JP2747554B2 - アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、高耐食性を有するアルミニウム・亜鉛合金
めっき鋼板の製造方法に関する。
[従来の技術] 従来にあっては、鉄鋼材料の防食に対しては溶融亜鉛
めっきが一般的に行なわれている。近年、塩害、酸性雨
等の問題から高耐食性の要求が益々強くなってきてい
る。高耐食性を付与する手段としてアルミニウム・亜鉛
合金めっき被覆をした製品が開発され、亜鉛鉄板よりも
高耐食性を有することが知られている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、構造物及びその部材については未だ溶
融亜鉛めっき被覆物が一般的であり、適用用途、例えば
海岸等塩害発生地域においては高耐食性を有するアルミ
ニウム・亜鉛合金めっき被覆物の適用が要望されてい
る。
ところで、鉄鋼材料(建物を含む)表面に大気中でア
ルミニウム・亜鉛合金めっきを行う場合、溶融亜鉛めっ
きと同様にして行うが、前処理で用いるフラックスとし
て通常溶融亜鉛めっき等で用いられている塩化亜鉛及び
塩化アンモニウムを用いるとアルミニウムと反応してフ
ラックスを破壊し、良好なめっきが得られないものであ
る。これは、特に、溶融アルミニウム・亜鉛合金浴中の
アルミニウムの含有量が多い場合に顕著である。一方、
合金めっき被覆においてはアルミニウムの含有量が多い
程耐食性が良いものであり、このため、特殊なフラック
スの開発が臨まれているのであるが、最適なフラックス
は未だ開発されていないのが現状である。また、アルミ
ニウムの含有量が多い程上記のように耐食性が良くなる
が、反面、アルミニウムは鉄に対する犠牲防食効果がな
いのでアルミニウムの含有量が多いほど傷がつくと傷付
き部分から下の鉄が腐食しやすいという問題がある。
本発明は上記の従来例の問題点に鑑みてなされたもの
であって、その目的とするところは、溶融アルミニウム
・亜鉛合金浴のアルミニウムの含有量を大きくでき、更
に、最外層においては、アルミニウムのリッチな層を形
成して高耐食性を付与し、また、最外層より内側の層は
アルミニウムの含有率を最外層よりも少なくすることで
亜鉛の含有率を高めて鉄に対する犠牲防食効果を発揮さ
せるようにするアルミニウム・亜鉛合金溶融めっき鋼板
及びその製造方法を提供するにある。
[課題を解決するための手段] 本発明のめっき鋼板は、鋼板1に、順次アルミニウム
・鉄・亜鉛・シリコン合金層4、亜鉛のリッチなアルミ
ニウム・亜鉛・シリコン合金層2及びアルミニウムのリ
ッチなアルミニウム・亜鉛合金層3を被覆して成るもの
であり、本発明の製造方法は、鋼板1を450〜600℃の溶
融亜鉛浴に浸漬し、鋼板1を溶融亜鉛浴から取り出した
後、シリコンを含む600〜650℃の溶融アルミニウム・亜
鉛合金浴に浸漬し、溶融アルミニウム・亜鉛合金浴から
引き上げた鋼板1を冷却してアルミニウム・亜鉛合金め
っき層を形成するに当たり、450℃〜500℃まで急冷して
アルミニウム・亜鉛合金めっき層の最外層にアルミニウ
ムのリッチなアルミニウム・亜鉛合金層3を形成し、そ
の後徐冷して最外層より内部にアルミニウム・亜鉛・シ
リコン合金層を凝固形成することを特徴とするものであ
り、この構成により上記技術課題が解決されたものであ
る。
[作用] 最外層にアルミニウムのリッチなアルミニウム・亜鉛
合金層3が形成されているので、高耐食性に優れ、ま
た、中間層が亜鉛に富んだアルミニウム・亜鉛合金めっ
き層2であることで、アルミニウムによる耐食性の向上
とともに亜鉛による犠牲防食効果に優れ、更に、最下層
のアルミニウム・鉄・亜鉛・シリコンの合金層4は耐食
性が高くアルミニウム・亜鉛・シリコン合金層2に対し
て電位は貴であり、合金層4への腐食の進行は抑制され
るものである。製造に際しては、鋼板1を溶融亜鉛浴に
浸漬し、鋼板1を溶融亜鉛浴から取り出した後、溶融ア
ルミニウム・亜鉛合金浴に浸漬することで溶融亜鉛浴で
得られる鉄・亜鉛合金めっき層には次のアルミニウム・
亜鉛合金浴中のアルミニウムとシリコンが拡散し、鉄と
選択的に反応して鉄・アルミニウム・シリコン合金層2
が形成される。しかも、溶融アルミニウム・亜鉛合金浴
から引き上げた鋼板1を冷却するに当たり、450〜500℃
までの急冷によりアルミニウムが凝固点より低くなって
急速に凝固し、この時亜鉛は未だ溶融状態なのでアルミ
ニウムが固まるにしたがって下方に押しやられ、この結
果最外層にアルミニウムのリッチな層3を形成できるも
のである。このように、鋼板1上にアルミニウム・亜鉛
合金めっき層を形成し、このアルミニウム・亜鉛合金め
っき層の最外層にアルミニウムのリッチなアルミニウム
・亜鉛合金層3を形成することにより高耐食性が得ら
れ、また、最外層より内側のアルミニウム・亜鉛・シリ
コン合金層2においては最外層よりもアルミニウムの含
有率が低くなることで亜鉛の含有率を高め、この亜鉛の
含有率を最外層よりも高めたアルミニウム・亜鉛・シリ
コン合金層2により鋼板の素地に対する犠牲防食が得ら
れるものである。更に、急冷して最外層にアルミニウム
のリッチな層を形成し、その後徐冷するので、最外層よ
り内部のアルミニウム・亜鉛・シリコン合金層2にはア
ルミニウム・亜鉛合金浴中のアルミニウムとシリコンが
拡散し、鉄・アルミニウム・亜鉛・シリコン合金層4が
形成され、この合金層4により、耐食性が更に向上する
ものである。
以下本発明を詳細に説明する。
第1図にはアルミニウム・亜鉛合金溶融めっき鋼板の
概略断面図が示してある。本発明にあっては、被めっき
物は鋼板1(鋳物を含む)である。そして、例えば厚み
は2.3〜16mmの範囲のものが採用される。
この鋼板1がまず一般の溶融亜鉛めっきと同様にして
脱脂−水洗−酸洗−水洗−フラックス処理と前処理され
て溶融亜鉛浴に浸漬される。脱脂は、NaOH又はNaOH+Na
2O・2SiO2・nH2Oの水溶液に浸漬(油脂分の落ちが悪い
場合は電解付与)し、水洗して行う。フラックス処理
は、塩化亜鉛と塩化アンモニウムの混合液で処理され
る。フラックス処理した後は、鋼板は予熱されてフラッ
クスが乾燥される。予熱温度は150℃〜300℃、好ましく
は200℃〜250℃である。この予熱により鋼板に付着した
フラックスの水分を蒸発させると共に次のめっきを行う
ようにする。尚、予熱温度が300℃を越えるとフラック
スが破壊して鋼板が酸化してしまう。
溶融亜鉛浴は450℃〜600℃であり、一般的に行なわれ
るめっき温度(440℃〜480℃)よりも相当高く、これに
よりめっき層全体に鉄・亜鉛合金層が形成されることに
なる。この溶融亜鉛浴の温度は薄くて均質な鉄・亜鉛合
金層を形成させるためには、好ましくは500℃〜560℃で
ある。浸漬時間は10秒〜5分である。すなわち、小物と
か薄物の場合は10秒程度であり、厚物では180秒、大型
加工品にあっては5分位である。
次に、溶融亜鉛浴から取り出した鋼板1は、溶融アル
ミニウム・亜鉛合金浴に浸漬される。この場合、鋼板1
を溶融亜鉛浴から取り出した後、直ちに、即ち、鋼板1
の温度が大きく低下しないで、且つ表面の鉄・亜鉛合金
層の外側の純亜鉛層が酸化しない間に、溶融アルミニウ
ム・亜鉛合金浴に浸漬するのが、作業性を向上させるた
めにも好ましい。もちろん、溶融亜鉛めっき後、一度冷
却された後に鋼板1を、溶融アルミニウム・亜鉛合金浴
に浸漬してもよいが、この場合にはめっき層が厚くな
り、その合金層も厚くなり、不均質となって、表面層も
品質的に不安定になる恐れがある。溶融アルミニウム・
亜鉛合金浴は約50〜60重量%のアルミニウムを含有して
おり、そのめっき温度はアルミニウム含有量に対応させ
て600℃〜650℃である。即ち、アルミニウム・亜鉛合金
はアルミニウム含有量により融点が変わるものであり、
例えば50%アルミニウムは570℃、55%アルミニウムは5
90℃、60%アルミニウムは600℃であり、めっき温度は
通常これら融点よりも30℃〜50℃高温で実施される。
又、この溶融アルミニウム・亜鉛合金浴には0.5〜3.0重
量%のシリコン(Si)が含まれている。浸漬時間は10秒
〜5分である。即ち、小物とか薄物の場合は10秒程度で
あり、厚物では180秒、大型加工品にあっては5分位で
ある。浸漬時間が短いとめっき組織が不均質となり、逆
に長すぎると、合金層が厚くなり、めっき層の表層の厚
みが小さくなって耐食性が低下する。
このように溶融亜鉛めっきを施した鋼板1を溶融アル
ミニウム・亜鉛合金浴に浸漬した後、溶融アルミニウム
・亜鉛合金浴から引き上げた鋼板1を冷却してアルミニ
ウム・亜鉛合金めっき層を形成するのであるが、本発明
においてはこの冷却に当たり、450℃〜500℃まで急冷し
て最外層にアルミニウムのリッチなアルミニウム・亜鉛
合金層3を形成するのである。つまり、溶融アルミニウ
ム・亜鉛合金浴から引き上げた状態の600℃〜650℃から
約450℃〜500℃に急冷するとアルミニウムが凝固点より
低くなるので凝固するが、この時、急冷により凝固する
アルミニウムと溶融状態の亜鉛とが分離し、アルミニウ
ムが凝固するにしたがって亜鉛が下に押やられる(表層
からアルミニウムが固まっていくので亜鉛の逃げ場が無
くなって亜鉛は下に押しやられる)。この結果、最外層
にはアルミニウムのリッチなアルミニウム・亜鉛合金層
3が形成されることになる。ここで、急冷の方法として
は色々考えられるが、素早く行うことが必要であるた
め、エアーブローとともに水噴霧を付加することが良好
である。冷却速度としては3℃/sec以上、好ましくは5
℃/sec以上とする。上記のように約450℃〜500℃に急冷
してアルミニウムのリッチな最外層3を形成したのち、
徐冷、即ち、上記冷却速度よりも小さな冷却速度、例え
ば2℃/sec以下、で約300℃程度まで冷却する。このゆ
っくりした冷却速度で冷却することで、上記アルミニウ
ムのリッチな最外層3の下に亜鉛に富むアルミニウム・
亜鉛・シリコン合金めっき層2が形成される。ところ
で、鋼板のめっき層である鉄・亜鉛合金層(すなわち最
下部層)はアルミニウムの拡散速度が大で、またアルミ
ニウムと鉄との親和力が大(反応速度が大きい)である
ことから、合金化反応により形成された若干の亜鉛を含
むアルミニウム・鉄・亜鉛・シリコンの合金層4が形成
されることになる。上記合金層4は耐食性が高く上層の
アルミニウム・亜鉛・シリコン合金層2に対して電位は
貴であり、合金層4への腐食の進行は抑制される。とこ
ろで、約300℃まで冷却すると、めっき層は全体として
凝固するので、その後は常温まで急冷するものであり、
このように急冷することで作業時間を短縮することがで
きる。300℃以下において急冷しても、すでにめっき層
が凝固しているので急冷の影響を受けないものであっ
て、急冷しても支障がない。第2図に本発明のめっき層
の温度と冷却時間との関係を示すグラフが示してある。
本発明は亜鉛めっきとアルミニウム・亜鉛合金めっき
といういわゆる二段階めっき方法であるが、得られたア
ルミニウム・亜鉛合金めっき製品は最外層にアルミニウ
ムのリッチなアルミニウム・亜鉛合金層3が形成されて
いるので、高耐食性に優れ、また、中間層が亜鉛に富ん
だアルミニウム・亜鉛合金めっき層2であることで、ア
ルミニウムによる耐食性の向上とともに亜鉛による犠牲
防食効果に優れ、更に、最下層のアルミニウム・鉄・亜
鉛・シリコンの合金層4は耐食性が高くアルミニウム・
亜鉛合金層2に対して電位は貴であり、合金層4への腐
食の進行は抑制されるものである。
次に本発明の実施例を説明する。
(実施例1) 鋼板として厚み2.3mm、幅50mm、長さ100mmの圧延鋼板
を用い、前処理として通常の亜鉛めっきにおいて行なわ
れている脱脂−水洗−酸洗−水洗−フラックス処理(塩
化亜鉛と塩化アンモニウムの水溶液)を行った後、予熱
装置でフラックスを乾燥させ、鋼板を約150℃〜200℃に
予熱した。
次いで、鋼板を溶融亜鉛めっき浴470℃に60sec浸漬し
た。
この後、鋼板を取り出して615℃に調整した55重量%
アルミニウム、43.4重量%亜鉛、1.6重量%シリコンの
溶融アルミニウム・亜鉛合金浴に60sec浸漬した。
その後、鋼板を取り出して水冷(水中浸漬)により48
0℃まで5℃/secの冷却速度で急冷し、480℃となった時
点でエアブローによる空冷に切り替えて300℃まで2℃/
secで緩やかに冷却し、300℃となった時点で水冷により
常温まで急冷した。
(実施例2) 鋼板として厚み9mm、幅50mm、長さ100mmの圧延鋼板を
用い、前処理として通常の亜鉛めっきにおいて行なわれ
ている脱脂−水洗−酸洗−水洗−フラックス処理(塩化
亜鉛と塩化アンモニウムの水溶液)を行った後、予熱装
置でフラックスを乾燥させ、鋼板を約150℃〜200℃に予
熱した。
次いで、鋼板を溶融亜鉛めっき浴470℃に60sec浸漬し
た。
この後、鋼板を取り出して630℃に調整した55重量%
アルミニウム、43.4重量%亜鉛、1.6重量%シリコンの
溶融アルミニウム・亜鉛合金浴に60sec浸漬した。
その後、鋼板を取り出して水噴霧(ウオータスプレ
ー)により480℃まで5℃/secの冷却速度で急冷し、480
℃となった時点でエアブローによる空冷に切り替えて30
0℃まで2℃/secで緩やかに冷却し、300℃となった時点
で水冷により常温まで急冷した。
(比較例) 鋼板として厚み9mm、幅50mm、長さ100mmの圧延鋼板を
用い、前処理として通常の亜鉛めっきにおいて行なわれ
ている脱脂−水洗−酸洗−水洗−フラックス処理(塩化
亜鉛と塩化アンモニウムの水溶液)を行った後、予熱装
置でフラックスを乾燥させ、鋼板を約150℃〜200℃に予
熱した。
次いで、鋼板を溶融亜鉛めっき浴470℃に60sec浸漬し
た。
この後、鋼板を取り出して615℃に調整した55重量%
アルミニウム、43.4重量%亜鉛、1.6重量%シリコンの
溶融アルミニウム・亜鉛合金浴に60sec浸漬した。
その後、鋼板を取り出して空冷により370℃まで2℃/
secの冷却速度で緩い冷却を行い、その後、水冷により
常温まで急冷した。
上記実施例1におけるめっき層断面をEPMAにより線分
析した結果を第3図に示し、実施例2におけるめっき層
断面をEPMAにより線分析した結果を第4図に示し、比較
例におけるめっき層断面をEPMAにより線分析した結果を
第5図に示す。この第3図乃至第5図から明らかなよう
に、実施例1及び実施例2においてはアルミニウム・鉄
・亜鉛・シリコンの合金層4である下層とアルミニウム
・亜鉛・シリコン合金層2の中間層とアルミニウムがリ
ッチな層となった最外層のアルミニウム・亜鉛合金層3
との3層構造になっているが、比較例のものは中間層が
なくてアルミニウム・鉄・亜鉛・シリコンの合金層4で
ある下層とアルミニウム・亜鉛・シリコン合金めっき層
2である最外層との2層によりめっき層が形成されてい
ることが判明する。尚、第3図及び第4図から明らかな
ように、合金層4と鋼板1の素地との界面には最下層と
して数μのアルミニウム・亜鉛・シリコン合金層が形成
されている。ここで、実施例1においては下層は58μ、
中間層は70μ、最外層は20μであり、全体のめっき厚は
148μである。そして最外層においてはアルミニウムが6
0%、亜鉛が32%でアルミニウム:亜鉛=1.88:1であっ
て、アルミニウムがリッチであることが判る。また、実
施例2においては下層は28μ、中間層は17μ、最外層は
10μであり、全体のめっき厚は55μである。そして、最
外層においてはアルミニウムが58%、亜鉛が32%でアル
ミニウム:亜鉛=1.81:1であって、アルミニウムがリッ
チであることが判る。また、比較例においては下層は28
μであり最外層が44μであり、全体のめっき厚は72μで
ある。そして最外層においてはアルミニウムが51%、亜
鉛が43%でアルミニウム:亜鉛=1.19:1であって、実施
例1や実施例2にくらべて亜鉛に対してアルミニウムが
特にリッチであるとは言えないことが判る。
[発明の効果] 本発明のめっき鋼板にあっては、最外層にアルミニウ
ムのリッチなアルミニウム・亜鉛合金層が形成されてい
るので、高耐食性に優れ、また、中間層が亜鉛に富んだ
アルミニウム・亜鉛・シリコン合金層であることで、ア
ルミニウムによる耐食性の向上とともに亜鉛による犠牲
防食効果に優れ、更に、下層のアルミニウム・鉄・亜鉛
・シリコンの合金層は耐食性が高くアルミニウム・亜鉛
・シリコン合金層に対して電位は貴であり、下層の合金
層への腐食の進行は抑制されるものである。
又、本発明の製造方法にあっては、鋼板を溶融亜鉛浴
に浸漬し、鋼板を溶融亜鉛浴から取り出した後、溶融ア
ルミニウム・亜鉛合金浴に浸漬することで溶融亜鉛浴で
得られる鉄・亜鉛合金めっき層には次のアルミニウム・
亜鉛合金浴中のアルミニウムとシリコンがに拡散し、鉄
と選択的に反応して鉄・アルミニウム・シリコン合金層
が形成される。しかも、溶融アルミニウム・亜鉛合金浴
から引き上げた鋼板を冷却するに当たり、450〜500℃ま
での急冷によりアルミニウムが凝固点より低くなって急
速に凝固し、この時亜鉛は未だ溶融状態なのでアルミニ
ウムが固まるにしたがって下方に押しやられ、この結果
最外層にアルミニウムのリッチな層を形成できるもので
ある。このように、鋼板上にアルミニウム・亜鉛合金め
っき層を形成し、最外層にアルミニウムのリッチなアル
ミニウム・亜鉛合金層を形成することにより高耐食性が
得られ、また、最外層より内側のアルミニウム・亜鉛・
シリコン合金層においては最外層よりもアルミニウムの
含有率が低くなることで亜鉛の含有率を高め、この亜鉛
の含有率を最外層よりも高めたアルミニウム・亜鉛・シ
リコン合金層により鋼板の素地に対する犠牲防食が得ら
れるものである。更に、急冷してアルミニウム・亜鉛・
シリコン合金めっき層の最外層にアルミニウムのリッチ
なアルミニウム・亜鉛合金層を形成し、その後徐冷する
ので、最外層より内部のアルミニウム・亜鉛・シリコン
合金めっき層にはアルミニウム・亜鉛合金浴中のアルミ
ニウムとシリコンが拡散し、下層に鉄・アルミニウム・
亜鉛・シリコン合金層が形成され、この合金層により、
耐食性が更に向上するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の断面図、第2図は本発明のめっき層の
温度と冷却時間との関係を示すグラフ、第3図は本発明
のアルミニウム・亜鉛合金めっき被覆物の実施例1にお
けるめっき層の断面のEPMAによる線分析を示すグラフ、
第4図は同上のアルミニウム・亜鉛合金めっき被覆物の
実施例2におけるめっき層の断面のEPMAによる線分析を
示すグラフ、第5図はアルミニウム・亜鉛合金めっき被
覆物の比較例におけるめっき層の断面のEPMAによる線分
析を示すグラフであって、1は鋼板、2はアルミニウム
・亜鉛・シリコン合金めっき層、3はアルミニウム・亜
鉛合金層、4はアルミニウム・鉄・亜鉛・シリコンの合
金層である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹田 正憲 兵庫県尼崎市杭瀬南新町3丁目2番1号 大同鋼板株式会社内 (56)参考文献 特開 昭53−81434(JP,A) 特開 昭50−59234(JP,A) 特開 昭59−208061(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板に、順次アルミニウム・鉄・亜鉛・シ
    リコン合金層、亜鉛のリッチなアルミニウム・亜鉛・シ
    リコン合金層及びアルミニウムのリッチなアルミニウム
    ・亜鉛合金層を被覆して成ることを特徴とするアルミニ
    ウム・亜鉛合金めっき鋼板。
  2. 【請求項2】鋼板を溶融亜鉛浴に浸漬し、鋼板を溶融亜
    鉛浴から取り出した後、シリコンを含む600〜650℃の溶
    融アルミニウム・亜鉛合金浴に浸漬し、溶融アルミニウ
    ム・亜鉛合金浴から引き上げた鋼板を冷却してアルミニ
    ウム・亜鉛合金めっき層を形成するに当たり、450〜500
    ℃まで急冷してアルミニウム・亜鉛合金めっき層の最外
    層にアルミニウムのリッチなアルミニウム・亜鉛合金層
    を形成し、その後徐冷して最外層より内部に亜鉛のリッ
    チなアルミニウム・亜鉛・シリコン合金層を凝固形成す
    ることを特徴とするアルミニウム・亜鉛合金溶融めっき
    鋼板の製造方法。
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