JP2741958B2 - シートフイルムパック - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、シートフイルムを複数
枚積層して収納し、これらのシートフイルムに順次に撮
影を行ってゆくことができるようにしたシートフイルム
パックに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】商品カタログ作成用の写真や大伸ばしを
前提とした写真の撮影には、ビューカメラやスタジオカ
メラ等の大型カメラが利用される。大型カメラで使用さ
れるフイルムのサイズは４×５インチ以上で、特に鮮明
度が要求される場合には大きな威力を発揮する。このよ
うな大型カメラの中には、１回の撮影ごとにフイルムサ
イズが大きい写真乾板やシートフイルムを交換するもの
があるが、繰り返して撮影を行う場合には迅速な対応が
できない。

【０００３】このような不都合は、例えば本出願人によ
って商品化された「４×５クイックチェンジャー（商品
名）」で知られるフイルムホルダを用いることによって
解決することができる。このフイルムホルダは、カメラ
に装着される外枠と、この外枠の中に収納された内枠と
から構成されている。内枠には５〜１０枚程度のシート
フイルムが積層して収納されるとともに、内枠の前面に
形成された露光用開口を遮光するスライド自在の引蓋が
設けられている。また、内枠自体も外枠に対してスライ
ド自在になっており、外枠をカメラに装着した後、引蓋
及び内枠を交互にスライド操作することによって、露光
済みフイルムが内枠の最下層に送り込まれるとともに、
新たなフイルムは撮影位置である最上層にセットされ
る。したがって引蓋と内枠の操作により、シートフイル
ムの枚数分の撮影を行うことができる。また実開昭５０
−２２０２９号公報には、カメラに装着されるホルダ本
体に隔壁で区画した２室を設け、その一方を未露光のシ
ートフイルムの収納室、他方をシートフイルムの回収室
として利用したものが開示されている。そして、撮影後
のフイルム移送操作によって露光済みのシートフイルム
を回収室に送り込むようにしたフイルムホルダが開示さ
れ、やはり予め収納室に装填された複数枚のシートフイ
ルムに対し、繰り返し撮影を行うことができるようにな
っている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
のフイルムホルダでは、予め暗室内でホルダ内に装填し
た５〜１０枚程度のシートフイルムに対して順次に撮影
を行ってゆくことはできるが、さらに多数回の撮影を引
続き行うことが予想される場合には、フイルムホルダを
何個か用意しなくてはならない。したがってスタジオ内
での撮影ではともかく、山岳写真等の屋外撮影では携帯
性の点で問題があるばかりでなく、１個のフイルムホル
ダについて撮影を終えた後には、再び新たなフイルムホ
ルダの外枠をカメラに位置決めして装着しなくてはなら
ず、やはり操作性の点で改良が望まれていた。

【０００５】本発明は上記した従来技術のもつ問題点を
解決するためになされたもので、シートフイルムを用い
て多数回の撮影を迅速に行うことができ、しかも携帯性
にも優れたシートフイルムパックを提供することを目的
とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するにあたり、従来のフイルムホルダでは外枠と内枠と
が分離不能で、これに起因して種々の問題点が生じてい
ることに着目し、前記外枠と同様にしてカメラに装着さ
れるパックホルダに対し、シートフイルムを積層収納し
たフイルムパックを分離できるようにしたものである。
フイルムパックには、前面に露光開口が形成されるとと
もに、遮光シートを最上層に重ねた状態で複数の未露光
のシートフイルムユニットを積層して収納するシート収
納室と、露光済みのシートフイルムユニットが送り込ま
れるシート回収室とが設けられ、これらの両室は隔壁に
よって区画されている。隔壁の上端面とパック本体の内
壁との間には通路が形成されており、シート収納室の最
上層に位置している遮光シートもしくは露光済みのシー
トフイルムユニットは隔壁上方の通路を通ってシート回
収室に送り込まれる。これらのシートの移送を行うため
に隔壁には上下に貫通したスリットが形成され、遮光シ
ート及びシートフイルムユニットに剥離可能に接合され
た引き出しシートの先端部が、このスリットを通ってパ
ック本体の背面に突出している。そして、引き出しシー
トの先端部を引くことによって遮光シートやシートフイ
ルムユニットの移送及び引き出しタブの剥離が行われ
る。引き出しシートは、遮光シートやシートフイルムユ
ニットの個々にそれぞれ接合した複数のものであっても
よく、また連続した１枚の引き出しシートを用いること
も可能である。また、撮影後にフイルムパックを単体で
取り扱う際に、露光開口，隔壁の上方を経て光がシート
回収室内のシートフイルムユニットに及ばないようにす
るには、シート回収室内でも最上層に第２の遮光シート
を被せて遮光を図るのが効果的である。

【０００７】

【実施例】図１において、本発明を適用したフイルムパ
ック２は、パックホルダ３に装填して利用され、また不
使用時にはパックホルダ３から取り外すことができる。
パックホルダ３は、その前面がカメラの取り付け枠に装
着して用いられ、撮影開口４がカメラ側のアパーチャー
に合致される。凸条５は、パックホルダ３をカメラの取
り付け枠に装着するときの位置決めに利用される。パッ
クホルダ３の一側面にはパック挿入口６が形成され、こ
こからフイルムパック２が挿入される。前記撮影開口４
を開閉するために、パックホルダ３には一端に把手７ａ
を固着した引蓋７が組み込まれ、溝８をガイドにしてス
ライド自在となっている。そして引蓋７を閉止すること
によって撮影開口４は光密に閉じられる。パック挿入口
６の奥には突出方向に付勢されたロック爪１０が設けら
れ、フイルムパック２の底面に形成した溝１０ａ（図２
参照）に嵌入してフイルムパック２が不用意に引き抜か
れることを防止する。このロック爪１０は、ノブ１１の
操作によりロック解除位置に移動させることができる。

【０００８】図２にも示したように、フイルムパック２
は外形が略直方体をなす箱型のパック本体１５からな
り、パック本体１５内の空間は、隔壁１６によってシー
ト収納室１７とシート回収室１８とに区画され、シート
収納室１７の前面には露光開口１９が形成されている。
シート収納室１７には、前面側から順に、第１遮光シー
ト２０，５枚のシートフイルムユニット２１，第２遮光
シート２２が積層して収納されている。第１，第２遮光
シート２０，２２は、光遮断性のプラスチック薄板から
なる。シートフイルムユニット２１の各々は、図３に示
したように、４×５インチサイズのシートフイルム２５
と、そのベース面を支持するとともに、シートフイルム
２５の４端辺を取り囲むように４辺を折り曲げた金属薄
板製のシース２６とから構成されている。なお、シート
フイルム２５の平面性を維持し、また充分な強度があれ
ば、シース２６をプラスチックで作ることも可能であ
る。もちろん、シートフイルムユニット２１の積層枚数
は５枚に限られない。

【０００９】図２に示した第１遮光シート２０，シート
フイルムユニット２１，第２遮光シート２２の各々に
は、その裏面側にそれぞれ引き出しシート２７が剥離自
在な接着剤により接合されている。引き出しシート２７
は引っ張り強度に富む紙製のシート材からなり、その先
端部２８は遮光シート２０，２２、あるいはシートフイ
ルムユニット２１の一短辺から長く突出した寸法となっ
ている。引き出しシート２７は、図３に示した接合部２
９ａ，２９ｂで接着され、一方の接合部２９ａはシート
フイルムユニット２１の前端縁からわずかに奥まった位
置であり、他方の接合部２９ｂはシートフイルムユニッ
ト２１の後端縁となっている。また、各々の引き出しシ
ート２７の先端部２８には、これに接合されているシー
トの種類、例えば第１遮光シートの場合には「ＣＯＶＥ
Ｒ」、１枚目のシートフイルムユニットの場合には「Ｅ
Ｘ１」等の表示２８ａが施されている。

【００１０】図２に示したように、隔壁１６の上端面
と、これに対向するパック本体１５の内壁との間には、
シートフイルムユニット２１の一枚分の厚み以上の移送
路３０が形成され、シート収納室１７とシート回収室１
８とはこの移送路３０を介して連絡されている。さら
に、引き出しシート２７の幅以上の間口をもったスリッ
ト３１が、隔壁１６を上下に貫通し、しかも出口側でシ
ート回収室１８側に近づくように傾斜して形成されてい
る。このスリット３１からは、シート収納室１７に積層
された第１遮光シート２０，５枚のシートフイルムユニ
ット２１，第２遮光シート２２の各々に接合された引き
出しシート２７が通され、その先端部２８はパック本体
１５の背面側に突出している。そして、スリット３１の
入口を構成している隔壁１６の一端縁は、先端が尖った
ブレード３２となっている。なお、符号３３は遮光用の
テレンプを示し、露光開口１９からの光が移送路３０を
通ってシート回収室１８に入ることを防いでいる。

【００１１】シート収納室１７の底面には圧板バネ３４
が設けられ、内部に収納された遮光シート及びシートフ
イルムユニットの積層体を前面側に押圧している。そし
て未使用の状態では、第１遮光シート２０が露光開口１
９に内側から圧着されるので、シート収納室１７内は光
密に保たれる。これにより、シート収納室１７に未露光
のシートフイルムユニット２０を入れたままでこのフイ
ルムパック２を単独で扱っても、シートフイルムユニッ
ト２０が外光に曝されることはない。シート回収室１８
の上面内壁には押圧バネ３５が設けられ、移送路３３を
通ってきた遮光シートやシートフイルムユニットをシー
ト回収室１８の底面側に向けて案内し、押圧する。

【００１２】上記構成による作用について、図４〜図７
を参照して説明する。図４に示したように、フイルムパ
ック２を装填したパックホルダ３は大判カメラの露光枠
４０に装着される。この装着時にはパックホルダ３の前
面に設けた凸条５が位置決めのために利用される。引蓋
７を引いてパックホルダ３の撮影開口を開放すると、パ
ック本体１５の露光開口１９を通して第１遮光シート２
０が臨出する。なお、図の繁雑化を避けるために、シー
トフイルムユニット２１，引き出しシート２７等につい
ては一部のみ図示した。

【００１３】次に、「ＣＯＶＥＲ」の表示がある最初の
引き出しシート２７ａを、パック本体１５の背面側に突
出している先端部２８を撮んでスリット３１の傾斜に沿
って引き出すと、図５に示したように、第１遮光シート
２０が移送路３０を通り、シート回収室１８へと移送さ
れる。このとき、ブレード３２が第１遮光シート２０の
裏面と引き出しシート２７ａとの間に入り込むので、手
前側の接合部２９ａを容易に剥離させることができる。
さらに引き出しシート２７ａを引いてゆくと、その引き
出し力は後端部の接合部２９ｂを介して第１遮光シート
２０に伝えられるから、第１遮光シート２０はシート回
収室１８に送り込まれてゆく。そして、ブレード３２に
よって接合部２９ｂでの接合が剥がされると、第１遮光
シート２０から引き出しシート２７ａが分離され、引き
出しシート２７ａはスリット３１から取り出され廃棄さ
れる。また第１遮光シート２０は、押圧バネ３５の付勢
によって、シート回収室１８の底部に押し込まれる。な
お、パック本体１５の背面からは７枚の引き出しシート
２７が突出しているが、その先端部２８は引き出し操作
の順に重なっており、しかも各々表示２８ａが施されて
いるから、第１遮光シート２０を移送しようとする際
に、誤って他の引き出しシートが引かれるようなことは
ない。

【００１４】こうして第１遮光シート２２がシート回収
室１８に送り込まれると、その下層に位置していた１枚
目のシートフイルムユニット２１ａは、圧板バネ３４の
付勢により露光開口１９に内側から圧着した露光位置に
移動し、図６に示した撮影待機状態となり、スリット３
１からは１枚目のシートフイルムユニット２１ａに接合
された引き出しシート２７ａを先頭にして残りの引き出
しシートが突出している。カメラのシャッタを作動させ
ると、パックホルダ３の撮影開口４，パック本体２の露
光開口１９を通して１枚目のシートフイルムユニット２
１ａに露光が行われる。その後、引き出しシート２７ｂ
を引くと、第１遮光シート２０を移送したときと全く同
様に、露光済みのシートフイルムユニット２１ａがシー
ト回収室１８に移送され、引き出しシート２７ｂが剥離
される。これと同時に、シート収納室１７では、２枚目
のシートフイルムユニット２１が圧板バネ３４の付勢に
より露光開口１９の内側に圧着され、２回目の撮影待機
状態になる。

【００１５】以後は、大判カメラのシャッタ開閉操作、
先頭に突出している引き出しシート２７の引き抜き操作
を繰り返すことによって、露光、露光済みシートフイル
ムユニット２７の移送、さらには新たなシートフイルム
ユニット２７を露光位置に移動させる作用が繰り返され
る。そして５枚目のシートフイルムユニット２１に露光
を行い、その引き出しシート２７を引き出すと、５枚目
の露光済みシートフイルムユニット２１がシート回収室
１８の最上層に移送される。この時点では、シート収納
室１７の露光開口１９の下に第２遮光シート２２が位置
している。そこで、この第２遮光シート２２に接合され
ている引き出しシート２７をさらに引き出すと、第２遮
光シート２２もシート回収室１８に送り込まれ、図７に
示したように第２遮光シート２２は露光済みのシートフ
イルムユニット２０の最上層に被せられ、しかも押圧バ
ネ３５の付勢によって第２遮光シート２２は５枚目の露
光済みシートフイルムユニット２１のに圧着される。

【００１６】こうして第２遮光シート２２をシート回収
室１８に移送した後には、ノブ１１を操作してロック爪
１０を解除位置に移動させる。これによりフイルムパッ
ク２をパックホルダ３から取り外すことが可能となる。
フイルムパック２をパックホルダ３から引き抜くと、露
光開口１９から外光が入ることになるが、移送路３０の
部分にはテレンプ３３が貼付されていること、さらにシ
ート回収室１８の最上層には第２遮光シート２２が位置
し、しかも押圧バネ２６の付勢により露光済みのシート
フイルムユニット２０に密着していることから、シート
フイルムユニット２１に外光によるカブリが生じること
はない。なお、圧板バネ３４の上に遮光板を取りつけて
おき、第２遮光シート２２がシート回収室１８に移送さ
れた後には、前記遮光板で露光開口１９を遮蔽すること
もできる。

【００１７】取り出されたフイルムパック２はそのまま
の状態で現像所に回収され、露光済みシートフイルムユ
ニットの取り出し及び現像処理が行われる。また、引続
き撮影を行う場合には、パックホルダ３を露光枠３５か
ら取り外すことなく、新たなフイルムパック２をパック
ホルダ３のパック挿入口６から挿入すればよい。したが
って、例えばスタジオ外で撮影するような場合において
は、１個のパックホルダ３を共用して何個かのフイルム
パック２を順次に交換しながら撮影することが可能とな
る。

【００１８】上記実施例は、第１，第２遮光シート２
０，２１、５枚のシートフイルムユニット２１の各々に
１枚ずつ遮光シート２７を接合したものであるが、図８
に示したように、１枚の引き出しシート４１に、第１遮
光シート２０，１枚目のシートフイルムユニット２１，
２枚目のシートフイルムユニット２１・・・と順に接合
しておいてもよい。この場合には、引き出しシート４１
を各シートの前縁，後縁部で折り返した状態でシート収
納室１７に収納される。そして、引き出しシート４１の
先端部４２を、パック本体１５に形成したスリット３１
を通して背面側に突出させておけば、これを引くことに
よって第１遮光シート２０，シートフイルムユニット２
１を順にシート回収室１８に移送することができる。な
お、引き出しシート４１の適宜の個所に切取り用のミシ
ン目を入れておき、引き出し後の余分な引き出しシート
４１を切り離すようにしてもよい。

【００１９】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明のシートフ
イルムパックによれば、パック本体自体が遮光機能を備
えており、撮影の前後にかかわらず、カメラに装着され
るパックホルダから分離しても内部に収納されたシート
フイルムは光密に維持されるから、１個のパックホルダ
に対して複数のシートフイルムパックを共用することが
でき、多数回の撮影を行うときには１個のパックホルダ
と撮影回数に応じた個数のシートフイルムパックを用意
すればよく携帯性の点で有利である。また、パックホル
ダをそのままカメラに装着したままでシートフイルムパ
ックの装填，取り出しが可能であるから、シートフイル
ムパック１個分の使用の後に、その都度カメラにパック
ホルダを位置決めして装着するという手間も省くことが
でき、操作性の点でも大きく改善されることになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】パックホルダとフイルムパックの外観図であ
る。

【図２】フイルムパックの断面図である。

【図３】シートフイルムユニットの部分破断斜視図であ
る。

【図４】フイルムパックを装填したパックホルダをカメ
ラに装着した状態の概略断面図である。

【図５】第１遮光シートの移送途中状態の概略断面図で
ある。

【図６】撮影待機状態の概略断面図である。

【図７】撮影後におけるフイルムパック取り外し可能状
態の要部断面図である。

【図８】引き出しシートの他の例を示す斜視図である。

【符号の説明】

２ フイルムパック ３ パックホルダ ７ 引蓋 １５ パック本体 １６ 隔壁 １７ シート収納室 １８ シート回収室 １９ 露光開口 ２０ 第１遮光シート ２１ シートフイルムユニット ２２ 第２遮光シート ２７ 引き出しシート ３０ 移送路 ３１ スリット ３２ ブレード

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 カメラに装着される前面に撮影開口が形
   成され、一側面にパック挿入口が形成されたパックホル
   ダに装填して用いられるシートフイルムパックにおい
   て、最上層に遮光シートを重ねた状態で複数枚のシート
   フイルムユニットを積層して収納するとともに前面に露
   光開口が形成されたシート収納室と、このシート収納室
   と隔壁を介して区画され、シート収納室から前記隔壁の
   上部を通って送られてくる前記遮光シート及び露光済み
   のシートフイルムユニットを受け入れるシート回収室
   と、前記露光開口からの光がシート回収室内のシートフ
   イルムユニットに及ばないように遮光する遮光手段と、
   前記隔壁を上下に貫通し、遮光シート及びシートフイル
   ムユニットに剥離可能に接合された引き出しシートの先
   端部を背面側に突出させるためのスリットとを有し、前
   記引き出しシートの先端部を引くことによって、シート
   収納室の最上層に位置している遮光シートもしくは露光
   済みシートフイルムユニットをシート回収室に送り込む
   とともに、送り込んだ遮光シートもしくはシートフイル
   ムユニットに接合されている引き出しシートが剥離され
   ることを特徴とするシートフイルムパック。
2. 【請求項２】 前記遮光手段は、前記シート収納室内の
   最下層のシートフイルムユニットの下に設けられた第２
   の遮光シートであり、この第２の遮光シートは、シート
   フイルムユニットの全てをシート回収室に送った後に引
   き出しシートを引くことによって、シート回収室の最上
   層に送り込まれることを特徴とする請求項１記載のシー
   トフイルムパック。