JP2750856B2 - 半導体装置 - Google Patents
半導体装置Info
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Description
【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野]
本発明は、半導体装置に関し、MBE(分子線エピタキ
シ)法やMO-MBE(有機金属を用いた分子線エピタキシ)
法によりエピタキシャル層を形成して製造される半導体
装置に関するものである。 [従来の技術] 近年、化合物半導体を用いた半導体装置の発展は目覚
ましく、特に、GaAsを用いた集積回路やAlGaAs/GaAs系
のHEMT(高電子移動度トランジスタ)およびInGaAsP/In
P系の半導体レーザなどが既に実用化され、その重要性
はますます大きくなっている。特に、ヘテロ接合を用い
たデバイスの結晶成長技術においては、MBE法等を用い
て、厚さ10Å以下の単分子層オーダまでの極めて薄いエ
ピタキシャル層を大面積にわたって制御することが可能
となっている。また、半導体の材料面では、AlGaAs/GaA
s系およびInGaAsP/InP系は既に実用域に達しており、各
種デバイスの基本的な性能改善のため他の材料系の研究
開発が活発化している。その代表的なものは、GaAsに格
子整合したAlGaInP系材料とInPに格子整合したAlGaInAs
系材料である。AlGaInP系材料はダブルヘテロ構造の半
導体レーザとしては最短波長の600nm帯発振が可能な材
料系である。また、AlGaInAs系材料は、電子移動度がGa
Asより高いと期待されるGaInAsをチャネル層とし、AlIn
Asをキャリア供給層としたHEMTへの応用や、GaInAsを活
性層とする長波長レーザ材料として重要な材料系であ
る。 [発明が解決しようとする問題点] AlGaInP系およびAlGaInAs系材料を用いたヘテロ構造
を有するデバイスは、MBE法やMO-MBE法等の真空中のエ
ピタキシャル成長法を用いて製作できる。これらの材料
を用いて結晶層を形成する場合、これらの材料系はいず
れもAlとInを同時に含んでいるため、AlGaAs系材料など
と比較して一般に高品質の結晶を得ることは容易でな
い。その理由として次の2点が挙げられる。まず、第1
の理由として (1) 化合物半導体結晶の成長工程で、成長温度を高
温に設定できないので不純物の取込みや結晶欠陥などが
生じる。 通常、化学的に活性なAlを含む化合物半導体結晶の成
長においては雰囲気中の酸素、水分、炭化水素などの汚
染物質に起因する不純物の取込みや結晶欠陥の生成を低
減するために、600〜700℃程度以上の高い温度で結晶の
成長を行なう。ところが、Inは蒸気圧がAlやGaに比べて
高いためInを含む化合物では550℃程度以上で熱分解が
始まり、Inが再蒸発してしまう。そしてInの再蒸発によ
る結晶のわずかな組成ずれでも格子不整合率が10-3以上
の大きな格子不整合が生じる。したがって、AlとInを同
時に含む場合、550℃程度以下の比較的低い温度でしか
成長できないため結晶性が劣ることになる。Inの再蒸発
を防止するには、Inの原料を十分に供給し飽和雰囲気状
態にすればよい。しかし、MBE法やMO-MBE法では高真空
条件を維持するために原料を十分に供給することはでき
ない。 (2) Al原子とIn原子のマイグレーション長の差に起
因して結晶面が粗面化する。 AlはInに比べて化学的に活性であり、成長結晶表面に
おけるAl原子の平均マイグレーション長は短いため、結
晶表面に飛来したAl原子は十分にマイグレーションせず
平衡置換格子位置に入りにくい。またAl原子の平均マイ
グレーション長はInの平均マイグレーション長と比べて
相対的に短い。このために成長結晶表面でAlとInが異な
る挙動を示し、特にMBE法のような単分子オーダの二次
元的な成長機構による成長法においてはAlのみが三次元
的に成長し、そのためにInの成長過程が阻害される。し
たがって成長結晶の表面が粗面化しやすくなる。 もし、結晶の成長温度を高くできれば、Al原子のマイ
グレーション長は長くなり、Inのマイグレーション長は
Inが高温化により再蒸発する場合には実効的に短くな
る。したがって両者の実効的なマイグレーション長の差
が小さくなり、粗面化を抑制することができる。しかし
ながら高温成長は前記(1)項のような問題点がある。 したがって本発明は、InとAlを含む化合物半導体エピ
タキシャル結晶層が高品質で、特性の優れた半導体装置
を提供することを目的とする。 [問題点を解決するための手段] 本発明による半導体装置は、半導体基板上にInとAlの
両方を含む化合物半導体層が真空エピタキシャル成長さ
れてなる半導体装置であって、半導体基板においては、
結晶成長面方位が結晶面の主面の面方位から所定の傾斜
角だけ傾いて形成されることによって半導体基板表面に
単分子層の階段状テラスが形成されており、その所定の
傾斜角は、真空エピタキシャル成長の過程においてIn原
子とAl原子とがテラスの段差部に同等の確率で到達して
固着されるような同等の実効マイグレーション長を有す
るように2°から10°の範囲内にあることを特徴として
いる。 [作用] 本発明における半導体装置は、半導体基板の面方位を
結晶面の主面の面方位から傾けることにより、基板結晶
表面に単分子層のテラスを形成している。このテラス構
造により、Inの実効的なマイグレーション長をテラスの
幅で制限して短くし、Alのマイグレーション長との差を
小さくすることができる。これによって、InとAlがテラ
スの段差部で確率的に等価な条件で平衡置換格子位置に
取り込まれ固着されて結晶成長する。 [実施例] 以下、本発明における一実施例を図を用いて説明す
る。本発明においては、基板の面方位を結晶面の主面か
ら傾けて基板の表面上にテラス構造を設けたことを特徴
としている。したがって、以下ではまず基板の面方位と
テラス構造との関係について説明し、その後テラス構造
が結晶性の改善に及ぼす効果を実施例をもって示し、最
後に本発明により作製した半導体レーザの実施例につい
て説明する。 第1図は、面方位を傾けた基板結晶の表面形状の断面
を模式的に示した図である。(100)面を主面として面
方位を傾けて形成したGaAs基板1の場合、基板結晶表面
には階段状のテラス構造が形成される。テラス構造はテ
ラスの段差部2の高さが単分子層厚さ2.83Åに相当し、
テラスの平坦部3の幅が平均幅Lをもってほぼ規則的に
形成される。また同時に、テラス構造の段差部2の側面
にはキクサイト4がほぼ規則的に形成される。結晶成長
工程において、テラス構造を有する基板1表面上では、
基板1上に飛来した原子はテラス構造の平坦部3を最大
Lだけマイグレーションすればキンクサイト4に固着さ
れて結晶化する。すなわちテラス構造を有する基板1面
上での飛来原子の実効的マイグレーション長は、テラス
構造の平坦部長さLによって制御され得る。InとAlと含
む化合物半導体層のエピタキシャル結晶成長工程では、
マイグレーション長の短いAl原子5を基準としてテラス
構造の平坦部長さLを設定すればよい。そしてAl原子5
とIn原子6がテラス上で段差部2に至って固着されるま
でのマイグレーション長を実効的に等価な長さとし、両
原子とも同等の確率で有効にキンクサイト4に取り込ま
れて固着されることにより結晶層が層状成長する。 ここでテラス構造の平坦部長さLの制御方法について
説明する。第2図は、GaAs基板の(100)面を主面とし
た場合の(100)面からの面方位のオフ角度αと、オフ
方向でのテラス構造の平坦部長さLの関係を示してい
る。本図によれば、GaAs基板ではオフ角度αを2°から
10°の範囲で変化させれば、テラス構造の平坦部長さL
は約90Åから16Åの間で変化させることができる。第1
図で示したように、飛来した原子はテラス構造の平坦部
表面を移動してキンクサイト4に取り込まれるので、原
子のマイグレーション長もまたほぼ90Åから16Åの間に
制御される。通常AlGaInPやAlGaInAs結晶面上でのInとA
l原子のマイグレーション長は明確でないが、たとえ
ば、500℃程度の成長温度ではAlが数十Å、Inが数百Å
である。したがってInおよびAl原子の実効マイグレーシ
ョン長を仮に16Å程度に制御するためには、テラス構造
の平坦部長さLを16Åに設定する。すなわち第2図によ
って、基板の面方位のオフ角度αを10°に設定すればよ
い。実際はAlとInの実効マイグレーション長を設定する
場合には、テラス構造の段差部に平行な方向に移動する
原子の存在や、飛来した原子とキンクサイト4との距離
を統計的に扱って算出する必要がある。たとえば、AlGa
InP層の成長時にGaAs基板の面方位を(100)面から4°
傾けて平坦部長さL=40Åのテラス構造を形成した場
合、InおよびGaの等価的実効マイグレーション長は54Å
程度に制限された。そして、ほとんどのInおよびGa原子
がテラスのキンクサイトに組込まれ、またAl原子につい
ても高い確率でキンクサイトに組込まれた。そのため、
結晶成長モードは二次元的なものが支配的となり、粗面
化が起こらず良質の結晶が得られた。 次に、本発明におけるテラス構造と結晶成長温度との
関係について説明する。一般に、結晶成長温度が高くな
るほど原子のマイグレーション長は長くなるのでテラス
構造の平坦部長さLも長くとれる。したがって第2図の
関係より、基板の面方へのオフ角度αも小さくてよい。
このことを検証するために、実際に異なるオフ角度を有
する(100)面を主面としたGaAs基板(Si=1×1018cm
-3ドープ)上に、Al0.5In0.5P層(厚さ2μm、Si=5
×1017cm-3ドープ)をMBE法によりエピタキシャル成長
させ、その成長層の結晶性をフォトルミネセンス強度を
測定して評価した。フォトルミネセンス強度の測定値は
結晶性が良い場合には大きくなる。測定にあたって、測
定に用いたP(リン)ソースは固体ソースから得られる
P4を900℃の高温ステージで熱分解してP2の形で用い
た。また、フォトルミネセンスはHe-Cdレーザの波長325
nm発振光を300μmφに集光したレーザ光を用いて約5W/
cm2の励起強度で室温状態で測定した。第3図に測定結
果を示している。本図には結晶の成長温度が500℃と460
℃の場合で、種々のオフ角度に対するフォトルミネセン
ス強度の測定値が示されている。成長温度が500℃では
オフ角度が2〜10°の範囲でフォトルミネセンス強度が
大きくなるが、460℃では、約6°以上のオフ角度が必
要となることがわかる。この結果から、結晶成長温度は
Inの再蒸発が始まる550℃付近に近づけるほど良好な結
晶を得るに必要なオフ角度が小さくなる。 最後に、本発明によるテラス構造を用いて結晶成長さ
せて作製したダブルヘテロ接合構造の半導体レーザを第
4図に示す。本半導体レーザは(100)面から(111)A
面に向って4°傾けてテラス構造を形成したn−GaAs基
板(Si=1018cm-3ドープ)7上に、n−GaInPバッファ
層(層厚0.5μm、Si=1018cm-3ドープ)8、n−AlInP
クラッド層(層厚1μm、Si=1018cm-3ドープ)9、ノ
ンドープのGaInP活性層(層厚0.08μm)10、p−AlInP
クラッド層(層厚1μm、Be=5×1017cm-3)11、p−
GaInPキャップ層(層厚0.1μm、Be=5×1018cm-3)12
を温度500℃で連続的にMBE成長させて形成する。その
後、n側にAuGe-Ni層13、p側にAuZn層14を蒸着アロイ
してオーミック電極を形成した。以上の工程により、共
振器長250μm、幅約100μmの全面電極素子を製作した
ところ、しきい値電流密度1KA/cm2で波長約660nmのレー
ザ発振を得た。比較のために、オフ角度のない(100)
面を主面とするGaAs基板を用いていることのみが本実施
例と異なる半導体レーザを作製し実験したところ、発振
に必要なしきい値電流密度は3KA/cm2以上であり、本発
明により半導体レーザのしきい値電流が大幅に低減でき
ることが判明した。 以上、本発明の実施例としてAlInPを用いた半導体レ
ーザについて説明したが、本発明はInとAlを含む化合物
半導体の結晶成長に一般的に効果があり、GaAs基板上の
AlGaInP層や、さらにInPに格子整合したAlInGaAs層およ
びAlInAs層が形成される半導体装置に広く適用できる。
したがってAlGaInP系の可視半導体レーザ、AlGaInAs系
の長波長レーザ、光検出器、光変調器、トランジスタな
どの半導体装置に適用できる。 [発明の効果] 以上のように、本発明によれば、AlとInを含む化合物
半導体のエピタキシャル層を高品質の結晶層で形成した
ので、しきい値電流が小さい高効率の半導体装置を得る
ことができる。
シ)法やMO-MBE(有機金属を用いた分子線エピタキシ)
法によりエピタキシャル層を形成して製造される半導体
装置に関するものである。 [従来の技術] 近年、化合物半導体を用いた半導体装置の発展は目覚
ましく、特に、GaAsを用いた集積回路やAlGaAs/GaAs系
のHEMT(高電子移動度トランジスタ)およびInGaAsP/In
P系の半導体レーザなどが既に実用化され、その重要性
はますます大きくなっている。特に、ヘテロ接合を用い
たデバイスの結晶成長技術においては、MBE法等を用い
て、厚さ10Å以下の単分子層オーダまでの極めて薄いエ
ピタキシャル層を大面積にわたって制御することが可能
となっている。また、半導体の材料面では、AlGaAs/GaA
s系およびInGaAsP/InP系は既に実用域に達しており、各
種デバイスの基本的な性能改善のため他の材料系の研究
開発が活発化している。その代表的なものは、GaAsに格
子整合したAlGaInP系材料とInPに格子整合したAlGaInAs
系材料である。AlGaInP系材料はダブルヘテロ構造の半
導体レーザとしては最短波長の600nm帯発振が可能な材
料系である。また、AlGaInAs系材料は、電子移動度がGa
Asより高いと期待されるGaInAsをチャネル層とし、AlIn
Asをキャリア供給層としたHEMTへの応用や、GaInAsを活
性層とする長波長レーザ材料として重要な材料系であ
る。 [発明が解決しようとする問題点] AlGaInP系およびAlGaInAs系材料を用いたヘテロ構造
を有するデバイスは、MBE法やMO-MBE法等の真空中のエ
ピタキシャル成長法を用いて製作できる。これらの材料
を用いて結晶層を形成する場合、これらの材料系はいず
れもAlとInを同時に含んでいるため、AlGaAs系材料など
と比較して一般に高品質の結晶を得ることは容易でな
い。その理由として次の2点が挙げられる。まず、第1
の理由として (1) 化合物半導体結晶の成長工程で、成長温度を高
温に設定できないので不純物の取込みや結晶欠陥などが
生じる。 通常、化学的に活性なAlを含む化合物半導体結晶の成
長においては雰囲気中の酸素、水分、炭化水素などの汚
染物質に起因する不純物の取込みや結晶欠陥の生成を低
減するために、600〜700℃程度以上の高い温度で結晶の
成長を行なう。ところが、Inは蒸気圧がAlやGaに比べて
高いためInを含む化合物では550℃程度以上で熱分解が
始まり、Inが再蒸発してしまう。そしてInの再蒸発によ
る結晶のわずかな組成ずれでも格子不整合率が10-3以上
の大きな格子不整合が生じる。したがって、AlとInを同
時に含む場合、550℃程度以下の比較的低い温度でしか
成長できないため結晶性が劣ることになる。Inの再蒸発
を防止するには、Inの原料を十分に供給し飽和雰囲気状
態にすればよい。しかし、MBE法やMO-MBE法では高真空
条件を維持するために原料を十分に供給することはでき
ない。 (2) Al原子とIn原子のマイグレーション長の差に起
因して結晶面が粗面化する。 AlはInに比べて化学的に活性であり、成長結晶表面に
おけるAl原子の平均マイグレーション長は短いため、結
晶表面に飛来したAl原子は十分にマイグレーションせず
平衡置換格子位置に入りにくい。またAl原子の平均マイ
グレーション長はInの平均マイグレーション長と比べて
相対的に短い。このために成長結晶表面でAlとInが異な
る挙動を示し、特にMBE法のような単分子オーダの二次
元的な成長機構による成長法においてはAlのみが三次元
的に成長し、そのためにInの成長過程が阻害される。し
たがって成長結晶の表面が粗面化しやすくなる。 もし、結晶の成長温度を高くできれば、Al原子のマイ
グレーション長は長くなり、Inのマイグレーション長は
Inが高温化により再蒸発する場合には実効的に短くな
る。したがって両者の実効的なマイグレーション長の差
が小さくなり、粗面化を抑制することができる。しかし
ながら高温成長は前記(1)項のような問題点がある。 したがって本発明は、InとAlを含む化合物半導体エピ
タキシャル結晶層が高品質で、特性の優れた半導体装置
を提供することを目的とする。 [問題点を解決するための手段] 本発明による半導体装置は、半導体基板上にInとAlの
両方を含む化合物半導体層が真空エピタキシャル成長さ
れてなる半導体装置であって、半導体基板においては、
結晶成長面方位が結晶面の主面の面方位から所定の傾斜
角だけ傾いて形成されることによって半導体基板表面に
単分子層の階段状テラスが形成されており、その所定の
傾斜角は、真空エピタキシャル成長の過程においてIn原
子とAl原子とがテラスの段差部に同等の確率で到達して
固着されるような同等の実効マイグレーション長を有す
るように2°から10°の範囲内にあることを特徴として
いる。 [作用] 本発明における半導体装置は、半導体基板の面方位を
結晶面の主面の面方位から傾けることにより、基板結晶
表面に単分子層のテラスを形成している。このテラス構
造により、Inの実効的なマイグレーション長をテラスの
幅で制限して短くし、Alのマイグレーション長との差を
小さくすることができる。これによって、InとAlがテラ
スの段差部で確率的に等価な条件で平衡置換格子位置に
取り込まれ固着されて結晶成長する。 [実施例] 以下、本発明における一実施例を図を用いて説明す
る。本発明においては、基板の面方位を結晶面の主面か
ら傾けて基板の表面上にテラス構造を設けたことを特徴
としている。したがって、以下ではまず基板の面方位と
テラス構造との関係について説明し、その後テラス構造
が結晶性の改善に及ぼす効果を実施例をもって示し、最
後に本発明により作製した半導体レーザの実施例につい
て説明する。 第1図は、面方位を傾けた基板結晶の表面形状の断面
を模式的に示した図である。(100)面を主面として面
方位を傾けて形成したGaAs基板1の場合、基板結晶表面
には階段状のテラス構造が形成される。テラス構造はテ
ラスの段差部2の高さが単分子層厚さ2.83Åに相当し、
テラスの平坦部3の幅が平均幅Lをもってほぼ規則的に
形成される。また同時に、テラス構造の段差部2の側面
にはキクサイト4がほぼ規則的に形成される。結晶成長
工程において、テラス構造を有する基板1表面上では、
基板1上に飛来した原子はテラス構造の平坦部3を最大
Lだけマイグレーションすればキンクサイト4に固着さ
れて結晶化する。すなわちテラス構造を有する基板1面
上での飛来原子の実効的マイグレーション長は、テラス
構造の平坦部長さLによって制御され得る。InとAlと含
む化合物半導体層のエピタキシャル結晶成長工程では、
マイグレーション長の短いAl原子5を基準としてテラス
構造の平坦部長さLを設定すればよい。そしてAl原子5
とIn原子6がテラス上で段差部2に至って固着されるま
でのマイグレーション長を実効的に等価な長さとし、両
原子とも同等の確率で有効にキンクサイト4に取り込ま
れて固着されることにより結晶層が層状成長する。 ここでテラス構造の平坦部長さLの制御方法について
説明する。第2図は、GaAs基板の(100)面を主面とし
た場合の(100)面からの面方位のオフ角度αと、オフ
方向でのテラス構造の平坦部長さLの関係を示してい
る。本図によれば、GaAs基板ではオフ角度αを2°から
10°の範囲で変化させれば、テラス構造の平坦部長さL
は約90Åから16Åの間で変化させることができる。第1
図で示したように、飛来した原子はテラス構造の平坦部
表面を移動してキンクサイト4に取り込まれるので、原
子のマイグレーション長もまたほぼ90Åから16Åの間に
制御される。通常AlGaInPやAlGaInAs結晶面上でのInとA
l原子のマイグレーション長は明確でないが、たとえ
ば、500℃程度の成長温度ではAlが数十Å、Inが数百Å
である。したがってInおよびAl原子の実効マイグレーシ
ョン長を仮に16Å程度に制御するためには、テラス構造
の平坦部長さLを16Åに設定する。すなわち第2図によ
って、基板の面方位のオフ角度αを10°に設定すればよ
い。実際はAlとInの実効マイグレーション長を設定する
場合には、テラス構造の段差部に平行な方向に移動する
原子の存在や、飛来した原子とキンクサイト4との距離
を統計的に扱って算出する必要がある。たとえば、AlGa
InP層の成長時にGaAs基板の面方位を(100)面から4°
傾けて平坦部長さL=40Åのテラス構造を形成した場
合、InおよびGaの等価的実効マイグレーション長は54Å
程度に制限された。そして、ほとんどのInおよびGa原子
がテラスのキンクサイトに組込まれ、またAl原子につい
ても高い確率でキンクサイトに組込まれた。そのため、
結晶成長モードは二次元的なものが支配的となり、粗面
化が起こらず良質の結晶が得られた。 次に、本発明におけるテラス構造と結晶成長温度との
関係について説明する。一般に、結晶成長温度が高くな
るほど原子のマイグレーション長は長くなるのでテラス
構造の平坦部長さLも長くとれる。したがって第2図の
関係より、基板の面方へのオフ角度αも小さくてよい。
このことを検証するために、実際に異なるオフ角度を有
する(100)面を主面としたGaAs基板(Si=1×1018cm
-3ドープ)上に、Al0.5In0.5P層(厚さ2μm、Si=5
×1017cm-3ドープ)をMBE法によりエピタキシャル成長
させ、その成長層の結晶性をフォトルミネセンス強度を
測定して評価した。フォトルミネセンス強度の測定値は
結晶性が良い場合には大きくなる。測定にあたって、測
定に用いたP(リン)ソースは固体ソースから得られる
P4を900℃の高温ステージで熱分解してP2の形で用い
た。また、フォトルミネセンスはHe-Cdレーザの波長325
nm発振光を300μmφに集光したレーザ光を用いて約5W/
cm2の励起強度で室温状態で測定した。第3図に測定結
果を示している。本図には結晶の成長温度が500℃と460
℃の場合で、種々のオフ角度に対するフォトルミネセン
ス強度の測定値が示されている。成長温度が500℃では
オフ角度が2〜10°の範囲でフォトルミネセンス強度が
大きくなるが、460℃では、約6°以上のオフ角度が必
要となることがわかる。この結果から、結晶成長温度は
Inの再蒸発が始まる550℃付近に近づけるほど良好な結
晶を得るに必要なオフ角度が小さくなる。 最後に、本発明によるテラス構造を用いて結晶成長さ
せて作製したダブルヘテロ接合構造の半導体レーザを第
4図に示す。本半導体レーザは(100)面から(111)A
面に向って4°傾けてテラス構造を形成したn−GaAs基
板(Si=1018cm-3ドープ)7上に、n−GaInPバッファ
層(層厚0.5μm、Si=1018cm-3ドープ)8、n−AlInP
クラッド層(層厚1μm、Si=1018cm-3ドープ)9、ノ
ンドープのGaInP活性層(層厚0.08μm)10、p−AlInP
クラッド層(層厚1μm、Be=5×1017cm-3)11、p−
GaInPキャップ層(層厚0.1μm、Be=5×1018cm-3)12
を温度500℃で連続的にMBE成長させて形成する。その
後、n側にAuGe-Ni層13、p側にAuZn層14を蒸着アロイ
してオーミック電極を形成した。以上の工程により、共
振器長250μm、幅約100μmの全面電極素子を製作した
ところ、しきい値電流密度1KA/cm2で波長約660nmのレー
ザ発振を得た。比較のために、オフ角度のない(100)
面を主面とするGaAs基板を用いていることのみが本実施
例と異なる半導体レーザを作製し実験したところ、発振
に必要なしきい値電流密度は3KA/cm2以上であり、本発
明により半導体レーザのしきい値電流が大幅に低減でき
ることが判明した。 以上、本発明の実施例としてAlInPを用いた半導体レ
ーザについて説明したが、本発明はInとAlを含む化合物
半導体の結晶成長に一般的に効果があり、GaAs基板上の
AlGaInP層や、さらにInPに格子整合したAlInGaAs層およ
びAlInAs層が形成される半導体装置に広く適用できる。
したがってAlGaInP系の可視半導体レーザ、AlGaInAs系
の長波長レーザ、光検出器、光変調器、トランジスタな
どの半導体装置に適用できる。 [発明の効果] 以上のように、本発明によれば、AlとInを含む化合物
半導体のエピタキシャル層を高品質の結晶層で形成した
ので、しきい値電流が小さい高効率の半導体装置を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による半導体装置の面方位を傾けた基板
上での結晶の成長過程を説明する模式図である。第2図
はGaAs基板の(100)面のオフ角度とテラス構造の平坦
部長さLとの関係を示す相関図である。第3図はAlInP
層からのフォトルミネセンス強度と基板の(100)面と
のオフ角度との関係を示す相関図である。第4図は本発
明の一実施例として作製した半導体レーザの断面模式図
である。 図において、1は半導体基板、2はテラス構造の段差
部、3はテラス構造の平坦部を示す。 図中、同一の符号は同一の部分を示す。
上での結晶の成長過程を説明する模式図である。第2図
はGaAs基板の(100)面のオフ角度とテラス構造の平坦
部長さLとの関係を示す相関図である。第3図はAlInP
層からのフォトルミネセンス強度と基板の(100)面と
のオフ角度との関係を示す相関図である。第4図は本発
明の一実施例として作製した半導体レーザの断面模式図
である。 図において、1は半導体基板、2はテラス構造の段差
部、3はテラス構造の平坦部を示す。 図中、同一の符号は同一の部分を示す。
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(72)発明者 近藤 雅文
大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号
シャープ株式会社内
(56)参考文献 特開 昭62−88318(JP,A)
特開 昭61−74327(JP,A)
特開 昭57−7165(JP,A)
特開 昭64−65089(JP,A)
特開 昭62−234319(JP,A)
特開 昭62−273791(JP,A)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.半導体基板上に、InとAlの両方を含む化合物半導体
層が真空エピタキシャル成長されてなる半導体装置にお
いて、 前記半導体基板においては、結晶成長面方位が結晶面の
主面の面方位から所定の傾斜角だけ傾いて形成されるこ
とによって前記半導体基板表面に単分子層の階段状テラ
スが形成されており、 前記傾斜角は、前記真空エピタキシャル成長の過程にお
いてIn原子とAl原子とが前記テラスの段差部に同等の確
率で到達して固着されるような同等の実効マイグレーシ
ョン長を有するように、2°から10°の範囲内にあるこ
とを特徴とする半導体装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62287071A JP2750856B2 (ja) | 1987-11-12 | 1987-11-12 | 半導体装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62287071A JP2750856B2 (ja) | 1987-11-12 | 1987-11-12 | 半導体装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH01128423A JPH01128423A (ja) | 1989-05-22 |
JP2750856B2 true JP2750856B2 (ja) | 1998-05-13 |
Family
ID=17712675
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62287071A Expired - Fee Related JP2750856B2 (ja) | 1987-11-12 | 1987-11-12 | 半導体装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2750856B2 (ja) |
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JPH077863B2 (ja) * | 1989-03-31 | 1995-01-30 | 三洋電機株式会社 | 可視光半導体レーザ装置 |
US5264389A (en) * | 1988-09-29 | 1993-11-23 | Sanyo Electric Co., Ltd. | Method of manufacturing a semiconductor laser device |
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JP3129112B2 (ja) | 1994-09-08 | 2001-01-29 | 住友電気工業株式会社 | 化合物半導体エピタキシャル成長方法とそのためのInP基板 |
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JPS6288318A (ja) * | 1985-10-14 | 1987-04-22 | Sharp Corp | 半導体装置の製造方法 |
-
1987
- 1987-11-12 JP JP62287071A patent/JP2750856B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH01128423A (ja) | 1989-05-22 |
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