JP2750284B2 - 自動車におけるブレーキ装置 - Google Patents

自動車におけるブレーキ装置

Info

Publication number
JP2750284B2
JP2750284B2 JP7265404A JP26540495A JP2750284B2 JP 2750284 B2 JP2750284 B2 JP 2750284B2 JP 7265404 A JP7265404 A JP 7265404A JP 26540495 A JP26540495 A JP 26540495A JP 2750284 B2 JP2750284 B2 JP 2750284B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
clutch
disk
transmission
brake
gear
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP7265404A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09128117A (ja
Inventor
英豪 呉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
GO SHIGETATSU
Original Assignee
GO SHIGETATSU
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by GO SHIGETATSU filed Critical GO SHIGETATSU
Priority to JP7265404A priority Critical patent/JP2750284B2/ja
Publication of JPH09128117A publication Critical patent/JPH09128117A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2750284B2 publication Critical patent/JP2750284B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Input From Keyboards Or The Like (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車におけるブ
レーキ装置に関し、特に、マニュアルトランスミッショ
ンを搭載した自動車において、急ブレーキをかけて自動
車を停止させる場合に、駆動輪を逆回転させて制動距離
を短縮できるブレーキ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図11に示すように、従来のマニュアル
トランスミッションを搭載した後輪駆動式の自動車の駆
動システムは、エンジン1の駆動力が、クラッチ2とト
ランスミッション3とドライブシャフト4とを介して、
後輪5(駆動輪)に伝えられる。具体的には、図12に
示すように、エンジン1のクランクシャフト10が、ク
ラッチ2におけるフライホイール21を駆動する。フラ
イホイール21が駆動すると、クラッチカバー22と、
その内部のクラッチ機構の作用により、クラッチ軸23
がトランスミッション3のインプットシャフトとして回
転/停止し、エンジン1の駆動力がトランスミッション
3に伝えられる。該トランスミッション3は、シフトレ
バー31の操作により、その変速歯車32を前進、中
立、後退に設定して自動車を駆動するようにしている。
【0003】上記駆動システムでは、クラッチ軸23の
回転方向がクランクシャフト10と一致し、かつ、クラ
ッチ軸23の回転をトランスミッション3に対して直接
に伝えているため、自動車を後退させる場合を除いて、
ドライブシャフト4の回転方向は、必ずクラッチ軸23
の回転方向と一致し、ドライブシャフト4が逆回転する
ことはできない。従って、従来の自動車は、前方への走
行中またはブレーキをかけた時に、その後輪5は自動的
に逆回転することはない。
【0004】自動車では、特にブレーキ装置に係る安全
性が重視されている。自動車に用いられているブレーキ
装置には、ドラムブレーキ装置と、ディスクブレーキ装
置とがある。これらの装置では、ブレーキペダルを踏む
ことにより、ブレーキマスタシリンダとホイールシリン
ダを介して、各車輪のブレーキ装置に油圧を平均的に伝
えて、ブレーキシューライニングをブレーキドラムに、
またはブレーキパッドをディスクに接触させ、これらの
摩擦により車輪の回転を停止させて、制動の目的を達成
できるようにしている。一方、ハンドブレーキ装置は、
駐車または補助用のブレーキであり、ブレーキケーブル
を介して車輪を制動する。
【0005】上記ブレーキ装置の制動効率は、種々の要
素で決まるが、ブレーキシューライニングとドラムとの
摩擦力やブレーキパッドとディスクとの摩擦力が、その
根本とも言える要素の1つである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のブレーキ装置は、車輪を制動することはできるが、
自動車が高速で走行しているときに急ブレーキをかけた
場合には、車輪がロックして自動車の慣性で前方にスリ
ップしたり、バランスを崩してスピンを起こし、事故を
招く原因になる。一方、近年、よく自動車に搭載してい
るアンチロックブレーキシステムは、車体の横滑りを避
けることができるが、制動距離を短縮する効果は顕著で
ないという問題点があった。
【0007】本発明は、上記のような従来のブレーキ装
置の問題点に鑑みてなされたもので、自動車が高速で走
行中に急ブレーキをかけた場合、制動距離を短縮できる
と共に、車体がスピンすることを回避して安定性を向上
できるブレーキ装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、トランスミッションと、エンジンのクラ
ンクシャフトと一体に連結したクラッチ軸に取り付けら
れ、上記トランスミッションの駆動時にはクラッチ軸と
同期して回転する一方、非駆動時にはクラッチ軸の外周
を自在に回転するクラッチカバーを有するクラッチと、
上記クラッチカバーと連結したディスクと、上記ディス
クを制動する制動手段と、上記ディスクとトランスミッ
ションとの間に設けられ、トランスミッションのインプ
ットシャフトと一体に連結されると共にその内周面に内
歯を有するリングギヤと、該リングギヤの中心部に回転
自在に取り付けると共に上記クラッチ軸に一体に連結し
た太陽歯車と、該太陽歯車の歯とリングギヤの歯にそれ
ぞれ噛合すると共にその中心より突出する枢軸を上記デ
ィスクに枢着した複数の遊星歯車とからなる遊星歯車手
段とを備えたことを特徴とする自動車におけるブレーキ
装置を提供している。
【0009】上記ブレーキ装置では、トランスミッショ
ンの非駆動時には、クラッチカバーおよび該クラッチカ
バーと連結したディスクが、クラッチ軸に対して自在に
回転できる状態となる。この時、遊星歯車手段では、太
陽歯車がクラッチ軸により直接に同期して回転する一
方、遊星歯車は回転自在としたディスクに枢着されてい
るため、それぞれの歯の噛合により各遊星歯車が太陽歯
車の外周を自転しながら公転する。
【0010】上記トランスミッションの非駆動時に上記
制動手段を作動させてディスクを制動すると、該ディス
クの回転数が瞬間的に低減し、該ディスクに枢着した遊
星歯車の公転速度も低減する。この時、太陽歯車の回転
速度はクラッチ軸の回転速度と同一であるため、該太陽
歯車の回転速度と、遊星歯車の公転速度との差による遊
星歯車の自転により、リングギヤが太陽歯車とは同期し
ない速度で回転する。
【0011】上記遊星歯車の公転速度は、上記制動手段
によりディスクを介して著しく低減させられているた
め、リングギヤの回転数も瞬間的に低減し、トランスミ
ッションのインプットシャフトの回転数、および、自動
車の駆動輪の回転数も瞬間的に低減する。
【0012】ディスクを制動手段によりロックさせた場
合には、各遊星歯車は、太陽歯車の外周を公転すること
ができず、自転のみしかできなくなる。この時、太陽歯
車はクラッチ軸の駆動力を受けて該クラッチ軸と同期し
て回転しているため、その駆動力により遊星歯車が、太
陽歯車およびクラッチ軸の回転方向と反対向きに自転す
る。これにより、遊星歯車と噛合したリングギヤも、ク
ラッチ軸の回転方向と反対向きに回転し、トランスミッ
ションを介して接続された駆動輪が、走行時の回転方向
と反対向きに回転する。
【0013】これにより、駆動輪と路面との間に大きな
摩擦力が生じ、この摩擦力により自動車の慣性を低減
し、よって、自動車が停止するまでの制動距離が短縮す
ると共に、車体がスピンすることを回避するように、走
行している自動車の非駆動輪を制動しながら、駆動輪を
逆回転させて、自動車を迅速に停止させる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施の
形態に基づいて詳細に説明する。本発明のブレーキ装置
は、従来のクラッチ機構を改良して形成しており、図1
および図2に示すように、クラッチ6とトランスミッシ
ョン3との間に遊星歯車手段7を設けている。かつ、上
記クラッチ6には、クラッチカバー63と一体に回転可
能にディスク68を連結すると共に、該ディスク68を
制動する制動手段8を設け、自動車の走行中に急ブレー
キをかけた時に、遊星歯車手段7の作用で駆動輪を逆回
転させて、自動車を迅速に停止させるものである。本実
施形態の自動車は後輪駆動式である。
【0015】図1に示すように、本発明のブレーキ装置
は、クラッチ6と、遊星歯車手段7と、制動手段8と、
従来と同様のトランスミッション3と、エンジンのクラ
ンクシャフト10と連結されたフライホイール21とで
構成している。本実施形態では、上記ブレーキ装置は、
図3に示す制御システム9により制御している。
【0016】上記クラッチ6は、クラッチ軸60と、ク
ラッチ操作フォーク61と、遮断軸受62と、クラッチ
カバー63と、支持リング64,64と、ディスクばね
65と、プレッシャプレート66と、クラッチプレート
67と、ディスク68とを備えている。これら各部材の
取付構造は、ディスク68を除き、従来とほぼ同じであ
るが、クラッチ6とトランスミッション3との間の小さ
なスペースに上記遊星歯車手段7を設けるために、配置
の方向は従来のほぼ反対になっている。
【0017】図2に示すように、上記ディスク68は、
ボルト(図示せず)により上記クラッチカバー63と一
体に連結して中空のシェル構造をなし、該状態で上記ク
ラッチ軸60に対して回転自在に取り付けている。これ
らディスク68とクラッチカバー63とで形成される中
空内部には、上記支持リング64,64、ディスクばね
65、プレッシャプレート66、および、クラッチプレ
ート67を、それぞれ中心部にクラッチ軸60を貫通さ
せた状態で配置している。
【0018】上記クラッチ軸60は、上記クランクシャ
フト10により駆動されるように、フランジ状に突出さ
せた前端部603をフライホイール21に一体に連結す
ると共に、後端部602より所要間隔をあけたクラッチ
プレート取付位置にスプライン軸部601を設けてい
る。また、クラッチ軸60には、上記スプライン軸部6
01の後端側のディスク取付位置に、上記ディスク68
を回転自在に支持するための別体のディスク受け681
を固着している。
【0019】上記クラッチ操作フォーク61は、その一
端を上記遮断軸受62に枢着する一方、他端を後述する
制御システム9のクラッチペダル91と接続し、該クラ
ッチペダル91の操作により上記クラッチプレート67
をディスク68に圧接・離反操作できるようにしてい
る。
【0020】上記遮断軸受62は、クラッチ軸60に対
して軸方向に沿って移動可能に取り付けて、その後端部
621がディスクばね65のわずかに前方へ湾曲して突
出し、リードのように形成されている前側中央部に回転
自在に接触するようにしている。
【0021】上記ディスクばね65は、その外周縁をプ
レッシャプレート66の内周縁に凹設した係止溝661
に嵌着している。また、該ディスクばね65は、リベッ
ト651と支持リング64,64により、プレッシャプ
レート66と共にクラッチカバー63の内部に同心位置
で、クラッチ軸60の軸方向に相対遊動可能に保持させ
ている。該ディスクばね65は、そのばねの弾性力によ
り、プレッシャプレート66をクラッチプレート67に
圧接させ、該クラッチプレート67を上記ディスク68
に押圧させるようにしている。
【0022】上記クラッチプレート67は、プレッシャ
プレート66とディスク68に挾まれ、その中央部嵌孔
672の内周面に、上記クラッチ軸60のスプライン軸
部601と相互結合するためのスプライン671を設け
ている。該クラッチプレート67は、プレッシャプレー
ト66によりディスク68に押圧されていない時には、
クラッチ軸60と同期して回転しながら、スプライン軸
部601に沿って、クラッチ軸60の軸方向に摺動でき
るようにしている。
【0023】上記構成のクラッチ6は、クラッチペダル
91の操作により、クラッチ操作フォーク61が作動
し、遮断軸部62をクラッチ軸60の軸方向に沿って前
後方向に移動させることができる。例えば、クラッチペ
ダル91を踏んで、図5に示すように、遮断軸部62で
ディスクばね65を後側に押圧した場合、該ディスクば
ね65の外周縁が前方へ反り返る。これにより、上記プ
レッシャプレート66が前向きに移動して、上記クラッ
チプレート67に対する圧接作用が解除され、プレッシ
ャプレート66、クラッチプレート67、ディスク68
が完全に分離する。
【0024】上記遊星歯車手段7は、図1に示すよう
に、リングギヤ70と、太陽歯車71と、二つの遊星歯
車72とを備えている。尚、遊星歯車72の数は、二つ
に限定されるものではない。
【0025】上記リングギヤ70は、円形状の底壁70
5の外周縁より円筒状に外壁706を突設した形状で、
該外壁706の内周面には、上記遊星歯車72の歯72
2と噛合する内歯701を設ている。また、上記底壁7
05の中央部には、後側に向かって突出するボス部70
3を設け、該ボス部703の軸受孔702にトランスミ
ッション3のインプットシャフト30をスプライン連結
するようにしている。さらに、底壁705の前面側に
は、上記クラッチ軸60の後端部602を回転自在に軸
支する軸受704を、上記ボス部703と同一軸心とし
て設けている。
【0026】図1および図2に示すように、上記太陽歯
車71は、上記リングギヤ70より小径で、その中心部
に上記クラッチ軸60を貫通させて、該クラッチ軸60
に固着している。この状態で、クラッチ軸60の後端部
602をリングギヤ70の軸受704に取り付け、太陽
歯車71がリングギヤ70の中央部でクラッチ軸60と
同期して回転できるようにしている。
【0027】上記遊星歯車72は、上記太陽歯車71と
リングギヤ70との間に取付可能とした直径で、その中
心部に軸受720を介して枢軸721を突設している。
これら遊星歯車72は、外周の歯722を、太陽歯車7
1の歯710とリングギヤの歯701にそれぞれ噛合さ
せると共に、上記枢軸721をディスク68の取付孔6
82に枢着し、上記枢軸721を回転軸として自転でき
ると共に、ディスク68の回転により太陽歯車71の外
周を公転できるようにしている。
【0028】上記制動手段8は、図2に示すように、上
記ディスク68の周縁部に設置している。本実施形態で
は、従来と同様のディスクブレーキ装置を用い、油圧に
よりディスク68を挾んで制動するようにしている。
【0029】上記制動手段8のキャリパは、ディスク6
8の両側に対向するようにシリンダ81,81を設けて
おり、各シリンダ81におけるピストン82の前端部に
ブレーキパッド83を設けている。該制動手段8は、後
述する制御システム9の非常ブレーキペダル94の操作
で作動油がパイプ80から流れ込むことにより、各ピス
トン82がディスク68に向かって進出し、ブレーキパ
ッド83がディスク68を両側から挾んで制動する。
【0030】上記制御システム9は、図3に示すよう
に、クラッチペダル91により上記クラッチ操作フォー
ク61を介してクラッチ6を制御し、ブレーキペダル9
2により従来と同様に自動車の各車輪に取り付けたブレ
ーキ装置を制御し、かつ、アクセルペダル93により、
キャブレータ・スロットル931を制御して車速を変え
るようにしている。さらに、本実施形態の制御システム
9は、上記アクセルペダル93の右側に、ブレーキペダ
ル92により制御する従来のブレーキ装置とは干渉しな
い、独立の第2のブレーキシステムを有する非常ブレー
キペダル94を設けている。
【0031】上記非常ブレーキペダル94を踏むと、作
動油は、分岐器90を経て三つ径路に分流し、第1径路
901から制動手段8に作動油が流れてディスク68を
制動する。また、第2径路902からキャブレータ・ス
ロットル931に作動油が流れて、エンジンストップし
ないように上記キャブレータ・スロットル931の開度
を制御する。さらに、第3径路903から非駆動輪に作
動油が流れ、例えば、本実施形態において前輪5aのブ
レーキシステム100に流れて、該ブレーキシステム1
00を制御する。
【0032】尚、本実施形態では、上記ブレーキシステ
ム100は、ブレーキペダル92により制御する従来の
ブレーキシステムとは干渉しないように独立に設けてい
るが、図4に示すように、従来のブレーキシステムによ
り制御する作動油の流路に、さらに、ピストン101を
有するガイドバルブ110を設け、非駆動輪とした前輪
5aへの流路を共用させて構成することもできる。
【0033】この場合、ブレーキペダル92を踏んで通
常の制動をすると、作動油は、一部が駆動輪とした後輪
5のブレーキに伝えられる一方、他の一部がガイドバル
ブ110の入口111と出口112とを経て、非駆動輪
とした前輪5aのブレーキに伝えられ、後輪5と前輪5
aとを同時に制動する。一方、非常ブレーキ94を踏ん
だ場合、ブレーキシステム100に制御されている作動
油が、ガイドバルブ110の入口113から流れ込ん
で、ピストン101を図4中一点鎖線で示すように移動
させて入口111を封鎖し、入口113から入力された
作動油が出口112を経て前輪5aのブレーキのみに伝
えられる。前輪5aのブレーキ効果を向上するため、公
知の構成のアンチロックブレーキシステムを併用しても
良い。
【0034】上記非常用のブレーキ装置を有するクラッ
チ機構において、シフトレバー31の位置を変えて変速
する場合、クラッチペダル91を踏んで、図5に示すよ
うに、ディスクばね65を後側に反り返らせる。これに
より、プレッシャプレート66によるクラッチプレート
67のディスク68への押圧が解除され、クラッチカバ
ー63および該クラッチカバー63と連結したディスク
68が、クラッチ軸60の外周を自在に回転できる状態
となる。
【0035】この時、遊星歯車手段7は、図6に示すよ
うに、クラッチ軸60と連結した太陽歯車71が回転す
るが、各遊星歯車72の枢軸721がなんら駆動力や制
動力を受けていないディスク68に枢着されているた
め、各遊星歯車72が太陽歯車71の外周を自転しなが
ら公転する。したがって、リングギヤ70は、なんら作
用も受けることがなく、自在に回転できる。なお、リン
グギヤ70は、ボス部703にトランスミッション3の
インプットシャフト30が連結されていることにより抵
抗力を生じるため、通常の場合には静止の状態を呈し、
トランスミッション3は非駆動状態となる。よって、ド
ライバーはスムーズにシフトレバー31の位置を変えて
変速ギヤの組合せを変更することができる。
【0036】シフトレバー31によりトランスミッショ
ン3のギヤを変えたら、クラッチペダル91を踏む力を
緩めることにより、クランクシャフト10の駆動力がク
ラッチ6を介してトランスミッション3に伝えられる。
【0037】具体的には、クラッチペダル91を踏む力
を緩めることにより、クラッチ操作フォーク61を介し
て遮断軸受62が前方に移動して、プレッシャプレート
66が現状に復帰する。これにより、プレッシャプレー
ト66がクラッチプレート67を圧接することにより、
該クラッチプレート67がディスク68を押圧して、デ
ィスク68がクラッチ軸60と同期して回転する。
【0038】この時、遊星歯車手段7では、図2および
図7に示すように、太陽歯車71がクラッチ軸60と同
期して回転しているため、該太陽歯車71と上記ディス
ク68とが同期して、速度と方向が一致して回転する。
各遊星歯車72は、駆動力を受けているディスク68に
枢着されているため、該遊星歯車72の枢軸721が太
陽歯車71およびクラッチ軸60と同期して回転する。
【0039】このように、各遊星歯車72の枢軸721
が太陽歯車71と同期して回転すると、該遊星歯車72
の歯722が、太陽歯車71の歯710と、リングギヤ
70歯701のいずれとも噛合っていることにより、遊
星歯車71は自転できず、クラッチ軸60を中心として
公転することしかできない。よって、リングギヤ70が
遊星歯車72を介して太陽歯車71と直接に接続された
状態となり、該リングギヤ70が太陽歯車71と連結し
たクラッチ軸60と同期して回転する。リングギヤ70
がクラッチ軸60と同期して回転すると、上記クランク
シャフト10の駆動力がリングギヤ70のボス部703
を介してトランスミッション3に伝えられ、該トランス
ミッション3が駆動状態となる。
【0040】自動車の走行中に、通常に停止しようとす
る場合、ブレーキペダル92をかけることにより、前述
のように、従来と同様のブレーキシステムにより各車輪
のブレーキ装置を作動させて制動する。
【0041】一方、自動車が高速(例えば、時速60k
m/h以上)で走行中に、急ブレーキをかけて停止しよ
うとする場合には、上記非常ブレーキペダル94とクラ
ッチペダル91とを同時に踏むことにより、図8に示す
ように、クラッチ6および制動手段8を作動させて制動
する。
【0042】この時、クラッチペダル91を踏むことに
より、前述のように、トランスミッション3が非駆動状
態となり、ディスク68はクラッチ軸60に対して自在
に回転できる状態となる。また、非常ブレーキペダル9
4を同時に踏むことにより、図3に示すように、作動油
が、分岐器90から第2径路902を経てキャブレータ
・スロットル931の開度をエンジンストップしないよ
うに制御(図9参照)する。かつ、第3径路903を経
て前輪5aのブレーキシステム100を制御して前輪5
aを制動し、さらに、第1径路901を経て制動手段8
を制御してディスク68を制動する。
【0043】上記制動手段8の作動により、クラッチ軸
60に回転自在となっているディスク68は、高速回転
から停止するまでの間に、回転数が瞬間的に低減し、該
ディスク68に枢着されている遊星歯車72の公転速度
も瞬間的に低減する。
【0044】この時、太陽歯車71の回転速度はクラッ
チ軸60の回転速度と同一であるため、該太陽歯車71
の回転速度と、遊星歯車72の公転速度との差による遊
星歯車72の自転により、リングギヤ70が太陽歯車7
1とは同期しない速度で回転する。しかも、遊星歯車7
2が公転する速度は著しく低減させられているため、リ
ングギヤ70の回転数も瞬間的に低減し、トランスミッ
ション3のインプットシャフト30の回転数、および、
後輪5の回転数も瞬間的に低減する。
【0045】このように、回転数が低減された後輪5
は、急ブレーキをかける前の状態の回転速度より遅いた
め、該後輪5と路面の間に大きな摩擦力が生じ、自動車
自体の走行速度を瞬間的に低速に落とすことができる。
【0046】上記後輪5とトランスミッション3を介し
て連結したリングギヤ70の回転速度は、上記ディスク
68が制動手段8によりロックされる直前に、低速から
略零になる。
【0047】ディスク68が制動手段8によりロックし
た場合、図10に示すように、各遊星歯車72は、太陽
歯車71の外周を公転することができず、自転のみしか
できなくなる。この時、太陽歯車71はクラッチ軸60
の駆動力を受けて同期して回転しているため、遊星歯車
72が太陽歯車71およびクラッチ軸60の回転方向と
反対に回転する。この遊星歯車72の駆動力は、リング
ギヤ70に伝えられ、該リングギヤ70の回転方向を逆
転させる。これにより、該リングギヤ70とトランスミ
ッション3を介して接続された後輪5が、走行時の回転
方向と反対に回転する。
【0048】ここで、例えば、太陽歯車71とリングギ
ヤ70とのギヤ比をトランスミッション3のバックギア
のギヤ比のような1:4〜1:5に設定すると、上記の
ようにディスク68がロックした場合、リングギヤ70
は、通常の後退速度で逆回転し、後輪5も後退時の回転
速度で回転する。尚、高速で前向きに走行する場合に
は、トランスミッション3のギヤ比はほぼ1:1〜1:
0.75である。
【0049】このように、駆動輪を逆回転させると、該
駆動輪と路面との間に大きな摩擦力が生じるため、この
摩擦力により自動車の慣性を瞬間的に低減し、制動距離
を短縮することができる。尚、駆動輪を逆回転させる
と、自動車が少し後退する場合もあるが、この場合に
は、非常ブレーキペダル94を緩めて、ブレーキペダル
92をかけて停止する。
【0050】また、本発明のブレーキ装置によると、自
動車の駆動輪は、トランスミッション3の駆動時におい
て、ディスク68がロックされていない状態では走行し
ようとする方向に回転する一方、ロックされた状態では
逆方向に回転する。即ち、駆動輪はロックして停止状態
にはならないため、車体のスピンを回遊するように非駆
動輪(前輪5a)を制動して自動車を迅速に停止するこ
とができる。
【0051】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のブレーキ装置では、自動車を駆動させるクラッチ機構
を改良して、非常時に急ブレーキをかけた際に、制動手
段および遊星歯車手段により、エンジンのクランクシャ
フトの回転数を、トランスミッションに対して低減して
伝え、駆動輪の回転を瞬間的に低速とすることができる
ため、自動車の制動距離を短縮することが出来る。ま
た、制動手段によりディスクをロックさせた場合、遊星
歯車手段により、エンジンのクランクシャフトの回転
を、トランスミッションに反対の回転方向として伝え、
駆動輪を低速で逆回転させることができるため、駆動輪
と路面との間に大きな摩擦力を生じさせて自動車を迅速
に停止させることができる。さらに、上記ブレーキ装置
によると、駆動輪は常にいずれかの方向に回転してロッ
クすることがないため、非駆動輪を制動させて、自動車
がスピンすることを容易に回避することができ、よっ
て、安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のブレーキ装置を示す分解斜視図であ
る。
【図2】 ブレーキ装置の断面図である。
【図3】 ブレーキ装置の制御システムを示す概略図で
ある。
【図4】 制御システムの変形例の作動油の流れを示す
概略図である。
【図5】 トランスミッションの非駆動時の状態を示す
断面図である。
【図6】 トランスミッションの非駆動時の状態におけ
る遊星歯車手段の作動を説明するための正面図である。
【図7】 トランスミッションの駆動時の状態における
遊星歯車手段の作動を説明するための正面図である。
【図8】 クラッチペダルと非常ブレーキペダルを同時
に踏んだ状態を示す断面図である。
【図9】 図3に示す制御システムにおけるキャブレー
タ・スロットルの作動を説明するための概略図である。
【図10】 制動手段によりディスクをロックさせた状
態における遊星歯車手段の作動を説明するための正面図
である。
【図11】 従来のマニュアルトランスミッションを搭
載した後輪駆動式の自動車の駆動システムを示す概略図
である。
【図12】 従来のマニュアルトランスミッションを搭
載した後輪駆動式自動車におけるクラッチおよびトラン
スミッションの概略断面図である。
【符号の説明】
10 クランクシャフト 3 トランスミッション 30 インプットシャフト 6 クラッチ 60 クラッチ軸 63 クラッチカバー 68 ディスク 7 遊星歯車手段 70 リングギヤ 71 太陽歯車 72 遊星歯車 721 枢軸 8 制動手段 10 クランクシャフト

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トランスミッションと、 エンジンのクランクシャフトと一体に連結したクラッチ
    軸に取り付けられ、上記トランスミッションの駆動時に
    はクラッチ軸と同期して回転する一方、非駆動時にはク
    ラッチ軸の外周を自在に回転するクラッチカバーを有す
    るクラッチと、 上記クラッチカバーと連結したディスクと、 上記ディスクを制動する制動手段と、 上記ディスクとトランスミッションとの間に設けられ、
    トランスミッションのインプットシャフトと一体に連結
    されると共にその内周面に内歯を有するリングギヤと、
    該リングギヤの中心部に回転自在に取り付けると共に上
    記クラッチ軸に一体に連結した太陽歯車と、該太陽歯車
    の歯とリングギヤの歯にそれぞれ噛合すると共にその中
    心より突出する枢軸を上記ディスクに枢着した複数の遊
    星歯車とからなる遊星歯車手段とを備えたことを特徴と
    する自動車におけるブレーキ装置。
JP7265404A 1995-10-13 1995-10-13 自動車におけるブレーキ装置 Expired - Lifetime JP2750284B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7265404A JP2750284B2 (ja) 1995-10-13 1995-10-13 自動車におけるブレーキ装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7265404A JP2750284B2 (ja) 1995-10-13 1995-10-13 自動車におけるブレーキ装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09128117A JPH09128117A (ja) 1997-05-16
JP2750284B2 true JP2750284B2 (ja) 1998-05-13

Family

ID=17416702

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7265404A Expired - Lifetime JP2750284B2 (ja) 1995-10-13 1995-10-13 自動車におけるブレーキ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2750284B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100352505B1 (ko) * 2000-09-06 2002-09-16 하태환 반자동 변속기를 구비한 차량의 브레이크 시스템
CN110182294B (zh) * 2019-04-04 2024-06-25 左国刚 具有驻车装置的车轮及其安装该车轮的车辆

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09128117A (ja) 1997-05-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH083346B2 (ja) 差動装置
US5906249A (en) Drive system of a drive wheel
JP2750284B2 (ja) 自動車におけるブレーキ装置
US4846316A (en) Hydraulic retarder attached with parking brake
JP2642181B2 (ja) 無限軌道車用制動装置
JP2018108747A (ja) 車両の制動装置
US5492512A (en) Brake system with wheel-reversing means for an automobile
US1843193A (en) Automatic transmission
JPH07101319A (ja) 車両のパーキングブレーキ装置
JPS6212074B2 (ja)
JP3109291B2 (ja) 車両用駐車ブレーキのパワーアシスト装置
JPH0678417A (ja) 電気モータを用いた車輌における駆動伝達装置
JPH0127913B2 (ja)
KR100583661B1 (ko) 산업차량의 브레이크장치
JP2627677B2 (ja) 自走車両のブレーキ装置
JPS5954851A (ja) 車両の走行装置
JPH07762Y2 (ja) Hst式車軸駆動装置
JP2577193Y2 (ja) 乗用作業車の制動装置
JP2528340Y2 (ja) クラッチ装置
JPS6330592Y2 (ja)
JP2004036659A (ja) ブレーキ装置及びトラクタの走行装置
JPS6192355A (ja) 車両用トロイダル形無段変速機
KR100482124B1 (ko) 자동차의 선회안정성 향상장치
JP2587616Y2 (ja) 乗用作業車のブレーキ装置
JPS6314125Y2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19980120