JP2755764B2 - 冷陰極装置の製造方法 - Google Patents

冷陰極装置の製造方法

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JP2755764B2 JP3472690A JP3472690A JP2755764B2 JP 2755764 B2 JP2755764 B2 JP 2755764B2 JP 3472690 A JP3472690 A JP 3472690A JP 3472690 A JP3472690 A JP 3472690A JP 2755764 B2 JP2755764 B2 JP 2755764B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、表示装置の画素などに用いられる冷陰極装
置の製造方法に関するものである。
[従来の技術] 第2図は、ジャーナル オブ アプライド フィジッ
クス(Journal of Applied Physics,47[12](1976−1
2)(米),American Institute of Physics,C.A.Spind
t,“Physical properties of thin−film field emissi
on cathodes with molybdenum cones",p.5248−5263)
に記載されている従来の冷陰極を示す断面図である。上
記冷陰極は、Si基板21上にSiO2よりなる絶縁膜22が形成
され、さらに絶縁膜22の空洞部22aの中央に円錐形の突
起状陰極23が形成されている。また、絶縁膜22上には突
起状陰極23の先端部分を囲う電極孔24aを有するゲート
電極24が備えられている。上記突起状陰極23およびゲー
ト電極24はモリブデン(Mo)からなっており、特に突起
状陰極23はその全体がMoにより形成されている。
第3図(a)乃至(e)は、上述した従来の冷陰極の
製造工程を説明するための図である。
まず、第3図(a)に示す様に、Si基板31の表層を酸
化して、SiO2よりなる絶縁膜32を形成し、さらに、絶縁
膜32上にMoをスパッタリングしてMo膜33を形成する。こ
こで、上記刊行物の記載によれば、上記Si基板の体積抵
抗率は、0.01Ω・cmである。次に、Mo膜33上にフォトレ
ジストを塗布し、電子ビーム露光によりパターン化して
フォトレジストパターン34を形成する。
次に、第3図(b)に示すように、フォトレジスト34
を残して、Mo膜33を選択的にエッチングし、孔部33aを
形成する。
次に、上記レジスト膜を除去したのち、絶縁膜32をフ
ッ酸(フッ化水素水溶液)を用いてエッチングする。エ
ッチング後の状態を第3図(C)に示す。このとき、Si
O2はフッ酸により侵されるが、Siは侵されないので、絶
縁膜32の一部が除去され、Si基板31が露出している空洞
部32aが形成される。さらに、Moもまたフッ酸に侵され
ないので、上記空洞部32aはMo膜33の下部にまで広がっ
ており、Mo膜33は所謂アンダーカットされた膜として形
成される。
次に、Si基板31を空洞部32aの中央を軸として水平(S
i基板31の面と平行)に回転させながら、Mo膜33の斜め
上方、例えば、Mo膜33とφの角度をなす方向からMo膜33
上にアルミニウムを蒸着して、第3図(d)のAl膜35を
形成する。この工程により、Mo膜33の端部33bには、Al
膜35がSi基板31に垂直な方向に対して斜めに形成され
る。また、上述のAl蒸着により、必要に応じて孔部33a
の径を小さくすることができる。
次に、上述Al蒸着により断面がSi基板31に垂直な方向
に対して斜めに形成されている孔部33aを介して、空洞
部32a内に露出しているSi基板上にMoを蒸着することに
より、第3図(e)に示すように円錐形の突起状陰極36
を形成することができる。
最後に、Al膜35を除去することにより、第2図に示す
冷陰極が得られる。
上記刊行物の記載によれば、上述の製造方法により形
成される冷陰極は、突起状陰極の曲率半径が小さく、ゲ
ート電極の突起状陰極との距離を小さくすることができ
るので、強い電界強度を得ることができるとされてい
る。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、上記従来の製造方法においては、Al蒸
着の際にSi基板の回転軸の位置決めが困難であるため
に、所望の位置に突起状陰極を形成することが難しいと
の問題がある。また、上記従来の製造方法は、大面積の
基板に多数の冷陰極を形成するためには、工程が煩雑で
あるとの問題もある。
そこで、本発明は上記したような従来技術の課題を解
決するためになされたもので、その目的とするところ
は、改良された冷陰極装置の製造方法を提供することに
ある。
[課題を解決するための手段] 本発明は上記目的を達成するためになされたものであ
り、基板表面から突出した突起状陰極と、該突起状陰極
を囲む電極孔を有するゲート電極とを有する冷陰極装置
の製造方法において、少なくともその表面側にシリコン
からなる層を具備する基板上の、上記突起状陰極を形成
する所定領域にフォトレジストの層を形成する工程と、
上記基板の表面側から不純物を混入させ、上記基板中
に、不純物の濃度が上記フォトレジストで覆われていな
い部分では基板の表面側から深部にゆくに従って低くな
るように且つ上記フォトレジストの真下の部分では中心
部側ほど低くまた深い部分ほど低くなるような、不純物
の濃度勾配を形成する工程と、上記基板の表面側から陽
極酸化させることで、上記不純物の濃度勾配における所
定の等濃度曲線の位置まで陽極酸化膜を形成する工程
と、上記陽極酸化膜の表面に第一の金属を被着する工程
と、上記フォトレジストを除去する工程と、上記第一の
金属をマスクとしてエッチングを行うことにより上記陽
極酸化膜のうち上記フォトレジストの下に位置していた
部分を除去して、上記基板の未酸化部分を露出させ、上
記基板と一体の尖鋭な先端部を有する突起状部分を形成
する工程と、を具備することを特徴とする冷陰極装置の
製造方法が提供される。
上記突起状部分からなる陰極の表面に第二の金属の膜
を被着する工程をさらに具備することが好ましい。
上記基板全体がシリコンからなることが好ましい。
[作用] 本発明の製造方法においては、基板に不純物を混入さ
せる際に、不純物がフォトレジストの下部に回り込む
が、該フォトレジストの下部のうち、中心に近い部分ほ
ど、また、深い部分ほど不純物濃度が低くなる。次に陽
極酸化を行なうと、不純物濃度が高い部分ほど速く酸化
が進むので、フォトレジストの下部に円錐状の未酸化部
分が形成される。次に、上記第一の金属を被着させた
後、上記レジストを除去すると、上記第一の金属は、上
記円錐状の未酸化部分の直上に開口を有する構造とな
る。そして、この第一の金属をマスクとして酸化膜のエ
ッチングを行なうと、エッチングが上記開口の近傍から
進行し、上記開口の下部の酸化膜が除去され、上記円錐
状の未酸化部分が残る。この残った円錐状の未酸化部分
が突起状陰極となる。なお、上記円錐状の未酸化部分か
らなる突起状陰極上に第二の金属の膜を形成してもよ
く、この第二の金属は、安定な表面仕事関数、耐イオン
衝撃性を有するもので、これにより所望の特性を有する
突起状陰極が得られる。
また、上記フォトレジストはゲート電極の形成にも利
用され、該フォトレジストの跡が電極孔になるので、電
極孔と陰極尖端との相対的位置関係がセルフアライメン
ト法により規定される。
[実施例] 以下に本発明を図示の実施例に基づいて説明する。
第1図(a)乃至(f)は、本発明に係わるれ冷陰極
装置の製造工程を示す概略断面図である。第1図(f)
に基づいて本実施例の構成を説明すると、本実施例にお
いては、基板1は単結晶Siウエハーまたはアルミナ基板
もしくはガラス板上に堆積されたアモルファスシリコン
膜からなる。上記基板1は尖鋭な先端部分を持つ円錐形
の突起状部分1aを有している。そして、上記突起状部分
1aは、上記基板1上に形成されているSiO2よりなる絶縁
膜2の空洞部2aの中央に位置するように形成されてい
る。
また、上記突起状部分1aの上には金属膜3が形成され
ており、突起状部分1aと金属膜3とで突起状陰極10が形
成されている。上記絶縁膜2上には突起状陰極10の先端
部分を囲う電極孔4aを有するゲート電極4が備えられて
いる。突起状陰極10は、電極孔4aの中央に位置してい
る。本実施例において、上記ゲート電極4は、2種類の
金属が重ねられている構成になっていてもよい。上記構
成において、突起状陰極10とゲート電極4との間に数十
Vから数百Vの電圧を印加して、107V/cm程度の強電界
を発生させると、突起状陰極10の表面、特に尖端より電
子が放出される。
次に、第1図(a)乃至(f)に従って、上記冷陰極
の製造方法を説明する。
まず、第1図(a)に示すように、基板1上にフォト
レジスト42を塗布し、パターンを形成する。上記基板と
しては、単結晶Siウエハー、あるいは、アルミナ基板も
しくはガラス板などの上にアモルファスシリコンを堆積
させた基板等を用いることができる。上記フォトレジス
ト42は、フォトリソグラフィーにより、直径2μm程度
の円柱状に形成される。
次に、上記基板1の表層から、拡散またはイオン注入
により不純物を混入する。この混入は所定の濃度勾配を
生ずるように行なわれる。上記濃度勾配は、フォトレジ
スト42で覆われていない部分では、基板1の表層から深
部に行くに従って低くなり、また、フォトレジスト42の
直下の部分では中心部ほど低く、また深い部分ほど低く
なるものである。
第1図(a)の破線43、44、および45は、基板1中に
形成された上記不純物の等濃度曲線であり、それぞれ、
1×10-17イオン/cm3、1×10-18イオン/cm3、1×10
-19イオン/cm3を示す。
また、上記不純物は、p形基板を形成するものが好ま
しく、通常ホウ素が用いられる。p形基板を形成するこ
とにより、次工程の陽極酸化において、SiとSiO2との界
面での電位障壁による電圧降下の影響を少なくすること
ができる。
次に、上述の工程により不純物を混入した基板1の表
層を陽極酸化して、酸化膜(SiO2膜)を形成する。陽極
酸化は、上記基板1をアノード(陽極)、白金をカソー
ド(陰極)として、電解液中に浸漬して電解することに
より行なう。
上記陽極酸化をしたときの酸化の速度は、Si中の不純
物の濃度の影響を受け、不純物濃度が高くなるほど、酸
化速度も大きい。従って、酸化過程における酸化膜の表
面は、不純物の等濃度曲線に略合致したものとなる。不
純物の濃度勾配は、上述の様にフォトレジスト42の直下
にあっては、中心部に近いほど低く、かつ、深い部分ほ
ど低くなっているので、上記陽極酸化を行なうことによ
り、円錐状の部分が酸化されずに残される。上述の工程
により、基板1の表層に絶縁膜(SiO2膜)2が形成され
た状態を第1図(b)に示す。基板1のSiO2膜2との界
面に近い部分は、上記の工程にて混入された不純物が含
まれているので陰極として作用する。
上記陽極酸化に用いる電解液は、一般に使用される電
解液であればよく、例えば、エチレングリコールやn−
メチルアセトアミドなどを溶媒として硝酸カリウムや硝
酸アンモニウムなどの塩を加えた液を挙げることができ
る。また、上記陽極酸化は、定電流法または定電圧法の
いずれでも行なうことができる。
なお、上記陽極酸化の工程において、フォトレジスト
42はそのままの状態に保持されているので、陽極酸化終
了後にはSiO2膜2上にある。
次に、第1図(c)に示すように、SiO2膜2上に、ゲ
ート電極となる金属層47を形成する。上記金属として
は、例えば、モリブデン等を用いることができ、上記金
属層は、通常、蒸着により形成する。
このとき、フォトレジスト42は上述のとおり元の位置
にあるので、金属層47は、フォトレジスト42の部分では
該フォトレジスト上に形成される。
次に、フォトレジスト42を除去することにより、同時
にフォトレジスト42上の金属層47を除去する(リフトオ
フ法)。この結果、SiO2膜2上に残された金属層47によ
りゲート電極4が、フォトレジスト42の跡に電極孔4a
が、それぞれ形成される。
上記の方法においては、電極孔4aと円錐形の突起状部
分1aとの相対的な位置関係がセルフアライメント法によ
り保持されており、電極孔4aの直下に突起状部分1aが位
置している(第1図(d))。
次に、SiO2膜2をエッチングする。上記エッチング
は、通常、約3規定のフッ酸を用いて行なう。上記濃度
のフッ酸を用いることにより、SiO2のみがエッチングさ
れ、Siおよびゲート電極4は残される。また、エッチン
グ時間を制御することにより、第1図(e)に示すよう
に、ゲート電極の下部にまで及ぶ(アンダーカットされ
た)空洞部2aが形成され、空洞部2aの中央部には突起状
部分1aが形成される。
最後に、上記突起状部分1aの上に、金属を蒸着するこ
とにより、第1図(f)に示す金属膜3を形成する。上
記突起状部分1aと金属膜3とにより、突起状陰極10が構
成される。上記金属膜3は、100〜3000オングストロー
ムの範囲の厚さに形成することが好ましい。上記金属膜
としては、モリブデンまたはタングステン等、高電界電
子放射特性に適した安定な表面仕事関数および耐イオン
衝撃性を有するものが用いられる。
以上により、冷陰極装置が形成される。尚、上記の方
法で、同一のSi基板上に複数の冷陰極装置を同時に形成
することもできる。また、上記実施例のように突起状部
分1a上に金属膜3を被着して陰極とするのが望ましい
が、金属膜3を被着せず突起状部分1aだけで陰極を構成
しても実用上十分な冷陰極装置を実現できる。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明の製造方法によれば、基
板自体から突起状部分を形成するので、従来法のAl膜の
斜め蒸着および該Al膜を除去する工程が不要になる。ま
た、本発明の製造方法によれば、フォトレジストの直下
に当る部分に突起状陰極を、また、フォトレジストの跡
に電極孔を形成することができるので、突起状陰極と電
極孔との位置がセルフアライメント法により定められ
る。従って、製造工程を簡略化することができる。
さらに、本発明の製造方法によれば、大面積の基板に
同時に複数の冷陰極を形成することができる。
また、上述の製造法によって得られる本発明の冷陰極
において、その突起状陰極の形状は、フォトレジストお
よび不純物の濃度勾配によって決定されるので、同時に
複数の冷陰極を形成する場合にも突起状陰極の形状の均
一性に優れている。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)乃至(f)は本発明に係わる冷陰極装置の
一実施例の製造工程を示す概略断面図、 第2図は従来の冷陰極装置を示す概略断面図、 第3図(a)乃至(e)は従来の冷陰極装置の製造工程
を説明するための断面図である。 1、21、31……基板、1a……突起状部分、2、22、32…
…絶縁膜、2a、22a、32a……空洞部、3……金属膜、
4、24、33……ゲート電極、4a、24a、33a……電極孔、
10、23、36……突起状陰極、42……フォトレジスト。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01J 9/02,1/30

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板表面から突出した突起状陰極と、該突
    起状陰極を囲む電極孔を有するゲート電極とを有する冷
    陰極装置の製造方法において、 少なくともその表面側にシリコンからなる層を具備する
    基板上の、上記突起状陰極を形成する所定領域にフォト
    レジストの層を形成する工程と、 上記基板の表面側から不純物を混入させ、上記基板中
    に、不純物の濃度が上記フォトレジストで覆われていな
    い部分では基板の表面側から深部にゆくに従って低くな
    るように且つ上記フォトレジストの真下の部分では中心
    部側ほど低くまた深い部分ほど低くなるような、不純物
    の濃度勾配を形成する工程と、 上記基板の表面側から陽極酸化させることで、上記不純
    物の濃度勾配における所定の等濃度曲線の位置まで陽極
    酸化膜を形成する工程と、 上記陽極酸化膜の表面に第一の金属を被着する工程と、 上記フォトレジストを除去する工程と、 上記第一の金属をマスクとしてエッチングを行うことに
    より上記陽極酸化膜のうち上記フォトレジストの下に位
    置していた部分を除去して、上記基板の未酸化部分を露
    出させ、上記基板と一体の尖鋭な先端部を有する突起状
    部分を形成する工程と、 を具備することを特徴とする冷陰極装置の製造方法。
  2. 【請求項2】上記突起状部分からなる陰極の表面に第二
    の金属の膜を被着する工程をさらに具備すること を特徴とする請求項1記載の冷陰極装置の製造方法。
  3. 【請求項3】上記基板全体がシリコンからなることを特
    徴とする請求項1若しくは2記載の冷陰極装置の製造方
    法。
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