JP2752151B2 - 一酸化炭素と不飽和化合物とのポリマーの製造方法 - Google Patents

一酸化炭素と不飽和化合物とのポリマーの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、1つ以上のオレフィン性不飽和化合物と一
酸化炭素とのポリマーの製造方法に係わる。
一酸化炭素と1つ以上のオレフィン性不飽和化合物
(簡略して、Aと表記する)との高分子量直鎖状ポリマ
ーは、一方が−(CO)−モノマーユニット、もう一方
が、使用されるモノマーAから生じる−A′−ユニット
の交互の順で存在するようなポリマーである。このポリ
マーは、ポリマー不溶性又はほとんど不溶性である希釈
液中の触媒組成物の溶液とモノマーを接触させることに
よって製造され得る。この触媒組成物は、 (a)パラジウム化合物、 (b)2未満のpKaを有する酸アニオン、 (c)一般式R1R2P−R−PR3R4(式中、R1、R2、R3、R4
は同一又は異なる任意に極性置換されたハイドロカルビ
ル基を表し、Rが少なくとも2個の炭素を橋に含む二価
架橋基を表わす)で表されるジホスフィンとから成る。
重合中に、ポリマーは希釈液中懸濁液の形態で得られ
る。今まで、ポリマーの製造は主にバッチ式で行われ
た。バッチ製造は、希釈液とモノマーを入れた望ましい
温度と圧力に保たれた反応器に触媒を導入することによ
って行われる。重合が進むにつれて、圧力が低下し、希
釈液中のポリマー濃度が増加し、懸濁液の粘度が上昇す
る。一般に、更に処理を続行することが熱除去に関する
障害といった様々な障害をもたらすほど懸濁液の粘度が
高い値に達するまで重合は続けられる。バッチ式ポリマ
ー製造中、重合過程で反応器にモノマーを加えることに
より、温度だけでなく圧力をも任意に一定に保つことが
できる。一般に、反応混合物を室温まで冷却し、圧力を
解除することによって重合を終了する。引き続きポリマ
ー懸濁液を反応器から取り出し、反応器を希釈液を流し
て洗う。
前述のポリマー製造において、反応器汚損が問題にな
る。重合中、形成したポリマーの一部は反応器内壁、そ
らせ板、かくはん機軸、かくはん羽根、冷却・加熱コイ
ル、プランジャ管のような液面下にある反応器部品上に
沈着する。ポリマー懸濁液を反応器から取り除くとき、
沈着したポリマーが反応器内に残り、希釈液を流して反
応器内を洗浄しても取り去ることができない。場合によ
っては、反応器汚損は極めて大規模となり得る。極端な
場合には、反応器汚損は約40%という値まで達し、これ
は製造したポリマーの約60%しか懸濁液の形で反応器か
ら取り出せないことを意味する。そして、約40%分のポ
リマーは反応器部品上の沈着物として残るのである。工
業規模で重合を実施する場合には、この現象が重大な妨
げとなる。
この問題に関する本発明者らの最近の研究では、モノ
マーを触媒溶液に接触させる前に希釈剤中に固形物を懸
濁させることによって、反応器汚損の制御が可能である
ことが明らかになった。懸濁させる固形物の量は式a≧
100×b×c(式中、aは希釈剤1当たりの固形物の
グラム数、bは固形物のメートルで表した平均粒度は、
cはkg/m3で表した固形物のかさ密度を示す)で与えら
れる。
この問題に対し本発明者らが更に研究を進めた中で、
反応器汚損の制御のためのもうひとつの処置が発見され
た。この処置は、単独で用いてもよく、また希釈剤中に
固形物を懸濁させるという前述の処理と組み合わせて使
うこともできる。この新たに発見された処置は、本発明
触媒組成物中の成分(b)としての使用に適したアニオ
ンをもたらすpKa2未満の酸は、その酸を含む触媒組成物
にその酸が与える様々な特性に従って2つの類(便宜的
に以下1類、2類と呼ぶ)に分けられるという事実に基
づいている。
1類は、2未満のpKaを有するすべてのハロゲンモノ
カルボン酸を含む。1類に属する酸の例は、トリフルオ
ロ酢酸である。2類はハロゲンモノカルボン酸以外の2
未満のpKaを有するすべての酸を含む。2類に属する酸
の例はp−トルエンスルホン酸である。
成分(b)として1類に属する酸を含む触媒組成物の
作用と、成分(b)として2類に属する酸を含む対応す
る触媒組成物の作用とを比較した場合、許容可能な分子
量のポリマーの製造に同一の反応温度を用いるとき、前
者の触媒組成物中には少なくともパラジウムのモル当た
り7当量の濃度で酸が含まれる必要があり、一方、後者
の触媒組成物中では、少なくともパラジウムのモル当た
り1当量の酸濃度で目的を達するに十分であることを示
す。発生する反応器汚損の度合いは、上記の濃度で1類
に属する酸を使う場合も、2類に属する酸を使う場合も
同じである。しかし驚くべきことに、パラジウムのモル
当たり6当量未満の濃度で1類に属する酸を使う場合、
パラジウムのモル当たり少なくとも7当量の濃度でこの
酸を使う場合に比べ、発生する反応器汚損が著しく少な
いことが明らかになった。更に、ポリマー濃度がポリマ
ー懸濁液100g当たり少なくとも0.2gの値に達した後で、
1類に属する酸の総濃度がパラジウムのモル当たり少な
くとも7当量となる量で1類に属する酸を添加すること
により、あるいはパラジウムのモル当たり少なくとも1
当量の量で2類に属する酸を添加することにより、酸の
濃度を増加させても反応器汚損の上述のような減少は損
なわれないということが明らかになった。
したがって、本発明はポリマー製造方法に係るもので
あり、本発明方法においては、一酸化炭素と1つ以上の
オレフィン性不飽和化合物との混合物をポリマーが不溶
性あるいはほとんど不溶性である希釈液中の触媒組成物
の溶液と昇温昇圧下で接触させることによって、重合さ
せる。
この触媒組成物は、 (a)パラジウム化合物、 (b)2未満のpKaを有する酸、および、 (c)一般式R1R2P−R−PR3R4(式中、R1〜R4は同一あ
るいは異なる任意に極性置換されたハイドロカルビル基
を示し、Rは少なくとも2個の炭素を橋に含む二価架橋
基を示す)で表されるジホスフィンから成る。本発明方
法において、重合の初期に用いられる触媒組成物は、ハ
ロゲンモノカルボン酸を成分(b)としてパラジウムの
モル当たり6当量未満の濃度で含み、触媒組成物の酸濃
度は、ポリマー濃度がポリマー懸濁液100g当たり少なく
とも0.2gの値に達した後で増加させる。この増加は、ハ
ロゲンモノカルボン酸の総濃度がパラジウムのモル当た
り少なくとも7当量の量でハロゲンモノカルボン酸を添
加することにより、あるいはパラジウムのモル当たり少
なくとも1当量の量でハロゲンモノカルボン酸以外の酸
を加えることにより行う。
本発明方法においては、成分(b)としてハロゲンモ
ノカルボン酸をパラジウムのモル当たり6当量未満の濃
度で含む触媒組成物を重合の初期に用いる。好ましくは
この触媒組成物中のハロゲンモノカルボン酸濃度がパラ
ジウムのモル当たり5当量未満、特にパラジウムのモル
当たり2〜4当量である。触媒組成物中で成分(b)と
して使用するのに適したpKaが2未満の適当なハロゲン
モノカルボン酸の例は、トリフルオロ酢酸、トリクロロ
酢酸、ジフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸である。トリフル
オロ酢酸の使用が好ましい。ポリマー濃度がポリマー懸
濁液100g当たり少なくとも0.2gの値に達した後、触媒組
成物の酸濃度を増加させる。ポリマー濃度がポリマー懸
濁液100g当たり少なくとも0.5gの値に達するまで、触媒
組成物の酸濃度を増加させる状態で放置するのが望まし
い。ハロゲンモノカルボン酸あるいはその他の酸が、触
媒組成物の酸濃度を増加させるために使われ得る。ハロ
ゲンモノカルボン酸が触媒組成物の酸濃度増加のために
選択される場合には、重合の初期に触媒組成物に含まれ
ていたものと同じハロゲンモノカルボン酸を使用するの
が望ましい。添加するハロゲンモノカルボン酸の量は、
ハロゲンモノカルボン酸の総濃度がパラジウムのモル当
たり少なくとも7当量の量となることが必要である。ハ
ロゲンモノカルボン酸を触媒組成物の酸濃度を増加させ
るために使用する場合、その使用量はハロゲンモノカル
ボン酸の総濃度がパラジウムのモル当たり7.5〜30当
量、特にパラジウムのモル当たり10〜25当量であること
が好ましい。本発明方法において、触媒組成物の酸濃度
を増加させるためにpKaが2未満の他の酸も使用しても
よい。この種類の適当な酸の例は、p−トルエンスルホ
ン酸、硫酸、過塩素酸、2−ヒドロキシプロパン−2−
スルホン酸である。この種類の酸が触媒組成物の酸濃度
を増加させるために選択される場合には、p−トルエン
スルホン酸が好ましい。ハロゲンモノカルボン酸以外の
酸を触媒組成物の酸濃度を増加させるために使用する場
合には、この酸をパラジウムのモル当たり少なくとも1
当量の量で加える必要がある。このハロゲンモノカルボ
ン酸以外の酸をパラジウムのモル当たり1.25〜3当量、
特にパラジウムのモル当たり1.5〜2.5当量の量で添加す
ることが好ましい。
本発明方法において、触媒組成物の酸濃度は重合中に
増加する。重合過程の初期段階をより良く管理するに
は、所望により重合中に触媒の濃度を増加してもよい。
この目的のために、パラジウム化合物の総使用量のうち
の一部と、ジホスフィンの総使用量のうちの相対的部分
を、パラジウムのモル当たり6当量未満の量のハロゲン
モノカルボン酸と共に重合初期に反応器に導入してもよ
い。一方、ポリマー濃度がポリマー懸濁液100g当たり少
なくとも0.2gの値に達した後で、パラフィン化合物とジ
ホスフィンの残余分を、所望量のハロゲンモノカルボン
酸もしくは他の酸と共に添加する。
これまで述べたように、本発明方法において、所望に
より反応器汚損の低減のための本発明処置(すなわち、
重合中に触媒組成物の酸濃度を増加させること)は、従
来より知られている反応器汚損の低減のための処置(す
なわち、モノマーを触媒溶液に接触させる前に希釈液中
に固形物を懸濁させること)を組み合わせてもよい。こ
れまでに述べたように、この目的に必要な固形物の量
は、式a≧100×b×cで(式中、aは希釈剤1当た
りの固形物のグラム数、bはメートルで表した固形物の
粒度、cはkg/m3で表した固形物のかさ密度を示す)与
えられる。
触媒組成物中で成分(a)として用いるパラジウム化
合物は、好ましくはカルボン酸のパラシウム塩、特に酢
酸パラジウムである。触媒組成物中の成分(c)として
適当に使用され得る、一般式R1R2P−R−PR3R4で表され
るジホスフィンにおいては、R1,R2,R3,R4基が好ましく
は任意に極性置換されたアリール基であり、特に任意に
極性置換されたフェニル基である。R1,R2,R3,R4基に存
在し得る極性置換基としては、特にアルコキシ基例え
ば、メトキシ基、ジアルキル−アミノ基例えばジメチル
−アミノ基、チオアルキル基例えばチオメチル基が挙げ
られる。触媒組成物中で使用されるジホスフィンは、
R1,R2,R3,R4基の各々が1つ以上の極性置換を含むアリ
ール基であるようなジホスフィンであることが好まし
い。更に、好ましくはアリール基1つ当り、少なくとも
1つのこうした極性置換基が、含有するアリール基と結
合するリン原子に関しオルト位を占めるようなジホスフ
ィンであることが好ましい。最終的には、R1,R2,R3,R4
基が互いに類似しているジホスフィンだけでなく、R1,R
2,R3,R4基に任意に存在し得る極性置換基がアルコキシ
基、特にメトキシ基であるジホスフィンであることが好
ましい。ジホスフィン中に存在する架橋基Rについて
は、3個の原子を橋に含み、そのうち少なくとも2つが
炭素原子である架橋基が好ましい。適当な架橋基Rの例
は、−CH2CH2−CH2−基、−CH2−C(CH3−CH2
基、CH2−Si(CH3−CH2−基である。触媒組成物中
の成分(c)として適当に使用され得るジホスフィン
は、 1,3−ビス[ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ]
プロパン、 1,3−ビス[ジ(2,4−ジメトキシフェニル)ホスフィ
ノ]プロパン、 1,3−ビス[ジ(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィ
ノ]プロパン、 1,3−ビス[ジ(2,4,6−トリメトキシフェニル)ホスフ
ィノ]プロパン、 である。
1,3−ビス[ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィ
ノ]プロパンを成分(c)として含む触媒組成物の使用
が特に好ましい。好ましくは触媒組成物中のジホスフィ
ンは、パラジウムのモル当たり0.5〜2、特にパラジウ
ムのモル当たり0.75〜1.5モルの量で使用する。
本発明触媒組成物の活性を強化するために、1,4−キ
ノンを成分(d)として混入することが好ましい。この
目的のために、1,4−ベンゾキノン、1,4−ナフトキノン
が非常に適していることが分かっている。1,4−キノン
の使用量は、好ましくは10〜1000モル、特に25〜250モ
ルである。
本発明の重合は、ポリマーが不溶性あるいはほとんど
不溶性である希釈液中で行われる。単独希釈液および混
合希釈液の両者が希釈液に適している。単独希釈液の例
は低級脂肪族アルコール例えばメタノールとエタノール
である。混合希釈液の例は、低級脂肪族アルコールと低
級脂肪族ケトンの混合物例えばメタノールとアセトンの
混合物または、メタノールとメチルエチルケトンの混合
物である。本発明の重合では、低級脂肪族アルコール、
特にメタノールが希釈液として好ましい。
本発明に従って一酸化炭素と適当に重合され得るオレ
フィン性不飽和化合物は、炭素と水素だけから成る化合
物か、炭素と水素に加えて1個以上のヘテロ原子を含む
化合物である。本発明方法は、一酸化炭素と1つ以上の
オレフィン性不飽和炭化水素とのポリマーの製造に好ま
しく用いられる。適当な炭化水素モノマーの例として
は、エテン及び他のα−オレフィン類例えばプロペン、
ブテン−1、ヘキセン−1、並びにスチレン及びアルキ
ル置換されたスチレン類例えばp−メチルスチレン、p
−エチルスチレンが挙げられる。本発明方法は特に一酸
化炭素とエテンとのコポリマーの製造、及びエテンと特
にプロパンのようなオレフィン性不飽和炭化水素と一酸
化炭素とのターポリマーの製造に用いるのに適してい
る。ポリマー製造に用いられる触媒組成物の量は広範囲
である。触媒量は、重合されるオレフィン性不飽和化合
物のモル当たり、好ましくはパラジウムの10-7〜10-3
ル、特に10-6〜10-4モルを含むことが好ましい。
ポリマー製造は、40〜120℃の温度、20〜150バールの
圧力で行われるのが好ましいが、特に50〜100℃の温
度、30〜100バールの圧力で行われるのが好ましい。重
合される混合物中の一酸化炭素に対するオレフィン性不
飽和化合物のモル比は、10:1〜1:5が好ましく、特に5:1
〜1:2が好ましい。
本発明を以下の実施例で説明する。
実施例1 一酸化炭素/エテン/プロペンのターポリマーが以下
のように調製された。容積100の撹拌されたオートク
レーブに、メタノール45kgとプロペン3.5kgを満たし
た。オートクレーブの内容物を75℃まで加熱した後、45
バールの圧力になるまで1:1一酸化炭素/エテン混合物
をこの中に吹きこんだ。引き続き、 100mlメタノール、 100mlトルエン、 0.75mmol酢酸パラジウム、 15mmolトリフルオロ酢酸、 0.90mmol 1,3−ビス[ジ(2−メトキシフェニル)ホ
スィノ]プロパン、 から成る触媒溶液をオートクレーブに導入した。
重合中は、1:1一酸化炭素/エテン混合物を導入する
ことにより、45バールに圧力を保った。47時間後、反応
混合物を室温まで冷却し、圧力を解除することによっ
て、重合を終わらせた。ポリマー懸濁液をオートクレー
ブの底にある開口部から抜き出した後、残ったポリマー
を取り除くために、45のメタノールをオートクレーブ
に流して洗った。メタノール懸濁液をまとめ、過し
た。ターポリマーをメタノールで洗浄し、50℃で乾燥し
た。1.88dl/gのLVN(60)、290kg/m3のかさ密度、228℃
の融点を有するターポリマー5.2kgを得た。オートクレ
ーブの内部表面を調べたところ、製造したターポリマー
のかなりの部分が、内壁、そらせ板、かくはん機に沈着
していた。このターポリマーを機械的手段でオートクレ
ーブから取り除き、メタノールで洗浄し、50℃で乾燥し
た。その量は1.5kgだった。こうして、本実験における
反応器汚損の量は次の値となった。
実施例2 続いて、一酸化炭素/エテン/プロペンのターポリマ
ーを、実施例1のターポリマーと同じ方法で製造した。
ただし実施例1とは次の点に相違がある。
(a)100mlメタノール、 100mlトルエン、 0.375mmol酢酸パラジウム 7.5mmolトリフルオロ酢酸、 0.45mmol 1,3−ビス[ジ(2−メトキシフェニル)ホ
スフィノ]プロパン から成る触媒溶液。
(b)反応時間が47時間ではなく、44時間であった。
2.28dl/gのLVN(60)、65kg/m3のかさ密度、230℃の
融点を有するターポリマー4.5kgから成るポリマー懸濁
液を得た。0.7kgのターポリマーがオートクレーブ内に
残留した。この場合、反応器汚損は13.5%となった。
実施例3 続いて、一酸化炭素/エテン/プロペンのターポリマ
ーを実施例1のターポリマーと同じ方法で製造した。た
だし実施例1とは次の点に相違がある。
(a)15mmolではなく、3mmolのトリフルオロ酢酸から
成る触媒溶液。
(b)ポリマー濃度がポリマー懸濁液100g当り、0.7gの
値に達した瞬間に、50mlのメタノール中トリフルオロ酢
酸12mmolの溶液をオートクレーブに加えた。
(c)反応時間は、47時間ではなく、26時間だった。
2.22dl/gのLVN(60)、226℃の融点を有するターポリ
マー2.4kgから成るポリマー懸濁液を得た。100gのター
ポリマーがオートクレーブ内に残留した。この場合、反
応器汚損は4%となった。
実施例4 続いて、一酸化炭素/エテン/プロペンのターポリマ
ーを実施例2のターポリマーと同じ方法で製造した。た
だし実施例2とは次の点に相違がある。
(a)7.5mmolではなく、0.75mmolのトリフルオロ酢酸
から成る触媒溶液。
(b)ポリマー濃度がポリマー懸濁液100g当り、0.8gの
値に達した瞬間に、50mlのメタノール中トリフルオロ酢
酸6.75mmol溶液をオートクレーブに加えた。
(c)反応時間は、44時間ではなく、47時間だった。
2.04dl/gのLVN(60)、230℃の融点を有するターポリ
マー5.5kgから成るポリマー懸濁液を得た。50gのターポ
リマーがオートクレーブ内に残留した。この場合、反応
器汚損は0.9%となった。
実施例5 続いて、一酸化炭素/エテン/プロペンのターポリマ
ーを実施例1のターポリマーと同じ方法で製造した。た
だし実施例1とは次の点に相違がある。
(a)100mlメタノール、 100mlトルエン、 0.188mmol酢酸パラジウム 0.375mmolトリフルオロ酢酸、 0.225mmol 1,3−ビス[ジ(2−メトキシフェニル)
ホスフィノ]プロパンから成る触媒溶液。
(b)ポリマー濃度がポリマー懸濁液100g当り0.6gの値
に達した瞬間に、 100mlメタノール、 100mlトルエン、 0.562mmol酢酸パラジウム、 14.625mmolトリフルオロ酢酸、 0.675mmolの1,3−ビス[ジ(2−メトキシフェニル)
ホスフィノ]プロパンから成る触媒溶液をオートクレー
ブに加えた。
(c)反応時間は、47時間ではなく、22時間だった。
2.03dl/gのLVN(60)、220℃の融点を有するターポリ
マー3.6kgから成るポリマー懸濁液を得た。80gのターポ
リマーがオートクレーブ内に残留した。この場合、反応
器汚損は2.2%となった。
実施例6 続いて、一酸化炭素/エテン/プロペンのターポリマ
ーを、実施例1のターポリマーと同じ方法で製造した。
ただし実施例1とは次の点に相違がある。
(a)更に、一酸化炭素/エテン/プロペンのターポリ
マー50gをオートクレーブ内に懸濁した。
(b)15mmolではなく、3mmolのトリフルオロ酢酸から
成る触媒溶液。
(c)ポリマー濃度がポリマー懸濁液100g当り0.3gの値
に達した瞬間に、50mlのメタノール中トリフルオロ酢酸
12mmolの溶液をオートクレーブに加えた。
(d)反応時間は、47時間ではなく、30時間だった。
懸濁するターポリマーは、2.1dl/gのLVN(60)、10-4
mの平均粒度、50kg/m3のかさ密度、229℃の融点を有し
ていた。
ターポリマー8.2kgから成るポリマー懸濁液が得られ
た。50kgのターポリマーがオートクレーブ内に残留し
た。この場合、反応器汚損は0.7%となった。
実施例1〜6のうち、実施例3〜6が本発明に基づく
ものである。これらの実施例では、エテンとプロペンと
一酸化炭素のターポリマーは、トリフルオロ酢酸を成分
(b)として含む触媒組成物を用いて製造したが、この
触媒組成物の酸/パラジウムの比は重合中に増加した。
実施例5では、触媒濃度も重合中に増加した。実施例6
では、モノマーが触媒溶液と接触する前に、式a≧100
×b×cを満足する量の固形物を希釈剤中に懸濁させ
た。実施例1と2は、本発明の範囲外である。これらは
比較のために本発明に含まれている。
製造したポリマーの分子量について、以下のことが観
察され得る。ポリマー平均分子量が高いほど、そのポリ
マーの固有粘度も一般に高いものである。本発明ポリマ
ーの固有粘度を測定するために、まず最初に、4つの異
なった濃度でポリマーをメタクレゾール中に溶解して、
4種の溶液を調製した。それから、60℃のメタクレゾー
ルの粘度と比較した60℃でのこれらの溶液の粘度を粘度
計で計測する。T0をメタクレゾールの流出時間、Tpをポ
リマー溶液の流出時間とするとき、相対粘度(ηrel
は、 で決定される。
固有粘度(ηinh)は、次の式によって、ηrelから算
出される。
式中で、cは溶液100ml当りのグラム数で表したポリ
マー濃度を示す。
対応する濃度(c)に対する4つのポリマー溶液の各
々について得られたηinhをプロットし、c=0まで外
挿することから、dl/gとしての固有濃度(η)が得られ
る。そして、本発明の実施例では、これを「固有濃度」
と呼ばずに、IUPACが推奨する呼称によって「極限粘度
数」(LVN)と呼んだ。一般に、本発明方法では、約1
〜5の範囲のLVN(60)を有するポリマーを製造する。
前記LVNは約15,000〜150,000の平均分子量に対応する。
13C−NMR分析によって、実施例1〜6に従って製造し
た一酸化炭素/エテン/プロペンのターポリマーが、鎖
状構造を有し、式−(CO)−(C2H4)−ユニットと式−
(CO)−(C3H6)−ユニットから構成され、これらのユ
ニットがターポリマーの中にランダムに分布しているこ
とが明らかになった。

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一酸化炭素と1つ以上のオレフィン性不飽
    和化合物との混合物を昇温昇圧下、ポリマーが不溶性又
    は実質的に不溶性である希釈液中の触媒組成物の溶液と
    接触させることによりこの混合物を重合させ、および前
    記触媒組成物が、 (a)パラジウム化合物、 (b)2未満のpKaを有する酸、および、 (c)一般式R1R2P−R−PR3R4(式中、R1〜R4は同一あ
    るいは異なる任意に極性置換されたハイドロカルビル基
    を示し、Rが少なくとも2個の炭素を橋に含む二価架橋
    基である)のジホスフィンを主成分とするポリマーの製
    造方法であって、 重合の初期に用いられる触媒組成物が、パラジウムのモ
    ル当たり6当量未満の濃度のハロゲンモノカルボン酸を
    成分(b)として含み、そしてポリマー濃度がポリマー
    懸濁液100g当たり少なくとも0.2gの値に達した後で触媒
    組成物の酸濃度を増加させ、この増加は、ハロゲンモノ
    カルボン酸の総濃度が少なくともパラジウムのモル当た
    り7当量となるまでハロゲンモノカルボン酸を添加する
    ことにより、またパラジウムのモル当たり少なくとも1
    当量の量のハロゲンモノカルボン酸以外の酸を添加する
    ことによって行うことを特徴とする、前記ポリマーの製
    造方法。
  2. 【請求項2】重合の初期に使用する触媒組成物がハロゲ
    ンモノカルボン酸としてトリフルオロ酢酸を含むことを
    特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】ポリマー濃度がポリマー懸濁液100g当たり
    少なくとも0.5gの値に達した後で触媒組成物の酸濃度を
    増加させることを特徴とする請求項1又は2に記載の方
    法。
  4. 【請求項4】ハロゲンモノカルボン酸総濃度がパラジウ
    ムのモル当たり7.5〜30当量となる量までハロゲンモノ
    カルボン酸を添加することによって触媒組成物の酸濃度
    を増加させることを特徴とする請求項1〜3の1項以上
    に記載の方法。
  5. 【請求項5】パラジウムのモル当たり1.25〜3当量の量
    でハロゲンモノカルボン酸以外の酸を添加することによ
    って触媒組成物の酸濃度を増加させることを特徴とする
    請求項1〜3の1項以上に記載の方法。
  6. 【請求項6】p−トルエンスルホン酸を添加することに
    よって触媒組成物の酸濃度を増加させることを特徴とす
    る請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】パラジウム化合物の総使用量の一部と、ジ
    ホスフィンの総使用量の相対的部分を、パラジウムのモ
    ル当たり6当量未満の量のハロゲンモノカルボン酸と共
    に重合の初期に反応器に導入し、一方、ポリマー濃度が
    ポリマー懸濁液100g当たり少なくとも0.2gの値に達した
    後で、パラジウム化合物とジホスフィンの残余分を、必
    要量のハロゲンモノカルボン酸又は他の酸と共に添加す
    ることを特徴とする請求項1〜6の1項以上に記載の方
    法。
  8. 【請求項8】式a≧100×b×c(式中、aは希釈剤1
    当たりの固形物のグラム数、bは固形物のメートルで
    表した平均粒度は、cはkg/m3で表した固形物のかさ密
    度を示す)で与えられる量の固形物を、モノマーを触媒
    溶液に接触させる前に希釈剤中に懸濁させることを特徴
    とする請求項1〜7の1項以上に記載の方法。
  9. 【請求項9】温度50〜100℃、圧力30〜100バール、重合
    される混合物中の一酸化炭素に対するオレフィン性不飽
    和化合物のモル比が5:1〜1:2で行い、重合されるオレフ
    ィン性不飽和化合物1モル当たり10-6〜10-4モルのパラ
    ジウムを含む量の触媒組成物を使用することを特徴とす
    る請求項1〜8の1項以上に記載の方法。
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