JP2736078B2 - 湿式排煙脱硫装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は湿式排煙脱硫装置に係り、特に吸収生成物で
ある亜硫酸塩の酸化促進に好適な脱硫装置に関するもの
である。

〔従来の技術〕 現在、実用化されている湿式脱硫装置は、カルシウム
系の吸収剤を使用し、副生品としての石膏を回収するも
のが主流であり、その方法としては、吸収剤として石灰
石、生石灰、消石灰を使用する石灰石−石膏法が知られ
ている。

第５図は、その代表例を示す従来の湿式排煙脱硫装置
の全体図である。この装置は、脱硫塔２、該脱硫塔の底
部に設けられた循環タンク９、該循環タンクへ空気を供
給する空気供給配管10、前記循環タンク９から循環スラ
リを脱硫塔２へ送る循環ポンプ４から主として構成され
ている。循環タンク９の側壁には、複数の酸化用撹拌機
６および必要に応じてスラリ用撹拌機８が設けられてい
る。酸化用撹拌機６は、撹拌機インペラ12を有し、その
背後にシャフト14を囲んで空気供給ノズル11が設けられ
ている。

第５図において、ボイラ等より発生する排ガス１は脱
硫塔２が導かれ、ここで循環スラリと接触し、デミスタ
３でミストを除去され、脱硫塔２より排出される。一
方、吸収剤スラリである石灰石スラリ５は、石灰石スラ
リポンプ（図示せず）により脱硫塔２の底部に位置する
循環タンク９に供給され、そのスラリは循環ポンプ４に
より脱硫塔２内に設置されたスプレーノズル16に供給さ
れ、ここから塔２内に噴霧されて排ガスと接触し、排ガ
ス中の煤塵、硫黄酸化物が除去され循環タンク９へ自然
落下する。この循環タンク９内へ、酸化用撹拌機６の空
気供給ノズル11から撹拌機インペラ12の背後に噴出され
た酸化用空気７が、撹拌機インペラ12により微細化分散
されて供給されることにより、循環タンク９内の吸収生
成物である亜硫酸塩は酸化され石膏となる。石膏を含有
するスラリは、石膏を回収するために石膏回収プロセス
（図示せず）へ送られる。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、亜硫酸塩の酸化手段として用いられる
酸化用撹拌機６に空気を供給する空気供給源がコンプレ
ッサ、ブロアの場合にはその機構上、一定速度で運転し
ても空気の噴出量は必ずしも一定でなく、ある程度の空
気量の脈動を生じることにより、空気の吐出部に生成塩
が固化する（スケール）ことがある。これを防止するた
めに、空気供給配管10の吐出口を絞り、空気吐出速度を
速めることも考えられるが、この場合もスケール発生ま
での時間が多少長くなるにすぎない。

また、酸化用撹拌機６のインペラに空気を吹き付け、
酸化に好適な微細気泡を発生させる場合は、インペラの
周りに空気の膜が形成され、インペラの回転により発生
する剪断力により、その面から空気とスラリの接触面に
気泡が発生することになる。しかし、インペラの周りに
形成される空気の膜の厚さは均一ではないため、空気吐
出口やインペラは空気にさらされたり、スラリ中に浸さ
れたりの繰返し（乾湿の繰返し）となり、スケールが発
生し易い状態となる。これを防止するために、空気吐出
口をインペラより離れた位置に設置すると、空気がイン
ペラに接触することなく上昇し、気泡が発生せず空気が
有効に利用されないことになる。

さらに、装置の大型化に伴い空気を吹き付けるインペ
ラ径が大きくなると、インペラに対して１個所から空気
を吹込むと、インペラ周りの空気膜の厚さにばらつきが
生じ、気泡発生効率が低下する。逆に、空気供給個所を
増やしていくと偏流は少なくなり、気泡の発生は良好と
なるが、詰まり、スケールを生じ易くなるとともに、構
造が複雑となる欠点がある。

本発明の目的は、上記した従来技術の欠点をなくし、
空気吐出口に詰まり、スケールを発生させることなく空
気を供給し、良好な微細気泡を発生させることができ
る、酸化に良好な湿式排煙脱硫装置を提供することにあ
る。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的は、空気供給ノズルの吐出口近傍のシャフト
に補助撹拌部材を設置することにより達成される。すな
わち、本発明は、循環タンク側面に撹拌機を設置し、該
撹拌機のシャフトに沿ってスリーブを設け、該シャフト
とスリーブの間隔から酸化用空気を循環スラリ中に吹き
込むことにより、空気を分散させて供給する湿式排煙脱
硫装置において、前記スリーブの空気出口より前記タン
ク側壁側に少なくともその一部が挿入されるように前記
シャフトに補助撹拌部材を設けたことを特徴とする。

本発明における補助撹拌部材として、補助インペラま
たは突起物等を用いるのが好ましい。またその設置個所
は、前記スリーブの空気出口より前記タンク側壁側に少
なくともその一部が挿入され、かつ撹拌機のシャフトが
回転する際にスリーブ内壁にスケールが付着しないよう
に、適宜決定される。

〔作用〕

空気供給ノズルから吐出される酸化用空気は、補助イ
ンペラ等により予備分散され、かつ撹拌機インペラへの
推進力を与えられた後、撹拌機インペラにより微細化分
散されるので、良好な気液接触が得られると同時に、ノ
ズル吐出口内面にスケールが成長しても、この補助イン
ペラによりかき取られるので空気供給ノズルの詰まりは
起こらない。

〔実施例〕

以下、本発明を実施例により詳細に説明する。

第１図は、本発明の一実施例を示す排煙脱硫装置の全
体図、第２図は、第１図の酸化用撹拌機の詳細図であ
る。本装置は、撹拌機インペラ12の背後のシャフト14上
に、空気供給ノズル11の空気吐出口内に一部が入るよう
に補助インペラ13を設置したもので、これ以外は第５図
に示す従来の脱硫装置と同様の構成である。

このような構成において、空気供給ノズル11から供給
される酸化用空気７は、補助インペラ13により旋回流を
与えられ予備分散された後、さらに撹拌機インペラ12で
微細化分散されて、吸収剤スラリに供給される。

上記実施例によれば、補助インペラ13を設けたことに
より、空気供給源であるコンプレッサまたはブロアの機
構上生ずる空気の脈動により、スラリが空気供給ノズル
11内へ浸入したり、乾湿を繰返すことによる空気供給ノ
ズル11の詰まりを防止することができ、また仮にスケー
ルが発生、成長しても補助インペラ13がかき取る作用を
持つので、最低限の空気通過面積が確保され、酸化用空
気が供給できなくなることはない。

補助インペラ13の形状としては、第２図の他に、第３
図に示すように吐出力を高めるため補助インペラ13にひ
ねりを入れたもの、第４図に示すようにロッド状の突起
物13Aをシャフトに複数取付けたものでもよい。

本装置の性能をさらに向上させる方法として、酸化用
空気７を供給する空気供給ノズル11内に水を注入し、水
と空気の混合流体を空気供給ノズル11から吐出させても
よい。これにより詰まりやスケールはほとんど生じなく
なり、本発明をより効果的に実施することができる。

〔発明の効果〕

本発明によれば、酸化用撹拌機に補助撹拌手段を設け
たことにより、空気の予備分散が行なわれた後、最終微
細化分散が行なわれるので高い気液接触が得られ、酸化
用空気量の低減、酸化用撹拌機の台数低減が図れるとと
もに、空気供給ノズルの閉塞を防止でき、閉塞による装
置停止等を行なう必要が全くないので、脱硫装置全体の
性能低下を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の一実施例を示す脱硫装置の全体図、
第２図は、第１図の酸化用撹拌機の詳細図、第３図およ
び第４図は、本発明の他の実施例を示す補助インペラの
形状図、第５図は、従来の脱硫装置の全体図である。 １……排ガス、２……脱硫塔、３……デミスタ、４……
循環ポンプ、５……吸収剤、６……酸化用撹拌機、７…
…空気、８……スラリ用撹拌機、９……循環タンク、10
……空気供給配管、11……空気供給ノズル、12……撹拌
機インペラ、13……補助インペラ、14……シャフト、15
……撹拌機座、16……スプレーノズル。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】循環タンク側面に撹拌機を設置し、該撹拌
   機のシャフトに沿ってスリーブを設け、該シャフトとス
   リーブの間隙から酸化用空気を循環スラリ中に吹き込む
   ことにより、空気を分散させて供給する湿式排煙脱硫装
   置において、前記スリーブの空気出口より前記タンク側
   壁側に少なくともその一部が挿入されるように前記シャ
   フトに補助撹拌部材を設けたことを特徴とする湿式排煙
   脱硫装置。