JP2743402B2 - 化合物電界効果トランジスタ - Google Patents

化合物電界効果トランジスタ

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は化合物電界効果トランジスタに関する。
〔従来の技術〕
化合物電界効果トランジスタ、例えば砒化ガリウム電
界効果トランジスタ(以下GaAs−MESFETという)は、超
高速論理ICのキー・デバイスとして開発されている。従
来、この種のトランジスタは第4図に示すごとく、半絶
縁性GaAs基板11上にイオン注入(Si+イオン,加速電圧6
0keV)によりn型GaAs基板能動層12を設け、そのn型Ga
As能動層12上に、ソース電極13,ドレイン電極14および
ゲート電極15の各電極を設けた構造とされる。
〔発明が解決しようとする課題〕
かかる従来のGaAs,MESFETの問題点は、ゲート電極15
のn型GaAs能動層12上にない部分、即ちゲート・パッド
部16やその引き出し部分17が、半絶縁性GaAs基板11に直
接接している点である。このようにゲート電極が直接半
絶縁性基板と接している接触面は金属学的にも又電気的
にも極めて不規則、不安定であるので、その部分に電界
が印加された時容易に雪崩破壊を起こす。このことは学
術文献「アイ・イー・イー・イー トランザクション
オン エレクトロン デバイス」(IEEE Transaction o
n Electron Devises,ED−29,NO.7,PP.1051−1058)のデ
ー・シー・ダバンゾ(D.C.D'AVANZO)他の報告にも詳し
く述べられており、発明者らの実験でも確認されている
ものである。すなわち、第5図(a),(b)の雪崩破
壊現象の立証実験図に示すごとく、両電極51,52が共に
能動層12に相当するn型GaAs層18上に位置する場合〔第
5図(a)〕、n型GaAs層18の間隔が4μmであれば、
10V以上の印加電圧まで雪崩破壊が生じないが、一方が
直接、半絶縁性基板に接している場合には〔第5図
(b)〕、僅か3V程度で両電極間に急激な電流(リーク
電流)増大が生じることを確認した。このように半絶縁
性基板上の電極間にリーク電流が生じることは、特に素
子を高密度に集積化した集積回路においては致命的であ
り、誤動作の原因となることは明らかである。この問題
点を解決する一つの方法は、全ての電極の下にn型GaAs
層を挿入することであるが、この構造にすると、余分な
寄生容量が発生したり、あるいは、それによりソース,
ドレイン間が短絡されたりする問題点を新らたにひき起
こすので、事実上実施不可能である。従って従来は素子
間を十分離すことしか有効な解決方法は知られていな
い。
しかしながら、本発明者の実験によれば、電極下のn
型GaAs層のキャリア密度が十分小さく(又は厚みが十分
薄く)、ゲート電極との接触により生じる接触電位差に
より空乏化する如き場合には、このリーク電流を十分抑
えることができることが確認された。すなわち、上記第
5図(a)の電極配置においても耐圧を8V以上保ち得る
ことを実証し得た。
本発明の目的は、上記の状況に鑑み、従来のゲート電
極の引出し部及びパッド部の構造的要因により生じるゲ
ート,ドレイン間の耐圧低下の問題点を解決した化合物
電界トランジスタを提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明によれば、化合物電界効果トランジスタは、半
絶縁性基板と、前記基板に形成されるn型半導体能動層
と、前記能動層表面に形成されるソース,ドレインおよ
びゲートの各電極とを含み、前記ゲート電極の引出し部
およびパッド部の下方のみに、該ゲート電極との接触電
位差により電子が空乏化されるn型半導体層が形成され
ていることを含んで構成される。
〔実施例〕
以下図面を参照して本発明の詳細に説明する。
第1図(a)および(b),(c)はそれぞれ本発明
の一実施例を示す砒化ガリウム電界効果トランジスタの
平面図およびそのA−A′,B−B′断面図である。本実
施例によれば、比抵抗107Ωcmの半絶縁性GaAs基板11
と、Si+イオンを注入(注入エネルギ60keV,注入ドーズ
量5×1012cm-2)して形成したn型GaAs能動層12と、こ
のn型GaAs能動層12上に形成されたソース,ドレイン及
びゲートの各電極13,14および15と、n型GaAs能動層12
上にないゲート電極のパッド部16及び引出し部17の直下
に挿入形成された、例えばSi+イオンを60keVエネルギ、
注入ドーズ量1×1012cm-2で形成されたn型GaAs層19と
を含む。このn型GaAs層19はゲート電極との接触電位差
により完全に空乏化され、正の空間電荷が充満している
状態にある。このように完全空乏化された層は電気的に
絶縁性を示すので、電気的に何ら不具合は生じないばか
りかソース,ドレイン電極間の耐圧を向上せしめリーク
電流を抑えることが可能となる。
第2図(a)〜(c)は上記の電界効果トランジスタ
の製造方法を示す工程順序図を示すものである。すなわ
ち、第2図(a)に示すように半絶縁正GaAs基板11の全
面にSi+イオンをエネルギ60keVでドーズ量1×1012cm-2
だけ注入し、n型半導体層19をまず形成し、つづいて能
動層領域12を同様にイオン注入法(注入エネルギ60ke
V、ドーズ量5×1012cm-2)で形成することから開始
し、ついで第2図(b)に示す如くソース,ドレイン及
びゲートの各電極13,14及び15を通常の方法で形成した
後、第2図(c)に示すごとく、能動層領域12上のみホ
トレジスト20で保護したるあと、ゲート電極15をマスク
に全面を約2000Åだけ、例えばH2SO4+H2O2+H2O溶液を
用いてエッチング除去することにより実現することがで
きる。
第3図は本発明の他の実施例を示す砒化ガリウム電界
効果トランジスタの断面構造図である。本実施例によれ
ば、ゲート電極のパット部16及び引出し部17下以外の不
要なn型GaAs層はエッチング除去される代りに、例えば
クロム(Cr+)のイオン注入(注入エネルギ100keV、注
入ドーズ量1×1013cm-2)により高抵抗化される。この
構造によれば、絶縁性に多少難はあるものの、基板上に
無用な段差が生じないという利点がある。
以上はGaAs・MESFETに実施した場合を説明したが、In
Pその他の基板を用いた電界効果トランジスタについて
も同様に実施することが可能である。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によれば、能動領域以外
のゲート電極金属の下に空乏化されたn型GaAs層を形成
しているので、電気的に何ら不具合を生じることなく、
電極間の耐圧を向上せしめるという効果が有る。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)および(b),(c)はそれぞれ本発明の
一実施例を示す砒化ガリウム電界効果トランジスタの平
面図およびそのA−A′,B−B′断面図、第2図(a)
〜(c)は上記実施例の電界効果トランジスタの製造方
法を示す工程図、第3図は本発明の他の実施例を示す砒
化ガリウム電界効果トランジスタの断面図、第4図は従
来の砒化ガリウム電界効果トランジスタの断面図、第5
図(a),(b)は従来の砒化ガリウム電界効果トラン
ジスタに生じる雪崩現象の立証実験図である。 11……半絶縁性GaAs基板、12……n型GaAs能動層、13…
…ソース電極、14……ドレイン電極、15……ゲート電
極、16……ゲート・パッド部、17……ゲート電極の引出
し部、19……n型GaAs層、20……ホトレジスト膜。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半絶縁性基板と、前記基板上に形成される
    n型半導体能動層と、前記能動層表面に形成されるソー
    ス、ドレインおよびゲートの各電極とを含み、前記ゲー
    ト電極の引出し部およびパッド部の下方のみに、該ゲー
    ト電極との接触電位差により電子が空乏化されるn型半
    導体層が形成されていることを特徴とする化合物電界効
    果トランジスタ。
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