電材料として使用するには
大きな欠点となるものであった。例えば、Solid State
Comunication,65,147(1988)においては、延伸するこ
とにより配向させたところ、5×103S/cm以上の電導度
を示すポリアセチレンが得られるが、その異方性が30〜
120であるといった例が示されている。さらに、かかる
垂直方向においては、フィルム強度についても低下する
という欠点も有する。
また、前記[Polymer Journal,19.185(1987).]に
おいても、重合時にすでに配向したものであり、その異
方性は、12であることが示されている。
本発明は、かかる従来技術の欠点を解消しようとする
ものであり、配向しない状態、すなわち、異方性のない
状態において、充分に高い電導度を有するポリアセチレ
ンフィルムの製造方法を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 上記目的を達成するために、本発明は下記の構成を有
する。
「イ.チーグラー・ナッタ系触媒を、有機溶媒中、150
℃以上で加熱した後、冷却処理を行い、 ロ.次いで、該触媒の中で1μmを越える粒径を有する
ものを除去することにより、精製された触媒分散体と
し、 ハ.該触媒分散体にアセチレンモノマーを不活性ガスに
対して、0.5体積%以上、10体積%以下の濃度(アセチ
レンガスのみの場合には、アセチレンの圧力を3.8mmHg
以上、76mmHg以下とする)で導入し、かつ、−100℃以
上、−30℃以下の温度で重合し、 ニ.さらに、得られた重合体に、ドープ処理を施す ことを特徴とするポリアセチレンフィルムの製造方
法。」 本発明における電導度の異方性とは、同一フィルム面
において、電導度が最高値を示す方向、および最低値を
示す方向でのそれぞれの電導度をσ,σとした場
合、σとσの比(σ/σ)を意味する。
本発明で言う有機溶媒とは、チーグラー・ナッタ系触
媒を溶解する、飽和炭化水素、芳香族炭化水素であっ
て、かつその沸点が150℃以上である溶媒を言う。その
沸点の上限としては、300℃未満であることが好まし
い。このような溶媒の具体例として、飽和炭化水素とし
ては、流動パラフィン、ヘキサデカン、デカリン、デカ
ン、テトラデカン、テトラリン、インデン、“アイソフ
ァ−M"(飽和脂肪族炭化水素、エクソンケミカル社製)
などが、また、芳香族炭化水素としては、シクロヘキシ
ルベンゼン、1,1−フェニルエタン、ジフェニルエーテ
ル、ジベンジルエーテル、ジペンテン、1,2−ジメチル
ナフタレン、1,6−ジメチルナフタレン、1,4−ジメチル
ナフタレン、3、3−ジメチルビフェニル、ジメトキシ
ベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,2,3,5−
テトラメチルベンゼン、1−メチルナフタレンなどが挙
げられる。これらは通常単独で用いられるが、2種以上
混合して用いることもできる。
本発明に用いられるチーグラー・ナッタ系触媒は、二
元系触媒であり、有機金属化合物と遷移金属化合物とが
組み合わされたものである。有機金属化合物の具体例と
しては、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウ
ムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、トリ
メチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロライ
ド、メチルアルミニウムジクロライド、トリブチルアル
ミニウム、ジブチルアルミニウムクロライド、ブチルア
ルミニウムジクロライド、トリエチルホウ素、ジエチル
ホウ素クロライド、エチルホウ素ジクロライドなどであ
り、これらの有機金属化合物を単独で、あるいは2種以
上混合して用いることもできる。また、遷移金属とは、
チタニウム、ジルコニウム、バナジウム、セリウム、ネ
オジウム、ニオブ、タンタルなどであり、遷移金属化合
物の具体例としては、テトラアルキルオキサイドチタニ
ウム、テトラアルキルオキサイドジルコニウム、トリア
ルキルオキサイドネオジウム、ジアセチルアセトネート
バナジウム、トリアセチルアセトネートチタニウム、ト
リアセチルアセトネート鉄、トリアセチルアセトネート
クロム、三塩化チタン、四塩化チタン、三塩化ニッケ
ル、三塩化鉄、五塩化ニオブ、五塩化モリブデン、五塩
化タンタルなどが挙げられる。これらの触媒系の中でア
ルキルアルミニウム化合物とチタン化合物との組合せが
好ましく、その中でもトリエチルアルミニウム−テトラ
ブトキサイドチタニウム系がより好ましい。
触媒濃度については、特に限定されるものではない
が、遷移金属濃度が0.05〜1.4モル/lであることが良質
のフィルムとするためには好ましく、また、遷移金属化
合物に対する有機金属化合物のモル比が1〜5の範囲に
なるように調整することが特に好ましい。
前記の重合溶媒に、前記触媒を溶解させることにより
触媒溶液とし、該触媒溶液をアルゴンガス中、あるいは
減圧下にて150℃以上で熱処理する。150℃未満において
は、本発明の目的とする高導電性のポリアセチレンフィ
ルムを得ることはできない。また、熱処理温度が高すぎ
ると、触媒が分解する場合があり、加熱処理の上限は、
260℃以下であることが好ましい。また、反応時間は、2
0〜120分の範囲が好ましく、反応後、少なくとも50℃以
下、好ましくは室温まで冷水浴で急冷する。
上記加熱・冷却処理のエージングは、2回以上繰り返
し行うことが、導電性向上の点で好ましく、特に2〜4
回繰り返すことが好ましい。
上記触媒を重合溶媒に溶解した際には、触媒はほぼ均
一に溶解した状態にあるが、上述の加熱処理を行うにつ
れて、触媒が会合するため懸濁液あるいは粗粒子分散液
となることが認められる。これらの粒子状分散体は、ポ
リアセチレンの重合時、重合体中に包含されて配向性を
低下させ、かつ重合体中に欠陥を生じさせる原因とな
る。そこで、本発明では、上述の触媒微粒子の中で、1
μmを越える粒径を有するものを除去する工程を必須要
件とする。さらに、0.5μmを越えるものを除去すると
より効果的である。またここで、粒径とは、触媒微粒子
の最高径を意味する。
精製は、アセチレン重合活性を保持するために、アル
ゴンあるいは窒素などの不活性ガス雰囲気中にて行う。
精製方法としては、濾過あるいは遠心分離などが挙げら
れる。具体的な濾過方法の一例としては、メンブレンフ
ィルター(濾紙)を、ポリエチレン、ナイロン、ポリプ
ロピレン、変性アクリル樹脂またはポリテトラフルオロ
エチレンなどで被覆したもの(シリンジフィルター)
を、シリンジ(注射器)に取付け、シリンジの加圧を利
用し、触媒媒体を押し出して濾過する方法が挙げられ
る。加圧は、数kg/cm2〜10kg/cm2が好ましい。
メンブレンフィルターの細孔径は、1.0μm以下であ
るが、また0.2μm以上であることが好ましい。0.2μm
未満では、濾過速度が遅くなる傾向になり、さらに濾過
圧が高くなり、濾過が困難になる場合がある。
メンブレンフィルターの材質としては、セルロースア
セテート、ナイロンおよびポリテトラフルオロエチレン
などが挙げられるが、触媒媒体に全く溶解しない点から
ポリテトラフルオロエチレンが最も好ましい。
本発明の導電製ポリアセチレンフィルムの製造手順の
一例としては、まず、有機溶媒にチーグラー・ナッタ触
媒を溶解し、これを加熱・冷却処理することにより熟成
し、さらに1μmを越える該触媒を除去した後、精製さ
れた触媒媒体を重合容器の壁面あるいは触媒と反応しな
い固体(例えばガラス、フィルム、金属、織物、皮革な
どが挙げられ、特に基板によって保持されているものが
好ましい)の表面に塗布し、触媒分散体の液膜を作り、
そこに、アセチレンを導入する方法が挙げられる。この
ようにして触媒分散体の表面、器壁、基板上にポリアセ
チレンフィルムが得られる。
ここで、アセチレンを触媒分散体に導入し、重合する
際の温度としては、−30℃以下であることが必要であ
り、好ましくは、−100〜−40℃、さらに好ましくは、
−80〜−50℃である。重合温度が−30℃を越える高温側
では、導電性が低いといった問題を有する。おそらくこ
れは、反応速度が大きくなり、結晶性の低いポリアセチ
レンが生成するためであると考えられる。また、−30℃
を越える高温側では、延伸可能なシス型ポリアセチレン
の割合が少くなるため、延伸処理を施したフィルムとし
た場合において、導電性が低く不充分となる。一方、−
100℃未満の低温側においては、反応速度が遅くなり、
重合時間が長くなる。さらに、触媒溶液が凝固し、フィ
ルム形成が困難になる。
また、導入するアセチレンモノマーについては高導電
性ポリアセチレンを得るために、超高純度アセチレンガ
ス(99.9999Vol%以上、高圧ガス工業(株))を用い、
これを30%トリエチルアルミニウム流動パラフィン溶液
に通気して、不純物である酸素、水分などを極力除去し
精製することが好ましい。
また、本発明で用いられる導入アセチレンモノマー
は、不活性ガスに対して0.5体積%以上、10体積%以下
の濃度であることが必要であり、中でも0.5〜6.0体積%
の範囲が好ましく、さらには1〜4体積%の低濃度雰囲
気下がよい。ここで用いられる不活性ガスとしては、一
般に酸素、水などを含まないアルゴンや窒素などの不活
性ガスが用いられるが、希釈ガスを含まないアセチレン
モノマーガスのみであっても、もちろん可能である。こ
の場合の導入するアセチレンモノマー圧力は、3.8mmHg
以上、76mmHg以下であり、好ましくは3.8〜45.6mmHg、
特に好ましくは7.6〜30.4mmHgの範囲である。10体積%
(希釈ガスなしではモノマー圧力76mmHg)を超える高濃
度側では、反応速度が速くなるため、重合温度の場合と
同様におそらく結晶性が低下し、充分に高い導電度を有
するポリアセチレンが生成しなくなる。また、0.5体積
%(希釈ガスなしではモノマー圧力3.8mmHg)未満の低
濃度側では、反応速度が遅くなりフィルムの生成が困難
になる傾向がある。
重合時間については、目的とするポリアセチレンフィ
ルムの膜厚は、触媒濃度あるいはアセチレンモノマーの
圧力などにより異なるため、特に限定されないが通常2
分〜24時間である。
以上により得られた本発明のポリマは、次いでヨウ
素、塩化アルミニウムあるいは塩化鉄などによりドープ
処理を施すことにより、電導度σ(σ:フィルム面
内で最も高い電導度を有する方向においての電導度(S/
cm))が5×103S/cm以上であり、かつ、フィルム面内
での電導度の異方性(σ/σ、σ:同一フィルム
面内で最も低い電導度を有する方向における電導度(S/
cm))が1.0〜2.0であるといった特徴を有するポリアセ
チレンフィルムを得ることができる。
さらに、重合体にドープ処理を施す前に、延伸処理を
施すことによって、金属並の電導度、すなわち、少なく
とも2×105S/cm以上の電導度を有するポリアセチレン
フィルムとすることができる。
本発明のポリアセチレンフィルムは、以上のような異
方性および電導度における特徴を有するため、種々の材
料、特に、導電材料として好適に用いられる。例えば、
半導体として、光センサー、ガスセンサー材料、蓄電池
電極材料、また導電体として電線、発熱体、抵抗素子、
電磁遮蔽板、制電材料、軽量導電材料として利用される
可能性が大きい。
[実施例] 以下、本発明により本発明を更に詳しく説明する。
実施例1 アルゴン雰囲気下で内容積600mlのガラス製反応容器
にデカリン(C10H18)13mlとり、撹拌しながら9mlのト
リエチルアルミニウム((C2H5)3Al)と11mlのテトラブ
トキサイドチタニウム(n−C4H9O)4Tiを加える。室温
にて30分間放置した後、該触媒溶液を真空ポンプで吸引
排気しながら、オイルバスで約120℃まで徐々に加熱す
る。次に反応容器をアルゴン雰囲気にもどし、500ml/mi
nのアルゴンを通気しながら常圧下で200℃まで触媒分散
体を加熱・還流する。200℃で30分加熱熟成(エージン
グ)したのち、冷水浴を用いて室温まで急冷する。急冷
後、再度、同様の方法にて、加熱、冷却を行い2回目の
エージングを行った。
この触媒分散体を、アルゴン雰囲気中で細孔径0.2μ
mのシリンジフィルター(Nalge Co.製,PTFE,No.199-20
20)を用いて、50mlのシリンジにて触媒分散体を濾過精
製し、この濾液をアセチレン重合用触媒分散体とした。
この該触媒分散体と反応器を冷却循環恒温槽(大洋科学
工業(株)製、クールパイプ、D−2型)で−70℃に冷
却しながら、反応器を回転させ、該触媒分散体を器壁に
塗布した。これに30wt%トリエチルアルミニウム−流動
パラフィン溶液に通気して、あらかじめ精製した、アセ
チレンモノマ濃度2.6体積%(希釈ガスアルゴン)の混
合ガスを常圧まで供給し、−70℃にて15時間重合を行っ
た。重合開始後、徐々に触媒分散体表面および容器内壁
で重合が起り赤褐色状の金属光沢のあるポリアセチレン
フィルムが生成した。重合終了後、アルゴンガスに切
替、器内をアルゴンガス雰囲気にした。アルゴンガス雰
囲気下で触媒分散体を除いた後、あらかじめアルゴンガ
スで脱気してある500mlのトルエンを用いて数回洗浄を
くり返した。次いで10%HClメタノール溶液500mlで数回
洗浄後、更にメタノールでフィルムの洗浄液のpHがほぼ
中性になるまで洗浄をくり返した。トルエン、10%HCl
メタノール、メタノールの順でフィルムを洗浄後、アル
ゴン中室温にて乾燥した。得られたポリアセチレンフィ
ルムは厚さ12μmの銀色金属光沢があり、このフィルム
は室温、空気中にて約5.5倍程度延伸花押であった。次
いで、この5.5倍延伸したフィルムと延伸前のフィルム
(未延伸フィルム)をそれぞれ室温で、ヨウ素蒸気と接
触させ、ヨウ素をドーピングして、四端子法により電導
度(最も高い電導度を有する方向における電導度)を測
定した。未延伸フィルムの同一面における電導度の最高
値σと最低値σ、及び5.5倍延伸フィルムのヨウ素
ドーピング後の電導度は各々1.4×104S/cm、1.1×104S/
cm、4/3×105S/cmであった。
また、得られた未延伸フィルムの赤外スペクトルを透
過法により測定した。この赤外スペクトルのシス型ポリ
アセチレン(吸収バンド、740mc-1)とトランス型ポリ
アセチレン(吸収バンド、1015cm-1)から求めた含有率
比率は、各々98%と2%であった。また、未延伸フィル
ムの密度(g/cm2)を測定したところ、1.10g/cm3であ
り、非常に高いものであった。未延伸及び延伸後のヨウ
素ドーピング後の電導度の測定結果と、赤外スペクトル
から求めたシス型とトランス型ポリアセチレンの含有比
率の結果を、第1表に示す。
実施例2 実施例1において、導入アセチレンモノマー濃度を2.
6体積%から5.2体積%に変えた以外は、実施例1と全く
同様の方法でアセチレンの重合及びフィルムの洗浄を行
った。得られたポリアセチレンフィルムの未延伸(σ
とσ)及び延伸フィルムのヨウ素ドーピング後の電導
度の測定結果と、延伸フィルムの赤外スペクトルより求
めた、シス型、トランス型ポリアセチレンの含有比率の
結果を第1表に示す。
実施例3 実施例1において、導入アセチレンガスとして2.6体
積%の混合ガス(アルゴン希釈ガス)を用い、常圧下で
重合しているが、この混合ガスの代わりに100%アセチ
レン純ガスを20mmHg導入し、減圧下で重合した。
さらに、実施例1における重合温度−70℃を、−50℃
に変えて重合を行った以外は、実施例1と全く同様の方
法で重合及びフィルムの洗浄を行った。得られた未延伸
(σとσ)及び延伸フィルムのヨウ素ドーピング後
の電導度測定結果と未延伸フィルムのシス型、トランス
型ポリアセチレンの含有比率の結果を第1表に示す。
実施例4 実施例1において、触媒の加熱、冷却処理エージン
グ)を200℃、30分で2回くり返し行っているが、この
エージングくり返し回数を3回とし、また、導入するア
セチレンモノマーガスとして、アセチレン純ガスのみを
45mmHgの減圧下にて用いた以外は、実施例1と同様にし
てポリアセチレンフィルムの重合および洗浄を行った。
さらに、得られたフィルムを0.05mol/lの塩化アルミニ
ウム(AlCl3)のニトロメタン溶液に浸漬させ、塩化ア
ルミニウムをドーピングした。得られた未延伸(σ
σ)及び延伸フィルムの塩化アルミニウムドーピング
後の電導度と未延伸フィルムのシス、トランス型ポリア
セチレンの含有比率の結果を第1表に示す。
比較例1 実施例1の導入アセチレンモノマー濃度を2.6体積%
から20体積%に変えた以外は、実施例1と全く同様の方
法でアセチレンの重合及びフィルムの洗浄を行った。得
られた未延伸(σとσ)及び延伸後のポリアセチレ
ンフィルムのヨウ素ドーピング後の電導度の測定結果及
び未延伸フィルムのシス型、トランス型ポリアセチレン
の含有比率の結果を第1表に示す。
比較例2 実施例1の重合温度を−70℃から0℃に変えた以外
は、実施例1と同様の方法で重合及びフィルムの洗浄を
行った。得られた未延伸(σとσ)ポリアセチレン
フィルムのヨウ素ドーピング後の電導度の測定結果及び
未延伸フィルムのシス型、トランス型ポリアセチレンの
含有比率の結果を第1表に示す。
比較例3 実施例1において、重合溶媒としてシリコーンオイル
(ポリジメチルシロキサン、信越化学工業(株)製、KF
96,20CS)を用い、かつ、触媒の加熱エージングを、120
℃、2時間、1回エージングとし、さらに重合温度を室
温とした以外は、実施例1と同様にして、ポリアセチレ
ンの重合およびフィルムの洗浄を行った。得られた未延
伸および延伸後のポリアセチレンフィルムのヨウ素ドー
ピング後の電導度および未延伸フィルムのシス、トラン
ス型ポリアセチレンの含有比率の結果を第1表に示す。
比較例4、比較例5 実施例1において、導入アセチレンモノマー濃度を0.
3体積%(アルゴン希釈ガス)に変えた以外は実施例1
と全く同様の方法(比較例4)で、あるいは、実施例1
において、重合温度を−110℃に下げた以外は実施例1
と全く同様の方法(比較例5)で重合を行った。
その結果、比較例4及び比較例5のいずれの場合も電
導度が測定できるようなポリアセチレンフィルム生成が
認められなかった。
[発明の効果] 本発明の製造方法により得られたポリアセチレンフィ
ルムは、異方性が1.0以上、2.0以下であり、あつ、高い
電導度を有するため、種々の材料、特に、導電材料とし
て好適に用いられる。
さらに、本発明により得られたポリアセチレンをさら
に延伸することにより、金属並の高い電導度を有するポ
リアセチレンを得ることができる。
また、本発明においては、ポリアセチレンを、基板上
で直接フィルム状にするため、基質との密着性に優れ、
また、本発明のフィルムは基材に触媒を塗布して合成す
るため、繊維及び複雑な形態を有する基材上などにも容
易に均質な導電性ポリアセチレンフィルムを生成させる
ことができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−102207(JP,A) 特開 平1−266115(JP,A) 特開 平1−203408(JP,A) 特開 平2−250204(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08F 38/00 - 38/04 C08F 138/00 - 138/04 C08F 238/00 - 238/04 C08J 5/18 H01B 1/12

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イ.チーグラー・ナッタ系触媒を、有機溶
    媒中、150℃以上で加熱した後、冷却処理を行い、 ロ.次いで、該触媒の中で1μmを越える粒径を有する
    ものを除去することにより、精製された触媒分散体と
    し、 ハ.該触媒分散体にアセチレンモノマーを不活性ガスに
    対して、0.5体積%以上、10体積%以下の濃度(アセチ
    レンガスのみの場合には、アセチレンの圧力を3.8mmHg
    以上、76mmHg以下とする)で導入し、かつ、−100℃以
    上、−30℃以下の温度で重合し、 ニ.さらに、得られた重合体に、ドープ処理を施す ことを特徴とするポリアセチレンフィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】アセチレンモノマーの濃度が、0.5〜6.0体
    積%であることを特徴とする請求項(1)記載のポリア
    セチレンフィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】重合温度が、−100℃以上、−50℃以下の
    範囲であることを特徴とする請求項(1)記載のポリア
    セチレンフィルムの製造方法。
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