JP2754568B2 - 内燃機関の燃料噴射量制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射量制御装置

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JP2754568B2
JP2754568B2 JP63115134A JP11513488A JP2754568B2 JP 2754568 B2 JP2754568 B2 JP 2754568B2 JP 63115134 A JP63115134 A JP 63115134A JP 11513488 A JP11513488 A JP 11513488A JP 2754568 B2 JP2754568 B2 JP 2754568B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、内燃機管の燃料噴射量制御装置に関するも
ので、詳しくは、吸気管壁面等へのデポジットの付着に
よる燃空比の乱れを防止する機構に関する。
[従来の技術] 電子式の燃料噴射装置では、燃料噴射弁から噴射され
シリンダ内に吸入される燃料には、燃料噴射弁からシリ
ンダ内に直接吸入されるものほかに、吸気管壁面や吸気
バルブに一旦付着してから蒸発等の過程を経て吸入され
るものも含まれる。
ところが、吸気管壁面等に付着してからシリンダ内に
吸入される燃料は、エンジンの急加速時に、該付着によ
り吸入が遅れ、燃空比を一時的に燃料稀薄側へ移行させ
ようとする。一方、急減速時には、付着燃料の蒸発量が
吸入空気量に対して相対的に増大するために一時的な燃
料過剰側への燃空比変動が発生する。このために、排気
エミッションに有害成分を増加させる。
しかも、この傾向は、吸気管壁面や吸気バルブに付着
するデポジットの増大により一層加速される。したがっ
て、車両を長期間使用してデポジットが多く付着した場
合には、急加減速時に燃空比、エミッションの低下を招
くことになる。
このような問題に対処する技術として、例えば、特開
昭60−1346号公報および特開昭60−27746号公報に記載
されているものがある。すなわち、これらの技術は、加
速状態を検出したときに、最適の燃空比と実際に検出し
た燃空比との偏差を算出し、この偏差分を補正するよう
に燃料噴射量制御を行うものである。すなわち、加速時
に燃料噴射量を増量することによりデポジット付着量の
増大による不足燃料分を補正するものである。
[発明が解決しようとする課題] ところで、エンジンの燃料噴射量制御においては、吸
入空気量、エンジン回転数に基づいて基本燃料噴射量を
算出し、さらにこれを冷却水温、大気圧等のパラメータ
を用いて補正することにより、各種のエンジンの運転状
態、例えば、低速時から高速時にわたった広範囲の運転
状態に適合させている。
しかし、こうした広範囲の運転状態に適合させるため
のパラメータにさらに、従来の技術のような加速時にお
ける補正する手段を加えて対処しようとする場合には、
上述した補正のパラメータに適合する補正係数を多数加
えたり変更しなければならず、マップやプログラムの増
大を招き構成が複雑になるという問題がある。
こうした補正係数の設定が簡単でかつ広範囲のエンジ
ンの運転状態に精度よく対処できる技術として、本願出
願人により先に出願した発明、特願昭62−189889号,特
願昭62−189891号等に記載されている発明がある。すな
わち、吸気管壁面への付着燃料量及び吸気管内での蒸発
燃料量を状態変数として燃料の挙動を記述した物理モデ
ルに基づく制御則により、該状態変数量,吸気管壁面か
らの燃料蒸発量、シリンダ内に流入する空気量と目標燃
空比とを乗ずることによって得られるシリンダ内に流入
すべき目標燃料量を基づき燃料噴射弁からの燃料噴射量
を算出し、燃料噴射制御を行なう燃料噴射量制御装置で
ある。
本発明は、上述した料噴射量制御装置においては、物
理モデルに用いられるパラメータをわずかに変更するこ
とにより、広範囲の運転状態に対応することができるこ
とに着目して、簡単な構成によりデポジットによる燃空
比の乱れを防止できる技術を提供することを目的とす
る。
[課題を解決するための手段] 上記問題点を解決するためになされた本発明は、第1
図に示すように、 吸気管壁面への付着燃料量fw、、及び該吸気管内での
蒸発燃料量fvを状態変数として、燃料噴射弁からの燃料
噴射量q、内燃機関の回転速度ω、吸気管壁面付着燃料
の蒸発量Vf、シリンダ内に流入した燃料混合気の燃料と
空気との比を表す燃空比λ、及びシリンダ内に流入する
空気量mに基づき、内燃機関のシリンダ内に流入する燃
料の挙動を、 (但し、kは吸気行程におけるk番目のサイクル、α2
〜α6及びα2aは定数を表す。) なる式にて記述した物理モデルに則って、燃料噴射弁か
らの燃料噴射量qを制御する内燃機関の燃料噴射量制御
装置であって、 内燃機関の運転状態に基づき、内燃機関の回転速度
ω、吸気管壁面付着燃料の蒸発量Vf、シリンダ内に流入
した燃料混合気の燃料と空気との比を表す燃空比λ、及
びシリンダ内に流入する空気量mを求める運転状態検出
手段と、 該運転状態検出手段で求められた蒸発量Vfを回転速度
ωで除算する除算手段と、 上記物理モデルに従って、上記運転状態検出手段で求
められた空燃比λと空気量mとの積λm、上記除算手段
の算出結果Vf/ω、及び上記燃料噴射弁からの燃料噴射
量qに基づき、吸気管壁面への付着燃料量fw及び吸気管
内での蒸発燃料fvを推定する推定手段と、 上記運転状態検出手段で求められた燃空比λと空気量
mとの積λmと、該空気量mと予め設定された目標燃空
比λrとの積λrmとの偏差を求め、該偏差を逐次加算す
る逐次加算手段と、 上記物理モデルに従って設定された、 q(k)=f1・fw(k)+f2・fv(k)+f3・Smλ +f4・λrm(k)+f5・Vf(k)/ω(k)+f6・fw(k−
1) (但し、kは吸気行程におけるk番目のサイクル、f1〜
f6は定数を表す。) なる演算式を使用して、上記除算手段の算出結果Vf/
ω、上記推定手段の推定結果fw,fv、上記運転状態検出
手段で求められた空気量mと目標燃空比λrとの積λr
m、及び上記逐次加算手段の加算結果Smλに基づき、上
記燃料噴射弁からの燃料噴射量qを算出する燃料噴射量
算出手段と、 内燃機関の運転状態が加速又は減速状態であるか否か
を判定する過渡状態判定手段と、 該過渡状態判定手段により内燃機管の運転状態が加速
又は減速状態であると判定されたとき、上記運転状態検
出手段にて検出される燃空比λに基づいて、内燃機関の
所定以上の燃料過剰状態又は燃料稀薄状態を判定する燃
空比状態検出手段と、 該燃空比状態検出手段にて内燃機関が所定以上の燃料
過渡状態又は燃料希薄状態であると判定されると、該燃
料過渡状態又は燃料希薄状態に基づき、上記燃料噴射量
算出用の演算式において1サイクル前の付着燃料量fw
(k−1)に乗算される定数f6を設定する演算定数設定
手段と、 を備えたことを特徴とする。
[作用及び発明の効果] 本発明の燃料噴射量制御装置においては、まず、運転
状態検出手段が、内燃機関の運転状態に基づき、内燃機
関の回転速度ω、吸気管壁面付着燃料の蒸発量Vf、シリ
ンダ内に流入した燃料混合気の燃料と空気との比を表す
燃空比λ、及びシリンダ内に流入する空気量mを求め
る。すると、除算手段が、その求められた蒸発量Vfを回
転速度ωで除算し、推定手段が、上記物理モデルに従っ
て、燃空比λと空気量mとの積λm、除算手段の算出結
果Vf/ω、及び燃料噴射弁からの燃料噴射量qに基づ
き、吸気管壁面への付着燃料量fw及び吸気管内での蒸発
燃料量fvを推定し、逐次加算手段が、燃空比λと空気量
mとの積λmと、空気量mと予め設定された目標燃空比
λrとの積λrmとの偏差を求め、この偏差を逐次加算す
る。そして、燃料噴射量算出手段が、上記物理モデルに
従って設定された上記演算式を使用して、上記除算手段
の算出結果Vf/ω、上記推定手段の推定結果fw,fv、上記
運転状態検出手段で求められた空気量mと目標燃空比λ
rとの積λrm、及び上記逐次加算手段の加算結果Smλに
基づき、燃料噴射弁からの燃料噴射量qを算出する。
すなわち、本発明の燃料噴射量制御装置では、吸気管
壁面への付着燃料量fwと蒸発燃料量fvとを状態変数とし
て内燃機関での燃料挙動を記述する上記物理モデルに基
づき設定された演算式に従って、燃料噴射量qを算出す
ることにより、内燃機関の燃料噴射量qをフィードバッ
ク制御する。
また次に、本発明では、過渡状態判定手段が、内燃機
関の運転状態が加速又は減速状態であるか否かを判定
し、過渡状態判定手段により内燃機関の運転状態が加速
又は減速状態であると判定されると、燃空比状態検出手
段が、運転状態検出手段にて検出される燃空比λに基づ
いて、内燃機関の所定以上の燃料過渡状態又は燃料稀薄
状態を判定する。そして、燃空比状態検出手段にて内燃
機関が所定以上の燃料過渡状態又は燃料希薄状態である
と判定されると、演算定数設定手段が、その燃空比状態
(つまり燃料過剰状態又は燃料希薄状態)に基づき、燃
料噴射量算出用の演算式において1サイクル前の付着燃
料量fw(k−1)に乗算される定数f6を設定する。
つまり、詳細は後述の実施例にて説明するが、本発明
では、付着燃料量fwが、吸気管壁面に付着したデポジッ
トの影響によって変動することに着目し、制御則(つま
り上記演算式)の基となる上記物理モデルに、このデポ
ジットによる変動を外乱項「α2a・fw(k−1)」とし
て付与し、この物理モデルから設定される燃料噴射量算
出用の演算式に、外乱項「α2a・fw(k−1)」に対応
した「f6・fw(k−1)」なる項を設定している。
そして、この物理モデルに則って設定された上記演算
式は、吸気管壁面に付着したデポジットの量が変化する
と内燃機関の実際の動作に対応しなくなり、上記演算式
を用いて燃料噴射量をそのまま制御していると、デポジ
ット量の変化に応じて、内燃機関の過渡運転時等に、燃
空比が目標燃空比からずれる割合が多くなることから、
本発明では、内燃機関の過渡運転時に、燃空比が燃料過
剰状態又は燃料希薄状態になるのを監視し、その燃空比
状態に応じて、上記外乱項に対応した項「f6・fw(k−
1)」の定数f6を設定することにより、空気管壁面に付
着したデポジット量が変化しても、その変化に対応して
最適な燃料噴射量qを求めることができるようにしてい
る。
このため、本発明では、吸気管壁面に付着したデポジ
ットの影響を受ける付着燃料量fwと、その付着燃料量fw
によって変化する蒸発燃料量fvとを状態変数とする上述
の物理モデルに則って設定された演算式に従い燃料噴射
量を制御しているにもかかわらず、吸気管壁面に付着し
たデポジットの影響を受けることなく、燃料噴射量を制
御することができるようになり、燃空比を所望の目標燃
空比に高精度に制御することが可能になる。よって、本
発明によれば、内燃機関の吸気管壁面にデポジットが付
着したり、そのデポジット量が経時的に変化したとして
も、エミッションが悪化するのを防止できる。
また本発明では、デポジット量の変化に対するエミッ
ションの悪化を防止するために、デポジット量に応じて
基本となる物理モデル,延いては、燃料噴射量算出用の
演算式を変更するのではなく、演算式を構成する一つの
定数f6を更新するようにしているので、燃料噴射量を高
精度に制御できるにもかかわらず、燃料噴射量制御のた
めのプログラムを簡素化できる。
[実施例] 以下本発明の一実施例を図面にしたがって説明する。
まず第2図は本発明が適用された内燃機関2及びその
周辺装置の構成を表す概略構成図である。
第2図において、4はエアクリーナ6を介して空気を
吸入する吸気管を表し、この吸気管4には、吸気量を制
御するためのスロットルバルブ8、吸気の脈動を抑える
ためのサージタンク10、その内部の圧力(吸気管圧力)
Pを検出する吸気圧センサ12、及び吸気温度Tiを検出す
る吸気温センサ13が備えられている。
一方14は排気管で、排気中の酸素濃度から内燃機関2
のシリンダ2a内に流入した燃料混合気の燃空比λを検出
するための酸素センサ16や、排気を浄化するための三元
触媒コンバータ18が備えられている。
また当該内燃機関2には、その運転状態を検出するた
めのセンサとして、上記吸気圧センサ12、吸気温センサ
13及び酸素センサ16の他、スロットルバルブ8の開度TA
を検出するスロットルポジションセンサ19、ディストリ
ビュータ20の回転から内燃機関2の回転速度ωを検出す
るための回転速度センサ22、同じくディストリビュータ
20の回転から内燃機関2への燃料噴射タイミングtを検
出するためのクランク角センサ24、及び内燃機関2のウ
ォータジャケットに取り付けられ、冷却水温Tを検出す
る水温センサ26が備えられている。なお、ディストリビ
ュータ20はイグナイタ28からの高電圧を所定の点火タイ
ミングで点火プラグ29に印加するためのものである。
そして上記各センサからの検出信号は、マイクロコン
ピュータを中心とする論理演算回路として構成された電
子制御回路30に出力され、燃料噴射弁32を駆動して燃料
噴射弁32からの燃料噴射量を制御するのに用いられる。
すなわち、電子制御回路30は、予め設定された制御プ
ログラムに従って燃料噴射量制御のための演算処理を実
行するCPU40、CPU40で演算処理を実行するのに必要な制
御プログラムや初期データが予め記録されたROM42、同
じくCPU40で演算処理を実行するのに用いられるデータ
が一時的に読み書きされるRAM44、上記各センサからの
検出信号を入力するための入力ポート46、及びCPU40で
の演算結果に応じて燃料噴射弁32に駆動信号を出力する
ための出力ポート48、等から構成され、内燃機関2のシ
リンダ2a内に流入する燃料混合気の燃空比λが内燃機関
2の運転状態に応じて設定される目標燃空比λrになる
よう燃料噴射弁32からの燃料噴射量qをフィードバック
制御するよう構成されている。
このフィードバック制御に使用される制御系は、次に
説明する物理モデルにより構築されたものであり、この
物理モデルに基づいて第3図に示すブロックダイヤグラ
ムの制御系が構成され、さらに第4図および第5図のフ
ローチャートに示した一連のプログラムの実行により、
離散系として実現される。
まず、基本となる物理モデルについて説明する。
内燃機関2のシリンダ2a内に流入する燃料量fcは、燃
料噴射弁32からの燃料噴射量qと、吸気管4壁面への付
着燃料量fwと、吸気管4内部での蒸発燃料量fvとを用い
て次式(1)のように記述することができる。
fc=α1・q+α2・fw+α3・fv …(1) 即ち上記燃料量fcは、燃料噴射弁32からの噴射燃料の
直接流入量α1・qと、その噴射燃料が付着した吸気管
4からの間接流入量α2・fwと、噴射燃料あるいは壁面
付着燃料の蒸発により吸気管4内部に存在する蒸発燃料
の流入量α3・fvとの総和であると考えられることか
ら、上式(1)のようにシリンダ2a内に流入する燃料量
fcを記述することができるのである。
上式(1)において、燃料噴射量qは燃料噴射弁32の
制御量によって定まるので、吸気管4壁面への付着燃料
量fw及び吸気管4内での蒸発燃料量fvを知ることができ
れば、燃料量fcを予測することができる。
そこで次に上記付着燃料量fw及び蒸発燃料量fvについ
て考える。
まず吸気管4壁面への付着燃料量fwは、吸気行程時の
シリンダ2a内への流入によって、吸気サイクル毎にその
一部α2が減少する他、吸気管4内部への蒸発によって
減少し、吸気サイクルと同期して燃料噴射弁32から噴射
される燃料噴射量qの一部α4が付着することによって
増加する。また吸気行程毎の燃料蒸発量はα6・Vf/ω
として表すことができる。このため吸気管4壁面への付
着燃料量fwは次式(2)に示す如く記述できる。
fw(k+1)=(1−α2)・fw(k)+α4・q(k) −α6・Vf(k)/ω(k) …(2) (但し、k:吸気サイクル) また、付着燃料量fwは、吸気管4壁面に付着したデポ
ジットの影響により、つまり、経時変化に伴いデポジッ
ト量が増加することにより変動する。このデポジットに
よる付着燃料量fwの経時変化に対応する手法は、付着燃
料量fwの過去の時点(k−1)における演算値fw(k−
1)にパラメータα2aを乗算してなる項を外乱項として
上式(2)に加算することにより物理モデルの演算式を
構築し、さらにα2aを可変パラメータと扱うことにより
対処することができ、これを下式(3)にて示す。
fw(k+1)=(1−α2)・fw(k)+α4・q(k) +α6・Vf(k)/ω(k) +α2afw(k−1) …(3) 一方、吸気管4内部での蒸発燃料量fvは、吸気行程時
のシリンダ2a内への流入によって、吸気サイクル毎にそ
の一部α3が減少する他、燃料噴射量qの一部α5蒸発
することによって増加し、更に上記付着燃料の燃料蒸発
によって増加する。このため吸気管4内の蒸発燃料量fv
は次式(4)に示す如く記述できる。
fv(k+1)=(1−α3)・fv(k)+α5・q(k) +α6・Vf(k)/ω(k) …(4) 次に内燃機関2のシリンダ2a内に吸入された燃料量fc
(k)は、排気中の酸素濃度に基づき検出可能な燃空比
λ(k)と、シリンダ2a内に流入した空気量m(k)と
から、次式(5)のように記述できる。
fc(k)=λ(k)・m(k) …(5) したがって上記各式の係数α1〜α6、α2aをシステ
ム同定の手法により決定すれば、内燃機関2の吸気サイ
クルをサンプリング周期として離散系で表現された、吸
気管壁面への付着燃料量と蒸発燃料量とを状態変数とす
る状態方程式(6)及び出力方程式(7)を得ることが
でき、これによって内燃機関での燃料挙動を表す物理モ
デルが定まる。
上記(6)、(7)式において、 とすると、(6)、(7)式は で表すことができる。
上式(15)において右辺に外乱W(k)が加わるもの
とし、このときの変数を添字aで表すと、上式(15)及
び(16)は次式(15)′、(16)′に示すようになる。
また であるとすると、上式(15)及び(16)は次式(1
5)″、(16)″に示すようになる。
上式(15)′,(15)″及び(16)′,(16)″よ
り、 となり、(17)式において外乱Wはステップ状に変化す
るものとし、ΔW(k)=W(k)−W(k−1)=0
であるとすると、(17)及び(18)式より、 となる。
したがって上式(17)′及び(18)′より、線形近似
され、サーボ系に拡大された次式(19)に示す状態方程
式が得られる。
次に上式(19)を次式(20)のようにみなす。
すると、離散形2次形式評価関数は次式(21)のよう
に表現できる。
ここで、重みパラメータメータ行列 を選択して、上記離散形2次形式評価関数Jを最小にす
る入力 は次式(22)で与えられる。
したがって、上式(19)における最適フィードバック
ゲイン は次式(23)のように定まる。
ただし、 は次式(24)に示す離散形リカッチ方程式を満たす正定
対称行列である。
これにより、Δ(qa(k)−qr)は、次式(25)のよ
うに求まる。
次に上式(25)を積分すると、qa(k)−qrは次式
(26)になる。
上記(15)″、(16)″式の状態 で上式(26)の制御を行なうと、 となる。そこで(15)″に上式(27)を代入すると、 となる。したがって となり とし、(26)式に代入すると、 となる。
したがってこの式(35)に前述の(8)及び(9)式
を代入すると、 次に式(36)に基づいて構築された制御系を第3図を
用いて説明する。
同図に示すように、本実施例の制御系では、まず上記
水温センサ26で検出された冷却水温Tは第1演算部P1に
入力される。すると第1演算部P1では、その入力された
冷却水温Tが次式(37)に示す演算式を用いて吸気管4
内での燃料の飽和蒸気圧Psに変換され、さらにその変換
された飽和蒸気圧Psが、次式(38)に示す演算式により
吸気管4の壁面に付着した燃料の蒸発量Vfに変換され
る。
Ps=β1・T2−β2・T+β3 …(37) Vf=β4・Ps …(38) (ただし、β1,β2,β3,β4:定数) また、第1演算部P1にて演算された蒸発量Vfは除算部
P2に入力され、上記回転速度センサ22を用いて検出され
る内燃機関2の回転速度ωによって除算され、そしてそ
の除算結果Vf/ωは係数f5乗算部P3に入力され、予め設
定された係数f5が乗算される。
一方、回転速度センサ22により検出される回転速度ω
は、吸気圧センサ12により検出される吸気管圧力Pや吸
気温センサ13により検出される吸気温Tiと共に第2演算
部P4にも入力される。第2演算部P4は、次式(39)に示
す演算式、つまり、内燃機関2の回転速度ωをパラメー
タとする関数βx(ω)、βy(ω)、吸気管圧力Pお
よび吸気温度Tiとからシリンダ2a内に流入する空気量m
を算出するためのもので、その算出結果は、第1乗算部
P5及び第2乗算部P6に出力される。
m={βx(ω)・P−βy(ω)}/Ti …(39) そして第1乗算部P5では、上記酸素センサ16により検
出されるシリンダ2a内に流入した燃料混合気の燃空比λ
と第2演算部P4で算出された空気量mとが乗算され、こ
れによってシリンダ2a内に実際に流入した燃料量(実燃
料量)λmが算出される。
また第2乗算部P6では、内燃機関2の負荷に応じて設
定される目標燃空比λrと第2演算部P4で算出された空
気量mとが乗算され、これによってシリンダ2a内に流入
すべき燃料量(目標燃料量)λrmが算出される。
そして乗算部P6で算出された目標燃料量λrmは係数f4
乗算部P7に入力され、予め設定された係数f4が乗算さ
れ、また第1乗算部P5及び第2乗算部P6の算出結果は共
に偏差算出部P8に入力され、その偏差m(λ−λr)が
算出される。
そして、その算出結果は逐次加算部P9で加算され、そ
の算出結果には係数f3乗算部P10で予め設定された係数f
3が乗算される。
一方上記第1乗算部P5で算出された実燃料量λm及び
除算部P2の除算結果Vf/ωはオブザーバP11にも出力され
る。オブザーバP11は、予め設定された演算式を用い
て、実燃料量λmと、除算部P2の除算結果Vf/ωと、燃
料噴射弁32からの燃料噴射量qと、前回推定した吸気管
4壁面への付着燃料量w及び吸気管4内での蒸発燃料
量vとから、付着燃料量fwと蒸発燃料量fvとを推定す
るためのものである。
その推定結果w及びvには、夫々、係数f1乗算部
P12及び係数f2乗算部P13で係数f1及びf2が乗算される。
また、上記付着燃料量wは、遅延部P14に入力さ
れ、ここで所定時間遅延された付着燃料量wが出力さ
れる。この遅延した付着燃料量wは係数f6乗算部P15
にて係数f6が乗算される。なお、上記係数f6乗算部P15
は、後述するように燃空比λの燃料稀薄状態の継続時間
または燃料過剰状態の継続時間に応じて変更されるパラ
メータを設定するものである。
そして、上記乗算部P12、P13およびP15からの乗算結
果は、他の乗算部P7、P10、P3での乗算結果と共に、加
算部P16〜P20で加算され、これによって燃料噴射弁32か
らの燃料噴射量qが決定される。
なお、上記オブザーバP11は、上式(36)における吸
気管4壁面への付着燃料量fw及び吸気管4内での蒸発燃
料量fvを直接測定できないため、その値を推定するため
のものである。オブザーバの設計方法としてはゴピナス
の設計法等が知られており、「基礎システム理論」(前
掲書)等に詳しいので、ここでは最小次元オブザーバを
設計するものとし、その設計法について簡単に説明す
る。
まず上記(15)式において、 とおくと、上式(15)は次式(41)にて表される。
上式(41)と上述の(16)式で表現される物理モデル
のオブザーバの一般系は、次式(42)のように定まる。
次に電子制御回路30で実行される燃料噴射量制御を第
4図に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、
以下の説明では現在の処理において扱われる量を添字
(k)で表す。
当該燃料噴射制御装置は内燃機関2の運転開始と共に
起動され、内燃機関2の運転中常時繰り返し実行され
る。本処理が開始されると、まずステップ100を実行し
て、付着燃料量wo、蒸発燃料量vo、燃料噴射量qを
初期設定する。次のステップ110では、実燃料量λmと
目標燃料量λrmとの偏差の積分値Smλを0に設定する。
そして続くステップ120では、上記各センサからの出
力信号に基づき、燃空比λ(k)、吸気管圧力P
(k)、吸気温度Ti(k)、内燃機関2の回転速度ω
(k)、冷却水温T(k)を求め、ステップ130に移行
する。
ステップ130では、上記ステップ120で求めた吸気管圧
力P(k)と、内燃機関2の回転速度ω(k)とに基づ
き、内燃機関2の運転状態に応じた目標燃空比λrを算
出する。なお、このステップ130では、通常、燃料混合
気の空気過剰率が1(すなわち、理論空燃比)となるよ
う目標燃空比λrが設定され、内燃機関2の高負荷運転
時等には燃料を通常より増量して内燃機関2の出力を上
げるため、目標燃空比λrが燃料過剰側に設定され、内
燃機関2の軽負荷運転時等には、燃料を通常より減量し
て燃費を向上するため、目標燃空比λrが燃料稀薄側に
設定される。
ステップ130で目標燃空比λr(k)が設定される
と、今度はステップ140に移行し、上記ステップ120で求
めた吸気管圧力P(k)と吸気温度Ti(k)と内燃期間
2の回転速度ω(k)とに基づき、前述の(39)式に示
した算式またはデータマップを用いてシリンダ2a内に流
入する空気量m(k)を算出する、前記第2演算部P4と
しての処理を実行する。
また続くステップ150では、上記ステップ120で求めた
冷却水温T(k)に基づき、吸気管4の壁面への付着燃
料の蒸発量Vf(k)を求め、その値を内燃機関2の回転
速度ω(k)で除算し、前回の吸気行程から次の吸気行
程迄の間に吸気管4壁面からの燃料の蒸発量Vfw(k)
(すなわち、Vf(k)/ω(k))を算出する、第1演
算部P1及び除算部P2としての処理を実行する。なお、本
実施例では、上述のように(37)式に示した如き演算式
はまたデータマップを用いて吸気管4内での燃料の飽和
蒸気圧Ps(k)を求め、その値Ps(k)を用いて上式
(38)に基づき吸気管4壁面からの燃料蒸発量Vf(k)
を算出するものとしているが、燃料蒸発量Vf(k)は、
正確には吸気管圧力Pによっても変化するので、上記
(37)式に基づき求められる飽和蒸気圧Ps(k)と上記
ステップ120で求めた吸気管圧力P(k)とに基づき燃
料蒸発量Vf(k)を算出するようにしてもよい。
そして続くステップ160では上記ステップ120で求めた
燃空比λ(k)と上記ステップ150で求めた空気量m
(k)とを乗算して、前回の吸気行程時にシリンダ2a内
に流入した実燃料量λm(k)を算出する、第1乗算部
P5としての処理を実行し、ステップ170に移行する。
ステップ170は、上記ステップ160で求めた実燃料量λ
m(k)と、前回の燃料噴射量qと、上記ステップ150
で求めた吸気管4の壁面からの内燃機関1サイクル当た
りの燃料蒸発量Vfw(k)(すなわち、Vf(k)/ω
(k))と、前回求めた付着燃料量wo及び蒸発燃料量
voと、に基づき前記(42)の演算式を用いて付着燃料
量w(k)及び蒸発燃料量v(k)を推定する、オ
ブザーバP11としての処理を実行する。
そして続くステップ180では、上記ステップ130で設定
した目標燃空比λr(k)と上記ステップ140で求めた
空気量m(k)とを乗算して、シリンダ2a内に流入する
目標燃料量λrm(k)を算出する、第2乗算部P6として
の処理を実行した後、ステップ190に移行する。
ステップ190では、付着燃料量fwの経時変化を示すパ
ラメータf6をRAM44内から読み出す。このパラメータf6
の算出は、後述する第5図のフローチャートで示される
処理にて実行される。次のステップ200では、上記ステ
ップ190にて算出されたパラメータf6および前回の処理
で求めた付着燃料量w(k−1)に基づいて付着燃料
量fwの経時変化を代表する項の演算処理を実行する。
ステップ210では、前回求めた実燃料量λmと目標燃
料量λrmとの偏差の積分値Smλと、上記ステップ170で
求めた付着燃料量w(k)及び蒸発燃料量v(k)
と、ステップ180で求めた目標燃料量λrm(k)と、ス
テップ150で求めた燃料蒸発量Vfw(k)(すなわち、Vf
(k)/ω(k))と、ステップ200で求めた演算値f6
w(k−1)とから、前述の(36)式を用いて燃料噴
射量q(k)を算出し、ステップ220に移行する。
そしてステップ220では、上記クランク角センサ24か
らの検出信号に基づき決定される燃料噴射タイミング
で、上記ステップ210で算出された燃料噴射量q(k)
に応じた時間燃料噴射弁32を開弁して実際に燃料噴射を
行なう、燃料噴射制御を実行する。
上記ステップ220で燃料噴射制御が実行され、内燃機
関2への燃料供給が一旦終了すると、次にステップ230
に移行し、上記ステップ160で求めた実燃料量λm
(k)とステップ180で求めた目標燃料量λrm(k)と
の偏差を、前回求めた積分値Smλに加算して積分値Smλ
(k)を求める、逐次加算部P10としての処理を実行
し、ステップ240に移行する。
そして、ステップ240では、次回の処理で用いる付着
燃料量の演算値f6w(k−1)を設定するために、前
回求めた基準値woをw(k−1)に設定し、続くス
テップ250では、次回の処理で付着燃料量w及び蒸発
燃料量vを推定するために用いる付着燃料量及び蒸発
燃料量の基準値wo、voとして、今回上記ステップ17
0で求めた付着燃料量w(k)及び蒸発燃料量v
(k)を設定し、再度ステップ120に移行する。なお、
本実施例では、内燃機関2の回転速度ω、燃空比λ、空
気量m、及び燃料蒸発量Vfを算出するステップ120,140,
150の処理が、本発明の運転状態検出手段に相当し、そ
のうち、ステップ150において、算出した燃料蒸発量Vf
から内燃機関の1サイクル当たりの燃料蒸発量Vfw(す
なわち、Vf(k)/ω(k))を算出する処理が、本発
明の除算手段に相当する。また、付着燃料量fw及び蒸発
燃料量fvを推定するステップ170の処理が推定手段に相
当し、燃料噴射量qの算出のために実行されるステップ
180〜210の処理が、本発明の燃料噴射量算出手段に相当
し、燃空比λと空気量mとの積λmと、空気量mと目標
燃空比λrとの積λrmとの偏差の逐次加算値Smλを求め
るステップ230の処理が、本発明の逐次加算手段に相当
する。
次に第4図のフローチャートのステップ190で読み込
まれるパラメータf6を算出する処理について第5図を用
いて説明する。本処理はイグニッションのオンによる起
動時から所定時間毎に繰り返し処理される。まず、ステ
ップ300にて所定車速以上か否かについて判定される。
これは、適正なパラメータf6の算出処理を定常走行時だ
けに実行し、アイドル状態等を除くためである。次に、
ステップ305にて、スロットル開度TA(j)が読み込ま
れ、続くステップ310では、前回の処理にて読み込まれ
たスロットル開度TA(j−1)との偏差によりスロット
ル開度の変化量ΔTA(j)が算出される。
次のステップ315では、上記ステップ310で算出したス
ロットル開度の変化量ΔTA(j)が所定変化量KTA1以
上か否かが判定され、所定変化量KTA1以上と判定され
た場合、すなわち、所定以上の加速状態であると判定さ
れた場合には、ステップ320へ進み、フラグFLの判定が
行われる。このフラグFLは加速時のパラメータF6Lが設
定されたことを示すフラグであり、最初の処理では初期
化処理により0にリセットされているから、ステップ32
5へ進む。ステップ325では、燃空比λが基準レベルKL
以上にある燃料稀薄状態の継続時間TLの算出が行われ
る。すなわち、第6図の燃空比λおよびスロットル開度
TAについてのタイムチャートに示すように、スロットル
開度TAが全開へ向かった時点t1から燃空比λが稀薄側に
移行し、その値がスパイクス状になるが、このときの燃
空比λが基準レベルKL以上になった時間を求める。な
お、第6図の破線は新車の場合の燃空比変化を示し、実
線で示す耐久車に比べて加減速時における燃空比λの変
動が稀薄側または過剰側へ小さくなっている場合を示し
ている。続くステップ330では、ステップ325にて算出し
た稀薄状態の継続時間TLが所定時間KL以上であるか否
かについての判定が実行され、所定時間KL以下である
と判定されると、一旦処理を終了し、一方、所定時間K
L以上であると判定されると、ステップ335にて第7図に
示す関数f(TL)に基づいてパラメータf6Lが算出さ
れ、そして、この算出結果がステップ340にてRAM44に記
憶される。次のステップ345では、フラグFLが1にセッ
トされ、次のステップ350にてパラメータf6Lがパラメー
タf6にセットされる。これにより第4図の処理のステッ
プ190におけるパラメータf6が設定される。
一方、上記ステップ315にてスロットル開度の変化量
ΔTA(j)が所定変化量KTA1以下と判断された場合に
はステップ360へ進む。ステップ360では、スロットル開
度の変化量ΔTA(j)が所定変化量KTA2(KTA2<KTA
1)以下であるか否かについての判断が実行され、否定
判断の場合、つまり減速状態でないと判断された場合に
は、一旦本処理を終了する。すなわち、ステップ315お
よびステップ360の判断にてスロットル開度の変化量ΔT
A(j)に基づいて内燃機関2の過渡状態でないと判断
された場合には、本処理を終了する。一方、所定変化量
KTA2以下であると判断された場合には、すなわち、所
定以上の減速状態であると判断された場合には、ステッ
プ365へ進む。以下のステップ365ないし395は、上述し
たステップ320ないし350とほぼ同様な処理を実行し前者
が加速時で後者が減速時である点が異なる。すなわち、
まずステップ365にて、フラグFRの判定処理を行う。こ
のフラグFRは減速時のパラメータf6Rが設定されたこと
を示すフラグであり、最初の処理では初期化処理により
0にリセットされているから、ステップ370へ進む。ス
テップ370では、燃空比λが基準レベルKR以上にある燃
料過剰状態の継続時間TRを算出する処理が行われる。
すなわち、第6図において、スロットル開度TA(j)が
全閉へ向かった時点t2から燃空比λが燃料過剰側に移行
し、その値がスパイクス状になるが、このときの燃空比
λが基準レベルKR以上になった時間を求める。
続くステップ375では、ステップ370にて算出した燃料
過剰状態の継続時間TRが所定時間KR以上であるか否か
についての判定が実行され、所定時間KR以下であると
判定されると、一旦処理を終了し、一方、所定時間KR
以上であると判定されると、ステップ380にて第7図に
示す関数f(TR)に基づいてパラメータf6Rが算出さ
れ、そして、この算出結果がステップ385にてRAM44に記
憶される。次のステップ390では、フラグFRに1がセッ
トされ、次のステップ395にてパラメータf6Rがパラメー
タf6に設定される。
一方、ステップ345にてフラグFLが1にセットされた
場合には、以後の繰り返し処理にてステップ320の判断
にてステップ350にジャンプしパラメータf6Rのセットだ
けが実行される。同様にステップ390にてフラグFRが1
にセットされた場合には、ステップ365の判断にてステ
ップ395にジャンプしてパラメータf6Rのセットだけが実
行される。したがって、一旦パラメータf6L、f6Rがセッ
トされた後は、ステップ315および360の判断にて加減速
状態に応じてパラメータf6Lとパラメータf6Rとが切り換
えられてパラメータf6にセットされることになる。
そして、エンジンを停止した後、再始動した場合に
は、初期化処理によりフラグFL、FRが0にリセットさ
れ、新たなパラメータf6L、F6Rの設定が行われることに
なる。
なお、始動時に用いられるパラメータf6L、f6Rには、
前回の処理にて設定された値をバックアップRAMに格納
し、その値を初期値として用い、これを今回の処理で更
新するようにしてもよい。そして、本実施例では、パラ
メータ算出処理において、内燃機関2の加速状態或いは
減速状態を判定するステップ315及びステップ360の処理
が、本発明の過渡状態判定手段に相当し、パラメータf6
の更新のために燃料希薄状態或いは燃料過剰状態を判定
するステップ320〜330及びステップ365〜375の処理が、
本発明の燃空比状態検出手段に相当し、パラメータf6
(f6L,f6R)を算出して記憶するステップ335,340及びス
テップ380,385の処理が、本発明の演算定数設定手段に
相当する。
このように本実施例によれば、付着燃料量と蒸発燃料
量とを状態変数とした上式(6)(7)の物理モデルに
おいて、付着燃料量の過去の演算値にパラメータを乗算
した項を外乱項として加算しており、そして、この外乱
項のパラメータf6を内燃機関2の過渡状態における燃空
比λの状態に応じて変更している。したがって、内燃機
関2の吸気管4の壁面にデポジットが付着して吸気管4
の壁面への付着燃料量が変わっても、外乱項のパラメー
タf6により補正された燃料噴射量が設定されるので、デ
ポジット量の増加に伴うエミッションの乱れを減らすこ
とができる。しかも、燃料の挙動を記述した物理モデル
の変更は、外乱項を加算することにより対処しているの
で、物理モデル自体に大きな改変が必要でなく、構成お
よび演算を簡易にすることができる。
次に第5図に示したパラメータ算出処理の代わりに第
8図のフローチャートで示す処理により実行してもよ
い。まず、最初の処理では、まず、ステップ400にて、
パラメータf6の設定処理を実行した否かを示すフラグF
Dの判定を行う。起動後の最初の処理ではフラグFDが0
にリセットされているからステップ410へ進む。次にス
テップ410および420では、カウンタCをカウントアップ
してその値が所定値CA以上になった場合、すなわち、
内燃機関2が起動して所定の定常運転状態と判断した場
合に、ステップ430へ進む。ステップ430では、スロット
ル開度TA(j)が読み込まれ、続くステップ440では前
回の処理で読み込んだスロットル開度TA(j−1)との
変化量ΔTA(j)が算出される。次のステップ450で
は、この変化量ΔTA(j)が所定変化量KTA3以上か否
かの判定、すなわち、所定以上の加速状態であるか否か
の判断が実行され、肯定判断がされた場合にはステップ
460へ進み、基準レベルKTA3以上の燃料稀薄状態継続時
間TLを算出し、続くステップ470にてその継続時間TL
が所定時間KL以上か否かの判断を行い、肯定判断の場
合には、ステップ480にてパラメータf6が算出される。
その後、ステップ490にてパラメータf6の算出を終えた
ことを示すフラグFDを1にセットして本処理を終了す
る。そして、このフラグFDがセットされたときには、
ステップ400にて肯定判断されるからステップ410以下の
処理を省略できる。
したがって、このような第8図の処理は、パラメータ
f6の算出を起動時に1回だけ行っており、しかも、デポ
ジットによるパラメータf6に与える加減速時の変動がほ
ぼ同じと扱うことができる場合、すなわち、加速時と減
速時とで同じパラメータf6にて代表させることができる
場内に有効であり、これによりプログラムが簡略化でき
るとともに、演算速度も速いという効果もある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による内燃機関の燃料噴射制御装置の一
例を示す構成図、第2図は本発明の一実施例による内燃
機関およびその周辺装置を示す構成図、第3図は同実施
例の物理モデルに従ったブロック図、第4図は同実施例
の燃料噴射制御を示すフローチャート、第5図は同実施
例のパラメータ算出処理を示すフローチャート、第6図
は同実施例の作用を示すタイムチャート、第7図はパラ
メータを設定するためのグラフ、第8図は第5図の変形
例を示すフローチャートである。 2……内燃機関、2a……シリンダ 4……吸気管、8……スロットルバルブ 12……吸気圧センサ、16……酸素センサ 19……スロットルポジションセンサ 22……回転速度センサ、26……水温センサ 30……電子制御装置

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】吸気管壁面への付着燃料量fw、及び該吸気
    管内での蒸発燃料量fvを状態変数として、燃料噴射弁か
    らの燃料噴射量q、内燃機関の回転速度ω、吸気管壁面
    付着燃料の蒸発量Vf、シリンダ内に流入した燃料混合気
    の燃料と空気との比を表す燃空比λ、及びシリンダ内に
    流入する空気量mに基づき、内燃機関のシリンダ内に流
    入する燃料の挙動を、 (但し、kは吸気行程におけるk番目のサイクル、α2
    〜α6及びα2aは定数を表す。) なる式にて記述した物理モデルに則って、燃料噴射弁か
    らの燃料噴射量qを制御する内燃機関の燃料噴射量制御
    装置であって、 内燃機関の運転状態に基づき、内燃機関の回転速度ω、
    吸気管壁面付着燃料の蒸発量Vf、シリンダ内に流入した
    燃料混合気の燃料と空気との比を表す燃空比λ、及びシ
    リンダ内に流入する空気量mを求める運転状態検出手段
    と、 該運転状態検出手段で求められた蒸発量Vfを回転速度ω
    で除算する除算手段と、 上記物理モデルに従って、上記運転状態検出手段で求め
    られた燃空比λと空気量mとの積λm、上記除算手段の
    算出結果Vf/ω、及び上記燃料噴射弁からの燃料噴射量
    qに基づき、吸気管壁面への付着燃料量fw及び吸気管内
    での蒸発燃料fvを推定する推定手段と、 上記運転状態検出手段で求められた燃空比λと空気量m
    との積λmと、該空気量mと予め設定された目標燃空比
    λrとの積λrmとの偏差を求め、該偏差を逐次加算する
    逐次加算手段と、 上記物理モデルに従って設定された、 q(k)=f1・fw(k)+f2・fv(k)+f3・Smλ +f4・λrm(k)+f5・Vf(k)/ω(k)+f6・fw(k−1) (但し、kは吸気行程におけるk番目のサイクル、f1〜
    f6は定数を表す。) なる演算式を使用して、上記除算手段の算出結果Vf/
    ω、上記推定手段の推定結果fw,fv、上記運転状態検出
    手段で求められた空気量mと目標燃空比λrとの積λr
    m、及び上記逐次加算手段の加算結果Smλに基づき、上
    記燃料噴射弁からの燃料噴射量qを算出する燃料噴射量
    算出手段と、 内燃機関の運転状態が加速又は減速状態であるか否かを
    判定する過渡状態判定手段と、 該過渡状態判定手段により内燃機関の運転状態が加速又
    は減速状態であると判定されたとき、上記運転状態検出
    手段にて検出される燃空比λに基づいて、内燃機関の所
    定以上の燃料過剰状態又は燃料稀薄状態を判定する燃空
    比状態検出手段と、 該燃空比状態検出手段にて内燃機関が所定以上の燃料過
    剰状態又は燃料希薄状態であると判定されると、該燃料
    過剰状態又は燃料希薄状態に基づき、上記燃料噴射量算
    出用の演算式において1サイクル前の付着燃料量fw(k
    −1)に乗算される定数f6を設定する演算定数設定手段
    と、 を備えたことを特徴とする内燃機関の燃料噴射量制御装
    置。
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