JP2747849B2 - 2’―デオキシヌクレオシド類の選択的アシル化方法 - Google Patents

2’―デオキシヌクレオシド類の選択的アシル化方法

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JP2747849B2 JP22306390A JP22306390A JP2747849B2 JP 2747849 B2 JP2747849 B2 JP 2747849B2 JP 22306390 A JP22306390 A JP 22306390A JP 22306390 A JP22306390 A JP 22306390A JP 2747849 B2 JP2747849 B2 JP 2747849B2
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研二 野崎
敦彦 上村
純一 山下
三治 安本
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はリパーゼによる2′−デオキシヌクレオシド
類の糖部2級水酸基の選択的アシル化方法に関し、本発
明により製造される2′−デオキシヌクレオシド類は医
薬品の製造中間体として有用である。
(従来の技術) ヌクレオシド類の糖部水酸基の一般的保護基としてア
シル基が汎用される。ヌクレオシド類の糖部水酸基のア
シル化に酵素が使用された例としてはジメチルホルムア
ミド中で、バシルス サブチリス(Bacillus subtilli
s)由来のプロテアーゼをウリジン、アデノシンのアシ
ル化に用いた報告(ジヤーナル オブ アメリカン ケ
ミカル ソサエテイー 第110巻 1988年 第584頁)、
ジメチルホルムアミド中、シユードモナス フルオレツ
センス由来のリパーゼを用いて2′−デオキシ−ピリミ
ジンヌクレオシドのアシル化を行つた報告(テトラヘド
ロン レターズ 第30巻 1989年 第3817頁)及び改変
型プロテアーゼを用い、ジメチルホルムアミド中、ヌク
レオシド類のアシル化を行つた報告(ジヤーナル オブ
アメリカン ケミカル ソサエテイー 第112巻 199
0年 第945頁)等があるが、それらはいずれも糖部1級
水酸基に選択的に、もしくは1級、2級両水酸基に効率
的にアシル基が導入される報告であり、糖部2級水酸基
の選択的アシル化についての記載はない。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の目的は、酵素を用いた簡便でかつ容易な2′
−デオキシヌクレオシド類の糖部2級水酸基の選択的ア
シル化方法を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明は一般式 (式中、Bは置換又は非置換核酸塩基を示す)で表わさ
れる2′−デオキシヌクレオシド類に一般式 (式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基、R2は炭素数1
〜10のアルキルカルボニル基又はビニル基を示す)で表
わされるアシル供与体を非プロトン性極性エーテル溶媒
中、リパーゼの存在下反応させ、一般式 (式中、B及びR1は前記と同一の意味を示す)で表わさ
れる化合物に導くことを特徴とする2′−デオキシヌク
レオシド類の選択的アシル化方法に係る。
一般式(1)、(2)及び(3)中、Bで表わされる
置換又は非置換核酸塩基としてはウラシル、5−フルオ
ロウラシル、5−トリフルオロメチルウラシル、5−ク
ロロウラシル、5−ブロモウラシル等の5−置換ウラシ
ル、チミン、シトシン等のピリミジン塩基、アデニン、
グアニン、キサンチン、ヒポキサンチン等のプリン塩基
を、R1で表わされるアルキル基としては、炭素数1〜10
の直鎖又は分枝状のアルキル基であり、例えばメチル、
エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、t−ブチ
ル、ヘキシル、オクチル、デシル等が挙げられる。
又、本反応に用いられるリパーゼとしては、一般に市
販されているものを用いることができ、例えばシユード
モナス フルオレツセンス由来のリパーゼPS(天野製
薬)、リパーゼP(天野製薬)等が好適である。
本反応溶媒の非プロトン性極性エーテルとしては、例
えばジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
反応温度は10〜30℃の範囲が適用でき、25℃付近が好
適である。反応時間は18〜48時間で終了し、好収率で目
的物を得ることができる。一般式(2)で表わされるカ
ルボン酸無水物又はカルボン酸ビニルエステルの使用割
合は一般式(1)で表わされるヌクレオシド類1当量に
対し、2〜5当量、好ましくは2〜3当量使用する。リ
パーゼの使用割合は一般式(1)で表わされるヌクレオ
シド類の重量に対し0.5〜3倍重量、好ましくは等重量
使用する。
本反応で得られた化合物は、通常の分離手段、抽出、
分液、濃縮、再結晶、カラムクロマトグラフイー等によ
り単離精製することができる。
(実 施 例) 以下に本発明の実施例を示す。
実施例1 2′−デオキシ−5−フルオロウリジン250mg(1mmol
e)及び酢酸ビニル300mg(3mmole)をジオキサン10mlに
溶解し、次いで、リパーゼPS(天野製薬)250mgを加
え、室温で一夜撹拌放置した。反応が終了したことを液
体クロマトグラフイーで確認した後、酵素を減圧下、
取し、液を酢酸エチル20ml、水30mlで水洗抽出した。
有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧留去
し、カラムクロマトグラフイーにより単離精製(溶出液
ヘキサン:酢酸エチル=1:1)することにより目的物で
ある3′−アセチル−2′−デオキシ−5−フルオロウ
リジン180mg(収率80%)を得た。1 H−NMR(DMSO−d6) δppm 2.06(3H,s,−COCH3) 2.20〜2.40(2H,m,H−2′) 3.50〜3.70(2H,m,H−5′) 3.90〜4.10(1H,br,H−4′) 5.10〜5.31(2H,br,H−3′,5′−OH) 6.16(1H,t,H−1′) 8.21(1H,d,H−6) 実施例2 出発原料として5,5,5−トリフルオロチミジン及び酢
酸ビニルを用いた以外は実施例1と同様の操作により
3′−アセチル−5,5,5−トリフルオロチミジンを収率8
0%で得た。1 H−NMR(DMSO−d6) δppm 2.06(3H,s,−COCH3) 2.20〜2.50(2H,m,H−2′) 3.52〜3.75(2H,m,H−5′) 4.00〜4.19(1H,br,H−4′) 5.08〜5.40(2H,br,H−3′,5′−OH) 6.08(1H,t,H−1′) 8.62(1H,d,H−6) 11.80(1H,brs,N3−H) 実施例3 出発原料として2′−デオキシ−5−ブロモウリジン
及び酢酸ビニルを用いた以外は実施例1と同様の操作に
より3′−アセチル−2′−デオキシ−5−ブロモウリ
ジンを収率40%で得た。1 H−NMR(DMSO−d6) δppm 2.05(3H,s,−CH3) 2.15〜2.40(2H,m,H−2′) 3.55〜3.75(2H,m,H−5′) 3.90〜4.08(1H,m,H−4′) 5.05〜5.40(2H,br,H−3′,5′−OH) 6.12(1H,t,H−1′) 8.33(1H,s,H−6) 実施例4 出発原料として2′−デオキシアデノシン及び酢酸ビ
ニルを用いた以外は実施例1と同様の操作により3′−
アセチル−2′−デオキシアデノシンを収率60%で得
た。1 H−NMR(DMSO−d6) δppm 2.10(3H,s,−CH3) 2.30〜2.60(2H,m,H−2′) 3.48〜3.72(2H,m,H−5′) 3.92〜4.20(1H,br,H−4′) 5.20〜5.55(2H,br,H−3′,5′−OH) 6.35(1H,t,H−1′) 7.32(2H,s,−NH2) 8.12(1H,s,H−8) 8.32(1H,s,H−2) 実施例5 2′−デオキシウリジン228mg(1mmole)及び無水カ
プロン酸260mg(3mmole)をジオキサン10mlに溶解し、
次いでリパーゼPS(天野製薬)228mgを加え、室温で一
夜撹拌放置した。酵素を減圧下、取し、液を酢酸エ
チル20ml、水30mlで水洗抽出した。有機層を無水硫酸ナ
トリウムで乾燥した後、減圧留去し、カラムクロマトグ
ラフイーにより単離精製(溶出液ヘキサン:酢酸エチル
=1:2)にすることにより目的物である3′−ヘキサノ
イル−2′−デオキシウリジン130mg(収率40%)を得
た。1 H−NMR(DMSO−d6) δppm 0.84(3H,s,−CH3) 1.10〜1.75(6H,m,−(CH2−) 2.10〜2.40(4H,m,H−2′,−CH2CO−) 3.50〜3.70(2H,m,H−5′) 3.85〜4.05(1H,br,H−4′) 5.10〜5.30(2H,br,H−3′,5′−OH) 5.65(1H,d,H−5) 6.14(1H,t,H−1′) 7.84(1H,d,H−6) 11.20(1H,brs,N3−H) 実施例6 出発原料として5,5,5−トリフルオロチミジン及び無
水カプロン酸を用いた以外は実施例5と同様の操作によ
り3′−ヘキサノイル−5,5,5−トリフルオロチミジン
を収率94%で得た。1 H−NMR(DMSO−d6) δppm 0.86(3H,s,−CH3) 1.00〜1.85(6H,m,−(CH2−) 2.05〜2.60(4H,m,H−2′,−CH2CO−) 3.55〜3.70(2H,m,H−5′) 3.80〜4.03(1H,br,H−4′) 5.10〜5.30(2H,br,H−3′,5′−OH) 6.08(1H,t,H−1′) 8.70(1H,d,H−6) 11.80(1H,br,N3−H) 実施例7 溶媒としてテトラヒドロフランを用いた以外は実施例
1と同様の操作により3′−アセチル−2′−デオキシ
−5−フルオロウリジンを収率72%で得た。尚、1H−NM
Rの値は実施例1の化合物と同じである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中、Bは置換又は非置換核酸塩基を示す)で表わさ
    れる2′−デオキシヌクレオシド類に一般式 (式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基、R2は炭素数1
    〜10のアルキルカルボニル基又はビニル基を示す)で表
    わされるアシル供与体を非プロトン性極性エーテル溶媒
    中、リパーゼの存在下反応させ、一般式 (式中、B及びR1は前記と同一の意味を示す)で表わさ
    れる化合物に導くことを特徴とする2′−デオキシヌク
    レオシド類の選択的アシル化方法。
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