JP2748571B2 - 近赤外線吸収接着剤 - Google Patents

近赤外線吸収接着剤

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ビデオカメラやCCDカラーカメラ用の水晶
光学フィルターを接着する近赤外線吸収接着剤に関す
る。
従来の技術 水晶光学フィルターは複屈折効果を利用して疑似色信
号を除去するための光学的ローパスフィルターであり、
近年のようにCCDやMOSなどの固体撮影素子が主流になっ
てくると、水晶体単では光学フィルターとして性能的に
不十分になってきた。そこで、高性能化を目的として、
色補正ガラスと水晶とを組合せ、接着して一体化した素
子を作ったり、水晶板上に赤外線カットのための多層膜
を蒸着した素子を複数板接着し、素子を作っていた。
発明が解決しようとする課題 しかしながら、前記の色補正ガラスは耐湿特性が極端
に劣るため、初期特性は優れているものの性能の安定性
が不十分であり、特に高温高湿下では急速な特性劣化が
問題であった。また、部品点数が多くなり、光学接着精
度および接着工程が増加し、コストが高くなるという問
題があった。一方、水晶板上に赤外線カットのための多
層膜を蒸着する方法においては、一層ごとに膜厚を正確
に制御する必要があり、かつ、積層数も30層以上必要で
あるため大掛りな装置を用いたり、ピンホール等の欠陥
の発生も避けがたいなど、色補正ガラス以上に不良率が
高く、生産コストも大幅に上がる等の問題があった。
課題を解決するための手段 前記問題点を解決するために本発明は、光硬化性エポ
キシ樹脂が成分中にエポキシ基を分子内に持つ有機化合
物と、可撓性付与剤と、光照射によりイオンを発生する
光重合開始剤と、近赤外線吸収剤とを主成分として含有
してなる近赤外線吸収接着剤により複数板の水晶板を接
着するものである。
近赤外線吸収剤に少なくとも1種以上の金属錯体系お
よびまたはアントラキノン系の近赤外線吸収剤を含有
し、近赤外線吸収剤の総量が全樹脂量の0.03重量部(以
下重量部を部と略す)以上5部以下の範囲であることが
望ましい。より好ましくは、接着層の厚みにも依存する
が、0.05部から1部の範囲にあることが、近赤外線の分
散性,コスト,接着剤の硬化性,分光特性などを考慮す
ると望ましい。
また光硬化性エポキシ樹脂として、脂環式エポキシ樹
脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂を主成分として含有
するものである。
作用 前記の近赤外線吸収剤を含有した光硬化性エポキシ系
近赤外線吸収接着剤で複数枚の水晶板を貼り合わせるだ
けで、従来必要とされていた色補正ガラスや、赤外線カ
ット多層膜を必要とせず、部品点数の削減や、接着工
程、多層膜の蒸着工程が削減でき、低コスト近赤外線吸
収水晶光学フィルターを容易に生産することができる。
実 施 例 以下本発明の一実施例について説明する。
本発明は脂環式エポキシ樹脂、ブスフェノール型エポ
キシ樹脂、可撓性付与剤、光重合開始剤、近赤外線吸収
剤を主成分として含有するものである。
ここで、本実施例に用いられる脂環式エポキシ樹脂と
しては、例えば、チバガイギー社の商品名アラルダイト
CY179、旭電化工業(株)の商品名アデカオプトマーKRM
−2100,同KRM−2110,同KRM2199、ダイセル化学工業
(株)の商品名セロキセイド2021等が使用できる。
また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例
えばチバガイギー社の商品名アラルダイトXAC5020,同XA
C5016,同XAC5017、旭工業(株)の商品名アデカオプト
ンEP4000,同EP4100E等が使用でき、可撓性付与剤として
は、旭電化工業(株)の商品名アデカオプトマーKRM235
1,同KRM2379等が使用でき、光重合開始剤としては、旭
電化工業(株)の商品名アデカオプトマーSP150,同SP17
0等が使用できる。
近赤外線吸収剤としては、三井東区化学(株)の商品
名PA−1005,PA−1006,SIR−114,SIR−128,HR−11,HR−5
4等の金属錯体系およびまたロアントラキノン系のもの
が使用できる。
本発明の一実施例における一液性近赤外線吸収接着剤
の調製に当たっては、一たん近赤外線吸収剤を塩化メチ
レンに溶解させた後、三本ロールを用い均一に混合させ
た後、塩化メチレンを飛散させ、近赤外線吸収剤の分散
を十分に行うことが望ましい。
まず、各成分の量をかえた時の接着強度についてその
結果を第1表に示す。
尚、ここで示している接着強度とは、ガラス基板(材
質BK−7)上に接着剤を塗布し、水晶の試験片(3mm×3
mm×2mm)を乗せ、一定荷重で加圧し、ガラス面から紫
外線(UV)照射により接着を行った後、横方向からプッ
シュプルゲージで押圧し、水晶試験片を剥離させ、その
剪断剥離強度を測定したものである。第2表からわかる
ように、No.3の配合量により調製を行った接着剤が最も
強い接着強度を有していた。これは、可撓性付与剤に含
まれるヒドロキシル基による水晶板との水素結合の数が
増加しとことによる影響であると考えられる。しかしな
がら、可撓性付与剤の配合量が多すぎると、接着強度が
弱くなるのは、光重合開始剤濃度が低くなり、十分な硬
化反応を促進することができなくなり、硬化した樹脂そ
のものの強度が低下したためであると考えられる。
次にNo.3の組成をもとに、近赤外線吸収剤の分散性
と、硬化性についてその結果を第2表に示す。
尚、近赤外線吸収剤の分散性をよくするために、塩化
メチレンに溶解させた後、配合組成No.3に配合した。
また、近赤外線吸収剤としては、HR−11とSIR−128を
用い、その配合比率は常に2:1の割合で配合した。
赤外線吸収剤の配合割合は、組成No.3の全樹脂量を10
0とした時の重量部で表している。
◎:特に良好 ○:良好 △:やや不良 ×:不良と
し、分散性は目視により判断した。硬化性は紫外線を50
00mJ/cm2照射し、◎:膜厚50μm以上でも硬化、○:膜
厚10〜15μmの範囲内で硬化、○′:膜厚5〜10μmの
範囲内で硬化、△:膜厚5μm以下で硬化、×:膜厚1
μm以上硬化せず、により判断した。また光透過率(T
%)は、膜厚5〜100μmの範囲内で、500nmで50%以
上、700nmで10%以下の光透過率を満たすものが1つで
もあれば良好とした。
用いた紫外線照射装置として、(株)オーク製作所製
のジェットライドJL−3300を、光学特性評価には日本分
光工業(株)製の分光光度計UVIDE−505を用い、400nm
〜900nmの光透過率を測定した。
実施例1 実施例に用いた組成を第3表に示した。
硬化は、UVを5000mJ/cm2照射し、上記組成物を硬化さ
せた。接着層としては、厚み100μmとなるように水晶
板1.2を固定した。
結果を第2図に示した。
比較例 比較例に用いた組成を第4表に示した。
接着層の厚みが5μmとなるように水晶板1.2を固定
し、UVを5000mJ/cm2照射した。
結果を第3図に示した。
発明の効果 以上の説明から明らかなように、本発明の近赤外線吸
収接着剤を用い複数枚の水晶板を貼り合わせると、従来
必要とされていた色補正がガラスが不要となったり、ま
た赤外線カットのための多層膜を真空成膜する必要がな
く、部品点数の削減と、製造工程や作業性が著しく改善
され、低コスト、高品質な近赤外線吸収水晶光学フィル
ターを容易に生産することができる工業的価値の大きな
ものである。
【図面の簡単な説明】
第1図(a),(b)は本発明の近赤外線吸収水晶光学
フィルターの一実施例を示す斜視図および正面断面図、
第2図は本発明の一実施例の分光透過率曲線図、第3図
は本発明の比較例に用いた組成の分透過率曲線図、第4
図(a),(b)は従来の水晶光学フィルターの構成を
示す斜視図および正面断面図である。 1,2,4,6……水晶光学フィルター、3……近赤外線吸収
接着剤、5……色補正ガラス、7,8……接着剤。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光硬化性エポキシ系樹脂が成分中に、エポ
    キシ基を分子内に持つ有機化合物と、可撓性付与剤、光
    重合開始剤および近赤外線吸収剤を主成分として含有し
    てなる近赤外線吸収接着剤。
  2. 【請求項2】少なくとも1種以上の近赤外線吸収剤を含
    有し、近赤外線吸収剤の総量が全樹脂量の0.03重量部以
    上5重量部以下の範囲である請求項1記載の近赤外線吸
    収接着剤。
  3. 【請求項3】エポキシ基を持つ有機化合物が、脂環式エ
    ポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂である請求
    項1記載の近赤外線吸収接着剤。
  4. 【請求項4】可撓性付与剤を15〜35重量部含有する請求
    項1記載の近赤外線吸収接着剤。
  5. 【請求項5】可撓性付与剤がポリエーテル系である請求
    項1記載の近赤外線吸収接着剤。
  6. 【請求項6】光重合開始剤が、ビス−〔4−(ジフェニ
    ルスルホニオ)フェニル〕スルフィードビスヘキサフル
    オロフォスフェート(BDS(PF))または、ビス−〔4
    −(ジフェニルスルホニオ)フェニル〕スルフィドービ
    スヘキサフルオロアンチモネート(BDS(SbF6)で
    ある請求項1記載の近赤外線吸収接着剤。
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