JP2755508B2 - 住宅ユニット - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ユニット住宅の構成要
素である住宅ユニットに係り、特にガレージ等に利用で
きる住宅ユニットに関する。

【０００２】

【背景技術】近年、工場で生産された複数の住宅ユニッ
トを建設現場で組み合わせて建てられるユニット住宅
が、高品質で施工期間も短い等の種々の利点を有するた
めに多数施工されるようになった。

【０００３】このユニット住宅を構成する住宅ユニット
は、通常４本の柱の上端部間および下端部間に４本の上
梁および下梁を架け渡してボックス状の骨組みを形成
し、この骨組みに壁材や天井材、床材等を取付けて生産
されている。つまり、住宅ユニットは側壁部、天井部お
よび床部を備えてボックス状に形成されていた。

【０００４】ところで、ユニット住宅の間取り設計はユ
ーザーの要望に応じて行われるが、近年の設計の多様化
に伴ってユニット住宅内にカーポートや土間床の居室等
を設ける要望がでるようになった。この際、通常の住宅
ユニットは、床部があるためカーポート等をユニット住
宅内に設けるためには利用できなかった。

【０００５】このため、本出願人は、下梁を無くして床
を開口し、コンクリート基礎上に載置することでカーポ
ート等に利用できる住宅ユニットを既に提案している
（特願平２−２１６０２５号）。このような住宅ユニッ
トを用いれば、床が開口しているため、住宅ユニットに
よって下面がコンクリート基礎によるコンクリート面と
なった空間を形成でき、ユニット住宅内にカーポートや
土間床の居室等を簡単に設けることができる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、下梁を無く
した住宅ユニットは、建設現場で基礎に固定すれば下梁
が結合されていない柱も強固に固定されて十分な強度が
得られるが、住宅ユニットの組立・輸送時には梁が結合
されていないと十分な強度を確保できず柱が開いたりす
る虞れがあるため、仮梁を取付けておく必要があった。
このため、工場では住宅ユニットへの仮梁の取付作業
を、建設現場では仮梁の取り外し作業を行わなければな
らず、さらに建設現場で外した仮梁を工場まで運んで回
収しなければならず、作業が煩雑となって作業性が悪い
という問題があった。

【０００７】本発明の目的は、ユニット住宅内にカーポ
ートや土間床を設けることができるとともに、仮梁を不
要にできて輸送や設置を作業性良く行うことができる住
宅ユニットを提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の住宅ユニット
は、４本の柱の上端間に４本の上梁を架け渡し、４本の
柱の下端間のうちの対向する２箇所の下端間に各１本、
計２本の下梁を架け渡し、４本の柱の下端間のうちの他
の２箇所の柱下端間の少なくとも一方の柱下端間には下
梁を設けず、この下梁が架け渡されていない２本の柱の
上下方向の中間部間にこれらの柱間に仮梁を設けること
なく住宅ユニットを輸送可能とする中間梁を架け渡して
構成されることを特徴とする。

【０００９】

【作用】本発明においては、柱の下端間のうちの少なく
とも対向する２つの下端間に２本の下梁を架け渡し、他
の２つあるいは１つの下端間には下梁を設けていないの
で、住宅ユニットには下梁の無い側面が形成され、床も
開口される。このため、住宅ユニットをコンクリート基
礎上に載置すると、基礎を下面として下梁で遮られるこ
とがない空間が形成され、カーポートや土間床の居室と
しての利用が可能となる。また、住宅ユニットの下梁の
無い柱間には、柱の上下方向中間部において中間梁を架
け渡しているため、輸送時に仮梁を設けなくても十分な
強度が得られて柱の開き等を防止できる。このため、仮
梁の着脱作業が不要になるとともに、仮梁の回収作業も
不要となり、住宅ユニットの輸送や設置の作業性が向上
する。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。図１は、本実施例に係る住宅ユニットが使用さ
れているユニット住宅１を示している。ユニット住宅１
は、コンクリート基礎２の上に載置されて１階を構成す
る一般的なボックス状の住宅ユニット３および本実施例
に係る住宅ユニット４と、これらの住宅ユニット３，４
上に載置されて２階を構成するボックス状の住宅ユニッ
ト５とで構成されている。

【００１１】住宅ユニット４は、図２に示すように、四
隅の４本の柱１１の上端間に４本の上梁１２を架け渡し
て結合し、柱１１の下端間のうちの住宅ユニット４の短
辺側の対向する２つの下端間に２本の下梁１３を架け渡
して結合して構成される骨組み１０を備えている。な
お、図２に示すように、柱１１の下端間のうちの住宅ユ
ニット４の長辺側の柱下端間には、下梁は掛け渡されて
いない。また、４本の柱１１の上下方向中間部間のう
ち、住宅ユニット４の短辺側には中間梁１４が架け渡さ
れ、長辺側にはこれらの柱１１間に仮梁を設けることな
く住宅ユニットを輸送可能とする中間梁１５が架け渡さ
れている。中間梁１５間には、複数本の小梁１６が所定
間隔で架け渡されている。

【００１２】住宅ユニット４の骨組み１０には、図３お
よび図４に示すように、工場で内壁材１７、外壁材１８
が取付けられ、中間梁１４，１５、小梁１６の上面およ
び下面には床材１９および天井材２０がそれぞれ取付け
られている。これにより、住宅ユニット４は長辺側の２
つの側面と床が開口されるとともに、中間梁１４，１
５、小梁１６と床材１９、天井材２０により中間床２１
が形成される。

【００１３】一方、その他の住宅ユニット３，５は、従
来と同様に柱の上端間および下端間を上梁、下梁で結合
して構成されるボックス状の骨組みに、工場で壁材、天
井材、床材等の所定の設備、造作材が取付けられて生産
される。なお、住宅ユニット４の上に載置される住宅ユ
ニット５の床の一部は開閉可能な扉２２が設けられ、住
宅ユニット４の中間床２１上に出入りするための出入口
２３が形成されている。

【００１４】また、前記コンクリート基礎２は、図４に
示すように、平らに形成された土間コンクリート２Ａ
と、土間コンクリート２Ａ上に住宅ユニット４の幅寸法
に合わせて形成された立上部２Ｂとで構成されている。

【００１５】次に、本実施形態の住宅ユニット４を用い
たユニット住宅１の施工作業について説明する。まず、
工場生産された住宅ユニット３，４，５をトラック等で
建設現場に輸送する。この際、住宅ユニット４の２つの
側面には下梁が設けられていないが、中間梁１５が柱１
１間に架け渡されて補強されているため、十分な強度が
得られて柱１１が開いたりすることがなく、柱１１間に
仮梁を設けなくても住宅ユニット４を輸送することが可
能となる。

【００１６】建設現場においては、コンクリート基礎２
の立上部２Ｂ上に住宅ユニット３，４を載置してユニッ
ト住宅１の１階を構成し、これらの住宅ユニット３，４
上に住宅ユニット５を載置して２階を構成する。このよ
うにして建てられたユニット住宅１内には、住宅ユニッ
ト４の床が開口されているため、住宅ユニット４の配置
位置において、下面が土間コンクリート２Ａによるコン
クリート面で、上面が中間梁１４，１５の下面に取付け
られた天井材２０で区画されて空間２５が形成される。
隣接配置された２つの住宅ユニット４の空間２５は住宅
ユニット４の側面が開口されているため連通され、これ
によりユニット住宅１内には２つの住宅ユニット４の空
間２５からなる大空間が設けられ、空間２５をカーポー
トとして利用する場合には２台の自動車を駐車すること
が可能となる。

【００１７】このような本実施例によれば、住宅ユニッ
ト４の床および長辺側の側面を開口したので、住宅ユニ
ット４をコンクリート基礎２の立上部２Ｂ上に載置する
だけで土間コンクリート２Ａを下面とする空間２５を形
成することができ、住宅ユニット４の長辺側には下梁を
設けていないので、空間２５内に住宅ユニット４の側面
開口から自動車を出入りさせることができる。このた
め、空間２５によってユニット住宅１内にカーポートを
設けることができる。特に、前記実施例では２つの住宅
ユニット４を並設して２つの空間２５を連通させたの
で、２台の自動車を駐車可能なカーポートをユニット住
宅１内に設けることができる。

【００１８】また、住宅ユニット４には、短辺側の柱１
１間のみに下梁１３を架け渡し、長辺側の柱１１間には
下梁を設けていないが、柱１１の上下方向中間部間に、
中間梁１４，１５を設けているので、特に下梁が設けら
れていない柱１１間に中間梁１５を架け渡しているので
下梁を設けていなくても十分な強度が得られ、輸送時に
柱１１が開いたりすることを防止できる。このため、従
来のように仮梁を着脱する作業や回収する作業を不要に
でき、工場および建設現場での作業を軽減できて作業性
を向上できる。

【００１９】さらに、中間梁１４，１５を設けること
で、住宅ユニット４内に中間床２１を形成できる。この
中間床２１上には住宅ユニット５の出入口２３から出入
りできて荷物等を収納することができるので、ユニット
住宅１の収納スペースを拡大できてスペース効率を向上
できる。また、空間２５は土間コンクリート２Ａを下面
としているので、空間２５の高さは住宅ユニット下面か
ら中間床２１までの高さ寸法にコンクリート基礎２の立
上部２Ｂの高さ寸法を加えたものとなり、中間床２１を
設けても空間２５の高さ寸法は自動車を十分収納可能な
大きさにできる。

【００２０】なお、本発明は前述の実施例に限定される
ものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変
形、改良等は本発明に含まれるものである。例えば、前
記実施例では、住宅ユニット４として柱１１の下端間に
２本の下梁１３のみを架け渡し、２つの側面を開口した
ものを用いていたが、さらにもう１本の下梁を柱１１間
に架け渡して住宅ユニット４の１つの側面のみを開口し
たものを用いてもよい。このような住宅ユニット４は、
単独で用いたり、前記実施例の住宅ユニット４と並設す
ることでユニット住宅１内に、１つの出入り口のみを有
する空間２５を形成することができ、カーポート等に利
用できる。

【００２１】また、前記実施例では、住宅ユニット４の
短辺側に下梁１３を設け、長辺側の側面を開口していた
が、住宅ユニット４の長辺側に下梁を設けて短辺側の側
面を開口してもよい。さらに、前記実施例では、住宅ユ
ニット４の短辺側および長辺側の各柱１１間に中間梁１
４，１５を架け渡していたが、本発明は少なくとも下梁
が設けられていない柱１１間に中間梁を架け渡せばよ
く、従って短辺側あるいは長辺側の一方の中間梁１４，
１５のみを設けてもよい。

【００２２】また、前記実施例では、中間梁１５間に小
梁１６を設け、この上に床材１９を取付けて中間床２１
を形成していたが、小梁１６を設けずに住宅ユニット４
の上端まで吹き抜けとしてもよい。但し、中間床２１を
形成したほうが収納スペースを形成できてユニット住宅
１のスペース効率を向上できるという利点がある。

【００２３】さらに、前記実施例では、住宅ユニット４
によって形成される空間２５をカーポートとして利用し
ていたが、空間２５を土間床の居室や店舗スペース等に
利用してもよく、空間２５の利用方法は間取り設計に応
じて適宜設定すればよい。

【００２４】

【発明の効果】このような構成の本発明によれば、ユニ
ット住宅内にカーポートや土間床を設けることができる
とともに、仮梁を不要にできて輸送や設置を作業性良く
行うことができるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の住宅ユニットを用いたユニ
ット住宅を示す斜視図である。

【図２】前記実施例の住宅ユニットの骨組みを示す斜視
図である。

【図３】前記実施例の住宅ユニットの設置状態を示す斜
視図である。

【図４】前記実施例の住宅ユニットの設置状態を示す断
面図である。

【符号の説明】

１ ユニット住宅 ３，４，５ 住宅ユニット １０ 骨組み １１ 柱 １２ 上梁 １３ 下梁 １４，１５ 中間梁 ２１ 中間床 ２５ 空間

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特公 昭54−13687（ＪＰ，Ｂ２) 実願 昭59−156826号（実開 昭61− 71701号）の願書に添付した明細書及び 図面の内容を撮影したマイクロフィルム （ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ４本の柱と、これらの柱の上端間に架け
   渡された４本の上梁とを備えるとともに、４本の柱の下
   端間のうちの対向する２箇所の下端間にはそれぞれ下梁
   が架け渡され、他の２箇所の柱下端間のうちの少なくと
   も一方の柱下端間には下梁が設けられておらず、この下
   梁が架け渡されていない２本の柱の上下方向の中間部間
   にはこれらの柱間に仮梁を設けることなく住宅ユニット
   を輸送可能とする中間梁が架け渡されていることを特徴
   とする住宅ユニット。