JP2736795B2 - 速効性プロウロキナーゼ - Google Patents

速効性プロウロキナーゼ

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JP2736795B2
JP2736795B2 JP63505335A JP50533588A JP2736795B2 JP 2736795 B2 JP2736795 B2 JP 2736795B2 JP 63505335 A JP63505335 A JP 63505335A JP 50533588 A JP50533588 A JP 50533588A JP 2736795 B2 JP2736795 B2 JP 2736795B2
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amino acid
urokinase
pro
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acid sequence
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洋一 小林
宗樹 大森
知加子 山田
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Central Glass Co Ltd
Hodogaya Chemical Co Ltd
Sagami Chemical Research Institute
Tosoh Corp
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Central Glass Co Ltd
Hodogaya Chemical Co Ltd
Sagami Chemical Research Institute
Tosoh Corp
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は速効性を有するヒト−プロウロキナーゼ様ポ
リペプチド、該ポリペプチドをコードするDNAセグメン
ト、該DNAセグメントを含有するプラスミド、該プラス
ミドを含有する大腸菌及びこの大腸菌を用いるヒト−プ
ロウロキナーゼ様ポリペプチドの製造方法、並びに該ポ
リペプチドの使用に関する。
背景技術 ヒト−ウロキナーゼは人尿中に微量に存在する酵素で
あり、不活性のプラスミノーゲンをプラスミンに活性化
する作用を有し、生成したプラスミンは血栓を溶解する
ことができる。このウロキナーゼはジスルフィド結合に
より連結された2本のポリペプチド鎖からなる。これに
対してヒト−プロウロキナーゼは前記の2本のポリペプ
チド鎖がアミド結合によって連結された一本鎖ポリペプ
チドであり、このプロウロキナーゼ自体は血液中で前記
の活性を有しないが、1個のアミド結合が切断されるこ
とにより、活性を有する前記のウロキナーゼに転換され
る。
特願昭61−12984(特開昭62−143686)(EP 0 210 27
9)には135位のアミノ酸及び157位のアミノ酸を変化せ
しめた安定化されたヒト−プロウロキナーゼ様ポリペプ
チドが開示されている。しかしながら、これらは、135
位と136位のアミノ酸の間の切断、及び/又は158位と15
9位のアミノ酸の間の切断を抑制しようとするものであ
り、本発明のポリペプチドとは全く異る。
EP0200451に記載されているプロウロキナーゼ及び特
願昭61−12984(特開昭62−143686)(EP 0 210 279)
に記載されているプロウロキナーゼ様ポリペプチドはい
ずれも、血栓以外の部位で事実上活性を有しないため、
大量に投与する場合でも全身性出血等の副作用が回避さ
れると想定されている。しかしながら他方、血栓部位に
おける二本鎖への変換速度が遅いと思われる。
ヒト−ウロキナーゼは前述のように活性化酵素である
ため、血液中に大量に含まれている種々の阻害物質によ
り速やかにその活性を失う。従って治療薬として用いら
れる場合は、大量投与の必要がある。その結果、副作用
として全身的にプラスミンが生成して、全身性の出血傾
向を招きやすい。
プロウロキナーゼは一本鎖ウロキナーゼとも称され血
漿中では通常活性を有しないが、血栓の存在部位におい
てはプラスミノーゲンをプラスミンに変換する弱い活性
を有する。組織プラスミノーゲンアクチベーターまたは
プロウロキナーゼの作用により生成する少量のプラスミ
ンは、プロウロキナーゼを高活性の二本鎖高分子ウロキ
ナーゼに変換するためプラスミノーゲンからプラスミン
への変換が急速に進み、血栓が溶解するものと考えられ
る(文献1)。
プロウロキナーゼを血栓溶解剤として用いる場合、少
量の投与では十分量のプラスミンが生成せず、血栓を効
果的に溶解させることはできない。一方必要以上に投与
する場合には、たとえ一時に大量のプラスミンが生成し
ても、血栓部位から離れて血栓溶解に参加しないものが
増えるため、血栓溶解の効率は上がらない。又そのよう
なプラスミンは、一部はα2-アンチプラスミン等の阻害
剤によって失活し、他は血栓以外の部位でプロウロキナ
ーゼの活性化を引き起こすため全身性出血等の副作用の
原因となる。従ってプロウロキナーゼの投与においては
必要以上のプラスミンが一時に生成しないような投与量
及び投与法が望まれる。またプロウロキナーゼはトロン
ビンによってArg156とPhe157の間のペプチド結合を切断
されると、もはやプラスミンによる賦活化をうけないこ
とが報告されている(文献2)。従ってトロンビンの存
在下ではプロウロキナーゼは十分にその機能を発揮でき
ない。
EP 0200451には第136〜138位のアミノ酸を変化させた
プロテアーゼ抵抗性ウロキナーゼが記載されている。し
かしながら、このウロキナーゼはすべて、プロウロキナ
ーゼの活性化のために158位のアミノ酸と159位のアミノ
酸との間の切断を必要としないとの想定のもとにこの部
位のプロテアーゼによる切断を完全に防止することが意
図されており、本発明のポリペプチドとは全く異る。
従って、血栓特異性が高いというヒト−プロウロキナ
ーゼの性質を維持しつつ、大量投与においても副作用を
示さず、かつ血栓生成の途上及び終了後において速やか
に活性化され、そしてそれ故に前記のごときヒト−ウロ
キナーゼ、ヒト−プロウロキナーゼおよび前記の誘導体
が有する諸欠点を有しない新しいヒト−プロウロキナー
ゼが求められる。しかしながらそのようなヒト−プロウ
ロキナーゼは知られていない。
発明の開示 従ってこの発明は、生体内に投与された場合に天然型
のヒト−プロウロキナーゼよりも、血栓に対して特異性
が高く、大量投与時にも副作用を示さず、且つトロンビ
ンによっても活性化され、改良された速効性を有し、さ
らに好ましくは156位のアミノ酸と157位のアミノ酸との
間のトロンビン切断による不活性化を受けにくいヒト−
プロウロキナーゼ様ポリペプチド、該ポリペプチドを製
造するための遺伝子系及びこの遺伝子系を用いる該ポリ
ペプチドの製造方法、並びに該ポリペプチドの使用を提
供するものである。
さらに詳しくは、発明は、次の式: (Met)・Ser1−X156・Y157・Z158− (式中、Metは場合によっては存在するメチオニンであ
り、SerはN末端の1位に存在するセリンであり、Xは1
56位に存在するアルギニン又は他のアミノ酸であり、Y
は157位に存在するプロリン、グリシン、アラニン又は
バリンであり、Zは158位に存在するリジン又はアルギ
ニンであり、そして実線部分は天然型ヒト−プロウロキ
ナーゼ又は135位のリジンが塩基性アミノ酸以外のアミ
ノ酸に変更されたヒト−プロウロキナーゼ様ポリペプチ
ドの、アミノ酸配列の対応する部分と同一のアミノ酸配
列である。) で表されるアミノ酸配列、又はこれと実質上同一のアミ
ノ酸配列を有するヒト−プロウロキナーゼ様ポリペプチ
ドを提供する。
この発明はさらに、前記ヒト−プロウロキナーゼ様ポ
リペプチドをコードするDNAセグメントを提供する。
この発明はさらに、前記DNAセグメント、その発現の
ための制御領域及び大腸菌中で複製するのに必要なDNA
配列を含有するプラスミドを提供する。
この発明はさらに、前記プラスミドにより形質転換さ
れた大腸菌を提供する。
この発明はさらに、前記形質転換された大腸菌を培養
し、その培養液から前記ポリペプチドを採取することを
特徴とするヒト−プロウロキナーゼ様ポリペプチドの製
造方法を提供する。
この発明はさらに、前記ヒト−プロウロキナーゼ様ポ
リペプチドを医薬賦形剤と共に含んでなる医薬を提供す
る。
この発明はさらに、血栓の溶解剤の製造のための前記
ヒト−プロウロキナーゼ様ポリペプチドの使用を提供す
る。
この発明はさらに、前記ヒト−プロウロキナーゼを患
者に投与することを特徴とする血栓形成に対する予防又
は治療方法を提供する。
本発明の速効性を有するヒト−プロウロキナーゼは、
プラスミンによって活性化されるのみならず、天然型の
ヒト−プロウロキナーゼにない性質として、血栓生成時
にのみ出現するトロンビンによっても速やかに活性化さ
れる。このためこれらがヒトに投与された場合、活性の
発現が従来のヒト−プロウロキナーゼよりも血栓の存在
部位に限定されるうえ、血栓生成の初期に速やかに行な
われることになり、全身性出血傾向等の副作用の少な
い、速効性の血栓治療薬として期待される。
他方、本発明のヒト−プロウロキナーゼ様ポリペプチ
ドをコードするDNAセグメントを含有する遺伝子系を用
いる場合、該ポリペプチドが効率よく発現され、従っ
て、該ポリペプチドが経済的に有利に製造される。
図面の簡単な説明 第1−1図〜第1〜4図は天然ヒト−プロウロキナー
ゼをコードするcDNAの塩基配列及び対応するアミノ酸配
列を示す。
第2−1図及び第2−2図は出発プラスミドpMUT4L及
びpMUP1pmからの中間体プラスミドpMUT9Qの作製を示
す。
第3図はプラスミドpMUT9QからプラスミドpIQ−Δの
作製を示す。
第4−1図は、本発明のヒト−プロウロキナーゼ様ポリ
ペプチド中の156位、157位及び158位の変異アミノ酸を
含む部分をコードする合成DNAオリゴマーの塩基配列及
び対応するアミノ酸配列を示す。
第4−2図及び第4−3図は、第4−1図と同様のそ
の他の合成DNAオリゴマーの塩基配列及び対応するアミ
ノ酸配列を示す。
第5図はプラスミドpMUT9Q−RPKの作製の過程を示
す。
第6図はプラスミドpMUT9Q−RPRの作製の過程を示
す。
第7図はプラスミドpMUT9Q−QPRの作製の過程を示
す。
第8図はプラスミドpMUT9Q−SGRの作製の過程を示
す。
第9図は、本発明の変異型プロウロキナーゼQ−RPK
及びQ−RPRの精製標品のSDS−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動のパターンを示す。
第10図〜第11図は、本発明の変異型プロウロキナーゼ
Q−RPK及びQ−RPRの精製標品の、プラスミン又はトロ
ンビンによる活性化の経時変化を示す。
第12図は、本発明の変異型プロウロキナーゼQ−RPK
及びQ−RPKの精製標品の、トロンビン処理後の残存活
性を、トロンビン処理時間に対してブロットしたもので
ある。
なお、第9図〜第12図において、対照標品として天然
型プロウロキナーゼ並びに変異型プロウロキナーゼQ
(135)D(157)を用いた結果も併せて示す。
発明を実施するための最良の形態 A.速効性を有するヒト−プロウロキナーゼ様ポリペプチ
ド この発明の速効性を有するヒト−プロウロキナーゼ様
ポリペプチドは、次の式: (Met)・Ser1−X156・Y157・Z158− (式中、Metは場合によっては存在するメチオニンであ
り、SerはN未満の1位に存在するセリンであり、Xは1
56位に存在するアルギニン又は他のアミノ酸であり、Y
は157位に存在するプロリン、グリシン、アラニン又は
バリンであり、Zは158位に存在するリジン又はアルギ
ニンであり、そして実線部分は天然型ヒト−プロウロキ
ナーゼ又は135位のリジンが塩基性アミノ酸以外のアミ
ノ酸に変更されたヒト−プロウロキナーゼ様ポリペプチ
ドの、アミノ酸配列の対応する部分と同一のアミノ酸配
列である。) で表されるアミノ酸配列、又はこれと実質上同一のアミ
ノ酸配列を有する。
ヒト−プロウロキナーゼは411個のアミノ酸から成る
一本鎖のポリペプチドであり、そのアミノ酸配列は既に
知られている(文献3)。ヒト−プロウロキナーゼのプ
ラスミノーゲンアクチベーター活性は低く、生体内にお
いては通常プラスミンによって158位リジンと、159位イ
ソロイシンの間のペプチド結合が切断されて、活性が発
現されるものと考えられている(文献3)。正常な生体
内においては、プラスミンは不活性な前駆体であるプラ
スミノーゲンとして存在している。ところがなんらかの
病的な原因により一度血栓が形成されると、それが刺激
となって血管壁等から分泌される組織プラスミノーゲン
アクチベーターにより血管表面においてプラスミンが生
成し、それによって血栓溶解が開始されるものと考えら
れる(文献1)。従ってプロウキナーゼを生体内に投与
した場合、その活性の発現はプラスミンの存在部位、換
言すれば血栓表面に限定されるため、ヒト−ウロキナー
ゼを投与した場合にみられるような全身性の出血傾向が
回避されると考えられる。しかしながら、プロウロキナ
ーゼを血栓溶解剤として用いる場合、少量の投与では十
分量のプラスミンが生成せず、血栓を効果的に溶解させ
ることはできない。一方必要以上に投与する場合はたと
え一時に大量のプラスミンが生成しても、血栓部位から
離れて血栓溶解に参加しないものが増えるため、血栓溶
解の効率は上がらない。又そのようなプラスミンは、一
部はα2-アンチプラスミン等の阻害剤によって失活し、
他は血栓以外の部位でプロウロキナーゼの活性化を引き
起こすため全身性出血等の副作用の原因となる。さらに
血栓上に残存している凝固系酵素トロンビンは、プロウ
ロキナーゼの156位のアルギニンと157位フェニルアラニ
ンとの間のペプチド結合を切断し、プラスミンによるプ
ロウロキナーゼの活性化を不可能にすることが知られて
いる(文献2)。
トロンビンは血液凝固カスケード機構の最終段階でフ
ィブリノーゲンをフィブリンモノマーに変換する。フィ
ブリンモノマーは自己会合により巨大なフィブリンネッ
トワークを形成し、血栓となる。一方トロンビンはその
過程で一部がフィブリンネットワークに捕束されるが、
他は血栓表面に放出されてネットワークを拡大する。
血栓の形成後は、捕束を免れたトロンビンはアンチト
ロンビンIII等により速やかにその活性を失うが、捕束
されたトロンビンは活性を維持しつつ拡散によって血栓
表面に出現する(文献4,5)。捕束されたトロンビンは
また、線溶系酵素によって血栓が溶解された時点で血流
中に放出されるので(文献4)血栓の再形成の原因とな
り得る。
本発明者等は、プロウロキナーゼの157位フェニルア
ラニンをプロリンに換えることにより、 i)天然型のプロウロキナーゼよりもプラスミンによる
活性化速度が小さく;そして ii)天然型のプロウロキナーゼと異なりトロンビンによ
って賦活化される; という性質を有する全く新しいプロウロキナーゼを創出
した。i)の性質により本発明のプロウロキナーゼは大
量投与においても全身性出血等の副作用を示さないと思
われる。また前記のトロンビンの局在性を考慮すると、
ii)の性質により血栓の生成初期から終了後までにわた
って血栓部位特異的にかつ速やかに活性を発現するのみ
ならず、血栓溶解後に放出されるトロンビンによる血栓
の再形成の際にも、効果的な溶解作用を発揮することが
期待される。
さて、本発明者等により初めて見出されたプロウロキ
ナーゼに関する上記の事実は、トロンビンの基質特異性
によって合理的に説明される(文献6)。すなわち、 (P2,P1及びP1′は任意のアミノ酸を表す。↓印はトロ
ンビンによる切断部位を表す。)のごときアミノ酸配列
において、P1がリジン又はアルギニンであり、F2がプロ
リン、グリシン、アラニン又はバリンである場合、トロ
ンビンはP1とP1′の間のペプチド結合をよく分解する。
但し上記の組合せの場合、P1′がプロリンである場合は
全く分解しない。従って157位がフェニルアラニンであ
る天然型プロウロキナーゼと、157位がプロリンに置き
換えられたプロウロキナーゼの、それぞれのトロンビン
に対する挙動は次のようにまとめられる: すなわち、天然型プロウロキナーゼにおいて、まず15
5位プロリン、156位アルギニン及び157位フェニルアラ
ニンの配列においては、156位アルギニンと157位フェニ
ルアラニンの間のペプチド結合がトロンビンによって切
断されやすく、これにより天然型プロウロキナーゼは不
活性化されるが、157位フェニルアラニン、158位リジン
及び159位イソロイシンの配列においては、158位リジン
と159位イソロイシンの間のペプチド結合はトロンビン
によって切断されにくく、従って天然型プロウロキナー
ゼのトロンビンによる活性化は起こらない。一方、本発
明のプロウロキナーゼ(157位プロリン)において、ま
ず155位プロリン、156位アルギニン及び157位プロリン
の配列においては、156位のアルギニンと157位プロリン
の間のペプチド結合はトロンビンによって全く切断され
ず、従ってプロウロキナーゼの不活性化は起こらない
が、157位プロリン、158位リジン及び159位イソロイシ
ンの配列においては、158位リジンと159位イソロイシン
の間のペプチド結合がトロンビンによって切断されやす
く、これにより本発明のプロウロキナーゼは活性化され
る。
また、本発明の157位をプロリンに置き換えたプロウ
ロキナーゼが、プラスミンによっても活性化された事実
は、本来この部位はプラスミンの切断部位であるため
に、立体構造的にもプラスミンが作用しやすいため、15
7位のアミノ酸の置換によっては、プラスミンの切断作
用に大きな影響を与えないと考えることにより説明する
ことができる。
本発明においては、前記のトロンビンの基質特異性を
考慮して、前記のX,Y及びZの組合せの具体例として次
のようなポリペプチドを調製した。
上記の各種ポリペプチドを後で詳細に記載するよう
に、それらの活性化に及ぼすプラスミン及びトロンビン
の効果により調べた。その結果、前記の4種類の置換の
組合せは、いずれも目的とする性質即ちプラスミン及び
トロンビンによって活性化される性質、並びにトロンビ
ンによって不活性化されない性質を、新たにプロウロキ
ナーゼに与えることが確認された。さらに、上記の各種
ポリペプチドを後で詳細に記載するように、それらによ
るフィブリン塊の溶解時間に及ぼすトロンビンの効果に
より調べた。その結果、前記の4種類の置換の組合せは
いずれも、目的とする性質、即ちトロンビン濃度が高い
ほど速やかにフィブリン塊を溶解させる性質を、新たに
プロウロキナーゼに与えることが確認された。従ってこ
れらの事実は、前に定義したX,Y及びZのすべての組合
せからなるポリペプチドは、プラスミン及びトロンビン
によって活性化される性質、トロンビンによって不活性
化されない性質、並びにトロンビン濃度が高い程速やか
にフィブリン塊を溶解せしめる性質をプロウロキナーゼ
に与えるものと合理的に推定される。従って、前に定義
したX,Y及びZの組合せからなるプロウロキナーゼ様ポ
リペプチドは全て本発明の範囲に属する。
この様な本発明のポリペプチドにおけるX,Y及びZの
組合わせとして、例えば前記の組合わせ(1)RPK、
(2)RPR、(3)QPR、及び(4)SGRのほかに、次の
様な組み合わせを用いることができる。
上記の配列の内Xは天然ポリペプチド中に存在するAr
g又はその他の任意のアミノ酸を意味する。
前記一般式中の実線で示されるアミノ酸配列は、天然
型ヒト−プロウロキナーゼ又は135位のリジンが塩基性
アミノ酸以外のアミノ酸に変更されたヒト−プロウロキ
ナーゼ様ポリペプチドの、アミノ酸配列の対応する部分
と同一である。天然型ヒト−プロウロキナーゼのアミノ
酸配列として、ヒト腎臓由来のmRNAに対応するcDNAによ
りコードされている、アミノ酸411個からなる配列を挙
げることができる。このアミノ酸配列は第1−1図〜第
1〜3図に、アルファベットの大文字3文字からなるア
ミノ酸記号により示されている。
135位のリジンが塩基性アミノ酸以外のアミノ酸に変
更されたヒト−プロウロキナーゼ様ポリペプチドは特願
昭61−12984(特開昭62−143686)(EP 0 210 279)に
詳細に記載されている。135位における塩基性アミノ酸
以外のアミノ酸としては、例えばアラニン、アスパラギ
ン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、フェ
ニルアラニン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メ
チオニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファ
ン、チロシン、プロリン等を挙げることができる。
前記一般式中、(Met)は、プロウロキナーゼのN末
端の1位のSerに隣接してそのN末端側に存在する場合
があるメチオニンを示す。
本発明の速効性を有するヒト−プロウロキナーゼ様ポ
リペプチドは、上に詳細に記載したアミノ酸配列を有す
るポリペプチドの他に、これと実質上同じ配列を有する
ポリペプチドを包含する。ここで、実質上同じアミノ酸
配列とは、上記のアミノ酸配列中のX,Y及びZ以外の少
数個のアミノ酸が他のアミノ酸によって置き換えられて
おり、又は除去されており、あるいは上記のアミノ酸配
列に少数個のアミノ酸が付加されているが、しかしなお
プロウロキナーゼの生理的性質及び本発明の特徴である
プラスミン及びトロンビンによって容易に活性化される
修飾されたアミノ酸配列を意味する。なお、前記の記載
において、「少数個のアミノ酸」とは、本件出願前に周
知であった手段、例えば部位特定変異誘発、PCR法等に
より修飾可能であり、且つプロウロキナーゼの生理的性
質並びにプラスミン及びトロンビンにより容易に活性化
される特性を維持している程度の数のアミノ酸を意味す
る。特定の生理活性を有するポリペプチド中の該生理活
性に関与しない領域においてアミノ酸配列に変更を加え
ても、該生理活性が影響を受けない場合があることは、
当業者により良く知られている。従って、そのような変
更を含むポリペプチドも、本発明の特徴を有している限
り本発明の範囲に属するものである。
B.ヒト−プロウロキナーゼの遺伝子系及び製造方法 この発明はさらに、速効性を有するヒト−プロウロキ
ナーゼを製造するために有用な遺伝子系及びその遺伝子
系を用いたヒト−プロウロキナーゼの製造方法に関す
る。ここで遺伝子系とは、目的とするヒト−プロウロキ
ナーゼ様ポリペプチドをコードするDNAセグメント、こ
のDNAセグメントを含有する発現型プラスミド、及びこ
の発現型のプラスミドが導入された宿主を包含する。
本発明の速効性を有するヒト−プロウロキナーゼをコ
ードするDNAセグメントは、天然のヒト−プロウロキナ
ーゼをコードするDNA、又は特願昭61−12984(EP 0 210
279)に記載の安定化されたヒト−プロウロキナーゼ様
ポリペプチドをコードするDNAから誘導される。すなわ
ち、それらのDNAにおいて、ターゲットのアミノ酸(前
記X,Y及びZ)の位置に対応するアミノ酸をコードする
コドンを変異させて、変換すべきアミノ酸をコードする
コドンに転換する。変異の導入方法は、ターゲットのア
ミノ酸をコードするコドンを含むDNA断片を、ターゲッ
トのアミノ酸をコードするコドンが目的のアミノ酸をコ
ードするコドンに変更された合成DNA断片に置き換える
ことによって行なう。置き換えられるDNA断片は適当な
制限酵素の作用によって生成する比較的小さなものが好
ましい。合成DNA断片においてターゲットのアミノ酸及
びそれ以外のアミノ酸をコードするコドンとして、全て
の縮重したコドンを用いることができるが、望ましくは
宿主内で容易に発現され得るコドンを用いるとともに、
それらコドンの連続によってmRNAレベルの折り畳構造を
形成しないように留意すべきである。又よく知られたM1
3ファージを用いる方法で変異を導入することもでき
る。
なお、本発明の具体例においては、プロウロキナーゼ
をコードする遺伝子源として、プラスミドpMUT4L及びプ
ラスミドpMUP1pmを使用する。これらのプラスミドの作
製方法及び特性は特願昭61−12984(特開昭62−14368
6)(EP 0 210 279)に詳細に記載されている。プラス
ミドpMUT4Lは天然プロ−ウロキナーゼのアミノ酸をコー
ドするDNA断片を含有するが、発現効率を改善するた
め、そのN−末端コード領域として、天然cDNA中のコド
ンの代りに次のコドンが使用されている。
なお、pMUT4Lの作製方法を参考例1及び2に示す。
本発明の速効性を有するヒト−プロウロキナーゼをコ
ードするDNAセグメントは、発現型プラスミドに組換え
られる。その発現型プラスミドを宿主細胞に導入するこ
とによって目的のヒト−プロウロキナーゼが、宿主細胞
又は培養液中に蓄積する。特願昭61−12984(特開昭62
−143686)(EP 0 210 279)に記載のヒト−プロウロキ
ナーゼ様ポリペプチドを製造する方法は、全て本発明の
速効性を有するヒト−プロウロキナーゼの製造に適用で
きる。それらの具体的な詳細は本明細書の実施例に記載
されているが、実施例以外の宿主並びに発現ベクターを
用いることも本発明の範囲に属するものである。
宿主細胞として大腸菌を用いる場合、生産されるプロ
ウロキナーゼ様ポリペプチドは超音波又はゴーリンホモ
ジナイザー等による菌体破砕後に、通常不溶性の凝集物
として回収される。この凝集物を、4M塩酸グアニジン溶
液中で溶解させ、しかる後に塩酸グアニジン存在下で空
気酸化ないしはチオール化合物と反応させることによっ
て、目的物の立体構造を再現させる。ついで硫安等によ
る塩析により目的物を回収したのち、塩酸グアニジン存
在下で疎水的相互作用を利用したクロマトグラフィー及
び金属イオンとの相互作用を利用したクロマトグラフィ
ーによって精製されるが、これら以外の通常用いられる
生化学的分離技術を用いることもできる。
本発明のヒト−プロウロキナーゼ様ポリペプチドは血
栓の形成等に対する予防薬又は治療薬、特にそれらに対
する治療薬として有用である。このために主として非経
口投与により、例えば静脈内投与、腹腔内投与、皮下投
与、筋肉内投与等により投与される。投与量は患者の状
態、投与方法等により異る。非経口投与用医薬は通常常
用の注射用賦形剤中の溶液として、あるいはこれらの溶
液からの凍結乾燥製剤として用いられる。
次に実施例及び参考例によりこの発明をさらに具体的
に説明する。但し、この発明がこれらの実施例により限
定されるものではない。
なお、実施例における反応条件は次の通りである。
各制限酵素の反応 DNA(プラスミド又はDNAフラグメント)1μgを含む
下記の各反応溶液50μlに、10ユニットの各制限酵素を
加えて、下記の各温度で2時間保温した。また、部分消
化を行う場合は、加える制限酵素の量を1〜2ユニット
とし、保温時間を0.5〜1時間とした。
T4DNAポリメラーゼによるDNAの平滑化反応 直鎖状DNA1〜2μgを含む下記の反応液50μlに、0.
5〜1ユニットのT4DNAポリメラーゼを加え、37℃で1時
間保温した。
〔反応液の組成〕
67mMトリス塩酸(pH8.8)、6.7mM MgCl2、16.6mM(NH
42SO4、10mMβ−メルカプトエタノール、6.7mMエチレ
ンジアミン四酢酸、0.0167%牛血清アルブミン、330μM
dCTP、330μMdATP、330μMdGTP及び330μMdTTP。
クレノウフラグメントによるDNAの平滑化反応 直鎖状DNA1〜2μgを含む下記の反応液50μlに、0.
5〜1ユニットのクレノウフラグメントを加え、25℃で
1時間保温した。
〔反応液の組成〕
67mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)、6.7mM MgCl2
1mMβ−ケルカプトエタノール、33μMdATP、33μdTTP、
33μMdGTP、及び33μMdCTP。
T4DNAリガーゼによるDNAの結合反応 結合させるべきDNAフラグメント(約0.1μg)を含む
7.5μlのDNA溶液に、宝酒造(株)製の「DNAライゲー
ションキット」A液60μl及び同B液7.5μl(T4DNAリ
ガーゼを含む)を混合して、16℃で30分間保温した。
実施例1.発現型プラスミドpMUT9Qの作製(第2−1図及
び第2−2図) 2対のtacプロモーター/オペレーターを有するプロ
ウロキナーゼの発現型プラスミドpMUT4Lを、制限酵素Aa
t II及びSma Iにより消化し、電気溶出法により約5.5
kbのDNA断片を単離した。一方プラスミドpMUT4Lを、制
限酵素Aat II及びSca Iにより消化し、電気溶出法によ
り約60dpのDNA断片を単離した。これら2種類のDNA断片
をT4DNAリガーゼにより連結し、大腸菌JM103に形質転換
した。形質転換菌をアルカリ溶菌法による迅速単離法に
よって調べ、1対のtacプロモーター/オペレーターを
有するプラスミドpMUT8Lを得た。
次いで、pMUT8Lを制限酵素HindIIIにより消化し、ク
レノウフラグメントを用いて末端を平滑化し、市販のPs
t Iリンカーを連結したのち、制限酵素Pst Iで消化し
た。得られた消化物より、3.3kbのDNA断片を電気溶出法
により単離した。一方、135位のリジンがグルタミンに
変換されたプロウロキナーゼ遺伝子及びPLプロモーター
を有するプラスミドpMUP1pmを制限酵素Pst Iにより消化
し、電気溶出法により1.2kbのDNA断片を単離した。これ
ら2種類のDNA断片を、T4DNAリガーゼにより連結し、ta
cプロモーター/オペレーターの下流に135位リジンがグ
ルタミンに変換されたプロウロキナーゼ遺伝子を有する
発現型プラスミドpMUT9Lpm1を得た。
次いで、このpMUT9Lpm1を制限酵素EcoRIにより部分消
化し、クレノウフラグメントにより末端を平滑化したの
ち、T4DNAリガーゼにより自己環化を行なった。得られ
たクローンより、プロモーター/オペレーター領域とS/
D領域との間に存在するEcoRIサイトのみがXmn Iサイ
トに変換されたプラスミドをスクリーニングし、それを
pMUT9Xpm1と命名した。
次いで、pMUT9Xpm1を制限酵素BamHIおよびNar Iによ
り部分消化し、クレノウフラグメントにより末端を平滑
化したのち、T4DNAリガーゼにより自己環化を行なっ
た。得られたクローンより、プロモーター/オペレータ
ー領域の上流に存在するBamHIサイトおよびNar Iサイト
の間の約200bpのDNA断片のみが欠損したプラスミドをス
クリーニングし、それをpMUT9Qと命名した。pMUT9Qはta
cプロモーター/オペレーターの下流に、135位リジンが
グルタミンに変換されたプロウロキナーゼQ(135)を
コードするDNA配列を有する発現型プラスミドである。
なお、変異型プロウロキナーゼQ(135)は、プラスミ
ドpMUT1pmから得られる変異型プロウロキナーゼと同一
のものである。
この実施例において出発材料として使用したプラスミ
ドpMUP1pmを含有する大腸菌エッセリシャ・コリ(Esche
richia coli)は工業技術院微生物工業技術研究所に微
工研条寄第969号(FERM BP−969)としてブタペスト条
約に基き1985年1月11日に国際寄託されている。
なお、前記のごとくプラスミドpMUT9Q中にコードされ
ている本発明のヒト−プロウロキナーゼ様ポリペプチド
は135位のアミノ酸としてグルタミンを有するが、上記
と全く同様にして、135位のアミノ酸としてスレオニン
を有するヒト−プロウロキナーゼ様ポリペプチドをコー
ドするDNA断片を含有しているプラスミドpMUT4Lpm2を前
記プラスミドpMUP1pmの代りに使用することにおり、プ
ラスミドpMUT9Qに相当り135位のアミノ酸としてスレオ
ニンをコードしているプラスミドを得ることができる。
前記プラスミドpMUT4Lpm2を含有する大腸菌エシェリシ
ャ・コリ(Escherichia coli)X1776/pMUT4Lpm2は微工
研条寄第970号(FERM BP−970)として1985年4月18日
に国際寄託されている。
同様にして、プラスミドpMUP1pmの代りにプラスミドp
MUT4Lpm3を用いることにより、前記プラスミドpMUT9Qに
相当し、135位のアミノ酸としてリジンをコードしてい
るプラスミドを得ることができる。プラスミドpMUT4Lpm
3を含有する大腸菌エシェリシャ・コリ(Escherichia c
oli)X1776/pMUT4Lpm3は微工研条寄第971号(FERM BP−
971)として1985年7月11日に国際寄託されている。
実施例2.変異導入用プラスミドp1Q−Δの作製(第3
図) 実施例1で得られたプラスミドpMUT9Qを制限酵素Eco4
7111によって完全消化したのち、制限酵素Pst Iによっ
て部分消化した。次いで、T4DNAポリメラーゼによって
末端の平滑化を行なったのち、T4DNAリガーゼによって
自己環化を行なった。得られたクローンのうち、0.77kb
のEco47111−PstI断片のみを欠損したプラスミドをスク
リーニングし、それをp1Q−Δと命名した。
同様にして、p1Q−Δに相当し、但し135位のアミノ酸
としてスレオニン又はリジンをコードしているプラスミ
ドを得ることもできる。
実施例3.Q−RPK型変異体の作製(第5図) 実施例2のプラスミドp1Q−Δを制限酵素Dra II及びE
coRIにより消化し、電気溶出法により3.5kbのDNA断片を
単離した。一方フォスファイト法によって合成した2つ
のオリゴマー、TUK−RPK(A)及びTUK−RPK(B)(第
4−1図)をアニーリングし、T4DNAリガーゼにより3.5
kbのDNA断片として連結し、中間体プラスミドp1Q−RPK
を得た。次いで、p1Q−RPKを制限酵素Ban IIにより消化
し、電気溶出法により0.54kbのDNA断片を単離した。一
方、実施例1のプラスミドpMUT9Qを制限酵素Ban IIによ
り消化し、電気溶出法により3.8kbのDNA断片を単離し
た。これら2種類のDNA断片をT4DNAリガーゼにより連結
し、プラスミドpMUT9Q−RPKを得た。このプラスミド
は、tacプロモーター/オペレーターの下流に157位フェ
ニルアラニンがプロリンに変換され、且つ135位リジン
がグルタミンに変換された変異型ヒト−プロウロキナー
ゼQ−RPKをコードするDNA配列を有する発現型プラスミ
ドである。
このプラスミドを含有する大腸菌エシェリシャ・コリ
Escherichia coli)JM103(pMUT9Q−RPK)はDSM4187
としてDeutsche Sammulung von Microorganismenにブタ
ペスト条約に基き1987年7月22日に国際寄託されてい
る。
実施例4.Q−RPR型変異体の作製(第6図) 実施例2のプラスミドp1Q−Δを制限酵素Dra II及びE
coRIにより消化し、電気溶出法により3.5kbのDNA断片を
単離した。一方、フォスファイト法によって合成した2
つのオリゴマー、TUK−RPR(A)及びTUK−RPR(B)
(第4−1図)をアニーリングし、T4DNAリガーゼによ
り3.5kbのDNA断片と連結し、中間体プラスミドp1Q−RPR
を得た。次いで、p1Q−RPRを制限酵素Ban IIにより消化
し、電気溶出法により0.54kbのDNA断片を単離した。一
方、実施例1のプラスミドpMUT9Qを制限酵素Ban IIによ
り消化し、電気溶出法により3.8kbのDNA断片を単離し
た。これら2種類のDNA断片をT4DNAリガーゼにより連結
し、プラスミドpMUT9Q−RPRを得た。このプラスミド
は、tacプロモーター/オペレーターの下流に157位フェ
ニルアラニンがプロリンに変換され、158位リジンがア
ルギニンに変換され、且つ135位リジンがグルタミンに
変換された変異型ヒト−プロウロキナーゼQ−RPRをコ
ードするDNA配列を有する発現型プラスミドである。
このプラスミドを含有する大腸菌エシェリシャ・コリ
Escherichia coli)JM103(pMUT9Q−RPR)はDSM4186
としてDeutsche Sammulung von Microorganismenにブタ
ペスト条約に基き1987年7月22日に国際寄託されてい
る。
実施例5.Q−QPR型変異体の作製(第7図) 実施例2のプラスミドp1Q−Δを制限酵素Dra II及びE
coRIにより消化し、電気溶出法により3.5kbのDNA断片を
単離した。一方フォスファイト法によって合成した2つ
のオリゴマー、TUK−QPR(A)及びTUK−QPR(B)(第
4−1図)をアニーリングし、T4DNAリガーゼにより3.5
kbのDNA断片と連結し、中間体プラスミドp1Q−QPRを得
た。次いで、p1Q−QPRを制限酵素Ban IIにより消化し、
電気溶出法により0.54kbのDNA断片を単離した。一方、
実施例1のプラスミドpMUT9Qを制限酵素Ban IIにより消
化し、電気溶出法により3.8kbのDNA断片を単離した。こ
れら2種類のDNA断片をT4DNAリガーゼにより連結し、プ
ラスミドpMUT9Q−QPRを得た。このプラスミドは、tacプ
ロモーター/オペレーターの下流に156位アルギニンが
グルタミンに変換され、157位フェニルアラニンがプロ
リンに変換され、158位リジンがアルギニンに変換さ
れ、且つ135位リジンがグルタミンに変換された変異系
ヒト−プロウロキナーゼQ−QPRをコードするDNA配列を
有する発現型プラスミドである。
このプラスミドを含有する大腸菌エシェリシャ・コリ
Escherichia coli)JM103(pMUT9Q−QPR)はDSM4188
としてDeutsche Sammulung von Microorganismenにブタ
ペスト条約に基き1987年7月22日に国際寄託されてい
る。
実施例6.Q−SGR型変異体の作製(第8図) 実施例2のプラスミドp1Q−Δを制限酵素Dra II及びE
coRIにより消化し、電気溶出法により3.5kbのDNA断片を
単離した。一方フォスファイト法によって合成した2つ
のオリゴマー、TUK−SGR(A)及びTUK−SGR(B)(第
4−1図)をアニーリングし、T4DNAリガーゼにより3.5
kbのDNA断片と連結し、中間体プラスミドp1Q−SGRを得
た。次いで、p1Q−SGRを制限酵素Ban IIにより消化し、
電気溶出法により0.54kbのDNA断片を単離した。一方、
実施例1のプラスミドpMUT9Qを制限酵素Ban IIにより消
化し、電気溶出法により3.8kbのDNA断片を単離した。こ
れら2種類のDNA断片をT4DNAリガーゼにより連結し、プ
ラスミドpMUT9Q−SGRを得た。このプラスミドは、tacプ
ロモーター/オペレーターの下流に156位アルギニンが
セリンに変換され、157位フェニルアラニンがグリシン
に変換され、158位リジンがアルギニンに変化され、且
つ135位リジンがグルタミンに変換された変異型ヒト−
プロウロキナーゼ(Q−SGR)をコードするDNA配列を有
する発現型プラスミドである。
このプラスミドを含有する大腸菌エシェリシャ・コリ
Escherichia coli)JM103(pMUT9Q−SGR)はDSM4189
としてDeutsche Sammulung von Microorganismenにブタ
ペスト条約に基き1987年7月22日に国際寄託されてい
る。
なお、実施例3〜6と同様にして、但し、これらの例
において使用したプラスミドp1Q−Δの代りに、これに
相当し但し135位のアミノ酸としてスレオニン又はリジ
ンをコードしているプラスミドを用いて、135位のアミ
ノ酸がスレオニン又はリジンである本発明のポリペプチ
ドをコードするプラスミドを得ることができる。
また、実施例3〜6に記載したのと同様にして、但
し、例えば第4−2図に示すような合成オリゴマーを用
いて、他の変異体例えばTUK−XGK,TUK−XAK,TUK−XAR,T
UK−KVK、及びTUK−XVRを作製することができる。
実施例7.大腸菌による変異型プロウロキナーゼ遺伝子の
発現 実施例1,3,4及び5により得たプラスミドpMUT9Q,pMUT
9Q−RPK,pMUT9Q−RPR、及びpMUT9Q−QPRを大腸菌JM103
株に慣用法に従って形質転換し、得られた形質転換菌を
5mlのL−ブロス中で37℃にて培養し、600nmにおける吸
光度が約0.40.D.になったとき、50μlの100mMイソプロ
ピルチオガラクトピラノシド(IPTG)を添加し、さらに
4時間培養を続け、各種変異型プロウロキナーゼ遺伝子
を発現せしめた。
実施例8.大腸菌からの遺伝子産物の抽出 実施例7で得られた各培養液より、遠心分離により7
0.D.ml相当の菌体を回収し、0.1M食塩を含む50mMトリス
塩酸緩衝液(pH8.0)1.4ml中において、600nmにおける
濁度が10.D.以下になるまで超音波破砕を行なった。こ
の破砕液0.8mlを15Krpmにて5分間遠心分離し、上清を
捨てた。その沈澱を4M塩酸グアニジンを含む50mMトリス
塩酸緩衝液(pH8.0)0.16mlに懸濁し、室温にて90分間
放置して沈澱物を可溶化した。次いで、0.27mM還元型グ
ルタチオン及び1.33mM EDTAを含む50mMトリス塩酸緩衝
液(pH8.0)0.48mlを加え、25℃にて15時間放置した。
次いで、60%飽和となるように固形硫安を徐々に溶解さ
せ、目的の遺伝子産物を塩析させた。この硫安塩析物
に、0.5M食塩を含むトリス塩酸緩衝液(pH8.0)を一定
量加えて遺伝子産物の粗抽出液とした。
実施例9.大腸菌より抽出した遺伝子産物の性質(1) i)フィブリン平板法によるウロキナーゼ活性の測定 1%牛フィブリノーゲン、0.25%アガロース及び0.1M
食塩を含む50mMリン酸緩衝液(pH7.4)に、最終濃度1
ユニット/mlとなるように牛トロンビンを加えて作製し
たフィブリン平板上に、10μlの試料(実施例6の粗抽
出液を適当に希釈したもの)をスポットし、37℃にて16
時間インキュベート後の溶解円の直径を測定し、標準ウ
ロキナーゼ(日本曹達(株)製)と比較して活性値を決
定した。その結果実施例8で得られた粗抽出液のウロキ
ナーゼ活性は、pMUTQ−RPKからの生成物(Q−RPK)が3
70IU/ml、pMUT9Q−RPRからの生成物(Q−RPR)が380IU
/ml、pMUTQ−QPRからの生成物(Q−QPR)が360IU/mlで
あった。
ii)プラスミンによる変異型プロウロキナーゼの活性化 実施例8で得られた変異型プロウロキナーゼQ−RPK,
Q−RPR又はQ−QPRをそれぞれ含む粗抽出液10μlに、
0.1M食塩及び0.01%トリトンX−100を含む50mMトリス
塩酸緩衝液(pH8.0)85μlを加えた。次いで、最終濃
度が0.1,1,10及び50μg/mlとなるように5μlのヒト−
プラスミン水溶液(比活性15カゼインユニット/mg蛋
白)を加え、37℃にて15分間反応させた。反応の停止は
加えたプラスミンの5倍量(重量比)の大豆トリプシン
インヒビターを含む5μlの水溶液を加えることによっ
て行なった。
iii)トロンビンによる変異型プロウロキナーゼの活性
化 実施例6で得られた変異型プロウロキナーゼQ−RPK,
Q−RPR又はQ−QPRをそれぞれ含む粗抽出液10μlに、
0.1M食塩及び0.01%トリトンX−100を含む50mMトリス
塩酸緩衝液(pH8.0)85μlを加えた。次いで、最終濃
度が0.1,1及び10μg/mlとなるように5μlの牛−トロ
ンビン水溶液(比活性3ユニット/mg蛋白)を加え、37
℃にて15分間反応させた。反応の停止は加えたトロンビ
ンの2倍量(活性比)のヒルジンを含む5μlの水溶液
を加えることによって行なった。
iv)合成基質S−2444による活性化された変異型プロウ
ロキナーゼの活性測定 ii)及びiii)で得られた反応液105μlに、0.2mM S
−2444(第一化学薬品製)、0.1M食塩及び0.01%トリト
ン、X−100を含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)0.7m
lを加え、37℃にて30分間反応を行なった。反応の停止
は0.1mlの氷酢酸を加えることによって行なった。次い
で30分間の反応における405nmの吸光度の増加を測定
し、標準ウロキナーゼ(日本曹達(株)製)の値(30分
間の反応における405nmの吸光度の増加が1IUあたり0.06
08)より比例計算によりサンプルの活性値を算出した。
その結果を第1表に示す。この結果より変異型プロウロ
キナーゼQ−RPK,Q−RPR及びQ−QPRはプラスミンによ
って活性化されるとともに、トロンビンによっても活性
化されることが明らかである。
実施例10.大腸菌より抽出した遺伝子産物の性質(2) (フィブリン塊の溶解時間の測定) 氷浴上に置かれた96穴のマイクロタイタープレートの
各穴に、15mg/mlのフィブリノーゲン及び0.1M食塩を含
む50mMリン酸緩衝液(pH7.4)を0.2mlずつ入れ、さらに
165IU/mlの各種変異型プロウロキナーゼを含む実施例6
の粗抽出液0.01ml及び5−20ユニット/mlのトロンビン
水溶液0.03mlを添加したのち、65℃に加温された0.75%
アガロース及び0.1M食塩を含む50mMリン酸緩衝液(pH7.
4)0.06mlを素早く混合して、37℃に保温し、その時刻
を0タイムとした。混合液は直ちに白濁したゲルに変化
するが、時間とともに透明になる。ゲルが透明になり始
める時間及び完全に透明になる時間を測定し、その中間
値をフィブリン塊の溶解時間とした。その結果を第2表
に示した。
第2表より、天然型プロウロキナーゼおよび変異型プ
ロウロキナーゼQ(135)がトロンビン濃度の増大に伴
って、フィブリン塊の溶解に要する時間が長くなるのと
は対照的に、本発明の変異型プロウロキナーゼQ−RPK,
Q−RPR及びQ−QPRは、トロンビンの存在時に、速やか
にフィブリン塊を溶解することが明らかである。C.Y.Li
uらは、血漿中において血栓が形成される際に出現する
トロンビンの活性が最大15ユニット/mlに達成するとと
もに、この値がフィブリノーゲンが完全にフィブリンに
変換された後、数分間持続することを示した(文献
4)。この事実より、本発明のプロウロキナーゼは、血
栓の生成初期においてもよく活性化されて、速やかな血
栓溶解作用を発現する可能性が高いと考えられる。
本発明の変異型ポリペプチドQ−RPK,Q−RPR,Q−QPR
及びQ−SGRはトロンビンによる158位と159位との間の
切断により活性化される特徴を有し、さらにQ−RPK,Q
−RPR及びQ−QPRはトロンビンによる156位と157位の間
の切断による不活性化を受けないという追加の利点を有
する。
実施例11.変異型プロウロキナーゼQ−RPKの精製 実施例3により得られたプラスミドpMUT9Q−RPKを大
腸菌JM103株に慣用法に従って形質転換した。得られた
形質転換菌を1のL−ブロス中で37℃に振盪培養し、
600nmにおける吸光度が約0.4になった時、10mlの0.1Mイ
ソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシドを添加
し、さらに4時間培養を続けた。次いで遠心分離により
菌体を回収し、0.1M食塩を含む50mMトリス塩酸緩衝液
(pH8.0)50ml中において、600nmにおける吸光度が10以
下になるまで超音波破砕を行なった。この破砕液を15Kr
pmにて30分間遠心分離し、上清を捨てた。その沈澱を4M
塩酸グアニジンを含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)
に懸濁し、室温にて90分間放置して沈澱物を可溶化し
た。
次いで、0.27mM還元型グルタチオン及び1.33mMエチレ
ンジアミン四酢酸を含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.
0)1500mlを加え、25℃にて15時間放置後、4℃におい
て25%飽和となるように固形硫酸アンモニウムを徐々に
溶解させ、遠心分離によって不溶物を除去した後、さら
に固型硫酸アンモニウムを加えて50%飽和とし、目的の
遺伝子産物(Q−RPK)を塩析させた。遠心分離により
その塩析物を回収し、7%飽和硫酸アンモニウム及び1M
塩酸グアニジンを含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)2
0mlに溶解させ、遠心分離により不溶物を除去した後、
7%飽和硫酸アンモニウム及び1M塩酸グアニジンを含む
50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)で平衡化したフェニル
セファロースCL−4B(ファルマシア社)のカラム(φ1.
5cm×30cm)にかけた。カラムを平衡化緩衝液200mlで洗
浄した後、1M塩酸グアニジンを含む50mMトリス塩酸緩衝
液(pH8.0)を用いて目的の遺伝子産物(Q−RPK)をカ
ラムから溶出させた。次いでその溶出液を0.5M食塩を含
む50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)で平衡化した亜鉛キ
レートセファロース6B(ファルマシア社)のカラム(φ
1.0cm×30cm)にかけ平衡化緩衝液150mlでカラムを洗浄
した後、0.5M食塩を含む50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH
5.4)を用いて、目的の遺伝子産物(Q−RPK)をカラム
から溶出させた。溶出液は、SDS−ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動法により、単一の蛋白質をのみ含むことを
確認した。この結果を第9図に示す。
実施例12.変異型プロウロキナーゼQ−RPRの精製 実施例4により得たプラスミドpMUT9Q−RPRを用い
て、実施例11と同様にして、変異型プロウロキナーゼQ
−RPRを精製した。精製標品はSDS−ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動法により、単一の蛋白質であることが確認
された。この結果を第9図に示す。
実施例13.変異型プロウロキナーゼQ−RPK及びQ−RPR
の精製標品の性質 (i)プラスミンによる経時的活性化 実施例11又は12により得た変異型プロウロキナーゼQ
−RPK又はQ−RPRの精製標品5IUを含む0.01%トリトン
X−100、50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)95μlに、3
×10-4CUのプラスミン活性を含む5μlのプラスミン水
溶液を加え、37℃にて種々の時間反応をさせた。反応の
停止は0.1μgの大豆トリプシンインヒビターを含む5
μlの水溶液を加えることによって行なった。次に、こ
の反応液105μlに含まれる変異型プロウロキナーゼの
活性を(iv)に記載した方法で測定した。なお対照サン
プルとして、天然型プロウロキナーゼ及び変異型プロウ
ロキナーゼQ(135)D(157)(特開昭62−143686)
(EP 0 210 279)の精製標品を用いた。この結果を第10
図に示す。
第10図に示した結果より、変異型プロウロキナーゼQ
−RPK及びQ−RPRは、天然型プロウロキナーゼ及び変異
型プロウロキナーゼQ(135)D(157)と同様にプラス
ミンにより活性化されることが明らかである。
(ii)トロンビンによる経時的活性化 実施例11又は12により得られた変異型プロウロキナー
ゼQ−RPK又はQ−RPRの精製標品4IUを含む0.01%トリ
トンX−100、50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)95μl
に、4×10-4NIHユニットのトロンビン活性を含む5μ
lのトロンビン水溶液を加え、37℃にて種々の時間反応
をさせた。次に、この反応液105μlに含まれる変異型
プロウロキナーゼの活性を(iv)に記載した方法で測定
した。反応の停止は、1×10-3NIHユニットのヒルジン
を含む5μlの水溶液を加えることによって行なった。
なお対照サンプルとして、天然型プロウロキナーゼ及び
変異型プロウロキナーゼQ(135)D(157)の精製標品
を用いた。この結果を第11図に示す。
第11図に示した結果より、変異型プロウロキナーゼQ
−RPK及びQ−RPRはトロンビンによって速やかに活性化
されることが明らかである。この性質は、天然型プロウ
ロキナーゼ及び変異型プロウロキナーゼQ(135)D(1
57)にはない全く新規な性質である。
(iii)トロンビン処理標品の残存活性の顕現 実施例11又は12により得られた変異型プロウロキナー
ゼQ−RPK又はQ−RPRの精製標品4IUを含む0.01%トリ
トンX−100、50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)85μl
に、4×10-4NIHユニットのトロンビン活性を含むトロ
ンビン水溶液5μlを加え、37℃にて種々の時間反応を
させた後、1×10-3NIHユニットのヒルジンを含む5μ
lの水溶液を加えて反応を停止させた。次いで、0.015C
Uのプラスミン活性を含む5μlのプラスミン水溶液を
加えて、37℃で30分間反応させた後、5μgの大豆トリ
プシンインヒビターを含む5μlの水溶液を加えて反応
を停止させた。次に、この反応液105μlに含まれる変
異型プロウロキナーゼの活性を(iv)に記載した方法で
測定した。なお対照サンプルとして、天然型プロウロキ
ナーゼ及び変異型プロウロキナーゼQ(135)D(157)
の精製標品を用いた。この結果を第12図に示す。
第12図に示した結果より、変異型プロウロキナーゼQ
−RPK及びQ−RPRは、天然型プロウロキナーゼ及び変異
型プロウロキナーゼQ(135)D(157)と異なり、トロ
ンビンによってほとんど不活性化されないことが明らか
である。
(iv)合成基質S−2444による活性化された変異型プロ
ウロキナーゼの活性測定 (i),(ii)及び(iii)で得られた反応液105μl
に、0.2mMS−2444(第一化学薬品製)、0.1M食塩及び0.
01%トリトンX−100を含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH
8.0)0.7mlを加え37℃にて30分間反応を行なった後、直
ちに0.1mlの氷酢酸を加えて反応を停止させた。次い
で、30分間の反応における405nmの吸光度の増加を測定
し、ウロキナーゼ標準品(日本曹達(株)製)の値(30
分間の反応における405nmの吸光度の増加が1IUあたり0.
0608)より、比例計算によりサンプルの活性値を算出し
た。その結果を第10図、第11図及び第12図に示す。第10
図に示した結果より、変異型プロウロキナーゼQ−RPK
及びQ−RPRは、天然型プロウロキナーゼ及び変異型プ
ロウロキナーゼQ(135)D(157)と同様にプラスミン
により活性化されることが明らかである。また第11図に
示した結果より、変異型プロウロキナーゼQ−PPK及び
Q−RPRはトロンビンによって速やかに活性化されるこ
とが明らかである。この性質は天然型プロウロキナーゼ
及び変異型プロウロキナーゼQ(135)D(157)にはな
い全く新規な性質である。また、第12図に示した結果よ
り、変異型プロウロキナーゼQ−RPK及びQ−RPRは、天
然型プロウロキナーゼ及び変異型プロウロキナーゼQ
(135)D(157)と異なり、トロビンによってほとんど
不活性化されないことが明らかである。
参考例1.(出発プラスミドの作製) 天然型ヒト−プロウロキナーゼをコードするcDNAを含
有するプラスミドpKYU22から出発し、この天然型cDNAの
5′端部分の約30bpの構造を、プロウロキナーゼ遺伝子
がシュードモナス由来のC230遺伝子のSD配列のもとで大
腸菌中で効率ほく発現されるように変形した。
プラスミドpKYU22を含有する大腸菌エシェリシャ・コ
リ(Escherichia coli)X1766(pKYU22)は微工研条寄
第968号(FERM BP−968)として国際寄託されている。
下記の、29塩基、15塩基及び20塩基からなる3種類の
単鎖DNAオリゴマーをホスホトリエステル法により合成
した。
次に、これら3種類の合成DNAオリゴマー1μgずつ
を95℃にて2分間加熱処理した後、T4ポリヌクレオチド
キナーゼにより5′端燐酸化し、セップパック(C18)
カラム(Waters製)により精製し、乾燥した後、20mM T
ris−HCl(pH7.6)、10mM MgCl2の溶液50μlに溶解
し、95℃にて2分間加熱した後室温まで徐冷し、12℃に
て一晩保持することによってアニールし、下記に示す二
重鎖DNAを得た。
一方、プラスミドpKYU22のDNA5μgを制限酵素Bg1II
及びAgtIIにより二重消化し、約5.7kbのDNA断片を電気
溶出により回収した。他方、同じプラスミドpKYU22のcD
NA5μgを制限酵素PatI及びBg1IIにより二重消化し、
電気溶出して約400bpのDNA断片と得、さらにこれを制限
酵素TaqIで消化して電気溶出することにより約260bpの
DNA断片を回収した。これら2種類のDNA断片はフェノー
ル/クロロホルム抽出および2倍量のエタノールによる
沈澱により精製回収した。
これら2種類のDNA断片と、前記の合成二重鎖DNAオリ
ゴマーとをT4DNAリガーゼにより連結し、大腸菌X1776を
形質転換した。形質転換体をアルカリ溶菌法による迅速
単離法により調べ、変形されたプロウロキナーゼ遺伝子
を含有するプラスミドpKMU1を有するクローン、エシェ
リシャ・コリ(Escherichia coli)X1776/pKMU1を得
た。このプラスミドpKMU1が導入された大腸菌エシェリ
シャ・コリ(Escherichia coli)X1776/pKMU1は工業技
術院微生物工業技術研究所に、微工研菌寄第8040号(FE
RM P−8040)として寄託されている。
参考例2.プロウロキナーゼの直接発現型プラスミド(pM
UT4L)の作製 参考例1において得られた5μgのプラスミドpKMU1
を制限酵素AatII10ユニットにより消化し、子牛消化管
ホスファターゼ(CIP)で処理し、単離した。他方、5
μgのプラスミドpTCM1を制限酵素AatII10ユニットによ
り消化し、電気溶出法により約500bpのDNA断片を単離し
た。これら2種類のDNA断片はフェノール/クロロホル
ム抽出およびエタノール沈澱を繰り返すことによって精
製回収した。
両者をT4DNAリガーゼにより連結し、大腸菌JM103に形
質転換した。形質転換体をアルカリ浴菌法による迅速単
離法によって調べ、tacプロモーター/オペレーター及
びC230SD配列がプロウロキナーゼ遺伝子に対して正方向
に入ったプラスミドpMUT1Lを有するクローンを得た。
前記プラスミドpTCM1は、tacプロモーター/オペレー
ター、lacSD及びC230SD配列から成る発現制御領域、並
びにC230構造遺伝子を含有する。このプラスミドが導入
された大腸菌エシェリシャ・コリ(Escherichia coli)
JM103/pTCM1は工業技術院微生物工業技術研究所に、微
工研条寄第1990号(FERM BP−1990)として国際寄託さ
れている。
プラスミドpMUT1Lにおいては、tacプロモーター/オ
ペラーター、lacSD及びC230SDからなる発現制御領域の
下流の適切な位置に本発明の変形されたプロウロキナー
ゼ遺伝子が挿入されている。
次にプラスミドpKK223−3 5μgを制限酵素HindIII10
ユニットで消化し、子牛消化管ホスファターゼ(P.L.Bi
ochemicals)で処理した。
一方、前記のようにして得た1μgのプラスミドpMUT
1Lを4ユニットの制限酵素DraIで消化し、この消化断
片と5′端燐酸化したHindIIIリンカー(dCAAGCTTG)1
μgとをT4DNAリガーゼにより連結し、次に12ユニット
の制限酵素HindIIIで消化し、0.15M NaCl溶液とし、等
容量のフェノール/クロロホルムで抽出後、これに2倍
容量のエタノールを加えてDNAを沈澱せしめ、16000rp
m、4℃にて沈澱物を集め、これを乾燥した。
このpMUT1L消化断片と、前記のpKK223−3のHindIII
消化断片とをT4DNAリガーゼにより連結し、大腸菌JM103
を形質転換した。これらの形質転換菌をアルカリ溶菌法
による迅速単離法により調べ、プラスミドpMUT2Lを含む
クローンエシェリシャ・コリ(Escherichia coli)JM1
03/pMUT2Lを得た。
このプラスミドは、プロウロキナーゼ遺伝子の上流に
前記の発現制御領域を有すると共に、下流にpKK223−3
由来の大腸菌のリボゾーム遺伝子の転写ターミネーター
(rrnB,T1T2)を有する。
なお、プラスミドpKK223−3はPharmasia P−L Bioch
emicalsから販売されており、容易に入手することがで
きる。
5μgのプラスミドpMUT2Lを、10ユニットずつの制限
酵素SphI及びTth111 Iによりより消化し、フェノール
/クロロホルム抽出後、エタノールで沈澱せしめ、回収
したDNAを0.1mMのdGTP,dCTP,dATP及びTTPの存在下でT4
ポリメラーゼを用いて末端を平滑化し、T4DNAリガーゼ
により再環化した。これを大腸菌JM103に形質転換し、5
0μg/mlのアンピシリンを含有するLB寒天培地上にコロ
ニーを形成せしめ、アルカリ溶菌法による迅速単離法で
調べ、プラスミドpMUT4Lを含むクローンエシェリシャ・
コリ(Escherichia coli)JM103/pMUT4Lを得た。
文献 1.Gurewich,V.et al.;J.Clin.Invest.73,1731(198
4)。
2.Ichinose,A.et al.;J.Biol.Chem.261,3486(1986)。
3.Kasai,S.et al.;J.Biol.Chem.260,12382(1985)。
4.Liu,C.Y.et al.;J.Biol.Chem.254,10421(1979)。
5.Kaminski,M.et al.;J.Biol.Chem.258,10530(198
3)。
6.Jui−Yoa Chang;Eur.J.Biochem.151,217(1985)。
7.特願昭61−12984(特開昭62−143686)明細書。
規則13規則の2の寄託された微生物への言及 寄託機関:通商産業省工業技術院微生物工業技術研究所 あて名 :日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号 受託番号及び寄託した日付: 1.微工研条寄第1990号 昭和59年8月17日 (1988年8月4日に微工研菌寄第7779号より移管) 2.微工研菌寄第8040号 昭和60年1月11日 3.微工研条寄第969号 昭和60年1月11日 (1986年1月22日に微工研菌寄第8042号より移管) 4.微工研条寄第970号 昭和60年4月18日 (1986年1月22日に微工研菌寄第8188号より移管) 5.微工研条寄第971号 昭和60年7月11日 (1986年1月22日に微工研菌寄第8341号より移管) 委託機関:Deutsche Sammulung von Microorganismen あて名:Grisebachstrasse 8,D−3400 Gttingen,Feder
al Republic of Germany 受託番号及び寄託した日付: 6.DSM 4186 1987年7月22日 7.DSM 4187 1987年7月22日 8.DSM 4188 1987年7月22日 9.DSM 4189 1987年7月22日
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI //(C12N 1/20 C12R 1:19) (C12N 9/72 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:19) 微生物の受託番号 DSM 4187 微生物の受託番号 DSM 4188 微生物の受託番号 DSM 4189 (73)特許権者 999999999 日産化学工業株式会社 東京都千代田区神田錦町3丁目7番地1 (73)特許権者 999999999 東ソー株式会社 山口県新南陽市大字富田4560番地 (72)発明者 小林 洋一 神奈川県小田原市高田680 日本曹達株 式会社寮 (72)発明者 大森 宗樹 東京都豊島区雑司谷2―5―9 (72)発明者 山田 知加子 神奈川県海老名市国分897―16 ファミ ール南原 202

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の式: (Met)・Ser1−X156・Y157・Z158− (式中、Metは場合によっては存在するメチオニンであ
    り、SerはN末端の1位に存在するセリンであり、Xは1
    56位に存在するアルギニン又は他のアミノ酸であり、Y
    は157位に存在するプロリン、グリシン、アラニン又は
    バリンであり、Zは158位に存在するリジン又はアルギ
    ニンであり、そして実線部分は天然型ヒト−プロウロキ
    ナーゼ又は135位のリジンが塩基性アミノ酸以外のアミ
    ノ酸に変更されたヒト−プロウロキナーゼ様ポリペプチ
    ドのアミノ酸配列の対応する部分と同一のアミノ酸配列
    である。) で表されるアミノ酸配列を有するか、あるいは当該アミ
    ノ酸配列において、135位、156位、157位及び158位のア
    ミノ酸以外の1個〜少数個のアミノ酸の欠失、付加及び
    /又は他のアミノ酸による置換により修飾されており、
    且つプロウロキナーゼの生理的性質並びにプラスミン及
    びトロンビンにより容易に活性化される特性を維持して
    いるアミノ酸配列を有するヒト−プロウロキナーゼ様ポ
    リペプチド。
  2. 【請求項2】前記天然ヒト−プロウロキナーゼのアミノ
    酸配列がヒト−腎臓由来のmRNAに対応するcDNAによりコ
    ードされているアミノ酸配列である請求の範囲第1項の
    ポリペプチド。
  3. 【請求項3】X156がアルギニンであり、Y157がプロリン
    であり、そしてZ158がリジンである請求の範囲第1項に
    記載のポリペプチド。
  4. 【請求項4】X156がアルギニンであり、Y157がプロリン
    であり、そしてZ158がアルギニンである請求の範囲第1
    項に記載のポリペプチド。
  5. 【請求項5】X156がグルタミンであり、Y157がプロリン
    であり、そしてZ158がアルギニンである請求の範囲第1
    項に記載のポリペプチド。
  6. 【請求項6】X156がセリンであり、Y157がグリシンであ
    り、そしてZ158がアルギニンである請求の範囲第1項に
    記載のポリペプチド。
  7. 【請求項7】次の式: (Met)・Ser1−X156・Y157・Z158− (式中、Metは場合によっては存在するメチオニンであ
    り、SerはN末端の1位に存在するセリンであり、Xは1
    56位に存在するアルギニン又は他のアミノ酸であり、Y
    は157位に存在するプロリン、グリシン、アラニン又は
    バリンであり、Zは158位に存在するリジン又はアルギ
    ニンであり、そして実線部分は天然型ヒト−プロウロキ
    ナーゼ又は135位のリジンが塩基性アミノ酸以外のアミ
    ノ酸に変更されたヒト−プロウロキナーゼ様ポリペプチ
    ドのアミノ酸配列の対応する部分と同一のアミノ酸配列
    である。) で表されるアミノ酸配列を有するか、あるいは当該アミ
    ノ酸配列において、135位、156位、157位及び158位のア
    ミノ酸以外の1個〜少数個のアミノ酸の欠失、付加及び
    /又は他のアミノ酸による置換により修飾されており、
    且つプロウロキナーゼの生理的性質並びにプラスミン及
    びトロンビンにより容易に活性化される特性を維持して
    いるアミノ酸配列を有するヒト−プロウロキナーゼ様ポ
    リペプチドをコードするDNAセグメント。
  8. 【請求項8】N末端の複数個のアミノ酸、135位のアミ
    ノ酸、155位のプロリン並びに前記X,Y及びZをコードす
    るコドン以外のコドンがヒト腎臓由来のmRNAに対応する
    cDNAのアミノ酸のコドンと同一である請求の範囲第7項
    記載のDNAセグメント。
  9. 【請求項9】前記N末端の複数個のアミノ酸をコードす
    るコドンが次のコドン: からなる請求の範囲第7項記載のDNAセグメント。
  10. 【請求項10】155位のプロリンをコードするコドンがC
    CTでコードされている請求の範囲第7項記載のDNAセグ
    メント。
  11. 【請求項11】Xがアルギニンである場合、これがコド
    ンAGG又はCGTでコードされており;Xがグルタミンである
    場合、これがコドンCAGでコードされており;Xがセリン
    である場合、これがコドンAGCでコードされており;Yが
    プロリンである場合、これがコドンCCT又はCCGでコード
    されており;Yがグリシンである場合、これがコドンGGC
    でコードされており;Zがリジンである場合、これがコド
    ンAAAでコードされており;そしてZがアルギニンであ
    る場合、これがコドンCGGまたはCGAでコードされている
    請求の範囲第7項記載のDNAセグメント。
  12. 【請求項12】次の式: (Met)・Ser1−X156・Y157・Z158− (式中、Metは場合によっては存在するメチオニンであ
    り、SerはN末端の1位に存在するセリンであり、Xは1
    56位に存在するアルギニン又は他のアミノ酸であり、Y
    は157位に存在するプロリン、グリシン、アラニン又は
    バリンであり、Zは158位に存在するリジン又はアルギ
    ニンであり、そして実線部分は天然型ヒト−プロウロキ
    ナーゼ又は135位のリジンが塩基性アミノ酸以外のアミ
    ノ酸に変更されたヒト−プロウロキナーゼ様ポリペプチ
    ドのアミノ酸配列の対応する部分と同一のアミノ酸配列
    である。) で表されるアミノ酸配列を有するか、あるいは当該アミ
    ノ酸配列において、135位、156位、157位及び158位のア
    ミノ酸以外の1個〜少数個のアミノ酸の欠失、付加及び
    /又は他のアミノ酸による置換により修飾されており、
    且つプロウロキナーゼの生理的性質並びにプラスミン及
    びトロンビンにより容易に活性化される特性を維持して
    いるアミノ酸配列を有するヒト−プロウロキナーゼ様ポ
    リペプチドをコードするDNAセグメント、その発現のた
    めの制御領域及び大腸菌中で複製するのに必要なDNA配
    列を含有するプラスミド。
  13. 【請求項13】pMUT9Q−RPK,pMUT9Q−RPR,pMUT9Q−QPR
    又はpMUT9Q−SGRである請求の範囲第12項に記載のプラ
    スミド。
  14. 【請求項14】次の式: (Met)・Ser1−X156・Y157・Z158− (式中、Metは場合によっては存在するメチオニンであ
    り、SerはN末端の1位に存在するセリンであり、Xは1
    56位に存在するアルギニン又は他のアミノ酸であり、Y
    は157位に存在するプロリン、グリシン、アラニン又は
    バリンであり、Zは158位に存在するリジン又はアルギ
    ニンであり、そして実線部分は天然型ヒト−プロウロキ
    ナーゼ又は135位のリジンが塩基性アミノ酸以外のアミ
    ノ酸に変更されたヒト−プロウロキナーゼ様ポリペプチ
    ドのアミノ酸配列の対応する部分と同一のアミノ酸配列
    である。) で表されるアミノ酸配列を有するか、あるいは当該アミ
    ノ酸配列において、135位、156位、157位及び158位のア
    ミノ酸以外の1個〜少数個のアミノ酸の欠失、付加及び
    /又は他のアミノ酸による置換により修飾されており、
    且つプロウロキナーゼの生理的性質並びにプラスミン及
    びトロンビンにより容易に活性化される特性を維持して
    いるアミノ酸配列を有するヒト−プロウロキナーゼ様ポ
    リペプチドをコードするDNAセグメント、その発現のた
    めの制御領域及び大腸菌中で複製するのに必要なDNA配
    列を含有するプラスミドにより形質転換された大腸菌。
  15. 【請求項15】エシェリシャ・コリ(Escherichia col
    i)JM103/pMUT9Q−RPK(DSM4187)である請求の範囲第1
    4項に記載の大腸菌。
  16. 【請求項16】エシャリシャ・コリ(Escherichia col
    i)JM103/pMUT9Q−RPR(DSM4186)である請求の範囲第1
    4項に記載の大腸菌。
  17. 【請求項17】エシャリシャ・コリ(Escherichia col
    i)JM103/pMUT9Q−QPR(DSM4188)である請求の範囲第1
    4項に記載の大腸菌。
  18. 【請求項18】エシャリシャ・コリ(Escherichia col
    i)JM103/pMUT9Q−SGR(DSM4189)である請求の範囲第1
    4項に記載の大腸菌。
  19. 【請求項19】次の式: (Met)・Ser1−X156・Y157・Z158− (式中、Metは場合によっては存在するメチオニンであ
    り、SerはN末端の1位に存在するセリンであり、Xは1
    56位に存在するアルギニン又は他のアミノ酸であり、Y
    は157位に存在するプロリン、グリシン、アラニン又は
    バリンであり、Zは158位に存在するリジン又はアルギ
    ニンであり、そして実線部分は天然型ヒト−プロウロキ
    ナーゼ又は135位のリジンが塩基性アミノ酸以外のアミ
    ノ酸に変更されたヒト−プロウロキナーゼ様ポリペプチ
    ドのアミノ酸配列の対応する部分と同一のアミノ酸配列
    である。) で表されるアミノ酸配列を有するか、あるいは当該アミ
    ノ酸配列において、135位、156位、157位及び158位のア
    ミノ酸以外の1個〜少数個のアミノ酸の欠失、付加及び
    /又は他のアミノ酸による置換により修飾されており、
    且つプロウロキナーゼの生理的性質並びにプラスミン及
    びトロンビンにより容易に活性化される特性を維持して
    いるアミノ酸配列を有するヒト−プロウロキナーゼ様ポ
    リペプチドをコードするDNAセグメント、その発現のた
    めの制御領域及び大腸菌中で複製するために必要なDNA
    配列を含有するプラスミドにより形質転換された大腸菌
    を培養し、そして培養物から前記ポリペプチドを採取す
    ることを特徴とするヒト−プロウロキナーゼ様ポリペプ
    チドの製造方法。
  20. 【請求項20】次の式: (Met)・Ser1−X156・Y157・Z158− (式中、Metは場合によっては存在するメチオニンであ
    り、SerはN末端の1位に存在するセリンであり、Xは1
    56位に存在するアルギニン又は他のアミノ酸であり、Y
    は157位に存在するプロリン、グリシン、アラニン又は
    バリンであり、Zは158位に存在するリジン又はアルギ
    ニンであり、そして実線部分は天然型ヒト−プロウロキ
    ナーゼ又は135位のリジンが塩基性アミノ酸以外のアミ
    ノ酸に変更されたヒト−プロウロキナーゼ様ポリペプチ
    ドのアミノ酸配列の対応する部分と同一のアミノ酸配列
    である。) で表されるアミノ酸配列を有するか、あるいは当該アミ
    ノ酸配列において、135位、156位、157位及び158位のア
    ミノ酸以外の1個〜少数個のアミノ酸の欠失、付加及び
    /又は他のアミノ酸による置換により修飾されており、
    且つプロウロキナーゼの生理的性質並びにプラスミン及
    びトロンビンにより容易に活性化される特性を維持して
    いるアミノ酸配列を有するヒト−プロウロキナーゼ様ポ
    リペプチドを常用の医薬担体、及び場合によっては他の
    医薬活性成分と共に含んで成る、血栓形成の予防又は治
    療剤。
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