JP2752448B2 - 電解コンデンサ電極用アルミニウム材料の製造方法 - Google Patents

電解コンデンサ電極用アルミニウム材料の製造方法

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JP2752448B2 JP19007889A JP19007889A JP2752448B2 JP 2752448 B2 JP2752448 B2 JP 2752448B2 JP 19007889 A JP19007889 A JP 19007889A JP 19007889 A JP19007889 A JP 19007889A JP 2752448 B2 JP2752448 B2 JP 2752448B2
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清志 多田
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は電解コンデンサ電極用アルミニウム材料の
製造方法に関する。
従来の技術及び課題 アルミニウム電解コンデンサ用電極材として一般に用
いられるアルミニウム箔には、その実効面積を拡大して
単位面積当りの静電容量を増大するため、一般に電気化
学的あるいは化学的エッチング処理が施される。しか
し、箔を単にエッチング処理するのみでは十分な静電容
量を得られない。
このため、一般的には箔圧延後の最終焼鈍工程におい
て、立方体方位を多く有する集合組織にして箔のエッチ
ング特性を向上させるべく、500℃程度以上の高温加熱
処理が施されているが、昨今の電解コンデンサの高静電
容量化の要求に対して十分な満足を与え得るものではな
かった。
この発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであっ
て、エッチング性能に優れ、ひいては高静電容量を得る
ことのできる電解コンデンサ用アルミニウム材料の提供
を目的とするものである。
課題を解決するための手段 発明者は上記目的を達成するために鋭意研究の結果、
最終焼鈍工程において、高温加熱処理の前に、焼鈍の比
較的初期の段階で所定厚さの酸化皮膜を形成した場合に
は、同時期に存在する箔のセルまたはサブグレインの位
置に対応してエッチングピット形成の核つまりエッチン
グ核となる部分が生じること、及びその後の高温加熱処
理において付与される酸化皮膜ができるだけ薄いことが
必要であることを見出し、この発明を完成しえたもので
ある。
即ち、この発明は、電気化学的あるいは化学的エッチ
ング処理を施す前に、アルミニウム箔の表面に、エッチ
ング核を有する厚さ5〜50Åの酸化皮膜を形成したの
ち、酸化皮膜の合計厚さが70Åを超えない範囲で高温加
熱処理することを特徴とするものである。
上記アルミニウム箔は、純度99.99%の高純度のもの
が望ましいが、これに限定されるものではなく、電解コ
ンデンサ用に使用される範囲内の純度のものであれば良
い。
箔圧延後の焼鈍工程において、アルミニウム箔の表面
に初期に形成される酸化皮膜が5〜50Åに限定されるの
は、この範囲の膜厚を確保することで、箔表面のセルま
たはサブグレインに対応する位置に、皮膜欠陥からなる
エッチング核を有効に形成しうるからである。即ち5Å
未満ではエッチング核を形成できない危険があり、50Å
を超えると一旦形成されたエッチング核が消失する虞れ
がある。特に好ましくは15〜45Åとするのが良い。かか
るエッチング核を有する厚さ5〜50Åの酸化皮膜を形成
せしめる具体的方法としては、例えば箔圧延後のアルミ
ニウム箔を、水分または酸素を含有する大気あるいはAr
雰囲気等で低温加熱する方法を挙げうる。この場合、雰
囲気中の水分(H2O)量は0.01Kg/Kg以上とするのが良
く、水分量が多いほど短時間で所期する膜厚が得られ
る。また低温加熱時の温度が低いと加熱時間が長くなる
ため実際上は40〜180℃程度に設定して行うのが良い。
加熱時間は、膜厚5Å以上を確保するためには1時間程
度以上とするのが良く、例えば4時間程度で約25Åの膜
厚が得られる。かかる低温加熱は1段のみ実施しても良
いが、加熱温度や加熱時間を異にした2段以上の工程で
行っても良い。
厚さ5〜50Åの所期酸化皮膜を形成したのち実施する
高温加熱は、アルミニウム箔の組織を立方体方位を多く
有する集合組織にしてエッチング特性を向上させること
を主目的とするものである。而して、この高温加熱処理
において、所期酸化皮膜上にさらに形成される酸化皮膜
の厚さが厚過ぎると、所期酸化皮膜の欠陥部分からなる
エッチング核が消去され、エッチングの際に十分なエッ
チングピットを形成することができない。このため、高
温加熱処理は初期酸化皮膜を含む酸化皮膜の合計厚さが
70Å以下となる範囲で行う必要がある。好適には50Å以
下に規制するのが良い。酸化皮膜の合計厚さを70Å以下
とするためには水分、酸素を可及的除去した雰囲気で加
熱するのが望ましく、具体的にはArガス等の不活性ガス
中あるいは10-3Torr程度以下の真空中で加熱するのが良
い。また加熱温度は460℃程度以上550℃以下、加熱時間
は1〜24時間程度が望ましい。
上記により製作したアルミニウム材料は、その後電気
化学的あるいは化学的エッチング処理したのち、電解コ
ンデンサ用電極材として使用する。このエッチングによ
り、酸化皮膜に形成されたエッチング核の部分が集中的
に侵食されるとともに、高温加熱処理によりアルミニウ
ム箔の組織自体もエッチング特性に優れた組織となって
いることとも相俟って、深くて太い多数のエッチングピ
ットが形成される。
なおこの発明に用いるアルミニウム箔は、その製造工
程についてはこれを限定するものではなく、圧延工程の
途中において中間焼鈍されたものであっても良い。
また、この明細書において記載する酸化皮膜の膜厚に
関する数値は、後述の実施例の項で説明するハンターホ
ール法による測定値をもって定めるものである。
発明の効果 この発明は上述の次第であるから、エッチング特性に
優れ多数のエッチングピットを形成しえて拡面率に優れ
ひいては静電容量の大きな電解コンデンサ電極材の提供
が可能となる。
実施例 (実施例1) 純度99.99%のアルミニウムからなる厚さ100μmのア
ルミニウム箔を複数枚用意した。なお、各アルミニウム
箔のセルまたはサブグレインの平均サイズは第1表のと
おりであった。
次に上記アルミニウム箔を、H2O量を第1表のように
含有する大気中で、加熱温度及び加熱時間を各種に変え
て低温加熱することにより、箔表面に第1表に示す厚さ
の初期酸化皮膜を形成した。なお酸化皮膜の厚さは以下
の条件に従うハンターホール法により測定した。即ち、 測定液:30g/酒石酸アンモニウム水溶液 液温:30℃ 対極:カーボン 測定極:被測定サンプル 直流電圧印加速度:5V/sec の条件にて被測定サンプルに電圧を印加し、第1図に示
すような電流・電圧特性を測定した。そして、同図に示
す電圧差χを計測し、 膜厚=χ×14Å/V の式にて換算することにより膜厚を測定した。
また加熱終了時におけるアルミニウム箔のセルまたは
サブグレインの平均サイズを調べたところ、第1表に示
すように変化していた。
次に上記各アルミニウム箔につき、10-4Torr真空中で
520℃×1時間の高温加熱処理を実施したのち、箔表面
の酸化皮膜の合計厚さを前記と同じくハンターホール法
により測定したところ、第1表に示すとおりであった。
上記により得た各アルミニウム材料を、3%塩酸水溶
液(85℃)中で電流密度を直流10A/dm2とし、3分間電
解エッチング処理したのち、さらに同じ液で10分間化学
エッチング処理した。そして、その後5%硼酸浴中で35
0Vに化成処理したのち、各材料の静電容量を測定した。
その結果を併せて第1表に示す。
(実施例2) 純度99.99%、セルまたはサブグレインの平均サイズ
が4μmである厚さ100μmの複数のアルミニウム箔を
用い、これらアルミニウム箔を、H2O:0.015Kg/Kgを含む
大気中で100℃×10時間低温加熱し、表面に厚さ32Åの
初期酸化皮膜を形成した。なお、低温加熱後の箔表面の
セルまたはサブグレインの平均サイズは7μmであり、
低温加熱工程を通じて平均サイズが10μm以下に保たれ
ていた。
次に、上記各アルミニウム箔につき、520℃の加熱温
度で加熱時間及び真空度(10-1〜10-5Torr)を変えて高
温加熱した。そして高温加熱後の酸化皮膜の合計厚さを
ハンターホール法により測定したところ第2表のとおり
であった。
次に、上記各アルミニウム材料に実施例1と同一条件
でエッチング処理、化成処理を実施し、得られた材料の
静電容量を測定した。その結果を第2表に示す。
第1表、第2表からわかるように、本発明実施品は、
多数のエッチングピットを形成しえ密度の大きいエッチ
ング状態となっているため、大きな静電容量を確実に得
ることができるものであった。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例で行ったハンターホール法による酸化皮
膜の膜厚の測定方法を説明するための電流・電圧特性図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 多田 清志 大阪府堺市海山町6丁224番地 昭和ア ルミニウム株式会社内 (72)発明者 梅津 正蔵 大阪府堺市海山町6丁224番地 昭和ア ルミニウム株式会社内 (72)発明者 田村 喬 大阪府堺市海山町6丁224番地 昭和ア ルミニウム株式会社内

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電気化学的あるいは化学的エッチング処理
    を施す前に、アルミニウム箔の表面に、エッチング核を
    有する厚さ5〜50Åの酸化皮膜を形成したのち、酸化皮
    膜の合計厚さが70Åを超えない範囲で高温加熱処理する
    ことを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム材
    料の製造方法。
JP19007889A 1989-03-31 1989-07-20 電解コンデンサ電極用アルミニウム材料の製造方法 Expired - Lifetime JP2752448B2 (ja)

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