JP2745649B2 - リジン残基を含むレトロヒドロキサム酸デフェリフェリオキサミン誘導体 - Google Patents

リジン残基を含むレトロヒドロキサム酸デフェリフェリオキサミン誘導体

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JP2745649B2 JP1060413A JP6041389A JP2745649B2 JP 2745649 B2 JP2745649 B2 JP 2745649B2 JP 1060413 A JP1060413 A JP 1060413A JP 6041389 A JP6041389 A JP 6041389A JP 2745649 B2 JP2745649 B2 JP 2745649B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、例えば鉄過剰症の治療薬として大いに期待
される新規物質であるリジン残基を含むレトロヒドロキ
サム酸デフェリフェリオキサミン誘導体に関する。
(従来の技術) ヒドロキサム酸(HA)基、即ち、N−ヒドロキシアミ
ド結合を持つ化合物には、抗菌性,抗腫瘍性,生長因
子,細胞分裂因子などさまざまな生理活性を示すものが
知られている。なかでも、デフェリフェリオキサミンB
(DFB)は、その鉄補足作用により急性又は輸血等によ
る慢性鉄過剰症の治療薬となり(W.Keller−Schierlein
et al.,Fortschr.Chem.Org.Naturst.,22,279(1964)
参照)、現にそのメタンスルホン酸塩がデスフェラール
Desferal(登録商標)の商品名で市販されている。
(発明の課題及びその解決手段) しかしながら、なお、デフェリフェリオキサミンBに
優る薬効を有する化合物の創製が待望されている。本発
明の課題は、そのような化合物を提供せんとするもので
ある。
本発明者の一部が関与して、先に6−アミノヘキサン
酸と3−(N−ヒドロキシアミノ)プロパン酸とから新
規物質である6−アミノヘキサノイル−(N−ヒドロキ
シアミノ)プロパノイル連鎖を有する鎖状及び環状のト
リヒドロキサム酸に関する発明を行なった(特開昭61−
68498)。
本発明の誘導体には、この特開昭61−68498に係わる
発明の化合物の6−アミノヘキサン酸残基の全部又は一
部がリジン残基によって置き換えられた化合物に相当す
る化合物が含まれるが、その第2鉄イオンとの錯体形成
能等から、前述のように鉄過剰症の治療薬として大いに
期待される他に、リジン残基のアミノ基を化学修飾する
ことにより更なる有用性を有する化合物の合成中間体と
なるものである。本発明の誘導体には更に、前記化合物
の他に前記化合物の合成中間体も含まれる。
すなわち、本発明の化合物は、下記一般式(I)で表
わされるリジン残基を含むレトロヒドロキサン酸デフェ
リフェリオキサミン誘導体及びその塩である。
X−(A)3n−Y (I) 式中、Aは、残基(a): 又は残基(b): を表し;Xは、置換若しくは非置換の低級アシル基、H、
ブトキシカルボニル基又はベンジルオキシカルボニル基
を表わし、Yは、低級アルコキシル基又はOHを表し、又
は、XとYとは一緒になって単結合を表し;nは、1又は
2を表わす。ただし、Aの少なくとも1個は、残基
(a)である。
付言すると、Xが表す置換低級アシル基としてはCF3C
O基を例示することができる。塩としては、XがHを表
す場合に形成されるアミノ基及びリジン由来のアミノ基
に関する塩酸、TFA、メタンスルホン酸等によう酸負荷
塩及びYがOHを表す場合に形成されるカルボキシル基に
関するNa等のアルカリ金属塩及びCa等のアルカリ土類金
属塩を例示することができる。
XとYが一緒になって1個の単結合を表す場合とは、
少なくとも1個の残基(a)を含む総計3n個の残基
(a)及び残基(b)が結合して環状体となっている場
合である。
これらの誘導体は、例えば、大要次のようにして合成
される。
その1(化合物(11))は、Xがアセチル基、Aが全
て残基(a)、nが1、Yがメトキシル基である化合物
である。この化合物の合成は、まず、Nα−ベンジルオ
キシカルボニル−L−リジル−3−(N−ベンジルオキ
シ)アミノプロパン酸をユニットとして、p−ニトロフ
ェニルエステルの活性によって、逐次縮合する方法で、
ε−tert−ブトキシカルボニルヘキサアミドメチルエ
ステルを得る。次いで、このブトキシカルボニル基を除
去し、アセチル化し、さらにα−アミノ保護基とN−ヒ
ドロキシル基のベンジル保護基を接触水素化分解するこ
とで、3個のα−アミノ基のあるL−リジン残基を持つ
鎖状レトロヒドロキサム酸デスフェリフェリオキサミン
誘導体を合成する。このα−アミノ基は塩酸塩の形で単
離することができる。
その2(化合物(23)は、Xがアセチル基、nが1、
Aのうちの2個が残基(a)で残余の1個が残基
(b)、Yがメトキシル基である化合物の1例である。
この化合物の合成は、まず、Nα−ベンギルオキシカル
ボニル−L−リジル−3−(N−ベンジルオキシ)アミ
ノプロパン酸を2個と、6−アミノカプロイル−3−
(N−ベンジルオキシ)アミノプロパン酸1個をユニッ
トとして、p−ニトロフェニルエステル法によって逐次
縮合する方法で、Nε−tert−ブトキシカルボニルヘキ
サアミドメチルエステルを得る。次いで、このブトキシ
カルボニル基を除去し、アセチル化し、さらにα−アミ
ノ保護基とN−ヒドロキシル基のベンジル保護基を接触
水素化分解することで、2個のα−アミノ基のあるL−
リジン残基を持つ鎖状レトロヒドロキサム酸デスフェリ
フェリオキサミン誘導体を合成する。このα−アミノ基
は塩酸塩の形で単離することができる。
因みに、これらの化合物の諸性質は次の通りである。
化合物(11)は第2鉄イオンとの錯体形成能を検討し
た。可視スペクトルで鉄錯体のpHに対する安定性を調べ
た。λmax,425nmにおけるε値はpH2から11まで一定とな
った。しかし、ε値は2200で、モル比法で錯体形成の比
率を求めた。その結果、[Fe3+]/[HA]=0.30の折れ
点を示し、HA:Fe(III)=3:1であることが確かめられ
た。また、鉄錯体の安定性を調べるため、錯体からのFe
(III)のEDTAへの移動を疑一次反応として求めた(25
℃、pH5.4でk1=4.4×10-4sec-1)。これは同条件下で
のデスフェラールの値より7倍だけ速いものであること
から、小さいε値にもかかわらず、かなり安定な錯体を
形成していると考えられる。鉄錯体のCDスペクトルは、
450nm付近で+のコットン効果を示し(第3図)、Fe(I
II)中心の立体配置が∧型を取ると推定される。さらに
Fe(III)をGa(III)を置き換えた錯体も得られた。1H
NMRスペクトルから、この錯体は、分子内水素結合が
存在しないことが判明した。また、配位子のみでも、分
子内水素結合は存在しなかった。以上により、L−リジ
ン残基を用いることが錯体形成に規制を及ぼすことが確
かめられた。
化合物(23)のFe(III)との錯体形成能も検討し
た。まず、可視スペクトルで鉄錯体のpHに対する安定性
を調べた。λmax、420nmにおけるεはpH2.5から10まで
の広い範囲で一定となった。また、εが2800であること
からFe(III):HA=1:3の錯体であると考えられる。L
−リジンを2個もつ光学活性なレトロヒドロキサム酸デ
スフェリフェリオキサミンの水溶液中pH7.2での鉄錯体
のCDスペクトルを測定したところ、第4図に示すような
コットン効果が得られた。このことより、この錯体Fe
(III)の周りでのヒドロキサムメート基が∧型の配置
を取ることが推定される。天然のフェリオキサミン類
は、Arthrobacter flavescensのような微生物に対して
生長促進効果を示すことが知られている。これらフェリ
オキサミン類は、種々の立体配置の異性体の混合物でコ
ットン効果を示さない。∧型のアミノ基をもつこの鉄錯
体についてA.flavescensでその生物活性を検討したとこ
ろ、ほぼ同等の生長促進効果を示すことが判った。
以下、本発明の化合物の合成法について詳述する。
先ず、本発明の化合物のうち、Aが全て残基(a)で
ある化合物の合成法について説明する。
このような化合物の合成に際しては、リジンと3−
(N−ヒドロキシ)アミノプロパン酸(β(HO)Ala)
のジアミドフラグメントを逐次縮合していくフラグメン
ト縮合法が、段階的に1つの残基ごとに縮合する方法よ
り簡便に行なえると考えられる。
まず、リジン3−(N−ヒドロキシ)アミノプロパン
酸の基本フラグメントの合成について述べると、リジン
と3−(N−ヒドロキシ)アミノプロパン酸を縮合する
とき、そのまま反応を行なえば、3−(N−ヒドロキ
シ)アミノプロパン酸については、N−アシル化生成物
とO−アシル化生成物が生じる。そこで、N−アシル化
生成物のみを得るためには、酸素原子を保護しなければ
ならない。O−保護基としてベンジル基が使用され、N
−ベンジルオキシアミドを形成し、さまざまな反応に応
用されている。本発明に関しても、N−ヒドロキシを与
えるものには従来法と変りなくβ(N−ベンジルオキ
シ)アラニンを用いることができる。
リジンには、2個のアミノ基があり、フラグメント縮
合法を行なっていく上で2種類の保護基が必要である。
α−保護基は、縮合が終了した最終段階で一度に脱保
護を行なうことを考えると、例えばベンジル型、すなわ
ち、ベンジルオキシカルボニル基(Z)が好ましい。N
ε−保護基は各縮合段階で除去する必要があるため、Z
保護基の存在下、容易に除去できるtert−ブトキシカル
ボニル基(Boc)を用いるとよい。
ε−Boc−Nα−Z−L−リジンの合成はL.Moroder
et al.,Hoppe−Seylers Z.Physiol.Chem.,357,1651
(1976)の方法で行なえる。
L−リジン塩酸塩とCuCO3に水を加え、加熱してL−
リジン銅錯体とする。これによりα−アミノ基が保護で
きる。次に、リジン銅錯体にジ−tert−ブチルカルボネ
ートをDOX(ジオキサン)、H2Oの混合溶媒中で反応させ
てNε−tert−ブチルカルボニル−L−リジン銅錯体に
する。この錯体を水に懸濁し、H2Sガスを導入すること
で、銅をCuSの形で分離し、Nε−tert−ブトキシカル
ボニル−L−リジンが得られる。さらに、ベンジルクロ
ロホルメイト(Z−Cl)をアルカリ条件で反応させる
と、Nε−Boc−Nα−Z−L−リジン(1)が得られ
る。
Nベンジルオキシアミノ酸のアミノ基の反応性は、酸
素原子の誘起効果やベンジル基の立体障害により通常の
アミノ基より低下している。そこで、カルボキシル基が
より活性になる方法が必要となり、N−カルボキシアミ
ノ酸無水物(NCA)法や混合酸無水物(MA)法が行なわ
れるが、MA法は操作が簡便好ましい。
MA法によりNε−Boc−Nα−Z−L−リジンベンジ
ルオキシアミド(2)を合成し、次にアルキル化するこ
とを試みた。
すなわち、まず、(1)とベンジルオキシアミンをMA
法で縮合した。この縮合反応の収率は71%にも達っした
が、得られたリジンベンジルオキシアミド(2)をDMF
中50℃で水素化ナトリウム/ブロモプロピオン酸メチル
エステルでアルキル化を行なったところ、2日間反応を
行なったが原料回収に終った。6−アミノヘキサン酸の
場合、同様なアルノキル化は、100℃で数時間反応させ
なければならない。しかし、L−アミノ酸を高温でしか
も塩基が存在する条件では、ラセミ化や分解の心配があ
り適用することはできない。50℃で、ヨウ化カリウムを
加え反応を行なうことを試みたが、やはり原料回収に終
った。ベンジルオキシアミドのアルキル化には高温(10
0℃前後)が必要で、光学活性アミノ酸には適さないこ
とがわかった。
そこで、3−(N−ベンジルオキシ)アミノプロパン
酸メチルエステル(β(BzlO)Ala−OMe)と(1)とを
縮合することを試みることにした。このために、まず、
3−(N−ベンジルオキシ)アミノプロパン酸p−ニト
ロフェニルエステル(3)を得て(M.Narita et al.,Bu
ll.Chem.Soc.Jpn.45,3149(1972))、これをメチルエ
ステルに変えることを試みた。
(3)をメタノール中、MeONaと反応させて、エステ
ル交換を行なった(K.Shimizu et al.,J.Chem.Soc.Che
m.Commun.,183(1985)。
この条件では原料が残存し、目的物の単離が困難であ
った。
ところが、(3)にメタノールを加え、水酸化ナトリ
ウム水溶液を加えたところ、アルカリけん化と同時にエ
ステル交換反応も進行し、3−(N−ベンジルオキシ)
アミノプロパン酸メチルエステル(4)が得られた。
MeONaを使用した場合、(4)が生成するが、原料も
残ってしまう。NaOH水溶液の濃度を高くし、12N NaOH
水溶液を原料に対して2.5倍、メタノールを水溶液の40
倍加えた結果、62%の収率で反応が進行した。
ε−Boc−Nα−Z−L−リジン(1)と3−(N
−ベンジルオキシ)アミノプロパン酸メチルエステル
(4)をTHF中、トリエチルアミン(NEt3)を塩基に用
いてMA法で縮合し、Nε−Boc−Nα−Z−L−リジン
−3−(N−ベンジルオキシ)アミノプロパン酸メチル
エステル(5)を得た(収率74%)。
同様に、化合物(1)と(3)をTHF中、NET3を塩基
として用い、MA法で反応したが、1H NMRより−OBzl基
がいくらか脱離していることが判明した。溶媒をTHFの
代りにCH2Cl2、DMFを使用し、反応温度および反応時間
も変えたが、やはりOBzl基の脱離が起った。
そこで中和用、そしてMA生成時に用いる塩基のトリエ
チルアミン(NEt3)をN−メチルモルホリン(NMM)に
変えたところ、Bzl基は切断されずに反応が進み、Nε
−Boc−Nα−Z−L−リジン−3−(N−ベンジルオ
キシ)アミノプロパン酸p−ニトロフェニルエステル
(6)が得られた。NEt3より弱いNMM塩基であることが
副反応の少ない原因と考えられる。(5)の合成にもNM
Mを用いて、MA法を行なったところ、その収率が向上し
た(収率92%)。
(6)を合成する場合、p−ニトロフェニルエステル
は、混合酸無水物と比べるとカルボキシル基の活性化が
低いため、p−ニトロフェニルエステルを持ったアミン
成分を使いMA法が行える。そして、(6)はそのまま次
の縮合に使えるという利点がある。
(5)をHCl/DOXで脱Boc化して中和後(6)とカップ
リングした。このとき反応を促進するため、1−Hydrox
ybenzotriazole(HOBt)を1/2当量加え、37℃で反応を
行なったところ、(7)を得た。
(7)をトリフルオロ酢酸(TFA)/CH2Cl2で脱Boc化
し、中和した後、(6)とカップリングして(8)を得
た(77%)。
得られたNε−Boc−ヘキサアミドメチルエステル
(8)から、鎖状体および環状体の目的物の合成を行な
った。必要に応じて鎖状体からNε末端アセチル,C末端
メチルエステルを除去するには常法でよい。
鎖状体の合成には、まず、(8)をTFA/CH2Cl2で脱Bo
c化し、NMMで中和し、THF中無水酢酸でアセチル化し
(9)を得た。
次に(9)を10%Pd−CでMeOH/AcOH中、接触水素化
分解してα−アミノ基とヒドロキサム酸基の2種類の保
護基Z基及びBzl基を除去して(10)を得た。さらに、
(10)をHCl/THFで処理して塩酸塩(11)とした。(1
1)は、ゲルクロマトグラフィーにより精製し、IRおよ
1H NMRスペクトルで確認した。
以上に説明した鎖状体合成の手順の1例を第1図に示
す。
Aが残基(a)のみよるなる化合物、例えば環状体化
合物(15)又は(16)を得るためには、まず、(8)をt BuOH/H2O中でアルカリけん化して、カルボキシル末端
フリーの(12)を得る。
次に(12)とN−Hydroxysuccinimide(HOSu)を1−
Ethyl−3−(demethylamino)propylcarbodiimide・HC
l(EDC・HCl)で縮合し、Nε−Boc−ヘキサアミドコハ
ク酸イミドエステル(13)を得、(13)のBoc基をTAF/C
H2Cl2で除去し、ピリジン中の高希釈条件で環化反応を
行ない、(14)を得る。
Aとして残基(b)を含む場合も例えば、化合物(2
2)を出発して上と同様にして環状体を得ることができ
る。
最後に、(14)をMeOH/AcOH中、10%Pd−Cで接触水
素化分解して、Z及びBzl両保護基を除去して(15)を
得た。(15)をHCl/THFで塩酸塩(16)とし、ゲルクロ
マトグラフィーで精製しIR及び1H NMRスペクトルで確
認した。
以上に説明した環状体合成の手順の1例を第2図に示
す。
ドデカアミドの合成は、次のようにして行なえる。
出発原料にはNε−Boc−ヘキサアミドメチルエステ
ル(8)を用い、まず、これを脱Boc化した(8′)と
活性エステルにした(13)を縮合し、Nε−Boc−ドデ
カアミドメチルエステル(17)を得た。
次に、(17)を脱Boc化、アセチル化し、Nε−アセ
チルドデカアミドメチルエステル(18)を得た。
最後に、(18)をメタノール中、Pd(AcO)で接触
水素化分解し、目的物の粗生成物を得た。
さらに、環状のドデカアミドを合成するため、まず
(17)をアルカリけん化し、HOSuと縮合することで、N
ε−ドデカアミドコハク酸イミドエステル(19)を得
た。
次にBoc基を除去し、ピリジン中高希釈条件で環化反
応を行ない、環状ドデカアミド(20)を得た。
最行に、(20)をメタノール中、Pd(AcO)で接触
水素化分解を行ない、Z及びBzl両保護基を除去する。
本発明の化合物のうち、Aの一部が残基(b)である
化合物の合成法は、次のように行なうことができる。
一般式(I)においてn=2で残基(b)を含む化合
物の合成は、n=1の適当な鎖状誘導体を相互に縮合す
ることにより、まず、鎖状体を合成することができ、更
に、この鎖状体を適当な手順で環化することにより環状
体を合成することができる。
以下、実施例により本発明を更に説明する。
(実施例) 本実施例参考例における各種測定の方法、機器、試薬
等は次の通りである。
融点測定はシリコーン油浴中で行ない、未補正であ
る。
赤外吸収スペクトルは、日本分光A302および日本分光
FT/IR−5Mにより測定した。該磁器共鳴スペクトルは日
本電子FX−200を用い、内部基準物質としてTMSを使って
測定した。可視吸収スペクトルは、日立320A型分光光度
計により測定し、円二色性スペクトルは日本分光J−40
ASにより測定した。
旋光度は日本分光のORD/UV−5旋光分散計により測定
した。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は日本分光TWIN
CLEにUVIDEC−100III型紫外検出器を用いて行なった。
積層クロマトグラフィーは全てMerck社DC−aiuflien ki
eselgel 60 F254を使用した。溶媒は必要に応じて精製
したものを用いた。合成試薬の大部分は市販一級品を用
い、化合物物性測定用の試薬については市販特級品を用
いた。カラムクロマトグラフィーに用いた充填剤はWako
gel−C300(和光)、Kieselgel 60(Merck)、Sephadex
LH−20、Toyopearl HW−40(東洋曹連)である。
元素分析は外部の専門機関に依頼した。
実施例1 (i)化合物(1)の合成(Nε−(tert−Butoxycarb
ony−l)−Nα−benzyloxycarbonyl−L−lysine;Nε
−Boc−Nα−Z−Lys−OH) L−リジン塩酸塩18.27g(0.100mol)とCuCO3・Cu(O
H)・H2O20.09g(0.084mmol)にH2O200mlを加え、10
分間還流した。この反応混合物を吸引過し、液を法
冷した。この液に炭酸水素ナトリウム8.40g(0.100mo
l)を加え、室温で撹拌し、そこにジ−tert−ブチルカ
ルボネート24.01g(0.110mol)のジオキサン溶液250ml
を加えて、4時間撹拌した。析出した青色の固体を吸引
過し、250mlの水で10回洗った。この固体に水250ml加
え、さらに28%NH3溶液6.08ml(1当量)を加え懸濁さ
せ、H2Sを5時間通過し、2M AcOH75ml(1.5当量)を加
え、空気を一晩吹き込んでH2Sを除いていた。CuSを去
し、液を250mlに濃縮した。
この濃縮液を氷冷し、そこに4M NaOHaq25ml(1当
量)を加え、激しく撹拌した。カルボベンゾキシクロラ
イド(Z−Cl)18.77g(0.110mmol)と4M NaOHaq.27.5
mlを30分間で滴下し、氷冷下で6時間激しく撹拌した。
反応溶液をエーテル(80ml×2)で抽出し、未反応の
Z−Clを除いた。水層を氷冷し、6NHClでpH3に調節し、
AcOEt(150ml×3)で抽出した。抽出したAcOEtを水(1
50ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)で
乾燥し、AcOEtをエバポレーターで留出し、油状物22.15
gを得た。収率58%。
IR(Neat):3330(−NH−),3000−2600(−COOH),174
0(−COO−),1708(OCONH),1252(tBu−),754及び69
7(Ph−)cm-. (ii)化合物(2)の合成(Nε−tert−Butoxycarbon
yl−Nα−benzyloxycarbony−L−lysine N−benzloxy
amide;Nε−Boc−Nα−Z−Lys−MH−OBzl) 化合物(1)1.08g(2.85mmol)を20mlのTHFに溶か
し、NEt30.29g(2.85mmol)を加え、−17℃に冷却し
た。これに塩化イソブチロキシカルボニル(IBCF)0.39
g(2.85mmol)のTHF溶液10mlをゆっくり滴下し、15分間
同温(−17℃)で撹拌した。
Benzyloxyamine0.35g(2.85mmol)のTHF溶液8mlを滴
下し、3時間−17℃で撹拌し、その後2日間冷凍放置し
た。
生じた塩を吸引過し、液を除去して、残渣をAcOE
tで抽出した。AcOEt層を5%NaHCO3、水で洗浄した後、
MgSO4で乾燥し、溶媒を減圧留去し、粗生成物0.75gを得
た。これをAcOEt−石油エーテルから再結晶して、0.60g
を得た。収率71%、白色結晶、m.p.96〜98℃。
IR(KBr):3400−3350(−MH−),1720(−OCONH−),1
665(−CONH−),745及び697(Ph−)cm-1. (iii)化合物(3)の合成(p−Nitrophenyl 3−−
(benzyloxy)aminopropanoate hydrochloride;HCl−β
(BzlO)Ala−ONp) p−Nitrophenyl acrylate25.11g(0.13mol)を250ml
のエーテルに溶かし、ベンジルオキシアミン14.52g(0.
12mmol)を加え、室温で2日間撹拌した。
この反応液に6N HCl29.5ml(1.5当量)を加え、30分
間撹拌し、生じた白色固体を吸引過し、P2O5で乾燥し
た後、アセトニトリルで再結晶し、針状結晶24.25gを得
た。収率58%、m.p.153−156℃。
IR(KBr):3200−2400(−NH−),1762(−COO−),152
4及び1350(−NO2),755及び701(Ph−)cm-1. (iv)化合物(4)の合成(3−(N−Benzyloxy)ami
no−propanoic acid methyl ester;β(BzlO)−Ala−O
Me) MeOH130mlに化合物(3)7.06g(20mmol)を加え、さ
らに12N NaOHaq.4.17ml(2.5当量)を加え、室温で2
時間撹拌した。
溶媒をエバポレーターで留去し、残渣にAcOEt 100ml
と水40mlを加え抽出した。AoCEt層を水(40ml×2)、1
N NaOH(40ml×5)、そして5%クエン酸(40ml×
1)で洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥さ
せ、AcOEtをエバポレーターで留去し、2.83gの目的物を
得た。収率67%、油状物。
IR(Neat):3500−2800(−NH),1737(−COO−),742
及び699(Ph−)cm-1.1 H−NMR(CDCl3)δ: 256(t,J=6.3Hz,2H,−CH2 CH −), 3.19(t,J=6.3Hz,2H,−CH −CH2−), 3.64(s,3H,−CH3),4.67(s,2H,−O−CH −), 7.33(m,5H,Ph−)PPm. (V)化合物(5)の合成(Nε−tert−Butoxycarbon
yl−Nα−benzyloxycarbonyl−L−Lysyl−3−(N−
benzyloxy)aminopropanoic acid methyl ester; Nε−Boc−Nα−Z−Lys−β(BzLO))Ala−OMe) 化合物(1)7.93g(20.8mmol)をTHF30mlに溶かし、
NMM 210g(20.8mmol)を加え、−17℃に冷却した。次
に、THF10mlに溶かした塩化イソブチロキシカルボニル
(IBCF)2.84g(20.8mmol)をゆっくり滴下した。15分
後、THF15mlに溶かした化合物(4)4.20g(20.1mmol)
を滴下し、この後、−15℃で6時間撹拌した後、さらに
室温で2時間撹拌した。
生じた塩を吸引過し、液をエバポレーターで濃縮
し、残渣にAcOEt150mlと水80mlを加えて抽出した。AcOE
t層を5%クエン酸、5%NaHCO3、飽和食塩水で洗浄
し、MgSO4で乾燥し、AcOEtを減圧留去し、残留物10.641
gを得た。収率92%、油状物、[α]=+11.7゜(C
=1.0、MeOH)。
(Vi)化合物(6)の合成(Nε−tert−Butoxycarbon
yl−Nα−benzyloxycarbonyl−L−Lysyl−3−(N−
benzyloxy)aminopropanoic acid p−nitrophenyl este
r;Nε−Boc−Nα−Z−Lys−β(BzlO)Ala−ONp 化合物(1)1.746g(4.59mmol)をTHF20mlに溶か
し、NMM0.464g(4.59mmol)を加え、−18℃に冷却し
た。次に、THF10mlに溶かしたIBCF0.63g(4.59mmol)を
−18℃に保ちながら滴下した。15分間かけて化合物
(3)1.62g(4.59mmol),NMM 0.464g(4.50mmol)、TH
F20ml加えて、超音波を1時間かけ、塩を過した溶液
を滴下した。この後5時間−15℃で撹拌し、2日間−18
℃で液置した。
生じた塩を吸引過し、液を減圧濃縮し、残渣をAc
OEt 100mlと水50mlに抽出し、AcOEt層を50%クエン酸、
5%NaHCO3、飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、AcO
Etを減圧留去して粗生成物2.95gを得た。これをカラム
クロマトグラフィー(Kiselgel 60、AcOEt−Hexane=1:
1)で精製し、目的物2.10gを得た。収率67%、油状物、
[α]=+4.1゜(C=1.1、MeOH)。
(vii)化合物(7)の合成(Nε−tert−Butoxycarbo
nyl−Nα−benzyloxycarbonyl−L−Lysyl−3−(N
−benzyloxy)aminopropanoyl−Nα−benzyloxycarbon
yl−L−Lysyl−3−(N−benzyloxy)aminopropanoic
acid methylester;Nε−BocNα−Z−Lys−β(Bzl
O)Ala2OMe) 化合物(5)0.843g(1.47mmol)をCH2Cl2に溶かし、
0℃に冷却した。6.04N HCl/DO×9.8ml(40当量)を加
え、氷冷下1時間撹拌し、TLCで原料の消失を確認した
後、減圧濃縮して、残渣0.758g(過剰HCl、0.25mmol)
を得た。これをDMF15mlに溶かし、NMM0.149g(1.47mmo
l)を加えた。この溶液にDMF 7mlに溶かした化合物
(6)1.00g(1.47mmol)を加えた。さらにHOBtを0.113
g(0.74mmol)を加えて、37℃で44時間撹拌した。
この後DFMを減圧留去し、残渣にAcOEt70mlと水30mlを
加え、抽出した。AcOEt量を5%クエン酸、5%NaHC
O3、飽和食塩水で順次洗浄し、MgSO4で乾燥させ、AcOEt
を減圧留去し、油状の粗生成物を1.40gを得た。この粗
生成物をカラムクロマトグラフィー(Walogel C−30
0、AcOEt:CHCl3=3:1)で精製し、油状物0.77gを得た。
収率52%、[α]=+41.1゜(C=1.0、HeOH)。
IR(Neat):3400−3200(−NH−),1739(−COO), 1712(−OCONH−),1664(−CONH−),752及び699(Ph
−)cm-1
元素分析:C54H70N6O13・1/2H2Oとして、 C H N 計算値 63.58 7.01 8.24 実験値 63.34 7.03 8.07. (viii)化合物(8)の合成(Nε−tert−Butoxycarb
onyl−di[Nα−benzyloxycarbonyl−L−Lysyl−3−
(N−benzyloxy)aminopropanoyl]−Nα−benzyloxy
carbonyl−L−Lysyl−3−(N−benzyloxy)aminopro
panoic acidmethyl ester;Nε−BocNα−Z−Lys−
β(BzlO)Ala3OMe) 化合物(7)1.287g(1.27mmol)をCH2Cl25mlに溶か
し、0℃に冷却し、TFA9.4ml(100当量)を加え、40分
間撹拌し、TLCで原料の消失を確認してから減圧濃縮
し、残渣1.757g(過剰TFA、3.96mmol)を得た。化合物
(7)と同様に、NMM 0.530g(5.24mmol)、化合物
(6)1.037g(1.53mmol)およびHOBt 0.195(1.27mmo
l)を用い、粗生成物1.597gを得た。これをカラムクロ
マトグラフィー(Kieselgel 60、CHCl3:MeOH=20:1)
で精製し、目的物1.421gを得た。収率77%、無定形固
体、[α]=+44.8゜(C=1.0、MeOH)。
IR(Neat):3600−3100(−NH−),1745(−COO),1714
(−OCONH−),1660(−CONH−),751及び699(Ph−)c
m-1. 元素分析:C78H99N9O18・H2Oとして、 C H N 計算値 63.79 6.93 8.58 実験値 63.55 6.64 8.55. (ix)化合物(9)の合成(Nε−Acetyldi[Nα−be
nzyloxycarbonyl−L−Lysyl−3−(N−benzyloxy)
−aminopropanoyl]−Nα−benzyloxycarbonyl−L−L
ysyl−3−(N−benzyyloxy)aminopropanoic acid me
thyl ester;Nε−AcNα−Z−Lys−β(BzlO)Ala
3OMe) 化合物(8)0.781g(0.532mmol)をCH2Cl24mlに溶か
し、0℃に冷却し、TFA5.9ml(150当量)を加えて、1.5
時間冷却下撹拌した。TLCにより原料消失を確認した後
減圧濃縮し、残渣1.239g(過剰TFA、4.03mmol)を得
た。残渣をTHF6mlに溶かし、NMM0.462g(4.57mmol)を
加え中和し、さらに無水酢酸(0.69mmol)を加えて室温
で1時間撹拌した。
この後、溶媒を減圧留去し、残渣にAcOEt50ml、水20m
lで抽出し、AcOEt層を水(20ml×3)で洗浄し、MgSO4
で乾燥し、AcOEtを減圧留去して、粗生成物0.682gを得
た。これをゲルクロマトグラフィー(Sephadex LH−2
0、MeOHP)で生成し、目的物0.487gを得た。収率66%、
無定形固体。
IR(Neat):3500−3100−NH−),1743(−COO),1714
(−OCONH−),1655(−CONH−),751及び699(Ph−)c
m-1. (x)化合物(10)の合成(Nε−Acetyldi[L−Lysy
l−3−(N−hydroxy)aminopropanoly]−L−lysy
l]−3−(N−hydroxy)aminopropanoic acid methyl
ester;Nε−Ac[Lys−β(HO)−Ala3OMe) 10%Pd−C 60mg(10Wt%)を溶媒(MeOH:AcOH=5:
1)10mlに加え、30分間H2下で前還元した。化合物
(9)0.597g(0.429mmol)で溶媒15mlに溶かし、これ
を加えて2時間、室温で接触水素化還元を行なった。
Pd−Cを別し、液を濃縮し、粗生成物0.247gを得
た。これをゲルクロマトグラフィー(Toyopearl HW−4
0、MeOH)で精製し、目的物0.160gを4CH3CO2H・2H2O付
加物として得た。収率52%、無定形固体、HydroxamicAc
idテスト(陽)、Ninhydrinテスト(陽)。
元素分析:C30H57N9O11・4CH3CO2H・H2Oとして、 C H N 計算値 45.82 7.79 12.67 実験値 45.88 7.96 12.84. (xi)化合物(11)の合成(化合物(10)のPolyhydroc
hloride) 化合物(10)0.120gをMeOH1mlに溶かし、1N HCl/THF
を0.5ml加えて2時間撹拌した後減圧濃縮し、ゲルクロ
マトゲラフィー(Toyopearl HW−40、MeOH)で精製
し、0.135gの目的物を4HCl・CH3CO2H・H2Oとして得た。
収率98%、無定形固体、[α]=+2.4゜(C=1.0、
MeOH)。
元素分析:C30H57N9O11・4CHl・CH3CO2H・H2Oとして、 C H N Cl 計算値 40.72 7.05 13.35 15.03 実験値 40.86 7.09 13.54 15.05 (Xii)化合物(12)の合成(Nε−tert−Butoxycarbo
nyldi[Nα−benzyloxycarbonyl−L−Lysyl−3−
(N−benzyloxy)aminopropanoyl]−Nα−benzyloxy
carbony l−L−lysyl−3(N−benzyloxy)amino pro
panoic acid; Nε−Boc[Nα−Z−Lys−β(BzlO)Ala3OH) 化合物(8)1.066g(0.726mmol)を30℃でtert−ブ
タノール12mlに溶かし、次に、0.1N NaOH水溶液14.5ml
(2当量)を加えて室温で1時間撹拌した。TLCにより
原料の消失を確認した後、20%クエン酸で反応溶液をpH
3に調節し、AcOEt60mlと水30mlで抽出した。AcOEt層を
水(30ml×3)、5%クエン酸(30ml×2)で洗浄し、
Na2SO4で乾燥し、AcOEtを減圧留去して目的物を0.99gを
得た。収率99%、無定形固体、[α]=+44.1゜(C
=1.0、MaOH)。
IR(KBr):3500−3200(−NH),3200−3000(−OH),17
25(−COO),1715(−OCONH−),1654(−CONH−),752
および699(Ph−)cm-1. (xiii)化合物(13)の合成(化合物(12)のSuccinim
ide ester) 化合物(12)0.957g(0.666mmol)とHOSu0.153g(1.3
3mmol)をDMF 10ml溶かし、−15℃に冷却した。そこに
EDC・HCl0.255g(1.33mmol)をCH2Cl23mlに溶かした溶
液を滴下し、−15℃で2時間、次に室温で10時間撹拌し
た。
反応混合物をAcOEt80ml、水40mlで抽出し、AcOEt層を
水(40ml×4)で洗浄し、Mg−S4で乾燥した。溶媒を30
℃で減圧留去し、0.980gの目的物を得た。収率96%、無
定形固体。
IR(KBr):3500−3100(−NH),1816及び1739(−COC
O−),1784(−COO−),1713(−OCONH−),1657(−CO
−NH−),751及び699(Ph−) cm-1. (xiv)化合物(14)の合成(Cyclotri[Nα−benzylo
xycarbonyl−L−Lysyl−3−(N−benzyloxy)−amin
opropaoyl]) 化合物(13)0.930g(0.606mmol)をCH2CH22mlに溶か
し、0℃に冷却した。そこにTFA8.9ml(200当量)を加
え、1時間氷冷下撹拌した。TLCで原料の消失を確認
し、すぐに減圧濃縮した。残渣をDMF10mlに溶かし、激
しく撹拌しているピリジン200ml中に約1時間かけてゆ
っくり室温で滴下した。続いて、36℃、高希釈条件で、
40時間撹拌した。
溶媒を減圧留去し、残渣をAcOEt70mlで抽出した。AcO
Et層を水で洗い(40ml×3)、MgSO4で乾燥し、AcOEtを
減圧留去し、粗生成物0.637gを得た。これをゲルクロマ
トグラフィー(Toyopearl HW−40及びSephadexLH−20,
MeOH)で精製し、0.456gの目的物を得た。収率57%、無
定形固体、Ninhydrinテスト(陰)、[α]=+38.4
゜(C=1.0、MeOH)。
元素分析:C72H87N9O15・2H2Oとして、 C H N 計算値 63.84 6.77 9.31 実験値 64.00 6.67 9.44 (xv)化合物(15)の合成(Cyclotri[L−lysyl−3
−(N−hydroxy)aminopropaoyl]; 10%Pd−C0.10gを溶媒(MeOH:AcOH)=4:1 5mlに加
え、30分間水素下で前還元を行なった。化合物(14)0.
408g(0.310mmol)を溶媒15mlに溶かし、これを加え、2
2時間室温で接触水素化分解を行なった。Pd−Cを別
し、液を濃縮し、粗生成物0.180gを得た。これをゲル
クロマトグラフィー(Sephadex LH−20、MeOH)で精製
し、目的物0.140gを得た。収率70%、無定形固体、Hydr
oxamic Acidテスト(陽)、Ninhydrinテスト(陽)。
元素分析:C27H51N9O9・2CH3CO2H・1/2H2Oとして、 C H N 計算値 48.05 7.80 16.27 実験値 47.90 7.71 16.40 (xvi)化合物(16)の合成(化合物(15)のPolhydroc
hloride) 化合物(15)0.10gを化合物(11)と同様に操作し、
0.113gの目的物を5HCl・H2O付加物として得た。収率97
%、無定形固体、[α]=−16.5゜(C=1.0、MeO
H)。
元素分析:C27H51N9O9・5CHl・H2Oとして、 C H N Cl 計算値 38.33 6.91 14.90 20.95 実験値 38.13 6.77 14.66 20.78 (XVii)化合物(17)の合成(Nε−tert−Butoxycarb
onylpenta[Nα−benzyloxycarbonyl−L−lysyl−3
−(N−benzyloxy)aminopropanoyl]−Nα−benzylo
xycarbonyl−L−lysyl−3−(N−benzyloxy)aminop
ropanoic acid methyl ester;Nε−BocNα−Z−Lys
−β(BzlO)Ala6OCH3) 化合物(8)0.566g(3.85×10-4mol)に0℃でTFA5.
70ml(200当量)を加え、撹拌した。1時間後に原料が
消失したので、減圧濃縮した。収量は0.748g(過剰TF
A、1.62mmol)であった。これをNMM0.203gで中和し、DM
F中で活性エステル化合物(13)と反応させた。条件
は、−10℃で、アミン成分を滴下、その後、室温で40時
間撹拌した。
溶媒を留去して、AcOEt 100mlと水50mlで抽出した。
5%クエン酸、5%NaHCO3,飽和食塩水で順次AcOEt層を
洗浄し、乾燥させ、減圧濃縮して、粗生成物0.825g得
た。これをカラムクロマトグラフィー(Kieselgel 6、C
HCl3:MeOH=9:1)で精製し、目的物0.776gを得た。収率
73%、無定形固体。
元素分析:C150H186N18O33・3H2Oとして、 C H N 計算値 63.81 6.85 8.93 実験値 63.88 6.67 8.92 IR(KBr):3400−3100(−NH−),1739(−COO−),171
3(−OCONH−),1664(−CONH−),750及び699(Ph−)
cm-1. (XViii)化合物(18)の合成(Nε−Acetylpenta−
[Nα−benzyloxycarbonyl−L−lysyl−3−(N−be
nzyloxy)−aminopropanoyl]−Nα−benzyloxycabony
l−L−lysyl−3−(N−benzyloxy)aminopropanoic
acid methyl ester) 化合物(17)0.256(9.24×10-5mol)、TFA、NMM、Ac
2Oを用いて、化合物(9)と同様に行なった。粗生成物
0.202gを得て、これをSephadex LH−20(MeOH)で精製
し、目的物186mgを得た。無定形固体。
(XIx)化合物(19)の合成(化合物(17)のコハク酸
イミドエステル) 化合物(17)0.408g(1.47×10-4mol)を化合物(1
2)および化合物(13)と同様な方法で、けん化,活性
エステル化を行ない、目的物0.330gを得た。収率80%、
無定形固体。
IR(KBr):3400−3000(−NH−),1817及び1738(−CON
CO−),1770(−COO−),1714(−OCONH−),1666(−C
ONH),753及び700(Ph−)cm-1
(xx)化合物(20)の合成(Cyclohexa[Nα−benzylo
xycarbonyl−L−lysyl−3−(N−benzyloxy)−amin
opropanoyl]) 化合物(19)0.330g(1.16×10-4mol)を用い、化合
物(14)と同様に操作した。得られた粗生成物を、ゲル
クロマトグラフィーにかけた(Toyopearl HW−40,Sepha
dex LH−20(MeOH)。収量190mg(62%)、無定形固
体、[α]=+30.5゜(C=1.0、MeOH)。
IR(KBr):3400−3200(−NH−),1712(−OCONH−),1
662(−CO−NH−),749及び698(Ph−)cm-1. 参考例1(鉄(III)錯体のpH依存性) 化合物(11)(約3.0×10-6mol)を蒸留水に溶かし、
0.2N KNO3溶液1mlを加え、EDTA−ビスマス法で標定し
た硝酸第2鉄水溶液(3.07×10-3M)を1当量加えて10m
lに希釈した。
1日以上放置した後、水酸化カリウム水溶液あるいは
硝酸水溶液でpHを変化させながら、25℃で425nmにおけ
る吸光度を測定した。
結果は、pH3.0〜10.5の範囲において、ε値はおおよ
そ一定あった。
化合物(16)についても同様の実験を行なった。結果
は、ε値はpH2.0〜9.5の範囲においておよそ一定(約20
00)であった。
参考例2(合成物のモル比プロット) 化合物(11)(約3.0×10-5mol)を蒸留水に溶かし、
10mlに希釈した。この溶液を1ml採取し、標定した第2
鉄溶液(3×10-3M)の割合を変化させて加え(0.1〜0.
8当量)、そして0.2MKNO3水溶液を1ml加え、水酸化カリ
ウム水溶液でpHを6.0にして蒸留水で10mlに希釈した。
1日以上放置した後、25℃で425nmの吸光度を測定
し、[Fe3+]/[HA]のモル比に対してプロットした。
結果はモル比0.30において折点が見られた。
化合物(16)についても同様の実験を行った。結果
は、モル比0.34において折点が見られた。
参考例3(合成物−EDTA間の第2鉄イオン交換反応) 化合物(11)(8.0×10-6mol)に1.038当量の第2鉄
溶液3.07×10-3M)と0.2M KNO3溶液1mlを加えて、水酸
化カリウム水溶液でpHを調節し、pH5.4又はpH6.3にし
て、それぞれのpHの場合につき、AcOH−AcONaの緩衝溶
液(pH5.40)又はKH2PO4−Na2HPO4緩衝溶液(pH6.28)
でそれぞれ5mlに希釈し、これをA溶液及びA′溶液と
した。一方、EDTA・2Na・2H2O(1.04×10-4mol)をAcOH
−AcONa緩衝溶液又はKH2PO4−Na2HPO4緩衝溶液に溶か
し、10mlに希釈し、これらをそれぞれB溶液及びB′溶
液とした。B溶液(2.4ml)をUVセルに取り、A溶液
(0.6ml)を加えると同時に425nmにおける吸光度の経時
変化を25℃で観測した。
結果は、鉄(III)の移動の初期疑一次反応速度
(k1)は、A溶液とB溶液の組合せの場合は、4.4×10
-4sec-1でA′溶液とB′溶液の組合せの場合は、3.0×
10-4sec-1であった。
化合物(16)についても同様の実験を行った。結果は
pH5.4の時はk1=7.8×10-6sec-1で、pH6.28の時はk1
6.1×-6sec-1であった。
実施例2 (i)化合物(22)の合成(Nε−tert−Butoxycarbon
ylaminohexanoyl−3−(N−benzyloxy)−aninopropa
noyl−Nα−benzyloxycarbonyl−L−lysyl−3−(N
−benzyloxy)−aminopropanoyl−Nα−benzyloxycarb
onyl−L−lysyl−3−(N−benzyloxy)−aminopropa
noic acid methyl ester) 化合物(7)2.492g(2.26mmol)をDOX 5mlに溶か
し、0℃に冷却し、8.3N HCl/DOX23.8ml(80当量)を
加えた。30分間撹拌し、TLCで原料の消失を確認してか
ら、減圧濃縮し、残渣2.416gを得た。これをDMF15mlに
溶かし、NMM0.249g(2.46mmol)を加えた。この溶液にD
MF5mlに溶かした公知の化合物(21)、すなわち、(N
ε−tert−Butoxycarbonyl−6−aminohexanoyl−3−
(N−benzyloxy)−aminopropanoic acid p−nitrophe
nyl ester 1.435g(2.71mmol)、1.1当量)を加え、さ
らにHOBtを0.377g(2.46mmol)を加えて37℃で2日間撹
拌した。その後DMFを減圧留去し、残渣にAcOEt70mlと水
30mlを加え抽出した。AcOEt層を5%クエン酸、5%NaH
CO3、飽和食塩水で順次洗浄し、MgSO4で乾燥し、AcOEt
を減圧留去し、油状の粗生成物を得た。この粗生成物を
カラムクロマトグラフィー(Wakogel C−300、CHCl3:Me
OH=9:1)で精製し、目的物1.5607g(収率49%)を無定
形固体として得た。1 H NMR(CDCl3)δ:1.42(s,9H),1.20−1.65(m,18
H),2.25−2.62(m,8H),2.95−3.15(m,6H),3.59(s,
3H),3.91(m,2H),3.71及び4.24(m,4H),5.08(s,4
H),4.70−5.12(m,9H),5.93(m,2H),6.45及び6.60
(br.s,2H),7.20−7.43(m,25H) ppm. 元素分析: C70H92N8O16・3/2H2Oとして、 C H N 計算値 63.28 7.21 8.43 実験値 63.26 6.92 8.46 (ii)化合物(23)の合成(Nε−Acety−6−aminohe
xanoyl−di[3−(N−hydroxy)−aminopropanoyl−
L−lysyl]−3−(N−hydroxy)−aminopropanoic a
cid methyl ester) 化合物(22)をTFAで脱Boc後無水酢酸でアセチル化し
接触水素化して製造した。
化合物(22)0.780g(0.60mmol)をCH2Cl24mlにとか
して冷却し、TFA6.7ml(150当量)を加えた。15分間撹
拌し、TLCで原料の消失を確認してから減圧濃縮し残渣
1.142g(過剰TFA、3.10mmol)を得た。残渣をTHF6mlに
溶かしNMM0.374g(3.70mmol)を加え中和し、さらに無
水酢酸80mg(0.78mmol)を加えて室温で30分間撹拌し
た。この後溶媒を減圧留去し、残査にAcOEt50ml、水20m
lを加えて抽出し、AcOEt層を水(20ml×3)で洗浄しMg
SO4で乾燥し、AcOEtを減圧留去して、粗生成物を得た。
これをゲルクロマトグラフィー(Sephadex LH−20、MeO
H)で精製した。そのアセチル保護体0.1275gを化合物
(11)を得たときと同様に脱ベンジル及び脱Z化し目的
物を無定形固体として得た。
Hydroxamic Acidテスト(陽)、Ninhydrinテスト
(陽)。1 H NMR(DMSO−d6)δ:1.23−1.72(m,14H),11.72−2.
03(m,4H),1.89(s,3H),2.35−2.73(m,8H),3.04−
3.25(m,6H),3.65(s,3H),3.74−4.10(m,8H),4.29
(br.s.4H),7.70−7.85(m,1H),8.02−8.77(m,2H)
ppm. 参考例4(微生物生長促進効果) 化合物(23)の生理活性効果を検討するにあたって、
被検菌としてArthrobacter flavescens ATCC 25091を用
いた。培地はシデロフォアとしてロドロルリック酸でな
くDesferalを加えたATCC medium No.424を用いた。菌体
は、綿栓付L字試験管に培地を10ml入れ、1白金耳で植
菌し前培養とした。
生長促進効果は、ペーパーディスクを用いた寒天平板
法により検出した。底の平らなシャーレ(内径90mm)に
Desferalを含まない1.5%(w/v)寒天培地(基層)を流
して水平な位置で固めたものの上に、菌体を含みDesfer
alを含まない0.7%(w/v)寒天培地(菌層)を重層して
固めて作製した。直径6mmの薄手のペーパーディスク
(東洋アドバンテック製)にサンプルを一定量(15μ
)滴下した。約24時間後にディスクの周囲に生じた生
育促進円を測定した。結果を第1表に示す。
対照試験として水のみを含浸したディスクのまわりに
は、生育促進円はできなかった。
第1表に示すように化合物(23)の鉄錯体は、天然に
存在するシデロフォア鉄錯体FerrioxamineBより少し弱
いが、同様に生長促進を示すことがわかった。
実施例3 (i)化合物(25)の合成(Nε−tert−Butoxycarbon
yl−Nα−benzyloxycarbonyl−L−lysyl−3−(N−
benzyloxy)−aminopropanoyl−6−aminohexanoyl−3
−(N−benzyloxy)−aminopropanoyl−6−aminohexa
noyl−3−(N−benzyloxy)−aminopropanoic acid m
ethyl ester) 公知化合物(24)、すなわち、6−Aminohexanoyl−
3−(N−benzyloxy)aminopropanoyl−6−aminohexa
noyl−3−(N−benzyloxy)−aminopropanoic acid m
ethyl ester hydrochloride(K.Shimizu et al.,J.Che
m.Soc.Chem.Commun.,183(1985)) 542mg(0.836mmol)とNMM88.0mg(0.870mmol)と化合
物(6)789mg(1.16mmol)とHOBt 154mg(1.01mmol)
をDMF20mlに溶かし、37℃で2日間撹拌した。その後DMF
を減圧留去し、残留物にAcOEt150ml、水50mlを加えて抽
出した。AcOEt層を5%NaHCO3(50ml×5)、5%クエ
ン酸(50ml×3)、飽和食塩水(50ml×2)で洗浄し
た。無水Na2SO4で1晩乾燥しAcOEtを減圧留去した。AcO
Et:hexane=4:1でKieselgel 60でカラム精製を行ない上
部スポットを除去し、続いてCHCl3:MeOH=10:1で目的ス
ポットを回収し、ゲルクロマトグラフィー(Sephadex L
H−20、Toyopearl HW−40)にかけて目的物を得た。
収量266mg(収率28%)、油状物、Rf0.76(CHCl3:MeO
H=10:1)。
(ii) 化合物(26)の合成(Nε−Acetyl−Nα
benzyloxycarbonyl−L−lysyl−3−(N−benzylox
y)−aminopropanoyl−6−aminohexanoyl−3−(N−
benzyloxy)−aminopropanoyl−6−aminohexanoyl−3
−(N−benzyloxy)aminopropanoic acid methyl este
r) 化合物(25)130mg(0.113mmol)を塩化メチレン2ml
に溶かし、5℃に冷却して100倍当量のTFA1.30gを加え
て撹拌した。TLCによりモニターし、45分後に原料スポ
ットの消失を確認した。TFAを減圧留去し、塩化メチレ
ン3mlを加え、再び減圧留去し、さらに3回繰り返し、
目的物を得た。収量178mg(収率100%に加えて46.0mgの
残存TFA)。
これをTHF4mlに溶かし、NMM52.2mg(0.403mmol)を加
え中性にし、さらに無水酢酸15.2mg(0.149mmol)を加
えて室温で24時間撹拌した。その後溶媒を減圧留去しAc
OEt50ml、水25mlを加えて分離し、有機層を水で洗浄し
(25ml×3)、無水Na2SO4で1晩乾燥し、AcOEtを減圧
留去した。粗生成物をゲルクロマトグラフィー(Sephad
ex LX−20、MeOH)で精製し目的物を得た。収量99.1mg
(収量80%)、油状物。
(iii)化合物(27)の合成(Nε−Acetyl−L−lysyl
−3−(N−hydroxy)aminopropanoyl−6−aminohexa
noyl−3−(N−hydroxy)aminopropanoyl−6−amino
heyanoyl−3−(N−hydroxy)aminopropanoic acid m
ethyl ester) 10%Pd−C10.1mg(10%wt)を溶媒(MeOH:AcOH=5:
1)10mlに加え、30分間前還元した。化合物(26)99.1m
g(9.06×10-5mol)を溶媒10mlに溶かし、これを加えて
3時間室温で撹拌し、接触水素化還元を行なった。
Pd−Cを別し、液を減圧留去し、目的物を得た。
収量48.1mg(収量77%)油状物。
Ninhydrinテスト(陽)Hydroxamic acidテスト
(陽)。
IR(neat);3300−2800(−NH−),1750(−COO−),17
15(−O−CO−NH−). 1659(−CO−NH−),760−680(ピークなし)cm-1. (iv)化合物(28)の合成(化合物(27)のHydrochlor
ide) 化合物(27)48.1mg(6.98×10-5mol)を、MeOH1mlに
溶かし、5℃に冷却して約3当量の1N HCl/THF0.2mlを
加えて2時間撹拌し、HCl/THFを減圧留去した。THF1ml
を加え再び減圧留去し、さらに3回繰り返した。粗生成
物をゲルクロマトグラフィー(Sephadex LH−20.MeCH)
で、精製し、目的物を得た。
収量37.9mg(収量58%)、無定形固体。
(v)化合物(29)の合成(Nε−tert−Batoxycarbon
yl−L−lysyl−3−(N−hydroxy)−aminopropanoyl
−6−aminohexanoyl−3−(N−hydroxy)aminopropa
noyl−6−aminohexanoyl−3−(N−hydroxy)aminop
ropanic acid methyl ester) 10%Pd−C10.2mg(10%wt)を溶媒(MeOH:AcOH=5:
1)10mlに加え30分前還元した。
化合物(25)101mg(8.77×10-5mol)を溶媒10mlに溶
かしたものを加えて3時間室温で撹拌し、接触水素化還
元を行なった。Pd−Cを別し、液を減圧留去した。
粗生成物をゲルクロマトグラフィー(Sephadex LH−2
0、MeOH)で精製し、目的物を得た。
収量38.9mg(収量59%)、無定形固体、Ninhydrin
テスト(陽)、Hydroxamic acid テスト(陽)。
因みに化合物(29)の鉄(III)錯体は、pH6.0の水溶
液のCDスペクトルにおいてλ=370nmではΔε=−1.8、
λ=450nmではΔε=+0.5を示し、 配置を優先することを示した。
【図面の簡単な説明】
第1図、第2図は、それぞれ、本発明の誘導体の鎖状体
及び環状体の合成の手順を示す例であり、第3図及び第
4図は、それぞれ、本発明の2種類の鎖状誘導体のFe
(III)錯体のCDスペクトルを示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I)で表わされるリジン残基
    を含むレトロヒドロキサム酸デフェリフェリオキサミン
    誘導体及びその塩。 X−(A)3n−Y (I) 式中、Aは、残基(a): 又は残基(b): を表し;Xは、置換若しくは非置換の低級アシル基、H、
    ブトキシカルボニル基又はベンジルオキシカルボニル基
    を表わし、Yは、低級アルコキシル基又はOHを表し、又
    は、XとYとは一緒になって1個の単結合を表し;nは、
    1又は2を表わす。ただし、Aの少なくとも1個は、残
    基(a)である。
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