JP2747372B2 - モジュールディスクブレーキ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、モジュールディスクブレーキに関し、更に
詳しくは、関連したキャリアから取り外しできるピスト
ンハウジングを有するモジュールディスクブレーキに関
する。

多くの形式の乗り物用に非常に多くの形式のディスク
ブレーキが提案されている。成功とわかったディスクブ
レーキの設計は、典型的には、広い範囲の乗り物に適用
できるものである。設計変更は、たとえあるにしても、
基本的なディスクブレーキ構造を大変多くの乗り物に適
用できるように、比較的小さくなければならない。この
ブレーキの基本的な概念を多くの種類の乗り物に適用で
きるように、容易に変更できるようなブレーキを提供す
ることが極めて望ましい。このディスクブレーキは、大
変強い構造で、しかも、軽量であるべきである。このデ
ィスクブレーキは、ライニングの摩耗調整と高圧補償の
ための機構を備えるべきであり、更に、簡単で、且つ、
非常に信頼できなければならないそのような機構を提供
するために容易に製造できるべきである。このディスク
ブレーキは、簡単且つ安価であるパーキングブレーキの
特徴を備え、更に、その作動時に大変信頼でき且つ効率
的であるべきである。このディスクブレーキは、部分が
互いに作用し合うとき、大きながたつき騒音を受けるべ
きでなく、従って、がたつき防止機構を備えるべきであ
る。このディスクブレーキは、製造誤差を補償するよう
なブレーキ摺動可能部分取付け構造を備えるべきであ
る。このディスクブレーキは、設置部品及び摺動部品が
互いに平行に維持されるように取付けられ、従って、こ
れらの部品をディスクブレーキの摺動運動を制限するよ
うに変形させたり拘束させたりしないようにすべきであ
る。

本発明は、中央開口とピン開口を備えた一対のピン支
持部分とを有する支持部材と、２つのピンによって該支
持部材に摺動自在に取付けられたキャリアとを備え、該
キャリアが前記ピン支持部分に跨がり且つ前記ピンの両
方を固定的に受入れ、前記ピンの一方が前記ピンの他方
より大きな直径を有し、この大きな直径のピンはスリー
ブ部材を介してこれが関連したピン開口を通って延び且
つこれに摺動自在に受け入れられ、前記スリーブ部材は
前記他方のピンを受け入れる貫通開口を有し、該貫通開
口は前記スリーブの長手方向中心軸線に対して偏心して
配置され、該貫通開口は前記他方のピンとの接触箇所を
実質的に与えるように前記スリーブの軸線方向中央部分
で狭くなり、前記キャリア部材は内側ハウジング開口を
形成するように内方側部と外方側部と間隔を隔てた側部
とを有し、キャリアによって前記キャリア開口内に摺動
自在に受け入れられたモジュルを有するピストンハウジ
ングを備え、前記キャリア及びピストンハウジングの一
方が摺動当接部を有し、前記キャリアとピストンハウジ
ングの他方が摺動凹部を有するモジュールディスクブレ
ーキを提供することによって上記問題点の全てを解決す
る。

以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。

図１は、本発明によるモジュールディスクブレーキの
外方側面図であり、 図２は、本発明によるモジュールディスクブレーキの
平面図であり、 図３は、ピストンハウジングの等大の図面であり、 図４は、ディスクブレーキパッドの一方の図面であ
り、 図5A乃至図5Cは、２つの支持ピンの小さい方のまわり
に用いられる補償スリーブの図面であり、 図6A乃至図6Cは、スリーブと大きな支持ピンとの間に
平行な整列を与えるために、補償スリーブ内に２つの支
持ピンの小さい方が受入れられた概略図であり、 図７は、ディスクブレーキのレールに取付けられたス
ライダの側面図であり、 図８は、図７の８−８線に沿った図面であり、 図９は、図７の９−９線に沿った図面であり、 図10は、摺動当接部即ちキャリアのレール部材に取付
けられたスライダの概略図であり、 図11は、パーキングブレーキ機構及びライニングの摩
耗調整機構の部分を一部分切除して示すモジュールディ
スクブレーキの端面図であり、 図12は、ライニングの摩耗調整及び圧力補償機構を、
ピストンの休止位置で示すピストンハウジングの概略的
な断面図であり、 図13は、ピストンをピストンハウジングから変位させ
た圧力補償機構の作動の図面であり、 図14は、ブレーキシュー或いは支持板を有しないブレ
ーキパッドをもつモジュールディスクブレーキの第２実
施例の図面であり、 図15乃至図17は、ブレーキシュー或いは支持板を有し
ないブレーキパッドの実施例である。

本発明のモジュールディスクブレーキを、図１、図２
及び図11に、全体的に参照番号10で示す。モジュールデ
ィスクブレーキ10は、ナックルに直接取付けられた、或
いは、取付けプレートを介して取付けられた支持部材12
を備える。支持部材12は、各側部がピン支持部分16、18
によって境界付けられた、中央開口14を備える。ピン支
持部分16、18は、ロータ11の外周縁を超えて延びる（図
２参照）。ピン支持部分18は、大きな直径のピン22を受
け入れる貫通ピン開口20を備える。ピン支持部分16は、
補償スリーブ部材26と小さな直径のピン28とを中に備え
る通しピン開口24を備える。ピンの各々は、ナット31に
よってキャリア30に固定的に取付けられ、キャリアがそ
れぞれのピン支持部分16、18に対して摺動できるように
している。変形例では、ピン22、28をキャリア30のネジ
山に螺合するか、あるいは、ネジ山付きインサートをピ
ンのネジ山を受け入れるようにキャリア内に配置しても
よい。ピン22はピンブーツ22Iと22Qを備え、ピン28はピ
ンブーツ28Iと28Qを備える。キャリア30は、内方側部32
と外方側部34と、側部36、38とを有する一体のアルミニ
ウム製部材を備える。側部32、34、36、38は、摺動可能
なピストンハウジング60を受け入れるハウジング及びパ
ッド用開口40を境界付ける。側部36、38は、各々、ピス
トンハウジング60のそれぞれの摺動用凹部62、64に受け
入れられるそれぞれの摺動当接部、レール即ちレール部
材37、39を備える。各レール37、39には、図７乃至図10
に示し、後で詳しく説明するブレーキパッドスライダ50
が配置されている。スライダ50は、同じブレーキパッド
70、76とピストンハウジング60がキャリアに対して摺動
する能力を向上させ、一方、耐食摺動面を提供し、そし
て、外側ブレーキパッド76とピストンハウジング60の保
持を行う。

図２乃至図４を参照すると、ピストンハウジング60
は、アルミニウムピストンを備えた略正方形に形作られ
たアルミニウムハウジングを有し、前記アルミニウムピ
ストンは、支持板72と摩擦材料73とからなる内側ブレー
キパッド70に係合するようにアルミニウムハウジングの
外方に延びる。同一の外側ブレーキパッド76は、支持板
78と摩擦材料79とからなる。支持板72、78の各々は、関
連したレール37、39とスライダ50を受け入れる凹部75、
77を備える（図４参照）。ブレーキの液圧が、入口取付
け部品80に伝えられるときには、ピストンハウジング内
の液圧は、ピストン65を、ロータ11に係合する内側ブレ
ーキパッド70に向って外方に変位させる。反作用によっ
て、キャリア30を図２の矢印Ａの方向に変位させ、外側
ブレーキパッド76を、ロータの反対側の面と係合させ
る。ピストンハウジングは、上側アーム61A、61Bとほぼ
整列して配置されたブリードネジ90を備える。上側アー
ム66A、66Bが、上側アーム61A、61bから間隔をおいて設
けられている。キャリアレール37、39の各々は、それぞ
れ、一対のスロット37B、37BBと39A、39AAを備える。ピ
ストンハウジングは、下側アーム66AA、66BBがスロット
37BBと39AAの中を通るとき、下側アーム61AA、61BBがス
ロット37B、39Aの中を通るようにして、該ピストンハウ
ジングをキャリア開口40内に配置することよってキャリ
ア30に組付けられる。ハウジングの摺動凹部62、64がレ
ール37、39を受入れ、アーム部分61A、61AAと61B、61BB
が夫々停止部33、35でキャリアに当接するようにして、
ピストンハウジング60を、キャリアの内方側部32に向か
って移動させる。同様に、内側プレートパッド70と外側
ブレーキパッド76は、上側アーム（図４のパッド76の71
B、71A）を有し、これによって、図示するパッド76の下
側部分が、それぞれのスロット37BB、39AAの中を通り、
外側ブレーキパッド76が外方側部34に当接する。同様
に、内側ブレーキパッド70が、ピストン65に隣接して配
置される。

図5A乃至図5Cと図6A乃至図6Cを参照すると、補償スリ
ーブ26と該スリーブの小さな直径のピン28との係合が、
詳細に示されている。図5Aは、長手方向中心線Ａ−Ａに
対して偏心して配置された、軸線方向の偏心貫通開口27
と、ピンブーツ受け溝27Cとを備えるスリーブ26を示
す。加えて、貫通開口27は、全体的に参照番号29で示さ
れる中央部分で狭くなり即ち、より小さな直径を有す
る。この結果、長手方向の貫通開口27は、全体的に”砂
時計”型の軸線方向形状を有し、これによって、軸線方
向中央部分29は軸線方向端の開口27A、27Bより小さな直
径を有する。図5A、図5B及び図5Cの比較からもわかるよ
うに、長手方向の開口27は中心線Ａ−Ａに対して偏心し
ており、スリーブは非常に多くの回転位置に回転できる
ので、偏心した開口27が製造誤差を補償し、これによっ
てピン28、22がそれぞれのピン用開口に容易に配置され
そしてキャリア30に取付けられる。偏心貫通開口27は、
補償スリーブ26が、ピン開口24内で回転することができ
るので、異なる回転位置に配置されてもよい。図6A乃至
図6Cは、補償スリーブ26により、ブレーキの摺動手段即
ちスライダ機構（ピン22、28及びスリーブ26）をブレー
キの操作中に平行な整列状態にいかにして維持するかを
示す。大きな直径のピン22（図２参照）は支持部分18の
ピン開口20内に取付けられ、一方、小さな直径のピン28
は、スリーブ26の砂時計形状の長手方向の偏心開口27内
に配置される。ピン28は、ピン開口24内で回転でき且つ
軸線方向に摺動できるスリーブ26に対して軸線方向に摺
動しない。スリーブ26の端開口27A、27Bはピン28の直径
より大きいので、ピン28は軸線方向中央部分29でスリー
ブ26に係合する。この結果、大きな直径のピン22は、支
持部分18との２つの接触部分22A、22Bを有し、一方、小
さな直径のピン28はスリーブ26の軸線方向中央部分で１
つの接触部分を有する。この結果、ピン22、28を互いに
対して３点接触或いは取付けされ、これにより、大きな
直径のピン22と、小さな直径のピン28と補償スリーブ26
との組立体とからなるブレーキの摺動機構或いは手段
を、ピンが互いに平行でないにもかかわらず互いに平行
に維持する。このピン22とスリーブ26の間の連続的な平
行は、キャリア30が支持部12に対して摺動する能力を実
質的に増大させ、キャリア30の小さな不整列により、摺
動手段が非平行整列状態になり摺動を抑えることをなく
する。図6Bはスリーブ26と（そして、図示しないピン22
とも）平行に整列したピン28を示し、図6Aは、スリーブ
26と（そして、図示しないピン22とも）非平行に整列し
たピン28を示し、そして、図6Aは、図6Cに示す平行でな
い整列状態と反対方向の平行でない整列状態である。ピ
ン開口24に対して回転し、且つ、ピン用開口24に対して
軸線方向に摺動するスリーブの能力によって、スリーブ
26は、ピン28をスリーブ及び／又はピン22と非平行に整
列させるピン28のずれを補償し、その結果、キャリア30
が支持部材12に対して摺動する能力を悪化させない。

図７乃至図９を参照しながら、ブレーキパッドスライ
ダ即ちキャップ50をより詳細に説明する。図８に示すよ
うに、各スライダ50は、レール37、39とスナップフィッ
トする略Ｕ字状即ち帽子状に形づくられたステンレス鋼
製の部材を備える。各スライダ50は、折り曲げられた側
部分を備えた上部分52と、摺動フランジ56とを備える。
スライダ50は、左右がなく、従って、両レール37、39に
使用できる。各スライダ50は、スロット開口37B、37BB
及び39A、39AAと整列した一対のスロット開口53、55を
備える。スロット開口53はこれに隣接するタブ53Bを有
し、スロット開口55はこれに隣接するタブ55Bを備え
る。タブ53B、55Bは、スライダ50を位置決めするため
に、それぞれのレールのスロット37B、37BB及び39A、39
AAの中に延びる。側部分54は、スライダ50がレール37、
39にスナップフィットされるように互いに向かってわず
かに傾けられている。各フランジ56は、外側ブレーキパ
ッド76とピストンハウジング60とをキャリア30に対して
適所にそれぞれ保持するため、２つの移動止め突起57、
58を有する。ブレーキの組立て中に、外側ブレーキパッ
ド76が外方に移動して外方側部34と係合すると、上側面
76Aと下側面76B（図４）とが、移動止め突起57に係合
し、ブレーキパッド76がロータ11に向かって摺動できな
くなる。同様に、ピストンハウジング60は、停止部33、
35に当接する位置に移動したとき、ピストンハウジング
60がロータ11に向かって摺動しないようにする、それぞ
れの移動止め突起58に係合する各アーム部分61A、61A
A、61B、61BBの側部を有する。

図10を参照すると、概略的に示されたレール39の連結
レール面39Cが、上側面及び下側面39Rに直角に配置され
た線に対して約３°の角度で配置されている。連結面39
Cがこの角度で延びているので、スライダ50がこれに取
付けられ、ピストンハウジング及びブレーキパッドが、
ブレーキに組立てられたとき、スライダのたわんだ部分
の輪郭である点線で示されるように、スライダ50の上部
分52は、矢印Ｂの方向に押しやられ或いはたわませられ
る。これは、ピストンハウジング60、ブレーキパッド7
0、76に対する矢印Ｃの方向の反力を作り、そのガタツ
キを防ぐ。同じ構造が、レール37とこれに関連したスラ
イダ50に見られる。かくして、レール37、39とスライダ
50の構造を通るキャリア30は、”組込み式”ガタツキ防
止装置を提供する。

図11乃至図13を参照して、パーキングブレーキ機構
と、ライニングの摩耗調整と、圧力補償装置とを更に詳
細に説明する。図11には、パーキングブレーキレバー10
0が、レバーカム102がライニングの摩耗調整装置のネジ
112の端113に隣接して配置されるようにして、キャリア
30に回転可能に取付けられている。レバー100は戻しバ
ネ104によって休止位置に向かって付勢されている。パ
ーキングブレーキ用のブレーキを作動させるために、レ
バー100を、図示しないパーキングブレーキケーブルを
介して矢印Ｄ方向に回転させてもよい。図12及び図13を
参照すると、ピストンハウジング60は、収縮性シール64
を受け入れるピストンシール凹部63を有する内部ボア61
を備える。典型的なピストンブーツ79が、ピストンハウ
ジング60とピストン65の間に延びる。ピストン65は、全
体的に参照番号110で示されるライニングの磨耗調整と
圧力補償の装置を備えた内部開口69を備える。この装置
110は、ピストンハウジングの後側開口105を通り、レバ
ーカム102に係合するネジ端113まで延びるネジ112を備
える。ネジ112は、ナット115のネジ山に係合するネジ山
114を備える。ナット115は、流体通路凹部118を備えた
フランジ117を備える。ピストン65は、弾性手段即ちバ
ネ160用の基部を形成するピストンクリップ67を備え
る。弾性手段160は、ベアリング部材164の後側に係合す
るワッシャ162を付勢する。ベアリング部材164は、ナッ
ト115のフランジ117に当接している。ピストンボア61の
中に、内側に配置されたシール121を有する外側円筒カ
ラー120が配置されている。このカラー120は、カラー肩
部123と傾斜即ち円錐面124とを備える。外側カラー120
は、典型的には、ナット115のフランジ117と係合する円
錐クラッチを備える。内側カラー130は、外側カラー120
に摺動自在に且つ密封的に係合する隣接シール134を備
えるカラー肩部132を有する円筒部材を備える。カラー1
30は、外側カラー120のシール121に摺動自在且つ密封的
に係合する。内側カラーと外側カラーとの間にカラーチ
ャンバ即ち圧縮可能な空気ポケット140が配置されてい
る。チャンバ140は、ガス抜き孔を有しておらずシール1
21、134によってシールされているので、圧縮可能な空
気ポケットとなる。戻しバネ145がチャンバ140内に配置
されている。

液圧が、入口取付け部材80、通路81を通りボア61に入
ると、ピストン65が外側方向に変位して、内側ブレーキ
パッド70と係合する。ブレーキパッド70、76が摩耗する
と、ピストン65がボア61に対して更に外方に移動する、
そして、ピストン65が外方に移動するたびに、カラーの
円錐面124とナット115のフランジ117との間の係合力が
減少し、その結果ナット115は、それが弾性バネ160によ
って摺動するピストン65の方向に外方に付勢されたと
き、ネジに対し回転できる。しかしながら、過大な大き
さの液圧がボア61に伝えられた場合には、調整装置110
が過度に調整ないことが重要である。図13に示すよう
に、過度の流体圧がボア61に伝わると、内側カラー130
は液圧により矢印Ｅの方向に移動し、その結果カラー13
0がナット115と当接し、外側カラー120がナットのフラ
ンジ117から外れている間、ナットをネジ112に対して回
転させない。かくして、高圧加圧状態の間、ネジに対す
るナットの過度の調整を防ぐ。図11を参照すると、乗り
物の運転手がパーキングブレーキをかけたいとき、この
運転手は、パーキングブレーキレバー100を矢印Ｄの方
向に回動させる図示しないパーキングブレーキケーブル
を作動させる。カム部分102がネジ外側端113に係合し、
ピストン65が内側ブレーキパッド70とぶつかるように変
位させられて内側ブレーキパッド70及び外側ブレーキパ
ッド76をロータ11に係合させるように、ネジ112とハウ
ジング60とを付勢する。

図14を参照すると、モジュールディスクブレーキの第
２実施例が、全体的に参照番号210で示されている。モ
ジュールディスクブレーキ210は、図１、図２及び図11
に示すのと同じディスクブレーキと同じであり、同じ構
成要素は200を加えた同じ参照番号で示しているが、ピ
ストンハウジングが逆向きであり、この結果、ピストン
265が内方側部232にぶつかるように延び、ピストンハウ
ジング260を矢印Ｆの方向に軸線方向に摺動させる。ピ
ストンハウジング260が矢印Ｆの方向に軸線方向に摺動
すると、内側のブレーキシュー無し摩擦パック270がロ
ータ211に係合し、反作用で、キャリア230が矢印Ｇの方
向に摺動し、外側のブレーキシュー無しパック276をロ
ータ211に係合させる。ピストンハウジング260がロータ
211により近く配置され、ピストン265が静止しているの
で、ハウジング260の内方アームはスライダ250の移動止
め突起（図７及び図９の58）に係合しない。ディスクブ
レーキ210は、キャリア230に取付けられ、カム302をピ
ストン265と係合させるように回動可能なパーキングブ
レーキレバー300を備え、このレバー300が回動したとき
ピストン265とピストンハウジング260とが変位すような
パーキングブレーキ機構を備える。モジュールディスク
ブレーキ210は又、図12及び図13に示すように、ライニ
ングの摩耗調整及び圧力補償装置を備え、唯一の変更
は、レバー300のカム302がピストン265に係合するの
で、ネジ112がピストンハウジング260の外部に延びる必
要がないことである。図15乃至図17に示すように、ブレ
ーキシュー無しの摩擦パック270、276は、種々の形態を
取ってもよい。第１に、ピストンハウジングの壁261
は、摩擦パック270Aを受け入れ、これをハウジング260
に対して円周方向所定位置に維持する一対のほぼ垂直な
当接部261A、261Bを備えてもよい。当接部261A、261B
は、パック270Aを半径方向に動かないように間に捕捉す
るように、互いに向かって僅かに傾けられている。加え
て、図16に示すように、ハウジング260は、摩擦パック2
70Bを受け入れるためのハウジング凹部262を備えてもよ
い。図17は、ハウジング260が摩擦パック270Cに成形さ
れた軸線方向に延びるニブ273を受け入れる一対の円形
凹部263を備えている１を示す。図15乃至図17の内側ブ
レーキシュー無し摩擦パック270をピストンハウジング2
60と連結するための構造は、外方摩擦パック276を外方
側部234と壁235と連結するための構造（図４参照）と同
一であっても、或いは、異なっていてもよい。

ここで開示したモジュールディスクブレーキは、従来
のモジュールディスクブレーキにまさる価値ある利点を
与える。スライドイン式ピストンハウジング、ピストン
ハウジングのボアが変えられそして種々の寸法を備える
ことができるという、設計の融通性を与える。このモジ
ュールディスクブレーキでは、小さな直径のピン28を取
り外すだけで、容易にブレーキパッド交換とロータへの
アクセスとができ、簡単に修理ができる。ピン28を取り
外すと、キャリア30を大きな直径のピン22を中心に回転
させることができる。多くのディスクブレーキに用いら
れる伝統的なアンカプレートは除去され、これによって
ロータの寸法が融通性を有する。支持プレート12は、直
接ナックルに、或いは、取付けプレートを介して取付け
ることができる。アルミニウム製ピストンハウジング、
アルミニウム製キャリアのような別々の構成要素がモジ
ュールディスクブレーキ用に用いられているので、材料
選択の融通が大きくなる。モジュールディスクブレーキ
は、又、一体的なパーキング機構を備えたディスクブレ
ーキキャリパーを提供する。パーキング機構は、直接調
整ネジに、或いは、ピストンハウジングに作用し、パー
キング用締め付け力をつくり出す。ピストンハウジン
グ、ピストン及び支持部材12にアルミニウムを多量に使
用するので、モジュールディスクブレーキは大変に軽く
て、しかも、大変剛性の、強いキャリア30を備える。ピ
ストンハウジングは、異なった直径のピストンが用いら
れるように、容易に変えられる、これにより、このモジ
ュールディスクブレーキは広い範囲の乗り物に適用でき
る。加えて、ピストンボアの寸法を変更するだけで、乗
り物のブレーキバランスを容易に変更することができ
る。

スライダ50は、又、価値ある利点を与える。このスラ
イダは、キャリアのアルミニウム製レールで用いられた
時に、野外の要素や汚染物質に対する防護を行う耐食性
ステンレス鋼でできている。このステンレスは、ブレー
キパッドの鋼製シュープレートが摺動中、低摩擦を受け
るように、摺動力を低くする。移動止め突起は、外側ブ
レーキパッド及びピストンハウジングの両方を保持する
ようにする。外側ブレーキパッドはスライダによって保
持されているので、別のブレーキパッドクリップの必要
性が排除される。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 ＦＩ Ｆ１６Ｄ 65/095 Ｆ１６Ｄ 65/095 Ｂ Ｅ 65/097 65/097 Ｃ (72)発明者 テシア パトリック アレン アメリカ合衆国 インディアナ州 46530 グレンジャー プラシード ポ イント 51054 (56)参考文献 特開 昭60−157527（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−157525（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−82027（ＪＰ，Ａ) 実開 昭58−69131（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−69635（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−45230（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−102038（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭62−21147（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (10)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】中央開口（14）と、ピン開口（20、24）を
   備えた一対のピン支持部分（16、18）とを有する支持部
   材（12）と、 ２つのピン（22、28:222、228）によって、前記支持部
   材（12）に摺動自在に取付けられたキャリア（30、23
   0）とを備え、 該キャリア（30、230）は、前記ピン支持部分（16、1
   8）に跨がり且つ前記ピン（22、28:222、228）の両方を
   固定的に受入れ、 前記ピンの一方（22、222）は、他方（28、228）より大
   きな直径を有し、該大きな直径のピン（22、222）は、
   関連したピン開口（20）の中を延び且つ摺動自在に受入
   れられ、 前記ピンの他方（28、228）は、スリーブ部材（26）を
   介して、関連したピン開口（24）の中を延び且つ摺動自
   在に受入れられ、 前記スリーブ部材（26）は、前記他方のピン（28、22
   8）を受入れる貫通開口（27）を有し、 該貫通開口（27）は、前記スリーブ部材（26）の長手方
   向中心軸線に対して偏心して配置され、 前記貫通開口（27）は、前記スリーブ部材（26）の軸線
   方向中央部分（29）に向かって徐々に半径方向内方に狭
   くなって前記他方のピン（28、228）と接触する軸線方
   向中央の点を提供し、 前記キャリア（30、230）が、キャリア開口（40、240）
   を形成する内方側部（32、232）と外方側部（34、234）
   と互いに離れた側部（36、38:236、238）とを備え、 ピストンハウジング（60、260）が、前記キャリア（3
   0）によって摺動自在に、前記キャリア開口（40、240）
   に受け入れられ、 前記キャリア（30、230）とピストンハウジング（60、2
   60）の一方が、摺動当接部（37、39）を有し、 前記キャリア（30、230）とピストンハウジング（60、2
   60）の他方が摺動凹部（62、64）を有する、 モジュールディスクブレーキ（10、210）。
2. 【請求項２】前記摺動当接部（37、39）が、一対のレー
   ル部材（37、39）からなり、 該レール部材の各々が、補完的に形づくられたそれぞれ
   の摺動凹部（62、64）の上側面及び下側面と係合する半
   径方向の上面（39R）及び下面（39R）を有する、 請求の範囲第１項に記載のディスクブレーキ。
3. 【請求項３】前記レール部材（37、39）が前記キャリア
   （30、230）に配置され、前記凹部（62、64）が前記ピ
   ストンハウジング（60、260）とブレーキパッド（70、7
   6）のブレーキパッド支持板（72、78）内に配置されて
   いる、 請求の範囲第２項に記載のディスクブレーキ。
4. 【請求項４】少なくとも１つのブレーキパッドスライダ
   （50）が、前記ピストンハウジング（60、260）の摺動
   性を増大させるために、前記レール部材（37、39）の一
   方に配置されている、 請求の範囲第２項に記載のディスクブレーキ。
5. 【請求項５】一方のレール部材（39）が、上面（39R）
   と下面（39R）に対して傾けて配置された連結面（39C）
   を備え、この傾きにより前記スライダ（50）が連結面
   （39C）に向かって変形でき、がたつき防止の付勢反力
   をブレーキ（10、210）のブレーキパッド（270、276）
   に対して及ぼす、 請求の範囲第４項に記載のディスクブレーキ。
6. 【請求項６】前記ブレーキパッドスライダ（50）が、略
   Ｕ字形状の金属部材（50）を備え、 キャリア（30、230）に対してスライダ（50）を位置決
   めするために、該金属部材（50）が一対のスロット（5
   3、55）を有し且つ該金属部材は、スロット（53、55）
   に隣接するタブ（53B、55B）を備える、 請求の範囲第４項に記載のディスクブレーキ。
7. 【請求項７】前記ディスクブレーキ（10、210）が、パ
   ーキングブレーキ機構を備え、 該パーキングブレーキ機構が、前記キャリア（30、23
   0）に回動自在に取付けられたレバー（100、300）を備
   え、かつ、前記ピストン（65、265）を変位させるため
   のカム（102、302）を有する、 請求の範囲第１項に記載のディスクブレーキ。
8. 【請求項８】ピストンハウジング（260）が、ピストン
   ハウジング（260）のピストン（265）が前記内方側部
   （232）と係合するように配置されている、 請求の範囲第１項に記載のディスクブレーキ。
9. 【請求項９】ブレーキ（210）のディスクブレーキパッ
   ド（270、276）がピストンハウジング（260）と前記外
   方側面とに夫々直接取付けられている、 請求の範囲第８項に記載のディスクブレーキ。
10. 【請求項１０】一方のディスクブレーキパッド（270）
    をピストンハウジング（260）に対して位置決めするた
    めに、一方のディスクブレーキパッド（270）が、ピス
    トンハウジング（260）内の対応する形状の凹部（263）
    内に受け入れられる一対のニブ（273）を備える、 請求の範囲第９項に記載のディスクブレーキ。