JP2742279B2 - 歯科用セメント材料 - Google Patents

歯科用セメント材料

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JP2742279B2 JP63317224A JP31722488A JP2742279B2 JP 2742279 B2 JP2742279 B2 JP 2742279B2 JP 63317224 A JP63317224 A JP 63317224A JP 31722488 A JP31722488 A JP 31722488A JP 2742279 B2 JP2742279 B2 JP 2742279B2
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宏 萩原
憲史 永田
隆雄 田野崎
宏 高砂
貞之 夕田
正彦 植田
博志 船附
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秩父小野田株式会社
三金工業株式会社
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は補綴物の合着剤として使用される他、充填材
や裏装材等にも使用される歯科用セメント材料に関する
ものである。
[従来の技術] 歯科用セメント材料は補綴物の合着剤として使用され
る他、充填材,裏装材としても使用されており、歯科分
野の修復材料として様々な歯科用セメント材料が開発さ
れている。
従来の歯科用セメント材料の代表例としては、燐酸亜
鉛セメントが知られており、広く使用されてきた。この
歯科用セメント材料は、酸化亜鉛を主成分とし、その他
酸化マグネシウム,酸化アルミニウム,シリカ等を含ん
だ粉末剤を、燐酸を主剤とする液剤と混練することによ
って反応させ、主に水に不溶性の第3燐酸亜鉛[Zn3(PO
4)2・4H2O]を生成させたものである。しかしながらこの
歯科用セメント材料は口腔内の唾液によって徐々に溶解
する他、歯質に対する接着性や親和性がほとんど無いた
め、適用部位に対する固着状態は機械的保持力に頼るも
のとなっていた。
上記燐酸亜鉛セメントの他には、酸化亜鉛粉末とポリ
アクリル酸の水溶液を混合したカルボキシレートセメン
トや、アルミノ珪酸塩粉末とポリアクリル酸を混合した
グラスアイオノマーセメント等が知られている。これら
の歯科用セメント材料は生体に対する為害作用が少な
く、接着性もある程度期待できるが、上記燐酸亜鉛セメ
ントと同様生体親和性が不十分であるという欠点を有し
ていた。
これまで開発されてきた歯科用セメント材料は上述の
如くそれぞれ一長一短がありその用途に応じて使い分け
る必要があるが、歯科用セメント材料としては硬化性が
十分であること及び生体親和性が良好なことは共通の要
求特性であり、これらを両方とも十分に満足するものが
望まれている。
[発明が解決しようとする課題] 本発明はこうした技術的課題を解決する為になされた
ものであって、その目的とするところは上記趣旨から明
らかな様に、補綴材や充填材として要求される十分な硬
化性を有すると共に、生体親和性にも優れた歯科用セメ
ント材料を提供する点にある。
[課題を解決する為の手段] 上記目的を達成し得た本発明の歯科用セメント材料と
は、アパタイト結晶及び/又は燐酸カルシウム結晶を含
む燐酸カルシウム系結晶化ガラス粉末と、20〜80%濃度
のポリカルボン酸水溶液からなる点に要旨を有するもの
である。
[作用] 本発明者らは上記要求を満足する歯科用セメント材料
の開発を目指して種々研究を重ねた結果、アパタイト結
晶及び/又は燐酸カルシウム結晶を含有する燐酸カルシ
ウム系結晶化ガラス粉末と、硬化液としてのポリカルボ
ン酸(20〜80%濃度)とを混合することによって、硬化
性及び生体親和性のいずれの点でも優れた歯科用セメン
ト材料が実現できることを見出し、本発明を完成した。
本発明の結果化ガラス粉末中には、アパタイト結晶及
び/又は燐酸カルシウム結晶を含有したものでなければ
ならない。これは、単にグラスアイオノマーセメントに
上記結晶を添加混合したものではなく、ガラス中に結晶
化した安定相である結晶相として生体親和性のある上記
結晶がガラス中に存在することで、硬化性,生体親和性
のいずれの点でも優れた歯科用セメント材料となる。こ
れらの結晶相を生成させる為には、原料中に主要成分と
なるカルシウム塩や燐酸塩化合物が適量含有されること
が不可欠であるが、結晶生成はガラス原料の溶融・結晶
化条件によっても若干左右されるので原料の選択や調合
には慎重な処理が必要である。
次に硬化液としてのポリカルボン酸はその濃度が20〜
80%であることが必要である。これは濃度が20%未満で
は硬化剤としての作用が不十分で希望する強度が得られ
ないからであり、一方80%を超えると著しく粘度が増大
し、粉末とポリカルボン酸とを混和するのが困難とな
り、物理的及び機械的性質が低下する。尚燐酸カルシウ
ム系結晶化ガラス粉末とポリカルボン酸との混合割合に
ついては何ら限定するものではないが臨床上の修復操作
を考慮した場合、1:2〜3:1程度が適当である。
この様にして燐酸カルシウム系結晶化ガラス粉末とポ
リカルボン酸水溶液とを混和することによって希望する
充分な強度が得られるのであるが、これはガラス中の金
属イオンとポリカルボン酸のカルボキシ基とが反応し、
キレート結合を形成して硬化する為であると考えられ
る。従って用いられるポリカルボン酸としては、上記キ
レート結合を形成するものであればよく、例えば不飽和
脂肪族カルボン酸の単独重合体や共重合体、或はこれら
の酸と他の不飽和脂肪族単量体との共重合体等が挙げら
れる。
尚本発明は上述の如き構成からなるが、その他SiO2,M
gO,Na2O,K2O,Al2O3,Fe等の酸化物や元素を含有しても
良い。特にSiO2はガラス結晶組織の生成に寄与する為70
%程度までは含有させるのが好ましいが、あまり多くな
りすぎると燐酸カルシウムが相対的に減少し、生体親和
性が低下する。又上記した様な各種元素の含有を許容す
る結果、生じた結晶相中にアパタイト結晶や燐酸カルシ
ウム結晶の他にウォラストナイト結晶[CaO・SiO2],
ジオブサイド結晶[MgO・CaO・2SiO2],フォルステラ
イト結晶[2MgO・SiO2]等のアルカリ土類金属珪酸塩結
晶を含有することがあり得るがいずれも本発明における
結晶化ガラスに包含される。
以下本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、
下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前
・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれも本発
明の技術的範囲に含まれるものである。
[実施例] 実施例1 CaO:45重量%、Al2O3:10重量%、P2O5:10重量%、Mg
O:0.5重量%、SiO2:34.3重量%、F2:0.2重量%となるよ
うに、ガラス原料を調合し、1650℃で2時間溶融させた
後、900℃で2時間焼成して燐酸カルシウム系結晶化ガ
ラスを得た。これをX線回折法により同定したところ、
水酸アパタイト及びウォラストナイトを含有することが
確認された。
次に得られた燐酸カルシウム系結晶化ガラスを微粉砕
して平均粒径3μmの粉末とし、これにフマル酸(35重
量%)とアクリル酸(65重量%)から製造された平均分
子量約18000のポリカルボン酸30重量%と酒石酸10重量
%及び水60重量%からなる硬化液を1.2(粉末):1(硬
化液)の割合で加えたところ硬化時間3分で24時間後の
圧縮強度が680kg/cm2の生体親和性の優れた歯科用セメ
ントとして有用な硬化物が得られた。
さらに、この歯科用セメントを3週令ウィスター系ラ
ットの大腿骨部2カ所に穿孔した骨髄腔に充填し、3カ
月後に切り出して通法に従い研磨薄片を作製して検鏡し
たところセメントの周りを一層の新生骨が取り囲んでい
ることが確かめられた。
尚、平均粒径3μmの燐酸カルシウム系結晶化ガラス
の代わりに、平均粒径3μmのアルミノシリケートガラ
ス粉末と平均粒径3μmの水酸アパタイト結晶粉末と平
均粒径3μmのウォラストナイト結晶粉末を重量比で1:
1:1に混合したものを、実施例1と同様に3週令ウィス
ター系ラットの大腿骨部2カ所に穿孔した骨髄腔に充填
し、3カ月後に切り出して検鏡したところ、セメントの
周りの一部にしか新生骨は形成していなかった。
実施例2 CaO:45重量%、Al2O3:1.0重量%、P2O5:20重量%、Mg
O:0.5重量%、SiO2:33.3重量%、F2:0.2重量%となるよ
うに、ガラス原料を調合し、1550〜1600℃で2時間溶融
させた後、1100℃で2時間焼成して燐酸カルシウム系結
晶化ガラスを得た。得られた結晶化ガラスをポットミル
にて平均粒径が5μmの粒径となるように粉末化した。
また得られた結晶化ガラス粉末についてはX線回折法に
よると、結晶相として水酸基化アパタイト及びウォラス
トナイトが同定された。その結果は第1図に示す。
次に、得られた結晶化ガラス粉末に、イタコン酸(40
重量%)とアクリル酸(60重量%)から製造された平均
分子量約15,000のポリカルボン酸40重量%と、酒石酸10
重量%及び水50重量%からなる硬化液を1.2(粉末):1
(硬化液)の割合で加えたところ、硬化時間4分で24時
間後の圧縮強度が820kg/cm2のセメント硬化物が得られ
た。
実施例3 下記第1表の化学組成となる様にガラス原料を調合
し、1400〜1650℃で溶融させた後850〜1200℃で焼成し
て結晶化ガラスとした。この結晶化ガラスをポットミル
に入れて平均粒径が2〜5μmとなる様に粉末化した。
結晶化ガラス粉末1.2重量部にポリアクリル酸40重量%
と、酒石酸10重量%及び水50重量%からなる硬化液1.0
重量部を加え、得られる硬化物の性状について調査した
ところ、その特性は良好であった。第1表には得られた
結晶化ガラス粉末について、X線回折法によって析出結
晶を同定した結果及び硬化時間を併記した。尚No.1〜14
の24時間後の圧縮強度は400〜850kg/cm2であった。
以上の結果からも明らかであるが、本発明で規定する
要件を満足する歯科用セメント材料は、良好な硬化性を
有し且つ生体親和性においても良好であることが理解さ
れる。
[発明の効果] 以上述べた如く本発明によれば、既述の構成を採用す
ることによって、硬化性が十分であり且つ生体親和性に
も優れた歯科用セメント材料が実現できた。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る結晶化ガラス粉末におけるX線回
折結果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田野崎 隆雄 東京都江東区豊洲1丁目1番7号 小野 田セメント株式会社セラミックス研究所 内 (72)発明者 高砂 宏 東京都江東区豊洲1丁目1番7号 小野 田セメント株式会社セラミックス研究所 内 (72)発明者 夕田 貞之 兵庫県川西市加茂6丁目120番地1 三 金工業株式会社中央研究所内 (72)発明者 植田 正彦 兵庫県川西市加茂6丁目120番地1 三 金工業株式会社中央研究所内 (72)発明者 船附 博志 兵庫県川西市加茂6丁目120番地1 三 金工業株式会社中央研究所内

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アパタイト結晶及び/又は燐酸カルシウム
    結晶を含む燐酸カルシウム系結晶化ガラス粉末と、20〜
    80%濃度のポリカルボン酸水溶液からなることを特徴と
    する歯科用セメント材料。
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